JP2015149172A - 複合シートならびにそれを用いたledパッケージおよびその製造方法 - Google Patents

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広宣 定国
和樹 重田
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和樹 重田
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Yutaka Ishida
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Abstract

【課題】一回の塗布プロセスでシートを作製でき、かつこれを適用した光半導体素子の輝度を向上できる蛍光体組成物を提供する。こと。【解決手段】蛍光体層と、前記蛍光体層上の接着層とを有する複合シートであって、前記蛍光体層の屈折率をNp、前記接着層の屈折率をNaとした時に下記条件(1)および(2)を満たすことを特徴とする複合シート。(1)|Np−Na|≰0.10(2)Np≧1.60 かつ Na≧1.60【選択図】 なし

Description

本発明は、複合シートならびにそれを用いたLEDパッケージおよびその製造方法に関する。
発光ダイオード(LED、Light Emitting Diode)は、発光効率の目覚ましい向上を背景とし、低消費電力、高寿命、意匠性などを特長とした液晶ディスプレイ(LCD)用バックライト、車載用ヘッドライト、スポットライト、一般照明用途で急激に市場を拡大しつつある。
LEDの発光スペクトルは、光半導体素子を形成する光半導体材料に依存するためその発光色は限られている。そのため、LEDを用いてLCD用バックライトや一般照明の白色光を得るためには光半導体素子上にそれぞれのチップに適合した蛍光体色を配置し、発光波長を変換して白色光を得る必要がある。具体的には、青色発光する光半導体素子上に黄色蛍光体を配置する方法、青色発光する光半導体素子上に赤および緑の蛍光体を配置する方法、紫外線を発する光半導体素子上に赤、緑、青の蛍光体を配置する方法などが提案されている。これらの中で、光半導体素子の発光効率やコストの面から青色LED上に黄色蛍光体を配置する方法、および青色LED上に赤および緑の蛍光体を配置する方法が現在最も広く採用されている。
光半導体素子上に蛍光体を配置する具体的な方法の1つとして、高濃度の蛍光体が均一に分布した樹脂を予めシート状に成型して使用する方法、(蛍光体シート法)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。本方法では、高濃度の蛍光体を含有する樹脂を予めシート状に成型しておくことで、均一な膜厚と蛍光体濃度分布および耐光性を得ることができるため、LEDパッケージや光半導体素子に貼り付けた時にLEDの色ばらつきを抑制することができるものである。
しかし、光半導体素子や蛍光体の屈折率が、蛍光体シート樹脂の屈折率と比較して高いため、光半導体素子や蛍光体界面における反射により、光半導体素子内で発生した光を十分に外部に取り出せていない。そのため、屈折率差に起因する反射を抑制するために、屈折率の異なる薄膜を屈折率順に積層し、屈折率を連続的に変化させることも検討されている。例えば、屈折率が異なる2〜20層の封止層が形成されてなり、最下層の封止層(第1封止層)の屈折率nが1.55〜1.85の範囲にあり、最上層の封止層(n番目の封止層、n=2〜20)の屈折率nが1.30〜1.65の範囲にあり、少なくとも2層以上の屈折率が異なる封止層が屈折率の高い順に積層してなり、各封止層が疎水性ジルコニウム粒子および/または疎水性シリカ系中空粒子とマトリックス樹脂を含むことにより、屈折率傾斜を形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。屈折率の高い薄膜は、例えば分散粒径が1nm以上かつ20nm以下の正方晶ジルコニア粒子を含有してなることを特徴とする発光素子封止用組成物(例えば、特許文献3参照)や、特定の樹脂化合物と酸化物無機粒子からなるシリコーン樹脂組成物(例えば、特許文献4参照)に開示されるように、高屈折率ナノ粒子を樹脂中に分散させることによって形成することができる。また、LEDチップ上に配置された変換層に蛍光剤とバインダー材料と複数のナノ粒子を含有し、蛍光剤粒子の屈折率と厳密に整合するようにナノ粒子を分散することが開示されている(例えば、特許文献5参照)。
特許第4146406号公報 特開2012−121941号公報 特開2007−099931号公報 特開2010−144135号公報 特許5227252号公報
しかしながら、上記の方法で屈折率の高い蛍光体シートを作製しても、これを光半導体素子上に貼り付けるために用いられる接着層と蛍光体層の屈折率差が大きいために効率的に光半導体素子からの光を取り出すことができず、結果として光半導体素子の輝度が向上しないといった課題があった。
本発明は、上記課題に着目し、光半導体素子の光を効率的に取り出して、光半導体素子の輝度を向上できる蛍光体複合シートを提供することを目的とする。
本発明は、蛍光体層と、前記蛍光体層上の接着層とを有する複合シートであって、前記蛍光体層の屈折率をNp、前記接着層の屈折率をNaとした時に下記条件(1)および(2)を満たすことを特徴とする複合シートである。
(1)|Np−Na|≦0.10
(2)Np≧1.60 かつ Na≧1.60
本発明によれば、簡易な構成で光の反射を抑制し、光半導体素子の輝度を向上できる蛍光体シート積層体を提供することができる。
本発明の蛍光体複合シートを用いた光半導体素子の例。 照度測定系の模式図。
本発明の複合シートは、蛍光体層と、前記蛍光体層上の接着層とを有する複合シートであって、前記蛍光体層の屈折率をNp、前記接着層の屈折率をNaとした時に下記条件(1)および(2)を満たすことを特徴とする。
(1)|Np−Na|≦0.10
(2)Np≧1.60 かつ Na≧1.60
<複合シート>
本発明における蛍光体層は、後述するように、蛍光体とマトリックス樹脂とを必須成分とするほか、屈折率を上昇させる目的で、金属化合物等を含んでいてもよい。
一方、本発明における接着層は、後述するように、マトリックス樹脂を必須成分とするほか、屈折率を上昇させる目的で、蛍光体層と同様に、金属化合物等を含んでいてもよい。
本発明の蛍光体複合シートにおける、蛍光体層の屈折率Npと、接着層の屈折率Naとは以下の関係を満たす。
(1)|Np−Na|≦0.10
(2)Np≧1.60 かつ Na≧1.60
これにより、本発明の複合シートを光半導体素子の発光面に設置したときに、光半導体素子からの光取出し性が向上し、結果としてLEDパッケージの輝度が向上する。
その理由は以下のように推測される。蛍光体層と接着層の屈折率差を抑制することによって、接着層と蛍光体層の界面での光の反射、散乱を抑制することができるため、光半導体から蛍光体層へ入射した光が効率よく蛍光体にあたる。また、蛍光体層と接着層の屈折率がいずれも1.60以上であることによって、複合シート全体の屈折率を光半導体素子の屈折率に近づけることができるため、光半導体素子内部の全反射も抑制することができる。
