本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では理解を助けるために、図の下側を「下側」とし、逆に図の上側を「上側」として定義する。
図1に示す本実施形態の緩衝器1は、位置感応の減衰力調整式の緩衝器である。緩衝器1は、円筒状の内筒10を有して作動流体である油液等の作動液が封入されるシリンダ11と、シリンダ11の内筒10よりも大径で内筒10と同軸状に配置される略有底円筒状の外筒12とを有している。緩衝器1は、いわゆる複筒型の油圧緩衝器である。内筒10と外筒12との間の上部は、リザーバ13となっている。
外筒12は、中間部分を構成する段付き円筒状の胴部材21と、胴部材21の一方側である下部に嵌合固定されて胴部材21の下端開口部を閉塞する底部材22と、胴部材21の他方側である上部に嵌合固定されて胴部材21の上端開口部を覆う環状の蓋部材23と、からなっている。外筒12の上側には、蓋部材23を覆うように環状のカバー24が取り付けられている。
胴部材21は、下部側がバルジ加工等によって膨径されて膨径部31が形成され、また、膨径部31の上方の軸方向中間部分がやや拡径されてバネ受支持部32が形成されている。胴部材21の膨径部31とシリンダ11の内筒10との間には、仕切部材35が挿入されており、この仕切部材35の上端部にはフランジ部材36が連結されている。このフランジ部材36は、外筒12に嵌合されて、外筒12と内筒10との間の環状の室を、膨径部31に臨む下部の作動液タンク38と上部のリザーバ13とに区画している。
作動液タンク38は、可撓膜であるブラダ41によって内周側の液室43と外周側のガス室44とに区画されている。そして、シリンダ11内および作動液タンク38の液室43内には作動流体である作動液が封入され、作動液タンク38のガス室44内には作動流体である低圧ガスが封入され、また、リザーバ13内には、いずれも作動流体である作動液および高圧ガスが封入されている。
図2に示すように、仕切部材35の下端部と底部材22との間には、環状の保持部材51が介装されている。保持部材51の内周部にベースガイド52が嵌合され、底部材22とベースガイド52との間に液室53が形成されている。ベースガイド52と内筒10の下端部との間には、シリンダ11を構成するベース部材56が介装されており、ベースガイド52とベース部材56との間に液室57が形成されている。胴部材21の下端部と仕切部材35との間には、環状部材60が嵌合されている。作動液タンク38のブラダ41は、図1に示すように、フランジ部材36および環状部材60によって両端部がクランプされている。
図2に示すように、底部材22とベースガイド52との間の液室53は、環状部材60の内周側に設けられた液通路61によって、作動液タンク38内の作動液を貯留する液室43に連通されている。図1に示すように、ベースガイド52とベース部材56との間の液室57は、仕切部材35およびフランジ部材36とシリンダ11との間に形成された環状液通路62を介してリザーバ13に連通されている。また、ベース部材56の内側に形成されたオリフィス63(後述)によってシリンダ11内の下室77(後述)と液室57とが連通されている。よって、オリフィス63は、液室57および環状液通路62を介してリザーバ13に連通されている。
シリンダ11内は、第1ピストン71(ピストン)とこれよりも底部材22側の第2ピストン72(ピストン)とが設けられている。これら第1ピストン71および第2ピストン72は、内筒10に摺動可能に嵌装されている。シリンダ11内に設けられた第1ピストン71および第2ピストン72は、シリンダ11内に、第1ピストン71よりも第2ピストン72とは反対側の上室75と、第1ピストン71と第2ピストン72との間の中間室76と、第2ピストン72よりも第1ピストン71とは反対側の下室77との3室を区画している。言い換えれば、シリンダ11内には、第1ピストン71により上室75が、第1ピストン71および第2ピストン72により中間室76が、第2ピストン72により下室77が、それぞれ形成されている。シリンダ11内には、その上室75、中間室76および下室77のそれぞれの内部に、作動流体としての作動液が封入されている。
シリンダ11内にはピストンロッド81の一方側が挿入されており、ピストンロッド81の他方側は、内筒10および外筒12の両方の上端部に装着されてシリンダ11を構成するロッドガイド82およびシール部材83に挿通されている。ピストンロッド81の他方側は、ロッドガイド82およびシール部材83を介してシリンダ11の外部へ延出されている。第1ピストン71および第2ピストン72は、このピストンロッド81においてシリンダ11の内側に配置される一端側に連結されている。第1ピストン71および第2ピストン72は、このピストンロッド81と一体的に移動し、その結果、シリンダ11内の第1ピストン71と第2ピストン72との間の中間室76もピストンロッド81と一体的に移動する。
内筒10および外筒12の一端開口側にロッドガイド82が装着されており、外筒12にはロッドガイド82よりもシリンダ11のさらに外端側にシール部材83が装着されている。ロッドガイド82およびシール部材83は、いずれも環状をなしており、ピストンロッド81は、これらロッドガイド82およびシール部材83のそれぞれの内側に摺動可能に挿通されてシリンダ11の外部へと延出されている。
ここで、ロッドガイド82は、ピストンロッド81を、その径方向移動を規制しつつ軸方向移動可能に支持して、このピストンロッド81の移動を案内する。シール部材83は、その内周部で、軸方向に移動するピストンロッド81の外周部に摺接し、その外周部で外筒12の内周部に密着して、シリンダ11内の作動液と外筒12内のリザーバ13の高圧ガスおよび作動液とが外部に漏洩するのを防止する。
