以下に本発明の一実施の形態に係るバルブについて、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
図1に示すように、本実施の形態に係るバルブは、緩衝器DのピストンバルブV1として利用されており、伸側室(一方室)R1と圧側室(他方室)R2とを区画するバルブディスク1と、このバルブディスク1に形成されて上記伸側室R1と上記圧側室R2とを連通する通路11と、上記バルブディスク1に積層されて上記通路11を開閉する環板状の弁体3と、この弁体3の反バルブディスク側に積層されて外径が上記弁体3の外径よりも小さい環状の第一間座30と、この第一間座30の外周に設けられるプレート31と、上記第一間座30の反バルブディスク側に積層されて外径が上記プレート31の内径よりも大きい第二間座32とを備えており、上記プレート31は上記第一間座30よりも厚みが薄く、この第一間座30に沿って軸方向に移動可能とされている。
緩衝器Dは、本実施の形態において、車両のサスペンションに利用されており、シリンダCと、このシリンダCに出入りするロッドSと、このロッドSの先端部に保持されてシリンダC内を軸方向に移動可能なピストンバルブV1と、シリンダCの反ロッド側の内周面に摺接しシリンダC内を軸方向に移動可能なフリーピストン(図示せず)と、シリンダCの図1中上端に固定されてロッドSを軸支する環状のロッドガイド(図示せず)とを備えている。このロッドガイドには、ロッドSの外周を塞ぐシール(図示せず)が設けられ、シリンダCの図1中上端開口を封止する。他方、シリンダCの下端には、ボトムキャップ(図示せず)が設けられており、このボトムキャップでシリンダCの図1中下端開口を封止する。
また、緩衝器Dの両端となるシリンダCから突出するロッドSの上端部とボトムキャップには、緩衝器Dを車体と車輪との間に介装するための取付部材(図示せず)が固定されており、路面凹凸による衝撃が車輪に入力されると、ロッドSがシリンダCに出入りして緩衝器Dが伸縮作動する。
シリンダC内には、ピストンバルブV1で区画されて作動油が充填されるロッドS側の伸側室R1と、ピストンバルブV1側の圧側室R2が形成されるとともに、図示しないフリーピストンで圧側室R2と区画され気体が封入される気室が形成されている。そして、緩衝器Dが伸縮作動した時、フリーピストンがシリンダC内を軸方向に移動して気室を膨縮させ、ロッド出没体積分のシリンダ内容積変化を気室で補償できる。
つまり、本実施の形態における緩衝器Dは、片ロッド単筒型に設定されており、ロッド出没体積分のシリンダ内容積変化や、温度変化による作動油の体積変化を気室で補償できる。なお、緩衝器Dの構成は上記の限りではなく、シリンダCの外周に起立する外筒を備えて複筒型に設定されていてもよい。このように、緩衝器Dが複筒型に設定される場合、緩衝器Dは、シリンダCと外筒との間に形成されて作動油が貯留されるリザーバと、シリンダCの反ロッド側端に固定されて圧側室R2とリザーバとを区画するベースバルブとを備えており、ロッド出没体積分に相当する量の作動油がベースバルブを介して圧側室R2とリザーバとの間を移動できるようになっている。そこで、当該複筒型の緩衝器においては、上記ベースバルブとして本発明が利用されるとしてもよい。他にも、緩衝器Dは、ピストンバルブV1の両側にロッドSが起立した両ロッド型に設定されるとしてもよい。また、本実施の形態における緩衝器Dは、減衰力を発生させるための流体として作動油を利用する油圧緩衝器であるが、流体として、作動油以外の他の液体や、気体を利用するとしてもよい。
ロッドSは、図示しないロッドガイドによって軸方向に移動自在に軸支される本体軸s1と、この本体軸s1の図1中下端に連なり本体軸s1よりも小径な取付軸s2と、この取付軸s2の図1中下端に連なり外周に螺子溝が形成される螺子軸s3とを備えており、取付軸s2をピストンバルブV1の中心に挿通し、螺子軸s3の外周に螺合するナットNと本体軸s1とでピストンバルブV1を挟むことで、取付軸s2の外周にピストンバルブV1を保持する。
