JP2015141027A - 電場増強素子、ラマン分光法、ラマン分光装置、及び電子機器 - Google Patents

電場増強素子、ラマン分光法、ラマン分光装置、及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に、プラズモン共鳴波長の変化に対応することができる電場増強素子を提供する。【解決手段】本発明に係る電場増強素子は、入射光の波長より寸法が小さい金属微細構造を含んで構成された金属微細構造層と、前記金属微細構造層に対向して配置され、前記金属微細構造層を通過した光を反射するミラー層と、前記金属微細構造層と前記ミラー層との間に設けられ、ファラデー効果及びコットン−ムートン効果の少なくとも一方を生じる磁気光学材料層と、前記磁気光学材料層に磁界を印加する磁界発生手段と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、電場増強素子、ラマン分光法、ラマン分光装置、及び電子機器に関する。
近年、物質センシング技術は、医療診断や食物の検査等における需要がますます増大し、特に小型で高速なセンシング技術の開発が求められている。電気化学的な手法をはじめ、様々なタイプのセンサー(電場増強素子)が検討されているが、集積化が可能、低コスト、そして測定環境を選ばないといった理由から、表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)を用いたセンサーに対する関心が高まっている。例えば、全反射型プリズム表面に設けた金属薄膜に発生させたSPRを用いて、抗原抗体反応における抗原の吸着の有無など、検出対象分子の吸着前後でシフトするのを検出することで、検出対象分子の存在をセンシングすることが行われている。
また、低濃度の分子を検出する高感度分光技術の1つとして、SPRを利用した表面増強ラマン散乱(SERS:Surface Enhanced Raman Scattering)が注目されている。SERSとは、ナノメートルスケールの凹凸構造を持つ金属表面(金属ナノ粒子表面)でラマン散乱光が102〜104倍増強される現象である。レーザーなどの単一波長の励起光を分子に照射すると、励起光の波長から分子の振動エネルギー分だけずれた波長の光(ラマン散乱光)が散乱される。この散乱光を分光処理すると、分子種に固有のスペクトル(指紋スペクトル)が得られる。この指紋スペクトルは通常微弱であるが、SERSを利用することで、高感度にスペクトルの形状を分析することができ標的の分子を同定することが可能となる。
例えば特許文献1には、プラズモン共鳴ミラー層上に形成された誘電体スペーサー層と、誘電体スペーサー層上に形成されたナノ粒子層と、を含むセンサーにおいて、層間の間隔や、ナノ粒子のサイズ及び形状などのパラメーターを調整することにより、プラズモン共鳴応答を調整できることが記載されている。
特表2007−538264号公報
金属ナノ粒子表面に標的物質(標的分子)が吸着すると、金属ナノ粒子周囲の屈折率が変化し、プラズモン共鳴波長も変化する。プラズモン共鳴波長の変化量は、標的物質の種類及び量に依存する。しかしながら、プラズモン共鳴波長に応じて、層間の間隔やナノ粒子のサイズ等を変えてセンサー(電場増強素子)を製造する方法では、標的物質の種類や量ごとにセンサーを製造しなければならない。そのため、プラズモン共鳴波長の変化に対応することは容易ではなかった。
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、プラズモン共鳴波長の変化に対応することができる電場増強素子を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記電場増強素子を用いたラマン分光法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記電場増強素子を含むラマン分光装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記ラマン分光装置を含む電子機器を提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するために為されたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
本発明に係る電場増強素子の一態様は、入射光の波長より寸法が小さい金属微細構造を含んで構成された金属微細構造層と、前記金属微細構造層に対向して配置され、前記金属微細構造層を通過した光を反射するミラー層と、前記金属微細構造層と前記ミラー層との間に設けられ、ファラデー効果及びコットン−ムートン効果の少なくとも一方を生じる磁気光学材料層と、前記磁気光学材料層に磁界を印加する磁界発生手段と、を含む。
このような電場増強素子では、磁界発生手段により磁気光学材料層に磁界を印加することにより、磁気光学材料層の屈折率を変化させ、金属微細構造層を通過した光が進む、金属微細構造層とミラー層との間の光路長を変化させることができる。これにより、標的物質を含む試料が導入され標的物質が金属微細構造に吸着してプラズモン共鳴波長のシフトが生じても、プラズモン共鳴波長のシフトに応じて光路長を補償することができる。したがって、当該電場増強素子は、標的物質の種類や量ごとに製造することなく、プラズモン共鳴波長の変化に容易に対応することができる。
本発明に係る電場増強素子において、前記磁界発生手段は、コイルを含んでもよい。
このような電場増強素子では、磁気光学材料層に印可される磁界を容易に制御することができる。
本発明に係る電場増強素子において、前記磁界発生手段は、永久磁石を含んでもよい。
このような電場増強素子では、磁気光学材料層に印可される磁界を容易に制御することができる。
本発明に係る電場増強素子において、前記金属微細構造層に、標的物質を含む試料を接触させることのできる流路を含んでもよい。
このような電場増強素子では、金属微細構造層と磁気光学材料層との間の空間(流路)の屈折率が変化しても、金属微細構造層及びミラー層の間の光路長を、最適な値(例えば、ラマン散乱光の強度が最大となる値)に調整することができる。
本発明に係る電場増強素子において、前記磁気光学材料層に対する磁界の印加方向は、前記磁気光学材料層に対する光の入射方向と同じ方向、又は前記入射方向と直交する方向であってもよい。
このような電場増強素子は、ファラデー配置又はフォークト配置となるため、磁気光学材料を通過する光の光路長を、より効率よく変化させることができる。
本発明に係る電場増強素子において、前記磁気光学材料層は、ガーネット型の結晶構造を有し、組成式R3-xBixFe5-yy12で表されてもよい。
[組成式中、
Rは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及
びルテチウム(Lu)から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、
Biは、ビスマスを表し、
Feは、鉄を表し、
Aは、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)の少なくとも1種の元素を表し、
Oは、酸素を表し、
x、及び、yは、それぞれ、0≦x<3、及び、0≦y<5、の範囲にある。]
このような電場増強素子では、磁気光学材料層は、入射光(例えば波長633nmの光)に対して高い透過性を有し、さらに、印加磁界に対して大きな屈折率の変化を得ることができる。
本発明に係るラマン分光法の一態様は、標的物質を分析するラマン分光法であって、上述の電場増強素子の前記金属微細構造層に、前記標的物質を吸着させる工程と、前記磁気光学材料層に磁界を印加して、前記入射光を前記金属微細構造層側から照射し、前記電場増強素子から反射される光を検出して、前記電場増強素子における反射率が極小となる前記磁界を決定する工程と、極小となる前記磁界を前記磁気光学材料層に印加した状態で検出された光に基づいて、前記標的物質を分析する工程と、を含む。
