JP2015150469A - プライマ塗布方法及びプライマ塗布装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】例えば端子やバスバー等の導電板(板材)の短辺側の端面を含む全周にプライマを効率良く且つ確実に塗布する。【解決手段】板材13の全周にディスペンサ6のノズル5でプライマ42を塗布する方法であって、ノズルの先端を板材の一側の端面13cの上端に接近させた状態で、一側の端面にプライマを塗布し、ノズルを板材の上面13aに沿って板材の他側の端面13dに向けて移動させつつ上面にプライマ42を塗布し、一側及び他側の端面の位置は変えずに板材を上下反転させ、ノズルの先端を他側の端面の上端に接近させた状態で、他側の端面にプライマを塗布し、ノズルを板材の新たな上面13bに沿って一側の端面に向けて移動させつつ新たな上面にプライマを塗布する。【選択図】図6

Description

本発明は、例えば端子やバスバー等の導電板に下地処理やシール等を目的としたプライマを塗布するプライマ塗布方法及びプライマ塗布装置に関するものである。
従来、導電金属製の端子に下地処理剤としてのプライマを塗布するものとして、例えば特許文献1(図示せず)には、細長の端子金具の中間部を合成樹脂製のハウジングにインサート成形する前に、細長の端子金具の中間部の外周面に特殊合成ゴム製の溶液状のプライマを一対のスポンジローラで塗布することで、インサート成形後の端子金具の中間部とハウジングとの間の気密性を高めることが記載されている。
この端子金具の中間部は断面菱形状に形成することで、端子金具の幅方向両側(短辺側)の端面をなくして、端子金具の外周面へのプライマ塗布不足を解消している。端子金具の幅方向両側(短辺側)の端面がある場合は、プライマを端子の長辺側の端面と短辺側の端面とに分けて二度塗り等する必要がある。端子金具の長手方向の両端部はハウジングの前後の嵌合凹部内に突出して、例えば相手側コネクタの雌端子に接続される。
導電金属製の端子として、例えば特許文献2(図示せず)には、アース端子をクランク状に屈曲形成し、アース端子の前半部を樹脂製ハウジングに収容して、アースジョイントコネクタを構成し、同じくアース端子の後半部をボルトで車両ボディ等の接地部に締付接続させることが記載されている。
同じく特許文献2には、他の形態として、上下二段に接続端子(タブ端子)を有するアース端子を樹脂製ハウジングに収容することなく、単独で相手コネクタ内の電線付きの雌端子に挿入接続することが記載されている。特許文献2においては、樹脂製ハウジングにボルト締め時の回り止め突起を設け、特許文献2の従来技術においては、アース端子の先端に回り止め突起を直交して設けている。
また、端子以外のプライマ処理に関し、例えば特許文献3(図示せず)には、避雷用のFRP製の棒状の絶縁筒の外周面に、シリコーンゴムをトルエン等の有機溶剤に溶解して成るプライマー(接着剤等の下塗り剤)を塗布装置におけるスポンジで塗布する際に、棒状の絶縁筒を塗布装置の回転機構で周方向に回転させながら、塗布装置の移動機構で長手方向に移動させることが記載されている。棒状の絶縁筒にはプライマーの上からシリコーンゴム等よりなる絶縁外套体がモールド成形される。
特開平9−7672号公報(図1,図3) 特開2010−212137号公報(図1,図7) 特開平9−24317号公報(図1)
しかしながら、上記従来の特許文献1に記載された端子にあっては、端子の短辺側の両端面へのプライマの塗布不足をなくすために、端子のプライマ処理予定部分を断面菱形状等にプレス加工で変形させなければならず、その手間やコストがかかるという懸念があった。また、端子の全体形状(例えば端子を含む導電金属製のバスバーの形状)や、端子やバスバーのプライマ処理予定部の形状や位置、あるいは端子やバスバーのインサート成形以外の目的のためのプライマ処理等によっては、プレス加工が適さないものもあった。
本発明は、上記した点に鑑み、例えば端子やバスバー等の導電板(板材)の短辺側の端面を含む全周にプライマを効率良く且つ確実に塗布することのできるプライマ塗布方法及びプライマ塗布装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るプライマ塗布方法は、板材の全周にディスペンサのノズルでプライマを塗布する方法であって、該ノズルの先端を該板材の一側の端面の上端に接近させた状態で、該一側の端面に該プライマを塗布し、該ノズルを該板材の上面に沿って該板材の他側の端面に向けて移動させつつ該上面にプライマを塗布し、該一側及び他側の端面の位置は変えずに該板材を上下反転させ、該ノズルの先端を該他側の端面の上端に接近させた状態で、該他側の端面に該プライマを塗布し、該ノズルを該板材の新たな上面に沿って該一側の端面に向けて移動させつつ該新たな上面にプライマを塗布することを特徴とする。