図3に示すように、ロッドガイド82は、環状の蓋部材23の下部の内周部と胴部材21の上部の内周部とに嵌合する環状の外側ガイド部材91と、上部が外側ガイド部材91の内側に挿入され中間部において外側ガイド部材91の内周側に嵌合し下部が内筒10の上端の内周部に嵌合する環状の内側ガイド部材92と、内側ガイド部材92の内周部に嵌合固定されてピストンロッド81の外周部に摺接するカラー93と、を有している。
また、ロッドガイド82は、外側ガイド部材91と内側ガイド部材92との間にあってこれらの隙間をシールするカップシール95と、外側ガイド部材91とピストンロッド81の外周部との間にあってこれらの隙間をシールするシール部材96とを有している。ここで、カップシール95は、カラー93とピストンロッド81との隙間を介して上部に漏出した作動液を、上室75の圧力が高くなると開いて、内側ガイド部材92の外周部に形成された溝97と外側ガイド部材91の内周部との隙間を介してリザーバ13に排出する。
ロッドガイド82は、その外周部が、内側ガイド部材92の外周部で形成される下部よりも、外側ガイド部材91で形成される中間部が大径となる段差状をなしており、内側ガイド部材92で形成される下部において内筒10の上端の内周部に嵌合し外側ガイド部材91で形成される中間部において胴部材21の上端の内周部に嵌合し、外側ガイド部材91で形成される上部において蓋部材23の下部の内周部に嵌合している。外側ガイド部材91と蓋部材23とピストンロッド81との間に、蓋部材23とピストンロッド81との隙間をシールするシール部材83が配置されている。
図1に示すように、ピストンロッド81は、ロッドガイド82およびシール部材83に挿通されて外部へと延出されるロッド本体101と、ロッド本体101におけるシリンダ11の内側に配置される端部に螺合されてロッド本体101に一体的に連結される先端ロッド102と、を有している。ロッド本体101の径方向の中央には、軸方向に沿う挿入穴105が、先端ロッド102側の端部から反対側の端部近傍の途中位置まで形成されている。また、先端ロッド102には、軸方向に沿う挿入穴106が貫通形成されている。これら挿入穴105,106は連通しており、これら挿入穴105,106が形成されることによって、ピストンロッド81は中空構造となっている。
ピストンロッド81のロッド本体101の外周側には、軸方向の先端ロッド102側に円環状のストッパ111が固定されており、ストッパ111のロッドガイド82側にはクッション112が装着されている。このクッション112は、ストッパ111と一体に移動することになり、ピストンロッド81がシリンダ11から最も突出する伸び切り位置でロッドガイド82の内側ガイド部材92に当接する。この状態で、ストッパ111およびクッション112は、それ以上のピストンロッド81のシリンダ11からの突出を規制する。
緩衝器1は、自動車や鉄道車両等の車両のサスペンション装置に用いられるものであり、例えば一側が車体により支持され、他側が車輪側に連結される。具体的に、緩衝器1は、ピストンロッド81にて車体側に連結され、外筒12の底部材22の外側に固定される図示略の取付アイにて車輪側に連結される。なお、上記とは逆に、緩衝器1の他側が車体により支持され、緩衝器1の一側が車輪側に連結されるようにしても良い。そして、緩衝器1は、車輪に対して車体が上昇するとピストンロッド81がシリンダ11から伸び出し、逆に車輪に対して車体が下降するとピストンロッド81がシリンダ11内に進入する。ピストンロッド81がシリンダ11から伸び出る方向を伸び側および最大長側とし、ピストンロッド81がシリンダ11内に進入する方向を縮み側および最小長側とする。
図4に示すように、挿入穴105の先端ロッド102側の端部は、ネジ穴125となっており、ロッド本体101のネジ穴125よりも軸方向の先端ロッド102とは反対側には、挿入穴105に直交してロッド本体101を径方向に貫通する通路穴126が形成されている。通路穴126は、ロッド本体101に装着されたクッション112および先端ロッド102よりも上部側に形成されている。
先端ロッド102の一端側にはネジ軸部131が形成されており、先端ロッド102は、このネジ軸部131がロッド本体101のネジ穴125に螺合されることによってロッド本体101に一体に連結されている。
先端ロッド102は、軸方向のロッド本体101側から順に、上記したネジ軸部131と、フランジ部132と、保持軸部133とを有している。フランジ部132は、外径がネジ軸部131およびロッド本体101よりも大径となっている。先端ロッド102は、上述したようにネジ軸部131においてロッド本体101のネジ穴125に螺合されることになり、フランジ部132は、その際にロッド本体101に当接する。保持軸部133は、フランジ部132よりも小径となっており、軸方向のフランジ部132とは反対側の外周部にオネジ134が形成されている。
先端ロッド102の保持軸部133には、フランジ部132側から順に、一枚の当接ディスク141と、一枚のディスク142と、複数枚のディスクからなるディスクバルブ143と、上記した第1ピストン71と、一枚のディスクバルブ145と、一枚のディスク146と、一枚のディスクバルブ147と、上記した第2ピストン72と、複数枚のディスクからなるディスクバルブ148と、一枚のディスク149と、一枚の当接ディスク150と、一枚の規制部材151とが配置されている。これらは、オネジ134にメネジ156において螺合されるナット155と先端ロッド102のフランジ部132とで挟持されている。
第1ピストン71は、先端ロッド102に支持される金属製のピストン本体161と、ピストン本体161の外周面に装着されて内筒10内を摺動する円環状の合成樹脂製の摺動部材162とによって構成されている。
