JP2015149157A - 車両用灯具 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄光膜を利用した灯具の疑似点灯時に灯具の配光特性を低下することがなく外観上の意匠性を高めた車両用灯具を提供する。
【解決手段】光源(LED)26とリフレクタ22を有するランプユニット2に、光を蓄光しかつ発光する蓄光膜27が配設される。ランプユニット2の消灯時に蓄光膜27で発光した光をリフレクタ部23の反射面25で反射させることによりランプユニット2の疑似点灯を行う。蓄光膜27は、複数の異なる発光色の蓄光膜、発光輝度分布が不均一な蓄光膜、発光面が平滑でない蓄光膜、発光面が所要の模様をした蓄光膜の少なくとも1つの蓄光膜で構成される。
【選択図】 図3

Description

本発明は自動車等の車両両灯具に関し、特に蓄光を利用して灯具の疑似点灯を行う車両用灯具に関するものである。
自動車の前照灯や標識灯の一部に蓄光材を塗布し、この蓄光材に蓄光した光を利用して疑似点灯(ここでは当該灯具があたかも点灯しているような外観を呈する状態を言う)を行うようにした技術が提案されている。特許文献1はLED(発光ダイオード)を光源とするランプのリフレクタを透明部材で形成し、この透明部材に蓄光材を含有させており、LEDの発光時に蓄光材に蓄光を行い、LEDの非発光時に蓄光材で発光した光で疑似点灯を行っている。また、特許文献2では、光源、レンズ、反射鏡、エクステンション等の灯具構成部材で配光を阻害しない部位に蓄光材を塗布したランプが提案されており、点灯時に光源から出射する光や外部からの太陽光等を蓄光材において蓄光し、非点灯時に蓄光材で発光した光を利用してランプの疑似点灯を行っている。
特開2010−225397号公報 特開2007−149435号公報
特許文献1の技術は、透明なリフレクタに蓄光材を含有させているため、リフレクタでの反射効率が低下して照明効果が低下することは否定できない。一方、特許文献2の技術は、蓄光材は灯具が点灯したときの配光を阻害することがない部位に形成されているので、配光特性が低下することは防止できるが、それだけ蓄光材を塗布する領域が限定されて蓄光材の発光面が小さくなり、蓄光材による疑似点灯の効果が低下される。また、特許文献1,2はいずれも単一色で発光する蓄光材を単純に塗布した構成であるので、発光したときには均一な単純色の発光面としての外観を呈するのみであり、意匠性に乏しいという問題もある。
リフレクタ
本発明の目的は、疑似点灯時における外観上の意匠性を高めた車両用灯具を提供するものである。また、本発明の他の目的は、灯具の配光特性を低下することなく意匠性を高め、さらには外観上の発光面積を大きくして疑似点灯の視認性を高めた車両用灯具を提供するものである。
本発明は、車両用灯具を構成するランプユニットに、光を蓄光しかつ発光する蓄光膜が配設されており、当該蓄光膜は、複数の異なる発光色の蓄光膜、発光輝度分布が不均一な蓄光膜、発光面が平滑でない蓄光膜、発光面が所要の模様をした蓄光膜の少なくとも1つの蓄光膜で構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、ランプハウジング内にランプユニットを内装した車両用灯具であって、ランプハウジングとランプユニットの少なくとも一部に光を蓄光しかつ発光する蓄光膜が配設されており、当該蓄光膜は、複数の異なる発光色の蓄光膜、発光輝度分布が不均一な蓄光膜、発光面が平滑でない蓄光膜、発光面が所要の模様をした蓄光膜の少なくとも1つの蓄光膜で構成されていることを特徴とする。
本発明において、ランプユニットに配設される蓄光膜は、当該ランプユニットにより形成される配光を阻害しない位置に配設される。さらに、蓄光膜は当該ランプユニットの光源位置または光源と等価な位置、あるいはこれらの位置の近傍に配設されることが好ましい。例えば、ランプユニットがリフレクタ型のランプユニットの場合には、蓄光膜は当該ランプユニットの光源近傍位置に配設され、ランプユニットがプロジェクタ型のランプユニットの場合には、蓄光膜は当該ランプユニットに設けられているシェードの前面に配設される。
