以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である原稿搬送装置を備えた画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、原稿の画像を読取って記録用紙に印刷する複写機能を有しており、その最上部に画像読取り装置2及び第1実施形態の原稿搬送装置3を配置し、その最下部に給紙カセット5を配置し、給紙カセット5の上側に印刷部4を配置し、画像読取り装置2と印刷部4との間を離間させて、これらの間に排紙トレイ6を配置している。
このような画像形成装置1では、原稿搬送装置3により原稿を搬送し、画像読取り装置2により原稿の画像(カラー又はモノクロの画像)を読取り、印刷部4により画像を記録用紙に印刷する。ここで、印刷部4においては、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像を記録用紙に印刷するために、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、及び帯電装置15をそれぞれ4個ずつ設け、それぞれをブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdを構成している。
各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、ドラムクリーニング装置14により感光体ドラム13表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電装置15により感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させ、光走査装置11により感光体ドラム13表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置12により感光体ドラム13表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13表面にトナー像を形成する。これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。
引き続いて、中間転写ベルト21を矢印方向Cに周回移動させつつ、ベルトクリーニング装置22により中間転写ベルト21の残留トナーを除去及び回収した後、各感光体ドラム13表面の各色のトナー像を中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせ、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像を形成する。
中間転写ベルト21と2次転写装置23の転写ローラ23a間にはニップ域が形成されており、用紙搬送経路Sを通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、中間転写ベルト21表面のカラーのトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置17は、記録用紙を加熱及び加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
また、記録用紙は、ピックアップローラ24により給紙カセット5から引き出されて、用紙搬送経路Sを通じて搬送され、2次転写装置23や定着装置17を経由し、排紙ローラ25を介して排紙トレイ6へと搬出される。この用紙搬送経路Sには、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ23a間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始するレジストローラ27、記録用紙の搬送を促す各搬送ローラ28、排紙ローラ25等が配置されている。
次に、画像形成装置1の本体上部に搭載された画像読取り装置2及び原稿搬送装置3の概略構成を説明する。原稿搬送装置3は、その奥一辺を画像読取り装置2の奥一辺に軸支されており、その手前部分を上下させることにより開閉される。原稿搬送装置3が開かれると、画像読取り装置2の原稿読取りガラス31及び原稿載置ガラス32が開放され、原稿載置ガラス32上に原稿を載置することができる。
