JP2015147337A - プリンタヘッド及びプリンタヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなインクジェットプリンタでは、近年の印刷品質向上の要求に対応してインクの吐出孔のサイズも小さくなっている。
そこで、プリンタヘッドにインクを供給する複数の溝を形成し、その表面に吐出孔を加工したフィルムを貼り付けることが考えられる。
これは、接着剤が厚すぎると貼り付けた際の圧力で吐出孔が塞がれたり、または吐出孔周辺の体積が必要以上に小さくなることで適切でない吐出が行われたりするためである。
このように塗布する接着剤の厚さが重要になり、塗布後に厚さの検査を行うことになる。
図9(a)に示したように、基材1Jに接着剤2Jを塗布した後、接着剤2Jに対して光源7Jから光を照射してその反射光をCCDカメラ6J等にて測定することで塗装ムラにより生じる光沢の変化を検出するものである。
また、接着剤を塗布した後の基材における塗布面までの距離をレーザ変位計で測定することで、膜厚を検出する方法もある。
更に、特許文献1では、粘着剤塗布面を赤外線照射によって十分に加熱した後、粘着剤の塗布厚みを蓄熱量として計測する技術が提案されている。
また、面を計測するための装置として、白色干渉計がある(特許文献2)。
また厚さが異なる基材1Jへの塗布の場合、接着剤2Jの塗布厚さは一定であっても、レーザ変位計では塗布厚みが一定でないと検出してしまう。
特許文献1記載の方法では、基材の表面にもともと温度ばらつきが生じている場合には蓄熱量が異なるため正確な測定を行うことができない。
このため、図9(b)に示されるように、基材表面pに対して、共に均等な厚さで塗布されているが、適切な塗布面aと、厚すぎる部分があるために不適切な塗布面bとが同様な測定結果となり、両者を区別することができない。
また、塗布前に基材表面pを測定し、その平均値Qを求めることで、基材表面の平均値に対する厚さを算出することは可能であるが、基材表面pと均一な厚さで塗布されている塗布面aが、塗布箇所r1では厚すぎであり、塗布箇所r2では薄すぎと判定され、不適切と判定される可能性がある。
(2)請求項2に記載の発明では、前記未塗布ラインは、前記塗布された接着剤の厚さを検出する干渉計で取り込む画素サイズの2倍以上である、ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタヘッドを提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記接着剤は、0.5μm以上、5μm以下の厚さである、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプリンタヘッドを提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記ノズル溝、及び吐出孔は、複数列形成されている、ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は、請求項3に記載のプリンタヘッドを提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記接着剤には、所定サイズ径のシリカボールが混入されている、ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載のプリンタヘッドを提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、1ドット分の印字に対応して複数のノズル溝が並設され、前記各ノズル溝毎に加圧する圧力発生機構が配設されるノズル本体の、前記ノズル溝が形成された側の表面で、少なくとも前記ノズル溝のすべてを含む領域内に、少なくとも一方の側が、前記領域の外周端、又は、前記ノズル溝周囲の端部まで続く、接着剤が塗布されていない未塗布ラインを形成して、接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、前記塗布された接着剤の塗布厚を干渉計により測定し、所定基準を満たしているか否かを検査する塗布厚検査工程と、塗布厚が所定基準を満たしているノズル本体の前記接着剤の塗布面に、前記ノズル溝に対応してインクの吐出孔が形成された吐出孔板を接着する接着工程と、を備えたことを特徴とするプリンタヘッドの製造方法を提供する。
(7)請求項7に記載の発明では、前記塗布厚検査工程は、前記未塗布ライン上の基準画素からの厚さを測定する、ことを特徴とする請求項6に記載のプリンタヘッドの製造方法を提供する。
