JP2015152464A - 放射線遮蔽体及び放射線遮蔽構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 放射線遮蔽能を有する放射線遮蔽部と、前記放射線遮蔽部を内部に収容する筐体部とを備え、前記放射線遮蔽部は、二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含む無機質粉体を70重量%超含有する、ことを特徴とする放射線遮蔽体。
【選択図】なし
Description
そこで、放射能遮蔽性能を損なうことなく、短期間で、簡便かつ安価に仮置場や中間貯蔵施設を建設することが可能で、さらに、その撤去も容易である工法や素材の開発が急務となっている。
本発明の放射線遮蔽体は、放射線遮蔽能を有する放射線遮蔽部と、前記放射線遮蔽部を内部に収容する筐体部とを備え、放射線遮蔽部は、二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含む無機質粉体を70重量%超含有する。
上記放射線遮蔽部は、二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含む無機質粉体を含有することにより、コンクリートと比較して、放射線遮蔽性能に優れ、かつ、安価な放射線遮蔽体を提供する。また、上記筐体部に、上記放射線遮蔽部を収納することにより、所望の形状を有する、軽量な放射線遮蔽体を提供することが可能となり、より簡便かつ短時間に、上記放射線遮蔽体の設置を行うことができる。さらに、上記放射線遮蔽体の使用後は、容易に撤去が可能であり、焼却により、減容することができる。
(1)無機質粉体
(i)種類
本発明に用いられる無機質粉体は、二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含むものであれば、特に限定されず、従来公知の無機質粉体を用いることができる。上記無機質粉体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フライアッシュ及び上記下水汚泥焼却灰は、石炭又は下水汚泥を燃焼することにより得られる燃焼灰である。フライアッシュは、もともと火力発電所で発生した廃棄物であり、それを再利用して放射能遮蔽材を製造するため、新たなゴミを生成しないという点でも極めて環境特性に優れる。
上記下水汚泥焼却灰としては、例えば東京都下水道サービス社製の商品名「スーパーアッシュ」が挙げられる。
上記無機質粉体の平均粒径の範囲は、1000μm以下であり、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは10〜100μmである。なお、平均粒径は、ブレーン法(JIS R 5201に準拠)により測定した比表面積から求めた、比表面積径である。
なお、平均粒径は、無機質粉体を粉砕したり、ふるい分け等することにより、所望の範囲とすることができるが、市販のフライアッシュI種(JISI種、四電ビジネス社製)等を用いることにより、特に粒径を調製することなく、上記無機質粉体として好適に用いることができる。
上記無機質粉体は、放射線遮蔽部100重量%に対して、70重量%超、好ましくは75〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%含有される。含有量が上記範囲であることにより、放射線遮蔽性能、特にガンマ線遮蔽能に優れる。
また、放射線遮蔽体をより容易に製造するという観点から、上記放射線遮蔽部は、実質的に上記無機質粉体のみからなることが好ましく、より好ましくは、実質的にフライアッシュ、下水汚泥焼却灰及びこれらの混合物のみからなる。ここで、「実質的に無機質粉体のみからなる」とは、放射線遮蔽部において、90重量%以上、より好ましくは95重量%以上の上記無機質粉体を含むことをいう。
上記無機質粉体として、フライアッシュ、下水汚泥焼却灰などの焼却灰を用いた場合、所望の形状を有する筐体内部に上記焼却灰を充填することにより、より迅速、容易かつ安価に放射線遮蔽体の製造をすることが可能となり、さらに、環境特性にも優れたものとなる。
(i)かさ密度
本発明における放射線遮蔽部のかさ密度としては、コンクリートの2.3g/cm3と比較して、同程度又は軽量であれば、特に限定されない。上記放射線遮蔽部の密度としては、1.5〜2.3g/cm3が好ましく、1.6〜2.0g/cm3がより好ましい。密度は、上記無機質粉体の粒径、含有量や、後述する樹脂等の任意成分の含有量等を調製することにより所望の密度とすることができる。
また、上記放射線遮蔽部には、上記無機質粉体以外に、任意成分として、固着材を0〜30重量%含有することができる。
本発明の放射線遮蔽体は、上記放射線遮蔽部を内部に収容する筐体部を備える。上記筐体部としては、上記放射線遮蔽部を内部に収納できるものであれば、特に形状、材質等は限定されず、必要に応じて所望の形状に形成された筐体を用いることができ、例えば、中空パネル材、容器、袋体等を用いることができる。
本発明の放射線遮蔽体は、例えば、図1(a)に示されるように、内部に1つ以上の中空部を有する中空パネル材を筐体部3として備え、上記放射性遮蔽部2が、上記パネル材の中空部に配置されることもできる。筐体部として、所望の形状を有する中空パネル材を用いることにより、組み立て作業が容易となる。
例えば、上記中空パネル材の中空部に、無機質粉体としてフライアッシュのみを充填することができ、この場合、フライアッシュそのものは結合力がないので、パネル内部に充填する場合は粉体が脱落しないように両端を止める等の工夫が必要となる。
本発明の放射線遮蔽体は、例えば、図1(b)に示されるように、内部に中空部を有する容器または袋体を筐体部3として備え、放射性遮蔽部2を、内部に収容してもよい。筐体部として、容器又は袋体を用いることにより、より簡便、迅速に放射線遮蔽体及び放射線遮蔽構造を構築することが可能となる。
本発明の放射線遮蔽構造は、放射性廃棄物の周囲に、上記放射線遮蔽体を配置し、放射線量が所望の線量まで低減された空間を創出することを特徴とする。
上記の放射線量が低減された空間とは、所望の線量まで低減されたものが創出されていれば、その形状は特に限定されるものではなく、前記放射線遮蔽体の配置の仕方により、その空間の形状を制御することができ、前記放射線遮蔽体の配置の仕方も用途に応じて任意のものである。