画像読取り装置2では、第1及び第2走査ユニット33、34を相互に所定の速度関係を維持しつつ移動させ、第1走査ユニット33の光源33aにより原稿載置ガラス32上の原稿を照明し、第1及び第2走査ユニット33、34の各ミラー33b、34bによって原稿からの反射光を結像レンズ36へと導き、結像レンズ36によって原稿の画像をCCD(Charge Coupled Device)37上に結像する。CCD37は、原稿の画像を主走査方向Xに繰り返し読取り、原稿の画像を示す画像データを出力する。
また、画像読取り装置2は、静止原稿だけではなく、原稿搬送装置3により搬送されている原稿の画像を読取ることができる。この場合は、図1に示すように第1走査ユニット33を原稿読取りガラス31下方の読取り位置に移動し、第1走査ユニット33の位置に応じて第2走査ユニット34を位置決めし、この状態で、原稿搬送装置3による原稿の搬送を開始する。
原稿搬送装置3では、ピックアップローラ41により原稿トレイ42上の原稿を引き出し、原稿を原稿搬送経路43を通じて搬送し、原稿を原稿読取りガラス31と対向ガイド板46との間に通して排紙ローラ47から排紙トレイ48へと排出する。
この原稿の搬送に際し、第1走査ユニット33の光源33aにより原稿を原稿読取りガラス31を介して照明し、原稿からの反射光を第1及び第2走査ユニット33、34の各ミラー33b、34bで反射して結像レンズ36へと導き、結像レンズ36により原稿の画像をCCD37上に結像させ、CCD37により原稿の画像を読取る。
このようにCCD37により読取られた原稿の画像は、CCD37からアナログ信号として出力され、このアナログ信号がデジタル信号にA/D変換される。そして、このデジタル信号(画像データ)は、種々の画像処理を施されてから印刷部4の光走査装置11に入力され、印刷部4で画像データによって示される画像が記録用紙に記録される。
次に、第1実施形態の原稿搬送装置3について詳しく説明する。図2は、原稿搬送装置3を示す断面図である。図2に示すように原稿搬送装置3では、原稿トレイ42及び排紙トレイ48を上下に配置し、原稿トレイ42の先端側から排紙トレイ48の先端側へと大きく湾曲して通じる原稿搬送経路43を設け、原稿搬送経路43の外側にピックアップローラ41、分離ローラ51、各コロ52a、52b、及び排紙ローラ47を順次配置し、原稿搬送経路43の湾曲部分の内側に大径搬送ローラ53を設け、一方のコロ52bよりも原稿Nの搬送方向Eの下流側に対向ガイド板46を設けて、対向ガイド板46の対向面(白色面)46aを画像読取り装置2の原稿読取りガラス31に接触させている。また、ピックアップローラ41には補助ローラ54が圧接され、分離ローラ51には分離パッド55が圧接され、大径搬送ローラ53には各コロ52a、52bが圧接され、排紙ローラ47には補助ローラ56が圧接されている。大径搬送ローラ53の周面は、原稿搬送経路43の内側で露呈している。
ここで、原稿トレイ42上に載せられた原稿Nは、原稿トレイ42の傾斜下方に滑り落ちて、あるいは利用者により原稿トレイ42の傾斜下方に滑り落とされて、その先端がピックアップローラ41の表面に導かれて当接する。
この状態で、ピックアップローラ41及び分離ローラ51が矢印方向Fに回転駆動されて、補助ローラ54がピックアップローラ41に従動回転し、ピックアップローラ41により原稿Nが原稿トレイ42から引き出され、原稿Nが分離ローラ51と分離パッド55との間を通って1枚ずつに分離される。そして、大径搬送ローラ53が矢印方向Fとは逆方向に回転駆動されて、原稿Nが大径搬送ローラ53と各コロ52a、52bとの間を通って搬送され、更に原稿Nが原稿読取りガラス31と対向ガイド板46の対向面(白色面)46aとの間を通って排紙ローラ47へと導かれ、排紙ローラ47が矢印方向Fとは逆方向に回転されて、原稿Nが排紙ローラ47と補助ローラ56との間を通って排紙トレイ48へと排出される。原稿Nが原稿読取りガラス31と対向ガイド板46の対向面46aとの間を通過するときには、画像読取り装置2のCCD37により原稿Nの表面の画像が読取られる。
ところで、原稿読取りガラス31と対向ガイド板46の対向面46aとの間隔を狭くすると、原稿読取りガラス31の表面に対して原稿Nを良好に摺接させることができ、原稿Nの画像の読取りムラを効果的に抑えることができるが、原稿Nが薄紙である場合は、原稿Nの剛性が低いため、原稿Nが原稿読取りガラス31と対向ガイド板46の対向面46aとの間を通り抜けずに詰まることがある。