このようなラマン分光法は、本発明に係る電場増強素子を用いるため、金属微細構造層とミラー層との間の光路長を変化させることができ、標的物質の吸着によるプラズモン共鳴波長の変化に容易に対応することができる。
本発明に係るラマン分光装置の一態様は、標的物質を分析するラマン分光装置であって、上述の電場増強素子と、前記標的物質が吸着した前記金属微細構造層に前記入射光を照射する光源と、前記電場増強素子から反射される光を検出する光検出器と、を含む。
このようなラマン分光装置では、本発明に係る電場増強素子を含むため、標的物質の吸着によるプラズモン共鳴波長の変化に容易に対応することができる。
本発明に係る電子機器は、上述のラマン分光装置と、前記光検出器からの検出情報に基づいて健康医療情報を演算する演算部と、前記健康医療情報を記憶する記憶部と、前記健康医療情報を表示する表示部と、を含む。
このような電子機器では、本発明に係るラマン分光装置を含むため、微量物質の検出を容易に行うことができ、高精度な健康医療情報を提供することができる。
本発明に係る電子機器において、前記健康医療情報は、細菌、ウィルス、タンパク質、核酸、及び抗原・抗体から選択される少なくとも1種の生体関連物質、又は、無機分子及び有機分子から選択される少なくとも1種の化合物の有無若しくは量に関する情報を含んでもよい。
このような電子機器では、本発明に係るラマン分光装置を含むため、微量物質の検出を容易に行うことができ、高精度な健康医療情報を提供することができる。
本実施形態に係る電場増強素子の要部の断面の模式図。 本実施形態に係る電場増強素子の要部の断面の模式図。 本実施形態に係る電場増強素子の要部の断面の模式図。 本実施形態に係る電場増強素子の要部の断面の模式図。 GSP構造を模式的に示す断面図。 GSP構造を模式的に示す断面図。 波長と反射率との関係を示すグラフ。 本実施形態に係るラマン分光法を説明するためのフローチャート。 波長と反射率との関係を示すグラフ。 本実施形態に係るラマン分光装置を模式的に示す図。 本実施形態に係る電子機器を模式的に示す図。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.電場増強素子
本実施形態に係る電場増強素子について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る電場増強素子100の要部の断面の模式図である。図2〜図4は、本実施形態に係る電場増強素子101〜103の要部の断面の模式図である。図5及び図6は、GSP(Gap type Surface Plasmon)構造を模式的に示す断面図である。
電場増強素子100は、図1に示すように、ミラー層10と、磁気光学材料層20と、金属微細構造層30と、磁界発生手段40と、を含む。
1.1.ミラー層
本実施形態の電場増強素子100は、ミラー層10を有する。ミラー層10は、光を反射する表面を提供するものであれば、特に限定されず、例えばフィルム、板、層又は膜の形状とすることができる。ミラー層10は、適宜の誘電体を積層した誘電体ミラーで構成されてもよい。
ミラー層10は、金属微細構造層30に対向して設けられる。ミラー層10は、金属微細構造層30に平行に設けられてもよい。ミラー層10は、金属微細構造層30を通過した入射光iを反射することができる。
ミラー層10は、例えば基板1の上に設けられてもよい。この場合の基板1としては、特に限定されないが、ミラー層10に伝搬型表面プラズモン(PSP)が励起される場合には、そのPSPに対して影響を与えにくいものが好ましい。基板1としては、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、樹脂基板などが挙げられる。基板1は、磁界発生手段40によって発生される磁界を透過させる材質とすれば、磁界発生手段40の配置の自由度を高めることができる。
基板1のミラー層10が設けられる面の形状も特に限定されない。ミラー層10の表面に所定の構造を形成する場合にはその構造に対応する表面を有してもよいし、ミラー層10の表面を平面とする場合には、対応する部分の表面を平面としてもよい。図1の例では、基板1上に層状のミラー層10が設けられている。
本明細書では、ミラー層10の厚さ方向を、厚み方向、高さ方向等と称する場合がある。本実施形態では、ミラー層10の厚さ方向とは、後述の金属微細構造層30の厚さ方向と一致している。また、ミラー層10が基板1の表面に設けられる場合には、基板1の表面の法線方向を厚さ方向、厚み方向又は高さ方向と称する場合がある。さらに、基板1からみて、ミラー層10側の方向を上、又は上方と表現し、その逆方向を下、又は下方と表
現する場合がある。係る上方、下方との表現は、重力の作用する方向とは無関係に用いられ、素子を見る場合の視点や視線の方向を適宜に定めて表現するものとする。また、本明細書において、例えば、「部材Aの上に部材Bが設けられる」との表現は、部材Aの上に接して部材Bが設けられる場合と、部材Aの上に他の部材又は空間を介して部材Bが配置される場合と、を含む意味である。
ミラー層10は、例えば、蒸着、スパッタ、鋳造、機械加工等の手法により形成することができる。ミラー層10が薄膜状に基板1の上に設けられる場合には、基板1の上面全体に設けられてもよいし基板1の一部に設けられてもよい。ミラー層10の厚さは、特に限定されず、例えば、10nm以上1mm以下、好ましくは20nm以上100μm以下、より好ましくは30nm以上1μm以下とすることができる。
ミラー層10は、入射光iにより与えられる電場と、その電場によって誘起される分極とが逆位相で振動するような電場が存在しうる金属、すなわち、特定の電場が与えられた場合に、誘電関数の実数部が負の値を有し(負の誘電率を有し)、虚数部の誘電率が実数部の誘電率の絶対値よりも小さい誘電率を有することのできる金属によって構成されることがより好ましい。可視光領域におけるこのような誘電率を有しうる金属の例としては、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)及びそれらの合金等を挙げることができる。
ミラー層10は、本実施形態の電場増強素子100において伝搬型表面プラズモン(PSP)を発生させる機能を有してもよい。特定の条件下では、ミラー層10に光が入射することにより、ミラー層10の表面(厚さ方向の端面)近傍に伝搬型表面プラズモンを発生させることができる。本明細書では、ミラー層10の表面付近の電荷の振動と電磁波とが結合した振動の量子を、表面プラズモン・ポラリトン(SPP:Surface Plasmon Plariton)と称することがある。係るミラー層10に発生した伝搬型表面プラズモンを、後述の金属微細構造層30に発生する局在型表面プラズモンと相互作用させてもよい。
1.2.磁気光学材料層
本実施形態の電場増強素子100は、磁気光学材料層20を有する。磁気光学材料層20は、金属微細構造層30とミラー層10との間に設けられる。磁気光学材料層20は、ミラー層10に接して設けられてもよく、ミラー層10と離間して設けられてもよい。磁気光学材料層20がミラー層10と離間して設けられる場合には、その間に誘電体層(後述する)等が設けられてもよい。また、磁気光学材料層20は、金属微細構造層30に接して設けられてもよく離間して設けられてもよい。磁気光学材料層20が金属微細構造層30と離間して設けられる場合には、その間に誘電体層等が設けられてもよいし、磁気光学材料層20の上に空間を介して金属微細構造層30が設けられてもよい。さらに、磁気光学材料層20は、金属微細構造層30とミラー層10との間に、複数設けられてもよく、磁気光学材料層20、誘電体層、及び空間が金属微細構造層30とミラー層10との間に任意の順序で配置されることができる。
磁気光学材料層20は、後述する磁界発生手段40によって、磁界が印可されることにより、ファラデー効果及びコットン−ムートン効果の少なくとも一方を生じることができる。磁気光学材料層20に磁界が印可され、これらの効果が生じることにより、磁気光学材料層20の屈折率が変化して、金属微細構造層30とミラー層10との間の光路長を変化させることができる。
