JP2015144534A - 直流電圧変換装置およびdc−dcコンバータ - Google Patents
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Abstract
【課題】並列接続されるDCDCコンバータの各寿命を均等化すること。【解決手段】本発明の直流電圧変換装置1は、直流電源の電圧を異なる電圧に変換する2つのDCDCコンバータ3,4が並列に接続される。そして、マスタ側のDCDCコンバータ3は、出力電圧がスレーブ側のDCDCコンバータ4の出力電圧よりも高く設定されると共に、負荷消費電流平均値のほぼ半分の電流値であり最大許容電流値よりも小さい電流値が電流制限値として設定される構成とする。【選択図】図1
Description
本発明は、直流電圧変換装置およびDC−DCコンバータに関する。
自動車では、一般的に、直流電源としては、12Vまたは24Vの電圧のバッテリが用いられている一方で、電源電圧が数百ボルトの電圧のハイブリット自動車の走行用のバッテリも用いられている。ここで、自動車の電装部品や補機等は、様々な電圧で動作するため、バッテリの直流電圧を様々な電圧に変換する必要があるが、バッテリの直流電圧を様々な電圧に変換するために、DC−DCコンバータが用いられる。
たとえば、特許文献1では、大きな電流を得易くするために、複数のDC−DCコンバータを並列に接続して用いている。以下の説明では、説明を分かり易くするために、複数のDC−DCコンバータを並列に接続して直流電圧を変換する装置を直流電圧変換装置と称する。
ところで、比較的小型の自動車に使用されるDC−DCコンバータを、大型の自動車用として用いる場合、その容量が不足してしまう。そのため、大型の自動車用としては、複数のDC−DCコンバータを並列接続して使用することが考えられる。そのようにDC−DCコンバータを複数並列に接続して使用する場合、全てのDC−DCコンバータが同時に起動すれば、複数のDC−DCコンバータの負荷は均等になり、その場合には、複数の各DC−DCコンバータの寿命も均等になる。
しかしながら、実際には、同一の製品であっても個々のDC−DCコンバータには、若干ながら出力電圧のバラツキがある。このとき、複数並列接続されたDC−DCコンバータのうち、出力電圧が最も高いDC−DCコンバータが最初に起動する。そして、出力電圧が最も高いDC−DCコンバータが最大許容電流に達したときに、2番目に出力電圧が高いDC−DCコンバータが起動する。このようにして、並列に接続された複数のDC−DCコンバータは、出力電圧にバラツキを有するため同時に起動することはない。
以上のように、出力電圧が最も高いDC−DCコンバータが常に最初に起動することになる。そのため、最初に起動するDC−DCコンバータの寿命は、他のDC−DCコンバータの寿命よりも短くなる。したがって、最初に起動するDC−DCコンバータの寿命がそのまま直流電圧変換装置の寿命になり、その結果、他の大多数のDC−DCコンバータは、十分に使用できるにも係わらず、直流電圧変換装置の交換が必要になる。
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、並列接続される各DC−DCコンバータの寿命を均等化することができる直流電圧変換装置およびDC−DCコンバータを提供することを目的とする。
本発明の第一の観点は、直流電圧変換装置である。本発明は、直流電源の電圧を異なる電圧に変換する複数のDC−DCコンバータが並列に接続されると共に負荷が消費する負荷消費電流を供給する直流電圧変換装置において、複数のDC−DCコンバータのうちのいずれかのDC−DCコンバータをスレーブ側のDC−DCコンバータとし、その他のDC−DCコンバータをマスタ側のDC−DCコンバータとし、マスタ側のDC−DCコンバータは、出力電圧がスレーブ側のDC−DCコンバータの出力電圧よりも高く設定されると共に、負荷消費電流の平均である負荷消費電流平均値の半分の電流値であり予め設定された最大許容電流値よりも小さい電流値が電流制限値として設定されるものである。