ピストン本体161には、上室75と中間室76とを連通させ、第1ピストン71の中間室76側への移動、つまり縮み行程において中間室76から上室75に向けて作動液が流れ出す複数(図4では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路165と、第1ピストン71の上室75側への移動つまり伸び行程において上室75から中間室76に向けて作動液が流れ出す複数(図4では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路166と、が形成されている。つまり、複数の通路165と複数の通路166とが、第1ピストン71に設けられて第1ピストン71の移動により上室75と中間室76との間を作動流体である作動液が流れるように連通する。
半数を構成する通路165は、円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路166を挟んで等ピッチで形成されており、ピストン本体161の軸方向における上室75側がピストン本体161の軸方向に沿って開口し、中間室76側が径方向外方に向けて開口している。そして、これら通路165に対してこれらを開閉するように、第1ピストン71の軸方向の一端側である上室75側にディスクバルブ143が設けられている。通路165は、ピストンロッド81がシリンダ11内に入る縮み側に第1ピストン71が移動するときに作動液が通過する縮み側の通路を構成しており、これらに対して設けられたディスクバルブ143は、縮み側の通路165の作動液の流れを制限して減衰力を発生させる縮み側減衰バルブ168を構成している。
また、残りの半数を構成する通路166は、円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路165を挟んで等ピッチで形成されており、ピストン本体161の軸方向における中間室76側がピストン本体161の軸方向に沿って開口し、上室75側が径方向外方に向けて開口している。そして、これら通路166に対してこれらを開閉するように、第1ピストン71の軸方向の他端側である中間室76側にディスクバルブ145が設けられている。通路166は、ピストンロッド81がシリンダ11の外に伸び出る伸び側に第1ピストン71が移動するときに作動液が通過する伸び側の通路を構成しており、これらに対して設けられたディスクバルブ145は、伸び側の通路166の作動液の流れを制限して減衰力を発生させる伸び側減衰バルブ169を構成している。
ディスクバルブ143を含む縮み側減衰バルブ168と、ディスクバルブ145を含む伸び側減衰バルブ169とが、シリンダ11内における上室75と中間室76との間に設けられて減衰力を発生する第1の減衰力発生機構171を構成している。
第1ピストン71のピストン本体161は、略円板形状をなしており、その中央には、軸方向に貫通して、上記した先端ロッド102の保持軸部133を挿通させるための挿通穴172が形成されている。ピストン本体161の軸方向の上室75側の端部には、縮み側の通路165の一端開口位置の外側に、軸方向に開口する通路165を囲むようにシート部174が形成されている。ピストン本体161の軸方向の中間室76側の端部には、伸び側の通路166の一端開口位置の外側に、軸方向に開口する通路166を囲むようにシート部175が形成されている。
ピストン本体161において、周方向に隣り合うシート部174の間の部分は、シート部174よりも軸線方向高さが低い段差状をなして径方向外方に抜けており、この段差状の部分が伸び側の通路166の他端開口となっている。ディスクバルブ143は、外周側がシート部174に着座するとその内側の縮み側の通路165を閉じ、外周側がシート部174から離座すると通路165を開く。つまり、ディスクバルブ143およびシート部174が、縮み側の通路165の作動液の流れを制限して減衰力を発生させる縮み側減衰バルブ168を構成している。
ディスクバルブ143は、金属製で有孔円板状をなす複数枚のディスクからなっており、これらのディスクは外径が同径となっている。ディスク142は、金属製で有孔円板状をなしており、外径がディスクバルブ143よりも小径となっている。当接ディスク141は、金属製で有孔円板状をなしており、外径がディスクバルブ143と同径となっている。当接ディスク141は、ディスクバルブ143の開方向への変形時にディスクバルブ143に当接してその規定以上の変形をフランジ部132と共に規制する。
また、ピストン本体161において、周方向に隣り合うシート部175の間の部分は、シート部175よりも軸線方向高さが低い段差状をなして径方向に抜けており、この段差状の部分が縮み側の通路165の他端開口となっている。ディスクバルブ145は、外周側がシート部175に着座するとその内側の伸び側の通路166を閉じ、外周側がシート部175から離座すると通路166を開く。つまり、ディスクバルブ145およびシート部175が、伸び側の通路166の作動液の流れを制限して減衰力を発生させる伸び側減衰バルブ169を構成している。
ディスクバルブ145は、金属製の有孔円板状をなす一枚のディスクからなっており、その外径が、シート部174の最大外径と略同径となっている。ディスク146は、金属製で有孔円板状をなしており、外径がディスクバルブ145よりも小径となっている。ディスクバルブ145は、ディスクバルブ143よりも剛性が低く開弁しやすくなっている。
第2ピストン72は、先端ロッド102に支持される金属製のピストン本体181と、ピストン本体181の外周面に装着されて内筒10内を摺動する円環状の合成樹脂製の摺動部材182とによって構成されている。
