JP2015144500A - 永久磁石形同期電動機の制御装置 - Google Patents

永久磁石形同期電動機の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電動機の磁気飽和特性を考慮した磁束モデルのパラメータのオートチューニングを容易化し、この磁束モデルに基づいて、永久磁石形同期電動機の高精度なトルク制御を可能にした制御装置を提供する。
【解決手段】磁束推定部31は、q軸電圧指令値vq*,q軸電流検出値iq,速度検出値ωrから、d軸磁束推定値Ψdestを演算し、ローパスフィルタ30はd軸電流検出値idを入力し、出力idf演算する。d軸磁束推定値Ψdestと出力idfはパラメータ演算部32に入力され、磁束モデルのパラメータのうち、d軸電流idに対するd軸磁束Ψdの傾きの最大値に相当するパラメータKLd、d軸磁束Ψdにおけるd軸電流反比例係数に相当する第2のパラメータKSd、等価磁化電流に相当する第3のパラメータI0、及び、磁束オフセットに相当する第4のパラメータφ0を演算する。
【選択図】図1

Description

本発明は、永久磁石形同期電動機の制御装置に関し、詳しくは、永久磁石形同期電動機の電気定数を自動測定する、いわゆるオートチューニング技術に関するものである。
永久磁石形同期電動機のトルクを高精度に制御するためには、電動機鉄心の磁気飽和特性を考慮した磁束モデルを求め、これに基づいて電流制御を行うことが望ましい。磁気飽和特性を考慮した磁束モデルの代表的なものとしては、非特許文献1に記載されたモデルが知られている。なお、磁気飽和特性とは、電流の増加に伴う電動機鉄心の磁気飽和により、d,q軸磁束とこれらに対応する各軸電流との線形性が崩れる特性をいう。
ここで、図5は、非特許文献1に記載された永久磁石形同期電動機のモデルであり、磁気飽和特性及びd,q軸間干渉特性を考慮して構成されている。なお、d,q軸間干渉特性とは、他軸電流の影響により自軸磁束が変化する特性をいう。
図5において、φ,φはd,q軸磁束、ωは角周波数、i,iはd,q軸電流、τは出力トルク、Rは巻線抵抗、φは永久磁石磁束、Pは極対数である。また、d,q軸磁束φ,φからd,q軸電流i,iを求める数式A,Bは、磁気飽和特性を考慮した磁束モデル(後述する数式5)を逆関数化したものであり、以下に示すとおりである。
Figure 2015144500
Figure 2015144500
数式A,Bでは、d,q軸電流i,iとd,q軸磁束φ,φとの関係を8つのパラメータKLd,KSd,KSdq,KLq,KSq,KSqd,I,φを用いて表しており、他軸電流の影響によって磁束が変化するd,q軸間の干渉と磁気飽和特性とを考慮した電動機モデルとなっている。
ここで、KLdはd軸電流iに対するd軸磁束φの傾きの最大値に相当するパラメータ、KLqはq軸電流iに対するq軸磁束φの傾きの最大値に相当するパラメータ、KSd,KSqは磁気飽和の度合いを示すパラメータ、KSdq,KSqdはd,q軸間の干渉の度合いを示すパラメータ、Iは等価磁化電流、φは磁束オフセットである。なお、I,φは、q軸電流iの大きさに関わらずd軸磁束φがほぼ一定値をとる時のd軸電流を−Iとし、これに対応するd軸磁束をφとしている。
中津川潤之介,岩崎則久,名倉寛和,岩路善尚,「磁気飽和およびdq軸間干渉を考慮した永久磁石同期モータの数式モデルの提案」,電気学会論文誌D,Vol.130,No.11,p.1212−p.1220(2010年)
非特許文献1に記載された磁束モデルを利用するためには、パラメータKLd,KSd,KSdq,KLq,KSq,KSqd,I,φの値を求める必要がある。非特許文献1では、d,q軸電流i,iとd,q軸磁束φ,φとの関係を測定し、これに基づいて各パラメータの値を求めている。しかし、d,q軸電流i,iとd,q軸磁束φ,φとの関係を測定するのは煩雑であり、また、非特許文献1では、これらの測定データから各パラメータを計算する方法が明確に開示されていない。
一方、電動機を駆動するインバータを使用して電動機の電気定数を自動測定する、いわゆるオートチューニング技術が開発されており、これにより、電動機の高性能な制御を容易に実現することが可能である。しかしながら、非特許文献1では、前述した各パラメータをオートチューニングする技術についても、特に開示されていない。