逆に、原稿読取りガラス31と対向ガイド板46の対向面46aとの間隔を広くすると、薄い原稿Nを通すことができても、原稿読取りガラス31の表面に対して原稿Nを良好に摺接させることができなくなり、原稿Nの画像の読取りムラが発生する。図3(a)〜(c)は、原稿読取りガラス31と対向ガイド板46の対向面46aとの間隔を広くした状態での原稿Nの搬送過程を示している。図3(a)に示すように原稿Nの先端部分は、該原稿Nの剛性により平坦となって原稿読取りガラス31の表面に摺接しつつ搬送され、また図3(c)に示すように原稿Nの後端部分も、該原稿Nの剛性により平坦となって原稿読取りガラス31の表面に摺接しつつ搬送される。しかしながら、図3(b)に示すように原稿Nの中央寄りの部分は、原稿読取りガラス31の前後で持ち上げられて湾曲することから、原稿読取りガラス31の表面に一様に摺接しない。このため、原稿Nの画像の読取りムラが発生する。
図4は、原稿Nを読取ったCCD37の出力レベル(明度)の変化を示すグラフであり、縦軸が明度を示し、横軸が副走査方向Yにおける原稿Nの位置を示している。図4のグラフにおいて、特性曲線g2は、図3(a)〜(c)に示すような搬送過程で原稿Nが搬送されたときの明度を示すものである。この特性曲線g2から明らかなように、原稿Nの両端部では明度が高くなり、原稿Nの中央寄りの部分で明度が低くなっている。従って、原稿Nの画像の読取りムラが発生している。
そこで、第1実施形態の原稿搬送装置3では、対向ガイド板46の対向面46aを原稿読取りガラス31に対して接離する方向に変位可能にして、対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間隔を調節することができるようにしている。このため、薄い原稿Nについては、対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間隔を広くして、薄い原稿Nが対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間で詰まることを防止することができる。また、普通紙以上の厚さであって十分な剛性を有する原稿Nについては、対向ガイド板46の対向面46aを原稿読取りガラス31に軽く圧接させて、原稿Nが対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間を通るときに該原稿Nを該原稿読取りガラス31の表面に摺接させ、原稿Nの画像の読取りムラを抑制することができる。
次に、そのような対向ガイド板46等について更に詳しく説明する。図5は、原稿搬送装置3における対向ガイド板46等を抽出して示す断面図である。また、図6は、画像読取り装置2の原稿読取りガラス31及び原稿載置ガラス32を通じて、対向ガイド板46等を下方から透視して示す平面図である。尚、図5においては、ピックアップローラ41、分離ローラ51、大径搬送ローラ53、及び排紙ローラ47等を省略して、各ローラ41、51、53、47の軸41a、51a、53a、47a等だけを示している。
図5に示すように対向ガイド板46は、傾斜ガイド部46b、対向部46c、延在部46d、及び各支持部46eを有している。傾斜ガイド部46bは、原稿Nの搬送方向Eの上流側に向く対向部46cの端部で斜め上方向に折り曲げられている。対向部46cの下面は、画像読取り装置2の原稿読取りガラス31に接触する対向面46aとなっている。延在部46dは、原稿Nの搬送方向Eの下流側に向く対向部46cの端部で折り曲げられて排紙ローラ47の軸47aまで斜め上方に延在している。各支持部46eは、原稿Nの搬送方向Eと直交する方向における延在部46dの中心に対して対称に配置されており、各支持部46eの孔に排紙ローラ47の軸47aが通されて、対向ガイド板46が軸47aを中心にして矢印方向Jに回転自在に支持されている。
対向ガイド板46の対向部46c上には、コイルバネ57が設けられている。コイルバネ57の上端が原稿搬送装置3のフレームの不動部位(図示せず)に圧接されて、コイルバネ57が圧縮状態にあり、コイルバネ57の付勢力により対向ガイド板46の対向部46cが下方に押され、対向ガイド板46が排紙ローラ47の軸47aを中心に反時計周り方向に付勢され、対向ガイド板46の対向部46cの対向面46aが画像読取り装置2の原稿読取りガラス31に軽く圧接されている。
