JP2015147853A - ポリ乳酸系樹脂組成物および成形体 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂組成物および成形体 Download PDF

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成明 石井
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憲一 川田
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Azusa Usui
あづさ 臼井
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Abstract

【課題】結晶性、耐熱性、耐衝撃性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物、およびこれを成形してなる成形体を提供する。
【解決手段】D体含有量が4モル%以下であるポリ乳酸樹脂(A)、有機結晶核剤(B)、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)および300℃、12Nにおけるメルトフローレートが20g/10分以上であるポリカーボネート樹脂(D)を含有する樹脂組成物であって、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、有機結晶核剤(B)が0.5〜5質量部、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)が1〜10質量部、ポリカーボネート樹脂(D)が0.1〜5質量部含有されていることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定のポリ乳酸樹脂と有機結晶核剤とコアシェル型耐衝撃改良剤と特定のポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物であって、地球環境への負荷が低く、結晶化速度が速く、耐熱性、耐衝撃性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物に関するものである。
一般に、成形用の原料としては、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド(PA6、PA66)、ポリエステル(PET、PBT)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂が使用されている。しかしながら、このような樹脂から製造された成形体は、成形性、機械的強度に優れているが、廃棄する際、ゴミの量を増すうえに、自然環境下でほとんど分解されないために、埋設処理しても半永久的に地中に残留する。
一方、近年、環境保全の見地から、生分解性ポリエステル樹脂が注目されている。生分解性ポリエステル樹脂の中でも、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等の樹脂は、大量生産可能なためコストも安く、有用性が高い。そのうち、ポリ乳酸樹脂は、既にトウモロコシやサツマイモ等の植物を原料として製造可能となっており、使用後に焼却されても、これらの植物の生育時に吸収した二酸化炭素を考慮すると、炭素の収支として中立であることから、特に、地球環境への負荷の低い樹脂とされている。
ポリ乳酸樹脂は、結晶化を充分進行させることにより耐熱性が向上し、広い用途に適用可能となるが、ポリ乳酸樹脂単独ではその結晶化速度は極めて遅いものである。そこで、通常、結晶化速度を向上させることを目的として、ポリ乳酸樹脂に各種結晶核剤を添加する手法が提案されている。
例えば、特許文献1には、特定分子構造のカルボン酸アミドまたはエステルを添加することが、また特許文献2には、トリシクロヘキシルトリメシン酸アミドを添加することが開示されている。しかしながら、いずれもポリ乳酸樹脂のD体含有量が多いために、結晶化速度、耐熱性ともに十分に向上させることは困難であった。
また、様々な用途における実用に耐えうる特性として、耐衝撃性も求められており、ポリ乳酸樹脂の耐衝撃性を改良する方法も種々提案されている。例えば、特許文献3には、多層構造重合体を添加する方法が、また特許文献4には、変性オレフィン化合物を添加する方法が開示されている。しかしながら、いずれの方法においても、これらの耐衝撃改良剤を添加することにより、樹脂組成物の結晶性が低下するという問題があった。
このように、結晶化速度が速く、かつ十分に結晶化が進行して耐熱性に優れた成形体を得ることが可能であり、さらには耐衝撃性にも優れ、産業資材分野にも用いることが可能となるポリ乳酸樹脂組成物は未だに提案されていない。
国際公開第2006/137397号 特開2006−328163号公報 特開2006−160925号公報 特開平9−316310号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、結晶性、耐熱性、耐衝撃性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物、およびこれを成形してなる成形体を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂のD体含有量を特定範囲とし、有機結晶核剤とコアシェル型耐衝撃改良剤とを含有させるともに、特定のポリカーボネート樹脂を含有させた樹脂組成物が上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)D体含有量が4モル%以下であるポリ乳酸樹脂(A)、有機結晶核剤(B)、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)および300℃、12Nにおけるメルトフローレートが20g/10分以上であるポリカーボネート樹脂(D)を含有する樹脂組成物であって、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、有機結晶核剤(B)が0.5〜5質量部、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)が1〜10質量部、ポリカーボネート樹脂(D)が0.1〜5質量部含有されていることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(2)上記(1)に記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A)として、D体含有量が特定範囲であるものを用い、かつ有機結晶核剤(B)を含有するため、結晶性に優れている。このため、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、結晶化速度が速いだけでなく、結晶化が十分に進行しやすく、耐熱性に優れた成形体を得ることが可能となる。