さらに、マスタ側のDC−DCコンバータは、スレーブ側のDC−DCコンバータからの信号に応じて電流制限値の設定を解除する電流制限解除手段を有し、スレーブ側のDC−DCコンバータは、出力電流値が予め設定された最大許容電流値に達したときに、マスタ側のDC−DCコンバータの電流制限解除手段に対して電流制限値の設定を解除する信号を送出する信号送出手段を有することができる。
さらに、本発明の直流電圧変換装置は、負荷消費電流平均値を変更する手段を有することができる。
本発明の第二の観点は、マスタ側のDC−DCコンバータとしての観点である。本発明は、直流電源の電圧を異なる電圧に変換するDC−DCコンバータにおいて、出力電圧が自身よりも低く、自身に対して所定の信号を送出する他のDC−DCコンバータと並列接続され、負荷消費電流の平均である負荷消費電流平均値の半分の電流値であり予め設定された最大許容電流値よりも小さい電流値が電流制限値として設定され、他のDC−DCコンバータから送出される所定の信号を受信すると電流制限値の設定を解除する電流制限解除手段を有するものである。
本発明の第三の観点は、スレーブ側のDC―DCコンバータとしての観点である。本発明は、直流電源の電圧を異なる電圧に変換するDC−DCコンバータにおいて、出力電圧が自身よりも高く、自身が送出する信号を受信して電流制限値の設定を解除する他のDC−DCコンバータと並列接続され、出力電流値が予め設定された最大許容電流値に達したときに、他のDC−DCコンバータに対して電流制限値の設定を解除する信号を送出する信号送出手段を有するものである。
本発明によれば、並列接続される各DC−DCコンバータの寿命を均等化することができる。
本発明の実施の形態に係る直流電圧変換装置1を図1〜図3を参照しながら説明する。
本実施の形態の直流電圧変換装置1は、たとえば不図示の自動車に搭載される。直流電源2は、たとえばハイブリット自動車の走行用のバッテリであり、その電圧は数百ボルトとなっている。また、負荷7は、たとえば自動車の電装部品や補機である。そして、直流電圧変換装置1は、数百ボルトの電圧を、たとえば24ボルトや12ボルトの電圧に変換するために用いられている。
直流電圧変換装置1は、図1に示すように、直流電源2の電圧を入力して異なる電圧に変換して出力する2つのDC−DCコンバータ3,4を有していて、それらDC−DCコンバータ3,4は、並列に接続されている。以下では、一方のDC−DCコンバータ3をマスタ側とし、他方のDC−DCコンバータ4をスレーブ側とする。なお、少なくともマスタ側となるDC−DCコンバータ3は、出力する電流を検出する電流検出部(不図示)を有し、電流検出部が検出する電流の値を監視しつつ、出力する電流を、スレーブ側となるDC−DCコンバータ4からの指示によって制限された電流値になるように制御する定電流制御部(不図示)を有する。
マスタ側のDC−DCコンバータ3は、出力電圧がスレーブ側のDC−DCコンバータ4の出力電圧よりも高く設定されている。たとえば、マスタ側のDC−DCコンバータ3の出力電圧の取り得る範囲を24.1V(ボルト)〜24.5Vとし、スレーブ側のDC−DCコンバータ4の出力電圧の取り得る範囲を23.8V〜24.0Vとする。それにより、DC−DCコンバータ3,4の出力電圧が素子特性の部品のばらつき等によって変動しても必ずマスタ側のDC−DCコンバータ3の出力電圧は、スレーブ側のDC−DCコンバータ4の出力電圧よりも高くなる。
また、マスタ側のDC−DCコンバータ3は、後述する負荷消費電流平均値のほぼ半分の電流値であり最大許容電流値よりも小さい電流値が電流制限値として設定される。さらに、マスタ側のDC−DCコンバータ3は、スレーブ側のDC−DCコンバータ4からの信号に応じて電流制限値の設定を解除する電流制限解除部5を有する。
スレーブ側のDC−DCコンバータ4は、出力電流値が予め設定された最大許容電流値に達したときに、マスタ側のDC−DCコンバータ3の電流制限解除部5に対して電流制限値の設定を解除する信号を送出する信号送出部6を有する。