ピストンバルブV1は、本実施の形態において、バルブディスク1と、このバルブディスク1の図1中下側に積層される弁体2、間座20及びバルブストッパ21と、バルブディスク1の図1中上側に積層される弁体3、第一間座30、プレート31、第二間座32及びバルブストッパ33とを備えて構成されている。
バルブディスク1は、その中心部に取付軸s2の挿通を許容する中心孔を備えて環状に形成されたピストンであり、ロッドSに固定されている。当該バルブディスク1には、その外周にシリンダCの内周面に摺接するピストンリング12が取り付けられており、このピストンリング12によってバルブディスク1がシリンダC内を円滑に軸方向に摺動できる。バルブディスク1の図1中上下端部には、周方向に沿う環状の窓13,14と、窓13,14の外周を囲う環状の弁座15,16と、窓13,14の内周側に起立する環状のボス部17,18とがそれぞれ形成されている。さらに、バルブディスク1には、図1中下側の窓13から上側の弁座16の外周にかけて斜めに貫通し伸側室R1と圧側室R2とを連通する通路10と、図1中上側の窓14から下側の弁座15の外周にかけて斜めに貫通し伸側室R1と圧側室R2とを連通する通路11が形成されている。これら通路10,11を区別するため、以下、下側の窓13に連なる通路10を伸側の通路10とし、上側の窓14に連なる通路11を圧側の通路11とする。本実施の形態において伸側と圧側の通路10,11は、孔開け加工により斜めに開穿されているが、バルブディスク1を上下に分割して形成し、孔開け加工によらず伸側と圧側の通路10,11を形成できるようにしてもよい。
バルブディスク1の図1中下側に積層される弁体2は、複数枚のリーフバルブ(積層リーフバルブ)からなり、その中心部に取付軸s2の挿通を許容する中心孔を備えて環板状に形成されている。弁体2の内周部は、当該弁体2の図1中下側に積層される間座20とボス部17との間に挟まれてロッドSに固定されている。他方、弁体2の外周部は、弁座15まで延び、この弁座15に着座することで窓13を塞ぎ、伸側の通路10を閉じる。間座20の外径は、弁体2の外径よりも小さく形成されているので、弁体2は、間座20に支持される部分よりも外周側を図1中下側に撓ませることができ、当該撓みにより窓13を開放して伸側の通路10を開く。以下、この伸側の通路10を開閉する弁体2を伸側の弁体2とする。本実施の形態において、伸側の弁体2は、軸方向に積層された4枚のリーフバルブで構成されているが、リーフバルブの積層枚数は、適宜変更することが可能である。
間座20の図1中下側には、バルブストッパ21が積層されている。このバルブストッパ21は、その中心部に取付軸s2の挿通を許容する中心孔を備えて環板状に形成されており、その内周部が間座20とナットNとの間に挟まれてロッドSに固定されている。バルブストッパ21の外径は、間座20の外径よりも大きく形成されており、伸側の弁体2の撓みを規制する。バルブストッパ21が弁体2側からの力を受けても変形しないようにするため、バルブストッパ21を肉厚にして剛性を高めている。なお、図示しないがナットNにフランジ部を設け、当該フランジ部をバルブストッパ21として機能させるようにしてもよい。この場合には、バルブストッパ21を廃し、部品数を削減できる。
バルブディスク1の図1中上側に積層される弁体3は、一枚のリーフバルブからなり、その中心部に取付軸s2の挿通を許容する中心孔を備えて環板状に形成されている。弁体3の内周部は、当該弁体3の図1中上側に積層される第一間座30とボス部18との間に挟まれてロッドSに固定されている。他方、弁体3の外周部は、弁座16まで延び、この弁座16に着座することで窓14を塞ぎ、圧側の通路11を閉じる。第一間座30の外径は、弁体3の外径よりも小さく形成されているので、弁体3は、第一間座30に支持される部分よりも外周側を図1中上側に撓ませることができ、当該撓みにより窓14を開放して圧側の通路11を開く。以下、この圧側の通路11を開閉する弁体3を圧側の弁体3とする。本実施の形態において、圧側の弁体3は、一枚のリーフバルブで構成されているが、リーフバルブの積層枚数は、適宜変更することが可能である。