ピストン本体181には、中間室76と下室77とを連通させ、第2ピストン72の下室77側への移動、つまり縮み行程において下室77から中間室76に向けて作動液が流れ出す複数(図4では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路185と、第2ピストン72の中間室76側への移動つまり伸び行程において中間室76から下室77に向けて作動液が流れ出す複数(図4では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路186と、が設けられている。つまり、複数の通路185と複数の通路186とが、第2ピストン72に設けられて第2ピストン72の移動により中間室76と下室77との間を作動流体である作動液が流れるように連通する。
半数を構成する通路185は、円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路186を挟んで等ピッチで形成されており、ピストン本体161の軸方向における中間室76側がピストン本体161の軸方向に沿って開口し、下室77側が径方向外方に向けて開口している。そして、これら通路185に対してこれらを開閉するように、第2ピストン72の軸方向の一端側である中間室76側にディスクバルブ147が設けられている。通路185は、ピストンロッド81がシリンダ11内に入る縮み側に第2ピストン72が移動するときに作動液が通過する縮み側の通路を構成しており、これらに対して設けられたディスクバルブ147は、縮み側の通路185の作動液の流れを制限して減衰力を発生させる縮み側減衰バルブ188を構成している。
また、残りの半数を構成する通路186は、円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路185を挟んで等ピッチで形成されており、ピストン本体161の軸方向における下室77側がピストン本体161の軸方向に沿って開口し、中間室76側が径方向外方に向けて開口している。そして、これら通路186に対してこれらを開閉するように、第2ピストン72の軸方向の他端側である下室77側にディスクバルブ148が設けられている。通路186は、ピストンロッド81がシリンダ11の外に伸び出る伸び側に第2ピストン72が移動するときに作動液が通過する伸び側の通路を構成しており、これらに対して設けられたディスクバルブ148は、伸び側の通路186の作動液の流れを制限して減衰力を発生させる伸び側減衰バルブ189を構成している。
ディスクバルブ147を含む縮み側減衰バルブ188と、ディスクバルブ148を含む伸び側減衰バルブ189とが、シリンダ11内における中間室76と下室77との間に設けられて減衰力を発生する第2の減衰力発生機構191を構成している。
第2ピストン72のピストン本体181は、略円板形状をなしており、その中央には、軸方向に貫通して、上記した先端ロッド102の保持軸部133を挿通させるための挿通穴192が形成されている。ピストン本体181の軸方向の中間室76側の端部には、縮み側の通路185の一端開口位置の外側に、軸方向に開口する通路185を囲むようにシート部194が形成されている。ピストン本体181の軸方向の下室77側の端部には、伸び側の通路186の一端開口位置の外側に、軸方向に開口する通路186を囲むようにシート部195が形成されている。
ピストン本体181において、周方向に隣り合うシート部194の間の部分は、シート部194よりも軸線方向高さが低い段差状をなして径方向外方に抜けており、この段差状の部分が伸び側の通路186の他端開口となっている。ディスクバルブ147は、外周側がシート部194に着座するとその内側の縮み側の通路185を閉じ、外周側がシート部194から離座すると通路185を開く。つまり、ディスクバルブ147およびシート部194が、縮み側の通路185の作動液の流れを制限して減衰力を発生させる縮み側減衰バルブ188を構成している。ディスクバルブ147は、金属製で有孔円板状をなす一枚のディスクからなっている。
また、ピストン本体181において、周方向に隣り合うシート部195の間の部分は、シート部195よりも軸線方向高さが低い段差状をなして径方向に抜けており、この段差状の部分が縮み側の通路185の他端開口となっている。ディスクバルブ148は、外周側がシート部195に着座するとその内側の伸び側の通路186を閉じ、外周側がシート部195から離座すると通路186を開く。つまり、ディスクバルブ148およびシート部195が、伸び側の通路186の作動液の流れを制限して減衰力を発生させる伸び側減衰バルブ189を構成している。
ディスクバルブ148は、金属製の有孔円板状をなす複数枚のディスクからなっており、これらのディスクは、それぞれの外径が同径となっている。ディスク149は、金属製で有孔円板状をなしており、外径がディスクバルブ148よりも小径となっている。当接ディスク150は、金属製で有孔円板状をなしており、外径がディスクバルブ148と同径となっている。規制部材151は、金属製で有孔円板状をなしており、ディスクバルブ148と比べて高剛性となっている。規制部材151は、外径が当接ディスク150よりも小径となっている。当接ディスク150は、ディスクバルブ148の開方向への変形時にディスクバルブ148に当接してその規定以上の変形を規制部材151と共に規制する。ディスクバルブ148は、ディスクバルブ147よりも剛性が高く開弁しにくくなっている。
第1ピストン71に設けられた通路165,166が、上室75および中間室76間を作動流体である作動液が流れるように連通し、第2ピストン72に設けられた通路185,186が、中間室76および下室77間を作動流体である作動液が流れるように連通する。
伸び側減衰バルブ169,189は、第1ピストン71および第2ピストン72に設けられ、これらの伸び方向の移動によって通路166,186を流れる作動液の流れを制限して減衰力を発生させる。伸び行程では、通路166が作動液の流れの上流側(つまり上室75側)となり通路186が下流側(つまり下室77側)となる。また、伸び行程では、伸び側減衰バルブ169,189のうち、伸び側減衰バルブ169が上流側(つまり上室75側)となり、伸び側減衰バルブ189が下流側(つまり下室77側)となる。