そこで、本発明の解決課題は、少なくとも電動機の磁気飽和特性を考慮した磁束モデルのパラメータのオートチューニングを容易化し、この磁束モデルに基づいて、永久磁石形同期電動機の高精度なトルク制御を可能にした制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、電力変換器により永久磁石形同期電動機に供給する電流及び電圧を、前記電動機の回転子磁極方向に平行なd軸とこのd軸に直交するq軸とからなるd,q直交回転座標上で制御するための制御装置であって、電動機鉄芯の磁気飽和特性を少なくとも考慮した磁束モデルに基づいて構成される制御装置において、
前記電動機のd軸電流を時間軸に沿って変化させる第1の手段と、
前記第1の手段によりd軸電流を変化させた時の前記電動機のq軸電流、q軸電圧、回転子速度からd軸磁束を推定する第2の手段と、
前記第2の手段によるd軸磁束推定値のd軸電流による偏微分を演算する第3の手段と、
前記第1の手段により変化させたd軸電流をパラメータとした時の前記偏微分の最大値から、第1のパラメータとして、前記d軸電流に対するd軸磁束の傾きの最大値に相当するパラメータを求める第4の手段と、
前記偏微分が最大になる時のd軸電流から、第2のパラメータとして、回転子永久磁石の等価磁化電流を求める第5の手段と、
前記偏微分が最大になる時のd軸磁束推定値から、第3のパラメータとして、磁束オフセットを求める第6の手段と、
前記電動機の永久磁石磁束、前記d軸電流に対するd軸磁束の傾きの最大値、前記等価磁化電流、前記磁束オフセットから、第4のパラメータとして、d軸磁束におけるd軸電流反比例係数を求める第7の手段と、を備え、
前記第1〜第4のパラメータを用いて前記磁束モデルを構成するものである。
また、請求項2に記載した発明は、電力変換器により永久磁石形同期電動機に供給する電流及び電圧を、前記電動機の回転子磁極方向に平行なd軸とこのd軸に直交するq軸とからなるd,q直交回転座標上で制御するための制御装置であって、電動機鉄芯の磁気飽和特性を少なくとも考慮した磁束モデルに基づいて構成される制御装置において、
前記電動機のd軸電流を時間軸に沿って変化させる第1の手段と、
前記第1の手段によりd軸電流を変化させた時の前記電動機のq軸電流、q軸電圧、回転子速度からd軸磁束を推定する第2の手段と、
前記第2の手段によるd軸磁束推定値のd軸電流による偏微分を演算する第3の手段と、
前記第1の手段により変化させたd軸電流をパラメータとした時の前記偏微分の最大値から、第1のパラメータとして、前記d軸電流に対するd軸磁束の傾きの最大値に相当するパラメータを求める第4の手段と、
前記偏微分が最大になる時のd軸電流から、第2のパラメータとして、回転子永久磁石の等価磁化電流を求める第5の手段と、
前記偏微分が最大になる時のd軸磁束推定値から、第3のパラメータとして、磁束オフセットを求める第6の手段と、
前記d軸電流、前記d軸磁束推定値、前記d軸電流に対するd軸磁束の傾きの最大値、前記等価磁化電流、前記磁束オフセットから、第4のパラメータとして、d軸磁束におけるd軸電流反比例係数を求める第7の手段と、を備え、
前記第1〜第4のパラメータを用いて前記磁束モデルを構成するものである。
これにより、電動機鉄芯の磁気飽和特性を考慮した磁束モデルのパラメータのオートチューニングが容易になる。
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記第2の手段は、前記q軸電流、前記q軸電圧からq軸誘起電圧演算値を算出する手段と、前記d軸磁束推定値と前記回転子速度とからq軸誘起電圧推定値を演算する手段と、前記q軸誘起電圧演算値と前記q軸誘起電圧推定値との偏差からq軸誘起電圧推定誤差を演算する手段と、前記q軸誘起電圧推定誤差と前記回転子速度から前記d軸磁束推定値を演算する手段と、を有するものである。
これにより、電動機のd軸磁束を高精度に推定することができ、磁束モデルのパラメータの測定精度が向上する。
本発明によれば、永久磁石形同期電動機の磁極飽和特性を考慮した磁束モデルのパラメータのオートチューニングにより、永久磁石形同期電動機のトルク制御を高精度に実現することができる。
本発明の実施形態の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態の動作を示す波形図である。 磁束推定部の構成を示すブロック図である。 q軸電流が零の時のd軸電流とd軸磁束との関係を示す図である。 非特許文献1に記載された電動機モデルを示す図である。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。この実施形態に係る制御装置では、永久磁石形同期電動機を所定の速度で運転し、この時の永久磁石形同期電動機のd軸電流検出値及びd軸磁束推定値から磁束モデルのパラメータを演算する。そして、この磁束モデルに基づいて永久磁石形同期電動機における磁束と電流との間の非線形性を解析し、制御装置の設計等を行うものである。