また、放射線の線量は、放射線遮蔽部の厚さや密度を適宜調製することにより、所望の線量に適宜、調製することができる。
実施形態の一例を図2に示す。図2上段に示されるように、上記放射線遮蔽体が、放射性廃棄物の周囲を矩形状、円形状または多角形状となるように、放射線遮蔽体を配置することにより、上記放射性廃棄物の周囲を取り囲むように配置されてもよく、また、図2下段に示されるように、上記放射線遮蔽体が、上記放射性廃棄物を含まない空間を取り囲むように配置されてもよい。
例えば仮置場においては、仮置場から放出される放射線が周囲の環境に影響を及ぼさないよう汚染土壌から放出される放射線を遮断、遮蔽するように放射線遮蔽体が配置される。また、フレキシブルコンテナバックにフライアッシュ、下水汚泥焼却灰などの焼却灰を充填した放射線遮蔽体を用いた場合、放射線遮蔽体を土嚢のように放射性廃棄物の周囲に配置するだけで、簡単に放射線を遮蔽することができる。
また、建物内部の放射線透過を遮蔽する場合、放射線量が多い空間の建物外壁、床、天井等に配置することができる。
なお、実施例で用いた評価法は、以下の通りである。
放射能遮蔽率は東京都立産業技術センターにて測定依頼を行った。
測定方法及び器具は下記のとおりである。
測定方法:床から1mの高さで、線源と検出器測定中心までの距離を25cmとし、その間に試料がない場合とある場合の線量率について、それぞれ10回測定した平均値からバックグランドの線量率を差し引いた値より、遮蔽率を求めた。遮蔽率は(1−試料有/試料無)×100により求めた。
線源: セシウム137線源 10MBq(日本アイソトープ協会 照射線量率標準ガンマ線源 CS454CE 線源番号 8101)
測定器:NaIシンチレーションサーベイメータ アロカ TCS−172B
2.密度
サンプルの寸法より体積を求め、電子重量計により質量を求めることで、密度を算出した。
3.減容率
サンプルを陶器性の受け皿にいれ、初期重量を測定した後、小型マッフル炉(東和耐火工業(株)社製)にいれ、除除に昇温し、最終的に600℃×3h加熱後、サンプルを取り出し、重量を測定することで、その差分を初期重量で割り算出した。
市販の90mm厚FRP(繊維強化プラスチック)中空板((株)栗本鐵工所クリアルファ)を200mm×200mmに切断し、端部をパッキンで抑え内部に無機質粉体であるフライアッシュI種(JISI種、四電ビジネス社製ファイナッシュ)を中空部に充填し、所定量充満させた後、密封し内部の粉体がこぼれないように端部をシールして、サンプルを得た。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
熱硬化性樹脂として、トランスフランケミカルズ社製フラン樹脂(粘度2700mPa・s、水分含有率7.4%)19重量部に無機質粉体であるフライアッシュI種(JISI種、四電ビジネス社製ファイナッシュ)を78重量部、硬化剤として、パラトルエンスルホン酸3重量部を添加した後、ホモディスパーを用い、1000rpm10分間攪拌し、フラン樹脂組成物を調整した。
実施例1のFRPの中空部に実施例2記載のフラン樹脂組成物を注入し、200×200×90mmのサンプルを得た。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
日本マタイ社製フレキシブルコンテナバック(製品名「MAICON」;銘柄「MH−3」)を切断し、200mm×200mm×90mmの袋体を作成した。この袋体に無機質粉体であるフライアッシュI種(JISI種、四電ビジネス社製ファイナッシュ)を充填し、内部の粉体がこぼれないように端部を紐で縛り、200×200×90mmのサンプルを得た。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
ポルトランドセメント23.2重量%、水12.7重量%、細骨材26.7重量%、粗骨材37.2重量%、混和剤(AE剤)0.2重量%をハンドミキサーで攪拌し、20cm角の型枠に流しんだあと水分を乾燥させることで、200×200×90mm角四方の製品を得た。評価結果を表1に示す。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
実施例1〜5の放射線遮蔽体は、比較例1のコンクリートを用いた放射線遮蔽体した場合、比重が小さいにも関わらず、放射線(ガンマ線)の遮蔽率が高く、優れた放射線遮蔽能を有する。また、実施例1〜5の放射線遮蔽体は、燃焼による減容率も高く、特に無機粉体としてフライアッシュを使用しているため環境特性に優れる。
2 放射線遮蔽部
3 筐体部
10 放射線遮蔽構造
11 放射線性廃棄物
12 放射線汚染エリア
Claims (7)
- 放射線遮蔽能を有する放射線遮蔽部と、
前記放射線遮蔽部を内部に収容する筐体部とを備え、
前記放射線遮蔽部は、二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含む無機質粉体を70重量%超含有する、ことを特徴とする放射線遮蔽体。 - 前記無機質粉体が、フライアッシュ、下水汚泥焼却灰又はこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の放射線遮蔽体。
- 前記筐体部が中空パネル材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線遮蔽体。
- 前記筐体部が、容器または袋体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線遮蔽体。
- 放射性廃棄物の周囲に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射線遮蔽体を配置し、放射線量が所望の線量まで低減された空間を創出 することを特徴とする放射線遮蔽構造。
- 前記放射線遮蔽体が、前記放射性廃棄物の周囲を取り囲むように配置されることを特徴とする請求項5に記載の放射線遮蔽構造。
- 前記放射線遮蔽体が、前記放射性廃棄物を含まない空間を取り囲むように配置され、前記取り囲まれた空間の放射線量を低減させることを特徴とする請求項5に記載の放射線遮蔽構造。
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