尚、コイルバネ57の代わりに、対向部46c上に錘を固定して、錘の重量により対向ガイド板46の対向面46aを原稿読取りガラス31に圧接させたり、対向ガイド板46の自重により対向部46cの対向面46aを原稿読取りガラス31に圧接させたりしてもよい。
一方、図5及び図6に示すように原稿搬送装置3の先端側では、該原稿搬送装置3のフレーム(図示せず)により変位部材58の支軸58aが回転自在に支持され、支軸58aの両端にそれぞれのアーム58bが原稿Nの搬送方向Eの下流側に向けて突設され、各アーム58bの先端が対向ガイド板46の傾斜ガイド部46bに当接している。原稿Nは、各アーム58bの間を通過する。
また、図6に示すように一対の大径搬送ローラ53がその軸53aに離間して設けられ、各大径搬送ローラ53に圧接する一対のコロ52a(52b)が設けられている。また、図5及び図6から明らかなよに、各大径搬送ローラ53は、対向ガイド板46の傾斜ガイド部46bに形成されたそれぞれの切り欠き部を通じて各コロ52aに圧接されている。
更に、図5に示すように支軸58aの中央には、操作レバー58cが上向きに突設されており、操作レバー58cの先端部分58dが原稿搬送装置3のカバー59の開口スリット59aの近傍まで上方に延びている。この開口スリット59aには、操作スライダー61が該開口スリット59aの長手方向(副走査方向Y)に移動自在に設けられている。操作スライダー61には、その下方に突出する凸部61aが形成されており、この凸部61aが操作レバー58cの先端部分58dに係合している。
ここで、操作スライダー61は、利用者により操作されて開口スリット59aの長手方向に移動される。この操作スライダー61が該開口スリット59aの長手方向に移動されると、操作レバー58cの先端部分58dもその長手方向に移動され、支軸58aが回転して、各アーム58bが支軸58aを中心にして回転移動する。
図5に示すように操作スライダー61が原稿トレイ42の方向に移動されている場合は、操作レバー58cの先端部分58dも原稿トレイ42の方向に移動されて、支軸58a並びに各アーム58bの回転位置が定まり、各アーム58bの先端が対向ガイド板46の傾斜ガイド部46bに接するかあるいは傾斜ガイド部46bより僅かに離間する。このとき、コイルバネ57により対向ガイド板46の対向部46cが下方に付勢され、対向部46cの対向面46aが原稿読取りガラス31に軽く圧接される。以降、対向ガイド板46の対向面46aが原稿読取りガラス31に軽く圧接された状態を、第2搬送モードと称する。
原稿読取りガラス31に対する対向ガイド板46の対向面46aの圧接圧力は、薄くはなく普通紙以上の厚さであって十分な剛性を有する原稿Nであれば、原稿Nが対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間に侵入して通過し得る程度に設定されている
このため、第2搬送モードでは、普通の厚さ以上の原稿Nが原稿読取りガラス31と対向ガイド板46の対向面46aとの間へと搬送されて来ると、原稿Nがその間に侵入して通過しつつ原稿読取りガラス31の表面に摺接し、原稿Nが排紙ローラ47へと搬送される。これにより、画像読取り装置2による原稿Nの画像の読取りムラが抑制される。
図4のグラフにおいて、特性曲線g1は、第2搬送モードで原稿Nが搬送されたときのCCD37の出力(明度)を示すものである。この特性曲線g1から明らかなように、原稿Nの両端部及び中央寄りの部分のいずれにおいても、明度が略一定に維持されている。従って、原稿Nの画像の読取りムラが抑制されている。
また、図7に示すように操作スライダー61が原稿トレイ42とは反対方向に移動されている場合は、操作レバー58cの先端部分58dも原稿トレイ42とは反対方向に移動されて、支軸58a並びに各アーム58bが反時計回り方向に回転移動され、各アーム58bの先端がコイルバネ57の付勢力に抗して対向ガイド板46の傾斜ガイド部46bを押し上げ、対向ガイド板46が排紙ローラ47の軸47aを中心にして時計回り方向に回転され、対向ガイド板46の対向部46cが上昇して原稿読取りガラス31から離間し、対向部46cの対向面46aと原稿読取りガラス31との間隔が空いて広くなる。このとき、操作スライダー61には、コイルバネ57の付勢力に伴い、該操作スライダー61を原稿トレイ42の方向へと移動させようとする力が作用するが、ストッパー(図示せず)により操作スライダー61の位置が保持されるので、操作スライダー61が原稿トレイ42の方向に移動することはない。