上記構成により、板材の一側と他側の端面にそれぞれプライマが塗布され、板材の上面と下面(反転後の新たな上面)とに塗布されたプライマの端部が、板材の一側と他側の端面に塗布されたプライマに一体につなげられて、板材の全周にプライマが環状に連続して形成される。
請求項2に係るプライマ塗布方法は、請求項1記載のプライマ塗布方法において、前記板材を複数横並びに配置し、一方の板材の一側の端面と上面とにプライマを塗布した後、他方の板材の一側の端面と上面とにプライマを塗布し、全ての板材の一側の端面と上面とにプライマを塗布し終えたら、複数の板材を上下反転させて、該他方の板材の他側の端面と新たな上面とにプライマを塗布し、次いで該一方の板材の他側の端面と新たな上面とにプライマを塗布することを特徴とする。
上記構成により、複数の板材の一側の端面と上面とに一側方(一方)の板材から順次プライマが塗布され、次いで各板材の反転後に、複数の板材の他側の端面と新たな上面(反転前の下面)とに他側方(他方)の板材から順次プライマが塗布される。
請求項3に係るプライマ塗布方法は、請求項1又は2記載のプライマ塗布方法において、前記ノズルの先端に前記プライマの液滴を付着させた状態で、前記板材の一側の端面及び他側の端面に該液滴を塗布することを特徴とする。
上記構成により、板材の一側と他側とにそれぞれプライマのノズルの先端にプライマの液滴が表面張力でノズルの先端よりも大きく付着した状態で、板材の一側と他側とにそれぞれプライマの液滴が確実に付着される。
請求項4に係るプライマ塗布装置は、複数の板材を横並びに保持するホルダと、板材並び方向に沿う軸部を中心に該ホルダを上下反転させる反転駆動手段と、プライマをノズルから吐出して該板材に塗布するディスペンサと、該ディスペンサを板材並び方向に移動させる移動手段とを備え、該ホルダの反転前に、該複数の板材の一側の端面と上面とにプライマを塗布し、該ホルダの反転後に、該複数の板材の他側の端面と新たな上面とにプライマを塗布することを特徴とする。
上記構成により、ホルダで支持された板材の一側の端面にディスペンサのノズルでプライマが塗布され、移動手段でディスペンサが板材の他側の端面に向けて板材の並び方向に移動しつつ、板材の上面にプライマが塗布される。この動作は板材ごとに順番に行われる。次いでホルダが各板材と一体に反転され、板材の他側の端面にノズルでプライマが塗布され、移動手段でディスペンサが板材の一側の端面に向けて板材の並び方向に移動しつつ、板材の反転後の新たな上面(反転前の下面)にノズルでプライマが塗布される。この動作も板材ごとに順番に行われる。そして、各板材の上面と下面(反転後の新たな上面)とに塗布されたプライマの端部が、各板材の一側と他側の端面に塗布されたプライマに一体につなげられて、各板材の全周にプライマが連続して形成される。なお、ホルダの反転時にディスペンサとホルダないし板材とが干渉する場合には、他の移動手段でディスペンサを一時退避させる。
請求項5に係るプライマ塗布装置は、請求項4記載のプライマ塗布装置において、前記板材のプライマ塗布予定部が前記軸部の中心軸線に沿って配置されたことを特徴とする。
上記構成により、ホルダの反転前と反転後とで、各板材の上面と下面(反転後の新たな上面)とのプライマ塗布予定部の位置がずれずに一致するから、板材の並び直交方向に他の反転手段でノズルの位置を移動修正する必要がない。
請求項1記載の発明によれば、板材(例えば端子やバスバー等の導電板)の一側及び他側の端面すなわち短辺側の端面を含む全周にプライマを効率良く且つ確実に塗布することができる。
請求項2記載の発明によれば、複数の板材(例えば複数の端子やバスバー等の導電板)の全周にプライマを短時間で効率良く塗布することができる。
請求項3記載の発明によれば、プライマの液滴を確実に且つ無駄なく板材の一側及び他側の端面に塗布することができる。
請求項4記載の発明によれば、複数の板材(例えば複数の端子やバスバー等の導電板)の一側及び他側の端面すなわち短辺側の端面を含む全周にプライマを短時間で効率良く且つ確実に塗布することができる。
