JP2015144206A - 太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光電変換効率をより一層向上可能な太陽電池の製造方法を提供する。【解決手段】 太陽電池の製造方法は、少なくとも銅及びインジウムを含むプリカーサ21,22が形成された基板11を準備すること、及びセレン化水素雰囲気中でプリカーサ21,22をセレン化して、カルコパイライト型化合物を太陽電池の光吸収層20として生成すること(セレン化工程)、を備える。セレン化工程は、室温以上250℃未満の範囲の第1の温度T1でセレン化水素雰囲気を得ること、250℃以上450℃未満の範囲の第2の温度T2にセレン化炉30の内部温度が設定され又は保たれること、及び、450℃以上600℃未満の範囲の第3の温度T3で、第1の温度T1でのセレン化水素雰囲気を作り出すセレン化水素ガスの供給量M1よりも低い供給量M2に設定し又は保ち、且つその後に低い供給量M1よりも高い供給量M2に設定し又は保つこと、を含む。【選択図】 図3
Description
本発明は、カルコパイライト型化合物を光吸収層として有する太陽電池(カルコパイライト型太陽電池)の製造方法等に関する。
近年、太陽光、風力等の自然の力を利用して得られる再生可能エネルギーへの関心が高まっており、特に、太陽光等からの光を電気エネルギーに変換可能な太陽電池の開発は、活発に行われている。太陽電池の光吸収層は、半導体で形成され、その半導体としてシリコンを用いた太陽電池が広く知られている。また、シリコン以外の半導体(化合物半導体)としてカルコパイライト型化合物を用いた太陽電池は、例えば特許文献1に開示されている。
具体的には、特許文献1の図1は、太陽電池の多層積層構造7を開示し、ここで、特許文献1の多層積層構造7は、p型の光吸収層であるCIGS光吸収層4を有している。なお、特許文献1の図1の太陽電池は、銅、インジウム及びセレンからなるカルコパイライト型化合物を光吸収層として有するCIS型太陽電池ではなく、銅、インジウム、ガリウム及びセレンからなるカルコパイライト型化合物を光吸収層として有するCIGS型太陽電池である。
また、特許文献1の図2(a)〜図2(i)は、CIGS型太陽電池の製造工程を開示している。具体的には、金属Moターゲットを用いたスパッタリング法で、ソーダライムガラス(SLG)などの清浄なガラス基板にMo電極層を形成する(特許文献1の図2(a)参照)。次に、金属Inターゲット及びCu−Ga合金ターゲットを用いたスパッタリング法で、Mo電極層(裏面電極)の上に、In層とCu−Ga層とを有する二層構造又は積層構造であるプリカーサ(金属前駆体)を形成する(特許文献1の図2(d)参照)。
次に、プリカーサが形成されたガラス基板をセレン化水素(H2Se)ガスの雰囲気中でアニールする(特許文献1の図2(e)参照)。ここで、このようなアニール処理を実施することにより、プリカーサは、カルコパイライト型化合物であるCIGS単層に変換される。次に、例えば浸漬浴堆積(CBD:chemical bath deposition)法で、CIGS単層(光吸収層)の上に、CdS,ZnO,InS等のn型の半導体材料を形成する(特許文献1の図2(f)参照)。次に、ZnO−Al合金ターゲットを用いたスパッタリング法で、n型の半導体材料(バッファ層)の上に、ZnOAl層(透明導電層、透明電極)を形成する。このような製造工程で、例えばCIGS型太陽電池を得ることができる。
特に、特許文献1の段落[0021]の記載によれば、プリカーサをカルコパイライト型化合物に変換する工程(光吸収層の製造工程)は、第1のセレン化工程、第2のセレン化工程及び第3のセレン化工程を含んでいる。ここで、第1のセレン化工程は、プリカーサが形成されたガラス基板等の基板を気密空間に収容した状態で、室温〜250℃の温度範囲とした気密空間内にセレン化水素ガスを導入し、また、第2のセレン化工程は、250℃〜450℃の温度範囲に昇温した空間内にセレン化水素ガスを追加導入し、さらに、第3のセレン化工程は、第2のセレン化工程までの導入セレン化水素ガスを気密空間内に残留させた状態で、気密空間内を450℃〜650℃の温度範囲に昇温し、この温度範囲条件下で基板の熱処理を行う。第1〜第3セレン化工程を実施することにより、カルコパイライト型化合物のうちの各構成成分、特に、Ga及びSeの両元素は、均一に分布することができる。これにより、太陽電池の光電変換効率を高くすることができる。