まず、図1は、この実施形態に係る制御装置を主回路と共に示したブロック図であり、以下では、永久磁石形同期電動機(以下、単に電動機ともいう)の速度制御方法を制御装置の構成と共に説明する。なお、速度制御の演算は、d,q軸直交回転座標上で行うこととし、電動機の回転子の磁極(N極)方向をd軸と定義し、d軸から90°進み方向をq軸と定義する。
図1において、パルスジェネレータ90は、永久磁石形同期電動機80の回転子の磁極位置と回転子速度とに応じてパルス信号を出力する。位置検出器91は、パルスジェネレータ90の出力信号から電動機80の回転子の磁極位置θ(u相巻線を基準としたd軸の角度)を検出する。速度検出器92は、パルスジェネレータ90の出力信号から電動機80の回転子速度ωを検出する。
速度指令値ωと速度検出値ωとの偏差を減算器16により演算し、この偏差が零になるように速度調節器17がトルク指令値τを演算する。また、比例ゲイン18(K)により、トルク指令値τに比例するq軸電流指令値i を演算する。
電流指令設定部21は、図2の動作説明図に示すように、速度検出値ωが所定値に到達した後、d軸電流指令値i をi [1],i [2],・・・,i [N]と順次変化させるように構成されている。
座標変換器14は、磁極位置検出値θを用いて、u相電流検出器11u,w相電流検出器11wによりそれぞれ得た相電流検出値i,iをd,q軸電流検出値i,iに座標変換する。
d軸電流調節器20aは、減算器19aにより演算したd軸電流指令値i とd軸電流検出値iとの偏差が零になるようにd軸電圧指令値v を求め、q軸電流調節器20bは、減算器19bにより演算したq軸電流指令値i とq軸電流検出値iとの偏差が零になるようにq軸電圧指令値v を求める。
座標変換器15は、d軸電圧指令値v 及びq軸電圧指令値v を磁極位置検出値θに基づいて相電圧指令値v ,v ,v に座標変換する。PWM回路13は、電力変換器70の出力電圧を制御するためのゲート信号を生成する。
一方、整流回路60は、三相交流電源50の交流電圧を整流して得た直流電圧を、インバータ等の電力変換器70に供給する。電力変換器70は、PWM回路13から送られたゲート信号に基づいて内部の半導体スイッチング素子を制御することにより、電動機80の端子電圧を相電圧指令値v ,v ,v に制御する。
以上の演算処理により、永久磁石形同期電動機80の回転子速度ωを速度指令値ω に制御することができる。
次に、電動機80のd軸磁束を推定する方法について説明する。
図1における磁束推定部31は、q軸電圧指令値v ,q軸電流検出値i,速度検出値ωから、d軸磁束推定値Ψdestを演算する。
図3は、磁束推定部31の構成を示すブロック図である。
図3における誘起電圧演算器31aは、数式1により、q軸誘起電圧演算値eqcalcを求める。
Figure 2015144500
なお、q軸誘起電圧演算値eqcalcの演算は、q軸電圧指令値v の代わりに、電圧検出回路(図示せず)により求めたq軸電圧検出値を用いて行っても良い。
乗算器31bは、後述する推定器31dにより求めたd軸磁束推定値Ψdestと速度検出値ωとを乗算してq軸誘起電圧推定値eqestを演算する。減算器31cは、数式2により、q軸誘起電圧推定値eqestからq軸誘起電圧演算値eqcalcを減算してq軸誘起電圧推定誤差eqerrを求める。
Figure 2015144500
推定器31dは、q軸誘起電圧推定誤差eqerrと速度検出値ωとから、数式3によりd軸磁束推定値Ψdestを演算する。
Figure 2015144500
この結果、q軸誘起電圧推定誤差eqerrが零になるようにd軸磁束推定値Ψdestが演算され、このd軸磁束推定値Ψdestは真値に収束する。
d軸磁束推定値Ψdestは、図1におけるローパスフィルタ30の出力(d軸電流検出値iのローパスフィルタ出力)idfと共に、パラメータ演算部32に入力される。
次に、パラメータ演算部32において、磁束モデルのパラメータを求める方法について説明する。
まず、前述した非特許文献1と同様に、電流と磁束との関係を関数化した数式4の磁束モデルを構成する。
Figure 2015144500