請求項5記載の発明によれば、ホルダの反転前と反転後で各板材の上下両面のプライマ塗布予定部の位置が一致するので、ノズルの位置を修正する必要がなく、プライマ塗布の効率がアップする。
本発明に係るプライマ塗布方法及びプライマ塗布装置の一実施形態を示す斜視図である。 同じくプライマ塗布装置を図1の奥側(後側)から見た斜視図である。 プライマ塗布装置を示す平面図である。 プライマ塗布装置を示す、図3の矢視A正面図である。 プライマ塗布装置を示す、図3の矢視B側面図である。 (a)〜(g)は、プライマ塗布方法の一形態を順に示す説明図(要部正面図)である。
図1〜図6は、本発明に係るプライマ塗布方法及びプライマ塗布装置の一実施形態を示すものである。
図1,図2の如く、プライマ塗布装置1は、導電金属製の複数の端子2を横方向に並列に保持する端子ホルダ(ホルダ)3と、端子ホルダ3を180°上下反転させる反転駆動手段4と、下向きの垂直なノズル5を有するディスペンサ6を備えたプライマ塗布ヘッド7と、プライマ塗布ヘッド7を各端子2の並び方向に水平に移動させるX方向移動手段8と、プライマ塗布ヘッド7を各端子2の並び直交方向に水平に移動させるY方向移動手段(図2)9と、プライマ塗布ヘッド7を上下に移動させるZ方向移動手段10(図2)とを備えたものである。
図1は、プライマ塗布装置1における各端子2及び端子ホルダ3を正面側から見た斜視図であり、図2は、同じく端子ホルダ3を背面側から見た斜視図である。
図1の如く、本例で使用する端子2は、例えばアルミ合金製の一枚の導電金属板をプレス機で打ち抜き及び折り曲げ加工して形成され、前後二列の複数の垂直なタブ端子11と、前後二列のタブ端子11の上端を相互に連結した水平な連結板12と、連結板12の右端側において連結板12から後向きに水平に突出した導電板(板材)13と、導電板13から垂直に立ち上げられた固定板14とを備えたものである。
導電板13には、連結板12から少し後方に離間した位置から固定板14の下側部分にかけて切り起こし片15が設けられ、固定板14にはボルト挿通孔14aが設けられている。固定板14はボルト締めで例えば自動車の金属製の不図示の車両ボディ等に接続固定される。この端子2はアース用端子ないしジョイント用端子とも呼称される。
端子2の連結板12の近傍において(連結板12と導電板13の切り起こし片15の前端との間において)導電板13の外周(外周面)に、すなわち導電板13の上下の長辺側の水平な面と左右の短辺側の垂直な端面とに、プライマ塗布ヘッド7のディスペンサ6のノズル5で連続的に帯状にプライマを塗布することが、本例のプライマ塗布装置1の使用目的である(プライマの塗布方法については図6で詳細に説明する)。
端子2の導電板13にプライマを塗布した後に、例えば、プライマの上から導電板13の外周に、不図示のゴム製のシール部材あるいは合成樹脂製のハウジング部材ないしブロック部材、回路基板等といった相手部材をモールド成形することができる。プライマは例えば既存の樹脂系の粘性のシール剤であり、導電板13とこれら相手部材との接着性や、導電板13とこれら相手部材との間の気密性や水密性(防水性)を高めるために有用である。
図1の如く、端子ホルダ3は、垂直な基板部16と、基板部16の上下に設けられたガイド部17,18と、左右端の軸支板19とを備えて構成される。基板部16は前面に、各端子2の固定板14を嵌合させて位置決めする垂直な溝16aを複数並列に等ピッチで有している。上側のガイド部17は、例えば各端子2の固定板14の上部を挟持ないし当接させ、下側のガイド部18は、各端子2の導電板13における固定板14と導電板13との交差部分の下面を当接支持させる。不図示のマグネットで各端子2を基板部の溝16a内に固定することも可能である。
上下の各ガイド部17,18の前面よりも前方に導電板13が水平に突出し、導電板13に続く連結板12から垂下された各タブ端子11が下側のガイド部18の前面に平行に対向して位置する。
端子ホルダ3の左右の軸支板19の高さ方向中央に設けた円孔19aに、水平な左右の端円柱状の軸部20が係合している。右側の軸部20は、軸支板19の右側に近接して配置された垂直な板壁21に設けられて、軸支板19の円孔19aに回動自在に係合している。左側の軸部(図示せず)は、図3で示すモータ(ステッピングモータ)22等といったアクチュエータの水平な軸の先端部であり、左側の軸支板19に固定されて、左側の軸支板19と一体に回動する。左側の板壁21にモータ22等といった反転駆動手段4が固定されている。左右の板壁21は下側の水平なベース板23に固定されている。モータ22(図3)や減速部や軸部等で反転駆動手段4が構成されている。