ここで、光路長とは、光の進む経路の光学的的長さのことを指し、光の進む経路の物理
的長さ(実際の空間的な寸法)と屈折率との積に相当する。すなわち、磁気光学材料層20の寸法(厚さなど)は変化しなくても、屈折率が変化することにより、磁気光学材料層20の中を進む光の経路の光学的長さ(光路長)が変化する。
磁気光学材料層20は、少なくとも入射光iの波長において透明度の大きい磁気光学材料で形成される。ファラデー効果及びコットン−ムートン効果とは、磁気光学材料に磁界が印可された際に生じる効果で、種類によって呼称が異なっているが、いずれも磁気光学効果の1つである。これら2つの磁気光学効果は、磁気光学材料に対して入射される光の方向と、磁界が印可される方向とによって区別される。すなわち、磁界の印加方向は、磁気光学材料層20における光の入射方向と同じ方向、又は入射方向と直交する方向とすることができ、条件に応じてこれら2つの磁気光学効果を利用することができる。
ここで、入射される光の方向、及び磁界が印可される方向の関係から、磁気光学材料に入射する光の方向に平行な方向の磁界を印加する場合をファラデー配置といい、磁気光学材料に入射する光の方向に直交する方向の磁界を印加する場合をフォークト配置という。図1〜図4には、磁界の方向を、磁力線を模して矢印にて描いてある。図1の電場増強素子100は、磁気光学材料層20に入射する入射光iの方向に平行な方向の磁界が印加されるファラデー配置の一例である。図2に示す電場増強素子101は、磁気光学材料層20に入射する入射光iの方向に直交する方向の磁界が印加されるフォークト配置の一例である。
磁気光学材料に磁界が印可されると、当該磁界に対応した磁化Mが磁気光学材料に発生し、係る磁化の大きさ及び方向(向き)により、磁気光学材料の屈折率が変化する。そして、ファラデー配置及びフォークト配置の違いや、入射する光の方向によって、磁気光学材料の屈折率に異方性を生じさせることもできる。
ファラデー配置で磁気光学材料に光を入射して印可される磁界の強度を変化させると、右円偏光と左円偏光の光における屈折率が変化する。これは、磁化された磁気光学材料に直線偏光を入射すると右円偏光と左円偏光の差異により、偏光面が回転するファラデー効果として知られている。また、フォークト配置の場合には、光の入射方向をZ方向とした場合、Z方向に対して直交するX方向及びY方向の屈折率が互いに異なるようになる。これは、コットン−ムートン効果として知られており、磁気光学材料の磁化Mの大きさにより、Z方向の屈折率が変化する。
これらの2つの効果を利用すると、磁化される前後、あるいは磁化Mの方位(方向)により、光路長(屈折率と物理的長さの積)を変化させることができる。また、ファラデー配置及びフォークト配置において光が入射される場合、光の偏光方向、屈折率を変化させる範囲、及び誘起される磁化Mの大きさ(向き)の関係は、以下のように互いに異なっている。すなわち、ファラデー配置で直線偏光光を入射する場合には、磁化Mの向きによらず、磁化Mの大きさ(絶対値)を変えること(0〜±Mの範囲)により、屈折率を変化させることができ、フォークト配置で直線偏光光を入射する場合にも、磁化Mの向きによらず、磁化Mの大きさ(絶対値)を変えること(0〜±Mの範囲)により、屈折率を変化させることができる。一方、ファラデー配置で、円偏光光を入射する場合には、磁化Mの向き及び磁化Mの大きさを変えること(−M〜+Mの範囲)により、屈折率を変化させることができる。
また、上記説明では、ファラデー配置及びフォークト配置について、入射する光の方向に平行又は直交する方向の磁界を印加する場合について述べたが、厳密に平行又は直交である必要はなく、磁界が、入射する光の方向に平行又は直交する方向の磁界の成分を有すればその成分に応じた上記効果を奏することができる。また、入射する光の方向に平行又
は直交する方向の成分に応じて、ファラデー効果及びコットン−ムートン効果の両者が現れることもある。
本実施形態の電場増強素子100では、ファラデー効果、コットン−ムートン効果又はその両者の効果が奏されれば、磁気光学材料層20の中を進む光の光路長を変化させることができる。しかし、屈折率をより変化させやすく、制御がより容易となる観点からは、入射光iは、ファラデー配置の場合には円偏光とし、フォークト配置の場合には直線偏光とすることがより好ましい。
磁気光学材料層20は、このような効果が生じる材料で形成される限り限定されないが、ラマン測定に用いられる可視光領域で好適な材料として、希土類鉄ガーネット系の材料を用いることが好ましい。
希土類鉄ガーネット系の材料は、ガーネット型の結晶構造を呈する。希土類鉄ガーネットの一般的な組成式は、R3Fe512で表される。ここで、Rは、希土類元素を表す。希土類元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)を挙げることができ、Rは、これらの元素から選ばれる少なくとも1種とすることができる。
一方、希土類鉄ガーネットの組成は、ガーネット型の結晶構造をとりうる範囲で、R3Fe512から外れてもよい。例えば、RやFeは、他の元素で置換されてもよいし、式中O(酸素)の数も精密に12である必要はない。例えば、本実施形態の磁気光学材料層20の材質は、ガーネット型の結晶構造を有し、組成式R3-xBixFe5-yy12で表されるものであってもよい。
[組成式中、
Rは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、
Biは、ビスマスを表し、
Feは、鉄を表し、
Aは、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)の少なくとも1種の元素を表し、
Oは、酸素を表し、
x、及び、yは、それぞれ、0≦x<3、及び、0≦y<5の範囲にある。]
磁気光学材料層20の材質として、このような希土類鉄ガーネット系の材料を用いると、入射光i(例えば波長633nmの光)に対して高い透過性を有し、さらに、印加磁界に対して大きな屈折率の変化を得ることができる。
磁気光学材料層20の厚さは、特に限定されず、例えば、10nm以上2000nm以下、好ましくは20nm以上500nm以下、より好ましくは20nm以上300nm以下とすることができる。本実施形態では、磁気光学材料層20の屈折率を変化させることにより、光路長を変化させることができるが、光路長を変化させることのできる範囲は、磁気光学材料層20の厚さに比例するため、反射率ピークのシフト量(シフトの補償に有効な範囲)などに応じて、磁気光学材料層20の厚さを設定してもよい。また、磁気光学材料層20の厚さは、電場増強素子100に照射される入射光iの波長λi、波長λiの光を入射した際のラマン散乱光sの波長λs等を考慮して設計されることができる。
磁気光学材料層20は、例えば、蒸着、スパッタ、CVD、各種コーティング等の手法により形成することができる。磁気光学材料層20のうち、ミラー層10と金属微細構造層30とに挟まれた領域は、ミラー層10を金属とし、金属微細構造層30を1つの層と捉えれば、MIM(Metal−Insurator−Metal)構造のInsulator(絶縁層)とみなすことができる(図6参照)。そしてこの場合、磁気光学材料層20は、上下の金属によって境界が規定された導波路と考えることができる。したがって、磁気光学材料層20内(平面方向:磁気光学材料層20と平行な方向)に光を伝搬させることができる。また、図示の例では磁気光学材料層20は、ミラー層10と接して形成されており、磁気光学材料層20とミラー層10との界面近傍に発生する伝搬型表面プラズモン(PSP)を、磁気光学材料層20内(平面方向)に伝搬させることができる。