また、本実施の形態においては、圧縮作動時の減衰力を小さくするため、圧側の弁体3を薄くして剛性を低くするとともに、伸長作動時の減衰力を圧縮作動時の減衰力と比較して大きくするため、伸側の弁体2を圧側の弁体3よりも厚くして剛性を高めている。しかし、このような特性を弁体の厚みによらず、素材により実現するとしてもよく、また、伸側と圧側の弁体2,3の厚みや剛性は、所望の減衰力の特性に応じて適宜変更することが可能である。
第一間座30の外周で圧側の弁体3の図1中上側には、プレート31が積層されている。このプレート31は、その中心部に第一間座30の挿通を許容する中心孔を備えて環板状に形成されている。プレート31は、その厚みが第一間座30の厚みよりも薄く形成される。第一間座30の上側には、外径がプレート31の内径よりも大きく形成される環状の第二間座32が積層されている。このため、プレート31は、第一間座30にフローティング支持されながら、第一間座30との厚みの差分、軸方向となる図1中上下に移動でき、圧側の弁体3の撓みにより押し上げられる。また、プレート31は、圧側の弁体3に押し上げられて第二間座32に当接した後、第二間座32に当接して支持される部分よりも外周側を図1中上側に撓ませることができる。さらに、プレート31の内径がボス部18の外径よりも小さく形成されるとともに、プレート31の外径が弁座16の内径よりも大きく形成されているので、圧側の弁体3の背圧となる伸側室R1の圧力が高まると、プレート31は圧側の弁体3に当接し、この圧側の弁体3とともにバルブディスク1側に押し付けられて弁座16とボス部18とで支えられる。
なお、本実施の形態において、高い伸側室R1の圧力に耐えられるように、プレート31を肉厚に形成して剛性を高めているが、素材により高剛性を実現するとしてもよい。また、本実施の形態において、プレート31が一枚の環状板からなるが、複数枚の環状板により構成されるとしてもよい。この場合、プレート31を構成する環状板の合計の厚みが、第一間座30の厚みより薄くなるように設定される。
第二間座32の図1中上側には、バルブストッパ33が積層されている。このバルブストッパ33は、その中心部に取付軸s2の挿通を許容する中心孔を備えて環板状に形成されており、その内周部が第二間座32と本体軸s1との間に挟まれてロッドSに固定されている。バルブストッパ33の外径は、第二間座32の外径よりも大きく形成されており、プレート31の撓みを規制することで、圧側の弁体3の撓みを規制する。バルブストッパ33がプレート31側からの力を受けても変形しないようにするため、バルブストッパ33を肉厚にして剛性を高めている。
本実施の形態においては、プレート31が圧側の弁体3とともに撓み、この撓み量が比較的大きくなるように設定されているので、プレート31の撓みをバルブストッパ33で規制しているが、プレート31の剛性が高く、プレート31が第二間座32に当接したとき、このプレート31自体の剛性でプレート31の撓みを規制してプレート31自体の割れや弁体3の割れを防止できれば、バルブストッパ33を廃することも可能である。
以下、本実施の形態に係るバルブであるピストンバルブV1を備える緩衝器Dの作動について説明する。
ピストンバルブV1が図1中上側に移動して、ロッドSがシリンダCから退出する緩衝器Dの伸長作動時において、縮小される伸側室R1の作動油が伸側の弁体2を押し撓ませて伸側の通路10を通り拡大する圧側室R2に移動するので、緩衝器Dは、伸側の弁体2の抵抗に起因する減衰力を発生する。剛性を高く設定することにより伸側の弁体2による抵抗を大きくして伸長作動時の減衰力を大きくすると、圧側の弁体3の背圧となる伸側室R1の圧力が大きくなるが、このとき、プレート31は、図2(a)に示すように、伸側室R1の圧力を受けて圧側の弁体3に当接し、当該プレート31も圧側の弁体3とともに弁座16とボス部18に支えられるので、背圧を圧側の弁体3だけではなく、プレート31でも受けることができる。このプレート31の剛性は、圧側の弁体3の剛性が低くても伸側室R1の圧力に耐えられる強度になるように設定されており、圧側の弁体3の剛性を低くしたとしても、圧側の弁体3とプレート31とで大きい背圧に耐えることができる。