左右の軸部20の水平な中心軸線は、図5に示す如く、後列のタブ端子11の近傍においてタブ端子11よりも少し後方の導電板部分(プライマ塗布予定部)13pの厚み方向中央を通過していることが、後述の端子2の反転前後のディスペンサ6のノズル5と導電板部分(プライマ塗布予定部)13pとの位置決め性を高める上で好ましい。
図1において、端子ホルダ3が左右両側の軸部20を中心に反転するのに伴って、端子ホルダ3に保持された各端子2の上側の垂直な固定板14は板厚方向に前方ないし後方に回動し、固定板14に続く水平な導電板13は板厚方向に下向きないし上向きに回動する。端子ホルダ3の反転前後で導電板13の左右の端面の位置が入れ替わることはない。端子ホルダ3の反転方向は時計回りでも反時計回りでもよい。
図1の如く、左右の板壁21を支持するベース板23には、各端子2の下側において大きな開口(矩形状の孔)24が設けられている。開口24は、各端子2の導電板13にディスペンサ6でプライマを塗布する際に、プライマが落下(滴下)した場合における回収用のものである。
各端子2の前側において各端子2の並び方向にX方向移動手段8の水平なねじ軸25が配置され、プライマ塗布ヘッド7はX方向移動手段8で各端子2の並び方向に移動しつつ、ディスペンサ6のノズル5で各端子2の並び順にプライマを塗布する。
プライマ塗布ヘッド7は、垂直に配置されたディスペンサ6と、ディスペンサ6の下端側の下向きのノズル5と、ディスペンサ6を固定する部材26等とを備えて構成されている。ディスペンサ6に不図示の可撓管から液状の粘性のプライマが充填され、ディスペンサ6内のプライマが、不図示の可撓管で供給された圧縮エアで加圧されて、ノズル5の先端(下端)から吐出される。
図2の如く、端子ホルダ3の前側においてX方向移動手段8の水平なベース部27が下側の水平なベース板28に固定され、X方向移動手段8の水平なねじ軸25に歯合した移動自在なナットブロック29の上面にY方向移動手段9のベース部30が固定され、Y方向移動手段9の水平なねじ軸31に歯合した移動自在なナットブロック32にZ方向移動手段10のベース部33が固定され、Z方向移動手段10の垂直なねじ軸34に歯合した移動自在なナットブロック35にプライマ塗布ヘッド7のL字状板部36が固定されている。各移動手段8〜10のねじ軸25,31,34はモータで回転駆動される。
プライマ塗布ヘッド7は、X方向移動手段8で端子2(図1)の並び方向すなわち導電板13(図1)の幅方向に移動し、Y方向移動手段9で端子2の並び直交方向すなわち導電板13の長手方向ないし突出方向(固定板14と連結板12とを結ぶ方向)に移動し、Z方向移動手段10で端子2の高さ方向すなわち導電板13の板厚方向に移動する。
図3は、プライマ塗布装置1を上方から見た平面図、図4は、プライマ塗布装置1の端子ホルダ3とプライマ塗布ヘッド7を示す、図3の矢視A正面図、図5は、同じくプライマ塗布ヘッド7とX方向移動手段8を示す、図3の矢視B側面図(断面図)である。
図3の如く、端子ホルダ3の垂直な基板部16(図1)や上下のガイド部17,18は、左右の軸部20(図1)や軸部20を嵌合させた左右の軸支板19に対して後方に偏心しており、基板部16(図1)の前面に保持された各端子2の水平な導電板13のプライマ塗布予定部13pが軸部20の水平な中心軸線に沿って位置している。端子ホルダ3はモータ22で上下反転駆動される。モータ22は正逆回転可能である。端子ホルダ3の左右の軸支板19の外側において軸支板19を回動自在に支持する垂直な各板壁21は水平なベース板23に立設されている。
端子ホルダ3の基板部16(図1)と平行にX方向移動手段8が配置され、X方向移動手段8のねじ軸25がモータ37に連結され、X方向移動手段8の上側においてX方向移動手段8に直交してY方向移動手段9が配置され、ねじ軸25に歯合したナットブロック29にY方向移動手段9のベース部30が固定され、ねじ軸31がモータ38に連結されている。