信号送出部6は、図2の下段に示すように、DC−DCコンバータ4の出力電流値が最大許容電流値に達してから後述する最大許容電流値よりも低い所定の電流値に戻るまでの期間は信号の送出を続ける(すなわち信号レベルをHighにする。)。なお、図2は、負荷消費電流が流れ始めて徐々に増加する局面に対応する。
また、電流制限解除部5は、信号送出部6から送出されるトリガ信号を受信した後には、電流制限値の設定を解除する。一方、電流制限解除部5は、信号送出部6から電流制限値を設定し直す旨のトリガ信号を受信したときには、電流設定値の設定を有効とする。なお、かかる電流制限値を設定し直す旨のトリガ信号としては、たとえば、図2のHighの信号の立ち下がり部分が対応する。
ここで、上述の負荷消費電流とは、自動車の直流電源2の使用状態において、自動車の電装部品や補機が消費する電流の総量であり、負荷消費電流平均値とは、その負荷消費電流の平均値である。ここでは、通年の平均値を採用するが、平均値の設定方法については、自動車の使用状況に合わせて適切な設定方法を採用すればどのようであってもよい。
次に、直流電圧変換装置1の動作を図2を参照しながら説明する。図2は、横軸に、直流電圧変換装置1が搭載される自動車の負荷消費電流をとり、縦軸に、DC−DCコンバータ3,4の出力電流をとる。図2の実線のグラフは、マスタ側のDC−DCコンバータ3の出力電流の変化を示し、図2の一点鎖線のグラフは、スレーブ側のDC−DCコンバータ4の出力電流の変化を示す。また、図2の下段には、信号送出部6の送出する信号レベルをHigh(Hと記す。)またはLow(Lと記す。)で示す。
負荷7となる自動車の電装部品や補機が作動を開始し、負荷消費電流が流れ始めると、スレーブ側のDC−DCコンバータ4よりも出力電圧が高く設定されているマスタ側のDC−DCコンバータ3が電流の出力を開始する。このとき、DC−DCコンバータ3には、自動車の負荷消費電流平均値αの約半分の電流値(α/2)が電流制限値として設定されている。なお、DC−DCコンバータ3に設定される電流制限値は、DC−DCコンバータ3の最大許容電流値よりも低い電流値である。
負荷消費電流値がDC−DCコンバータ3の電流制限値(α/2)を超えると、DC−DCコンバータ3のみでは負荷消費電流を出力できなくなる。そのため、スレーブ側のDC−DCコンバータ4も電流の出力を開始する。すなわち、負荷消費電流値がDC−DCコンバータ3の電流制限値(α/2)を超えると、DC−DCコンバータ3の出力電流値とDC−DCコンバータ4の出力電流値とを加算した電流値が直流電圧変換装置1から負荷7に供給される。
負荷消費電流値が、マスタ側のDC−DCコンバータ3の電流制限値(α/2)とスレーブ側のDC−DCコンバータ4の最大許容電流値とを加算した電流値に達すると、DC−DCコンバータ4の信号送出部6は、DC−DCコンバータ3の電流制限解除部5に対し、信号を送出する。
DC−DCコンバータ3の電流制限解除部5は、DC−DCコンバータ4の信号送出部6からの信号を受信すると、DC−DCコンバータ3の電流制限値の設定を解除する。すると、マスタ側のDC−DCコンバータ3が出力する電流値が最大許容電流値まで急激に上昇する。一方、スレーブ側のDC−DCコンバータ4では、最大許容電流値からマスタ側電流制限値α/2付近まで急激に電流値を減少させる。
以降では、マスタ側のDC−DCコンバータ3が最大許容電流値の出力を継続し、負荷消費電流値からDC−DCコンバータ3の最大許容電流値を減算した差分に相当する電流値をスレーブ側のDC−DCコンバータ4が出力する。これにより、最大で、マスタ側のDC−DCコンバータ3の最大許容電流値とスレーブ側のDC−DCコンバータ4の最大許容電流値とを加算した電流値の電流が直流電圧変換部1から負荷7に供給される。
以上の説明は、負荷消費電流が徐々に増加する局面における動作についての説明であるが、続いて、いったん増加した負荷消費電流が徐々に減少する局面における動作について説明する。なお、ここではDC−DCコンバータ3,4の最大許容電流値は同じであるとする。