ディスクバルブ145,148は、第1ピストン71に設けられたディスクバルブ145の方が、第2ピストン72に設けられたディスクバルブ148よりも剛性が低く開弁しやすくなっている。その結果、ディスクバルブ145,148は、第1ピストン71および第2ピストン72が伸び方向に移動する伸び行程での作動液の流れに対して、上流側に位置するディスクバルブ145で発生する減衰力が下流側に位置するディスクバルブ148で発生する減衰力よりも小さくソフトとなるように設定されている。
縮み側減衰バルブ168,188は、第1ピストン71および第2ピストン72に設けられ、これらの縮み方向の移動によって通路165,185を流れる作動液の流れを制限して減衰力を発生させる。縮み行程では、通路185が作動液の流れの上流側(つまり下室77側)となり通路165が下流側(つまり上室75側)となる。また、縮み行程では、縮み側減衰バルブ168,188のうち、縮み側減衰バルブ188が上流側(つまり下室77側)となり、縮み側減衰バルブ168が下流側(つまり上室75側)となる。
ディスクバルブ143,147は、第1ピストン71設けられたディスクバルブ143の方が、第2ピストン72に設けられたディスクバルブ147よりも剛性が高く開弁しにくくなっている。その結果、縮み側減衰バルブ168,188は、第1ピストン71および第2ピストン72が縮み方向に移動する縮み行程で作動液の流れの上流側に位置する縮み側減衰バルブ188で発生する減衰力が下流側に位置する縮み側減衰バルブ168で発生する減衰力よりも小さくソフトとなるように設定されている。
ナット155が先端ロッド102に締め付けられた状態で、ディスクバルブ143は、ディスク142と第1ピストン71とで内周側がクランプされることになり、ディスクバルブ145は、ディスク146と第1ピストン71とで内周側がクランプされることになる。また、ディスクバルブ147は、ディスク146と第2ピストン72とで内周側がクランプされることになり、ディスクバルブ148は、第2ピストン72とディスク149とで内周側がクランプされることになる。これにより、ディスクバルブ143,145,147,148は、外周側が変形可能となっている。
シリンダ11を構成する内筒10には、その内壁に、軸方向に延在する凹部200が、軸方向所定範囲に亘って形成されている。凹部200は、図5(b)に示すように内筒10の内壁に部分的に形成されており、内筒10の180度異なる2カ所に形成されている。凹部200は、内筒10の素材の一部を塑性変形させることにより形成されており、そのため、内筒10には、その外壁に、図5(a)に示すように軸方向に延在する凸部201が、軸方向所定範囲に亘って形成されている。内筒10は、凹部200つまり凸部201を除く部分が同一円筒面に配置される本体部202となっており、凹部200は本体部202よりも径方向外方に凹み、凸部201は本体部202よりも径方向外方に突出している。
図4に示すように、凹部200は、第1ピストン71および第2ピストン72の両方を軸方向に同時に横断して越えることが可能な長さとなっている。つまり、凹部200は、第1ピストン71および第2ピストン72間の軸方向長さ(摺動部材162,182間の最大距離)よりも長く延びている。
凹部200は、図6(a)に示すように、第1ピストン71および第2ピストン72の両方を同時に軸方向に横断する状態では、その内側の壁通路203(通路)で上室75、中間室76および下室77をすべて連通させることになる。つまり、壁通路203は、図4に示す通路165,166,185,186とは別に、上室75、中間室76および下室77を連通させることが可能となっている。
また、凹部200は、図6(b)に示すように、第1ピストン71および第2ピストン72のうちの第2ピストン72のみを軸方向に横断する状態では、その壁通路203で中間室76および下室77を連通させる一方、上室75と中間室76とを連通させることはない。また、凹部200は、図6(c)に示すように、第1ピストン71および第2ピストン72のうちの第1ピストン71のみを軸方向に横断する状態では、その内側の壁通路203で上室75および中間室76を連通させる一方、中間室76と下室77とを連通させることはない。
また、凹部200は、図6(d)に示すように、全体が第2ピストン72の第1ピストン71とは反対側にある状態と、図6(e)に示すように、全体が第1ピストン71の第2ピストン72とは反対側にある状態とでは、第1ピストン71および第2ピストン72のいずれも軸方向に横断しない。このため、壁通路203で上室75、中間室76および下室77のいずれも連通させることはない。
以上により、第1ピストン71および凹部200は、壁通路203に対して設けられて第1ピストン71および第2ピストン72の位置により上室75および中間室76間の作動液の流路面積を調整する第1調整部211を構成している。また、第2ピストン72および凹部200は、壁通路203に対して設けられて第1ピストン71および第2ピストン72の位置により中間室76および下室77間の作動液の流路面積を調整する第2調整部212を構成している。言い換えれば、第1調整部211および第2調整部212の流路面積は、シリンダ11の内筒10の内壁に部分的に形成された凹部200により調整される。第1調整部211および第2調整部212は、シリンダ11に設けられ、第1ピストン71および第2ピストン72の位置に応じて、壁通路203の状態を変える位置感応機構215を構成している。