また、ねじ軸31に歯合したナットブロック32にL字状板部36が固定され、板部36にZ方向移動手段10の垂直なベース部39(図2)が固定され、ベース部39の上部にモータ40が固定され、モータ40で垂直なねじ軸34(図2)が回転駆動され、ねじ軸34に歯合したナットブロック35にプライマ塗布ヘッド7が固定されている。
プライマ塗布ヘッド7のディスペンサ6は、Y方向移動手段9に沿って、図3において端子ホルダ3に保持された各端子2の並び方向右側に位置している。明細書では説明の便宜上、図1の説明を基準に前後左右の方向を定義している。Y方向移動手段9の左側に隣接してプライマ塗布ヘッド7が配置され、プライマ塗布ヘッド7の左側に隣接して端子ホルダ3が位置している。Y方向移動手段9は端子2の導電板13の突出方向の所要位置(プライマ塗布予定位置13a)にディスペンサ6を移動させるものであるので、X方向移動手段8よりも短く形成され、Z方向移動手段10(図4)はY方向移動手段9よりも短く形成されている。
図4の如く、端子ホルダ3に保持された各端子2に対して、プライマ塗布ヘッド7のディスペンサ6がZ方向移動手段10の最下部に位置した状態から、矢印Cの如くZ方向移動手段10で少し上昇して、ディスペンサ6のノズル5と端子ホルダ3との干渉を回避した状態で、矢印Dの如く端子2の並び方向にX方向移動手段8(図3)で所要の位置(右端の端子2の水平な導電板13の右端側の上方位置)まで移動し、次いでZ方向移動手段10で矢印Eの如く所要(右端)の端子2の導電板13の右端側に向けて下降する。この動作は一例である。
図5の如く、Z方向移動手段10で下降したディスペンサ6のノズル5は、端子2の導電板13に対して少し上方に位置する。ディスペンサ6を含むプライマ塗布ヘッド7に対して端子ホルダ3は各端子2と一体的に矢印Fの如く180°反転可能である。
端子ホルダ3の反転前の図5の状態で、ディスペンサ6のノズル5は端子2の導電板13の前端部(前後のタブ端子11を連結する連結板12の後方に導電板13が続き、その導電板13の前端部)13aの少し上方に位置している。ノズル5の中心軸線は端子ホルダ3の軸部20の中心軸線20a(図4)に交差(直交)して位置し、導電板13の前端部13aは軸部20の中心軸線20aに沿って位置している。そのようにディスペンサ6や端子2の位置が規定されている。
端子ホルダ3の反転に伴って(反転方向に応じて)、各端子2の水平な導電板13は突出方向の前端側13aを下降させつつ後端側を上昇させ、あるいは突出方向の後端側を下降させつつ前端側13aを上昇させて、反転する。導電板13は、左右方向に回転するのではなく、導電板13の前端側13aの左右両側に位置する中心軸線20a(図4)を中心として、矢印Fの如く上下ないし前後方向に回転(反転)する。
図5で、符号19は、端子ホルダ3の垂直な軸支板、21は、軸支板19の外面に沿って位置する垂直な板壁、23は、板壁21を立設したベース板、8はX方向移動手段、28は、X方向移動手段8を支持するベース、をそれぞれ示している。
以下に、図6(a)〜(g)を用いて、上記プライマ塗布装置1の作用、すなわち導電板(板材)13へのプライマ塗布方法の一例を説明する。
先ず、図6(a)の如く、横並びに配置された複数の端子2のうちの右端の端子2の水平な導電板13の右端よりも右側に隣接してディスペンサ6のノズル5を位置させ、ノズル5の先端5aを導電板13の上面13aよりも少し上方に位置させて、導電板13の上面13aとノズル5の先端5aとの間に、プライマの塗布膜を形成できる程度の小さな隙間Sをあける。図6(a)で符号14は、導電板13の後端に直交した上向きの固定板を示している。
次いで図6(b)の如く、ディスペンサ6内のプライマを少し加圧して、ノズル5の先端5aにプライマの液滴41を球状(略球状)に押し出す。プライマは粘性を有しているので、液滴41は垂れ落ちないで、表面張力で球状になってノズル5の先端5aに付着する。この状態で、矢印Dの如く、X方向移動手段8(図3)でディスペンサ6のノズル5を端子2の導電板13の上面13aに沿って右から左に水平に移動させる。なお、図6(b)において液滴41の形成前にノズル5を導電板13の右端13cにもっと接近させておいてもよい。
あるいは、図6(a)の状態からノズル5を導電板13の右端面13cの上端13c’の上方まで移動させ、図6(b)の右端の括弧内の図の如く、導電板13の右端面13cと同一面上においてあるいは右端面13cと同一面上の近傍においてノズル5の先端5aを右端面13cの上端13c’に接近させて停止させ、その状態でディスペンサ6をオンして(ディスペンサ6内のプライマを加圧して)して、ノズル5からプライマ42を右端面13cに吐出させて右端面13cに塗布し、その後、X方向移動手段8(図3)でノズル5を端子2の導電板13の上面13aに沿って右から左に水平に移動させてもよい。