マスタ側のDC−DCコンバータ3の最大許容電流値を超えて増加した負荷消費電流が徐々に減少を始める局面では、マスタ側のDC−DCコンバータ3は、相変わらず最大許容電流値の出力を継続するが、スレーブ側のDC−DCコンバータ4の出力電流は、負荷消費電流の減少と共に徐々に減少を始める。やがて、スレーブ側のDC−DCコンバータ4の出力電流値がα/2未満になったとき、信号送出部6から電流制限解除部5への信号の送出を停止する。そのときの信号の立下りのエッジをトリガとして、マスタ側のDC−DCコンバータ3は、出力電流値がα/2を超えないように電流制限を開始し、それに伴ってDC−DCコンバータ3の出力電流値が電流制限値(α/2)まで急激に減少する。一方、スレーブ側のDC−DCコンバータ4の出力電流値は、最大で最大許容電流値まで上昇するが、負荷消費電流の減少に伴ってDC−DCコンバータ4の出力電流値も減少する。このようにして、負荷消費電流が減少する局面では、図2に示す「マスタ側電流制限」と記した区間の状況に復帰する。なお、スレーブ側のDC−DCコンバータ4の出力電流値がα/2未満になったときを信号送出部6から電流制限解除部5への信号の送出を停止する閾値としたが、制御のチャタリングが生じないように、α/2よりも一定のオフセットを設けることが好ましい。
次に、信号送出部6の動作を図3のフローチャートを参照しながら説明する。図3のフローチャートにおける「START」の条件は、直流電圧変換装置1が起動しているという条件である。なお、図3のフローチャートにおいて、「START」から「END」までの処理は、1周期分の処理であり、処理が終了(END)したときに、「START」の条件が満たされていると、フローは、再び開始される。
ステップ1において、信号送出部6は、DC−DCコンバータ4の出力電流が最大許容電流値に達したか否かを判定する。ステップ1において、最大許容電流値に達したと判定されると、処理は、ステップS2に進む。一方、ステップS1において、最大許容電流値に達していないと判定されると、処理は、ステップ1を繰り返す。
ステップS2において、信号送出部6は、信号送出部6から電流制限解除部5に対して信号を送出し、処理は、ステップS3に進む。
ステップ3において、信号送出部6は、DC−DCコンバータ4の出力電流値がα/2未満か否かを判定する。ステップ3において、α/2未満と判定されると、処理は、ステップS4に進む。一方、ステップS3において、α/2以上であると判定されると、処理は、ステップ2に戻る。
ステップS4において、信号送出部6は、信号送出部6から電流制限解除部5に対する信号の送出を停止し、1周期分の処理を終了する(END)。
なお、電流制限解除部5の動作については、単に、信号送出部6からの信号の有無に応じてDC−DCコンバータ3の電流制限のON/OFFを行うだけなので、フローチャートを用いた説明は省略する。
以上説明した直流電圧変換装置1の動作によれば、負荷消費電流が負荷消費電流平均値となるαのときに、DC−DCコンバータ3の出力電流値とDC−DCコンバータ4の出力電流値とが同じ電流値になる。すなわち、負荷消費電流が負荷消費電流平均値となるαのときに、DC−DCコンバータ3の負荷とDC−DCコンバータ4の負荷とが均等になる。
さらに、負荷消費電流値がα/2からαまでの区間では、DC−DCコンバータ3の負荷に対してDC−DCコンバータ4の負荷は小さく、負荷消費電流値がαからDC−DCコンバータ4が信号送出するまでの区間では、DC−DCコンバータ3の負荷に対してDC−DCコンバータの負荷は大きい。ここで、自動車の走行中の負荷消費電流の変動が負荷消費電流平均値αを中心に、α−β(≧α/2)以上α+β(≦3α/2)以下の範囲でほぼ対称的に変動すると仮定すると、この場合もDC−DCコンバータ3の負荷とDC−DCコンバータ4の負荷は均等になる。
このようにして、負荷消費電流常用範囲のα−β以上α+β以下の範囲ではDC−DCコンバータ3,4の負荷を均等化することで、DC−DCコンバータ3,4の寿命を均等化することができる。それにより、直流電圧変換装置1の寿命を長寿命化することが可能となる。