(8)請求項8に記載の発明では、前記塗布厚検査工程は、前記未塗布ライン上の最も低い箇所を基準画素とし、膜厚測定画素に対する前記基準画素からの厚さを、当該膜厚測定画素の最も近くに存在する未塗布ライン上の最近接未塗布画素に対する前記基準画素からの厚さを減じた値を使用して、所定基準を満たしているか否かを検査する、ことを特徴とする請求項6又は、請求項7に記載のプリンタヘッドの製造方法を提供する。
(1)実施形態の概要
図1に示すように、本実施形態のプリンタヘッド1は、インクが供給されるノズル本体10に形成された複数のノズル溝(インク室)11を塞ぐように吐出孔板20が接着剤30により貼付される。吐出孔板20には、各ノズル溝11に対応してその中央部に吐出孔21が形成されている。
接着剤30は、ノズル本体10のノズル溝11が形成された側の表面に、ノズル溝11を避けて塗布する。接着剤の塗布面は、接着剤が塗布される塗布部と、未塗布部分から構成される。
本実施形態の未塗布部分は、図2に示すように、ノズル本体10の短手方向に延びる未塗布ライン31と、長手方向に延びる未塗布ライン32で構成される。両未塗布ライン31、32は、少なくともその一方の側が、塗布領域の外周端、又は、ノズル溝11を避けたノズル領域(未塗布領域)まで形成されるが、本実施形態では両端が共に外周端又はノズル領域まで形成されている。
このように、ライン状の未塗布部分を設けると共に、その端部が塗布領域の端部まで形成することで、吐出孔板20を貼ったときに入り込む空気を減少させることができる。
図1は、本実施形態におけるプリンタヘッド1の構成を表したものである。図1(a)はインクが吐出するヘッド面の全体図、(b)はヘッド面の一部拡大図、(c)は長手方向の断面図である。
なお、本実施形態における各図では、プリンタヘッド1の各部の寸法が小さいため、説明を解り易くするために寸法比を適宜変更して表示している。
プリンタヘッド1のヘッド面におけるサイズは、各プリンタ毎により異なるが、本実施形態では、長さ95mm、幅14mmに形成されている。
上段ノズル溝群11aと下段ノズル溝群11bの長さは、約71.7mmの範囲で形成されている。
ノズル本体10の印刷面(インクを吐出する側で、図面上側)には、複数のノズル溝11が形成されている。本実施形態のプリンタヘッド1には、1列当たり263個のノズル溝11が形成されている。
各ノズル溝11は、図1(c)に示すように、プリンタヘッド1の短手方向に延びる溝であり、長さ350μm、幅66μmに形成される。
本実施形態では、ノズル本体10自体にインクの吐出孔を形成していないので、加工が容易なサイズのノズル溝11とすることができる。
吐出孔板20は、各種材料で構成可能であり、本実施形態ではポリイミドフィルムが使用されているが、他にガラス板やステンレス板等が使用可能である。
吐出孔板20の厚さは、50μmである。
膜厚調節部材としては、例えば、略球形のシリカボールを使用することができる。
膜圧調節部材は接着後の厚さ調整用であるため、吐出孔板20を接着した後の接着剤30の厚さの既定値以下の直径である必要があり、かつ、接着力の強度を得るために要求される厚さ以上の直径である必要がある。
吐出孔21は、ノズル溝11の中央に位置するように形成され、その直径は30μmに形成されている。
この吐出孔板20によって、ノズル溝11の解放面が覆われることにより、図示しない供給路を経由してインクが供給されるとともに、吐出前のインクが保持されるインク供給室が形成される。
この圧力発生機構40は、各ノズル溝11毎に、インク室内に保持されたインクに圧力をかけて吐出孔21からインクを吐出させるための機構(アクチュエータ)である。
この圧力発生機構40による圧力発生方法については、圧電素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて変形させることでインクを押し出すピエゾ方式や、ヒータでインクを加熱して瞬間的に沸騰させ気化の衝撃によりインクを押し出すサーマル方式のいずれでもよい。
なお、図面では、ノズル本体10の外側に圧力発生機構40を配置した状態を表示しているが、実際には、各方式に応じた素子(ピエゾ素子、加熱素子)が、各ノズル溝11毎に圧力発生方式に応じて配設される。
各ノズル溝11(吐出孔21)は、その中心間の距離(ノズルピッチ)が282μmの間隔で形成されている。
また、上段ノズル溝群11aのノズル溝11(吐出孔21)と、下段ノズル溝群11bのノズル溝11(吐出孔21)とは、1270μmの間隔で形成されている。