上記何れかの操作で、図6(b)のプライマ41(42)が、図6(c)の如く、導電板13の右端面(一側の端面ないし一方の短辺側の端面)13cに塗布される(プライマ塗布部を符号41’で示す)。プライマが導電板13の右端面13cに塗布された後は、ディスペンサ6内のプライマの吐出方向の加圧が継続されているので、X方向移動手段8(図3)でノズル5が右から左に移動するのに伴って、導電板13の上面13aにプライマ42が直線的に塗布される。
図6(d)の如く、右端の端子2の導電板13の上面13aの左端13a’までプライマ42が帯状に塗布されたら、ディスペンサ6内の加圧をやめてノズル5からのプライマの吐出を停止させる。この操作はプライマ塗布装置1の不図示の制御部によって自動的に行われる。プライマの吐出を停止したディスペンサ6はX方向移動手段8(図3)で矢印D方向(右から左へ)の移動を継続している。
そして図6(e)の如く、右から二番目の端子2の導電板13の右端面13cの直前において、ディスペンサ6内の加圧を再開して、前記図6(b)と同様に、ノズル5の先端5aにプライマの球状の液滴41を形成し、ノズル5をX方向移動手段8(図3)で矢印Dの如く水平に移動させることで、右から二番目の端子2の導電板13の右端面(他側の端面ないし一方の短辺側の端面)13cにプライマの液滴41を塗布し(プライマ塗布部を符号41’で示す)、さらにノズル5の矢印D方向の移動を継続して、右から二番目の端子2の導電板13の上面13aの左端13a’まで鎖線の如くプライマ42を直線的に塗布する。
あるいは、図6(e)において、図6(b)の右端の括弧内の図の如く、ノズル5の先端5aを二番目の端子2の導電板13の右端面13cの上端に接近させて停止させ、ディスペンサ6をオンして、ノズル5からプライマ42を右端面13cに吐出させて右端面13cに塗布し、その状態からノズル5を矢印D方向に移動させて、右から二番目の端子2の導電板13の上面13aの左端13a’まで鎖線の如くプライマ42を直線的に塗布する。
上記操作を繰り返して、全ての端子2(図1の例では四つであるが、図6の例では二つの端子2で説明する)の導電板13の右端面13cと上面13aにプライマ41’,42を塗布し終えたら、図6(f)の如く、各端子2を端子ホルダ3(図5)と一体に180°上下反転する。
各端子2の反転は、端子2の並び位置や導電板13の右端面13cと左端面13dの位置が入れ替わらないように、導電板13の上面13aと下面13bのみを入れ替えるように行う。端子2(導電板13)の反転は、導電板13の上面13aに直線状に塗布したプライマ42の水平状態を維持した状態で行われる(塗布したプライマ42を左右に傾斜させるような反転は行わない)。
各端子2の反転によって、図6(e)の各端子2の導電板13の上面13aに塗布されたプライマ42は、図6(f)の如く下側に反転して位置し、図6(e)におけるプライマを塗布されていない導電板13の下面13bが、図6(f)において上側に反転して新たな上面13bとなる。図6(f)の符号14は、図6(a)から上下反転して前方に移動した垂直な固定板を示す。
図5の例における端子ホルダ3の反転に際しては、ディスペンサ6と端子ホルダ3とが干渉しないように、一旦、ディスペンサ6をZ方向移動手段10(図4)で上昇させて、あるいはY方向移動手段9(図4)で前進させて、ディスペンサ6を端子ホルダ3の回動軌跡から退避させておく。
そして、端子ホルダ3の反転後に、ディスペンサ6をZ方向移動手段10ないしY方向移動手段9で復帰させて、図6(f)の右から二番目の端子2の導電板13の左端13dの左側にディスペンサ6のノズル5を近接して位置させる。ノズル5の先端5aと導電板13の新たな上面13bとの間には図6(a)におけると同様な隙間Sが形成されている。
そして、図6(f)の如く、ディスペンサ6内を加圧して、ノズル5の先端5aにプライマの球状の液滴41を形成し、その状態でディスペンサ6を矢印D’の如くX方向移動手段8(図3)で右から二番目の端子2の導電板13の左端面(一方の短辺側の端面)13dに向けて移動させる。あるいは、図6(f)において、図6(b)の右端の括弧内の図とは左右対称に、ノズル5の先端5aを右から二番目の端子2の導電板13の左端面13dの上端に接近させて停止させ、ディスペンサ6をオンして、ノズル5からプライマ42を左端面13dに吐出させる。