そして、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)を特定量含有するため、耐衝撃性が付与されており、結晶性が高い樹脂組成物中では、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)を添加することによる結晶性向上の阻害効果が小さく、結晶性に優れるととともに、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)による耐衝撃性付与効果がより向上したものとなる。
さらに、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、特定のポリカーボネート樹脂(D)を含有するため、上記の有機結晶核剤(B)による耐熱性付与効果と、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)による耐衝撃性付与効果とがさらに向上したものとなる。
したがって、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、成形性よく、耐熱性と耐衝撃性に優れた成形体を得ることが可能であり、低環境負荷材料であるポリ乳酸樹脂の使用範囲を大きく広げることができ、産業上の利用価値はきわめて高い。そして、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体は、自動車部材や電気電子分野、生活用品、産業資材等の各種の用途に用いることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ということがある)は、特定のポリ乳酸樹脂(A)と有機結晶核剤(B)とコアシェル型耐衝撃改良剤(C)と特定のポリカーボネート樹脂(D)を含有する。
まず、ポリ乳酸樹脂(A)について説明する。
本発明の樹脂組成物を構成するポリ乳酸樹脂(A)は、D体含有量が4モル%以下であることが必要であり、中でも2モル%以下であることが好ましく、0.1〜1.5モル%であることがさらに好ましい。ポリ乳酸樹脂(A)は、D体含有量がこの範囲内であると、結晶性に優れる。つまり、D体含有量が4モル%以下であるポリ乳酸樹脂(A)は、結晶化速度が速いだけでなく、結晶化が十分に進行しやすいため、このポリ乳酸樹脂(A)を含有する樹脂組成物は、短い成形サイクルで、耐熱性に優れた成形体を得ることが可能となる。また、ポリ乳酸樹脂(A)は、後述する有機結晶核剤(B)により、さらに結晶性に優れるものとなる。
樹脂組成物に、後述するコアシェル型耐衝撃改良剤(C)を含有させると、耐衝撃性が向上するが、ポリ乳酸樹脂(A)のD体含有量が上記範囲であると、耐衝撃性は大幅に向上し、湿熱耐久性も向上する。つまり、通常のポリ乳酸樹脂に、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)を添加すると、耐衝撃性を付与することはできるが、結晶性が低下する。しかしながら、D体含有量が上記範囲であるポリ乳酸樹脂(A)と有機結晶核剤(B)とによって、結晶性が向上した樹脂組成物においては、結晶性が良好なまま、耐衝撃性を付与することが可能となる。しかも、このように結晶性が向上した樹脂組成物中においては、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)の効果が十分に発揮され、耐衝撃性も大幅に向上する。D体含有量が上記範囲外であるポリ乳酸樹脂を用いた場合には、結晶性が向上せず、また耐衝撃性の大幅な向上も見られない。
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A)のD体含有量とは、ポリ乳酸樹脂(A)を構成する総乳酸単位のうち、D乳酸単位が占める割合(モル%)である。したがって、例えば、D体含有量が1.0モル%のポリ乳酸樹脂(A)の場合、このポリ乳酸樹脂(A)は、D乳酸単位が占める割合が1.0モル%であり、L乳酸単位が占める割合が99.0モル%である。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂(A)のD体含有量は、実施例にて後述するように、ポリ乳酸樹脂(A)を分解して得られるL乳酸とD乳酸を全てメチルエステル化し、L乳酸のメチルエステルとD乳酸のメチルエステルとをガスクロマトグラフィー分析機で分析する方法により算出する。
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A)として、市販の各種ポリ乳酸樹脂のうち、D体含有量が本発明で規定する範囲のポリ乳酸樹脂を用いることができる。また、乳酸の環状2量体であるラクチドのうち、D体含有量が十分に低いL−ラクチドを原料に用い、公知の溶融重合法で、あるいは、さらに固相重合法を併用して製造したものを用いることができる。
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A)は、190℃、21.2Nおけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分であることが好ましく、中でも0.3〜30g/10分であることがより好ましく、0.5〜20g/10分であることがさらに好ましい。ポリ乳酸樹脂(A)のメルトフローレートが0.1g/10分未満であると、粘度が高すぎるために、成形加工時の負荷が大きくなり過ぎて加工性が低下することがあり、50g/10分を超えると、得られた成形体は機械特性に劣る場合がある。
また、ポリ乳酸樹脂(A)は、重量平均分子量が8万〜30万であることが好ましく、中でも10万〜25万であることがより好ましく、12万〜20万であることがさらに好ましい。ポリ乳酸樹脂(A)は、重量平均分子量が8万未満であると、実用的な強度や耐久性を有する成形体を得ることが困難となる。一方、ポリ乳酸樹脂(A)は、重量平均分子量が30万を超えると、流動性が低く、溶融押出が困難となりやすいことがあり、フィルムなどを作製する際、押出機の昇圧などが問題になることがある。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂(A)の重量平均分子量は、後述のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で分析する方法により算出する。
本発明の樹脂組成物におけるポリ乳酸樹脂(A)の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、中でも60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂(A)の含有量が50質量%未満であると、結晶性に優れたポリ乳酸樹脂(A)の特性を生かすことができず、十分な耐熱性や耐久性を付与することが困難となることがある。