パラメータ演算部32は、ローパスフィルタ30の出力idfとd軸磁束推定値Ψdestとから、数式4に示した磁束モデルのパラメータのうち、d軸電流iに対するd軸磁束Ψの傾きの最大値に相当するパラメータKLd、d軸磁束Ψにおけるd軸電流反比例係数に相当する第2のパラメータKSd、等価磁化電流に相当する第3のパラメータI、及び、磁束オフセットに相当する第4のパラメータφを演算する。
まず、各パラメータの演算原理について説明する。
図4は、q軸電流iが零の時のd軸電流iとd軸磁束Ψとの関係を示しており、Ψは無負荷時の永久磁石磁束である。この図4は、非特許文献1にも記載されている。
数式4により、d軸磁束Ψのd軸電流iによる偏微分は数式5となる。
Figure 2015144500
数式5から、q軸電流iが零の時、d軸磁束Ψのd軸電流iによる偏微分は数式6となる。
Figure 2015144500
数式6によれば、d軸磁束Ψのd軸電流iによる偏微分は、i=−Iの時に最大になり、最大値は第1のパラメータKLdに等しくなる。これを数式で表すと数式7となる。
Figure 2015144500
このことから、q軸電流iが零の時のd軸磁束Ψのd軸電流iによる偏微分の最大値から第1のパラメータKLdを求めることができ、d軸磁束Ψのd軸電流iによる偏微分が最大になる時のd軸電流iから第3のパラメータIを求めることができる。
更に、数式4より、d軸電流iが−Iに等しく、q軸電流iが零の時のd軸磁束Ψは、数式8に示すように第4のパラメータφに等しくなる。
Figure 2015144500
また、永久磁石磁束Ψを、d,q軸電流が共に零の時のd軸磁束と定義すると、数式4より、数式9の関係が成り立つ。
Figure 2015144500
数式9より、第2のパラメータKSdは、数式10によって求めることができる。
Figure 2015144500
次に、図1のパラメータ演算部32における具体的な演算内容について説明する。
まず、図2に示すごとく、速度検出値ωが所定値に到達した後、電流指令設定部21により、数式11の関係を満たすようにd軸電流指令値i をi [1],i [2],・・・,i [N]と変化させる。
Figure 2015144500
そして、i [1],i [2],・・・,i [N]のそれぞれの定常状態におけるd軸電流検出値iのローパスフィルタ出力idfの値idf[1],idf[2],・・・,idf[N]、及び、d軸磁束推定値Ψdestの値Ψdest[1],Ψdest[2],・・・,Ψdest[N]を記憶する。
次に、d軸電流がi [k]≦i≦i [k+1]の領域におけるd軸磁束Ψのd軸電流iによる偏微分を、数式12により演算する。
Figure 2015144500
1≦k≦N−1の範囲で数式12によって演算したd軸磁束Ψのd軸電流iによる偏微分の値を比較した結果、k=nの時に最大になったとする。この時、第1のパラメータKLdを数式13により演算する。
Figure 2015144500
第3,第4のパラメータI,φは、d軸電流がi [n]≦i≦i [n+1]の時のd軸電流iの平均値、及び、d軸磁束Ψの平均値から、数式14によりそれぞれ演算する。
Figure 2015144500
次いで、第2のパラメータKSdを、前述した数式10により演算する。
以上に説明した演算処理により、磁束モデルのパラメータのうち、KLd,KSd,I,φを演算することができる。
なお、他のパラメータKLq,KSq,KSdq,KSqdについては、既知の値として与えられるが、例えば、i−φ特性のグラフ、及び、i−φ特性のグラフを用いて適宜決定する、あるいは別途演算により求めることができる。
このようにして、磁束モデルのパラメータのオートチューニングを実現することができる。
なお、第2のパラメータKsdは、上記した数式10に代えて、数式4より数式15によって求めることもできる。
Figure 2015144500
数式15より、第2のパラメータKsdは、d軸電流指令値i をi [1]としたときの定常状態におけるd軸電流検出値iのローパスフィルタ出力idf[1]、及び、d軸磁束推定値Ψdest[1]を使って数式16によって求める。
Figure 2015144500
なお、図1に示した実施形態では、永久磁石形同期電動機80の回転子の磁極位置と速度を位置検出器91及び速度検出器92を用いて検出する場合を示しているが、本発明は、位置検出器及び速度検出器を用いずに電動機を運転する、いわゆるセンサレス制御の場合にも適用可能である。
11u u相電流検出器
11w w相電流検出器
13 PWM回路
14 座標変換器
15 座標変換器
16 減算器
17 速度調節器
18 比例ゲイン
19a 減算器