図1に示すように、ピストンロッド81には、ピストンロッド81の伸縮によってシリンダ11と作動液タンク38との間で作動液を授受してピストンロッド81の伸長長さを調整するセルフレベリング機構221が内蔵されている。このセルフレベリング機構221は、これが内蔵された緩衝器1が搭載される車両の車高を調整する。
セルフレベリング機構221について次に説明する。中空のピストンロッド81の内部には、ポンプチューブ224が挿入されて、先端ロッド102とバネ225とによって挟持固定されている。シリンダ11内には、その軸心に沿って管状のポンプロッド226が配置されており、ポンプロッド226の基端部はベース部材56の開口に挿通されてベースガイド52に連結されている。ポンプロッド226とベース部材56の開口との間に僅かな隙間が設けられており、この隙間が、液室57、環状液通路62およびリザーバ13と、下室77とを連通するオリフィス63となっている。ポンプロッド226の先端側は、先端ロッド102およびポンプチューブ224内に挿入されてポンプチューブ224内にポンプ室227を形成している。ポンプロッド226内の液通路228は、ベースガイド52に設けられた液通路229を介して液室53に連通されている。したがって、ポンプロッド226内の液通路228は、液通路229、液室53および液通路61を介して作動液タンク38の液室43に連通されている。
ポンプ室227は、ポンプロッド226の先端部に設けられた逆止弁233を介してポンプロッド226内の液通路228に連通可能となっており、逆止弁233は液通路228からポンプ室227への作動液の流れのみを許容する。また、ポンプ室227は、ポンプチューブ224の端部に設けられた逆止弁234を介して、中空のピストンロッド81とポンプチューブ224との間に形成された環状の液通路235に連通可能となっており、さらに、液通路235は通路穴126を介して上室75に連通している。逆止弁234はポンプ室227から液通路235への作動液の流通のみを許容する。
先端ロッド102の内周面とポンプロッド226の外周面との間には、軸方向に沿って延びる通路240が形成されており、ポンプチューブ224の内周面とポンプロッド226の外周面との間には、軸方向に沿って延びる通路241が形成されている。通路240は通路241よりも流路面積が広くなっている。緩衝器1は、通常は、これらの通路240,241を介してポンプ室227が下室77に連通している。一方で、ピストンロッド81が縮み側に所定位置まで移動すると、ポンプロッド226に軸方向移動不可に設けられたシール部材242によって、ポンプチューブ224側の通路241を介するポンプ室227と下室77との連通が遮断されるようになっている。また、ポンプロッド226には、シール部材242よりも上側位置に径方向に沿うリリーフポート243が穿設されており、リリーフポート243は、通常は、ポンプチューブ224によって閉鎖され、ピストンロッド81が所定位置まで伸長したとき、ポンプチューブ224から離れて下室77とポンプロッド226内の液通路228とを、通路240を介して連通させる。
ベースガイド52には、液室57側(すなわち、高圧のシリンダ11およびリザーバ13側)の圧力が過度に上昇したとき、開弁してこの圧力を液室53側(すなわち、低圧の作動液タンク38側)へリリーフする常閉のリリーフ弁244が設けられている。
外筒12のバネ受支持部32の外周には、懸架バネ(図示せず)の下端部を受けるための環状のバネ受245が嵌合されて固定されている。そして、緩衝器1は、ピストンロッド81の先端部を車体側(図示せず)に連結し、外筒12の下端部に取り付けられた図示略の取付アイを車輪側(図示せず)に連結して車両の懸架装置に装着されることになり、その際にバネ受245によって懸架ばねの下端部を受ける。
作動液タンク38のブラダ41の上端部は、フランジ部材36に形成された外周溝247に嵌合する形状に形成されており、外周溝247と外筒12の胴部材21の内周面との間でクランプされている。また、フランジ部材36の外周溝247よりも上側の外周溝248にはOリング249が嵌合されている。Oリング249によって外筒12の胴部材21とフランジ部材36との間がシールされており、これとブラダ41の上端部とで、リザーバ13と、作動液タンク38の液室43およびガス室44との間がシールされている。仕切部材35は、フランジ部材36からリザーバ13とは反対側へ延びており、フランジ部材36とは反対側の下端部に、環状部材60が嵌合されている。ブラダ41の下端部は、この環状部材60に形成された外周溝250に嵌合する形状に形成されており、外周溝250と外筒12の胴部材21の内周面との間でクランプされて液室43とガス室44との間をシールしている。
以下、本実施形態の緩衝器1が搭載された車両が標準的な積載状態にあるときの緩衝器1の作動を説明する。
図7の実線X1は、第1ピストン71および第2ピストン72の伸び方向移動時のストローク位置と減衰力との関係を示しており、図7の破線X2は、第1ピストン71および第2ピストン72の縮み方向移動時のストローク位置と減衰力との関係を示している。
緩衝器1は、第1ピストン71および第2ピストン72のストローク位置が、中立位置(1Gの位置(標準の積載状態で水平位置に停止した車体を支持する位置))を含む図7に示す第1の所定範囲S4〜S5内にあるとき、図6(a)に示すように、凹部200が第1ピストン71および第2ピストン72の両方を同時に軸方向に横断し壁通路203の流路面積によって上室75、中間室76および下室77を連通させる。言い換えれば、この第1の所定範囲S4〜S5は、凹部200内によって規定される範囲となっている。この第1の所定範囲S4〜S5では、第1調整部211の第1ピストン71と凹部200とで囲まれた壁通路203の流路面積と、第2調整部212の第2ピストン72と凹部200とで囲まれた壁通路203の流路面積とが、同等の最大値となり、上室75と下室77とが、この壁通路203の流路面積で連通する状態となる。
