JP2015145343A - ランソプラゾールの新規医薬用途 - Google Patents

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敬司 上山
悠太 山本
Yuta Yamamoto
悠太 山本
利男 西
Toshio Nishi
利男 西
泰伸 山下
Yasunobu Yamashita
泰伸 山下
雅夫 一瀬
Masao Ichinose
雅夫 一瀬
松尾 孝徳
Takanori Matsuo
孝徳 松尾
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Abstract

【課題】全身臓器、特に実質臓器で、酸化ストレス刺激を加えることなく、酸化ストレス防御遺伝子群の発現を誘導し得る薬剤を提供すること。
【解決手段】ランソプラゾールを含有してなる、酸化ストレス防御遺伝子、例えばAhr、Cyp1、Nrf2、HO-1等の発現誘導剤、酸化ストレス性疾患の予防及び/又は治療剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロトンポンプ阻害薬として知られるランソプラゾールの新規医薬用途に関する。より詳細には、本発明は、ランソプラゾールを含有する酸化ストレス防御遺伝子の誘導剤、酸化ストレス性疾患の予防及び/又は治療剤に関する。
NF-E2-related factor (Nrf2) は、塩基性−ロイシンジッパー構造を有する、CNC (Cap’n’Collar) 転写因子群に属する転写因子である。通常は細胞質内に存在し、Keap 1 (kelch-like ECH associating protein 1)とよばれる制御タンパク質と結合しているが、酸化ストレス刺激を受けると、Keap1と解離して核内に移行して小Maf群転写因子とヘテロ二量体を形成し、標的遺伝子の調節領域内に存在するARE (Antioxidant Responsive Element) 配列に結合し、標的遺伝子の転写を活性化する。
Nrf2はグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)やキノンオキシドレダクターゼ(NQO1)などの解毒化酵素を誘導して、4-hydroxynonenal (HNE) 等の親電子物質を無毒化する。また、GSTやグルタチオンペルオキシダーゼの基質である細胞内グルタチオンの合成を制御する。さらに、ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)やチオレドキシン還元酵素などの抗酸化ストレス酵素遺伝子群、トランスケトラーゼなどのペントースリン酸経路、抗炎症性遺伝子群、ユビキチン−プロテアソームシステムに関与する遺伝子群、薬物トランスポーター遺伝子などを統一的に誘導し、酸化ストレスに対する恒常性維持機構として働いていることが、マイクロアレイ解析などにより明らかになってきている(非特許文献1)。
HO-1は、Nrf2により誘導され、全身臓器(肝臓、腎臓、肺)で強力な抗酸化ストレス作用を発揮する酵素である。ヘモグロビン等のヘム蛋白由来のヘムは活性酸素生成を促し、細胞障害を起こす。それに対して、HO-1は、ヘムを分解し、一酸化炭素(CO)、ビルベルジン(biliverdin)、鉄イオンを産生する。COは血管拡張作用や抗炎症作用を示し、ビルベルジンは、生体で最強の抗酸化ストレス物質であるビリルビンに変換され、鉄イオンはフェリチンに捕捉されて無毒化される。即ち、HO-1が誘導されると、生体は酸化ストレスに抵抗性を獲得する。
薬物代謝とは、薬、毒物などの生体外物質(ゼノバイオティクス (Xenobiotics)、異物ともいう)を分解あるいは排出するための代謝反応の総称である。これらを行う酵素を総称して薬物代謝酵素という。生体内由来の不要となった物質(ステロイドホルモン、甲状腺ホルモン、胆汁酸、ビリルビンなど)も対象となる。これらの物質は、生体にとって、酸化ストレス源となりうるため、薬物代謝経路は、すなわち酸化ストレスの抑制機構である。
薬物代謝経路は、第1相および第2相の反応に大別できる。
第1相は、対象物質の分子量を低くする(分解する)か、または大きく変えない反応であり、この中で特にシトクロムP450(P450)による酸化が重要である。P450は生物種ごとに数十種もあり、それぞれ基質特異性が異なる。そこで、P450のことをアミノ酸配列の相同性に基づいて分類・限定して、Cyp1(Cytochrome P450, family 1)などの薬物代謝酵素と呼ぶ場合もある。第1相の酵素群を誘導する転写因子として、芳香族炭化水素受容体(Aryl Hydrocarbon Receptor、Ahr)がある。
芳香族炭化水素受容体(Aryl Hydrocarbon Receptor、Ahr)とはbHLH-PAS(Basic Helix-Loop-Helix-Per-Arnt-Sim)ファミリーに属する転写因子である。Ahrは薬物代謝酵素であるCyp1や、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(glutathione S-transferase、GST)やUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UDP glucuronosyltransferase、UGT)などの誘導に関与し、異物の代謝を行う(非特許文献2)。
第2相は、他の分子を付加する(分子量は大きくなる)反応で、抱合(ほうごう)ともいう。付加される分子としては硫酸、酢酸、グルタチオン、グルクロン酸などが代表的であり、動物ではこれらの反応により排出が促進される。グルクロン酸による結合はグリコシド結合の一種である。第2相の酵素群を誘導する転写因子が、Nrf2である。
本発明者らは、各種の障害モデル、ストレスモデルを用いて、ストレスが臓器障害を起こす機序とその治療法を研究し、塩酸投与によるラット急性胃粘膜病変(AGML)モデルの胃粘膜粘液細胞とマクロファージにおいて、脂質酸化ストレスマーカーであるHNEの増加を証明し、その刺激によりNrf2の核内移行を介してHO-1が誘導され、粘膜防御に働いていることを証明した(非特許文献3)。
酸化ストレスに対する防御機構としてのKey moleculeとしての役割を果たしていると考えられるHO-1を、胃で安全に誘導できれば、種々の物質に対する胃粘膜傷害を予防できる可能性がある。そこで、本発明者らは、胃粘膜保護薬であるポラプレジンク(商品名:プロマック(登録商標))のHO-1誘導能について調べ、胃粘膜粘液細胞とマクロファージにおいてHO-1誘導効果を奏することを証明した(非特許文献4)。
ランソプラゾール(商品名:タケプロン(登録商標))は、胃の壁細胞のプロトンポンプ阻害作用を有し(特許文献1)、消化性潰瘍治療薬として市販されている。また、肝障害誘発ラットにおいて、ランソプラゾールはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の上昇を抑制することが報告されている(特許文献2)。さらに、胃粘膜細胞をランソプラゾールで処理すると、HO-1のmRNA及びタンパク質レベルが増加すること、Nrf2の核移行とDNA結合活性が上昇することが報告されている(非特許文献5)。しかし、ランソプラゾール処理によりNrf2の発現自体が誘導されるか否かについては記載されておらず、また、本発明者らの検討によると、in vivoでは、ランソプラゾールを投与しても胃や消化管でHO-1やNrf2は誘導されなかった。