本発明によれば、ランプユニットに配設された蓄光膜は、複数の異なる発光色の蓄光膜、発光輝度分布が不均一な蓄光膜、発光面が平滑でない蓄光膜、発光面が所要の模様をした蓄光膜の少なくとも1つの蓄光膜で構成されているので、ランプユニットが疑似点灯とされた状態のときには、蓄光膜の発光面は、異なる色光で発光した状態、不均一な発光輝度で発光した状態、発光面の面積が相違しているように観察される状態、発光面が所要の模様で発光した状態のいずれか、またはこれらの組み合わせとなる。これにより、同一色でかつ均等な発光輝度ないし発光模様が存在しない蓄光膜を備えるランプに比較して疑似点灯の意匠的な効果を高めることが可能になる。蓄光膜がランプハウジングの一部に配設された場合でも同じである。
また、本発明においては、蓄光膜はランプユニットによる配光を阻害しない位置に配設されるので、灯具の配光特性が低下されることはない。さらに、蓄光膜はランプユニットの光源位置または光源と等価な位置、あるいはこれらの位置の近傍に配設されるので、光源から出射された光が照射される領域とほぼ同等な領域に向けて蓄光膜から発光された光が出射されることになり、外観上での蓄光材の発光面積を大きくして疑似点灯時における視認性を高めることができる。
実施形態1にかかるランプの一部を破断した正面図。 図1のII−II線に沿った縦断面図。 ランプユニットの分解斜視図。 図2に示したランプユニットの拡大断面図。 実施形態2のランプユニットの縦断面図。 蓄光膜の各異なる例の断面図とその発光面の観察状態を示す図。 蓄光膜の各異なる模様の例を示す正面図。 蓄光膜の各異なる模様の例を示す断面図。
(実施形態1)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態1の灯具の概略構成の一部を破断した正面図、図2は図1のII−II線縦断面図である。この灯具は自動車のヘッドランプHLとして構成されており、図には示されない自動車の車体前部の左右に配設される。左右のヘッドランプは、左右対称に形成されているが断面構造はほぼ同じである。図1および図2は左ヘッドランプの例であり、ランプボディ11の前面開口に透明カバー12が取着された構成のランプハウジング1内にリフレクタ型のランプユニット2が内装されており、このランプユニット2が点灯されることによりヘッドランプHLが点灯状態となる。また、ランプハウジング1内にはランプユニット2の周囲領域を覆い隠すためのエクステンション13が内装されている。
前記ランプユニット2は、図3に概略の分解斜視図を示すように、ほぼ水平方向に延在されるベース板21と、このベース板21の下面に一体的に取着されたリフレクタ22を備えている。前記リフレクタ22は複数のリフレクタ部23、ここでは5個のリフレクタ部23a〜23eが左右方向に並んで配列された構成である。前記リフレクタ部23は前記ベース板21の下面に取着される矩形枠板からなる取着部24(24a〜24e)と、この取着部24からランプ前方かつランプ下方に向けて傾斜状態に延長された放物面形状の反射面25(25a〜25e)を有している。
図4は図2に示した前記ランプユニット2の拡大縦断面図である。前記ベース板21の下面には、前記複数のリフレクタ部23(図3の23a〜23e)に対応した光源としてLED26(図3の26a〜26e)が搭載されている。各LED26は発光面が下方に向けられており、前記リフレクタ22がベース板21に取着されたときに前記取着部24の枠内に配置される。各LED26は給電されて発光されたときに前記ベース板21の下方に向けて、すなわち前記反射面25に向けて光を出射する。また、前記ベース板21の下面には、前記複数のLED26にそれぞれ近接して5個の蓄光膜27(27a〜27e)が配設されている。これらの蓄光膜27は円環状に形成した板材の表面に蓄光材を塗布した蓄光板として構成されており、その中心穴内にLED26が内装されるように位置決めした上で前記取着部24の下面に接着剤等によって貼付されている。この蓄光膜の詳細については後述する。
前記複数のリフレクタ部23の各反射面25は対応するLED26を焦点とする放物面に形成されており、後述するようにLED26から出射された光をランプ前方に向けて反射する。各リフレクタ部23の反射面25は、基本的にはほぼ同じ形状に設計されるが、ランプユニット2に要求される所要の配光を形成するために個々の反射面25のサイズや形状は一部相違されている。そして、図示は省略するが、各リフレクタ部23の反射面25においてランプ前方に向けて反射されたLED26の光は、ランプの前方領域において互いに重畳され、自動車の前方の所要領域を照明する配光が得られるようになっている。