しかしながら、本発明者らは、特許文献1の第3のセレン化工程では、カルコパイライト型化合物で構成される多結晶(光吸収層)において、結晶粒界(一種の格子欠陥)が存在してしまうことを認識した。
本発明の1つの目的は、光電変換効率をより一層向上可能な太陽電池の製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び最良の実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
第1の態様において、太陽電池の製造方法は、
少なくとも銅及びインジウムを含むプリカーサが形成された基板を準備すること、及び
セレン化水素雰囲気中で前記プリカーサをセレン化して、カルコパイライト型化合物を前記太陽電池の光吸収層として生成すること、
を備え、
前記プリカーサをセレン化して前記カルコパイライト型化合物を生成することは、
前記基板が格納されるセレン化炉の内部温度が室温以上250℃未満の範囲の第1の温度に設定され又は保たれる状態で、セレン化水素ガスを前記セレン化炉内に供給して、前記セレン化水素雰囲気を得ること、
前記第1の温度よりも高い第2の温度であって250℃以上450℃未満の範囲の第2の温度に、前記内部温度が設定され又は保たれること、及び
前記第2の温度よりも高い第3の温度であって450℃以上600℃未満の範囲の第3の温度に前記内部温度が設定され又は保たれる状態で、前記第1の温度での前記セレン化水素雰囲気を作り出す前記セレン化水素ガスの供給量よりも低い供給量に設定し又は保ち、且つその後に前記低い供給量よりも高い供給量に設定し又は保つこと、
を含む。
少なくとも銅及びインジウムを含むプリカーサが形成された基板を準備すること、及び
セレン化水素雰囲気中で前記プリカーサをセレン化して、カルコパイライト型化合物を前記太陽電池の光吸収層として生成すること、
を備え、
前記プリカーサをセレン化して前記カルコパイライト型化合物を生成することは、
前記基板が格納されるセレン化炉の内部温度が室温以上250℃未満の範囲の第1の温度に設定され又は保たれる状態で、セレン化水素ガスを前記セレン化炉内に供給して、前記セレン化水素雰囲気を得ること、
前記第1の温度よりも高い第2の温度であって250℃以上450℃未満の範囲の第2の温度に、前記内部温度が設定され又は保たれること、及び
前記第2の温度よりも高い第3の温度であって450℃以上600℃未満の範囲の第3の温度に前記内部温度が設定され又は保たれる状態で、前記第1の温度での前記セレン化水素雰囲気を作り出す前記セレン化水素ガスの供給量よりも低い供給量に設定し又は保ち、且つその後に前記低い供給量よりも高い供給量に設定し又は保つこと、
を含む。
第1の態様では、450℃以上600℃未満の範囲の第3の温度で、セレン化水素ガスの供給量が低く設定される。これにより、プリカーサからカルコパイライト型化合物に変換される途中で、プリカーサとセレン化水素ガスとの化学反応を抑制することができる。言い換えれば、第3の温度で、カルコパイライト型化合物を徐々に生成することで、カルコパイライト型化合物で構成される多結晶(光吸収層)において、各結晶の粒径が大きくなる。これにより、結晶粒界の数又は量が軽減して、太陽電池の光電変換効率をより一層向上することができる。
第1の態様に従属する第2の態様において、
前記セレン化水素ガスの前記低い供給量は、前記プリカーサを前記カルコパイライト型化合物に完全に変換するために必要な供給量よりも低くてもよい。
前記セレン化水素ガスの前記低い供給量は、前記プリカーサを前記カルコパイライト型化合物に完全に変換するために必要な供給量よりも低くてもよい。
第2の態様では、プリカーサがカルコパイライト型化合物に完全に変換されないので、プリカーサの一部は、未反応物質のままである。言い換えれば、450℃以上600℃未満の範囲の第3の温度で、プリカーサの一部は、液相のままである。これにより、多結晶(光吸収層)の平均粒径が大きくなる。
第2の態様に従属する第3の態様において、
前記第3の温度に前記内部温度が設定され又は保たれ、且つ前記セレン化水素ガスの前記低い供給量が設定され又は保たれる時に、前記プリカーサの一部は、前記銅のセレン化物及び前記インジウムのセレン化物に変換されるとともに、前記プリカーサの残部は、前記カルコパイライト型化合物に変換されてもよい。