ランソプラゾール自体は、Cyp2c19およびCyp3a4 により代謝される(非特許文献6)。一方、ランソプラゾールはCyp1a1を誘導することが知られている(非特許文献7、非特許文献8)が、ランソプラゾールとAhrの関係を示す記載はない。
特開昭61-50978号公報 特開平8-283158号公報
Motohashi, H. & Yamamoto, M., Trends Mol. Med., 10: 549-557 (2004) Changjiang, X. et al., Arch. Pharm. Res. 28(3): 249-268 (2005) Ueda, K. et al., Am. J. Physiol., 295(3): G460-469 (2008) Ueda, K. et al., J. Phrmacol. Sci., 110(3): 285-294 (2009) Takagi, T. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 331(1): 255-264 (2009) Pearce, R.E., et al., J. Pharmacol. Exp. Ther.,277(2):805-816 (1996) Masubuchi, N. et al., Drug Metab. Dispos., 25(5):584-589 (1997) Yoshinari, K. et a., Biochem. Pharmacol., 76(1):139-145 (2008)
本発明の目的は、全身臓器、特に実質臓器においてHO-1を始めとする抗酸化ストレス作用を有する内因性因子を誘導する薬剤を、既存薬の中から探索し、以って、酸化ストレス性疾患の安全かつ有用な予防及び/又は治療薬を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ランソプラゾールが、経口投与あるいは皮下投与により、全身臓器(肝臓、腎臓、肺)でHO-1を誘導することを見出した。また、ランソプラゾールは、Nrf2で誘導される他の抗酸化ストレス酵素(NAD(P)H dehydrogense, quinone 1、Glutathione S-transferase A2、UDP glucuronosyltransferase 1 family, polypeptide A6)も肝臓と腎臓で誘導した。
HO-1は、肝臓では肝実質細胞で誘導された。チオアセタミド誘発急性肝炎モデルでは、ランソプラゾールは肝炎の程度を軽減し、HO-1阻害剤(SnMP)は逆に肝炎を悪化させる傾向があった。ランソプラゾールは、HO-1阻害剤存在下でも、肝炎の程度を抑制する傾向があった。つまり、ランソプラゾールは、HO-1の誘導やその他の抗酸化ストレス酵素の誘導により肝炎を改善することができることが示された。
さらに、興味深いことに、ランソプラゾールは、Nrf2の核内移行を促進するだけでなく、Nrf2遺伝子自体の発現をも誘導した。Nrf2の核移行を促進する薬剤はこれまでにも報告はあるが、Nrf2遺伝子の発現を誘導する物質はこれまで報告されていない。本発明者らはさらに、ランソプラゾール投与により肝臓で発現が変動する遺伝子群をマイクレロアレイ解析により抽出し、得られた遺伝子群からパスウェイ解析を行った、その結果、ランソプラゾール投与により発現が誘導されるNrf2遺伝子のさらに上流のパスウェイとして、薬物代謝系の第1相の転写因子Ahrが見出された。Ahrで誘導される薬物代謝酵素のCyp1a1の誘導を確認した。
このように、本発明者らは、ランソプラゾールが、第1相の薬物代謝系(Ahr-Cyp1a1)および第2相の薬物代謝系(Nrf2-HO-1)を誘導することで、全身臓器での酸化ストレス耐性を高め、諸臓器の炎症に保護的効果を有することを実証して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]ランソプラゾールを含有してなる、酸化ストレス防御遺伝子の発現誘導剤。
[2]酸化ストレス防御遺伝子がNrf2遺伝子及びその標的遺伝子である、上記[1]記載の剤。
[3]前記標的遺伝子が、HO-1、GSTs(glutathione S-transferases)、NQOs(NAD(P)H quinone oxidoreductases)、UGTs(UDP glucuronosyltransferases)、xCT(cystine/glutamate transporter)、MRP1(multidrug resistance-associated protein 1)、GCL(glutamate-cysteine ligase)、GR(glutathione reductase)、GPX(glutathione peroxidase)、PRX(peroxiredoxin)、SOD(superoxide dismutase)、TRX(Thioredoxin)、TXNRD(thioredoxin reductase)、G6PD(glucose-6-phosphate dehydrogenase)、MSP23(macrophage stress protein 23)、gGCS(gamma-glutamylcysteine synthetase)、リンゴ酸酵素、トランスケトラーゼ、トランスアルドラーゼ、カタラーゼ、フェリチン重鎖及びフェリチン軽鎖からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質をコードする遺伝子である、上記[2]記載の剤。
[4]酸化ストレス防御遺伝子がAhr遺伝子及びその標的遺伝子である、上記[1]記載の剤。
[5]前記標的遺伝子が、cytochrome P450, family 1, subfamily a, polypeptide 1 (Cyp1a1) 、cytochrome P450, family 1, subfamily a, polypeptide 2 (Cyp1a2)、cytochrome P450, family 1, subfamily b, polypeptide 1 (Cyp1b1)、GSTs(glutathione S-transferases)、NQOs(NAD(P)H quinone oxidoreductases)からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質をコードする遺伝子である、上記[4]記載の剤。
[6]実質臓器において酸化ストレス防御遺伝子の発現を誘導し得ることを特徴とする、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の剤。
[7]ランソプラゾールを含有している、酸化ストレス性疾患の予防及び/又は治療剤。
[8]酸化ストレス性疾患が実質臓器において発症する、上記[7]記載の剤。
[9]実質臓器が、肝臓、腎臓及び肺からなる群より選択される少なくとも1つの臓器である、上記[8]記載の剤。