その一方で、短時間に発生するDC−DCコンバータ3の電流制限値とDC−DCコンバータ4の最大許容電流値との合計を超えるような負荷消費電流については、従来どおりに、2つのDC−DCコンバータ3,4の最大許容電流の合計値になるまで対応することができる。なお、短時間に発生するDC−DCコンバータ3の電流制限値とDC−DCコンバータ4の最大許容電流値との合計を超えるような負荷消費電流とは、たとえば、冷凍車に搭載されている冷凍庫内の温度が上がり、冷凍庫内の温度を下げるために冷凍装置が作動すると共に他の補機も始動するような場合の如く、急激に大きな負荷消費電流が使用される場合である。
ここで、電力Pは、抵抗値をR、電流値をIとすると、P=RI2と表すことができ、電力Pは電流Iの二乗に比例する。かかる電力Pは、DC−DCコンバータの寿命に影響する発熱量に換算できるので、出力電流をDC−DCコンバータ3,4で均等に分担して個々のDC−DCコンバータ3,4で出力電流値を低く抑えることで、直流電圧変換装置1の全体での寿命を伸ばすことが可能となる。
ところで、比較例として、DC−DCコンバータ3の電流制限解除部5を有さないDC−DCコンバータ3aと、DC−DCコンバータ4の信号送出部6を有さないDC−DCコンバータ4aとを並列接続した直流電圧変換装置1aの動作状態について、図4に示す。図4の破線のグラフがDC−DCコンバータ3aの出力電流を示すものであり、二点鎖線のグラフがDC−DCコンバータ4aの出力電流を示すものである。
図4に示すように、DC−DCコンバータ3aの出力電圧はDC−DCコンバータ4aの出力電圧よりも高いので、負荷消費電流が発生すると、必ずDC−DCコンバータ3aから先に電流の出力を開始する。そして、DC−DCコンバータ3aが最大許容電流値に達すると、DC−DCコンバータ4aが電流の出力を開始するが、その後に、負荷消費電流が増加すると、DC−DCコンバータ3aが出力する最大許容電流値に加えて、負荷消費電流が増加に対応した電流値の増加量をDC−DCコンバータ4aが出力する。
このように、図4に示す比較例では、直流電圧変換装置1が作動すると、常にDC−DCコンバータ3aも作動し、そのためDC−DCコンバータ3の使用頻度は、DC−DCコンバータ4aの使用頻度よりも著しく大きい。また、図2で示した負荷消費電流常用範囲がDC−DCコンバータ3aの最大許容電流値以下であるとすれば、自動車の走行中には、DC−DCコンバータ3aのみが作動し、DC−DCコンバータ4aは、作動しない。そのため、DC−DCコンバータ3aの寿命は、DC−DCコンバータ4aの寿命よりも著しく短くなる。よって、直流電圧変換装置1aの寿命は、DC−DCコンバータ3aの寿命に依存することになる。
これに対し、本実施の形態の直流電圧変換装置1によれば、DC−DCコンバータ3,4の寿命を均等にし、直流電圧変換装置1の寿命を長寿命化することができる。また、信号送出部6の制御としては、単に、DC−DCコンバータ4の出力電流を監視し、信号の送出をON/OFFするだけの簡単な制御で済む。そのため、信号送出部6と電流制限解除部5との間で、双方向通信のような高度な通信機能を持つ必要がなく、ごく簡単で安価な回路構成で信号送出部6を実現することができる。これは電流制限解除部5についても同様であり、単に、信号送出部6からの信号の有無を監視し、DC−DCコンバータ3の電流制限をON/OFFするだけの簡単な制御で済む。そのため、電流制限解除部5と信号送出部6との間で、双方向通信のような高度な通信機能を持つ必要がなく、ごく簡単で安価な回路構成で電流制限解除部5を実現することができる。
上述した実施の形態は、その要旨を逸脱しない限りにおいて様々に変更が可能である。たとえば、上述した実施の形態では、負荷消費電流平均値αを通年の平均値として説明したが、平均値の取り方はそれ以外であってもよい。たとえば、負荷消費電流平均値αをユーザが手動で変更できるようにしてもよい。または、自動車の負荷7の消費電流は、ライトを点灯する夜間の方が昼間よりも多くなるので、たとえば負荷消費電流平均値αを車載されている時計等の時刻情報に基づいて昼間と夜間とで自動的に変更してもよい。あるいは、自動車の負荷7の消費電流は、エアコンを使用する夏期の方が冬期よりも多くなるので、たとえば負荷消費電流平均値αを車載されている時計等のカレンダ情報に基づいて夏期と冬期等のような季節に応じて自動的に変更するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、説明を分かり易くするために、DC−DCコンバータ3,4の最大許容電流値を同じとして説明したが、DC−DCコンバータ3,4の最大許容電流値は異なっていてもよい。