例えば、原稿トレイ42とは反対側の開口スリット59aの端部に該開口スリット59aの長手方向と直交する方向に窪む凹所を形成すると共に、操作スライダー61を原稿トレイ42とは反対方向に移動させたときにその凹所に引っ掛かる凸部を該操作スライダー61の側部に形成し、操作スライダー61の側部の凸部を開口スリット59aの凹所に引っ掛けて、原稿トレイ42とは反対方向に移動された操作スライダー61の位置を保持する。これにより、対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との広い間隔(例えば0.5mm程度の間隔)が保持される。以降、その間隔が広くされて保持された状態を、第1搬送モードと称する。
この第1搬送モードでは、原稿Nが薄紙であっても、原稿Nを対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間に速やかに通すことができ、原稿Nがその間で詰まることない。
従って、第1実施形態の原稿搬送装置3では、原稿Nが普通の厚さ以上である場合に、利用者が、操作スライダー61を原稿トレイ42の方向に移動させて、対向ガイド板46の対向面46aが原稿読取りガラス31に軽く圧接された第2搬送モードを設定すると、画像読取り装置2による原稿Nの画像の読取りのムラが抑制される。また、原稿Nが薄紙である場合に、利用者が、操作スライダー61を原稿トレイ42とは反対方向に移動させて、対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間隔が広くされた第1搬送モードを設定すると、原稿Nの紙詰まりが効果的に防止される。
次に、第2実施形態の原稿搬送装置3Aについて詳しく説明する。図8は、第2実施形態の原稿搬送装置3Aを示す断面図である。尚、図8においては、図5と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付し、また図5と同様に、ピックアップローラ41、分離ローラ51、大径搬送ローラ53、及び排紙ローラ47等を省略して、各ローラ41、51、53、47の軸41a、51a、53a、47a等だけを示している。
第2実施形態の原稿搬送装置3Aでは、第1実施形態の原稿搬送装置3における変位部材58及び操作スライダー61の代わりに、変位部材58A及び駆動部71を設けている。
変位部材58Aは、回転自在に支持された支軸58aと、支軸58aの両端に設けられた各アーム58bとを有し、第1実施形態の原稿搬送装置3における変位部材58の操作レバー58cを省略したものに相当する。駆動部71は、モータ(図示せず)と、モータの出力軸の回転を変位部材58Aの支軸58aに伝達するギアユニット(図示せず)とを備えている。
図9は、第2実施形態の原稿搬送装置3Aの制御系を示すブロック図である。図9において、制御部72は、画像形成装置1を統括的に制御するものであって、画像読取り装置2、原稿搬送装置3A、及び印刷部4等を制御する。また、制御部72は、原稿搬送装置3Aにおける駆動部71のモータを駆動制御して、変位部材58Aの支軸58aの回転方向及び回転角度を調節する。操作部73は、操作キー、表示部、表示部の画面に重ねられたタッチパネル等を有し、利用者により操作されて、画像形成装置1に対して複写等を入力指示したり、画像形成装置1に関する情報を表示部の画面に表示する。
このような構成において、利用者は、原稿Nを原稿搬送装置3Aの原稿トレイ42にセットし、操作部73を操作することにより原稿Nの種類(厚さ)及び複写の開始を指示すると、原稿搬送装置3Aによる原稿Nの搬送が開始され、制御部72により第1搬送モード及び第2搬送モードのいずれかが設定され、画像読取り装置2による原稿Nの画像の読取りが行われる。
図10は、そのような原稿Nの搬送、第1搬送モード又は第2搬送モードの設定、及び原稿Nの画像の読取りの手順を示すフローチャートである。ここでは、まず、利用者により原稿Nが原稿搬送装置3Aの原稿トレイ42にセットされ(ステップS101)、利用者により操作部73が操作されて、原稿Nが薄紙であるか又は薄紙ではなく普通紙以上の厚さのものであるかが入力指示され(ステップS102)、更に利用者により操作部73のスタートキー(図示せず)が操作される(ステップS103)。