本発明において、屈折率差|Np−Na|の好ましい上限値は0.10であり、更に好ましくは0.05であり、特に好ましくは0.02である。その上限値以下であることで、上記効果がより大きくなり、LEDパッケージの輝度を向上することができる。なお、屈折率差|Np−Na|が小さければ小さいほど上記効果が大きくなるので、下限としては特に制限はない。
また、屈折率Np,Naは、いずれも1.60以上が好ましく、より好ましくはいずれも1.70以上である。なお、上限としては特に設定しないが、マトリックス樹脂の屈折率が通常1.4〜1.5程度であることを考えると、2.0以下であることが好ましい。
蛍光体層の平均屈折率Npは、蛍光体以外の混合物(マトリックス樹脂と金属化合物等)の屈折率と体積分率の積の和で示される。
マトリックス樹脂と金属化合物等の混合物の屈折率を算出するには、前記混合物をシート化したものを屈折率・膜厚測定装置“プリズムカプラMODEL2010/M”(メトリコン社製)を使用して測定する。具体的には、測定温度25℃において、633nm(He−Neレーザー使用)における膜面に対する垂直方向の屈折率(TE)を測定することで屈折率を求めることができる。
接着層の平均屈折率Naは、蛍光体層における樹脂と金属化合物等との混合成分の屈折率を測定するときと同様に、接着層の構成成分(樹脂と金属化合物等)をシート化したものを屈折率・膜厚測定装置“プリズムカプラMODEL2010/M”(メトリコン社製)を使用して測定することで、求めることができる。
<蛍光体層>
蛍光体層に含まれるマトリックス樹脂、蛍光体および好ましく含まれる金属化合物粒子の詳細は後述する。
蛍光体層の厚みは特に制限はないが、10〜1000μmであることが好ましい。10μmより小さいと、蛍光体粒子に起因する凹凸のため、均一なシート成型が難しい場合がある。1000μmを超えると、クラックが生じやすくなり、シート成型が難しい場合がある。より好ましくは、30〜100μmである。
一方で、シートの耐熱性を高める観点からは、シートの膜厚は200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
本発明における蛍光体層の膜厚は、JIS K7130(1999)プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法における機械的走査による厚さの測定方法A法に基づいて測定される膜厚(平均膜厚)のことをいう。
耐熱性とはLED内で発生した熱に対する耐性を示す。耐熱性は、LEDを室温で発光させた場合と高温で発光させた場合の輝度を比較し、高温での輝度がどの程度低下するかを測定することによって評価することができる。
LEDは小さな空間で大量の熱が発生する環境にあり、特に、ハイパワーLEDの場合、発熱が顕著である。このような発熱によって蛍光体の温度が上昇することでLEDの輝度が低下する。したがって、発生した熱をいかに効率良く放熱するかが重要である。本発明においては、シート膜厚を前記範囲とすることで耐熱性に優れたシートを得ることができる。
<接着層>
接着層に含まれるマトリックス樹脂、蛍光体および好ましく含まれる金属化合物粒子の詳細は後述する。
接着層は、前記蛍光体層の外形形状に対応するように形成される。つまり、接着層は、前記蛍光体層の表面を被覆するように、略平板シート状に形成される。
接着層は、マトリックス樹脂の室温(25℃)での貯蔵弾性率と高温(100℃)での貯蔵弾性率を制御し、蛍光体シートの貯蔵弾性率を、25℃で0.1MPa以上、100℃で0.1MPa未満にすることが好ましく、より望ましくは、25℃で0.5MPa以上、100℃で0.05MPa未満にすることが好ましい。
ここで言う貯蔵弾性率とは、動的粘弾性測定を行った場合の貯蔵弾性率である。動的粘弾性とは、材料にある正弦周波数で剪断歪みを加えたときに、定常状態に達した場合に現れる剪断応力を歪みと位相の一致する成分(弾性的成分)と、歪みと位相が90°遅れた成分(粘性的成分)に分解して、材料の動的な力学特性を解析する手法である。ここで剪断歪みに位相が一致する応力成分を剪断歪みで除したものが、貯蔵弾性率G’であり、各温度における動的な歪みに対する材料の変形、追随を表すものであるので、材料の加工性や接着性に密接に関連している。
接着層は、25℃で0.1MPa以上の貯蔵弾性率を有することにより、室温(25℃)での接着層表面の粘着性もなくハンドリング性が良好となる。室温における貯蔵弾性率の上限は本発明の目的のためには特に制限されないが、LED素子と貼り合わせた後の応力歪みを低減する必要性を考慮すると1GPa以下であることが望ましい。また、100℃において貯蔵弾性率が0.1MPa未満であることによって、60℃〜250℃での加熱貼り付けを行えばLEDチップ表面の形状に対して素早く変形して追従し、高い接着力が得られるものである。100℃において0.1MPa未満の貯蔵弾性率が得られる接着層であれば、室温から温度を上げて行くに従い貯蔵弾性率が低下し、100℃未満でも貼り付け性は温度上昇と共に良好となるが実用的な接着性を得るためには60℃以上が好適である。またこのような接着層は100℃を超えて加熱することでさらに貯蔵弾性率の低下が進み、貼り付け性が良好になるが、250℃を超える温度では通常、樹脂の熱膨張、熱収縮や熱分解の問題が発生しやすい。従って好適な加熱貼り付け温度は60℃〜250℃である。100℃における貯蔵弾性率の下限は本発明の目的のためには特に制限されないが、LED素子上への加熱貼り付け時に流動性が高すぎると、貼り付け前に切断や孔開けで加工した形状が保持できなくなるので、0.001MPa以上であることが望ましい。
接着層の厚みは、1〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。1μmより小さいと、十分な接着性が発現しないおそれがある。20μmを超えると、半導体素子からの光取り出し効率が低下するおそれがある。
接着層の膜厚は、JIS K7130(1999)プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法における機械的走査による厚さの測定方法A法に基づいて測定される膜厚(平均膜厚)のことをいう。
<蛍光体>
蛍光体層に含まれる蛍光体は、光半導体素子から放出される光を吸収し、波長変換を行い、光半導体素子の光と異なる波長の光を放出するものである。これにより、光半導体素子から放出される光の一部と、蛍光体から放出される光の一部とが混合して、白色を含む多色系のLEDを作製することが可能である。具体的には、青色系LEDにLEDからの光によって黄色系の発光色を発光する蛍光物質を光学的に結合させることによって単一の光半導体素子を用いて白色系を発光させることができる。上述のような蛍光体には、緑色に発光する蛍光体、青色に発光する蛍光体、黄色に発光する蛍光体、赤色に発光する蛍光体等の種々の蛍光体がある。
蛍光体として、最終的に所定の色を再現できるものであれば特に限定はなく、公知のものを用いることができる。例として、青色光半導体素子に対応する蛍光体として、YAG系蛍光体、TAG系蛍光体、シリケート蛍光体、ナイトライド系蛍光体、オキシナイトライド系蛍光体等が挙げられる。