反対に、ピストンバルブV1が図1中下側に移動して、ロッドSがシリンダCに進入する緩衝器Dの圧縮作動時において、縮小される圧側室R2の作動油が圧側の弁体3を押し撓ませて圧側の通路11を通り拡大する伸側室R1に移動するので、緩衝器Dは、プレート31が第二間座32に当接するまでの間、圧側の弁体3の抵抗に起因する減衰力を発生する。圧側の弁体3の剛性は、上記したように、低くできるので、伸長作動時の減衰力と比較して、圧縮作動時の減衰力を格段に小さくするとともに、この時の減衰係数を小さくできる。
緩衝器Dの圧縮作動時において、図2(b)に示すように、圧側室R2内の圧力が高まって圧側の弁体3が撓み、この弁体3で押し上げられたプレート31が第二間座32に当接した後は、図2(c)に示すように、プレート31が圧側の弁体3とともに撓むようになるので、緩衝器Dは、圧側の弁体3とプレート31の抵抗に起因する減衰力を発生するようになる。したがって、この時の減衰係数は、プレート31が第二間座32に当接するまでの間の減衰係数と比較して大きくなる。
以下、本実施の形態に係るバルブであるピストンバルブV1を備える緩衝器Dの作用効果について説明する。
本実施の形態において、バルブは、シリンダCと、このシリンダC内に軸方向に移動可能に挿入されるピストンバルブV1と、このピストンバルブV1に連結されて一端が上記シリンダC外に延びるロッドSとを備える緩衝器Dにおける上記ピストンバルブV1として利用されている。緩衝器Dが車両のサスペンション用に利用される場合、伸長作動時の減衰力を圧縮作動時の減衰力と比べて大きくする必要が生じる。このような特性を実現するには、圧側の弁体3の剛性を低くしつつも、この弁体3が高い背圧(伸側室R1の圧力)に耐えられる構造にする必要がある。
本発明に係るバルブの構造によれば、圧側の弁体3の剛性を低くしたとしても、背圧(伸側室R1の圧力)を圧側の弁体3とプレート31の両方で受けることができるので、圧側の弁体3が高い背圧に耐えることができる。また、プレート31は、第一間座30との厚みの差分、軸方向の移動が許容されているので、プレート31の剛性を高くして背圧に耐えられる強度にしたとしても、プレート31が第二間座32に当接するまでの間、プレート31が圧側の弁体3の開弁の妨げとなることがなく、圧縮作動時の減衰力を小さくするとともに、減衰係数を小さくすることが可能となる。このため、車両のサスペンション用の緩衝器Dが本発明に係るバルブの構造を備えたピストンバルブV1を備える場合には、圧縮作動時の減衰力を小さくすることと、伸長作動時と圧縮作動時の減衰力の差を大きくすることの両立が容易に可能となるので、特に有効である。
なお、本実施の形態においては、伸長作動時の減衰力を圧縮作動時と比べて大きくしたいので、圧側の通路11を開閉する構成にのみ本発明を具現化しているが、反対に、圧縮作動時の減衰力を伸長作動時と比べて大きくしたい場合には、伸側の通路10を開閉する構成に本発明を具現化するとしてもよく、伸側と圧側の通路10,11を開閉する両方の構成に本発明を具現化するとしてもよい。また、緩衝器Dが複筒型に設定され、シリンダC外に形成されるリザーバでシリンダCに出入りするロッド体積分のシリンダ内容積変化を補償する場合、圧側室R2とリザーバとを区画するベースバルブとして、本発明に係るバルブが利用されるとしてもよく、これ以外のバルブとして本発明に係るバルブが利用されてもよい。