前記第3の温度に前記内部温度が設定され又は保たれ、且つ前記セレン化水素ガスの前記低い供給量が設定され又は保たれる時に、前記プリカーサの一部は、前記銅のセレン化物及び前記インジウムのセレン化物に変換されるとともに、前記プリカーサの残部は、前記カルコパイライト型化合物に変換されてもよい。
第3の態様では、プリカーサの一部は、銅のセレン化物及びインジウムのセレン化物のままである。特に、第3の温度で、銅のセレン化物が液相のままであるので、多結晶(光吸収層)の平均粒径が大きくなる。
第1乃至第3の態様の何れか1つに従属する第4の態様において、
前記プリカーサは、前記銅及び前記インジウム、並びにガリウムからなってもよい。
前記プリカーサは、前記銅及び前記インジウム、並びにガリウムからなってもよい。
第4の態様では、プリカーサが銅、ガリウム及びインジウムからなるので、高い光電変換効率を有するCIGS型太陽電池の製造方法を提供することができる。
第4の態様に従属する第5の態様において、
前記プリカーサ中の前記銅のモル量、前記インジウムのモル量、及び前記ガリウムのモル量の和に対する前記セレン化炉内に供給される前記セレン化水素ガスのモル量の比率が1.63未満であるように、前記セレン化水素ガスの前記低い供給量は、設定され又は保たれてもよい。
前記プリカーサ中の前記銅のモル量、前記インジウムのモル量、及び前記ガリウムのモル量の和に対する前記セレン化炉内に供給される前記セレン化水素ガスのモル量の比率が1.63未満であるように、前記セレン化水素ガスの前記低い供給量は、設定され又は保たれてもよい。
第5の態様では、プリカーサ中の銅のモル量、ガリウムのモル量及びインジウムのモル量の和に対するセレン化水素ガスのモル量の比率が1.63未満であるので、第3の温度で、セレンの欠乏状態を作り出すことができる。これにより、銅のセレン化物が液相のままであり易くなり、多結晶(光吸収層)の平均粒径をより確実に大きく成長させることができる。
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
以下に説明する最良の実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
図1(A)〜図1(L)は、本発明に従う太陽電池の製造方法の概略説明図を示す。図1(A)に示すように、基板11を準備し、金属Moターゲット12aを用いたスパッタリング法で、基板11の上にMo電極層(図1(B)の裏面電極層12)を形成する(モリブデン電極層形成工程)。ここで、基板11は、例えば無アルカリガラス基板、ソーダライムガラス(SLG)基板等のガラス基板である。次に、図1(B)に示すように、例えばレーザー切削で、裏面電極層12(Mo電極層)を所望の形状に加工することができる(第1のスクライブ工程)。
次に、例えばスパッタリング法で、裏面電極層12上に銅・インジウム・ガリウム合金層を形成する。具体的には、図1(C)に示すように、金属Inターゲット21aを用いたスパッタリング法で、裏面電極層12の上に、In層(図1(E)の第1のプリカーサ層21)を形成し、その後、例えばCu−Ga合金ターゲット22aを用いたスパッタリング法で、In層(第1のプリカーサ層21)の上に、Cu−Ga層(図1(E)の第2のプリカーサ層22)を形成することができる(合金層形成工程)。ここで、CIS型太陽電池のプリカーサ層を製造するために、Cu−Ga合金ターゲット22aの代わりに、金属Cuターゲットが用いられてもよい。
次に、図1(D)に示すように、合金層(In層及びCu−Ga層)が形成された基板11をナトリウム化合物を含む溶液13aに浸して、合金層の上に、溶液13aを塗布することができる。次に、図1(E)に示すように、溶液13aから基板11を取り出し、例えば二層構造を有する金属のプリカーサを得ることができる(プリカーサ形成工程)。
次に、図1(F)に示すように、例えば銅、インジウム及びガリウムからなるプリカーサが形成された基板11(複合基板110)をセレン化炉30に格納する。詳細は後述するが、高温のセレン化水素(H2Se)雰囲気中でプリカーサをセレン化する(セレン化工程)。基板11(複合基板110)の熱処理終了後、セレン化炉30内のセレン化水素ガスを例えばアルゴン(Ar)ガス等のパージガスと置換し、パージガスで基板11(複合基板110)を冷却する。次に、図1(G)に示すように、セレン化炉30から複合基板110を取り出すことができる。裏面電極層12の上に、カルコパイライト型光吸収層として、例えば銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなるCIGS光吸収層(光吸収層20)が形成される。