<マトリックス樹脂>
蛍光体層および接着層に含まれるマトリックス樹脂は、連続相を形成するものであり、成型加工性、透明性、耐熱性、接着性等に優れる材料であれば特に制限はなく、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンゲル等のオルガノポリシロキサン硬化物(架橋物)を含む)、ウレア樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂などの公知のものを用いることができる。特に、熱硬化性、または光硬化性のものが好ましい。これらの樹脂を適宜設計することで、本発明の実施に有用な樹脂が得られる。
なお、蛍光体層および接着層に同種のマトリックス樹脂を用いることで、蛍光体層と接着層の屈折率差を小さく設計することが容易になるため好ましい。同種とは、例えば蛍光体層にも接着層にもシリコーン樹脂を用いることなどをいう。
また、添加剤として塗布膜安定化のための分散剤やレベリング剤、シート表面の改質剤としてシランカップリング剤等の接着補助剤等を添加することも可能である。
透明性、耐熱性などの観点から、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂またはこれらの混合物を好適に用いることができるが、耐熱性の観点から、シリコーン樹脂が最も好ましい。シリコーン樹脂の中でも付加反応硬化型シリコーン組成物が好ましい。付加反応硬化型シリコーン組成物は、常温または50〜200℃の温度で、加熱、硬化し、透明性、耐熱性、接着性に優れる。付加反応硬化型シリコーン組成物は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するシリコーンと、ケイ素原子に結合した水素原子を有するシリコーン、触媒量の白金系触媒を含有するものを使用することができる。高屈折率と耐熱・耐光性の両立という点で、ケイ素原子にメチル基とフェニル基が結合したメチルフェニルシリコーンが特に好ましい。
シリコーン樹脂の中でも、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するシリコーンと、ケイ素原子に結合した水素原子を有するシリコーンと、ヒドロシリル化反応触媒として白金系触媒を含む付加反応硬化型シリコーンが好ましい。例えば、東レ・ダウコーニング(株)製封止材“OE6630”、“OE6636”、“TX2496”などや信越化学工業株式会社製の“SCR−1012”、“SCR1016”などを用いることができる。
<金属化合物粒子>
蛍光体層および接着層には、屈折率を高める目的で金属化合物粒子が含まれていることが好ましい。金属化合物粒子としては、Na、Npをそれぞれ1.60以上にする観点から、屈折率が1.70以上であり、平均粒子径が1〜50nmであるものが好ましい。以下、このような金属化合物粒子を「高屈折率ナノ粒子」と呼ぶ。
高屈折率ナノ粒子は、可視光の波長よりも十分小さいため、マトリックス樹脂に分散することによって、光学的に均質とみなすことができる。また、高屈折率ナノ粒子の屈折率とマトリックス樹脂の屈折率が異なることから、平均粒子径が1〜50nmの金属化合物粒子を含むマトリックス樹脂の平均屈折率は、金属化合物粒子の屈折率と体積分率の積と、マトリックス樹脂の屈折率と体積分率の積の和で表される。すなわち、マトリックス樹脂よりも屈折率が大きい金属化合物粒子であれば、平均屈折率を高くすることができる。
(金属化合物粒子の粒子径)
金属化合物粒子は、平均粒子径が1nmより小さいと粒子として存在することが難しく、50nmより大きいと光を散乱しやすくなり、光透過率が低下する。光散乱を抑制するという観点で、平均粒子径が1〜50nmであることが好ましい。
ここでいう平均粒子径とは、以下の方法で求められる粒子径の平均値である。走査型電子顕微鏡(SEM)で粒子を観察して得られる2次元画像から、粒子の外縁と2点で交わる直線の当該2つの交点間の距離が最大になるものを算出し、それを粒子径と定義する。観測される200個の粒子に対して測定を行い、得られた粒子径の平均値を平均粒子径とする。例えば、蛍光体シート中に存在する金属化合物粒子の粒径を測定する場合は、機械研磨法、ミクロトーム法、CP法(Cross-section Polisher)および集束イオンビーム(FIB)加工法のいずれかの方法で、蛍光体複合シートの断面が観測されるよう研磨を行った後、得られた断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して得られる2次元画像から平均粒子径を算出することができる。
(金属化合物粒子の組成)
金属化合物粒子としては、チタニア、ジルコニア、アルミナ、セリア、酸化スズ、酸化インジウム、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ニオブ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、水酸化アルミニウム、チタン酸バリウムダイアモンド等が挙げられ、これらは単独で用いられても良く、2種類以上併用されても良い。高屈折率、入手のし易さという観点から、アルミニウム化合物粒子、スズ化合物粒子、チタン化合物粒子、ジルコニウム化合物粒子、セリウム化合物粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。具体的には、アルミニウム、スズ、チタンまたはジルコニウムの酸化物、硫化物、水酸化物などが挙げられるが、これらのうち、塗膜、硬化膜の屈折率調整の点から酸化ジルコニウム粒子および/または酸化チタン粒子が好ましく用いられる。
高屈折率であると、マトリックス樹脂に分散させたときの平均屈折率を高めることができるため、光半導体素子との屈折率差を小さくして素子からの光取り出し効率を向上させることができる。市販されている粒子としては、酸化スズ−酸化チタン複合粒子の”オプトレイクTR−502”、”オプトレイクTR−504”、”オプトレイクTR−520”、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子の”オプトレイクTR−503”、”オプトレイクTR−527”、”オプトレイクTR−528”、”オプトレイクTR−529”、”オプトレイクTR−513”、酸化チタン粒子の”オプトレイクTR−505”(以上、商品名、触媒化成工業(株)製)、酸化ジルコニウム粒子((株)高純度化学研究所製)、酸化スズ−酸化ジルコニウム複合粒子(触媒化成工業(株)製)、酸化スズ粒子((株)高純度化学研究所製)等が挙げられる。これらの金属化合物粒子は、マトリックス樹脂との分散性を向上させるため、後述するグラフト化を行って用いることが好ましい。
金属化合物粒子の好ましい含有量は、各粒子の屈折率に応じて変化するため、特に限定されない。
(金属化合物粒子のグラフト化)