第1ピストン71および第2ピストン72が、この第1の所定範囲S4〜S5内にあるとき、上室75側に移動する伸び行程では、上室75の作動液が、第1ピストン71および第2ピストン72と凹部200との間の壁通路203を介して下室77に流れることになり、よって、図7の実線X1の第1の所定範囲S4〜S5に示すように、減衰力はソフトの状態になる。
また、第1ピストン71および第2ピストン72が、この第1の所定範囲S4〜S5内にあるとき、下室77側に移動する縮み行程では、下室77の作動液が、第1ピストン71および第2ピストン72と凹部200との間の壁通路203を介して上室75に流れることになり、よって、図7の破線X2の第1の所定範囲S4〜S5に示すように、減衰力はソフトの状態になる。
緩衝器1は、第1ピストン71および第2ピストン72のストローク位置が、上記した第1の所定範囲S4〜S5を超えて、緩衝器1を最大長とする最大長側の図7に示す第2の所定範囲S6〜S7内にあるとき、図6(b)に示すように、第1調整部211の第1ピストン71が壁通路203による上室75および中間室76間の連通を遮断して流路面積を最小値にする一方、第2調整部212の第2ピストン72が壁通路203によって中間室76および下室77間を連通させて流路面積を最大値としている。
第1ピストン71および第2ピストン72が、この第2の所定範囲S6〜S7内にあるとき、上室75側に移動する伸び行程では、第1調整部211が壁通路203による上室75および中間室76間の連通を遮断しているため、上室75の作動液は、壁通路203への進入が規制されるものの、第1ピストン71の通路166を通り、ソフトな減衰力特性の伸び側減衰バルブ169を開いて中間室76に流れる。また、第2調整部212が壁通路203で中間室76および下室77間を連通させているため、中間室76の作動液が、第2ピストン72と凹部200との間の壁通路203を介して下室77に流れることになる。よって、図7の実線X1の第2の所定範囲S6〜S7に示すように、減衰力は、ソフトの状態が維持される。
また、第1ピストン71および第2ピストン72が、この第2の所定範囲S6〜S7内にあるとき、下室77側に移動する縮み行程では、第2調整部212が壁通路203によって中間室76および下室77間を連通させているため、下室77の作動液は、第2ピストン72と凹部200との間の壁通路203を介して中間室76へと流れる。また、第1調整部211が壁通路203による上室75および中間室76間の連通を遮断しているため、中間室76の作動液が、第1ピストン71の通路165を通り、ハードな減衰力特性の縮み側減衰バルブ168を開いて上室75に流れる。よって、図7の破線X2の第2の所定範囲S6〜S7に示すように、減衰力は、第1の所定範囲S4〜S5および後述する第3の所定範囲S2〜S3よりもハードな状態になる。
緩衝器1は、第1ピストン71および第2ピストン72のストローク位置が、上記した第1の所定範囲S4〜S5を超えて、緩衝器1を最小長とする最小長側の図7に示す第3の所定範囲S2〜S3内にあるとき、図6(c)に示すように、第1調整部211が壁通路203により上室75および中間室76間を連通させて流路面積を最大値としており、第2調整部212が壁通路203による中間室76および下室77間の連通を遮断して流路面積を最小値としている。
第1ピストン71および第2ピストン72が、この第3の所定範囲S2〜S3内にあるとき、上室75側に移動する伸び行程では、第1調整部211が壁通路203により上室75および中間室76間を連通させているため、上室75の作動液は、第1ピストン71と凹部200との間の壁通路203を介して中間室76に流れる。また、第2調整部212が壁通路203による中間室76および下室77間の連通を遮断しているため、中間室76の作動液が、通路186からハードな減衰力特性の伸び側減衰バルブ189を開いて下室77に流れる。よって、図7の実線X1の第3の所定範囲S2〜S3に示すように、減衰力は、第1の所定範囲S4〜S5および第2の所定範囲S6〜S7よりもハードな状態になる。
また、第1ピストン71および第2ピストン72が、この第3の所定範囲S2〜S3内にあるとき、下室77側に移動する縮み行程では、第2調整部212が壁通路203による中間室76および下室77間の連通を遮断しているため、下室77の作動液は、第2ピストン72の通路185を通り、ソフトな減衰力特性の縮み側減衰バルブ188を開いて中間室76に流れる。また、第1調整部211が壁通路203により上室75および中間室76間を連通させているため、中間室76の作動液が、第1ピストン71と凹部200との間の壁通路203を介して上室75に流れることになる。よって、図7の破線X2の第3の所定範囲S2〜S3に示すように、減衰力は、ソフトの状態が維持される。
緩衝器1は、第1ピストン71および第2ピストン72のストローク位置が、上記した第2の所定範囲S6〜S7を超えて、最大長側の伸び切り位置S9までの第4の所定範囲S8〜S9にあるとき、図6(d)に示すように、第1調整部211が壁通路203による上室75および中間室76間の連通を遮断して流路面積を最小値としており、第2調整部212が壁通路203による中間室76および下室77間の連通を遮断して流路面積を最小値としている。
第1ピストン71および第2ピストン72が、この第4の所定範囲S8〜S9にあるとき、上室75側に移動する伸び行程では、第1調整部211が壁通路203による上室75および中間室76間の連通を遮断し、第2調整部212が壁通路203による中間室76および下室77間の連通を遮断しているため、上室75の作動液は、通路166を通り、ソフトな減衰力特性の伸び側減衰バルブ169を開いて中間室76に流れ、通路186を通り、ハードな減衰力特性の伸び側減衰バルブ189を開いて下室77に流れる。よって、図7の実線X1の第4の所定範囲S8〜S9に示すように、減衰力は、第3の所定範囲S2〜S3と同様にハードな状態になる。これにより、伸び切り時に減衰力がハードな状態となり、異音の抑制および乗り心地の改善を図ることができる。