次に有機結晶核剤(B)について説明する。
本発明においては、有機結晶核剤(B)として、有機スルホン酸塩と、有機アミド系化合物とから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、中でも有機スルホン酸塩が最も好ましい。このような特定の有機結晶核剤を用いることにより、ポリ乳酸樹脂(A)の結晶性が向上するとともに、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)による耐衝撃性付与効果が十分に発揮され、結晶性と耐衝撃性ともに優れた樹脂組成物を得ることが可能となる。
有機スルホン酸塩としては、スルホイソフタル酸塩など、種々のものを用いることができ、中でも、5−スルホイソフタル酸ジメチル金属塩が、結晶化促進効果の点から好ましい。さらに、バリウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、ナトリウム塩などが好ましい。
有機アミド系化合物としては、種々のものを用いることができ、具体的には、N,N′−エチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、リシノール酸アミド、リシノステアロール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−ヒドロキシエチル−リシノール酸アミド、N−ヒドロキシエチル−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N′−エチレン−ビス−リシノール酸アミド、N,N′−ヘキサメチレン−ビス−リシノール酸アミド、N,N′−ヘキサメチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N′−キシリレン−ビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。なかでも、結晶化促進効果、耐熱性の観点から、N,N′−エチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N′−ヘキサメチレン−ビス−リシノール酸アミド、N,N′−ヘキサメチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N′−キシリレン−ビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドを好適に用いることができる。これらの有機アミド系化合物は、単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
本発明の樹脂組成物において、有機結晶核剤(B)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対し、0.5〜5質量部であることが必要であり、中でも0.5〜4質量部であることより好ましく、0.5〜3質量部であることがさらに好ましい。有機結晶核剤(B)の含有量が0.5質量部未満であると、結晶化速度や結晶性の向上効果が乏しくなり、耐熱性に優れ、耐衝撃性も向上した成形体を得ることができない。一方、含有量が5質量部を超えると、結晶核剤としての効果が飽和し、経済的に不利であるだけでなく、生分解後の残渣分が増大するため、環境面でも好ましくない。
次にコアシェル型耐衝撃改良剤(C)について説明する。
コアシェル型耐衝撃改良剤(C)は、コア層とそれを覆うシェル層から構成され、隣接し合う層は異種の重合体から構成される耐衝撃改良剤である。コア層とシェル層は、それぞれ複数の層を有してもよい。コアシェル型耐衝撃改良剤(C)は、コア層成分の存在下に、シェル層成分がグラフト重合されることにより得られるものであることが好ましい。
本発明において、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)は、耐衝撃性向上の面から、コア層は、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴムから選ばれることが好ましい。
コア成分を形成するブタジエン系ゴムとは、1,3−ブタジエン単量体のみからなる重合体、もしくは、1,3−ブタジエン単量体と、これと共重合可能な1種以上のビニル系単量体とからなる重合体である。
ブタジエン系ゴムにおける、上記1種類以上のビニル系単量体の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、中でも30質量%以下であることが好ましい。
1,3−ブタジエン単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体等が挙げられる。
また、上記以外に、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族多官能ビニル化合物、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート等の多価アルコール、トリメタクリル酸エステル、トリアクリル酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等のカルボン酸アリルエステル、ジアリルフタレート、ジアリルセバケート等のジアリル化合物、トリアリルトリアジン等のトリアリル化合物などの架橋性単量体(架橋剤)を用いることができる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
コア成分を形成するアクリル系ゴムは、主構成単位のアクリル酸エステルを50〜100質量%含有することが好ましく、中でも70〜100質量%含有することがより好ましい。アクリル系ゴムにおける、アクリル酸エステル以外の他の成分は、アクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体であることが好ましい。
アクリル系ゴムを構成するアクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が2〜8であるアクリル酸アルキルエステルが挙げられ、例えば、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。
アクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体などが挙げられる。
コア成分を形成するシリコーン系ゴムとは、オルガノシロキサン結合の単位が数千以上の線状重合体であるポリオルガノシロキサンを含有するゴムであり、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとを含有するシリコーン・アクリル系ゴムも含む。
上記ゴムはどのような方法で製造されてもよいが、乳化重合法が最適である。