本発明において、金属化合物粒子がグラフト化されているということは、粒子の表面に存在する水酸基を足場として利用し、ポリマーが粒子表面に化学結合(グラフト)されていることを言う。金属化合物粒子がグラフト化されていることで、蛍光体層に金属化合物粒子を含有する場合においては、金属化合物粒子のマトリックス樹脂への分散が良好になり、蛍光体組成物の透明性が向上し、マトリックス樹脂の屈折率と蛍光体の屈折率差を小さくすることができる。また、接着層に金属化合物粒子を含有する場合においては、接着層の透明性を損なうこと無く、蛍光体層と接着層との屈折率差を小さくすることができる。
本発明に用いられるポリマーの種類は金属化合物粒子の表面に化学結合するものであれば特に限定されない。水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、レゾール樹脂や尿素樹脂、メラミン樹脂など初期縮合物など)でもよいし、非水溶性ポリマー(例えば、ポリシロキサン、1,4−シス−イソプレン、イソプレンエラストマー、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリメチルメタクリレート、ポリn−ブチルアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ乳酸など)でもよい。特に好ましくは、後述するポリシロキサンが挙げられる。
粒子表面のグラフト化の有無は、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと称する)や透過型電子顕微鏡(以下、TEMと称する)で金属化合物粒子とマトリックス樹脂の境界部分を観察することによって知ることができる。グラフト化されている場合は、金属化合物粒子間あるいは金属化合物粒子とマトリックス樹脂の境界部分が不明瞭となるのに対し、グラフト化されていない場合は、金属化合物粒子間あるいは金属化合物粒子とマトリックス樹脂の境界部分が明確であり、金属化合物粒子の粒径に相当する大きさの粒子が明瞭に観察される。
金属化合物粒子表面へのポリマーのグラフト化の方法は、特に限定されないがシロキサン化合物の縮重合によって、粒子表面をグラフト化することが望ましい。特に、金属化合物粒子の存在下で、アルコキシシラン化合物を溶媒中で酸触媒により加水分解した後、該加水分解物を縮合反応させることによって行われていることが好ましい。
(グラフト化に用いるポリシロキサン)
ポリシロキサンは、アルコキシシラン化合物を溶媒中、酸触媒により加水分解することによって、シラノール化合物を形成した後、該シラノール化合物を縮合反応させることによって得ることができる。アルコキシシラン化合物としては、下記一般式(1)〜(3)で表されるアルコキシシラン化合物から選ばれた1種以上のアルコキシシラン化合物が好ましい。
Si(OR (1)
は水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはそれらの置換体を表す。耐クラック性の点から、Rとしてメチル基またはフェニル基を有するアルコキシシラン化合物を用いることが好ましい。Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。Rはメチル基またはエチル基がより好ましい。
Si(OR (2)
およびRは、それぞれ水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはそれらの置換体を表す。Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。R5はメチル基またはエチル基がより好ましい。
Si(OR (3)
はメチル基またはエチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。
一般式(1)〜(3)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例を、以下に示す。
一般式(1)で表される3官能性アルコキシシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロプロピルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロプロピルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロペンチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロペンチルエチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのうち、得られた塗膜の耐クラック性の観点から、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、およびフェニルトリエトキシシランが好ましい。
一般式(2)で表される2官能性アルコキシシラン化合物としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルビニルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルビニルジエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。これらのうち、得られる塗膜に可とう性を付与させる目的には、ジメチルジアルコキシシランが好ましく用いられる。
一般式(3)で表される4官能性アルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。
これら一般式(1)〜(3)で表されるアルコキシシラン化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
加水分解反応は、前記金属化合物粒子の存在下、溶媒中、上記したアルコキシシラン化合物に酸触媒および水を1〜180分かけて添加した後、室温〜110℃で1〜180分反応させることが好ましい。このような条件で加水分解反応を行うことにより、急激な反応を抑制することができる。反応温度は、より好ましくは40〜105℃である。
また、加水分解反応によりシラノール化合物を得た後、そのまま、反応液を、50℃以上、溶媒の沸点以下で1〜100時間加熱し、縮合反応を行うことが好ましい。また、ポリシロキサンの重合度を上げるために、再加熱もしくは塩基触媒の添加を行うことも可能である。
加水分解における各種条件は、反応スケール、反応容器の大きさ、形状などを考慮して、たとえば酸濃度、反応温度、反応時間などを設定することによって、目的とする用途に適した物性を得ることができる。
加水分解反応に用いる酸触媒としては、塩酸、酢酸、蟻酸、硝酸、蓚酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂などの酸触媒が挙げられる。特に蟻酸、酢酸またはリン酸を用いた酸性水溶液が好ましい。
これら酸触媒の好ましい含有量としては、加水分解反応時に使用される全アルコキシシラン化合物100重量部に対して、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。ここで、全アルコキシシラン化合物量とは、アルコキシシラン化合物、その加水分解物およびその縮合物の全てを含んだ量のことを言い、以下同じとする。酸触媒の量を0.05重量部以上とすることでスムーズに加水分解が進行し、また10重量部以下とすることで加水分解反応の制御が容易となる。
