以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
まず、図1及び図2を参照して本発明の実施形態に係る画像処理装置1の概略構成について説明する。画像処理装置1は、画像読取機能、ファクシミリー機能、画像形成機能などを備える複合機である。図1に示されるように、画像処理装置1は、画像読取部2、原稿カバー3、自動原稿送り装置(Auto Document Feeder;以下、ADFという)4、印刷処理部5、操作表示部6(図2参照)、通信インターフェース(I/F)部8(図2参照)、及びこれらを制御する制御部9(図2参照)を備えている。なお、本発明に係る画像処理装置の一例として複合機である画像処理装置1を例示して説明するが、本発明はこれに限られず、例えばプリンター、ファクシミリー装置、複写機あるいはスキャナー装置も本発明に係る画像処理装置に該当する。
画像読取部2は、原稿から画像データを読み取る画像読取処理を実行する。図1に示されるように、画像読取部2は、コンタクトガラス10、読取ユニット11、ミラー12,13、光学レンズ14及びCCD(Charge Coupled Device)15などを備えている。
読取ユニット11は、LED光源16及びミラー17を備えており、ステッピングモーター等の駆動モーターを用いた移動機構(不図示)により副走査方向18(図1における左右方向)へ移動可能に構成されている。そして、前記駆動モーターにより読取ユニット11が副走査方向18へ移動されると、LED光源16から画像読取部2の上面に設けられたコンタクトガラス10へ向けて照射される光が副走査方向18へ走査される。
ミラー17は、LED光源16から光が照射されたときに、原稿又は原稿カバー3の裏面で反射した反射光をミラー12へ向けて反射させる。ミラー17で反射した光は、ミラー12,13により光学レンズ14に導かれる。光学レンズ14は、入射した光を集光してCCD15に入射させる。
CCD15は、受光した光をその光量(輝度の強度)に応じた電気信号(電圧)に変換して制御部9へ出力する光電変換素子である。制御部9では、CCD15からの電気信号を画像処理することにより原稿の画像データを生成する。なお、本実施形態では、撮像素子としてCCD15を用いた例について説明するが、CCD15による読取機構に代えて、CCD15よりも焦点距離の短い密着型のイメージセンサー(CIS: Contact Image Sensor)を用いた読取機構を適用することも可能である。
画像読取部2には、原稿カバー3が回動自在に設けられている。原稿カバー3が回動操作されることにより、画像読取部2の上面のコンタクトガラス10が開閉される。原稿カバー3の回動支持部には、リミットスイッチなどのカバー開検出センサー(不図示)が設けられている。ユーザーが原稿の画像を読み取らせようとして原稿カバー3が開けられると、そのカバー開検出センサーが作動して、その検出信号(カバー開検出信号)が制御部9に出力される。
画像読取部2による原稿画像の読み取りは、以下の手順で行われる。まず、原稿がコンタクトガラス10上に載置され、その後、原稿カバー3が閉姿勢にされる。その後、操作表示部6から画像読取指示が入力されると、読取ユニット11を副走査方向18の右向きへ移動させつつLED光源16から連続して順次1ライン分の光を照射させる。そして、原稿又は原稿カバー3の裏面からの反射光がミラー17,12,13及び光学レンズ14を介してCCD15に導かれ、CCD15にて受光した光量に応じた光量データが順次制御部9に出力される。制御部9では、光が照射された領域全体における光量データが得られると、その光量データを処理することにより、前記光量データから原稿の画像データを生成する。
なお、原稿カバー3にADF4が設けられている。ADF4は、原稿セット部19にセットされた一以上の原稿を複数の搬送ローラーにより順次搬送して、コンタクトガラス10上に定められた自動原稿読取位置を副走査方向18の右向きへ通過するように原稿を移動させる。ADF4による原稿の移動時は、前記自動原稿読取位置の下方に読取ユニット11が配置され、この位置で読取ユニット11により移動中の原稿の画像が読み取られる。
印刷処理部5は、上下に配置された複数の給紙カセット7を有する。給紙カセット7は、印刷処理部5の下部に配置されている。給紙カセット7には、印刷前の用紙が積層状態で収容されている。給紙カセット7に収容されている用紙は、給紙カセット7からピックアップローラー26によって1枚ずつ繰り出され後述する主搬送路34に搬送される。