制御部72は、スタートキーの操作に応答して原稿搬送装置3Aを制御し、原稿搬送装置3Aによる原稿Nの搬送を開始させる(ステップS104)。これにより、ピックアップローラ41により原稿トレイ42上の原稿が引き出され、原稿Nが原稿搬送経路43を通じて原稿読取りガラス31と対向ガイド板46との間へと搬送されて行く。
また、制御部72は、原稿Nの搬送開始と同時に、ステップS102における入力指示の判定を行う(ステップS105)。そして、制御部72は、ステップS102において原稿Nが普通紙以上の厚さのものあるという入力指示がなされていたならば(ステップS105で「No」)、駆動部71のモータを制御することなく、第2搬送モードを設定する(ステップS106)。従って、コイルバネ57の付勢力により対向ガイド板46の対向部46cの対向面46aが原稿読取りガラス31に軽く圧接された状態が維持される。
原稿Nは、普通紙以上の厚さであることから十分な剛性を有し、対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間へと搬送されると、その間に侵入して通過しつつ原稿読取りガラス31の表面に摺接し、画像読取り装置2により該原稿Nの画像が読取られる(ステップS107)。このため、原稿Nの画像の読取りムラが抑制される。
更に、原稿Nが排紙トレイ48に排出され(ステップS108)、画像読取り装置2により読取られた原稿Nの画像が印刷部4に入力され、印刷部4より原稿Nの画像が記録用紙に印刷される(ステップS109)。
また、制御部72は、ステップS102において原稿Nが薄紙であるという入力指示がなされていたならば(ステップS105で「Yes」)、駆動部71のモータを制御して、変位部材58Aの支軸58a並びに各アーム58bを反時計回り方向に回転移動させ、各アーム58bの先端により対向ガイド板46の傾斜ガイド部46bを押し上げて、対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間隔を広くし、第1搬送モードを設定する(ステップS110)。
このため、原稿Nは、薄紙でありながらも、対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間に詰まることなく速やかに通過し、画像読取り装置2により原稿Nの画像が読取られる(ステップS107)。
更に、原稿Nが排紙トレイ48に排出され(ステップS108)、画像読取り装置2により読取られた原稿Nの画像が印刷部4で記録用紙に印刷される(ステップS109)。
こうして原稿Nの画像の複写が終了すると、制御部72は、駆動部71のモータを制御して、変位部材58Aの支軸58a並びに各アーム58bを時計回り方向に回転移動させ、コイルバネ57の付勢力により対向ガイド板46の対向面46aが原稿読取りガラス31に軽く圧接された第2搬送モードを再設定する。
このように第2実施形態の原稿搬送装置3Aでは、利用者により操作部73が操作されて、原稿Nが薄紙であるか又は普通紙以上の厚さのものであるかが入力指示され、原稿Nが普通紙以上の厚さのものであるという入力指示がなされると、第2搬送モードが設定されて、対向ガイド板46の対向面46aが原稿読取りガラス31に軽く圧接された状態が維持され、原稿Nが対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間に侵入して通過しつつ原稿読取りガラス31の表面に摺接し、原稿Nの画像が読取られ、原稿Nの画像の読取りムラが抑制される。また、原稿Nが薄紙であるという入力指示がなされると、第1搬送モードが設定されて、対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間隔が広くされ、原稿Nが対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間に詰まることなく速やかに通過する。
次に、第3実施形態の原稿搬送装置3Bについて詳しく説明する。図11は、第3実施形態の原稿搬送装置3Bを示す断面図である。尚、図11においては、図8と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付し、また図5と同様に、ピックアップローラ41、分離ローラ51、大径搬送ローラ53、及び排紙ローラ47等を省略して、各ローラ41、51、53、47の軸41a、51a、53a、47a等だけを示している。