[10]酸化ストレス性疾患が、肝炎、慢性腎臓病(CKD)、糸球体腎炎、腎盂腎炎、間質性腎炎(尿細管間質性腎炎)、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、末期腎不全、ループス腎炎、肺炎、誤嚥性肺炎、間質性肺炎、閉塞性肺疾患、特発性肺線維症、呼吸器感染症、喘息、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、癌、動脈硬化性疾患、神経変性疾患、生活習慣病及び自己免疫疾患から選択される少なくとも1種である、上記[7]〜[9]のいずれかに記載の剤。
本発明によれば、ランソプラゾールを投与することにより、肝臓、腎臓、肺等の全身臓器において、Ahr遺伝子、Nrf2遺伝子及びそれらの標的遺伝子である種々の酸化ストレス防御遺伝子の発現が誘導されるので、種々の臓器における酸化ストレス性疾患の予防及び/又は治療に有効である。
ランソプラゾールの単回経口投与による、肝臓と腎臓におけるNrf2 mRNAレベルの用量依存的増加を示す図である。 ランソプラゾールの単回経口投与による、肝臓におけるNrf2免疫陽性の用量依存的増加を示す図である。 ランソプラゾールの単回経口投与による、肝臓におけるNrf2の標的遺伝子のmRNAレベルの用量依存的増加を示す図である。 ランソプラゾールの単回経口投与による、腎臓におけるNrf2の標的遺伝子のmRNAレベルの用量依存的増加を示す図である。 ランソプラゾールの単回経口投与による、肝臓におけるHO-1免疫陽性の用量依存的増加を示す図である。 ランソプラゾールの単回経口投与による、肝実質細胞におけるHO-1の発現誘導を示す図である。 ランソプラゾールの単回経口投与による、腎尿細管細胞におけるHO-1の発現誘導を示す図である。 ランソプラゾールの連続経皮投与による、肝臓におけるHO-1免疫陽性の経日変化を示す図である。 ランソプラゾールの連続経皮投与による、肺におけるHO-1免疫陽性の経日変化を示す図である。 ランソプラゾールの連続経皮投与により、急性肝炎モデルにおける肝機能(A:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、B:アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT))の悪化が抑制され、HO-1阻害剤(SnMp)の投与により肝機能がさらに悪化する傾向があること、HO-1を阻害しても、ランソプラゾールの効果の傾向があるところから、ランソプラゾールで誘導される、他の抗酸化ストレス酵素群の作用もあることを示す図である。 ランソプラゾール投与により、Nrf2の核内移行が促進されることを示す図である。A:ランソプラゾール急性投与による肝臓サンプルの細胞質タンパク質画分(C)及び核蛋白質画分(N)のウェスタンブロッティングの結果を示す。B及びC:それぞれランソプラゾールの急性投与及び慢性投与による肝臓サンプルの蛍光二重染色の結果を示す。 肝臓においてランソプラゾール投与により変化するNrf2の上流にあるパスウェイ解析結果を示す図である。 ランソプラゾール投与による、肝臓におけるA:Ahr、B:Ppara及びC:Cyp1a1遺伝子の発現変動を、RT-PCRにより調べた結果を示す図である。
本発明は、ランソプラゾールを含有してなる、酸化ストレス防御遺伝子の発現誘導剤(以下、本発明の発現誘導剤と略記する場合がある。)を提供する。
本発明における有効成分であるランソプラゾールは、下記構造式で表される化合物(2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール)である。
本発明におけるランソプラゾールは、ラセミ体であってもよく、R−体、S−体などの光学活性体であってもよいが、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールなどの光学活性体が好ましい。
また、本発明におけるランソプラゾールは、上記構造式で示される化合物又はその光学活性体の薬学的に許容される塩であってもよい。このような塩としては、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)、複素環式アミン(ピリジン、ピコリンなど)、アルカノールアミン(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。これらの塩のうち好ましくは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。とりわけナトリウム塩が好ましい。
ランソプラゾールは酸に不安定なため、経口投与する場合には胃酸による分解を防ぐために、酸に安定なプロドラッグの形態で提供され得る。例えば、米国特許第6093734号に記載のプロドラッグ等が挙げられる。
ランソプラゾールは、自体公知の方法により製造でき、例えば、特開昭61−50978号、米国特許4,628,098、特開平10−195068号、WO98/21201等に記載の方法またはこれらに準じた方法により製造される。なお、光学活性体については、光学分割法(分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法、微生物または酵素を用いる方法など)、不斉酸化などの方法で得ることができ、例えばR体の場合は、WO00/78745、WO01/83473、WO01/87874およびWO02/44167記載の方法に従って製造することもできる。
本発明の発現誘導剤が発現を誘導することができる酸化ストレス防御遺伝子としては、Aryl hydrocarbon receptor(Ahr)遺伝子、Nrf2及びそれらの標的遺伝子が挙げられる。
Aryl Hydrocarbon Receptor(Ahr)とはbHLH-PAS(Basic Helix-Loop-Helix-Per-Arnt-Sim)ファミリーに属する転写因子である。核内ではARNT(Ahr Nuclear Translocator)と呼ばれる分子とヘテロ二量体を形成し、DNA上の異物応答配列(XRE)と呼ばれるエンハンサー配列に結合することにより転写活性化が引き起こされる。
Ahrの標的遺伝子として、上流に異物応答配列XRE (xenobiotic response elements )を持つ、CYP1 ファミリーである Cyp1a1,1a2,1b1 遺伝子の他、第2相の薬物代謝酵素であるGSTs(glutathione S-transferases)、NQOs(NAD(P)H quinone oxidoreductases)などのタンパク質をコードする遺伝子がある。