また、金属微細構造層30を1つの層とみなす場合、ミラー層10及び金属微細構造層30によって、両端で光が反射される構造の共振器が形成されているとみなすことができ、磁気光学材料層20は、その共振器の光路に配置される。このような共振器では、入射光iと反射光との重ね合わせを起すことができる。磁気光学材料層20の厚さは、入射光iと反射光との重ね合わせにより生じる定在波の腹が、金属微細構造層30の厚さ方向の中央付近(図6の二点鎖線Cを参照)となるように設定されることにより、金属微細構造層30に生じるLSPの強度をさらに高めることができる。このような点を考慮して磁気光学材料層20の厚さを設定することもできる。
1.3.金属微細構造層
金属微細構造層30は、入射光の波長より寸法が小さい金属微細構造32を含んで構成される。図1の例では、金属微細構造層30は、磁気光学材料層20の上に接して設けられている。既に述べたが、金属微細構造層30は、磁気光学材料層20の上に他の層を介して設けられてもよいし、空間を介して設けられてもよい。金属微細構造層30が、磁気光学材料層20の上に空間を介して設けられる場合には、例えば図3に示す電場増強素子102のように、金属微細構造層30を支持する他の基板2等に設けられてもよい。
金属微細構造層30は、複数の金属微細構造32を含んで構成されている。図示の例では、金属微細構造32は、粒子状の構造(金属粒子)となっているが、金属微細構造32は、このような態様に限定されない。金属微細構造層30に含まれる金属微細構造32の数、形状、配列等については、特に限定されない。また、金属微細構造層30は、金属微細構造32以外に気体(空間)、誘電体等を含んでもよい。
金属微細構造層30は、金属微細構造32の下端に接する面と上端に接する面との間の部分と定義する。例えば、金属微細構造層30の上面及び下面は、金属微細構造層30に金属微細構造32と気体(空間)が含まれている場合には、仮想的な面となり、金属微細構造層30には、金属微細構造32の側方に配置された気体(空間)も含まれるものとする。
金属微細構造層30に含まれる金属微細構造32は、入射光iの照射により、局在型表面プラズモンを発生することができれば特に限定されない。図5は、金属微細構造層30に含まれる金属微細構造32の一例を粒子状の微細構造(金属粒子)として示している。また金属微細構造層30は、金属微細構造32が、平面視において、所定の方向に所定のピッチで複数並んだストライプ状、すなわち、金属微細構造32が、平面視において、グレーティング状(縞状)に配列されていてもよい。さらに金属微細構造層30は、金属微細構造32が、平面視において、所定の方向に所定のピッチで複数並んだ金属微細構造列を有し、かつ、金属微細構造列が、前記所定の方向と交差する方向に、所定のピッチで複数並んだ二次元格子状の構造を有してもよい。
金属微細構造層30が、粒子又はストライプ状の金属微細構造32で構成される場合、金属微細構造32の数は、複数であればよく、好ましくは10個以上、より好ましくは100個以上である。なお、金属微細構造32は、互いに同一形状であってもよいし、互いに異なる形状であってもよく、例えば、ストライプ状の金属微細構造32及び粒子状の金属微細構造32が混在してもよい。
金属微細構造32は、少なくとも磁気光学材料層20を介してミラー層10から厚さ方向に離間して設けられる。図1〜図4の例では、金属微細構造32は、ミラー層10の上に磁気光学材料層20を介して配置されている。
金属微細構造32の形状は、特に限定されず、例えば、粒子状の構造である場合には、ミラー層10の厚さ方向に投影した場合に(厚さ方向からの平面視において)円形、楕円形、多角形、不定形又はそれらを組合わせた形であることができ、厚さ方向に直交する方向に投影した場合にも円形、楕円形、多角形、不定形又はそれらを組合わせた形状であることができる。金属微細構造32は、例えば、ミラー層10の厚さ方向に中心軸を有する円柱状の形状とすることができるが、金属微細構造32の形状はこれに限定されず、例えば、角柱状、楕円柱状、半球状、球状、錐状、錐台状等であってもよい。
金属微細構造32の寸法は、入射光iの波長(例えば633nm)より小さく、例えば、5nm以上600nm以下である。具体的には、金属微細構造32の高さ方向に直交する方向の大きさは、当該方向に垂直な平面によって金属微細構造32を切ることができる区間の長さを指し、5nm以上600nm以下とする。また金属微細構造32の形状が高さ方向を中心軸とする円柱である場合には、金属微細構造32の大きさ(円柱底面の直径)は、10nm以上600nm以下、好ましくは20nm以上400nm以下、より好ましくは25nm以上300nm以下としてもよい。
金属微細構造32の高さ方向(誘電体層4の厚さ方向)の大きさTは、高さ方向に垂直な平面によって金属微細構造32を切ることができる区間の長さを指し、1nm以上300nm以下とすることができる。例えば、金属微細構造32の形状が高さ方向を中心軸とする円柱である場合には、金属微細構造32の高さ方向の大きさ(円柱の高さ)は、1nm以上300nm以下、好ましくは2nm以上100nm以下、より好ましくは3nm以上50nm以下、さらに好ましくは4nm以上40nm以下とすることができる。
金属微細構造32の形状、材質は、入射光iの照射によって、局在型表面プラズモン(LSP)を生じうる限り任意である。可視光付近の光によって局在型表面プラズモンを生じうる材質としては、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)又はそれらの合金を挙げることができる。これらの中でも、金属微細構造32の材質としては、Au又はAgであることがより好ましい。このような材質を選ぶことにより、より強いLSPが得られる場合があり、素子全体の電場増強度を強めることができる。
金属微細構造32は、例えば、スパッタ、蒸着等によって薄膜を形成した後にパターニングを行う方法、マイクロコンタクトプリント法、ナノインプリント法などによって形成することができる。また、金属微細構造32は、基板上に塗布したレジストを電子線描画等により感光させ、スパッタ、蒸着等によって金属薄膜を成膜した後にレジストを除去してパターニングを行うリソグラフィー法などによって形成することができる。また、金属微細構造32は、コロイド化学的手法によって形成することができ、これを適宜の手法によって配置してもよい。さらに、金属微細構造32は、干渉露光法によって形成すること
もできる。すなわち、パターン形成のための露光を、レーザー光の干渉縞を利用して行うことができる。また、この方法によれば、多重露光や多光束露光が可能であり、周期的なパターンを有する金属微細構造32を非常に容易に形成することができる。例えば、縞状のパターンを形成する場合には、レーザー光の干渉縞をレジスト等に露光することにより形成することができる。また、二次元格子状のパターンを形成する場合には、レーザー光の干渉縞を交差するように、同時に又は回分的にレジスト等に露光することにより形成することができる。係る方法は、電子線描画に比較して装置構成を小規模にすることができ、かつ、必要に応じて多数の電場増強素子100をより効率的に製造することができる。
金属微細構造32は、本実施形態の電場増強素子100において局在型表面プラズモン(LSP)を発生させる機能を有している。金属微細構造32に、特定の条件で入射光iを照射することにより、金属微細構造32の周辺に局在型表面プラズモンを発生させることができる。金属微細構造32に発生した局在型表面プラズモン(LSP)が、ミラー層10の上面近傍に発生する伝搬型表面プラズモン(PSP)と相互作用できるように入射光iの波長、ミラー層10と金属微細構造層30との間の距離、金属微細構造32の配列等を設定してもよい。
なお、図1〜図4の例では、複数の金属微細構造32は、周期的に設けられているが、周期的に設けられずランダムに配置されてもよい。複数の金属微細構造32が周期的に設けられている場合、その周期は、例えば、10nm以上1000nm以下とすることができる。
電場増強素子100には、金属微細構造層30に対して入射光i(励起光)が照射される。そして、入射光iは、金属微細構造層30及びミラー層10との間で、回折、屈折、反射等の各種の相互作用をして入射光iの照射された領域及びその近傍にて、プラズモン共鳴を生じ、高い電場増強効果を示すことができる。