前記蓄光膜27は、前記したように中心穴を有する概ね円環状をした板材の表面に所定の色光を蓄光ないし発光する蓄光材が塗布された蓄光板として形成されており、この蓄光板27の裏面が前記取着部24の下面に接着されることで蓄光面、すなわち発光面は下方に向けられている。また、蓄光板27の中心穴内に前記LED26を配置するようにして接着されており、環状をした蓄光板27はLED26の周囲に延在されることになる。この蓄光板27に用いる蓄光材については既に種々のものが提案されているので、車両用灯具に用いたときの耐久性等を考慮して好適な蓄光材を選択することができる。その上で、各リフレクタ部23に設けられた複数の蓄光板27は発光色が異なる5種類の蓄光材が選定されている。ここでは前記5個の蓄光板27a〜27eは、この順序でイエローグリーン色、ブルー色、パープル色、レッド色、イエロー色の各蓄光材が設定されている。
この実施形態1のランプユニット2によれば、ヘッドランプHLの点灯時、すなわちランプユニット2の点灯時には、図4に実線で示すように、発光された各LED26から下方に向けて出射された光はそれぞれ対応するリフレクタ部23の反射面25において前方に向けて反射され、ランプハウジング1の透明カバー12を透過して自動車の前方領域に照射される。複数のリフレクタ部23で反射された光が重畳して所要の配光が得られることは前記した通りである。また、このとき当該配光のための光が蓄光板27によって遮光あるいは減光されることがないので配光特性が低下されることはない。このランプユニット2の点灯時には、図4に破線で示すように、LED26から出射された光の一部、あるいは反射面25で反射された光の一部は各蓄光板27に投射され、蓄光が行われる。
ランプユニット2が点灯状態から消灯されると、LED26から出射されていた光による照明は終了されるが、点灯時に蓄光されていた蓄光板27が発光され、その光は各リフレクタ部23の反射面25で反射されて前方に照射される。これにより、自動車の前方からヘッドランプHLを観察すると、図1に模式的に示すように、各リフレクタ部23(23a〜23e)の各反射面25が明るく照明された状態となり、ランプユニット2があたかも点灯しているような外観となり、ヘッドランプHLが疑似点灯の状態となる。この疑似点灯により、自車の直前領域を視認することができるとともに、他車や歩行者から自車の存在が認識されるようになり、交通安全の面からも好ましい。
この疑似点灯では、各リフレクス部23の各蓄光板27はそれぞれの発光色、すなわちイエローグリーン色、ブルー色、パープル色、レッド色、イエロー色の各色光で発光する。したがって、ランプユニット2ないしヘッドランプHLをランプ前方から見たときには、図1に示した各リフレクタ部23(23a〜23e)の各反射面25(25a〜25e)はイエローグリーン色、ブルー色、パープル色、レッド色、イエロー色に着色された状態で観察されることになり、ランプユニット2の全体が色彩の豊かな発光状態となり、疑似点灯時におけるランプの意匠性が向上される。
また、実施形態1では、蓄光板27はLED26に近接配置されているので、これら蓄光板27は各リフレクタ部23の反射面25の焦点位置ないしその近傍位置に配設されていることになる。そのため、蓄光板27で発光された光はLED26から出射された光と同様にリフレクタ部23の反射面25において前方に向けて反射される。これにより、蓄光板27からの光はランプユニット2の点灯時と同様な配光で自動車の前方の広い領域に向けて照射されることになり、自動車の前方の広い領域からヘッドランプHLの疑似点灯の視認性を高めることが可能になる。
さらに、実施形態1は蓄光板27がランプユニット2のベース板21の下面側の位置に配設されており、この位置はヘッドランプHLの前方に露呈されることがないので、ヘッドランプHLの非点灯時に透明カバー12を透して蓄光板27が露呈されることが原因となるヘッドランプHLの外観上の見栄えが低下されることもない。