印刷処理部5は、画像形成部32を有する。画像形成部32は、給紙カセット7の上方に設けられている。画像形成部32は、画像読取部2で読み取られた画像データ、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から通信I/F部8を通じて入力された印刷ジョブに基づいて画像形成処理(印刷処理)を実行する電子写真方式の画像形成手段である。具体的には、画像形成部32は、感光体ドラム20、帯電部21、現像部22、トナーコンテナ23、転写ローラー24、除電部25、定着ローラー28、加圧ローラー29などを備えている。なお、本実施形態では、電子写真方式の画像形成部32を例にして説明するが、画像形成部32は電子写真方式のものに限られず、インクジェット記録方式のものであっても、或いはそれ以外の記録方式又は印刷方式のものであってもかまわない。
画像形成部32では、給紙カセット7から供給されるシートに対する画像形成処理が以下の手順で行われる。まず、通信I/F部8を通じて印刷指示を含む印刷ジョブが入力されると、帯電部21により感光体ドラム20が所定の電位に一様に帯電される。次に、レーザスキャナユニット(Laser Scanner Unit;LSU 不図示)により感光体ドラム20の表面に当該印刷ジョブに含まれる画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム20の表面に静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム20上の静電潜像は現像部22によりトナー像として現像(可視像化)される。なお、現像部22には、トナーコンテナ23からトナー(現像剤)が補給される。続いて、感光体ドラム20に形成されたトナー像は転写ローラー24によりシートに転写される。その後、シートに転写されたトナー像は、そのシートが定着ローラー28及び加圧ローラー29の間を通過して排出される際に定着ローラー28で加熱されて溶融定着する。なお、感光体ドラム20の電位は除電部25で除電される。
画像処理装置1は、胴内排紙型の画像処理装置であり、画像形成部32により画像形成されたシートが排出される排出部30が画像形成部32と画像読取部2との間に形成されている。排出部30には、排出ローラー対33(33A,33B)によってシートが排出される。
用紙搬送路27は、給紙カセット7から排出部30に至るまでのシートの搬送路である。用紙搬送路27は、主搬送路34と、反転搬送路35と、排出搬送路36とを有する。
主搬送路34には、レジストローラー対31が配設されている。給紙カセット7から繰り出されたシートは、このレジストローラー対31に搬送される。レジストローラー対31は、シートにトナー像を転写するタイミングに同期させて、画像形成部3に向けて用紙を送り出す。
定着ローラー28及び加圧ローラー29による定着処理後のシートは、排出搬送路36に搬送される。片面印刷モードの場合、片面印刷されたシートは、排出搬送路36に搬送されたのち排出ローラー対33により排出部30に排出される。
反転搬送路35は、両面印刷モードの場合に、片面印刷されたシートを主搬送路34の上流側に戻すための搬送路である。具体的には、画像形成部32により片面印刷されたシートは、排出搬送路36に搬送された後、排出ローラー対33(33A,33B)によってその一部が排出部30に排出される。このとき、排出ローラー対33は、シートをニップした状態で停止される。この状態で排出ローラー対33が逆回転することにより、シートがスイッチバックされる。つまり、搬送されてきた方向とは反対の方向へシートが搬送される。スイッチバックされたシートは、排出搬送路36を経て反転搬送路35に搬送される。そして、シートは、反転搬送路35を搬送され、主搬送路34に配設されたレジストローラー対31の上流側に設けられた主搬送路34との合流位置C1(図3参照)へ向けて搬送される。
主搬送路34、反転搬送路35、及び排出搬送路36は、定着ローラー28及び加圧ローラー29の下流側に設けられた合流位置C1で合流している。本実施形態では、合流位置C1において、主搬送路34から排出搬送路36へシートが案内され、排出搬送路36から反転搬送路35へシートが案内される。図3は、合流位置C1の周辺の拡大図である。図3において、矢印200は、スイッチバック前のシートの搬送経路を示す。シートは、スイッチバック前においては、シートは、矢印200に示される経路に沿って主搬送路34から合流位置C1を通って排出搬送路36へ搬送される。矢印300は、スイッチバック後のシートの搬送経路を示す。スイッチバック後においては、シートは、矢印300に示される経路に沿って排出搬送路36から合流位置C1を通って反転搬送路35へ搬送される。このように、排出搬送路36は、シートが正逆両方向に搬送され得る搬送路である。