Nrf2の標的遺伝子としては、上流に抗酸化剤応答配列ARE(antioxidant response element)または親電子性物質応答配列EpRE(electrophile responsive element)を発現調節領域に有する遺伝子であって、酸化ストレスから細胞、組織、臓器を防御する作用を有するタンパク質をコードするものであれば特に制限はないが、例えば、HO-1、GSTs(glutathione S-transferases)、NQOs(NAD(P)H quinone oxidoreductases)、UGTs(UDP glucuronosyltransferases)、xCT(cystine/glutamate transporter)、MRP1(multidrug resistance-associated protein 1)、 GCL(glutamate-cysteine ligase)、GR(glutathione reductase)、GPX(glutathione peroxidase)、PRX(peroxiredoxin)、SOD(superoxide dismutase)、TRX(Thioredoxin)、TXNRD(thioredoxin reductase)、G6PD(glucose-6-phosphate dehydrogenase)、MSP23(macrophage stress protein 23)、gGCS(gamma-glutamylcysteine synthetase)、リンゴ酸酵素、トランスケトラーゼ、トランスアルドラーゼ、カタラーゼ、フェリチン重鎖及びフェリチン軽鎖等のタンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。GSTsとは、グルタチオンS-トランスフェラーゼファミリーに属し、酸化ストレスに対して防御的に作用する酵素群であって、Nrf2により発現が調節されているものを意味し、例えば、GSTA1、GSTA2等が挙げられるが、それらに限定されない。UGTsとは、UDPグルクロノシルトランスフェラーゼファミリーに属し、酸化ストレスに対して防御的に作用する酵素群であって、Nrf2により発現が調節されているものを意味し、例えば、UGT1ファミリー(例、UGT1A6等)に属する酵素、UGT2ファミリーに属する酵素等が挙げられるが、それらに限定されない。NQOsとは、NAD(P)Hキノンオキシドレダクターゼファミリーに属し、酸化ストレスに対して防御的に作用する酵素群であって、Nrf2により発現が調節されているものを意味し、例えば、NQO1、NQO2等が挙げられるが、それらに限定されない。
本発明において「発現が誘導される」とは、ランソプラゾールを投与することにより、上記のAhr遺伝子、Nrf2遺伝子及びそれらの標的遺伝子群のうちの少なくとも1つの発現が、投与対象の少なくとも1種の臓器、組織又は細胞において、mRNAレベル及び/又はタンパク質レベルで、投与前に比べて有意に上昇することを意味する。
本発明の発現誘導剤は、Nrf2遺伝子の上流に位置すると考えられるAhr遺伝子パスウェイの発現も誘導する。
本発明の発現誘導剤により、酸化ストレス防御遺伝子の発現が誘導される部位に特に制限はなく、全身のあらゆる臓器が挙げられるが、好ましくは実質臓器であり、より好ましくは、肝臓、腎臓、肺などが挙げられる。
上述のように、本発明の発現誘導剤は、全身臓器、特に肝臓、腎臓、肺等の実質臓器において、酸化ストレス刺激を与えることなく、酸化ストレス防御遺伝子の発現を誘導することができるので、酸化ストレスがその発症及び/又は増悪に関与する種々の疾患(本明細書において「酸化ストレス性疾患」と総称する。)の予防及び/又は治療に有効である。
本発明の発現誘導剤により予防及び/又は治療し得る酸化ストレス性疾患としては、本発明の発現誘導剤により酸化ストレス防御遺伝子の発現が誘導される臓器、例えば、肝臓、腎臓、肺等の実質臓器において発症する疾患が挙げられる。具体的には、例えば、肝炎(例、非アルコール性脂肪性肝炎、B型肝炎、C型肝炎等)、慢性腎臓病(CKD)、糸球体腎炎、腎盂腎炎、間質性腎炎(尿細管間質性腎炎)、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、末期腎不全、ループス腎炎、肺炎、誤嚥性肺炎、間質性肺炎、閉塞性肺疾患(例、慢性閉塞性肺疾患)、特発性肺線維症、呼吸器感染症、喘息、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、癌(例、肝癌、肺癌等)、動脈硬化性疾患(例、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症(例、高血圧性腎硬化症等)、閉塞性動脈硬化症等)、神経変性疾患(例、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋委縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症(SCD)、ポリグルタミン病、プリオン病等)、生活習慣病(例、糖尿病、高脂血症、肥満症、高血圧、高コレステロール血症、アルコール性肝炎、脂肪肝等)、自己免疫疾患(例、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、多発性硬化症、自己免疫性肝炎、1型糖尿病等)等が挙げられるが、それらに限定されない。
ランソプラゾールは、毒性が低く、そのままあるいは自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体を混合した医薬組成物、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、口腔内崩壊錠、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤、貼布剤等の製剤として、ヒト又は他の哺乳動物に対して、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。
本発明の医薬組成物中の、ランソプラゾールの含有量は、組成物全体の約0.01重量%〜100重量%である。該投与量は、投与対象、投与ルート、疾患等によっても異なるが、例えば、肝炎などの肝障害治療剤として、成人(60kg)に対し経口的に投与する場合、有効成分として約0.5〜1500mg/日、好ましくは約5〜150mg/日である。ランソプラゾールは、1日1回または2〜3回に分けて投与してもよい。
本発明の医薬組成物の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられ、例えば、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、水溶性高分子、塩基性無機塩;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等があげられる。また、必要に応じて、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、酸味剤、発泡剤、香料等の添加物を用いることもできる。
該「賦形剤」としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、でんぷん、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、酸化チタン等が挙げられる。
該「滑沢剤」としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸等が挙げられる。
該「結合剤」としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルラン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