また、本実施の形態において、バルブディスク1には、圧側の通路11の一端が連なる窓14と、この窓14の内周側に起立して第一間座30との間に圧側の弁体3の内周部を挟んで固定する環状のボス部18と、上記窓14の外周を囲い圧側の弁体3の外周部が離着座する環状の弁座16とが形成されており、プレート31の内径が上記ボス部18の外径よりも小さく形成されるとともに、プレート31の外径が上記弁座16の内径よりも大きく形成されている。
上記構成によれば、圧側の弁体3の背圧が高まったとき、圧側の弁体3とプレート31をボス部18と弁座16で支えることができる。また、上記したように、弁座16が環状に形成される場合、例えば、弁座16が花弁状に形成される場合と比較して、弁体3と弁座16の接触面積が小さくなるので、弁体3が背圧を受けたとき窓14側に変形しやすくなる。このため、バルブが環状の弁座を備える場合において、本発明の構成を備えることが特に有効である。なお、背圧が高まったときに圧側の弁体3やプレート31を支えるための構成は、上記の限りではなく、適宜変更することが可能であり、背圧が高まった場合にプレート3を支えて、圧側の弁体3の割れを防止できればよい。
また、本実施の形態において、ピストンバルブV1は、圧側の通路10を閉閉する圧側の弁体3の反バルブディスク側に積層されて外径が圧側の弁体3の外径よりも小さい環状の第一間座30と、この第一間座30の外周に設けられるプレート31と、第一間座30の反バルブディスク側に積層されて外径がプレート31の内径よりも大きい第二間座32とを備えており、上記プレート31は第一間座30よりも厚みが薄く、この第一間座30に沿って軸方向に移動可能とされている。
上記構成によれば、圧側の弁体3の剛性を低くしたとしても、伸長作動時には背圧を圧側の弁体3とプレート31の両方で受けることができる。また、圧側の弁体3が撓んだとき、プレート31が第二間座32に当接するまでの間、プレート31を撓ませることなく押し上げることができるので、プレート31の剛性を高くして背圧に耐えられる強度にしたとしても、プレート31が圧側の弁体3の開弁の妨げになることを抑制し、圧側の弁体3の開弁圧を低くできる。つまり、上記構成によれば、圧側の弁体3の剛性を低くしつつも、圧側の弁体3が高い背圧に耐えることが可能となる。
つづいて、本発明の他の実施に係るバルブについて説明する。図3に示すように、本実施の形態に係るバルブは、一実施の形態と同様に、緩衝器DのピストンバルブV2として利用されており、伸側室(一方室)R1と圧側室(他方室)R2とを区画するピストンであるバルブディスク4と、このバルブディスク4に形成されて伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸側と圧側の通路40,41と、バルブディスク4の図3中下側に積層されて伸側の通路40を開閉する環板状の伸側の弁体5と、バルブディスク4の図3中上側に積層されて圧側の通路41を開閉する環板状の圧側の弁体6と、伸側と圧側の弁体5,6の反バルブディスク側にそれぞれ積層されて外径が弁体5,6の外径よりも小さい環状の第一間座50,60と、これら第一間座50,60の外周にそれぞれ設けられるプレート51,61と、第一間座50,60の反バルブディスク側にそれぞれ積層されて外径がプレート51,61の内径よりも大きい第二間座52,62とを備えている。上記プレート51,61は、それぞれ、第一間座50,60よりも厚みが薄く、第一間座50,60に沿って軸方向に移動可能とされている。
つまり、本実施の形態においては、一実施の形態と異なり、伸側と圧側の通路40,41を開閉する構成それぞれに、本発明が具現化されている。なお、本実施の形態においても、伸側の通路40を開閉する構成と、圧側の通路41を開閉する構成の一方にのみ本発明を具現化するとしてもよい。