なお、スイッチバック前に主搬送路34を通って合流位置C1に到達したシートは、合流位置C1付近の切替えガイド機構(不図示)によって排出搬送路36へ向けられる。これにより、シートは主搬送路34から反転搬送路35へ進入することなく、排出搬送路36へ円滑に搬送される。一方、スイッチバック後のシートは、合流位置C1に到達すると、前記ガイド機構によって排出搬送路36から反転搬送路35へ向けられる。これにより、シートは排出搬送路36から主搬送路34へ進入することなく、反転搬送路35へ円滑に搬送される。搬送ローラー対351により反転搬送路35を搬送される。なお、本実施形態では、前記ガイド機構は、主搬送路34に対して排出搬送路34から反転搬送路35への搬送経路を傾斜させた構造や、排出搬送路34と反転搬送路35との間に反転搬送路35側が下方に落ち込んだ段差部X1を設けたことにより実現される。なお、前記ガイド機構として、合流位置C1における主搬送路34側の開口付近に設けられたフィルム状のフラップや、合流位置C1に回動駆動可能に設けられた経路切替用のレバー部材などを適用することも可能である。
図2において、通信I/F部8は、画像処理装置1にインターネット又はLANのような通信ネットワークを介して接続された外部装置との間でデータ通信を実行するインターフェースである。記憶部28は、ハードディスクドライブ(Hard Disc Drive;HDD)等の不揮発性メモリーで構成される。
操作表示部6は、表示部29と操作部30とを有する。表示部29は、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成され、操作表示部6を操作するユーザーに対して各種の情報を表示する。操作部30は、表示部29に隣接配置された各種の押しボタンキーや表示部29の表示画面上に配置されるタッチパネルセンサーなどで構成され、画像処理装置1のユーザーにより各種の指示が入力される。
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有するメモリーとを備えて構成される。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される記憶部である。制御部9は、前記CPUが前記ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、各部の動作を制御する。
画像処理装置1は、画像読取部2、印刷処理部5、操作表示部6、通信I/F部8、記憶部28及び制御部9が相互にデータの入出力を行うことができるように、各構成要素がデータバス48を介して接続されている。
制御部9には、駆動部39とシート検出装置100とが接続されている。駆動部39は、排出ローラー対33(33A,33B)の回転駆動を行うものであり、駆動モーターとモータードライバーとを有する(いずれも不図示)。制御部9は、後述するシート検出装置100のシート検出センサー101によりシート先端が検知されると、シートのサイズや搬送速度などからシート後端が合流位置C1を通過するタイミングを算出する。そして、制御部9は、そのタイミングから一定時間経過したタイミングで駆動部39の動作を一旦停止して、その後、その駆動部39を逆回転させる。これにより、両面印刷モードにおける片面印刷後のスイッチバックが行われる。
次に、シート検出装置100の詳細な構成について説明する。
前述したように、排出搬送路36は、シートが正逆両方向に搬送され得る搬送路である。本実施形態においては、シート検出装置100は、この排出搬送路36の予め定められた検出位置L1(図3参照)でシートの通過を検出する。
図4に示されるように、シート検出装置100は、シート検出センサー101と、アクチュエータ102と、コイルスプリング107とを有する。シート検出センサー101は、一定の距離を隔てて対向配置された一対の投受光器103,104を有する。シート検出センサー101として、例えばフォトインタラプタが採用可能である。シート検出センサー101としてフォトインタラプタを採用した場合、発光器103には発光ダイオードが採用され、受光器104にはフォトトランジスタが採用される。