またポリオルガノシロキサンの構造には特に制限はないが、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンであることが好ましい。ポリオルガノシロキサンの製造に用いられるジメチルシロキサンとしては、3員環以上のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜7員環のものが好ましい。具体的にはヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられ、これらは単独でまたは二種以上混合して用いられる。
本発明においてコアシェル型耐衝撃改良剤(C)を構成するシェル成分は、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、グリシジル基含有ビニル系単位、脂肪族ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、シアン化ビニル系単位、マレイミド系単位、不飽和ジカルボン酸系単位、不飽和ジカルボン酸無水物系単位および/またはその他のビニル系単位などを含有する重合体により形成されていることが好ましい。中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、グリシジル基含有ビニル系単位および/または不飽和ジカルボン酸無水物系単位を含有する重合体が好ましく、さらに不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を含有する重合体がより好ましい。
シェル成分の重合体を構成する不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく使用される。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどが挙げられ、樹脂への分散性を向上する効果が大きいという観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
シェル成分の重合体を構成するグリシジル基含有ビニル系単位としては、特に限定されるものではなく、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−4−グリシジルエーテル、4−グリシジルスチレンなどが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
シェル成分の重合体を構成する脂肪族ビニル系単位としては、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどが挙げられる。芳香族ビニル系単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレンなどが挙げられる。シアン化ビニル系単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどが挙げられる。マレイミド系単位としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフェニル)マレイミド、N−(クロロフェニル)マレイミドなどが挙げられる。不飽和ジカルボン酸系単位として、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、フタル酸などが挙げられる。
シェル成分の重合体を構成するその他のビニル系単位としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリン、2−スチリル−オキサゾリンなどが挙げられる。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
上記したようなコア層とシェル層を組み合わせたコアシェル型耐衝撃改良剤(C)の中でも、以下の3種のコアシェル型耐衝撃改良剤(C1)〜(C3)は、耐衝撃性の向上効果が優れるため好ましく、特にコアシェル型耐衝撃改良剤(C1)が好ましい。
コアシェル型耐衝撃改良剤(C1)は、コア層が、アクリル成分とシリコーン成分とからなる複合重合体であり、シェル層が、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位もしくはビニル系単位を有する重合体であり、中でも(メタ)アクリル酸メチルやグリシジル基含有ビニル系単位を含有する重合体が好ましい。
コアシェル型耐衝撃改良剤(C1)の市販品として、三菱レイヨン社製メタブレンS−2001、メタブレンS−2006、メタブレンS−2200が挙げられる。
コアシェル型耐衝撃改良剤(C2)は、コア層がブタジエン系ゴムであり、シェル層が不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を有する重合体である。中でも、コア層は、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合ゴムであることが好ましく、シェル層は、(メタ)アクリル酸メチル単位を有する重合体であることが好ましい。
コアシェル型耐衝撃改良剤(C2)の市販品として、三菱レイヨン社製メタブレンC−223A、カネカ社製カネエースB−564、ロームアンドハース社製パラロイドBPM−520が挙げられる。
コアシェル型耐衝撃改良剤(C3)は、コア層がアクリル系ゴム、シェル層が不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を含有する重合体からなるものである。中でも、シェル層が、コア層のアクリル系ゴムの存在下に、1種または2種以上の不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、中でも(メタ)アクリル酸メチルを、コア層のアクリル系ゴムにグラフト重合させることにより得られるものであることが好ましい。
コアシェル型耐衝撃改良剤(C3)の市販品として、ロームアンドハース社製パラロイドBPM−500、パラロイドBPM−515、三菱レイヨン社製メタブレンW−450A、メタブレンW−600Aなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物において、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対し、1〜10質量部であることが必要であり、2〜8質量部であることが好ましく、2〜6質量部であることがより好ましい。コアシェル型耐衝撃改良剤(C)の含有量が1質量部未満であると、十分な耐衝撃性を付与することができない。一方、含有量が10質量部を超えると、樹脂組成物は、結晶性が低下し耐熱性に劣り、また耐衝撃性が飽和状態となり大幅な向上はみられない。
次に、ポリカーボネート樹脂(D)について説明する。
ポリカーボネート樹脂(D)は、ビスフェノール類残基単位とカーボネート残基単位とを含むものである。