次に、図1(H)に示すように、例えば浸漬浴堆積法で、光吸収層20が形成された基板11をバッファ層成膜液14aに浸して、光吸収層20の上に、硫化カドミウム(CdS)、硫化インジウム(InS)等のn型の半導体材料(図1(I)のバッファ層14)を形成する(バッファ層形成工程)。なお、バッファ層形成工程において、浸漬浴堆積法の代わりに、例えばスパッタリング法が実施されてもよい。
次に、図1(I)に示すように、例えば金属針切削で、例えばバッファ層14及び光吸収層20を所望の形状に加工することができる(第2のスクライブ工程)。なお、第2のスクライブ工程において、金属針切削の代わりに、例えばレーザー切削が実施されてもよい。次に、図1(J)に示すように、例えば例えば酸化亜鉛−アルミニウム合金ターゲット15aを用いたスパッタリング法で、バッファ層14の上に、合金層(図1(K)の透明電極層15)を形成する。
次に、図1(K)に示すように、例えば金属針切削で、例えば透明電極層15、バッファ層14及び光吸収層20を所望の形状に加工することができる(第3のスクライブ工程)。なお、第3のスクライブ工程において、金属針切削の代わりに、例えばレーザー切削が実施されてもよい。このような製造方法により、図1(L)の太陽電池10が得られる。ここで、第1〜第3のスクライブ工程が実施された太陽電池10は、例えば第1のスクラブ溝S1、第2のスクラブ溝S2、及び第3のスクラブ溝S3を有している。
図1(L)に示されるように、太陽電池10は、カルコパイライト型化合物(例えば、Cu(In,Ga)Se2:CIGS)からなるCIGS光吸収層(p型の光吸収層20)を備える薄膜型の電池である。
太陽電池10は、例えば無アルカリガラス基板である基板11と、基板11上に形成された例えばモリブデン(Mo)金属層である裏面電極層12と、を更に備えることができる。ここで、裏面電極層12上には、例えばCIGS光吸収層である光吸収層20が形成されている。加えて、太陽電池10は、光吸収層20上に形成されたn型のバッファ層14と、バッファ層14上に形成された透明電極層15と、を更に備えることができる。
太陽電池10の上方から太陽光等の光が照射される時に、光吸収層20とバッファ層14との境界(即ち、p−n接合)付近(接合領域、空乏層)では、一対の電子及び正孔が生成又は励起される。励起された電子は、空乏層に起因する内部電界によってバッファ層14のうちのn型の領域(上側)に集合する一方、励起された正孔は、同様に、その内部電界によって光吸収層20のうちのp型の領域(下側)に集合する。言い換えれば、太陽電池10の上方から太陽光等の光が照射される時に、バッファ層14(n型の領域)に設けた透明電極層15と光吸収層20(p型の領域)に設けた裏面電極層12との間に電位差が生じる。なお、透明電極層15の上に電極(図示せず)を設けるとともに、光吸収層20の上にも電極(図示せず)を設けることができ、これにより、透明電極層15及び裏面電極層12は、それぞれ、負極及び正極を構成する。
図2は、図1(F)のセレン化工程に用いられるセレン化炉の構成例を示す。図2に示されるように、セレン化炉30は、例えば、熱処理室31と、熱処理室31の内部に設けられる石英製プロセスチューブ32と、プロセスチューブ32の下方開口を塞ぐ閉塞部材33と、プロセスチューブ32内に設置される石英製サセプタ34と、プロセスチューブ32の外部に設けられるヒータ35,35と、を備える。
また、セレン化炉30の外部に、セレン化水素の供給源となるボンベ(図示せず)が設置され、このボンベには、ガス配管37が接続されている。ガス配管37に設けられる弁42が開く時に、セレン化水素は、石英製プロセスチューブ32内に導入される。