以上例示した電場増強素子100では、入射光iの照射により、金属微細構造層30の金属微細構造32の近傍に、非常に大きい増強電場が形成される。したがって、電場増強素子100の金属微細構造層30の金属微細構造32に標的物質を吸着(付着、接触)させた状態で、入射光iを照射することにより、入射光i及び標的物質によるラマン散乱光の両者を大幅に増幅することができる。なお標的物質は、電場増強素子100を用いた分析において、検出の対象となる物質である。また吸着とは、物体の界面において、濃度が周囲よりも増加する現象のことをいう。
金属微細構造32に吸着している標的物質に入射光iを照射すると、散乱光として、入射光iと同じ波長を有するレイリー散乱光と、入射光iとは異なる波長を有するラマン散乱光sと、が発生し、光検出器(図示せず)において受光(検出)される。入射光iとラマン散乱光sのエネルギーとの差は、標的物質の構造に応じた特有の振動エネルギーに対応している。そのため、ラマン散乱光sの波数(振動数)と、入射光iの波数と、の差であるラマンシフトを求めることにより、標的物質を特定することができる。
金属微細構造32は、入射光iにより表面プラズモン共鳴(SPR)を生じる。具体的には、金属微細構造32は、入射光iにより局在型表面プラズモン共鳴(LSPR)を生じる。ここで、LSPRとは、光の波長以下の金属粒子に光を入射させると、金属内に存在する自由電子が光の電場成分により集団的に振動し、外部に局在電場を誘起する現象である。この局在電場により、ラマン散乱光sを増強することができる。
金属微細構造層30とミラー層10との間において、電場増強素子100に入射する入射光i(入射光iの少なくとも一部)は、多重反射する。具体的には、入射光iの少なく
とも一部は、ミラー層10と金属微細構造層30とが平行に配置された場合に、両者の間で定在波を形成して、共振(共鳴)し、LSPRを強く発現させることができる。電場増強素子100では、磁界発生手段40によって磁気光学材料層20に磁界を印加することにより、磁気光学材料層20の屈折率を変化させ、ミラー層10と金属微細構造層30との間を多重反射する入射光iの(定在波の)光路長を変化させることができる。
本実施形態の電場増強素子100では、金属微細構造層30に対して、標的物質を含む試料が接触される。試料が接触される位置は、金属微細構造層30の上面でも下面でもよい。すなわち、試料の流路50は、図1、2、4に示すように、金属微細構造層30の上面側に形成されてもよいし、図3に示すように、金属微細構造層30の下面側に形成されてもよい。換言すると、図1、2、4の例では、流路50は、金属微細構造層30の磁気光学材料層20とは反対側に形成されており、図3の例では、流路50は、金属微細構造層30と磁気光学材料層20との間に形成されている。
1.4.プラズモン共鳴波長
図5に、GSP(Gap type Surface Plasmon)構造を示す。図5に示すように、GSP構造では、ミラー層10上に磁気光学材料層20が設けられ、磁気光学材料層20上に複数の金属微細構造32が設けられている。図6は、図5に示すGSP構造を積層膜構造とみなした図であり、金属微細構造32と周辺(空気)とを1つの金属微細構造層30(疑似層)とみなしている。
図6に示す積層膜構造において、金属微細構造層30側から入射する入射波(入射光)と、各層の界面で生じた反射波(反射光)と、を重ね合わせた定在波の腹が金属微細構造層30の中心線(金属微細構造層30の上面と下面との中間を通る線)Cに存在するように、光路長を設定することができる。このとき、プラズモン共鳴波長λは、近似的に下記式(1)で表される。
なお、式(1)において、mは整数であり、nparticleは金属微細構造層30の屈折率であり、dparticleは金属微細構造層30の膜厚であり、ngapは磁気光学材料層20の屈折率であり、dgapは磁気光学材料層20の膜厚であり、φmirrorは磁気光学材料層20とミラー層10との界面で反射する際に生じる位相変化量[rad]である。
ミラー層10が単層の金属層である場合、φmirrorは、下記式(2)で表される。
なお、式(2)において、nmirrorはミラー層10の屈折率であり、κmirrorはミラー層10の消衰係数である。ミラー層10が誘電体ミラーの場合、磁気光学材料層20の屈折率が誘電体ミラーの1層目(磁気光学材料層20に接する層)より、高い場合φmirror=0となり、低い場合φmirror=πとなる。また、磁気光学材料層20が複数の層の積層体からなる場合、各層において、式(1)を満たすことが望ましい。
図7に、ミラー層10をAu層とし、磁気光学材料層20を空気とし、金属微細構造32をAgナノ粒子としたGSP構造の電場増強素子(センサーチップ)における、入射光iの波長に対する反射率特性を示す。図7は、計算機によるシミュレーション結果である。反射率は、Agナノ粒子側から電場増強素子に光を入射させ、入射光の強度に対する反射光の強度の比から求めたものである。
図7に示すように、光学素子に入射する入射光の波長である633nmにおいて表面プラズモン共鳴による光吸収が見られる。この吸収は、入射光と各界面で生じた反射光とを重ねあわせた光電場によって励起されたLSPRに由来する。
表面プラズモン共鳴による増強電場を利用して物質を検出するSERS光学素子においては、入射する光の波長、あるいは検出対象物のラマン散乱波長に表面プラズモン共鳴の波長を合わせる。SERS増強度が入射波長における電場増強度の2乗と、ラマン散乱波長における電場増強度の2乗と、の積に比例すると言われている。GSP構造のセンサーチップでは、金属ナノ粒子の寸法、あるいはギャップ層の膜厚などを任意に設定し、プラズモン共鳴波長を合わせることができる。
しかし、流路に試料を導入して金属微細構造層30に物質が接触した場合、物質の種類や量によって、プラズモン共鳴波長にシフトが生じる(図7参照)。これにより、設計時のプラズモン共鳴波長においては、電場増強度が低下してしまう場合がある。これは図7の矢印が示す反射率の変化分約60%が、増強電場を形成するためのエネルギー寄与から外れることを意味している。
上記のような問題に対し、本実施形態の電場増強素子100では、磁界を印加することで金属微細構造層30とミラー層10との間の光路長を変化させることができる磁気光学材料層20を設け、プラズモン共鳴波長のシフトを補償することができる。補償量は、磁気光学材料層20の厚さや印加される磁界の値により、調整することができる。
1.5.磁界発生手段
本実施形態の電場増強素子100は、磁界発生手段40を有する。磁界発生手段40は、磁気光学材料層20に対して、磁界を印可する。磁界発生手段40は、電場増強素子100に対して入射される入射光及び電場増強素子100から放射される光を遮蔽しないような形状とされ、あるいは、これらの光を遮蔽しないような位置に設けられる。図1、3の例では、磁界発生手段40は、外部からの入射光i及び金属微細構造層30からのラマン散乱光sが通過できる窓Wを有している。また、磁界発生手段40は、磁気光学材料層20に対して、他の部材を透過して磁界を印可してもよい。そのような場合には、他の部材は、磁界を透過できる材質で形成される。
磁界発生手段40は、例えば、コイル(電磁石)、永久磁石等により構成することができる。磁界発生手段40が、コイルで構成される場合には、印可する磁界の強度や向きを変化させやすい。また、磁界発生手段40が永久磁石で構成される場合には、例えば、永久磁石の脱着、反転、交換等により印可する磁界の強度や向きを変化させることができる。さらに、磁界発生手段40は、永久磁石と電磁石を適宜組合わせて構成してもよい。
図1の例では、磁界発生手段40は、基板1及び金属微細構造層30の外側に配置された2つのコイル42によって挟む構成となっており、磁気光学材料層20に対して法線方向から磁界を印可するように配置されている。図1及び図3では、磁界発生手段40によって発生される磁界の方向は、入射光iの入射方向と略平行となっており、ファラデー配置の例を示している。