この実施形態1においては、前記エクステンション13の表面に蓄光材を塗布する等して蓄光膜を形成してもよい。この場合においても、異なる発光色の蓄光材を適宜に区画して形成する。このようにすることで、ランプユニット2の点灯時に自動車の前方に向けて照射される光の一部は透明カバー12において反射されてエクステンション12の表面に投射されるので、当該表面に形成した塗布した蓄光膜において蓄光が行われる。したがって、ランプユニット2の消灯時には、エクステンション13の表面からそれぞれの蓄光膜で発光した光が透明カバー12を通して前方に照射されることになり、色彩の豊かな意匠性の高い疑似点灯が観察されることになる。
(実施形態2)
図5は本発明の実施形態2の車両用灯具の縦断面図である。実施形態1と同様に自動車のヘッドランプに適用しており、ここでは図示を省略したランプハウジング内に実施形態2のプロジェクタ型のランプユニット3が内装されている。このプロジェクタ型のランプユニット3は既に知られているので詳細な説明は省略するが、光源31、リフレクタ32、照射レンズ33、シェード34で構成されており、光源31から出射された光をリフレクタ32で反射して一旦集光し、シェード34によって一部の光を遮光した上で、遮光されない光を照射レンズ33を通して前方に所要の配光で照射するものである。
前記光源31はLEDで構成され、リフレクタ32はこのLED31を第1焦点F1とする回転楕円面反射鏡で構成されている。また、前記照射レンズ33の後側焦点は前記リフレクタの第2焦点F2にほぼ一致されており、この第2焦点F2、換言すれば前記後側焦点に近接して前記シェード34が配設されている。このシェード34は前記照射レンズ33を前記リフレクタ32に支持させるためのホルダ35と一体に形成されており、配光に寄与しない周辺光を遮光するとともに、前記後側焦点よりも下側領域を通過して対向車を幻惑する光を遮光するために設けられている。そのため、シェード34は前記リフレクタ32の円形開口のうち、前記後側焦点よりも下側領域に沿って立設された概ね半円形をしたシェード板として構成されている。
前記シェード板34の前面には蓄光材が塗布されており、この蓄光材によって蓄光膜36が形成されている。この実施形態2では、蓄光材は所定の発光色を有する1種類の蓄光材が用いられており、この蓄光材は前記シェード板34の前面に所要の形態で塗布されている。この塗布の形態として、ここでは複数の異なる形態のものが用意されており、これら複数の形態を任意に選択して適用することが可能とされている。ここでは一部の形態のみを説明するが、蓄光膜36の表面が曲面、凹凸面に形成された非平面タイプと、蓄光膜が所望の模様(パターン)に形成された模様タイプが含まれる。
非平面タイプとして、ここでは蓄光膜の表面が凸状、凹状、凹凸状に形成されたものを説明する。図6は非平面タイプの蓄光膜36の断面図であり、図5のシェード板34と蓄光膜36をVI−VI線に沿って切断したときの模式的な断面図である。図6(a1)はシェード板34の前面が凸状曲面に形成され、蓄光膜36も表面が凸状曲面に形成されている。図6(b1)はシェード板34の前面が凹状曲面に形成され、蓄光膜36も表面が凹状曲面に形成されている。図6(c1)はシェード板34の前面が例えば枡目状に区画された上で各区画が微細なテーパ状(三角状)の凹凸面に形成され、蓄光膜36も表面が微細テーパ状凹凸面に形成されている。図6(d1)はシェード板34の前面が不規則な微細凹凸を有する粗面に形成され、蓄光膜36も表面が微細凹凸面に形成されている。
また、模様タイプは、蓄光膜36が所要の模様(パターン)に形成されたものである。図7は前記シェード板34をランプ前方から見たときの蓄光膜36の模様を示す図である。シェード板34はランプ前方から見たときには概ね上弦の半円状をしており、図7(a)はこのシェード板34の前面に蓄光材が縦縞状に塗布されて蓄光膜36が形成されている。図7(b)は蓄光材が横縞状に塗布されて蓄光膜36が形成され、図7(c)は蓄光材が下方に凸の円弧縞状に塗布されて蓄光膜36が形成されている。