また、石英製プロセスチューブ32には、ガス排出管44が設けられ、ガス排出管44は、熱処理室31の外部に設置された真空ポンプ43に接続されている。石英製プロセスチューブ32は密閉されているので、ガス排出管44に設けられた弁45が開き、且つ真空ポンプ43が稼働する時に、石英製プロセスチューブ32内のガスは排出されて、石英製プロセスチューブ32の内部の圧力を下げることができる。一方、弁42が開く時に、ガス配管37からのセレン化水素が石英製プロセスチューブ32内に導入され、石英製プロセスチューブ32の内部の圧力を上げることができる。ここで、セレン化水素の供給量(石英製プロセスチューブ32の内部の圧力)は、ボンベの内圧、弁42の開度、弁45の開度、真空ポンプ43の能力等によって決定される。
なお、ガス配管37には、セレン化水素のボンベだけでなく、例えばアルゴンガスのボンベ(図示せず)が接続されてもよい。
また、複数の複合基板110(金属からなるプリカーサが形成された基板11)は、石英製サセプタ34に収容されている。石英製ボード46に収容された複数の複合基板110(金属からなるプリカーサが形成された基板11)は、石英製サセプタ34によって直立状態に保たれている。
図3(A)は、図2のセレン化炉30の内部温度の設定例を示し、図3(B)は、図2のセレン化炉内30のセレン化水素雰囲気を作り出すセレン化水素ガスの供給量の設定例を示す。図1(F)のセレン化工程は、セレン化炉30の内部温度の相違によって、例えば3つの工程(第1〜第3のセレン化工程)に分けられる。
まず、例えば図3(A)に示されるように、第1のセレン化工程は、セレン化炉30の内部温度Tを第1の温度T1に設定し、セレン化炉30の内部温度Tは、例えば時刻t0から時刻t1までの間、第1の温度T1に保たれる。ここで、第1の温度T1は、例えば、室温(25℃)以上250℃未満の範囲である。また、例えば図3(B)に示されるように、第1のセレン化工程(例えば時刻t0〜時刻t1)において、セレン化炉内30には、セレン化水素含有ガス(例えば、セレン化水素をアルゴンで所定の濃度に希釈したガス)が導入される。図3(A)及び図3(B)を参照するに、第1の温度T1でのセレン化水素雰囲気を作り出すセレン化水素ガスの供給量Mは、M1に設定されている。このような第1の温度T1でのセレン化水素雰囲気中で基板11に形成されたプリカーサをセレン化することができる。即ち、プリカーサがセレンと化学反応することができる。
次に、例えば図3(A)に示されるように、第2のセレン化工程は、セレン化炉30の内部温度Tを第1の温度T1よりも高い第2の温度T2に設定し、セレン化炉30の内部温度Tは、例えば時刻t1以降、上昇する。その後、セレン化炉30の内部温度Tは、例えば時刻t2で、第2の温度T2に到達し、セレン化炉30の内部温度Tは、例えば時刻t2から時刻t3までの間、第2の温度T2に保たれる。ここで、第2の温度T2は、例えば、250℃以上450℃未満の範囲である。このような第2のセレン化工程(例えば時刻t1〜時刻t3)において、プリカーサとセレンとの化学反応が内部温度Tの上昇によって促進されて、セレンは、プリカーサ中に拡散し易くなる。但し、プリカーサの一部のみがカルコパイライト型化合物に変換されて、基板11(具体的には、裏電極層12)の上に、部分的にカルコパイライト相が形成されているに過ぎない。プリカーサが例えば銅・インジウム・ガリウム合金である時に、基板11の上には、カルコパイライト相の他に、銅のセレン化物、インジウムのセレン化物及びガリウムのセレン化物が形成される。
次に、例えば図3(A)に示されるように、第3のセレン化工程は、セレン化炉30の内部温度Tを第2の温度T2よりも高い第3の温度T3に設定し、セレン化炉30の内部温度Tは、例えば時刻t3以降、上昇する。図3(A)及び図3(B)を参照するに、第3のセレン化工程において、セレン化水素ガスの供給量Mは、当初のM1よりも低いM2に設定されて、セレン化水素ガスの排出が開始される。その後、セレン化炉30の内部温度Tが例えば時刻t5で第3の温度T3に到達する前に、具体的には、例えば時刻t4で、供給量Mは、M2まで低減されて、セレン化水素ガスの排出が停止される。供給量Mの低減により、プリカーサからカルコパイライト型化合物に変換される途中で、プリカーサとセレンとの化学反応を抑制することができる。
ここで、M2は、プリカーサをカルコパイライト型化合物に完全に変換するために必要な供給量よりも低く、プリカーサの一部は、未反応物質のままである。具体的には、プリカーサ中の銅のモル量、インジウムのモル量、及びガリウムのモル量の和に対するセレン化炉30内に供給されるセレン化水素ガスのモル量の比率が1.63未満であるように、M2は、設定されることが好ましい。このように、第3のセレン化工程の一部(少なくとも時刻t4〜時刻t6)において、セレンの欠乏状態が作り出される。