該「崩壊剤」としては、(1)クロスポビドン、(2)クロスカルメロースナトリウム(FMC−旭化成)、カルメロースカルシウム(五徳薬品)等スーパー崩壊剤と称される崩壊剤、(3)カルボキシメチルスターチナトリウム(例、松谷化学(株)製)、(4)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例、信越化学(株)製)、(5)コーンスターチ等が挙げられる。該「クロスポピドン」としては、ポリビニルポリピロリドン(PVPP)、1−ビニル−2−ピロリジノンホモポリマーと称されているものも含め、1−エテニル−2−ピロリジノンホモポリマーという化学名を有し架橋されている重合物のいずれであってもよく、具体例としては、コリドンCL(BASF社製)、ポリプラスドンXL(ISP社製)、ポリプラスドンXL−10(ISP社製)、ポリプラスドンINF−10(ISP社製)等である。
該「水溶性高分子」としては、例えば、エタノール可溶性水溶性高分子〔例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと記載することがある)等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン等〕、エタノール不溶性水溶性高分子〔例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、HPMCと記載することがある)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、グアーガム等〕等が挙げられる。
該「塩基性無機塩」としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性無機塩が挙げられる。好ましくはマグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性無機塩である。さらに好ましくはマグネシウムの塩基性無機塩である。該ナトリウムの塩基性無機塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等が挙げられる。該カリウムの塩基性無機塩としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。該マグネシウムの塩基性無機塩としては、例えば、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト〔MgAl(OH)16・CO・4HO〕および水酸化アルミナ・マグネシウム、好ましくは、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。該カルシウムの塩基性無機塩としては、例えば、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
該「溶剤」としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
該「溶解補助剤」としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
該「懸濁化剤」としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
該「等張化剤」としては、例えば、ブドウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
該「緩衝剤」としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
該「無痛化剤」としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。
該「防腐剤」としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
該「抗酸化剤」としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
該「着色剤」としては、例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号等の食用色素;食用レーキ色素、ベンガラ等が挙げられる。
該「甘味剤」としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等が挙げられる。
該「酸味剤」としては、例えば、クエン酸(無水クエン酸)、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
該「発泡剤」としては、例えば重曹等が挙げられる。
該「香料」としては、合成物および天然物のいずれでもよく、例えば、レモン、ライム、オレンジ、メントール、ストロベリー等が挙げられる。
ランソプラゾールは、例えば、特開昭62-277322、特開昭63-301816など自体公知の方法に従い、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤または滑沢剤等の担体を添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。腸溶性製剤とする場合、腸溶層と薬剤含有層との間に両層の分離を目的として、自体公知の方法により中間層を設けることもできる。
ランソプラゾールを例えば口腔内崩壊錠とする場合、例えば、WO 99/59544、WO 00/06126などに準じて、例えば、結晶セルロースおよび乳糖を含有する核を、ランソプラゾールおよび必要により塩基性無機塩で被覆し、さらに水溶性高分子含有被覆層で被覆して組成物を得、得られた組成物をポリエチレングリコール含有腸溶性被覆層で被覆し、次にクエン酸トリエチル含有腸溶性被覆層で被覆し、さらにポリエチレングリコール含有腸溶性被覆層で被覆し、最後にマンニトールで被覆して細粒を得、得られた細粒と添加剤とを混合し、成形する方法によって製造することができる。
上記「腸溶性被覆層」としては、例えば、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸共重合体〔例えば、オイドラギット(Eudragit) L30D−55(商品名;レーム社製)、コリコートMAE30DP(商品名;BASF社製)、ポリキッドPA30(商品名;三洋化成社製)等〕、カルボキシメチルエチルセルロース、セラック等の水系腸溶性高分子基剤;メタアクリル酸共重合体〔例えば、オイドラギットNE30D(商品名)、オイドラギットRL30D(商品名)、オイドラギットRS30D(商品名)等〕等の徐放性基剤;水溶性高分子;クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、アセチル化モノグリセリド、トリアセチン、ヒマシ油等の可塑剤等の一種または二種以上混合したもの等からなる層が挙げられる。
上記「添加剤」としては、例えば、水溶性糖アルコール(例、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元澱粉糖化物、キシリトール、還元パラチノース、エリスリトール等)、結晶セルロース(例、セオラスKG 801、アビセルPH 101、アビセルPH 102、アビセルPH 301、アビセルPH 302、アビセルRC−591(結晶セルロース・カルメロースナトリウム)等)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例、LH−22、LH−32、LH−23、LH−33(信越化学(株))およびこれらの混合物等)等が挙げられ、さらに結合剤、酸味料、発泡剤、甘味剤、香料、滑沢剤、着色剤、安定化剤、賦形剤、崩壊剤等も用いられる。