この実施形態2では、ランプユニット3の点灯時には、発光されたLED31から出射された光はリフレクタ32により反射されて第2焦点F2に集光され、ここでシェード板34により一部の光が遮光される。遮光されない光は拡散状態で照射レンズ33に入射され、ここで屈折されながら透過され、自動車の前方領域に所要の配光で照射される。蓄光膜36はシェード板34の前面に配設されているので、蓄光膜36が配光に影響を与えることはない。このとき、照射レンズ33に入射される光の一部は当該照射レンズ33で反射されてシェード板34の前面、すなわち当該前面に形成されている蓄光膜36に投射され、当該蓄光膜36において蓄光が行われる。
ランプユニット3が点灯状態から消灯されると、LED31から出射されていた光による照明は終了されるが、点灯時に蓄光されていた蓄光膜36が発光され、その光は照射レンズ33を透過されて前方に照射される。これにより、自動車の前方からこの照射光を観察することができ、ランプユニット3は疑似点灯の状態となる。このとき、蓄光膜36の発光面は照射レンズ33の前方から観察すると、上下が反転した発光面として観察される。
この疑似点灯時には、図6に示した非平面タイプの蓄光膜では、蓄光膜が平面に形成されている場合に比較すると、種々の形態での発光が行われることになる。図6(a1)の凸状曲面の蓄光膜では図6(a2)のように発光が拡散されて発光面が拡大される。図6(b1)の凹状曲面の蓄光膜では図6(b2)のように発光が集光されて狭い発光面であるが輝度の高い発光面とされる。図6(c1)のテーパ状の凹凸面を枡目状に形成した蓄光膜では図6(c2)のように枡目状に輝度の高低が配列された発光面とされる。図6(d1)の粗面の蓄光膜では図6(d2)のように輝度の高低がランダムに生じた発光面とされる。これにより、発光の輝度が均一な蓄光膜に比較して輝度分布が存在するアクセントのある発光面となり、疑似点灯時におけるランプユニット3の意匠的効果が高められる。
また、模様タイプの蓄光膜で発光した光は、図7の各図に示した模様を上下反転した発光面となる。図示は省略するが、図7(a)の縦縞状の蓄光膜では、当該縦縞に対応した縦縞模様で発光される。図7(b)の横縞状の蓄光膜では、当該横縞に対応した横縞模様で発光される。図7(c)の円弧縞状の蓄光膜では、当該円弧縞に対応した円弧縞模様で発光される。これにより、発光面の輝度が模様に従った輝度分布となり、アクセントのある発光面となり意匠的効果が高められる。
ここで、模様タイプの蓄光膜を形成する際には、単に蓄光材を模様状に塗布する構造に限られるものではなく、図8に断面を示すような構成を適用してもよい。図8は図6と同様箇所の断面図である。図8(a)はシェード板34の前面に所要の模様の凹溝を形成し、この凹溝内に蓄光材を塗布しあるいは充填して蓄光膜36を形成したものである。図8(b)はシェード板34の前面に均一に蓄光材を塗布して蓄光膜36を形成しているが、この蓄光膜36の表面に所要の模様の非透光材料のマスクを形成して模様を形成したものである。
また、発光面での発光輝度の分布が不均一とすることによって模様を形成することも可能である。すなわち、図8(c)のように、シェード板34の前面に塗布する蓄光材の膜厚を連続的に変化させて蓄光膜36を形成した構成である。あるいは、図8(d)のように、蓄光材の膜厚を段階的に変化させて蓄光膜36を形成した構成である。あるいは、図示は省略するが蓄光膜の膜厚を変化させる代わりに、蓄光特性(単位面積当たりの蓄光量や発光量)が異なる蓄光材を並べた状態に塗布するようにしてもよい。このようにするとで、発光面の各部における蓄光量を相違させ、発光輝度を相違させ、グラデーションのある発光面が構成でき、疑似点灯時の意匠的効果を高めることができる。
また、実施形態2では、蓄光膜36はシェード板34の前面に形成されており、このシェード板34はリフレクタ32の第2焦点F2、換言すれば第1焦点F1に配置された光源としてのLED31と光学的に等価な位置に近接配置されている。そのため、蓄光膜36で発光された光はLED31から出射された光と同様に照射レンズ33によって自動車の前方の広い領域に向けて照射されることになる。これにより、自動車の前方の広い領域から疑似点灯の視認性を高めることが可能になる。