これらにより、図6(g)の如く、右から二番目の端子2の左端面13dにプライマ41’が塗布される。次いで、ディスペンサ6内の加圧を維持しつつディスペンサ6を矢印D’方向にX方向移動手段8(図3)で移動させることで、導電板13の新たな上面13dにノズル5でプライマ42を左から右に向けて直線的に塗布する。ノズル5を導電板13の新たな上面13bの右端13b’まで移動させることで、図6(c)において塗布した導電板13の右端面13cのプライマ41’に、鎖線の如く導電板13の新たな上面13bの右端13b’のプライマ42aが一体につながって、導電板13の外周面13a,13b,13c,13dにプライマ41’,42が環状に連続して形成される。
右から二番目の端子2のプライマ処理を完了したら、上記図6(d)〜(e)とは左右逆の動作を経て、図6(g)の右端の端子2の導電板13の左端面13dと新たな上面13bとに、右から二番目の端子2におけると同様にプライマ41’,42を塗布して、導電板13の外周面13a,13b,13c,13dにプライマ41’,42を環状に連続させる。
このように、複数の端子2の導電板13をプライマ塗布方向(ノズル5の移動方向)に沿う仮想軸線(中心軸線20a)を中心として反転させることで、ディスペンサ6の一往復動作で全ての端子2の導電板13の全周に、すなわち長辺側の表裏(上下)の面13a,13bと短辺側の両側(左右)の端面13c,13dとに、プライマを効率良く短時間で且つ塗り残しなく確実に塗布することができる。
図1において、プライマ処理の完了した各端子2は、例えば端子ホルダ3の上側のガイド部17を開いて、ガイド部17による各端子2の上端部14の把持を解放した状態で、端子ホルダ3から取り外す。あるいは、端子ホルダ3のマグネットの磁着力に抗して各端子2を端子ホルダ3から取り外す。各端子2は次の樹脂成形等の工程に送られる。
なお、上記実施形態においては、端子2の導電板13の平坦な部分にプライマを塗布する例で説明したが、例えば、図1の端子2の導電板13の切り起こし片15のある凹凸部分の外周に沿ってプライマを塗布する場合は、X方向移動手段8によるディスペンサ6の横移動に加えて、Z方向移動手段10でディスペンサ6を上下させることで、凹凸部分の外周に沿ってプライマを効率良く確実に塗布することができる。これは、導電板13が例えば断面山型状に傾斜している場合においても同様である。
また、上記実施形態においては、図3の如く、Y方向移動手段9で端子2の導電板13の長手方向(突出方向)に対するノズル5の初期位置のみを規定したが、例えば図1の端子2の導電板13の長手方向(突出方向)にプライマを塗布したい場合は、例えば図6(c)においてディスペンサ6をY方向移動手段9で導電板13の長手方向に移動させることで、図6(c)の導電板13の上面13aのプライマ42とは直交して導電板13の長手方向にもプライマを直線的に塗布することができる。X方向移動手段8とY方向移動手段9とを同時に駆動して、ディスペンサ6を水平面上で斜め方向に移動させつつ斜め方向にプライマを直線形状ないしは曲線形状に塗布することも可能である。
また、上記実施形態においては、複数の端子2に順番にプライマを塗布する例で説明したが、例えば、端子2が一つであっても、図6(a)(b)(c)における端子2の導電板13の一側の端面13cと上面13aへのプライマ41’,42の塗布と、図6(f)(g)における端子2の導電板13の他側の端面13dと下面(新たな上面)13bへのプライマ41’,42の塗布によって、一つの端子2の導電板13の全周にプライマを効率良く且つ塗り残しなく確実に塗布することができる。
また、上記実施形態において、プライマとは、単に一般的な下地処理剤に限らず、粘性のシール剤や接着剤等を含むものである。また、上記した端子2をバスバーと呼称する場合もある。
例えばバスバーとして、クランク状やL字状等に屈曲した導電金属製の長形のバスバー(図示せず)を使用する場合は、不図示のバスバー用の端子ホルダ(3)にバスバーをクランプ等で固定し、バスバーの導電板(13)を図1の端子2の導電板13のように端子ホルダ(3)から水平に突出させた状態で、バスバーの導電板(13)の外周に図6の方法でプライマを環状に塗布することができる。これは、端子として図1の端子2以外に、突出した導電板(13)を有する各種の端子(図示せず)を使用した場合においても同様である。