溶媒は、金属粒子化合物の分散安定性などを考慮して適宜選択する。溶媒は1種類のみならず2種類以上の混合物として用いることも可能である。溶媒はジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンを挙げることができる。透過率と加水分解、縮合反応制御のしやすさの観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、ジアセトンアルコールが特に好ましく用いられる。また、加水分解反応終了後に、さらに溶媒を添加することにより、樹脂組成物として適切な濃度に調整することも好ましい。また、目的に応じて加水分解後に、生成アルコール等を加熱および/または減圧下にて適量を留出、除去し、その後好適な溶媒を添加することも可能である。
加水分解反応時に使用される溶媒の量は、全アルコキシシラン化合物100重量部に対して、50重量部以上が好ましく、80重量部以上がより好ましい。また、500重量部以下が好ましく、200重量部以下がより好ましい。溶媒の量を50重量部以上とすることでゲルの生成を抑制できる。また500重量部以下とすることで加水分解反応が速やかに進行する。
また、加水分解反応に用いる水としては、イオン交換水が好ましい。水の量は任意に選択可能であるが、アルコキシシラン化合物1モルに対して、1.0〜4.0モルの範囲で用いるのが好ましい。
<その他の成分>
本発明の複合シートの蛍光体層および接着層には、蛍光体の分散性向上のためのシリコーン微粒子や、塗布膜安定化のための分散剤やレベリング剤、シート表面の改質剤としてシランカップリング剤等の接着補助剤等を含有していてもよい。
<基材>
本発明の複合シートは基材上に形成して用いられることが好ましい。基材としては、特に制限無く公知の金属、フィルム、ガラス、セラミック、紙等を使用することができる。具体的には、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅、鉄などの金属板や箔、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、アラミド、シリコーン、ポリオレフィンなどのプラスチックのフィルム、前記プラスチックがラミネートされた紙、または前記プラスチックによりコーティングされた紙、前記金属がラミネートまたは蒸着された紙、前記金属がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルムなどが挙げられる。また、基材が金属板の場合、表面にクロム系やニッケル系などのメッキ処理やセラミック処理されていてもよい。
これらの中でも、複合シートを光半導体素子に貼りつける際の密着性から、基材は柔軟なフィルム状であることが好ましい。また、フィルム状の基材を取り扱う際に破断などの恐れがないように強度が高いフィルムが好ましい。それらの要求特性や経済性の面で樹脂フィルムが好ましく、これらの中でも、経済性、取り扱い性の面でPET、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレンからなる群より選ばれるプラスチックフィルムが好ましい。また、樹脂の硬化や複合シートをLEDに貼り付ける際に200℃以上の高温を必要とする場合は、耐熱性の面でポリイミドフィルムが好ましい。シートの剥離のし易さから、基材は、あらかじめ表面が離型処理されていてもよい。
基材の厚さは特に制限はないが、下限としては25μm以上が好ましく、38μm以上がより好ましい。また、上限としては5000μm以下が好ましく、3000μm以下がより好ましい。
<複合シートの製造方法>
以下に、本発明の複合シートの製造方法の一例を説明する。はじめに、蛍光体層を形成するための、蛍光体組成物を作製する。蛍光体組成物は蛍光体とマトリックス樹脂と、金属化合物粒子等の必要な添加成分を適当な溶媒中で混合することによって得られる。
流動性を適切にするために加える溶媒は流動状態の樹脂の粘度を調整できるものであれば、特に限定されない。例えば、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、アセトン、テルピネオール等が挙げられる。
これらの成分を所定の組成になるよう調合した後、ホモジナイザー、自公転型攪拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等の撹拌・混練機で均質に混合分散することで、蛍光体組成物が得られる。混合分散後、もしくは混合分散の過程で、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。
次に、蛍光体組成物を基材上に塗布し、乾燥させ、蛍光体層を形成する。塗布は、リバースロールコーター、ブレードコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、バリバーロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーター等により行うことができる。蛍光体層の膜厚均一性を得るためにはスリットダイコーターで塗布することが好ましい。
蛍光体層の乾燥は熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置を用いて行うことができる。蛍光体層の加熱には、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置が用いられる。この場合、加熱条件は、通常、40〜250℃で1分〜5時間、好ましくは100℃〜200℃で2分〜3時間である。
次に、接着層を形成するための樹脂組成物を作製する。マトリックス樹脂と金属化合物粒子等の必要な添加成分を適当な溶媒中で混合することによって得られる。溶媒の種類については前述のとおりである。
これらの成分を所定の組成になるよう調合した後、ホモジナイザー、自公転型攪拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等の撹拌・混練機で均質に混合分散することで、樹脂組成物が得られる。混合分散後、もしくは混合分散の過程で、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。
次に、樹脂組成物を蛍光体層が形成された基材上に塗布し、乾燥させ、接着層を形成する。塗布は、リバースロールコーター、ブレードコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、バリバーロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーター、スクリーン印刷機等により行うことができる。接着層の膜厚均一性を得るためにはスリットダイコーターで塗布することが好ましい。
接着層の乾燥は熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置を用いて行うことができる。接着層の加熱には、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置が用いられる。この場合、加熱条件は、通常、40〜150℃で1分〜2時間、好ましくは60℃〜120℃で2分〜2時間である。