一方、図2の電場増強素子101の例では、磁界発生手段40は、磁気光学材料層20の側方(厚さ方向に対して直交する方向)に配置された2つのコイル42によって挟む構成となっており、磁気光学材料層20に対して磁界を印可するように配置されている。図2では、磁界発生手段40によって発生される磁界の方向は、入射光iの入射方向と略垂直となっており、フォークト配置の一例を示している。
図1ないし図3の例では、ファラデー配置又はフォークト配置となるため、磁気光学材料層20を通過する光の光路長を、より効率よく変化させることができる。
なお、図4に示すように、磁界発生手段40を、基板1及び金属微細構造層30の外側に配置された1つのコイル42とする構成でも、磁気光学材料層20に対して磁界を印可することができる。図4の例では、磁界発生手段40によって発生される磁界の方向は、入射光iの入射方向に対して傾いた領域が生じ、ファラデー配置及びフォークト配置が混合した配置となっている。このような配置であっても、ファラデー効果及びコットン−ムートン効果の両者の効果を生じることができるため、磁気光学材料層20の屈折率を変化させることができる。
1.6.その他の構成
1.6.1.流路
本実施形態の電場増強素子100は、流路50を含んで構成されてもよい。流路50には、標的物質を含む試料Sが導入される。流路50は、標的物質を含んだ液体、気体等の流体試料の流通経路となる。流路50は、標的物質を含む流体試料を金属微細構造層30に接触させることができるように形成される。図1〜図4には、試料Sの流れを矢印で模式的に示してある。
図1、2、4に示す例では、流路50は、金属微細構造層30の磁気光学材料層20とは反対側に形成される。この場合、流路50は、磁界発生手段40の構成を含んで形成されてもよいし、例えば、電場増強素子100が装着されるラマン分光装置の構成を利用して形成されてもよい。また、図3に示す例では、流路50は、金属微細構造層30の磁気光学材料層20と同じ側に形成される。この場合、流路50は、他の基板2を利用して形成されることができる。またこの場合、基板1及び/又は他の基板2は、図示せぬ突起等を有してもよく、互いに向い合うことにより、流路50となる空間を形成するように構成されてもよい。
1.6.2.誘電体層
図示しないが、電場増強素子100は、誘電体層を含んでもよい。誘電体層は、ミラー層10及び金属微細構造層30の間に形成されることができる。誘電体層は、磁気光学材料層20の上方及び/又は下方に形成されてもよい。また、ミラー層10及び金属微細構造層30の間において、磁気光学材料層20、誘電体層、及び空間は、任意の順序で配置されることができる。
誘電体層は、フィルム、層又は膜の形状を有することができる。誘電体層は、正の誘電率を有すればよく、例えば、SiO2、Al23、TiO2、高分子、ITO(Indium Tin Oxide)などで形成することができる。また誘電体層は、材質の互いに異なる複数の層から構成されてもよい。これらのうち、誘電体層の材質としては、SiO2であることがより好ましい。このようにすれば、400nm以上の波長λiの入射光を用いて、試料を測定する際に、入射光i及びラマン散乱光の両者を容易に増強することができる。誘電体層の厚さは、特に限定されず、例えば、10nm以上2000nm以下、好ましくは20nm以上500nm以下、より好ましくは20nm以上300nm以下とす
ることができる。
誘電体層の厚さは、電場増強素子100に照射される入射光iの波長λi、波長λiの光を入射した際のラマン散乱光sの波長λs等を考慮して設計される。誘電体層は、例えば、蒸着、スパッタ、CVD、各種コーティング等の手法により形成することができる。
誘電体層内(平面方向:誘電体層と平行な方向)には光を伝搬させることができる。また、誘電体層がミラー層10と接して形成される場合には、誘電体層とミラー層10との界面近傍に発生する伝搬型表面プラズモン(PSP)を、誘電体層内(平面方向)に伝搬させることができる。また、金属微細構造層30を1つの層とみなす場合には、ミラー層10及び金属微細構造層30によって、両端で光が反射される構造の共振器とみなすことができ誘電体層は、磁気光学材料層20とともに、その共振器の光路の一部を構成する。
1.7.作用効果
以上説明した電場増強素子100は、少なくとも以下の特徴を有する。電場増強素子100では、磁界発生手段40により磁気光学材料層20に磁界を印加することができる。これにより、磁気光学材料層20の屈折率を変化させることができる。
そして、標的物質が金属微細構造32に吸着してプラズモン共鳴波長のシフトが生じた場合に、プラズモン共鳴波長の変化に応じて、印可する磁界を調節することにより、当該プラズモン共鳴波長のシフトを補償する長さの光路長となるように、金属微細構造層30とミラー層10との間の光路長を調節することができる。したがって、電場増強素子100では、プラズモン共鳴波長の変化に容易に対応することができる。
2.ラマン分光法
次に、本実施形態に係るラマン分光法について、図面を参照しながら説明する。図8は、本実施形態に係るラマン分光法を説明するためのフローチャートである。本実施形態に係るラマン分光法では、本発明に係る電場増強素子を用いる。以下では、本発明に係る電場増強素子として電場増強素子100を用いた例について説明する。
本実施形態に係るラマン分光法は、図8に示すように、電場増強素子100の磁気光学材料層20の磁化を初期化する工程(ステップS1)と、電場増強素子100の金属微細構造層30に、標的物質を吸着させる工程(ステップS2)と、電場増強素子100に、入射光を金属微細構造層側から照射し、電場増強素子から反射される光を検出して、反射率を測定する工程(ステップS3)と、当該反射率が極小値となっているかどうかを判定する工程(ステップS4)と、磁気光学材料層20に印可する磁界を変化させる工程(ステップS5)と、反射率が極小となる磁界を決定する工程(ステップS6)と、極小となる磁界を磁気光学材料層20に印加した状態で、検出された光に基づいて標的物質を分析する工程(ステップS7)と、を含む。以下、具体的に説明する。
本実施形態のラマン分光法は、電場増強素子100を準備する工程を有してもよい。電場増強素子100は、例えば、標的物質を含む試料が接触されておらず、かつ、磁気光学材料層20に磁界が印加されていない状態において、最終的にプラズモン共鳴を発現させたい波長(目標波長)よりも短波長側又は長波長側の、磁気光学材料層20の屈折率変化によってカバーできる範囲にプラズモン共鳴波長を有するように設計される。
ここで、目標波長は通常、ラマン散乱を励起する入射光iの波長と、標的物質(標的分子)のラマン散乱光の波長の中間に設定される。また、2波長が十分近いとみなせる場合は、入射光の波長を目標波長としてもよい。以下の説明では目標波長を入射光の波長とする。例えば、金属微細構造32の形状及び大きさ等を調整することにより、電場増強素子
100は、入射光iの波長よりも短波長側又は長波長側にプラズモン共鳴波長を有するように設計されることができる。例えば、入射光iの波長が633nmの場合において、プラズモン共鳴波長が約630nmとなるように、電場増強素子100を設計する。
次に、上記設計に従って準備された新しい電場増強素子100、又は、他の測定が終了した後の電場増強素子100に対して、必要に応じて磁気光学材料層20の磁化を初期化する(S1)。磁化を初期化する手法としては、磁界発生手段40により、所定の磁化が磁気光学材料層20に形成されるようにする。このとき必ずしも、磁化をゼロにする(消磁)ことや、正又は負の飽和磁化を形成する必要はない。本工程では、磁気光学材料層20が、磁化のない状態から、飽和磁化となる状態の間の所定の状態に設定される。なお、プラズモン共鳴波長を変化させる範囲を大きくする観点からは、消磁状態、又は、正又は負の飽和磁化の状態を、初期化状態とすることがより好ましい。