また、上段ノズル溝群11aの各ノズル溝11(吐出孔21)と、下段ノズル溝群11bの各ノズル溝11(吐出孔21)とは、互いに1/2ピッチずつずれて形成されている。
図2に示されるように、吐出孔板20は、接着剤30によりプリンタヘッド1に貼られるため、プリンタヘッド1の外径寸法と同じく長さ95mm、幅14mmで形成されている。
吐出孔板20に形成された各吐出孔21は、上述のように各ノズル溝11に対応して形成されることで、上段ノズル溝群11aに対応する上段吐出孔群21a、下段ノズル溝群11bに対応する下段吐出孔群21bが形成されている。
吐出孔板20の長手方向の両端には、円形の穴22と穴23が形成されている。この穴22、23は直径54μmで、吐出孔板20を貼付ロボットで保持した際の保持位置の位置出しに使用される。
図3は、ノズル本体10に、未塗布部分を設けて接着剤30を塗布した状態を表した概念説明図である。
接着剤30は、ノズル本体10の印刷面側の全面に対して、ノズル溝11部分と、ノズル本体10の幅方向(短手方向)に延びる未塗布ライン31と、長手方向に延びる未塗布ライン32を残して塗布される。接着剤30の塗布は後述するように、スクリーン印刷と転写によって塗布される。
幅方向に延びる未塗布ライン31は長手方向に、また長手方向に延びる未塗布ライン32は幅方向に、それぞれ所定の間隔で複数本形成されている。
この未塗布ライン31、32は、後述する白色干渉計による接着剤30の塗布状態(塗布厚)を検査する際の、基準面として機能するものである。
従って、図3に点線で示した、白色干渉計で取り込むレンズ視野範囲34内に、少なくとも1本の未塗布ライン31又は未塗布ライン32が形成されていることが必要である。すなわち、レンズ視野範囲34の距離以下の間隔で未塗布ライン31、32が形成される必要がある。なお、図3においてレンズ視野範囲34を示した点線はいずれも説明のための仮想線である。
なお、白色干渉計による接着剤30の塗布状態検査の基準面として機能させるためには、レンズ視野範囲34内に少なくとも1箇所の未塗布部分があればよく、必ずしもライン状でなくてもよい。但し、本実施形態では、ライン状に未塗布部分(未塗布ライン31、32)を形成することで、レンズ視野範囲34内でのノズル本体10表面の変位(ゆがみ)を併せて検出することができ、ノズル本体10の変位を使用することで、接着剤30の検出単位(ピクセル)毎の厚さをより正確に検出することができる。
また、未塗布ライン31、32をライン状に形成することで後述する気体抜きの効果を得ることもできる。
図5は、接着剤30の塗布部分と未塗布ライン31、32の一部を表したもので、点線の更に外側は省略されており、実際には吐出孔板20と同一サイズまで形成されている。
なお、図3、図4で示した未塗布ライン31、32とは説明を分かり易くするために寸法比率を変えて表示している。
未塗布ライン31、32は、図5に示すようにライン方向の両側が、接着剤30の塗布領域の端部まで形成されているが、いずれか一方側が端部まで形成されるようにしてもよい。また、未塗布ライン31と、未塗布ライン32のいずれか一方のみ形成するようにしてもよい。ここで、接着剤30の塗布領域の端部は、接着剤30の外縁、及び、ノズル溝11に対応する未塗布部分の内縁をいう。
未塗布ライン31、32の少なくとも一方が、塗布領域の端部まで形成されることで、接着剤30塗布後に吐出孔板20を貼り合わせる際に巻き込んで入った空気等の気体を未塗布ライン31、32に移動させて外部に抜く気体抜き(脱泡経路)として機能させることができる。
白色干渉計によるレンズ視野範囲34を更に細分化した、測定分解能面積単位である画素35(ピクセル)毎に接着剤30及び未塗布ライン31、32の測定値が求まる。
つまり、未塗布ライン31、32の幅は、画素35のサイズの2倍以上であることが必要である。この未塗布ライン31、32の必要な幅は、吐出孔板20を貼り付ける前の塗布厚検査を行う際の幅であり、吐出孔板20を貼り付けた後は、接着剤30が未塗布ライン31、32に入り込んでも問題はない。
但し、吐出孔板20を接着した後の接着剤30の厚さは、上述の通り0.5〜5μm、好ましくは1〜3μmであるから、この範囲で選択した厚さとなるように、未塗布ライン31、32、及びノズル溝11への入り込み量を考慮して接着剤30の塗布厚を定量的に求めて塗布される。
そして、求めた接着剤30の塗布厚が白色干渉計により検査される。