ビスフェノール類としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジチオジフェノール、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジクロロジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。その他にも米国特許明細書第2,999,835号、第3,028,365号、第3,334,154号および第4,131,575号に記載されているジフェノールが使用できる。これらは単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上混合して使用してもよい。
カーボネート残基単位を導入するための前駆物質としては、ホスゲン、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
本発明において、ポリカーボネート樹脂(D)は、300℃、12Nにおけるメルトフローレートが20g/10分以上であることが必要であり、中でも30g/10分以上であることが好ましく、40〜90g/10分であることがさらに好ましい。
本発明においては、上記メルトフローレートのポリカーボネート樹脂(D)を用いることにより、ポリカーボネート樹脂(D)が樹脂組成物中に均一に分散され、ポリ乳酸樹脂(A)の海の中に、ポリカーボネート樹脂(D)が島のように分散した構造(いわゆる海島構造)をとることができる。これにより、ポリカーボネート樹脂(D)が可塑剤的な働きをするものと想定され、上記した有機結晶核剤(B)やコアシェル型耐衝撃改良剤(C)の働きや、後述する末端封鎖剤(E)の働きをより活性化させ、結晶化促進効果や耐熱性、耐衝撃性向上効果、さらには湿熱耐久性向上効果をより顕著なものとすることが可能となる。
ポリカーボネート樹脂(D)のメルトフローレートが20g/10分以下であると、溶融粘度が高すぎるために、樹脂組成物への分散性が低下し、上記効果を奏することができない。
本発明の樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂(D)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して0.1〜5質量部であることが必要であり、0.3〜4質量部であることが好ましく、0.5〜3質量部であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂(D)の含有量が0.1質量部未満であると、結晶性、耐熱性、耐衝撃性、湿熱耐久性等の向上効果が不十分となる。一方、含有量が5質量部を超えると、これらの向上効果が飽和するだけでなく、ポリカーボネート樹脂(D)の分散性が低下するため、得られる成形体は、外観に劣るものとなる。
本発明の樹脂組成物は、さらに末端封鎖剤(E)を含有することが好ましい。末端封鎖剤(E)を含有することにより、ポリ乳酸樹脂(A)の湿熱耐久性を向上させることができ、また、ポリ乳酸樹脂(A)のD体含有量が特定範囲にあって、特定のポリカーボネート樹脂(D)を含有する樹脂組成物においては、湿熱耐久性を格段に向上させることができる。
湿熱耐久性の向上効果が大きいことから、末端封鎖剤(E)として、カルボジイミド化合物を用いることが好ましい。
カルボジイミド化合物としては、種々のものを用いることができる。具体的な化合物として、N,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−トリルカルボジイミド、N,N′−ジフェニルカルボジイミド、N,N′−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジ−tert−ブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−トリルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミド,N,N′−ベンジルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−フェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−トリルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N′−トリルカルボジイミド、N−フェニル−N′−トリルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−トリルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N′−ジメチルカルボジイミド、N,N′−ジイソブチルカルボジイミド、N,N′−ジオクチルカルボジイミド、N−t−ブチル−N′−イソプロピルカルボジイミド、N,N′−ジ−β−ナフチルカルボジイミド、N,N′−ジ−t−ブチルカルボジイミドなどが挙げられる。
その他のカルボジイミド化合物の市販品として、松本油脂社製EN-160、ラインケミー社製スタバックゾールI、中央化成工業社製のフォルテゾールなどの同一分子内に1個のカルボジイミド基を有するモノカルボジイミドや、松本油脂社製EN−180、ラインケミー社製スタバックゾールP、日清紡績社製カルボジライトLA−1などの同一分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミドが挙げられる。
これらの中でも、特にN,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを用いることが好ましい。このようなモノカルボジイミドで市販されているものとしては、松本油脂社製EN-160やラインケミー社製スタバックゾールIなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物において、末端封鎖剤(E)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、中でも0.5〜4.0質量部であることがより好ましく、1.0〜3.0質量部であることがさらに好ましい。末端封鎖剤(E)の含有量が0.1質量部未満では、湿熱耐久性の向上効果を得ることができない。一方、含有量が5質量部を超えると、効果が飽和するだけでなく、強度などの物性が低下することがある。
本発明の樹脂組成物は、さらに無機充填剤(F)を含有することが好ましい。無機充填剤(F)を添加することにより、得られる成形体は、ソリが低減するだけでなく、有機結晶核剤(B)との相乗効果で、さらに結晶化速度と耐熱性が向上する。
無機充填剤(F)は、特に限定されるものではなく、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等から1種類以上選んで用いることができる。