また、図1のアース用の端子2を左右対称形状に二つ配置したものを用意して、二つの端子2を組み合わせて、各端子2の固定板14を板厚方向に重ね合わせて、共通の不図示のボルトで車両ボディ等のアース側に締付接続(固定)させることも可能である(組み合わせ端子については、例えば特開平10−199598号公報を参照)。
また、上記実施形態においては、導電板(板材)13の周囲にプライマを塗布する例で説明したが、例えば、端子の導電板(導電材)が箱状ないし矩形筒状に折り曲げ形成されたり、導電板13の板厚が図6の例よりも厚く形成されて、導電板(導電材)13の左右の短辺側の端面13c,13dの高さ寸法が、図6(b)のディスペンサ6のノズル5の先端5aに形成されるプライマの液滴41の縦方向長さよりも大きな場合には、以下の方法を適用可能である。
すなわち、図6(b)において導電板(導電材)の右端面(13c)の上部に例えばプライマの液滴41をノズル5で塗布(付着)させた直後に、ディスペンサ6を移動させずにその場に留めた状態で、ディスペンサ6内の加圧により、ノズル5からプライマを導電板(導電材)の右端面(13c)に沿って下向きに吐出させることで、導電板(導電材)の右端面(13c)に縦方向に直線的にプライマを塗布(粘着)させる。これは、図6(g)の工程においても同様である。
また、上記実施形態においては、端子2やバスバー等の導電板13にプライマを塗布する例で説明したが、例えば導電板13以外の絶縁性等の板材や部材等に上記したプライマ塗布方法やプライマ塗布装置1を適用することも可能である。
本発明に係るプライマ塗布方法及びプライマ塗布装置は、例えば端子やバスバー等の導電板の短辺側の端面を含む全周にプライマを効率良く且つ確実に塗布するために利用することができる。
1 プライマ塗布装置
3 端子ホルダ(ホルダ)
4 反転駆動手段
5 ノズル
6 ディスペンサ
8 X方向移動手段(移動手段)
13 導電板(板材)
13a 上面
13b 新たな上面
13c 右端面(一側の端面)
13d 左端面(他側の端面)
13p プライマ塗布予定部
20 軸部
20a 中心軸線
41 プライマの液滴
42 プライマ

Claims (5)

  1. 板材の全周にディスペンサのノズルでプライマを塗布する方法であって、該ノズルの先端を該板材の一側の端面の上端に接近させた状態で、該一側の端面に該プライマを塗布し、該ノズルを該板材の上面に沿って該板材の他側の端面に向けて移動させつつ該上面にプライマを塗布し、該一側及び他側の端面の位置は変えずに該板材を上下反転させ、該ノズルの先端を該他側の端面の上端に接近させた状態で、該他側の端面に該プライマを塗布し、該ノズルを該板材の新たな上面に沿って該一側の端面に向けて移動させつつ該新たな上面にプライマを塗布することを特徴とするプライマ塗布方法。
  2. 前記板材を複数横並びに配置し、一方の板材の一側の端面と上面とにプライマを塗布した後、他方の板材の一側の端面と上面とにプライマを塗布し、全ての板材の一側の端面と上面とにプライマを塗布し終えたら、複数の板材を上下反転させて、該他方の板材の他側の端面と新たな上面とにプライマを塗布し、次いで該一方の板材の他側の端面と新たな上面とにプライマを塗布することを特徴とする請求項1記載のプライマ塗布方法。
  3. 前記ノズルの先端に前記プライマの液滴を付着させた状態で、前記板材の一側の端面及び他側の端面に該液滴を塗布することを特徴とする請求項1又は2記載のプライマ塗布方法。
  4. 複数の板材を横並びに保持するホルダと、板材並び方向に沿う軸部を中心に該ホルダを上下反転させる反転駆動手段と、プライマをノズルから吐出して該板材に塗布するディスペンサと、該ディスペンサを板材並び方向に移動させる移動手段とを備え、該ホルダの反転前に、該複数の板材の一側の端面と上面とにプライマを塗布し、該ホルダの反転後に、該複数の板材の他側の端面と新たな上面とにプライマを塗布することを特徴とするプライマ塗布装置。
  5. 前記板材のプライマ塗布予定部が前記軸部の中心軸線に沿って配置されたことを特徴とする請求項4記載のプライマ塗布装置。
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