第3実施形態の原稿搬送装置3Bは、第2実施形態の原稿搬送装置3Aに用紙厚検出センサ81を付設したものであり、用紙厚検出センサ81を対向ガイド板46の対向部46c及び原稿読取りガラス31の位置よりも原稿Nの搬送方向Eの上流側に設けている。
図12は、用紙厚検出センサ81周辺を拡大して示す断面図である。図12に示すように用紙厚検出センサ81は、発光素子及び受光素子からなる反射型光センサ81aと、原稿搬送経路43を挟んで、反射型光センサ81aに対向配置された黒色部材81bとを備えており、反射型光センサ81a及び黒色部材81bが原稿搬送経路43の互いに対向するそれぞれの内壁面に設けられている。また、反射型光センサ81a及び黒色部材81bは、図6に示す一対の大径搬送ローラ53の間の中央位置に設けられて、各大径搬送ローラ53や各コロ52a(52b)に干渉しないようにされている。
図13は、第3実施形態の原稿搬送装置3Bの制御系を示すブロック図である。尚、図13においては、図9と同様の作用を果たす部位に同じ符号を付している。
図13に示すように用紙厚検出センサ81の出力は、制御部72に入力される。制御部72は、用紙厚検出センサ81の出力に基づき原稿Nの厚さを判定し、この判定結果に応じて第1搬送モード及び第2搬送モードのいずれかを設定する。
ここで、原稿搬送経路43においてはピックアップローラ41から用紙厚検出センサ81までの原稿Nの搬送速度が一定である。このため、ピックアップローラ41による原稿トレイ42上の原稿Nの引き出し開始時点より一定時間が経過すると、原稿Nの先端側の余白部分が用紙厚検出センサ81の反射型光センサ81aと黒色部材81bとの間を通過する。この余白部分の通過のときに制御部72は、反射型光センサ81aの受光素子の出力をサンプリングし、この受光素子の出力レベルに基づき原稿Nが薄紙であるか又は薄紙ではなく普通紙以上の厚さのものであるかを判定する。
原稿Nが薄紙である場合は、反射型光センサ81aの発光素子から出射された光の殆どが、原稿Nの余白部分を透過して黒色部材81bに入射し、黒色部材81bで吸収される。そして、反射型光センサ81aの発光素子から出射された光の一部だけが、原稿Nの余白部分で反射されて反射型光センサ81aの受光素子に入射する。このため、受光素子の出力レベルが低くなる。
また、原稿Nが普通紙以上の厚さのものである場合は、反射型光センサ81aの発光素子から出射された光の殆どが、原稿Nの余白部分で反射されて反射型光センサ81aの受光素子に入射する。そして、反射型光センサ81aの発光素子から出射された光の一部だけが、原稿Nの余白部分を透過して黒色部材81bに入射し、黒色部材81bで吸収される。このため、受光素子の出力レベルが高くなる。
従って、反射型光センサ81aの受光素子の出力レベルと比較される基準値を適宜に設定しおけば、制御部72は、受光素子の出力レベルを基準値と比較して、受光素子の出力レベルが基準値未満のときに原稿Nが薄紙であると判定し、受光素子の出力レベルが基準値以上のときに原稿Nが普通紙以上の厚さのものであると判定することができる。例えば、基準値を適宜に設定することにより、0.05mm未満の厚さの原稿Nが薄紙であると判定し、0.05mm以上の厚さの原稿Nが普通紙以上の厚さのものであると判定することができる。
このような構成において、原稿Nが原稿トレイ42から引き出されて原稿搬送経路43を通じて搬送されると、制御部72は、反射型光センサ81aの受光素子の出力レベルを基準値と比較して、原稿Nが薄紙であるか又は薄紙ではなく普通紙以上の厚さのものであるかを判定して、この判定結果に応じて第1搬送モード及び第2搬送モードのいずれかを設定し、画像読取り装置2による原稿Nの画像の読取りを行わせる。
図14は、そのような原稿Nの搬送、原稿Nが薄紙であるか又は普通紙以上の厚さのものであるかの判定、第1搬送モード又は第2搬送モードの設定、及び原稿Nの画像の読取りの手順を示すフローチャートである。ここでは、まず、利用者により原稿Nが原稿搬送装置3Bの原稿トレイ42にセットされ(ステップS201)、利用者により操作部73のスタートキー(図示せず)が操作される(ステップS202)。
制御部72は、スタートキーの操作に応答して原稿搬送装置3Bによる原稿Nの搬送を開始させる(ステップS203)。これにより、ピックアップローラ41により原稿トレイ42上の原稿が引き出され、原稿が用紙厚検出センサ81の反射型光センサ81aと黒色部材81bとの間を通過し、更に原稿読取りガラス31と対向ガイド板46との間へと搬送されて行く。