アクチュエータ102は、揺動軸部105と、レバー部106と、遮光部108とを有する。
揺動軸部105は、細長い円柱形状を有する棒状の部材である。レバー部106は、四角柱形状を有するスティック状の部材である。揺動軸部105は、レバー部106の両端間の所定位置でレバー部106と直交し、レバー部106を貫通する。したがって、レバー部106は、揺動軸部105との交差部109から一方に延びる第1の部位110と、他方(第1の部位110と反対側)に延びる第2の部位111とを有する。本実施形態では、レバー部106は、揺動軸部105によって揺動可能に支持されている。また、図6に示されるように、レバー部106は、排出搬送路36を交差してその先端部1061が排出搬送路36から退避した位置に配置される初期姿勢に保持される。なお、レバー部106の支持機構及び前記初期姿勢の詳細については後述する。
第1の部位110は、第2の部位111に比して長尺である。第2の部位111には、後述するコイルスプリング107の一端と係合する係合穴112が形成されている。揺動軸部105は、レバー部106が揺動する際の揺動中心軸119を形成する。レバー部106は、この揺動軸部105に連結されている。具体的には、レバー部106は、揺動軸部105とは別部材として構成されており、揺動軸部105が挿通されてその外周面を外嵌する係合孔109が形成されている。係合孔109は、中心軸119の方向にレバー部106を貫通している。係合孔109に揺動軸部105が所定の嵌め合い公差によって外嵌めされており、これにより、揺動軸部105にレバー部106が固定されている。したがって、レバー部106は、揺動中心軸119を揺動支点として揺動する。なお、レバー部106は揺動軸部105と一体に形成された構成であってもよい。
コイルスプリング107は、レバー部106を一定の位置に保持する力を付与する。具体的には、コイルスプリング107は、レバー部106に外力が加えられていない状態で、そのバネ力によってレバー部106を前記初期姿勢に保持する。一方、コイルスプリング107は、付勢手段の一例でもある。具体的には、コイルスプリング107は、前記初期姿勢におけるレバー部106に対する保持力以上の外力が加えられてレバー部106が揺動されると、レバー部106をそのバネ力によって元の位置である前記初期姿勢に戻す付勢力を付与する。このような保持力及び付勢力をレバー部106に付与可能なように、コイルスプリング107は、排出搬送路36に直交する前記初期姿勢にあるレバー部106に対して、コイルスプリング107の中心線がレバー部106の延出方向と一致するように、レバー部107に対して直列に配置されている。そして、コイルスプリング107の一端は、レバー部106における第2の部位111に形成された係合穴112に係合されている。また、コイルスプリング107の他端は、画像処理装置1の本体フレーム(不図示)に係合されている。
コイルスプリング107は、レバー部106を所定の引張力で引っ張る引っ張りバネである。本実施形態では、コイルスプリング107は、外力が加えられていない状態で、排出搬送路36に直交する前記初期姿勢となるようにレバー部106を引っ張り力によって保持する。一方、所定の外力が加えられたことによりレバー部106が揺動軸部105を揺動支点として前記初期姿勢から揺動され、レバー部106が揺動されて前記初期姿勢から変位した姿勢にあるときに前記外力が無くなると、レバー部106は、コイルスプリング107の付勢力によって前記初期姿勢に戻される。
遮光部108は、扁平な板形状であり、揺動軸部105の軸方向においてレバー部106と異なる位置で揺動軸部105の径方向に突出する。遮光部108は、揺動軸部105と一体に形成されている。したがって、レバー部106に外力が加えられたことにより揺動中心軸119を揺動支点としてレバー部106が揺動されると、レバー部106の揺動動作に連動して、遮光部108はレバー部106と一体に揺動する。