また、図1の例では、DC−DCコンバータ3に内蔵する形で電流制限解除部5が設けられているが、DC−DCコンバータ3の外部に外付けで電流制限解除部5を設けてもよい。同様に、DC−DCコンバータ4に内蔵する形で信号送出部6が設けられているが、DC−DCコンバータ4の外部に外付けで信号送出部6を設けてもよい。
また、マスタ側のDC−DCコンバータ3が複数設けられる構成を採用してもよい。このときスレーブ側のDC―DCコンバータ4は、たとえば1つでよい。この場合も複数のマスタ側のDC−DCコンバータ4は、負荷消費電流常用範囲では、電流制限が効いているので、寿命を延ばすことができる。このようにマスタ側のDC−DCコンバータ3が複数設けられた場合の動作を図5を参照しながら説明する。
図5では、2個のマスタ側のDC−DCコンバータ3a,3bを有するので、これらをマスタ#1側(実線)とマスタ#2側(破線)と図示する。また、図5では、スレーブ側(一点鎖線)のDC−DCコンバータ4は、2個のマスタ側のDC−DCコンバータ3a,3bに対してそれぞれ信号を送出するので、これらの信号をスレーブ側信号#1とスレーブ側信号#2と図示する。なお、2個のマスタ側のDC−DCコンバータ3a,3bと1個のスレーブ側のDC−DCコンバータ4を有する直流電圧変換装置1を直流電圧変換装置1aとする。
図5に示す例では、マスタ側#1のDC−DCコンバータ3aの出力電圧がマスタ側#2のDC―DCコンバータ3bの出力電圧よりも高く、マスタ側#2のDC−DCコンバータ3bの出力電圧がスレーブ側のDC−DCコンバータ4の出力電圧よりも高い。
これによれば図5に示すように、3つのDC−DCコンバータ3a,3b,4の負荷の均等化を図るため、マスタ側電流制限値をα/3とする。負荷消費電流が生じると、まず3つのDC−DCコンバータ3a,3b,4の中で最も出力電圧が高いマスタ側#1のDC−DCコンバータ3aが電流制限状態で出力を開始する。
負荷消費電流がα/3まで増加すると、3つのDC−DCコンバータ3a,3b,4の中で2番目に出力電圧が高いマスタ側#2のDC−DCコンバータ3bが電流制限状態で出力を開始する。
負荷消費電流がさらに増加して2α/3に達すると、3つのDC−DCコンバータ3a,3b,4の中で最も出力電圧が低いスレーブ側のDC−DCコンバータ4が出力を開始する。
負荷消費電流がさらに増加してスレーブ側のDC−DCコンバータ4の最大許容電流値に達すると、スレーブ側のDC−DCコンバータ4は、マスタ#1側のDC−DCコンバータ3aに対してスレーブ側信号#1を送出する。
マスタ#1側のDC−DCコンバータ3aは、スレーブ側信号#1を受信すると、電流制限を解除する。これにより、スレーブ側のDC−DCコンバータ4の最大許容電流値と、マスタ#1側のDC−DCコンバータ3aの最大許容電流値とを加算した値の負荷消費電流を直流電圧変換装置1aは、供給可能になる。このとき、スレーブ側のDC−DCコンバータ4の出力電流は、マスタ#1側のDC−DCコンバータ3aの電流制限の解除に伴っていったん低下する。
負荷消費電流がさらに増加して、スレーブ側のDC−DCコンバータ4の最大許容電流値と、マスタ#1側のDC−DCコンバータ3aの最大許容電流値とを加算した値の負荷消費電流に達すると、いったん低下したスレーブ側のDC−DCコンバータ4の出力電流値が再び最大許容電流値に達するので、スレーブ側のDC−DCコンバータ4は、マスタ#2側のDC−DCコンバータ3bに対してスレーブ側信号#2を送出する。