これらの中でもタルクは、ポリ乳酸樹脂(A)に対して最も結晶化効率の高い無機物質として知られており、また、非常に安価であるため工業的にも有利であり、しかも自然界に存在する物質であるため地球環境に負荷を与えることがなく、好ましいものである。
無機充填剤(F)の平均粒径は、0.1〜10μmであることが好ましく、中でも0.5〜5μmであることがより好ましい。平均粒径が0.1μm未満であると、分散不良や二次凝集を生じて、結晶核剤としての効果が十分に得られなくなるだけでなく、得られる成形体は、外観に劣ることがある。一方、平均粒径が10μmを超えると、粒子径が大きすぎるために、得られる成形体は、機械強度が低下したり、表面がざらついて外観に劣ることがある。
樹脂組成物は、上記無機充填剤(F)を効率よく分散させるために、樹脂組成物の特性を損なわない範囲で、分散剤を含有してもよい。分散剤としては、ポリ乳酸樹脂(A)との相溶性に優れるとともに無機物との濡れ性にも優れているものが好適に使用できる。このような分散剤として、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミドなどの脂肪族アミドが挙げられ、これらは単独で使用しても複数組み合わせて使用してもよい。
本発明の樹脂組成物において、無機充填剤(F)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対し、3〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。無機充填剤(F)の含有量が3質量部未満では、その効果が不十分であり、成形体のソリも解消されず、有機結晶核剤(B)との相乗効果も見られないことがある。一方、含有量が20重量部を超えると、成形体は脆くなり、機械強度などが低下することがあり、また比重が大きくなる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、熱安定剤、酸化防止剤、有機充填剤、顔料、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等の添加剤を含有してもよい。
熱安定剤や酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物、ビタミンE等が挙げられる。
有機充填剤としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ、ケナフ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品等が挙げられる。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられ、環境を配慮した場合、非ハロゲン系難燃剤が好ましい。非ハロゲン系難燃剤としては、リン系難燃剤、水和金属化合物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム)、N含有化合物(メラミン系、グアニジン系)、無機系化合物(硼酸塩、Mo化合物)が挙げられる。
可塑剤としては、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤、エポキシ系可塑剤等が挙げられる。
滑剤としては、各種カルボン酸系化合物が挙げられ、中でも、各種脂肪酸金属塩、特に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が好ましい。
離型剤としては、各種カルボン酸系化合物が挙げられ、中でも、各種脂肪酸エステル、各種脂肪酸アミド等が好ましい。
また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ポリ乳酸樹脂(A)以外の他の樹脂を含有してもよい。他の樹脂を配合して、ポリ乳酸樹脂(A)とのアロイとすることも可能である。
他の樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)共重合体、液晶ポリマー、ポリアセタール等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T等が挙げられる。
ポリエステルとしては、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリブチレンアジペートテレフタレートをはじめ、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレートコテレフタレート、ポリブチレンイソフタレートコテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、シクロヘキシレンジメチレンイソフタレートコテレフタレート、p−ヒドロキシ安息香酸残基とエチレンテレフタレート残基からなるコポリエステル、植物由来の原料である1,3−プロパンジオールからなるポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート−乳酸)共重合体、ポリヒドロキシ酪酸等が挙げられる。
ポリ乳酸樹脂(A)とこれらの他の樹脂とを混合する方法は特に限定されない。
このように、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、添加剤や他の樹脂を含有してもよいが、樹脂組成物におけるポリ乳酸樹脂(A)の含有量は、前述のように50質量%以上であることが好ましい。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、工業的に最も簡便である溶融混練法を採用することができる。
溶融混練には一般的な押出機を用いることができ、混練状態の向上のためには、二軸押出機を使用することが好ましい。
ポリ乳酸樹脂(A)、有機結晶核剤(B)、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)、ポリカーボネート樹脂(D)の押出機への供給の際には、予め全ての原料をドライブレンドしたものを一つのホッパーに供給する方法、複数のフィーダーを用いて押出機トップから供給する方法、サイドフィーダーを用いて溶融混練の途中から添加する方法などが挙げられる。
また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法として、ポリ乳酸樹脂(A)の重合時に、有機結晶核剤(B)、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)、ポリカーボネート樹脂(D)を添加する方法を採用することもできる。