実施形態2の蓄光膜においても、実施形態1と同様に発光色が異なる蓄光材を組み合わせて所望の模様を形成することにより、疑似点灯時における発光色、発光輝度分布および発光模様を種々の形態として構成でき、さらなる意匠的な効果を高めることが可能になる。なお、実施形態2は蓄光膜36が照射レンズ33を通して外部から観察可能な位置に配設されているが、照射レンズ33の前面での全反射によってランプの前方からは蓄光膜36が見え難くなっているので、蓄光膜36を形成することによるランプの非点灯時におけるランプの外観上の見栄えが低下されることは少ない。
本発明は、実施形態1,2の構成に限定されるものではない。例えば、実施形態1において、ランプユニットのベース板の下面に蓄光材を塗布して蓄光膜を形成してもよい。この場合、蓄光膜を所要の模様に形成し、模様化された発光をリフレクタ部で反射して疑似点灯するようにしてもよい。また、実施形態2において、予め蓄光材を塗布した蓄光板をシェードの前面に貼付してもよい。この場合、発光色が異なる蓄光材を塗布した複数の蓄光板を並べて配列してもよい。
本発明にかかる蓄光膜は、実施形態1,2の構成にかかわらず、ランプユニットを構成する他の光学部材に形成することも可能である。例えば、照射レンズの光透過面の一部やリフレクタの反射面の一部に蓄光膜を形成してもよい。この場合においても、蓄光膜を異なる発光色の蓄光膜で構成し、あるいは所望の模様に形成することにより本発明が達成できる。ただし、これらの場合にはランプユニットに要求される所定の配光が阻害されることがないように蓄光膜の形成領域やタイプを設定することが肝要である。さらに、光の透過性の高い蓄光材の場合には、レンズ面や光源を覆うように蓄光膜を形成することも可能である。
また、本発明における蓄光膜は、ランプの光源から出射される光を蓄光する場合のみならず、昼間時に太陽光を利用して蓄光する蓄光膜として構成してもよい。この場合には、ランプハウジングに内装されるエクステンションやランプユニットカバー等の構成部材の表面に蓄光膜を形成することができる。さらには、ランプハウジングの内面に蓄光膜を形成してもよい。
本発明はランプハウジングやランプユニットに疑似点灯を行うための蓄光材を配設する車両用ランプに採用することが可能である。
HL ヘッドランプ(車両用灯具)
1 ランプハウジング
2 ランプユニット(実施形態1)
3 ランプユニット(実施形態2)
11 ランプボディ
12 透明カバー
13 エクステンション
21 ベース板
22 リフレクタ
23 リフレクタ部
25 反射面
26 光源(LED)
27 蓄光板(蓄光膜)
31 光源(LED)
32 リフレクタ
33 照射レンズ
34 シェード(シェード板)
36 蓄光膜

Claims (6)

  1. ランプユニットを備える車両用灯具であって、前記ランプユニットには蓄光した光を発光する蓄光膜が配設されており、前記蓄光膜は、複数の異なる発光色の蓄光膜、発光輝度分布が不均一な蓄光膜、発光面が平滑でない蓄光膜、発光面が所要の模様をした蓄光膜の少なくとも1つの蓄光膜で構成されていることを特徴とする車両用灯具。
  2. ランプハウジング内にランプユニットを内装した車両用灯具であって、前記ランプハウジングと前記ランプユニットの少なくとも一部に蓄光した光を発光する蓄光膜が配設されており、前記蓄光膜は、複数の異なる発光色の蓄光膜、発光輝度分布が不均一な蓄光膜、発光面が平滑でない蓄光膜、発光面が所要の模様をした蓄光膜の少なくとも1つの蓄光膜で構成されていることを特徴とする車両用灯具。
  3. 前記蓄光膜は前記ランプユニットにより形成される配光を阻害しない位置に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
  4. 前記蓄光膜は前記ランプユニットの光源位置または光源と等価な位置、あるいはこれらの位置の近傍に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
  5. 前記ランプユニットはリフレクタ型のランプユニットであり、前記蓄光膜は当該ランプユニットの光源近傍位置に配設されていることを特徴とする請求項3または4に記載の車両用灯具。
  6. 前記ランプユニットはプロジェクタ型のランプユニットであり、前記蓄光膜は当該ランプユニットに設けられているシェードの前面に配設されていることを特徴とする請求項3または4に記載の車両用灯具。
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