排出搬送路36のうち検出位置L1周辺の搬送路は、対向するガイドフレーム113、114により形成される。ガイドフレーム113は、検出位置L1付近の排出搬送路36の上側ガイド面を構成する。ガイドフレーム113に貫通孔1131(図6参照)が形成されている。貫通孔1131は、レバー部106の揺動範囲に対応する長さであって、シートの搬送方向に長い溝状に形成されている。レバー部106は、外力が加えられていない状態で、揺動軸部105から排出搬送路36の検出位置L1へ向けて延出されている。具体的には、レバー部106の第1の部位110が貫通孔1131(図6参照)に挿通されており、図5に示されるように、ガイドフレーム113を交差して、更に排出搬送路36を直交するように延出されている。また、レバー部106の第1の部位110は、排出搬送路36内に位置する。これにより、レバー部106はガイドフレーム113に制限されることなく、検出位置L1における前記シートの搬送方向に沿う方向に揺動可能となる。つまり、検出位置L1において、レバー部106は、搬送されてくるシートが当接して押圧力を受けると、このシートにより押されて搬送方向へ揺動可能である。
例えば、図7に示されるように、主搬送路34を通ってシートが前記検出位置L1に達すると、そのシートの搬送方向前端がレバー部106を排出ローラー対33側に押す。これにより、レバー部106は、その先端部1061が排出ローラー対33側に変位するように前記初期姿勢から揺動する。このレバー部106の揺動に伴い、遮光部108は、発光器103と受光器104との間のスペース115(図4参照)から図7の時計周り方向に揺動してスペース115の外部に移動する。このとき、受光器104は、発光器103から出力される光を受光しない状態から受光する状態に遷移する。制御部9は、この受光器104の出力変化に基づき、シートが検出位置L1の通過を開始したと判定する。
その後、シートの搬送方向後端が検出位置L1を通過すると、レバー部106はシートから押されなくなる。そのため、コイルスプリング107による付勢力によりレバー部106は前記初期姿勢に向けて揺動する。このレバー部106の揺動に伴い、遮光部108は、スペース115の外部から図7の反時計周り方向に揺動してスペース115の内部に移動する。このとき、受光器104は、発光器103から出力される光を受光する状態から受光しない状態に遷移する。制御部9は、この受光器104の出力変化に基づき、シートが検出位置L1の通過を終了したと判定する。
さらに、図8に示されるように、スイッチバックされ排出搬送路36を逆送されるシートが前記検出位置L1に達すると、そのシートの搬送方向前端がレバー部106を反転搬送路35側に押す。これにより、レバー部106は、その先端部1061が反転搬送路35側に変位するように前記初期姿勢から揺動する。このレバー部106の揺動に伴い、遮光部108は、発光器103と受光器104との間のスペース115から図9の反時計周り方向に揺動してスペース115の外部に移動する。このとき、受光器104は、発光器103から出力される光を受光しない状態から受光する状態となる。制御部9は、この受光器104の出力変化に基づき、シートが検出位置L1の通過を開始したと判定する。
その後、シートの搬送方向後端が前記検出位置L1を通過すると、レバー部106はシートから押されなくなる。そのため、コイルスプリング107による付勢力によりレバー部106は前記初期姿勢に向けて揺動する。このレバー部106の揺動に伴い、遮光部108は、前記スペースの外部から図9の時計周り方向に揺動して前記スペースの内部に移動する。このとき、受光器104は、発光器103から出力される光を受光する状態から受光しない状態に遷移する。制御部9は、この受光器104の出力変化に基づき、シートが検出位置L1の通過を終了したと判定する。
以上の構成に加えて、レバー部106は、前記初期姿勢に位置するとき、排出搬送路36を構成する本体フレーム113だけでなく本体フレーム114をも貫通し、その先端部1061が排出搬送路36の外部であって、ガイドフレーム114の外側に配置される。
ところで、レバー部106は、樹脂成型品である。具体的には、レバー部106は、溶融したプラスチックを射出して成型することにより製作される射出成型品である。レバー部106は、細幅長尺な形状である。そのため、容易に離型しやすいように、固定側金型でレバー部106の幅方向一方側を型取り、可動側金型でレバー部106の幅方向他方側を型取りする。この場合、レバー部106の先端部1061にPL段差1068(図9参照)が生じることになる。