また、第3の温度T3は、例えば、450℃以上650℃未満の範囲である。図3(A)及び図3(B)を参照するに、第3のセレン化工程において、セレン化炉30の内部温度Tが時刻t5で第3の温度T3に到達した後に、例えば時刻t6で、セレン化水素ガスの供給量Mは、M1よりも高い当初のM1に設定され、追加のセレン化水素ガスの導入が開始される。その後、例えば時刻t7で、セレン化水素ガスの供給量Mは、当初のM1に戻って、追加のセレン化水素ガスの導入が停止される。例えば図3(A)に示されるように、セレン化炉30の内部温度Tは、例えば時刻t5から時刻t8までの間、第3の温度T3に保たれ、その後、セレン化炉30の内部温度Tは、減少する。
ここで、第3のセレン化工程の他の一部(時刻t7〜時刻t8)において、第3の温度T3でのセレン化水素雰囲気に設定されるM1は、プリカーサをカルコパイライト型化合物に完全に変換するために必要な供給量よりも高い。具体的には、プリカーサ中の銅のモル量、インジウムのモル量、及びガリウムのモル量の和に対するセレン化炉30内に供給されるセレン化水素ガスのモル量の比率が1.63以上であるように、M1は、設定されることが好ましい。このように、第3のセレン化工程の他の一部(少なくとも時刻t7〜時刻t8)において、セレンの充分状態又は過剰状態が作り出される。
第3のセレン化工程において、プリカーサ中の銅のモル量、インジウムのモル量、及びガリウムのモル量の和に対するセレン化炉30内に供給されるセレン化水素ガスのモル量の比率が1.63未満である時に、プリカーサへのセレンの進入は、不十分になり、プリカーサの一部は、銅のセレン化物、インジウムのセレン化物及びガリウムのセレン化物のままである。このようなセレンの欠乏状態では、プリカーサからカルコパイライト相への化学反応が抑制されて、第3の温度T3で、銅のセレン化物が液相のままである。その後に、プリカーサ中の銅のモル量、インジウムのモル量、及びガリウムのモル量の和に対するセレン化炉30内に供給されるセレン化水素ガスのモル量の比率が1.63以上である時に、銅のセレン化物(液相)からカルコパイライト相が徐々に成長することができる。第3の温度T3での供給量Mの低減により、カルコパイライト型化合物で構成される多結晶(光吸収層)において、各結晶の粒径が大きくなる(図4(A)参照)。これにより、結晶粒界の数又は量が軽減して、太陽電池10の光電変換効率をより一層向上することができる。
図4(A)は、本発明に従う製造方法によって製造された太陽電池10の光吸収層20の断面図を示し、図4(B)は、他の製造方法(比較例)によって製造された太陽電池の光吸収層の断面図を示す。ここで、本発明に従う製造方法では、図3(B)に示された第3のセレン化工程に関して第3の温度T3で供給量Mが低減される一方、他の製造方法(比較例)では、第3の温度T3で供給量Mが低減されない点で、両者は、相違している。即ち、他の製造方法(比較例)において、供給量Mは、当初のM1のままである。
なお、図4(A)に示される図(濃淡なし)及び図4(B)に示される図(濃淡なし)の各々は、電子線後方散乱回折法(EBSD法)での解析図(濃淡あり)に基づき作成されたものである。また、粒径分布グラフ(図示せず)での解析により、本発明に従う製造方法によって製造された太陽電池10の光吸収層20(図4(A)参照)の平均粒径及び
1μm以上の粒径を持つ結晶の割合は、それぞれ、0.72μm及び23.9%であった一方、他の製造方法(比較例)によって製造された太陽電池の光吸収層(図4(B)参照)の平均粒径及び1μm以上の粒径を持つ結晶の割合は、それぞれ、0.55μm及び9.8%であった。
1μm以上の粒径を持つ結晶の割合は、それぞれ、0.72μm及び23.9%であった一方、他の製造方法(比較例)によって製造された太陽電池の光吸収層(図4(B)参照)の平均粒径及び1μm以上の粒径を持つ結晶の割合は、それぞれ、0.55μm及び9.8%であった。
ところで、図3(B)に示される供給量Mは、内部温度Tが第3の温度T3に到達する時点で、具体的には、時刻t5で、M2まで低減されている。しかしながら、本発明に従う太陽電池10の光吸収層20の製造方法は、これに限定されず、第3の温度T3が保たれる期間(時刻t5〜時刻t8)内の任意のタイミングで、供給量MをM2まで低減し、その後に供給量Mを例えばM1まで増加させることを含んでいる。