次に、電場増強素子100の金属微細構造層30に標的物質を含む試料を接触させ、電場増強素子100の金属微細構造32に、標的物質を吸着させる(S2)。これにより、プラズモン共鳴波長は、例えば、630nmよりも長波長側にシフトする。例えば、図7に示したように、プラズモン共鳴波長は、約636nmとなる。
反射率は、電場増強素子100に、金属微細構造層30側から光を入射させ、入射光の強度に対する、電場増強素子100における反射光の強度の比から求めたものである。なお、反射光の測定は別途用意された光源からの光を入射して得られた反射光の強度から算出してもよいし、ラマン散乱光を励起する際に用いる波長幅の狭いレーザー光でもよい(S3)。
次に、得られた反射率が、極小値となっているかどうかを判定する(S4)。反射率が極小値となっているかどうかを判定するために、少なくとも2回の反射率測定(S3)を行う。すなわち、準備された電場増強素子100が新しいものである場合には、少なくとも3回の反射率測定(S3)を行い、準備された電場増強素子100が他の測定が終了した後のものである場合には、当該他の測定における反射率の測定結果を利用して、少なくとも2回の反射率測定(S3)を行う。
反射率が極小値となっていない場合(ステップS4でN)には、印可する磁界を変化させて(S5)、再度反射率測定を行う(S3)。このとき印可する磁界の変化は、極小値を見出すように行われる。また、厳密な極小値が得られなくても、測定において満足できる反射率が得られれば、その値を極小値としてもよい。反射率が極小値となっている場合(ステップS4でY)には、その値を印可する磁界として決定する(S6)。
磁界を変化させる方法としては、例えば、入射光が直線偏光光である場合には、ファラデー配置及びフォークト配置のいずれであっても、磁化がない状態(消磁状態)と、磁化の絶対値が最大の状態(飽和状態)との間で変化させて、屈折率を変化させることができる。また、入射光が、円偏光光である場合には、ファラデー配置として、磁化の最小値(負の方向の最大磁化)と最大値(正の方向の最大磁化)との間で変化させれば、屈折率を変化させることができる。また、磁気光学材料層20は、印可される磁界に対して、屈折率がヒステリシスを示すため、磁化の初期化、及び調節は、ヒステリシスを考慮して行うことが好ましい。
図9は、電場増強素子100における、入射光の波長に対する反射率特性を示す。図9は、計算機によるシミュレーションによるものである。例えば、図9に示すように、磁気光学材料層20が消磁状態では、625nm付近に反射率の極小値を生じているが、正(+)方向又は負(−)方向の飽和磁界を印加したときには、632nm付近に反射率の極
小値を生じさせることができる。
したがって、標的物質が金属微細構造層30に吸着してプラズモン共鳴波長がシフトしても、ステップS3〜ステップS5を繰返すことにより、入射光iの反射率が、極小となる磁界を決定することができる(ステップS6)。
次に、反射率が極小となる磁界を磁気光学材料層20に印加した状態で検出された光に基づいて、標的物質を分析(定性分析又は定量分析)する(ステップS7)。以上の工程により、標的物質を分析することができる。
本実施形態に係るラマン分光法では、電場増強素子100を用いるため、金属微細構造層30とミラー層10との間の光路長を変化させることができ、標的物質の吸着によるプラズモン共鳴波長の変化に容易に対応することができる。また、電場増強素子100を用いて、反射率が極小となる磁界を磁気光学材料層20に印加した状態で検出された光に基づいて、標的物質を分析する。そのため、ラマン散乱光の強度を大きくすることができる。したがって、本実施形態に係るラマン分光法では、検出感度を高めることができる。
3.ラマン分光装置
次に、本実施形態に係るラマン分光装置について、図面を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係るラマン分光装置200を模式的に示す図である。
ラマン分光装置200は、図10に示すように、気体試料保持部110と、検出部120と、制御部130と、検出部120及び制御部130を収容している筐体140と、を含む。気体試料保持部110は、本発明に係る電場増強素子を含む。以下では、本発明に係る電場増強素子として電場増強素子100を含む例について説明する。
気体試料保持部110は、電場増強素子100と、電場増強素子100を覆うカバー112と、吸引流路114と、排出流路116と、を有している。検出部120は、光源210と、レンズ122a,122b,122c,122dと、ハーフミラー層124と、光検出器220と、を有している。制御部130は、光検出器220において検出された信号を処理して光検出器220の制御をする検出制御部132と、光源210などの電力や電場増強素子100の磁気光学材料層20に印加する磁界を制御する電力制御部134と、を有している。図示はしないが、ラマン分光装置200は、電力制御部134からの信号に基づいて、磁気光学材料層20に磁界を印加するコイルへ電力を供給するための電源を有していてもよい。制御部130は、図10に示すように、外部との接続を行うための接続部136と電気的に接続されていてもよい。
ラマン分光装置200では、排出流路116に設けられている吸引機構117を作動させると、吸引流路114及び排出流路116内が負圧になり、吸引口113から検出対象となる標的物質を含んだ気体(流体)試料が吸引される。吸引口113には除塵フィルター115が設けられており、比較的大きな粉塵や一部の水蒸気などを除去することができる。吸引流路114及び排出流路116は、電場増強素子100の空間(流路)70と連通している。気体試料は、吸引流路114、流路50、及び排出流路116を通り、排出口118から排出される。気体試料が流路50を通る際に、標的物質は、電場増強素子100の金属微細構造62に吸着する。
吸引流路114及び排出流路116の形状は、外部からの光が電場増強素子100に入射しないような形状である。これにより、ラマン散乱光以外の雑音となる光が入射しないため、信号のS/N比を向上させることができる。流路114,116を構成する材料は、例えば、光を反射し難いような材料や色である。
吸引流路114及び排出流路116の形状は、気体試料に対する流体抵抗が小さくなるような形状である。これにより、高感度な検出が可能になる。例えば、流路114,116の形状を、できるだけ角部をなくし滑らかな形状にすることで、角部における気体試料の滞留をなくすことができる。吸引機構117としては、例えば、流路抵抗に応じた静圧、風量のファンモーターやポンプを用いる。
ラマン分光装置200では、光源210は、標的物質が吸着した金属微細構造32を含む電場増強素子100に、光(例えば波長633nmのレーザー光、入射光i)を照射する。光源210としては、例えば、半導体レーザー、気体レーザーを用いる。光源210から射出された光は、レンズ122aで集光された後、ハーフミラー層124及びレンズ122bを介して、電場増強素子100に入射する。電場増強素子100からは、SERS光が放射され、該光は、レンズ122b、ハーフミラー層124、及びレンズ122c,122dを介して、光検出器220に至る。すなわち、光検出器220は、電場増強素子100から反射される光を検出する。SERS光には、光源210からの入射波長と同じ波長のレイリー散乱光が含まれているので、光検出器220のフィルター126によってレイリー散乱光を除去してもよい。レイリー散乱光が除去された光は、ラマン散乱光として、光検出器220の分光器127を介して受光素子128にて受光される。受光素子128としては、例えば、フォトダイオードを用いる。
光検出器220の分光器127は、例えば、ファブリペロー共振を利用したエタロン等で形成されており、通過波長帯域を可変とすることができる。光検出器220の受光素子128によって、標的物質に特有のラマンスペクトルが得られ、例えば、得られたラマンスペクトルと予め保持するデータとを照合することで、標的物質の信号強度を検出することができる。