制御部72は、ピックアップローラ41による原稿トレイ42上の原稿Nの引き出し開始時点より一定時間が経過した時点で、反射型光センサ81aの受光素子の出力レベルをサンプリングし(ステップSプ204)、この受光素子の出力レベルに基づき原稿Nが薄紙であるか又は薄紙ではなく普通紙以上の厚さのものであるかを判定する(ステップSプ205)。そして、制御部72は、原稿Nが普通紙以上の厚さのものあると判定したならば(ステップS205で「No」)、駆動部71のモータを制御することなく、第2搬送モードを設定する(ステップS206)。従って、コイルバネ57の付勢力により対向ガイド板46の対向面46aが原稿読取りガラス31に軽く圧接された状態が維持される。
原稿Nは、普通紙以上の厚さであることから十分な剛性を有し、対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間に侵入して通過しつつ原稿読取りガラス31の表面に摺接し、画像読取り装置2により原稿Nの画像が読取られる(ステップS207)。このため、原稿Nの画像の読取りムラが抑制される。
更に、原稿Nが排紙トレイ48に排出され(ステップS208)、画像読取り装置2により読取られた原稿Nの画像が印刷部4で記録用紙に印刷される(ステップS209)。
また、制御部72は、原稿Nが薄紙であると判定したならば(ステップS205で「Yes」)、原稿Nが原稿読取りガラス31と対向ガイド板46との間に到達する以前に、駆動部71のモータを制御して、変位部材58Aの支軸58a並びに各アーム58bを反時計回り方向に回転移動させ、各アーム58bの先端により対向ガイド板46の傾斜ガイド部46bを押し上げて、対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間隔を広くし、第1搬送モードを設定する(ステップS210)。
このため、原稿Nが薄紙であっても、原稿Nが対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間に詰まることなく速やかに通過し、画像読取り装置2により原稿Nの画像が読取られる(ステップS207)。
更に、原稿Nが排紙トレイ48に排出され(ステップS208)、画像読取り装置2により読取られた原稿Nの画像が印刷部4で記録用紙に印刷される(ステップS209)。そして、原稿Nの画像の複写が終了すると、制御部72は、駆動部71のモータを制御して、変位部材58Aの支軸58a並びに各アーム58bを時計回り方向に回転移動させ、コイルバネ57の付勢力により対向ガイド板46の対向面46aが原稿読取りガラス31に軽く圧接された第2搬送モードを再設定する。
このように第3実施形態の原稿搬送装置3Bでは、用紙厚検出センサ81の反射型光センサ81aの受光素子の出力レベルに基づき原稿Nが薄紙であるか又は普通紙以上の厚さのものであるかが判定され、原稿Nが普通紙以上の厚さのものであると判定された場合は、第2搬送モードが設定されて、原稿Nが対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間に侵入して通過しつつ原稿読取りガラス31の表面に摺接し、原稿Nの画像が読取られ、原稿Nの画像の読取りムラが抑制される。また、原稿Nが薄紙であると判定された場合は、第1搬送モードが設定されて、対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間隔が広くされ、原稿Nが対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間に詰まることなく速やかに通過する。従って、第1搬送モード及び第2搬送モードのいずれかが自動的に設定され、原稿Nの画像の読取りムラが抑制されるか又は原稿Nの紙詰まりが防止される。
尚、上記各実施形態では、第2搬送モードのときに対向ガイド板46の対向面46aを原稿読取りガラス31に圧接もしくは接触させているが、対向ガイド板46の対向面46aを原稿読取りガラス31から0.1mm程度離間させてもよく、第2搬送モードでの対向ガイド板46の対向面46aと原稿読取りガラス31との間隔を第1搬送モードでのその間隔(例えば0.5mm程度の間隔)よりも狭くすればよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。