<複合シートの適用例>
本発明の複合シートを切断加工して、光半導体素子へ貼り付ける方法およびそれを用いたLEDパッケージの作製方法について説明する。
本発明の複合シートは、その接着層が光半導体素子の発光面に接着される。光半導体素子への貼り付け前に予め複合シートを個片に切断し、個別の光半導体素子に貼り付ける方法と、複数の光半導体素子に複合シートを一括して貼り付けてから複合シートと光半導体素子を一括して切断する方法がある。
光半導体素子への貼り付け前に予め個片に切断し、個別の光半導体素子に貼り付ける方法の場合、レーザーによる加工、あるいは刃物による切削によって所定の形状に加工し、分割しておいても良い。レーザーによる加工は樹脂の焼け焦げや蛍光体の劣化を回避することが非常に難しく、刃物による切削が望ましい。刃物での切削方法としては、単純な刃物を押し込んで切る方法と、回転刃によって切る方法があり、いずれも好適に使用できる。回転刃によって切断する装置としては、ダイサーと呼ばれる半導体基板を個別のチップに切断(ダイシング)するのに用いる装置が好適に利用できる。ダイサーを用いれば、回転刃の厚みや条件設定により、分割ラインの幅を精密に制御できるため、単純な刃物の押し込みにより切断するよりも高い加工精度が得られる。
本発明の複合シートを切断する場合には、複合シートを基材ごと個片化しても良いし、複合シートは個片化して基材は切断しないことや、複合シートは個片化して基材はハーフカットしても良い。このようにして複数の区画に分割された個片化複合シートを、次々と基材の上から剥離して個別の光半導体素子上に貼り付けていくため、複数に個片化された複合シートは1枚の基材上に固定化されていることが好ましく、複合シートは個片化して基材は切断していないもの、あるいは複合シートは個片化して基材がハーフカット状態のものであると位置精度やハンドリング性に優れるため好ましい。前記複合シートの形状は、円形、正方形、長方形、三角形など任意の形状を取ることができる。また、前記複合シートのサイズは、円形であれば直径、多角形であれば一辺の長さが5〜20cmであると良好なハンドリング性が得られるため好ましい。また、前記サイズの蛍光体複合シートに分割された蛍光体層の区画サイズは、光半導体素子と同等のサイズとなる0.1〜10mm角であることが好ましい。
ダイシング前のウェハレベルの光半導体素子に一括して複合シートを貼り合わせ後に光半導体素子ウェハのダイシングと共に、複合シートを切断することもできる。ウェハのダイシングは上述のダイサーで行われ、切断するときの回転数や切断速度などの条件設定は半導体ウェハを切断する条件に最適化されるため、複合シートを切断するために最適な条件にすることは難しいが、高い弾性率を持つ複合シートを用いることによって好適に切断することができる。
本発明の複合シートを上面に電極がある光半導体素子に貼り付ける場合には、電極部分の複合シートを除去するために複合シートの貼り合わせ前に予めその部分に孔開け加工をしておくことが望ましい。孔開け加工はレーザー加工、金型パンチングなどの公知の方法が好適に使用できるが、レーザー加工は樹脂の焼け焦げや蛍光体の劣化を引き起こすので、金型によるパンチング加工がより望ましい。パンチング加工を実施する場合、蛍光体複合シートをLED素子に貼り付けた後ではパンチング加工は不可能であるので、蛍光体複合シートを光半導体素子に貼り付け前に、複合シートにパンチング加工を施すことが必須となる。金型によるパンチング加工は、貼り合わせる光半導体素子の電極形状などにより任意の形状や大きさの孔を開けることができる。孔の大きさや形状は金型を設計すれば任意のものが形成できるが、1mm角内外のLED素子上の電極接合部分は、発光面の面積を小さくしないためには500μm以下であることが望ましく、孔はその大きさに合わせて500μm以下で形成される。また、ワイヤーボンディングなどを行う電極はある程度の大きさが必要であり、少なくとも50μm程度の大きさとなるので、孔はその大きさに合わせて50μm程度である。孔の大きさは電極より大きすぎると、発光面が露出して光漏れが発生し、LED発光装置の色特性が低下する。また、電極より小さすぎると、ワイヤーボンディング時にワイヤが触れて接合不良を起こす。従って、孔開け加工は50μm以上500μm以下という小さい孔を±10%以内の高精度で加工する必要がある。
本発明の複合シートは、ラテラル、バーティカル、フリップチップなどの一般的な構造の光半導体素子に貼り付けることで、光半導体素子の表面に蛍光体層が積層された積層体を形成できる。本発明の複合シートは、特に発光面積が大きいバーティカル、フリップチップタイプの光半導体素子に好適に用いることができる。前記の方法で得られた積層体は、金属配線や封止を行ってパッケージ化した後、モジュールに組み込むことで各種照明や液晶バックライト、ヘッドランプをはじめとする様々なLED発光装置に好適に使用することができる。
図1にLEDパッケージの好適な例を説明する。図1(a)はリフレクタ4に設置された光半導体素子1上に接着層2を介して蛍光体層3を形成したものである。図1(b)は図1(a)のリフレクタ4の替わりに透明封止樹脂5によるレンズ成型により封止されていること以外は図1(a)と同様である。
複合シートを貼り付ける方法としては、所望の温度で加熱加圧できる装置であれば既存の任意の装置が利用できる。複合シートを個片に分割してから貼り付ける方法の場合は、フリップチップボンダーが利用できる。ウェハレベルの光半導体素子に一括して貼り付ける際には、100mm角程度の加熱部分を有する加熱圧着ツールなどで貼り付ける。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<金属化合物粒子>
金属化合物粒子1:酸化ジルコニウム粒子“ZS1”(平均粒子径15nm、屈折率2.40、酸化ジルコニウム粒子20重量%)
金属化合物粒子2:酸化セリウム粒子“CS1”(平均粒子径34nm、屈折率2.20、酸化セリウム粒子20重量%)
金属化合物粒子3:酸化チタン“オプトレイクTR−527”(触媒化成工業(株)製 組成:平均粒子径15nm、屈折率2.50、酸化チタン粒子20重量%)。
(金属化合物粒子のグラフト化)
<グラフト化例>
メチルトリメトキシシラン20重量部、フェニルトリメトキシシラン60重量部、金属化合物粒子200重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート130重量部を反応容器に入れ、この溶液に、水22重量部およびリン酸0.4重量部を、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温115℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリシロキサンでグラフト化された金属化合物粒子を得た。
<蛍光体>
蛍光体:(株)ネモト・ルミマテリアル社製“YAG81003”(YAG系蛍光体、メジアン径(D50):8.6μm、屈折率:1.82)