つまり、D体含有量が十分に低いL-ラクチドを原料に用い、有機結晶核剤(B)やコアシェル型耐衝撃改良剤(C)、ポリカーボネート樹脂(D)を添加した状態で、公知の溶融重合法により、またはさらに固相重合法を併用して、ポリ乳酸樹脂組成物を得てもよい。重合温度は170〜230℃が好ましい。重合温度が高すぎると、ポリ乳酸樹脂(A)は、分解したり、ラセミ化によってD体含有量が増加して耐熱性や耐衝撃性が低いものとなる。一方、重合温度が低すぎると、重合に長時間を要し、実用的でない。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形等の公知の方法により、各種成形体に成形することができる。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、結晶化速度が早く、耐熱性に優れたものであるため、これらの成形時の成形サイクルを短くすることが可能であり、加工性に優れるものである。したがって、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、これらの成形方法の中でも、結晶化速度向上の効果が最も反映されやすい射出成形法に適する。射出成形法としては、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等を採用できる。
本発明において好適な射出成形条件の一例を挙げると、シリンダ温度は、ポリ乳酸樹脂の融点(Tm)または流動開始温度以上であり、180〜230℃であることが好ましく、190〜220℃であることがより好ましい。シリンダ温度が低すぎると、樹脂の流動性の低下により成形不良や装置の過負荷に陥りやすい。逆にシリンダ温度が高すぎると、ポリ乳酸樹脂(A)が分解し、得られる成形体は強度が低下し、着色等の問題が発生することがある。
射出成形時の金型温度は、樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以下とする場合には、(Tg−10)℃以下であることが好ましい。また、樹脂組成物の剛性、耐熱性向上を目的として結晶化を促進するために、金型温度をTg以上、(Tm−30)℃以下とすることもできる。
本発明の成形体は、その優れた特性を活かして、特に、自動車用部品に適する。
自動車用部品の具体例としては、バンパー部材、インストルメントパネル、トリム、トルクコントロールレバー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、コンソールボックス、トランクカバー、スペアタイヤカバー、天井材、床材、内板、シート材、ドアパネル、ドアボード、ステアリングホイール、バックミラーハウジング、エアーダクトパネル、ウィンドモールファスナー、スピードケーブルライナー、サンバイザーブラケット、ヘッドレストロッドホルダー、各種モーターハウジング、各種プレート、各種パネルなどが挙げられる。
また、本発明の成形体は、上記自動車用部品の他にも、耐熱性や耐久性が要求される事務機器、家電製品などの筐体、各種部品などの用途に好適に用いることができる。
事務機器の具体例としては、プリンター、複写機、ファックスなどのケーシングにおけるフロントカバー、リアカバー、給紙トレイ、排紙トレイ、プラテン、内装カバー、トナーカートリッジなどが挙げられる。
その他、本発明の成形体は、電気・電子部品、医療、食品、家庭・事務用品、OA機器、建材関係部品、家具用部品等の耐久性を必要とする各種用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。実施例および比較例の樹脂組成物の特性値および評価方法は以下のとおりである。
(1)ポリ乳酸樹脂(A)のD体含有量
ポリ乳酸樹脂を0.3g秤量し、1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mLに加え、65℃にて充分撹拌した。次いで、硫酸450μLを加えて、65℃にて撹拌し、ポリ乳酸樹脂を分解させ、サンプルとして5mLを計り取った。
このサンプルに、純水3mLおよび塩化メチレン13mLを混合して、振り混ぜた。静置分離後、下部の有機層を約1.5mL採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard製HP−6890SeriesGCsystemを用いてガスクロマトグラフィー測定した。
乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を算出し、これをポリ乳酸樹脂(A)のD体含有量(モル%)とした。
(2)ポリ乳酸樹脂(A)の重量平均分子量
示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)装置(島津製作所社製)を用い、テトラヒドロフランもしくはクロロホルムを溶出液として、40℃、標準ポリスチレン換算で求めた。
(3)ポリ乳酸樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)
JIS K−7210に従い、190℃、21.2Nの荷重において測定した。
(4)ポリカーボネート樹脂(D)のメルトフローレート(MFR)
JIS K−7210に従い、300℃、12Nの荷重において測定した。
(5)成形性
一般物性測定用試験片の成形において、得られた試験片を変形することなく金型から取り出せる最短の所要時間(射出時間+保圧時間+冷却時間)を成形サイクルとして求め、成形性を評価した。
(6)耐熱性
得られた一般物性測定用試験片を用い、ISO 75に従って、荷重0.45MPaで、荷重たわみ温度を測定して耐熱性を評価した。荷重0.45MPaでの荷重たわみ温度は、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。
(7)耐衝撃性(シャルピー衝撃強度)
得られた一般物性測定用試験片にV字型切込みを入れ、これを試験サンプルとして用いて、ISO 179−1に従って、シャルピー衝撃強度を測定し、耐衝撃性を評価した。シャルピー衝撃強度は、7kJ/m以上であることが好ましく、10kJ/m以上であることがより好ましく、13kJ/m以上であることがさらに好ましい。
(8)湿熱耐久性(I)
末端封鎖剤(E)を含有する樹脂組成物から得られた一般物性測定用試験片について、60℃、95%RHの高温高湿環境下に3000h曝して湿熱処理を施した。この湿熱処理を施した試験片と、湿熱処理を施していない試験片とを、ISO 178に従って、それぞれの曲げ破断強度を測定した。そして、以下の式に基づいて、曲げ破断強度保持率を算出し、湿熱耐久性(I)を評価した。
末端封鎖剤(E)を含有する樹脂組成物から得られた試験片においては、湿熱処理3000h後の曲げ破断強度保持率は60%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより好ましい。
曲げ破断強度保持率(%)=〔(湿熱処理後の曲げ破断強度)/(湿熱処理前の曲げ破断強度)〕×100
(9)湿熱耐久性(II)
末端封鎖剤(E)を含有しない樹脂組成物から得られた一般物性測定用試験片については、60℃、95%RHの高温高湿環境下に曝す湿熱処理の時間を3000hから200hに変更する以外は、湿熱耐久性(I)と同様にして、曲げ破断強度を測定し、湿熱耐久性(II)を評価した。