また、本実施の形態において、ピストンバルブV2は、図3中下側のプレート51を伸側の弁体5側に附勢するとともに、上側のプレート61を圧側の弁体6側に附勢し、これらの附勢する力を変更可能な減衰力調節手段を備えている。減衰力調節手段は、例えば、特願2013−207870に記載の構成を備えるなど、種々の構成を適用可能であるので詳細に図示しないが、下側のプレート51の図3中下側に伸側背圧室P1を形成する伸側チャンバ53と、伸側背圧室P1の内部圧力でプレート51側に附勢される伸側スプール54と、上側のプレート61の図3中上側に圧側背圧室P2を形成する圧側チャンバ63と、圧側背圧室P2の内部圧力でプレート61側に附勢される圧側スプールと64を備えている。
さらに、減衰力調節手段は、伸側室R1から圧側背圧室P2への作動油の流入を許容する伸側圧力導入通路(図示せず)と、圧側室R2から伸側背圧室P1への作動油の流入を許容する圧側圧力導入通路(図示せず)と、伸側背圧室P1と圧側背圧室P2とを連通する連通路7と、この連通路7に接続される調整通路(図示せず)と、この調整通路の下流を圧側室R2へ連通するとともに調整通路から圧側室R2への作動油の流れのみを許容する伸側排出通路(図示せず)と、調整通路の下流を伸側室R1へ連通するとともに調整通路から伸側室R1への作動油の流れのみを許容する圧側排出通路(図示せず)と、調整通路の途中に設けられて調整通路の上流圧力を制御する電磁圧力制御弁(図示せず)とを備えている。この電磁圧力制御弁は、ソレノイドを備えており、このソレノイドへの供給電流量に応じて伸側背圧室P1と圧側背圧室P2の圧力を同時に制御できる。
上記構成によれば、一つの電磁圧力制御弁で伸側背圧室P1と圧側背圧室P2の圧力を変更することで、伸側背圧室P1の内部圧力に起因する伸側スプール54をプレート51側に附勢する力と、圧側背圧室P2の内部圧力に起因する圧側スプール64をプレート61側に附勢する力を制御し、伸長作動時と圧縮作動時の減衰力を可変にできる。なお、減衰力調節手段の構成は、上記の限りではなく、適宜変更することが可能である。
本実施の形態においては、本実施の形態に係るピストンバルブV2も、一実施の形態と同様に、車両のサスペンション用の緩衝器に利用されている。そして、当該ピストンバルブV2にあっては、減衰力可変式であるので、減衰力が必要な場面では大きな減衰力を発揮し、必要のない場面ではなるべく零に近い小さな減衰力を発揮することが伸長作動時と圧縮作動時の両方で求められる。このような特性を実現するには、伸側と圧側の弁体5,6の剛性を低くしつつも、各弁体5,6が高い背圧に耐えられる構造にする必要がある。
本発明に係るバルブ構造によれば、伸側と圧側の弁体5,6の剛性を低くしたとしても、伸側の弁体5の背圧となる圧側室R2の圧力を伸側の弁体5とプレート51の両方で受けるとともに、圧側の弁体6の背圧となる伸側室R1の圧力を圧側の弁体6とプレート61の両方で受けることができるので、伸側と圧側の弁体5,6の剛性を低くしつつも、各弁体5,6が高い背圧に耐えることができる。また、弁体5,6が撓んだとき、プレート51,61が第二間座52,62に当接するまでの間、プレート51,61を撓ませることなく押し上げることができるので、プレート51,61の剛性を高くして背圧に耐えられる強度にしたとしても、プレート51,61が弁体5,6の開弁の妨げになることを抑制できる。
上記構成によれば、伸長作動時と圧縮作動時の両方で、零に近い小さな減衰力を発生可能にしつつも、背圧に耐えて大きな減衰力可変幅を持たせることができるので、本発明に係るバルブが車両のサスペンション用の緩衝器DのピストンバルブV2として利用され、減衰力可変式である場合において、特に有効である。
また、上記構成によれば、プレート51,61が第二間座52,62に当接するまでの間の減衰係数を小さくできるので、減衰力を調整し易い。さらには、圧側の弁体6の剛性を下げたとしても、高い伸側室R1の圧力に耐えることができるので、伸長作動時の減衰力を圧縮作動時の減衰力と比較して高くすることも、容易に可能となる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。