<樹脂>
・シリコーン樹脂1:“TX2496−4(A液、B液)”(東レ・ダウコーニング社製)
屈折率:1.52
・シリコーン樹脂2:“OE6636(A液、B液)”(東レ・ダウコーニング社製)
屈折率:1.53
・シリコーン樹脂3:“OE6336(A液、B液)”(東レ・ダウコーニング社製)
屈折率:1.41
・シリコーン樹脂4:“KER6150(A液、B液)”(信越化学工業製)
屈折率:1.44。
<屈折率測定>
(接着層)
接着層を構成する樹脂組成物を作製し、フィルム基板に5cc滴下した後、オーブンにて150℃で1時間加熱し、平均屈折率測定サンプルを作製した。屈折率・膜厚測定装置“プリズムカプラMODEL2010/M”(メトリコン社製)を使用して、接着層の平均屈折率Naを測定した。
(蛍光体層)
蛍光体層を構成する蛍光体組成物のうち、蛍光体を除いた混合物を作製し、フィルム基板に5cc滴下した後、オーブンにて150℃で1時間加熱し、平均屈折率測定サンプルを作製した。屈折率・膜厚測定装置“プリズムカプラMODEL2010/M”(メトリコン社製)を使用して、蛍光体を除いた混合物の平均屈折率を測定した。前記結果から、蛍光体と、それ以外の混合物の屈折率と体積分率の積の和を求めることにより、蛍光体層の平均屈折率Npを算出した。
<照度測定>
図2に示すようにLED光源12(Prizmatix社製“MS−LED−460”、波長:460nm、出力:>50mW)の上に、LED光源12が覆われるようにカットした拡散シート6((株)オプティカルソリューションズ社製“LSD−60x1PC10−F12”)、直径1mm径の孔があいた黒色金属製の遮光板7、蛍光体シートの基材側(屈折率が高い面)をGaNウェハに気泡が入らないように貼り付けたシート状サンプル8、黒色金属製の遮光円筒9、照度計10(コニカミノルタ社製色彩照度計“CL−200A”)の受光部を順におき、シート状サンプル8の照度(lx)を測定した。常に一定距離、一定角度で測定すれば、照度は輝度に比例する。比較例1の照度を100とし、これに対する照度の相対値を示した。
(少数第1位を四捨五入)
A:相対値の値が141以上 輝度向上効果が非常に大きい
B:相対値の値が121以上140以下 輝度向上効果が大きい
C:相対値の値が105以上120以下 輝度向上効果がある
D:相対値の値が104以下 輝度向上効果がない。
<動的弾性率測定>
測定装置 :粘弾性測定装置ARES−G2(TAインスツルメンツ製)
ジオメトリー:平行円板型(15mm)
ひずみ :1%
角周波数 :1Hz
温度範囲 :25℃〜140℃
昇温速度 :5℃/分
測定雰囲気 :大気中。
<動的粘弾性測定の測定サンプル調整>
接着層を構成する樹脂組成物を作製し、“セラピール”BLK(東レフィルム加工株式会社製)を基材として、スリットダイコーターで塗布して、120℃で1時間加熱し厚さ100μmのシートを得た。
得られた厚さ100μmの膜を8枚積層し、100℃のホットプレート上で加熱圧着して800μmの一体化した膜(シート)を作製し、直径15mmに切り抜いて測定サンプルとした。
(実施例1)
<蛍光体層の作製>
グラフト化した金属化合物粒子1を125重量部とシリコーン樹脂1を100重量部混合したサンプルを作製し、屈折率測定用サンプルを作製した。屈折率評価を行った結果、平均屈折率Npは1.70であった。
次に、グラフト化した金属化合物粒子1を125重量部とシリコーン樹脂1を100重量部、蛍光体を125重量部添加して混合した。その後、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK−400”(クラボウ製)を用い、1000rpmで20分間撹拌・脱泡して蛍光体組成物を作製した。
蛍光体組成物を、“セラピール”BLKを基材として、スリットダイコーターで塗布して、120℃で1時間加熱、乾燥し、膜厚100μmの蛍光体層を得た。
<接着層の作製>
金属化合物粒子1を125重量部とシリコーン樹脂1を100重量部混合したサンプルを作製し、屈折率測定用サンプルと貯蔵弾性率測定用サンプルを作製した。屈折率評価を行った結果、平均屈折率Naは1.70であった。したがって、|Np−Na|は0であった。また、貯蔵弾性率の評価をした結果、25℃で6MPa、100℃で0.01MPaであった。
次に、金属化合物粒子1を125重量部とシリコーン樹脂1を100重量部混合し、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK−400”を用い、1000rpmで20分間撹拌・脱泡して樹脂組成物を作製した。
前項で作製した蛍光体層上に、樹脂組成物をスリットダイコーターで塗布して、120℃で1時間加熱、乾燥し、膜厚10μmの接着層を作製し、複合シートを作製した。
照度測定を行った結果、比較例1に対して、相対照度が128となり、輝度向上効果が得られた。
(実施例2,3) −金属化合物粒子の違いによる影響−
金属化合物粒子の種類を表1に記載の通りにする以外は、実施例1と同様の操作で蛍光体層・接着層の屈折率測定用サンプルと、接着層の貯蔵弾性率測定用サンプルを作製した。その後、実施例1と同様の操作で複合シートを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。これらの実施例から、本発明の範囲であれば輝度向上効果が得られることがわかった。
(実施例4〜6) −シリコーン樹脂の違いによる影響−
シリコーン樹脂の種類を表1に記載のとおりにする以外は、実施例1と同様の操作で蛍光体層・接着層の屈折率測定用サンプルと、接着層の貯蔵弾性率測定用サンプルを作製した。その後、実施例1と同様の操作で複合シートを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。実施例4〜6は、いずれも25℃での貯蔵弾性率が低く扱いづらかった。また、|Np−Na|が0.09及び0.07である実施例5、6は、輝度向上効果は認められるものの実施例4と比較してややその効果が小さいことがわかった。
(実施例7〜9) −金属化合物粒子の添加量による影響−
金属化合物粒子の添加量を表2に記載のとおりにする以外は、実施例1と同様の操作で蛍光体層・接着層の屈折率測定用サンプルと、接着層の貯蔵弾性率測定用サンプルを作製した。その後、実施例1と同様の操作で複合シートを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。|Np−Na|が0.10及び0.09である実施例7,9は、輝度向上効果は認められるものの他の実施例と比較してややその効果が小さいことがわかった。また、Np,Naが共に1.60である実施例8も、輝度向上効果は認められるものの実施例1と比較すると比較的効果は小さかった。
(実施例10,11) −接着層の膜厚による影響−
接着層の膜厚を表2に記載のとおりにする以外は、実施例1と同様の操作で蛍光体層・接着層の屈折率測定用サンプルと、接着層の貯蔵弾性率測定用サンプルを作製した。その後、実施例1と同様の操作で蛍光体複合シート積層体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。膜厚が50μmである実施例11は、輝度向上効果は認められるものの他の実施例と比較してややその効果が小さいことがわかった。