末端封鎖剤(E)を含有しない樹脂組成物から得られた試験片においては、湿熱処理200h後の曲げ破断強度保持率は60%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより好ましい。
以下、用いた原料を示す。
ポリ乳酸樹脂(A)
・A−1:D体含有量0.1モル%、MFR8g/10分、重量平均分子量12万、ラクチド含有量1000ppm(トヨタ自動車社製『U‘Z S−12』)
・A−2:D体含有量1.4モル%、MFR10g/10分、重量平均分子量13万、ラクチド含有量2000ppm(NatureWorks社製『PLA−3001D』)
・A−3:D体含有量10モル%、MFR11g/10分、重量平均分子量13万、ラクチド含有量2000ppm(NatureWorks社製『PLA6302D』)
有機結晶核剤(B)
・B−1:有機スルホン酸バリウム系結晶核剤(竹本油脂社製『LAK403』)
・B−2:有機スルホン酸カリウム系結晶核剤(竹本油脂社製『LAK301』)
・B−3:N,N′−エチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド(伊藤製油社製『A−S−A T−530SF』)
無機系結晶核剤
・X−1:シリカ(富士シリシア化学社製『SY−310P』、平均粒子径3μm)
コアシェル型耐衝撃改良剤(C)
・C−1:コア成分=シリコーン・アクリル系ゴム、シェル成分=グリシジル基含有ビニル系単位含有重合体(三菱レイヨン社製『メタブレンS−2200』)
・C−2:コア成分=ブタジエン系ゴム、シェル成分=(メタ)アクリル酸メチル重合体(カネカ社製『カネエースB−564』)
・C−3:コア成分=アクリル系ゴム、シェル成分=(メタ)アクリル酸メチル重合体(ロームアンドハース社製『パラロイドBPM−515』)
ポリカーボネート樹脂(D)
・D−1:MFR80g/10分(住友ダウ社製『カリバー200−80』)
・D−2:MFR40g/10分(住友ダウ社製『カリバー301−40』)
・D−3:MFR13g/10分(住友ダウ社製『カリバー200−13』)
末端封鎖剤(E)
・E−1:N,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド(ラインケミー社製『スタバクゾールI』)
無機充填剤(F)
・F−1:タルク、平均粒子経2.7μm(林化成社製『MW HS-T』)
実施例1
二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS型)を用い、ポリ乳酸樹脂(A−1)100質量部と、有機結晶核剤(B−1)1.5質量部と、コアシェル型耐衝撃改良剤(C−1)4質量部と、ポリカーボネート樹脂(D−1)1質量部とをドライブレンドして押出機の根元供給口から供給し、混練温度230℃、スクリュー回転数150rpm、吐出20kg/hの条件で、ベントを効かせながら押出しを実施した。押出機先端から吐出された樹脂をペレット状にカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。
得られた樹脂組成物のペレットを85℃×10時間熱風乾燥し、日精樹脂社製NEX110型射出成形機を用いて、シリンダ温度230℃、金型表面温度100℃で、一般物性測定用試験片〔ISO準拠の試験片(ISO3167,93))を作製し、各種測定に供した。
実施例2〜32、比較例1〜22
表1〜3に示すように各成分の含有量、種類を変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物のペレットを得た。そして、これを実施例1と同様に射出成形して一般物性測定用試験片(ISO型)を作製し、各種測定に供した。
実施例1〜32、比較例1〜22で得られた樹脂組成物および成形体の評価結果を表1〜2に示す。
Figure 2015147853
Figure 2015147853
表から明らかなように、実施例1〜32では、ポリ乳酸系樹脂組成物は、結晶化速度が速く成形性に優れ、いずれも十分な耐熱性を有しながら、優れた耐衝撃性を有する成形体が得られた。また、実施例18〜32では、ポリ乳酸系樹脂組成物は末端封鎖剤を含有するため、得られた成形体は湿熱耐久性が向上しており、実施例26〜32では、ポリ乳酸系樹脂組成物は無機充填剤を含有するため結晶化速度がさらに速く、得られた成形体はさらに耐熱性が向上していた。
一方、比較例1、13、20では、樹脂組成物におけるポリカーボネート樹脂の含有量が所定範囲よりも少ないため、得られた成形体は、耐熱性や耐衝撃性、湿熱耐久性に劣っていた。比較例2、15、22では、ポリカーボネート樹脂の含有量が所定範囲よりも多かったため、ポリカーボネート樹脂の分散性が低下し、得られた成形体は、耐衝撃性や湿熱耐久性に劣り、また外観にも劣っていた。比較例14、21では、メルトフローレートが所定範囲でないポリカーボネート樹脂を用いたため、ポリカーボネート樹脂の分散性が低く、得られた成形体は、耐熱性や耐衝撃性、湿熱耐久性に劣っていた。
比較例3、9、16では、D体含有量が所定範囲でないポリ乳酸樹脂を用いたため、樹脂組成物の結晶化速度が遅く、成形サイクルが長くなり、得られた成形体は、耐衝撃性や耐熱性、湿熱耐久性に劣っていた。
比較例4、10、17では、樹脂組成物における有機結晶核剤の含有量が所定範囲よりも少ないため、また比較例5では、有機結晶核剤に代えて無機結晶核剤を使用したため、結晶化速度が遅く、成形サイクルが長くなり、得られた成形体は耐熱性に劣るものとなった。比較例6では、有機結晶核剤の含有量が所定範囲よりも多いため、耐衝撃性や湿熱耐久性に劣っていた。
比較例7、11、18では、樹脂組成物におけるコアシェル型耐衝撃改良剤の含有量が所定範囲よりも少ないため、得られた成形体は、耐衝撃性に劣っていた。比較例8、12、19では、コアシェル型耐衝撃改良剤の含有量が所定範囲よりも多いため、樹脂組成物は結晶性が低下し、得られた成形体は耐熱性や湿熱耐久性に劣っていた。

Claims (2)

  1. D体含有量が4モル%以下であるポリ乳酸樹脂(A)、有機結晶核剤(B)、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)および300℃、12Nにおけるメルトフローレートが20g/10分以上であるポリカーボネート樹脂(D)を含有する樹脂組成物であって、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、有機結晶核剤(B)が0.5〜5質量部、コアシェル型耐衝撃改良剤(C)が1〜10質量部、ポリカーボネート樹脂(D)が0.1〜5質量部含有されていることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体。

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