仮に、レバー部106の先端部1061が本体フレーム114を貫通しないで排出搬送路36上に位置していると、図9に示されるように、レバー部106の先端面1065に形成されているPL段差1068でシートが引っかかる可能性がある。すなわち、例えば図10(A)に示されるように、PL段差1068の段差面1069が排出搬送路36側に位置するようにレバー部106が取り付けられている場合、排出搬送路36から反転搬送路35に向けてシートを搬送する際に、シートの搬送方向前端がその段差面1069に引っかかる可能性がある。
また、図10(B)に示されるように、段差面1069が主搬送路34側に位置するようにレバー部106が取り付けられている場合、主搬送路34から排出搬送路36に向けてシートを搬送する際に、シートの搬送方向前端がその段差面1069に引っかかる可能性がある。
これに対し、本実施形態では、前記初期姿勢にあるレバー部106が本体フレーム113,114を貫通するようにし、初期姿勢におけるレバー部106の先端面1065を排出搬送路36外に位置させている。よって、シートがその先端面1065に形成されているPL段差1068に引っかかることが無い。その結果、シート後端の搬送は続いているのに、シートの搬送方向前端が段差面1069に引っかかることでシートの搬送がその搬送方向前端で塞き止められ、その結果、シートジャムが発生するという不具合が生じるのを防止することができる。
また、図9に示されるように、レバー部106は、接触してきた前記シートの搬送方向前端を先端側へガイドするガイド面1067を有する。本実施形態では、レバー部106のうち前記シートと接触する部位が所定の曲率で湾曲化(曲面化)されており、この曲面がガイド面1067として形成されている。シートが接触する部位とは、レバー部106の先端部1061のうち前記検出位置L1における搬送方向両側の端部である。
これにより、図11(A)に示されるように、主搬送路34から排出搬送路36に向かって搬送される状況においては、シートの搬送方向前端が正面視で右側のガイド面1067に当接したときに、前記先端方向の成分の分力F1を生じさせる。よって、シートの搬送方向前端がレバー部106の先端面1065側(矢印500の方向)へガイドされることとなる。したがって、シートがレバー部106の基端側(矢印600の方向)に反り返って搬送されるのを防止することができる。
また、図11(B)に示されるように、排出搬送路36から反転搬送路35に向かって搬送される状況においては、シートの搬送方向前端が正面視で左側のガイド面1067に当接したときに、前記先端方向の成分の分力F2を生じさせる。よってシートの搬送方向前端がレバー部106の先端面1065側(矢印700の方向)へガイドされることとなる。したがって、シートがレバー部106の基端側(矢印800の方向)に反り返って搬送されるのを防止することができる。なお、先端部1061とは、レバー部106の先端側における一定の大きさを有する部位をいい、先端面1065は、その先端部1061のうち最も先端に位置する平面状の端面をいう。
シート検出装置100を用いた制御部9のシート検出処理について説明する。図12は、1枚のシートに対して制御部9により行われるシート検出処理のフローチャートである。この処理は、シートに対する両面印刷が行われる場合に実行される。なお、図12のフローチャートにおいてステップS1、S2、・・・は処理手順(ステップ)番号を表している。なお、以下の処理は、画像形成部32により片面に印刷された直後のシートがシート検出装置100の検出位置L1に進入しようとする状況で行われる処理である。
図12に示されるように、制御部9は、シート検出装置100からの出力信号が変化したか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、制御部9は、シート検出装置100からの出力信号が、発光器103からの光を受光器104が受光していない旨の非受光信号から受光した旨の非受光信号に切り替わったか否かを判定する。なお、この判定処理は、制御部9により前記出力信号が変化したことが検出されるまで一定の時間間隔で行われる。
制御部9は、シート検出装置100からの出力信号が変化したと判定すると(ステップS1でYES)、主搬送路34から排出搬送路36に向かうシートの搬送方向前端が検出位置L1を通過したと判定する(ステップS2)。続いて、制御部9は、シート検出装置100からの出力信号が再度変化したか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、制御部9は、シート検出装置100からの出力信号が前記受光信号から前記非受光信号に切り替わったか否かを判定する。なお、この判定処理も、制御部9により前記出力信号が変化したことが検出されるまで一定の時間間隔で行われる。