(実施例12〜16) −蛍光体層の、樹脂・金属化合物粒子の違いによる影響−
シリコーン樹脂または金属化合物粒子の種類を表3に記載のとおりにする以外は、実施例1と同様の操作で蛍光体層・接着層の屈折率測定用サンプルと、接着層の貯蔵弾性率測定用サンプルを作製した。その後、実施例1と同様の操作で蛍光体複合シート積層体を作製し、評価を行った。結果を表3に示す。|Np−Na|が0.09及び0.07である実施例13、14は、輝度向上効果は認められるものの実施例12と比較してややその効果が小さいことがわかった。
(実施例17〜22) −接着層の金属化合物粒子のグラフト化による影響1−
接着層にグラフト化した金属化合物粒子を用いて、シリコーン樹脂または金属化合物粒子の種類を表4に記載の通りにする以外は、実施例1と同様の操作で蛍光体層・接着層の屈折率測定用サンプルと、接着層の貯蔵弾性率測定用サンプルを作製した。その後、実施例1と同様の操作で複合シートを作製し、評価を行った。結果を表4に示す。これらの実施例から、本発明の範囲であれば輝度向上効果が得られることがわかった。接着層にグラフト化した金属化合物粒子を用いたものは、総じて輝度向上効果が大きかったが、特に|Np−Na|が0.05未満である実施例17〜20については、輝度向上効果が大きかった。
(実施例23〜27) −接着層の金属化合物粒子のグラフト化による影響2−
接着層にグラフト化した金属化合物粒子を用いて、金属化合物粒子の添加量もしくは接着層の膜厚を表5に記載の通りにする以外は、実施例1と同様の操作で蛍光体層・接着層の屈折率測定用サンプルと、接着層の貯蔵弾性率測定用サンプルを作製した。その後、実施例1と同様の操作で複合シートを作製し、評価を行った。結果を表5に示す。これらの実施例から、本発明の範囲であれば輝度向上効果が得られることがわかった。接着層にグラフト化した金属化合物粒子を用いたものは、総じて輝度向上効果が大きかったが、特にNp,Naが1.70以上で、さらに|Np−Na|が0.05未満、かつ接着層の膜厚が20μm以内である実施例26については、輝度向上効果が大きかった。
(比較例1)
接着層に金属化合物粒子を用いない以外、実施例1と同様の操作で蛍光体層・接着層の屈折率測定用サンプルと、接着層の貯蔵弾性率測定用サンプルを作製した。その後、実施例1と同様の操作で複合シートを作製し、評価を行った。結果を表6に示す。貯蔵弾性率の評価をした結果、25℃で6.5MPa、100℃で0.01MPaであった。
(比較例2)
金属化合物粒子の添加量を表6に記載のとおりにする以外は、実施例1と同様の操作で蛍光体層・接着層の屈折率測定用サンプルと、接着層の貯蔵弾性率測定用サンプルを作製した。その後、実施例1と同様の操作で複合シートを作製し、評価を行った。結果を表6に示す。貯蔵弾性率の評価をした結果、25℃で5.8MPa、100℃で0.005MPaであった。一方、比較例2の|Np−Na|は0.13と大変大きくなった結果、相対照度が105であり、輝度向上効果がほとんどなかった。
(比較例3)
蛍光体層・接着層に金属化合物粒子を用いない以外、実施例1と同様の操作で蛍光体層・接着層の屈折率測定用サンプルと、接着層の貯蔵弾性率測定用サンプルを作製した。その後、実施例1と同様の操作で複合シートを作製し、評価を行った。結果を表6に示す。貯蔵弾性率の評価をした結果、25℃で6.5MPa、100℃で0.01MPaであった。一方、比較例3のNp及びNaの値が1.52と低くなってしまった結果、相対照度が98であり、輝度向上効果が全くなかった。
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1 光半導体素子(ワイヤは省略)
2 接着層
3 蛍光体層
4 リフレクタ
5 透明封止樹脂
6 拡散シート
7 遮光板
8 シート状サンプル
9 遮光円筒
10 照度計
11 スタンド
12 LED光源

Claims (13)

  1. 蛍光体層と、前記蛍光体層上の接着層とを有する複合シートであって、前記蛍光体層の屈折率をNp、前記接着層の屈折率をNaとした時に下記条件(1)および(2)を満たすことを特徴とする複合シート。
    (1)|Np−Na|≦0.10
    (2)Np≧1.60 かつ Na≧1.60
  2. 前記蛍光体層と前記接着層は、それぞれ少なくともシリコーン樹脂と金属化合物粒子を含む請求項1記載の複合シート。
  3. 前記接着層は、25℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以上であり、100℃での貯蔵弾性率が0.1MPa未満である請求項1または2に記載の複合シート。
  4. 前記蛍光体層と前記接着層は、屈折率が1.70以上の金属化合物粒子を含む請求項1〜3のいずれかに記載の複合シート。
  5. 前記条件(1)が、|Np−Na|≦0.05である請求項1〜4のいずれかに記載の複合シート。
  6. 前記金属化合物粒子が、金属化合物粒子の存在下で、アルコキシシラン化合物を溶媒中で酸触媒により加水分解した後、該加水分解物を縮合反応させることによってグラフト化されている請求項1〜5のいずれかに記載の複合シート。
  7. 前記接着層の膜厚が1〜20μmである請求項1〜6のいずれかに記載の蛍光体複合シート。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の複合シートの接着層と、光半導体素子の発光面とが接着されてなるLEDパッケージ。
  9. 少なくとも、光半導体素子の発光面に請求項1〜7のいずれかに記載の複合シートを貼り付ける工程を含むLEDパッケージの製造方法。
  10. 貼り付ける温度が60℃以上250℃以下である請求項9に記載のLEDパッケージの製造方法。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の複合シートを個片に切断する工程、および該個片に切断された蛍光体複合シートを加熱して光半導体素子に貼り付ける工程を含む請求項9または10に記載のLEDパッケージの製造方法。
  12. 複数の光半導体素子に請求項1〜7のいずれかに記載の複合シートを一括して貼り付ける工程、および蛍光体複合シートと光半導体素子を一括して切断する工程を含む請求項9または10に記載のLEDパッケージの製造方法。
  13. 請求項1〜7のいずれかに記載の複合シートを光半導体素子に貼り付ける前に、前記複合シートに孔開け加工を施す請求項9〜12のいずれかに記載のLEDパッケージの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018074170A1 (ja) * 2016-10-19 2018-04-26 日本電気硝子株式会社 発光デバイス
JP2018534780A (ja) * 2015-11-06 2018-11-22 エルジー イノテック カンパニー リミテッド 発光パッケージおよびこれを含む車両用照明装置

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