本実施形態において接着剤30の塗布状態を検出する白色干渉計は、可干渉性の少ない高輝度白色光を光源とし、光源から出た光を2つに分割し、別々の光路を通ったあと再び重ね合わせ、光路差により発生する干渉縞を捉え、これを解析して被写体の表面形状を求めるものである。
この白色干渉計を使用し、図4に示すように、ノズル本体10に塗布した接着剤30が、レンズ視野範囲34で面状に走査される。そして、白色干渉計の走査結果に対して、レンズ視野範囲34を更に細分化した測定分解能面積単位である画素35(ピクセル)毎に接着剤30及び未塗布ライン31、32の測定値が求まる。
具体的には、測定対象である接着剤30の塗布面上を面状に走査してその干渉縞分布を求める。例えば、図4に示した、レンズ視野範囲34内による干渉縞の間隔差を基材のXY方向へ面状に走査移動させることで干渉スペクトルを検出し、干渉縞の間隔長から基準面となる未塗布ライン31、32を基準面とする相対的な厚さを各画素35毎に算出する。
そして、基準面と各画素との位置のずれのため、ノズル本体10の表面が基準画素よりもΔLだけ高い箇所では、その画素での接着剤30の厚さはΔLだけ厚い値として測定されてしまう。すなわち、ΔLの誤差が生じてしまう。
例えば、図4における画素Sに対し、最も近くに存在する未塗布ライン31、32上の画素(以下、最近接未塗布画素という。図4の例では図面右方向の画素)の高さを、当該画素Sにおけるノズル本体10の表面の高さとして使用する。すなわち、画素Sに対する最近接未塗布画素の測定値を、画素Sの誤差ΔLと近似値とし、当該画素Sの測定値から近似した誤差ΔL(補正値)を減算した値を補正後の画素Sの測定値とする。
この場合の補正値は、長手方向、短手方向の両最近接未塗布画素の測定値の平均値が補正値となる。
塗膜の塗布厚みが上限規格値及び下限規格値の判定において、例えば基材のある画素35の塗布厚が上限規格値を超える場合や、下限規格値未満である場合には、接着剤30の塗布量が許容限界量よりも多い/少ないと判定できる。よってこのときには、NG判定を表示させて接着剤30の塗布状態が不良であることを表示する。
なお、所定の上限規格値としては、ノズル本体10や接着剤30の材質に応じて、接着剤30が接着時にはみ出しても吐出孔21を塞ぐことがない量の厚さが適切な値として予め規定される。また所定の下限規格値としては、接着剤30の接着強度の観点から規定される。
以下、ノズル本体に吐出孔板20を貼付する作業工程について、図6のフローチャートに従い、図7の作業工程状態を参照しながら説明する。なお、図6のステップ番号に対応して、図7の状態図に同一のステップ番号を付している。
NPテーブル300は、バキュームセンサの吸引力の変化から動作を開始し、設置された吐出孔板20を、y軸方向に沿ってNP貼付ロボット310の下方位置まで移動し、吸引を停止する(ステップ2)。なお、バキュームセンサによる吸引については、吐出孔板20の配置を検出した際に停止するようにしてもよいが、本実施形態では、NPテーブル300の移動の際に吐出孔板20がずれないようにするために水平方向の移動が完了するまで吸引を継続するようにしている。
NP貼付ロボット310は、3軸ロボットで構成されており、上下方向(z軸方向)の1軸、および水平方向(x軸、y軸)の2軸に移動可能である。
NP貼付ロボット310は、図7に示すように、ノズル本体10の位置を確認するためのチップ位置確認カメラ311と、ノズル本体10に塗布された接着剤を測定するための接着剤測定カメラ(白色干渉計)312、及び、吐出孔板20を吸引により保持する吸引保持装置(保持手段、図示しない)を備えている。
NP貼付ロボット310は、下方に移動してきたNPテーブル300上に設置されている吐出孔板20の上面を吸引保持装置で吸引保持する。
吐出孔板20を保持したNP貼付ロボット310は、上方に移動した後、ノズル本体10上に吐出孔板20を貼付する所定の貼付位置の上方位置に向けて水平方向に移動する。この貼付位置への移動経路上の下方に配置された、NP位置確認カメラ320で吐出孔板20を撮像し、撮像画像の画像処理によって穴22、23の位置を特定(検出)し、NP貼付ロボット310による吐出孔板20の保持位置の位置出しを行う。
ノズルテーブル400は、x、y、θ方向の微調整が可能な微調整テーブルを備えており、この微調整テーブル上にノズル本体10が設置される。微調整テーブルは、後述のステップにより位置出しがされたノズル本体10の設置位置と、吐出孔板20の保持位置とに基づいて、ノズル本体10の適正位置に吐出孔板20を貼り付けられるように、x、y、θの微調整がなされる。