ランソプラゾールは、さらに他の活性成分と併用してもよい。併用薬剤としては、酸化ストレス性疾患に対して予防及び/又は治療効果を有する種々の化合物を、治療対象とする疾患に応じて、適宜配合することができる。例えば、本発明の医薬組成物を、肝炎などの肝障害の予防及び/又は治療薬として使用する場合、他の活性成分として、例えば、プロトポルフィリン(例、プロルモン,パビオスなど)、チオプロニン(例、チオラなど)、マロチラート(例、カンテックなど)、肝臓加水分解物(例、プロヘパール,アデラビン9号など)、グリチルリチン(例、グリチロン錠2号など)、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン(例、リバオールなど)、メチルメチオニンスルホニウムクロリド(例、キャベジンなど)、グルタチオン(例、タチオンなど)、タウリン(例、タウリンなど)、シアニダノール(例、カタゲンなど)、インターフェロン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、チオクト酸、パントテン酸、小柴胡湯、大柴胡湯、柴胡桂枝湯などを含有していてもよい。
該「他の活性成分」とランソプラゾールとを自体公知の方法に従って混合し、ひとつの医薬組成物(例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等)中に製剤化して併用してもよく、それぞれを別々に製剤化し、同一対象に対して同時にまたは時間差を置いて投与してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であっ
て本発明の範囲を何ら限定するものではない。
(方法)
単回経口投与
ランソプラゾール (AG-1749, 武田薬品工業株式会社) を乳鉢で粉砕し、溶媒液(0.5% メチルセルロース溶液)を少しずつ加えて、最終的に3 mg/ml、6 mg/ml、30 mg/mlになるように調製した。前日夕より絶食させた、6週齢Wistar雄性ラット(体重200g)に、0.67 mlの薬液をゾンゼで経口投与した。それぞれ、10mg/kg、30mg/kg、100mg/kgとなる。対照には、溶媒液を0.67 ml投与した。投与開始後、3時間と6時間でsamplingした(それぞれn=4)。断頭後、すばやく肝臓、腎臓、大動脈、肺、心臓、胃、十二指腸を採取し、ドライアイスで凍結し、-80℃で保存した。一部は組織固定液(4% パラアルデヒド液)中に浸け、翌日、30% スクロース液に替えて、4℃で保存した。
連続経皮投与
単回経口投与の場合と同様に6 mg/mlの薬液を調製し、6週齢Wistar雄性ラット(体重200g)に、0.67 mlの薬液を26Gツベルクリン針で背部の皮下に投与した。毎日、体重を測定し、投与量が30mg/kgになるように、調整した。毎日投与後、1日目、3日目、7日目、14日目、21日目でsamplingした。また21日まで毎日投与し、投与終了後5日目にも samplingした。対照には、当容積の溶媒を経皮投与した(それぞれn=2)。
肝炎モデル
6週齢雄ウィスターラットにランソプラゾール30 mg/kgを毎日1回、7日間皮下投与した。別の群では、HO-1阻害剤 Sn mesoporphyrin (SnMP; BIOMOL Research Labs.Inc., Plymouth Meeting, PA, USA) 10 mM/kg(100% エタノールで溶解し、10倍量の7%炭酸水素ナトリウム液で希釈)をランソプラゾール投与6日目と7日目に1回、腹腔内投与した。またランソプラゾール投与6日目に、チオアセタミド (TAA, 和光純薬工業株式会社) 500 mg/kg(生理食塩水で溶解)の腹腔内投与を行った。対照には、それぞれ溶媒を投与した。
実験条件は6群作成した。
A. 溶媒(0.5% メチルセルロース溶液)皮下投与+溶媒(生理食塩水)腹腔内投与+溶媒(10% エタノール +7%炭酸水素ナトリウム液)腹腔内投与
B. ランソプラゾール皮下投与+溶媒(生理食塩水)腹腔内投与+溶媒(10% エタノール +7%炭酸水素ナトリウム液)腹腔内投与
C. 溶媒(0.5% メチルセルロース溶液)皮下投与+ TAA腹腔内投与+溶媒(10% エタノール +7%炭酸水素ナトリウム液)腹腔内投与
D. ランソプラゾール皮下投与+ TAA腹腔内投与+ 溶媒(10% エタノール +7%炭酸水素ナトリウム液)腹腔内投与
E. 溶媒(0.5% メチルセルロース溶液)皮下投与+TAA腹腔内投与+SnMP腹腔内投与
F. ランソプラゾール皮下投与+TAA腹腔内投与+SnMP腹腔内投与
N=5 匹(A,B)、 n=4匹(C-F)を用いた。TAA投与2日後に、エーテル深麻酔下に心臓より採血し、血清酵素活性(ALT, AST)を測定した。
遺伝子発現の検討
Real time RT-PCR法で、遺伝子発現量を測定した。凍結保存した各サンプルよりRNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用いてtotal RNAを抽出した。Total RNA(0.1 μg)を1st strand cDNA合成Kit(Roche)を用いて、cDNAを合成した。内部コントロールとしてハウスキーピング遺伝子GAPDH(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)を用いた。次に、LightCycler(Roche)を用いてSYBR Green 法で定量的PCRを行った。増幅プロトコールは95℃ 5秒-60℃ 5秒-72℃ 12秒を45サイクル行った。検量線は標準cDNAサンプルを10倍希釈した系列を同一プロトコールで増幅し作製した。用いたプライマーは表1に示した。
蛋白発現量の検討
ウェスタンブロット法で免疫陽性の蛋白量を測定した。凍結保存した各サンプルを0.01 M Tris-HCl buffer(pH 7.6, 0.15 M NaCl, 1% TritonX-100, 2 x10-4 M フェニルメタンスルフォニルフロライド(PMSF), 2 x10-5 M ロイペプチン, 1.5 x 10-5M ペプスタチンA)でホモジナイズし、10,000 x g、4℃で15分間遠心分離し、可溶性タンパクを抽出した。SDS-ポリアクリルアミドゲル(12.5%)で電気泳動し、Immobilon-P (PVDF)膜に転写後、1次抗体として、抗Nrf2抗体(C-20、ウサギポリクローナル抗体、Santa Crus)または抗Heme oxygenase-1抗体(SPA-895、ウサギポリクローナル抗体、Stressgen)を反応させた。次に、ペルオキダーゼ標識した抗ウサギ抗体(NA934、Amersham)で反応後、ECL法で検出した。リプロービング後、抗アクチン抗体(AA20-33、ウサギポリクローナル抗体、Sigma)を一次抗体として反応させ、次にペルオキダーゼ標識した抗ウサギ抗体(NA934、Amersham)で反応後、ECL法で検出した。免疫陽性シグナルの定量は、Lumino analyzer LAS-1000(Fuji Film)で行い、アクチン免疫陽性のシグナルで補正した。
蛋白発現細胞の同定