なお、ラマン分光装置200は、電場増強素子100、光源210、及び光検出器220を含み、電場増強素子100に標的物質を吸着させ、そのラマン散乱光を取得することができれば、上記の例に限定されない。
また、上述した本実施形態に係るラマン分光法のように、レイリー散乱光を検出する場合は、ラマン分光装置200は、フィルター126を有さず、分光器によって、レイリー散乱光とラマン散乱光とを分光してもよい。
ラマン分光装置200では、容易に、プラズモン共鳴波長の変化に対応することができる電場増強素子100を含む。そのため、ラマン散乱光の強度を大きくすることができる。したがって、ラマン分光装置200は、高い検出感度を有することができる。
4.電子機器
次に、本実施形態に係る電子機器300について、図面を参照しながら説明する。図11は、本実施形態に係る電子機器300を模式的に示す図である。電子機器300は、本発明に係るラマン分光装置を含むことができる。以下では、本発明に係るラマン分光装置としてラマン分光装置200を含む例について説明する。
電子機器300は、図11に示すように、ラマン分光装置200と、光検出器220からの検出情報に基づいて健康医療情報を演算する演算部310と、健康医療情報を記憶する記憶部320と、健康医療情報を表示する表示部330と、を含む。
演算部310は、例えば、パーソナルコンピューター、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistance)、ウェアラブル端末であり、光検
出器220から送出される検出情報(信号等)を受け取る。演算部310は、光検出器220からの検出情報に基づいて健康医療情報を演算する。演算された健康医療情報は、記憶部320に記憶される。
記憶部320は、例えば、半導体メモリー、ハードディスクドライブ等であり、演算部310と一体的に構成されてもよい。記憶部320に記憶された健康医療情報は、表示部330に送出される。
表示部330は、例えば、表示板(液晶モニター等)、プリンター、発光体、スピーカー等により構成されている。表示部330は、演算部310によって演算された健康医療情報等に基づいて、ユーザーがその内容を認識できるように、表示又は発報する。
健康医療情報としては、細菌、ウィルス、タンパク質、核酸、及び抗原・抗体から選択される少なくとも1種の生体関連物質、又は、無機分子及び有機分子から選択される少なくとも1種の化合物の有無若しくは量に関する情報を含むことができる。
電子機器300では、容易に、プラズモン共鳴波長の変化に対応することができるラマン分光装置200を含む。そのため、電子機器300では、微量物質の検出を容易に行うことができ、高精度な健康医療情報を提供することができる。
上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。例えば、本発明に係る電場増強素子は、抗原抗体反応における抗原の吸着の有無などのように、物質の吸着の有無を検出するアフィニティー・センサーなどとして用いることもできる。アフィニティー・センサーは、該センサーに白色光を入射し、波長スペクトルを分光器で測定し、吸着による表面プラズモン共鳴波長のシフト量を検出することで、検出物質のセンサーチップへの吸収を高感度に検出することができる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…基板、2…他の基板、10…ミラー層、20…磁気光学材料層、30…金属微細構造層、32…金属微細構造、40…磁界発生手段、42…コイル、50…流路、100,101,102,103…電場増強素子、110…気体試料保持部、112…カバー、113…吸引口、114…吸引流路、115…除塵フィルター、116…排出流路、117…吸引機構、118…排出口、120…検出部、122a,122b,122c,122d…レンズ、124…ハーフミラー層、126…フィルター、127…分光器、128…受光素子、130…制御部、132…検出制御部、134…電力制御部、136…接続部、140…筐体、200…ラマン分光装置、210…光源、220…光検出器、300…電子機器、310…演算部、320…記憶部、330…表示部

Claims (10)

  1. 入射光の波長より寸法が小さい金属微細構造を含んで構成された金属微細構造層と、
    前記金属微細構造層に対向して配置され、前記金属微細構造層を通過した光を反射するミラー層と、
    前記金属微細構造層と前記ミラー層との間に設けられ、ファラデー効果及びコットン−ムートン効果の少なくとも一方を生じる磁気光学材料層と、
    前記磁気光学材料層に磁界を印加する磁界発生手段と、
    を含む、電場増強素子。
  2. 請求項1において、
    前記磁界発生手段は、コイルを含む、電場増強素子。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記磁界発生手段は、永久磁石を含む、電場増強素子。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記金属微細構造層に対して、標的物質を含む試料を接触させることができる流路を含む、電場増強素子。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記磁気光学材料層に対する磁界の印加方向は、前記磁気光学材料層に対する光の入射方向と同じ方向、又は前記入射方向と直交する方向である、電場増強素子。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    前記磁気光学材料層は、ガーネット型の結晶構造を有し、組成式R3-xBixFe5-yy12で表される、電場増強素子。
    [組成式中、
    Rは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、
    Biは、ビスマスを表し、
    Feは、鉄を表し、
    Aは、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)の少なくとも1種の元素を表し、
    Oは、酸素を表し、
    x、及び、yは、それぞれ、0≦x<3、及び、0≦y<5、の範囲にある。]
  7. 標的物質を分析するラマン分光法であって、
    請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の電場増強素子の前記金属微細構造層に、前記標的物質を吸着させる工程と、
    前記磁気光学材料層に磁界を印加して、前記入射光を前記金属微細構造層側から照射し、前記電場増強素子から反射される光を検出して、前記電場増強素子における反射率が極小となる前記磁界を決定する工程と、
    極小となる前記磁界を前記磁気光学材料層に印加した状態で検出された光に基づいて、前記標的物質を分析する工程と、
    を含む、ラマン分光法。
  8. 標的物質を分析するラマン分光装置であって、
    請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の電場増強素子と、
    前記標的物質が吸着した前記金属微細構造層に前記入射光を照射する光源と、
    前記電場増強素子から反射される光を検出する光検出器と、
    を含む、ラマン分光装置。
  9. 請求項8に記載のラマン分光装置と、
    前記光検出器からの検出情報に基づいて健康医療情報を演算する演算部と、
    前記健康医療情報を記憶する記憶部と、
    前記健康医療情報を表示する表示部と、
    を含む、電子機器。
  10. 請求項9において、
    前記健康医療情報は、細菌、ウィルス、タンパク質、核酸、及び抗原・抗体から選択される少なくとも1種の生体関連物質、又は、無機分子及び有機分子から選択される少なくとも1種の化合物の有無若しくは量に関する情報を含む、電子機器。
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