なお、バキュームセンサによる吸引については、ノズルテーブル400による水平方向の移動が完了するまで吸引を継続するようにしてもよいが、本実施形態では、薄くて軽い吐出孔板20と異なり、ノズル本体10は自重で安定しているので、ノズル本体10を検出した際に停止するようにしている。
この測定により、ノズル本体10上面のうねりや凹凸を測定し所定基準以上のうねり等がある場合には不良品として警告が表示され、次のノズル本体10に交換されてステップ5に戻る。また、正常品である場合には、ノズルテーブル400上におけるノズル本体10の位置(xy座標位置)も併せて検出される。
接着剤測定カメラ312による測定は約1分程度で行われる。
図8に示されるように、スキージは、x軸方向(図面左右方向)に移動する1軸ロボットで構成される、マスクテーブル500の上面にマスク材515を配置して行われる。マスクテーブル500は、x軸方向に1〜300mm/secの範囲で移動するように速度制御される。
スキージ装置510は、スキージ本体511を備えており、スキージ本体511には、x軸方向の両側に、第1スキージ512、第2スキージ513が配設されている。第1スキージ512、第2スキージ513は、マスク材515に対して所定の角度に傾斜している。この傾斜角度については0〜30度の範囲で調節可能である。また、両スキージ512、513は、エアシリンダによって上下方向に移動可能に構成され、1kgf〜10kgfの範囲で押しつけ力が調整される。
一方、図8(b)に示すように、マスクテーブル500がx軸に沿って図面右側方向に移動する場合には、エアシリンダによって第2スキージ513は上方に退避し、第1スキージ512がマスク材515に押しつけられる。この状態で、マスクテーブル500が右方向に移動することで、マスク材515上に供給された接着剤514がスキージされる。
接着剤514の供給は、スキージの前に予めマスク材515上に供給した後にマスクテーブル500が移動する場合と、図示しない接着剤供給装置から両スキージ512、513の前方に接着剤を供給しながらマスクテーブル500が移動する場合、のいずれの方法も可能である。
なお、接着剤には、接着後の厚さ調整のために、所定径サイズのシリカボールを一定割合で混入するようにしてもよい。
パッド520は、z軸方向とx軸方向に移動可能な2軸ロボットに配設されている。
スキージが完了したマスクテーブル500は、x軸上を図面左側に、パッド520の下方まで移動する。そして、パッド520を、スキージされたマスクテーブル500に向けて押しつけることで接着剤をパッド520に転写(接着剤の供給)をする(ステップ9)。
すなわち、パッド520は、転写後に上方位置に戻った後、ノズルテーブル400上までx軸方向に移動し、ステップ7で検出した、ノズルテーブル400上におけるノズル本体10のxy座標位置にあわせて位置調整を行い停止する。
その後、z軸方向に下降することでパッド520をノズル本体10に押しつけることで、ステップ9で転写した接着剤をノズル本体10に塗布する(ステップ10)。
クリーニング装置530は、送り側トルクモータ531と巻き取り側インダクションモータ532を備え、クリーニングテープ533の張力(テープテンション)を維持しながら、接着剤塗布後のクリーニング動作毎に巻き取られるようになっている。クリーニングテープは、複数回分のクリーニングが可能な長さ分が巻かれたテープローラが送り側トルクモータ531にセットされ、クリーニング完了後に、巻き取り側インダクションモータ532にセットされた巻き取りローラに、クリーニング1回分の長さだけ巻き取られるようになっている。
一方、パッド520は、クリーニング完了後、接着剤パッド転写(ステップ9)のための待機位置に戻る。
パッド520の降下速度は、接触時に速度を落とすことができるようになっており、各ステップに応じて、1〜300mm/secの範囲で3種設定可能になっている。
また、パッド520の押し付け力は、各ステップに応じて、0.1kgf〜5kgfの範囲で3種設定可能になっており、押しつけ力については、ロードセルで押圧力を監視するようになっている。
パッド520の押し付け時間については、0.5秒以上の範囲で可変であり、各ステップに応じて3種設定可能になっている。
塗布量の測定は、上述したように、基準面に対する誤差ΔL分の補正をした塗布厚さが求められ、補正後の塗布厚から塗布状態の良否が判断される。
ノズル本体10の位置出しは、ノズル本体10に形成されたノズル溝11のうち、左端と右端に存在するノズル溝11の中心を撮像画像から求めることで位置出しを行う。左端と右端のノズル溝11については、上段ノズル溝群11a、下段ノズル溝群11bのいずれを使用してもよく、また、上段、下段を含めた全ノズル溝11における左右両端のノズル溝11を使用してもよい。