免疫染色法で、発現細胞の同定を行った。固定保存した臓器のブロックから、10 μmの凍結薄切切片を作製した。3% H2O2処理後、ウェスタンブロットと同じ1次抗体(抗HO-1)を用いて反応させた。Vectorstain ABC kit(Vector)を用いて、DABで発色した。HO-1発現細胞の同定のため、蛍光二重染色を行った。上記の抗体に加えて、マクロファージのマーカーである抗CD68抗体(ED1、マウスモノクローナル抗体、Serotec)、抗CD163抗体(ED2、マウスモノクローナル抗体、Serotec)を用いた。ウサギ抗体は、ビオチン化抗ウサギ抗体と反応後、Texas-Red avidin D (Vector)で赤色に、マウス抗体は、標識した抗マウス抗体 (Jackson)で緑に、DAPI(Wako)で核を青に発色させた。
蛋白質核内移行の検討
細胞分画法および蛍光二重染色法で、蛋白質の核内移行を検討した。細胞分画法はProteoExtract(R) Subcellular Proteome Extraction Kit Miniを用いて行った。凍結保存した肝臓のサンプルから、cytosolic proteins分画とnuclear proteins分画に分け、Western blot法を行った。分画の純度は、それぞれ抗Calpainおよび(H-240, rabbit polyclonal, Santa Cruz)、抗Histone H1(FL-219, rabbit polyclonal)で検定した。その後、抗Nrf2(ab137550, rabbit polyclonal, abcam)で反応させた。
蛍光二重染色法は、Nrf2を抗Nrf2(ab137550, rabbit polyclonal, abcam)で反応させ、Biotin化抗ウサギ抗体と反応後、Texas-Red avidin D (Vector)で赤色に、DAPI(Wako)で核を青に発色させた。
網羅的遺伝子発現解析とパスウェイ解析
ランソプラゾール投与により、肝臓で発現が変化する遺伝子群をmicroarray法で網羅的に解析した。得られた結果をdata miningするため、IPA(Ingenuity Pathway analysis)解析を行った。網羅的遺伝子発現解析は、北海道システムサイエンス社に委託した。
網羅的遺伝子発現解析では、肝臓および腎臓の凍結サンプルよりRNeasy Mini Kit (QIAGEN)を用いてtotal RNAを抽出した。各RNAサンプルの純度をNanoDrop ND-1000 (Thermo Scientific)により測定しA260/280が1.8以上、A260/230が1.5以上であることを確認した。2100Bioanalyzer (Agilent)によりRNA分解度を解析し、その指標であるRIN (RNA Integrity Number)が8以上のものを用いた。ランソプラゾール群およびコントロール群で各々3サンプルずつを等量混ぜ600 ngのRNAサンプルを作製した。そのうち100ngのRNAサンプルよりAgilent社の方法に従い、SurePrint G3 Rat GEマイクロアレイ(G4853A, Agilent)を用い解析を行った。群間の測定誤差の補正を行うため、GeneSpring GX 12.0 (Agilent)を用い、シグナル強度が1以下のプローブを除外し、臓器ごとにランソプラゾール投与群とコントロール群のプローブ強度の75パーセンタイルが一致するように補正を行った。ランソプラゾール群またはコントロール群でシグナル強度が100以上を示すプローブに着目し、ランソプラゾール群で2倍以上の発現変化を示す遺伝子群を臓器ごとに見出した。
パスウェイ解析はIngenuity Pathway Analysis (IPA) (Ingenuity)を用いて行った。IPAは遺伝子-遺伝子間の関係性の情報が蓄積されたデータベースを用いて、発現変化を示した遺伝子群の中から最大35遺伝子を抽出し、遺伝子間の関連性が統計学的に特に有意な35遺伝子から成るネットワークを複数個作成した。また、Nrf2に着目し、Nrf2の上流遺伝子を見出した。
(結果)
1.ランソプラゾールによるNrf2遺伝子の発現誘導
ランソプラゾールの単回経口投与により、肝臓と腎臓で、Nrf2 mRNAレベルが用量依存性に増加した(図1)。また、ランソプラゾールの単回経口投与により、肝臓でNrf2免疫陽性が用量依存性に増加した(図2)。
2.Nrf2の下流の遺伝子群の発現
Nrf2で誘導されると考えられる、抗酸化ストレス作用を有する遺伝子群の発現レベルをRT-PCR法で検討した。肝臓(図3)と腎臓(図4)で、Heme oxygenase 1 (HO-1)に加えて、NAD(P)H dehydrogenase, quinone 1 (Nqo1)、Glutathione S-transferase A2 (Gsta2)、UDP glucuronosyltransferase 1 family polypeptide A6 (Ugt1a6)の mRNAレベルが用量依存性に増加した。心臓、肺、胃、小腸、大動脈ではHO-1 mRNAレベルの有意な変化は認めなかった。
3.Heme oxygenase 1 (HO-1)の発現
抗酸化ストレスとして強力な作用を有する、heme oxygenase 1 (HO-1)の発現を検討した。その結果、ランソプラゾールの単回経口投与により、肝臓でHO-1免疫陽性が用量依存性に増加した(図5)。組織学的検討では、HO-1は肝実質細胞(図6)および腎尿細管細胞(図7)で新規に誘導された。
ランソプラゾールの連続経皮投与により、HO-1免疫陽性が肝臓では、投与後1日目で増加し、投与中は一定のレベルを維持した。投与終了後5日には減少したが、まだ対照群より高いレベルであった(図8)。また、肺においても、投与後14日よりHO-1免疫陽性が増加した(図9)。
4.肝炎に対する効果
ランソプラゾールを慢性投与下で、ラットに急性肝炎モデル(チオアセタミド(TAA)投与)を発症させて、肝機能の変化を見たところ、TAA投与で肝機能が障害されること(A群とC群の比較)、ランソプラゾールは、肝炎の程度を軽減すること(C群とD群の比較)、SnMP投与でHO-1を阻害すると、肝炎が悪化する傾向があること(C群とE群の比較)を確認した(図10)。HO-1を阻害しても、ランソプラゾールの効果の傾向があるところ(D群とF群の比較)から、ランソプラゾールで誘導される、他の抗酸化ストレス酵素群の作用もあると考えられる。
血清ASTレベル
#1) A群とB群で有意差なし (P=0.99)
#2) A群とC群で有意差 (P<0.01)
#3) C群とD群で有意差なし(P=0.11)
#4) C群とE群で有意差なし(P=0.44)
#5) D群とF群で有意差なし(P=0.45)

血清ALTレベル
*1) A群とB群で有意差なし (P=0.99)
*2) A群とC群で有意差(P<0.0001)
*3) C群とD群で有意差(P<0.01)
*4) C群とE群で有意差なし (P=0.58)
*5) D群とF群で有意差なし(P=0.056)
5.Nrf2の核内移行促進
細胞分画後のWestern blot法では、ランソプラゾール投与群で、肝細胞の核分画(N)でNrf2陽性のバンドを認めたが、vehicle群では細胞質分画(S)だけがNrf2陽性であった(図11A)。Nrf2の核内移行は、蛍光二重染色でも示した。ランソプラゾール100mg経口投与後3時間(図11B)、及び30mg皮下投与連続7日群(図11C)で、Nrf2陽性シグナルは肝細胞の核に認めた。青が肝細胞の核であり、ピンクがNrf2陽性の肝細胞の核を示す。