そして、制御部9は、シート検出装置100からの出力信号が再度変化したと判定すると(ステップS3でYES)、主搬送路34から排出搬送路36に向かうシートの搬送方向後端が検出位置L1を通過したと判定する(ステップS4)。制御部9は、所定のタイミングで排出ローラー対33を逆回転させる(ステップS5)。これにより、シートのスイッチバックが行われ、シートは、排出搬送路36から反転搬送路35に搬送されることとなる。
制御部9は、ステップS1〜S4と同様の処理を行う(ステップS6〜S9)。すなわち、制御部9は、シート検出装置100からの出力信号が変化したか否かを判定する(ステップS6)。なお、この判定処理は、制御部9により前記出力信号が変化したことが検出されるまで一定の時間間隔で行われる。
制御部9は、シート検出装置100からの出力信号が変化したと判定すると(ステップS6でYES)、排出搬送路36から反転搬送路35に向かうシートの搬送方向前端が検出位置L1を通過したと判定する(ステップS7)。続いて、制御部9は、シート検出装置100からの出力信号が再度変化したか否かを判定する(ステップS8)。なお、この判定処理も、制御部9により前記出力信号が変化したことが検出されるまで一定の時間間隔で行われる。
制御部9は、シート検出装置100からの出力信号が再度変化したと判定すると(ステップS8でYES)、排出搬送路36から反転搬送路35に向かうシートの搬送方向後端が検出位置L1を通過したと判定する(ステップS9)。また、制御部9は、排出ローラー対33の回転方向を正方向に戻す(ステップS10)。
以上のように、本実施形態では、前記初期姿勢におけるレバー部106の先端面1065を排出搬送路36を構成するガイドフレーム113とガイドフレーム114の内、ガイドフレーム113の貫通孔1131から突出し、排出搬送路を介して、ガイドフレーム114の内部へ埋没させた。よって、検出位置L1に正逆方向どちらの方向からシートが搬送される場合であっても、そのシートの搬送方向前端がレバー部106の先端面1065に形成されているPL段差1068に引っかかるのを回避することができる。そのため、シート後端の搬送は続いているのに、シートの搬送方向前端がPL段差1068の段差面1069に引っかかることで、シートジャムが発生するという不具合が生じるのを防止することができる。このように、本実施形態では、レバー部106の先端部1061に形成されているPL段差1068によってシートの適切な搬送が阻害されるのを防止することができる。
また、本実施形態では、レバー部106は、接触してきたシートの搬送方向前端をレバー部106の先端側へガイドするガイド面1067を有する。これにより、シートの搬送方向前端がレバー部106の先端部1061側へガイドされ、レバー部106の基端側に反り返るように搬送されるのを防止することができる。これによっても適切なシートの搬送を実現することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は前述した内容のものに限られず、種々の変形例が適用可能である。
前記実施形態では、シートからレバー部106が押されていない状況下では、レバー部106が前記初期姿勢となるようにレバー部106等を付勢するコイルスプリング107が設けられている。しかし、レバー部106等の各部を付勢する付勢手段はコイルスプリング107に限定されず、例えばゴム等の弾性部材を付勢手段として採用することも可能である。さらに、シートからレバー部106が押されていない状況下で、揺動軸部105、レバー部106及び遮光部108からなる一体物の自重及びその重量バランスによりレバー部106を前記初期姿勢にさせることができる場合は、前記のような付勢手段は不要となる。
前記実施形態では、ガイド面1067を曲面としたが、ガイド面1067の形状は曲面に限定されるものではない。例えば、図13に示すように、レバー部106がその先端面1065に向かって先細りするような平面状の傾斜面(テーパー面)であってもよい。すなわち、図13(A)に示すように、前記のような傾斜面を、シートの搬送方向前端が当接しうる部位全体に形成された傾斜面1067aでもよい。或いは、図13(B)に示すように、シートの搬送方向前端が当接する部位がほぼ決まっている場合には、その部位にのみ部分的に形成された傾斜面1067bであってもよい。