すなわち、位置出し済みのノズル本体10の設置位置と、吐出孔板20の保持位置とに基づいて、ノズル本体10と吐出孔板20の両位置が一致するように、ノズル本体10が設置されている、ノズルテーブル400の微調整テーブルをx、y、θ方向に微調整する。
微調整テーブルの微調整後に、NP貼付ロボット310をz軸に沿って下方に移動し、ノズル本体10直前で速度を十分に減速したうえで、保持している吐出孔板20をノズル本体10に塗布された接着剤30に接触させることで貼り合わせる。この貼付の際に、ノズル本体10への押圧力をNP貼付ロボット310側で測定(例えば、ロードセルによる)し、適切な押圧力となる位置まで吐出孔板20を移動するようにしてもよい。
また、吐出孔板20を貼り付けて完成したプリンタヘッド1は、ノズルテーブル400とともに、y軸方向に移動し、製品として取り出されることで処理を終了する。以上の前処理によるサイクルタイムは、ノズル本体10と吐出孔板20を設置する時間を除き、1個あたり90秒以下で処理される。
11 ノズル溝
20 吐出孔板
21 吐出孔
30 接着剤
31、32 未塗布ライン
40 圧力発生機構
Claims (8)
- インクジェットプリンタに使用されるプリンタヘッドであって、
1ドット分の印字に対応して複数のノズル溝が並設されたノズル本体と、
前記ノズル本体の前記ノズル溝が形成された側の表面で、少なくとも前記ノズル溝のすべてを含む領域に塗布された接着剤と、
前記ノズル溝内のインクが吐出する吐出孔が、前記ノズル溝の各々に対応して形成された吐出孔板と、
前記ノズル溝内のインクに圧力を加えて前記インクを前記吐出孔から吐出させる加圧部を、各ノズル溝毎に備えた圧力発生機構と、
を備え、
前記接着剤の塗布領域内には、少なくとも一方の側が、前記塗布領域の外周端、又は、前記ノズル溝周囲の端部まで続く、前記接着剤が塗布されていない未塗布ラインが形成されている、
ことを特徴とするプリンタヘッド。 - 前記未塗布ラインは、前記塗布された接着剤の厚さを検出する干渉計で取り込む画素サイズの2倍以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタヘッド。 - 前記接着剤は、0.5μm以上、5μm以下の厚さである、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプリンタヘッド。 - 前記ノズル溝、及び吐出孔は、複数列形成されている、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は、請求項3に記載のプリンタヘッド。 - 前記接着剤には、所定サイズ径のシリカボールが混入されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載のプリンタヘッド。 - 1ドット分の印字に対応して複数のノズル溝が並設され、前記各ノズル溝毎に加圧する圧力発生機構が配設されるノズル本体の、前記ノズル溝が形成された側の表面で、少なくとも前記ノズル溝のすべてを含む領域内に、少なくとも一方の側が、前記領域の外周端、又は、前記ノズル溝周囲の端部まで続く、接着剤が塗布されていない未塗布ラインを形成して、接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記塗布された接着剤の塗布厚を干渉計により測定し、所定基準を満たしているか否かを検査する塗布厚検査工程と、
塗布厚が所定基準を満たしているノズル本体の前記接着剤の塗布面に、前記ノズル溝に対応してインクの吐出孔が形成された吐出孔板を接着する接着工程と、
を備えたことを特徴とするプリンタヘッドの製造方法。 - 前記塗布厚検査工程は、前記未塗布ライン上の基準画素からの厚さを測定する、
ことを特徴とする請求項6に記載のプリンタヘッドの製造方法。 - 前記塗布厚検査工程は、前記未塗布ライン上の最も低い箇所を基準画素とし、膜厚測定画素に対する前記基準画素からの厚さを、当該膜厚測定画素の最も近くに存在する未塗布ライン上の最近接未塗布画素に対する前記基準画素からの厚さを減じた値を使用して、所定基準を満たしているか否かを検査する、
ことを特徴とする請求項6又は、請求項7に記載のプリンタヘッドの製造方法。
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