19b 減算器
20a d軸電流調節器
20b q軸電流調節器
21 電流指令設定部
30 ローパスフィルタ
31 磁束推定部
31a 誘起電圧演算器
31b 乗算器
31c 減算器
31d 推定器
32 パラメータ演算部
50 三相交流電源
60 整流回路
70 電力変換器
80 永久磁石形同期電動機
90 パルスジェネレータ
91 位置検出器
92 速度検出器

Claims (3)

  1. 電力変換器により永久磁石形同期電動機に供給する電流及び電圧を、前記電動機の回転子磁極方向に平行なd軸とこのd軸に直交するq軸とからなるd,q直交回転座標上で制御するための制御装置であって、電動機鉄芯の磁気飽和特性を少なくとも考慮した磁束モデルに基づいて構成される制御装置において、
    前記電動機のd軸電流を時間軸に沿って変化させる第1の手段と、
    前記第1の手段によりd軸電流を変化させた時の前記電動機のq軸電流、q軸電圧、回転子速度からd軸磁束を推定する第2の手段と、
    前記第2の手段によるd軸磁束推定値のd軸電流による偏微分を演算する第3の手段と、
    前記第1の手段により変化させたd軸電流をパラメータとした時の前記偏微分の最大値から、第1のパラメータとして、前記d軸電流に対するd軸磁束の傾きの最大値に相当するパラメータを求める第4の手段と、
    前記偏微分が最大になる時のd軸電流から、第2のパラメータとして、回転子永久磁石の等価磁化電流を求める第5の手段と、
    前記偏微分が最大になる時のd軸磁束推定値から、第3のパラメータとして、磁束オフセットを求める第6の手段と、
    前記電動機の永久磁石磁束、前記d軸電流に対するd軸磁束の傾きの最大値、前記等価磁化電流、前記磁束オフセットから、第4のパラメータとして、d軸磁束におけるd軸電流反比例係数を求める第7の手段と、を備え、
    前記第1〜第4のパラメータを用いて前記磁束モデルを構成することを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。
  2. 電力変換器により永久磁石形同期電動機に供給する電流及び電圧を、前記電動機の回転子磁極方向に平行なd軸とこのd軸に直交するq軸とからなるd,q直交回転座標上で制御するための制御装置であって、電動機鉄芯の磁気飽和特性を少なくとも考慮した磁束モデルに基づいて構成される制御装置において、
    前記電動機のd軸電流を時間軸に沿って変化させる第1の手段と、
    前記第1の手段によりd軸電流を変化させた時の前記電動機のq軸電流、q軸電圧、回転子速度からd軸磁束を推定する第2の手段と、
    前記第2の手段によるd軸磁束推定値のd軸電流による偏微分を演算する第3の手段と、
    前記第1の手段により変化させたd軸電流をパラメータとした時の前記偏微分の最大値から、第1のパラメータとして、前記d軸電流に対するd軸磁束の傾きの最大値に相当するパラメータを求める第4の手段と、
    前記偏微分が最大になる時のd軸電流から、第2のパラメータとして、回転子永久磁石の等価磁化電流を求める第5の手段と、
    前記偏微分が最大になる時のd軸磁束推定値から、第3のパラメータとして、磁束オフセットを求める第6の手段と、
    前記d軸電流、前記d軸磁束推定値、前記d軸電流に対するd軸磁束の傾きの最大値、前記等価磁化電流、前記磁束オフセットから、第4のパラメータとして、d軸磁束におけるd軸電流反比例係数を求める第7の手段と、を備え、
    前記第1〜第4のパラメータを用いて前記磁束モデルを構成することを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。
  3. 請求項1または2に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
    前記第2の手段は、
    前記q軸電流、前記q軸電圧からq軸誘起電圧演算値を算出する手段と、
    前記d軸磁束推定値と前記回転子速度とからq軸誘起電圧推定値を演算する手段と、
    前記q軸誘起電圧演算値と前記q軸誘起電圧推定値との偏差からq軸誘起電圧推定誤差を演算する手段と、
    前記q軸誘起電圧推定誤差と前記回転子速度から前記d軸磁束推定値を演算する手段と、
    を有することを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。
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