マスタ#2側のDC−DCコンバータ3bは、スレーブ側信号#2を受信すると、電流制限を解除する。これにより、スレーブ側のDC−DCコンバータ4の最大許容電流値と、マスタ#1側のDC−DCコンバータ3aの最大許容電流値と、マスタ#2側のDC−DCコンバータ3bの最大許容電流値とを加算した値の負荷消費電流を直流電圧変換装置1aは、供給可能になる。以上説明したのは負荷消費電流の増加局面であるが、負荷消費電流の減少局面については、既に説明した直流電圧変換装置1での説明から類推可能であるので説明は省略する。
また、上述の実施の形態では、信号送出部6は、信号送出期間では、連続的な信号を送出すると説明したが、電流制限解除部5の信号解析形態を変更すれば、断続的なパルス信号や信号送出の開始点と終了点にトリガ信号を1回ずつ送出する構成であってもよい。
また、上述の実施の形態では、直流電圧変換装置1を車載用として説明したが、直流電圧変換装置1は、車載用以外でも様々な用途に使用することができる。
また、上述した電流制限値は、負荷消費電流平均値の半分の電流値としているが、かかる「負荷消費電流平均値の半分の電流値」は、多少の誤差を含む値であってもよい。
1…直流電圧変換装置、2…直流電源、3…DC−DCコンバータ(マスタ側)、4…DC−DCコンバータ(スレーブ側)、5…電流制限解除部(電流制限解除手段)、6…信号送出部(信号送出手段)、7…負荷
Claims (5)
- 直流電源の電圧を異なる電圧に変換する複数のDC−DCコンバータが並列に接続されると共に負荷が消費する負荷消費電流を供給する直流電圧変換装置において、
複数のDC−DCコンバータのうちのいずれかの前記DC−DCコンバータをスレーブ側のDC−DCコンバータとし、その他の前記DC−DCコンバータをマスタ側のDC−DCコンバータとし、
前記マスタ側のDC−DCコンバータは、出力電圧が前記スレーブ側のDC−DCコンバータの出力電圧よりも高く設定されると共に、前記負荷消費電流の平均である負荷消費電流平均値の半分の電流値であり予め設定された最大許容電流値よりも小さい電流値が電流制限値として設定される、
ことを特徴とする直流電圧変換装置。 - 請求項1記載の直流電圧変換装置において、
前記マスタ側のDC−DCコンバータは、前記スレーブ側のDC−DCコンバータからの信号に応じて前記電流制限値の設定を解除する電流制限解除手段を有し、
前記スレーブ側のDC−DCコンバータは、出力電流値が予め設定された最大許容電流値に達したときに、前記マスタ側のDC−DCコンバータの前記電流制限解除手段に対して電流制限値の設定を解除する信号を送出する信号送出手段を有する、
ことを特徴とする直流電圧変換装置。 - 請求項1または2記載の直流電圧変換装置において、
前記負荷消費電流平均値を変更する手段を有する、
ことを特徴とする直流電圧変換装置。 - 直流電源の電圧を異なる電圧に変換するDC−DCコンバータにおいて、
出力電圧が自身よりも低く、自身に対して所定の信号を送出する他のDC−DCコンバータと並列接続され、
負荷消費電流の平均である負荷消費電流平均値の半分の電流値であり予め設定された最大許容電流値よりも小さい電流値が電流制限値として設定され、前記他のDC−DCコンバータから送出される前記所定の信号を受信すると前記電流制限値の設定を解除する電流制限解除手段を有する、
ことを特徴とするDC−DCコンバータ。 - 直流電源の電圧を異なる電圧に変換するDC−DCコンバータにおいて、
出力電圧が自身よりも高く、自身が送出する信号を受信して電流制限値の設定を解除する他のDC−DCコンバータと並列接続され、
出力電流値が予め設定された最大許容電流値に達したときに、前記他のDC−DCコンバータに対して前記電流制限値の設定を解除する信号を送出する信号送出手段を有する、
ことを特徴とするDC−DCコンバータ。
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2014
- 2014-01-31 JP JP2014017419A patent/JP2015144534A/ja active Pending
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