6.Nrf2の上流遺伝子の解析
ランソプラゾールの単回投与により、肝臓では1874個の遺伝子の発現が2倍以上に増加し1700個の遺伝子の発現が半分以下に減少した。
肝臓で発現が変化した3574個の遺伝子よりネットワークを構築したところ、Nrf2(NFE2L2)をハブ遺伝子としたネットワークとPPARAをハブ遺伝子としたネットワークが見出された。このNrf2がハブ遺伝子となるネットワークは4つのハブ遺伝子Nrf2, CYP1A1, AHR, CYP1A2があった。PPARAがハブ遺伝子となるネットワークはPPARA以外のハブ遺伝子は存在しなかった。Nrf2の上流遺伝子を解析したところ、ACOX1, AHR, PPARA, KEAP1, IL1B, MAFG、RXRAが見出され、そのうちAHRおよびPPARAの発現が有意に上昇していた(図12)。
RT-PCR法で再検討した結果、Ahrは有意差が確認できたが、peroxisome proliferator activated receptor alpha (Ppara) は増加傾向があるが、有意な変化ではなかった。Ahrの標的遺伝子であるCytochrome P450, family 1, subfamily a, polypeptide 1(Cyp1a1)は劇的に誘導された(図13)。
以上のとおり、ランソプラゾール投与によりAhr-Cyp1a1 パスウェイが誘導された。Nrf2 パスウェイとともに、薬物代謝に関わる経路であるが、相互に転写調節を行っていると考えられている。ランソプラゾールは両方の経路を同時に誘導する作用がある。
本発明のランソプラゾールを含有してなる酸化ストレス防御遺伝子の発現誘導剤は、生体に酸化ストレス刺激を加えることなく、Ahr、Nrf2やそれらの下流の酸化ストレス防御遺伝子の発現を誘導することができる。ランソプラゾールは消化性潰瘍治療薬として、従来より安全に使用されているので、本発明の発現誘導剤は、例えば、肝炎(例、非アルコール性脂肪性肝炎、B型肝炎、C型肝炎等)、慢性腎臓病(CKD)、糸球体腎炎、腎盂腎炎、間質性腎炎(尿細管間質性腎炎)、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、末期腎不全、ループス腎炎、肺炎、誤嚥性肺炎、間質性肺炎、閉塞性肺疾患(例、慢性閉塞性肺疾患)、特発性肺線維症、呼吸器感染症、喘息、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、癌(例、肝癌、肺癌等)、動脈硬化性疾患(例、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症(例、高血圧性腎硬化症等)、閉塞性動脈硬化症等)、神経変性疾患(例、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋委縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症(SCD)、ポリグルタミン病、プリオン病等)、生活習慣病(例、糖尿病、高脂血症、肥満症、高血圧、高コレステロール血症、アルコール性肝炎、脂肪肝等)、自己免疫疾患(例、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、多発性硬化症、自己免疫性肝炎、1型糖尿病等)等の安全な予防及び/又は治療薬として有用である。

Claims (10)

  1. ランソプラゾールを含有している、酸化ストレス防御遺伝子の発現誘導剤。
  2. 酸化ストレス防御遺伝子がNrf2遺伝子及びその標的遺伝子である、請求項1記載の剤。
  3. 前記標的遺伝子が、HO-1(heme oxygenase-1)、GSTs(glutathione S-transferases)、NQOs(NAD(P)H quinone oxidoreductases)、UGTs(UDP glucuronosyltransferases)、xCT(cystine/glutamate transporter)、MRP1(multidrug resistance-associated protein 1)、GCL(glutamate-cysteine ligase)、GR(glutathione reductase)、GPX(glutathione peroxidase)、PRX(peroxiredoxin)、SOD(superoxide dismutase)、TRX(Thioredoxin)、TXNRD(thioredoxin reductase)、G6PD(glucose-6-phosphate dehydrogenase)、MSP23(macrophage stress protein 23)、gGCS(gamma-glutamylcysteine synthetase)、リンゴ酸酵素、トランスケトラーゼ、トランスアルドラーゼ、カタラーゼ、フェリチン重鎖及びフェリチン軽鎖からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質をコードする遺伝子である、請求項2記載の剤。
  4. 酸化ストレス防御遺伝子がAhr遺伝子及びそれらの標的遺伝子である、請求項1記載の剤。
  5. 前記標的遺伝子が、cytochrome P450, family 1, subfamily a, polypeptide 1 (Cyp1a1) 、cytochrome P450, family 1, subfamily a, polypeptide 2 (Cyp1a2)、cytochrome P450, family 1, subfamily b, polypeptide 1 (Cyp1b1)、GSTs(glutathione S-transferases)、NQOs(NAD(P)H quinone oxidoreductases)からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質をコードする遺伝子である、請求項4記載の剤。
  6. 実質臓器において酸化ストレス防御遺伝子の発現を誘導し得ることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の剤。
  7. ランソプラゾールを含有してなる、酸化ストレス性疾患の予防及び/又は治療剤。
  8. 酸化ストレス性疾患が実質臓器において発症する、請求項7記載の剤。
  9. 実質臓器が、肝臓、腎臓及び肺からなる群より選択される少なくとも1つの臓器である、請求項8記載の剤。
  10. 酸化ストレス性疾患が、肝炎、慢性腎臓病(CKD)、糸球体腎炎、腎盂腎炎、間質性腎炎(尿細管間質性腎炎)、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、末期腎不全、ループス腎炎、肺炎、誤嚥性肺炎、間質性肺炎、閉塞性肺疾患、特発性肺線維症、呼吸器感染症、喘息、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、癌、動脈硬化性疾患、神経変性疾患、生活習慣病及び自己免疫疾患から選択される少なくとも1種である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の剤。
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