例えば、時刻t5で、供給量Mは、M1のままでもよく、時刻t5よりも遅い時刻で、供給量Mを例えばM2まで低減してもよい。即ち、例えば時刻t5でカルコパイライト相が一旦形成されていた後に、セレンの欠乏状態が作り出される時に、カルコパイライト相からセレンが抜け、特に、銅のセレン化物が液相に戻るからである。
また、図2に示すようにセレン化炉30内で複数の基板11(複合基板110)を一度に処理する時に、セレン化炉30の内部温度Tは、基板11が設置される場所に応じて変化することがある。即ち、設定温度と実際温度との間に差が生じることがあり、その差が基板11が設置される場所に応じて変化することがある。特に、セレン化炉30の内部温度TがT2からT3に到達した直後は、石英製プロセスチューブ32の中心部での温度は、T3に到達し難く、設定温度と実際温度との間に差が生じ易い。言い換えれば、図3(B)に示される時刻t7での内部温度Tがセレン化炉30内で均一になるように、時刻t7と時刻t5との差が十分な期間であることが好ましい。これにより、基板11(太陽電池10)毎の光電変換効率のばらつきを低減することができる。
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。
10・・・太陽電池、11・・・基板、12・・・裏電極層、20・・・光吸収層、21・・・第1のプリカーサ層(インジウム層)、22・・・第2のプリカーサ層(銅−ガリウム合金層)、30・・・セレン化炉。
Claims (5)
- 太陽電池の製造方法であって、
少なくとも銅及びインジウムを含むプリカーサが形成された基板を準備すること、及び
セレン化水素雰囲気中で前記プリカーサをセレン化して、カルコパイライト型化合物を前記太陽電池の光吸収層として生成すること、
を備え、
前記プリカーサをセレン化して前記カルコパイライト型化合物を生成することは、
前記基板が格納されるセレン化炉の内部温度が室温以上250℃未満の範囲の第1の温度に設定され又は保たれる状態で、セレン化水素ガスを前記セレン化炉内に供給して、前記セレン化水素雰囲気を得ること、
前記第1の温度よりも高い第2の温度であって250℃以上450℃未満の範囲の第2の温度に、前記内部温度が設定され又は保たれること、及び
前記第2の温度よりも高い第3の温度であって450℃以上600℃未満の範囲の第3の温度に前記内部温度が設定され又は保たれる状態で、前記第1の温度での前記セレン化水素雰囲気を作り出す前記セレン化水素ガスの供給量よりも低い供給量に設定し又は保ち、且つその後に前記低い供給量よりも高い供給量に設定し又は保つこと、
を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。 - 前記セレン化水素ガスの前記低い供給量は、前記プリカーサを前記カルコパイライト型化合物に完全に変換するために必要な供給量よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記第3の温度に前記内部温度が設定され又は保たれ、且つ前記セレン化水素ガスの前記低い供給量が設定され又は保たれる時に、前記プリカーサの一部は、前記銅のセレン化物及び前記インジウムのセレン化物に変換されるとともに、前記プリカーサの残部は、前記カルコパイライト型化合物に変換されることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記プリカーサは、前記銅及び前記インジウム、並びにガリウムからなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記プリカーサ中の前記銅のモル量、前記インジウムのモル量、及び前記ガリウムのモル量の和に対する前記セレン化炉内に供給される前記セレン化水素ガスのモル量の比率が1.63未満であるように、前記セレン化水素ガスの前記低い供給量は、設定され又は保たれることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池の製造方法。
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