また、第1ピストン71および第2ピストン72が、この第4の所定範囲S8〜S9にあるとき、下室77側に移動する縮み行程では、第1調整部211が壁通路203による上室75および中間室76間の連通を遮断し、第2調整部212が壁通路203による中間室76および下室77間の連通を遮断しているため、下室77の作動液は、通路185を通り、ソフトな減衰力特性の縮み側減衰バルブ188を開いて中間室76に流れ、通路165を通り、ハードな減衰力特性の縮み側減衰バルブ168を開いて上室75に流れる。よって、図7の破線X2の第4の所定範囲S8〜S9に示すように、減衰力は、第2の所定範囲S6〜S7と同様にハードな状態になる。
緩衝器1は、第1ピストン71および第2ピストン72のストローク位置が、上記した第3の所定範囲S2〜S3を超えて、最小長側の縮み切り位置S0までの第5の所定範囲S0〜S1にあるとき、図6(e)に示すように、第1調整部211が壁通路203による上室75および中間室76間の連通を遮断して流路面積を最小値としており、第2調整部212が壁通路203による中間室76および下室77間の連通を遮断して流路面積を最小値としている。
第1ピストン71および第2ピストン72が、この第5の所定範囲S0〜S1にあるとき、上室75側に移動する伸び行程では、第1調整部211が壁通路203による上室75および中間室76間の連通を遮断し、第2調整部212が壁通路203による中間室76および下室77間の連通を遮断しているため、上室75の作動液は、通路166を通り、ソフトな減衰力特性の伸び側減衰バルブ169を開いて中間室76に流れ、通路186を通り、ハードな減衰力特性の伸び側減衰バルブ189を開いて下室77に流れる。よって、図7の実線X1の第5の所定範囲S0〜S1に示すように、減衰力は、第3の所定範囲S2〜S3と同様にハードな状態になる。
また、第1ピストン71および第2ピストン72が、この第5の所定範囲S0〜S1にあるとき、下室77側に移動する縮み行程では、第1調整部211が壁通路203による上室75および中間室76間の連通を遮断し、第2調整部212が壁通路203による中間室76および下室77間の連通を遮断しているため、下室77の作動液は、通路185を通り、ソフトな減衰力特性の縮み側減衰バルブ188を開いて中間室76に流れ、通路165を通り、ハードな減衰力特性の縮み側減衰バルブ168を開いて上室75に流れる。よって、図7の破線X2の第5の所定範囲S0〜S1に示すように、減衰力は、第2の所定範囲S6〜S7と同様にハードな状態になる。これにより、縮み切り時に減衰力がハードな状態となり、異音の抑制および乗り心地の改善を図ることができる。
このように、第1調整部211および第2調整部212は、第1ピストン71および第2ピストン72の位置に応じて、壁通路203の状態を変える位置感応機構215を構成している。位置感応機構215は、第1ピストン71および第2ピストン72の位置に応じて、上室75および下室77間を中間室76を介して最大の流路面積で連通させる状態と、上室75および中間室76間を最大の流路面積で連通させると共にこれらと下室77との連通を遮断する状態と、下室77および中間室76間を最大の流路面積で連通させると共にこれらと上室75との連通を遮断する状態と、上室75、中間室76および下室77のすべての連通を遮断する状態とに、壁通路203の状態を変える。
以上により、緩衝器1は、第1ピストン71および第2ピストン72が、中立位置を含む第1の所定範囲S4〜S5にあると、伸び方向移動および縮み方向移動の両移動の減衰力がソフトの状態となり、最大長側の第2の所定範囲S6〜S7にあると、伸び方向移動の減衰力がソフトの状態となると共に縮み方向移動の減衰力がハードの状態となり、最小長側の第3の所定範囲S2〜S3にあると、伸び方向移動の減衰力がハードの状態となると共に縮み方向移動の減衰力がソフトの状態となる。さらに、最大長側の第4の所定範囲S8〜S9および最小長側の第5の所定範囲S0〜S1にあると、伸び方向移動および縮み方向移動の減衰力が共にハードの状態となる。つまり、緩衝器1は、最大長側の第2の所定範囲S6〜S7と最小長側の第3の所定範囲S2〜S3とで、伸び方向移動および縮み方向移動のハードとソフトとの関係が、逆になる反転型の位置感応の減衰力変化特性を有する。
図8に、以上の緩衝器1のピストン速度に対する減衰力特性のシミュレーション結果を示す。図8から明らかなように、第1ピストン71および第2ピストン72が、第1の所定範囲S4〜S5にあるときの伸び方向移動時の減衰力特性(図8の実線Y1)と、第2の所定範囲S6〜S7にあるときの伸び方向移動時の減衰力特性(図8の破線Y2)とは、ピストン速度の全領域で略同様にソフトの状態になっている。これらに対して、第3の所定範囲S2〜S3にあるときの伸び方向移動時の減衰力特性(図8の実線Y3)と、第4の所定範囲S8〜S9および第5の所定範囲S0〜S1にあるときの伸び方向移動時の減衰力特性(図8の破線Y4)とは、ピストン速度の全領域で略同様にハードの状態となっている。なお、いずれの減衰力特性も、ピストン速度が高速になるほど減衰力がハードの状態となっている。
また、第1ピストン71および第2ピストン72が、第1の所定範囲S4〜S5にあるときの縮み方向移動時の減衰力特性(図8の実線Y5)と、第3の所定範囲S2〜S3にあるときの縮み方向移動時の減衰力特性(図8の破線Y6)とは、ピストン速度の全領域で略同様にソフトの状態になる。これらに対して、第2の所定範囲S6〜S7にあるときの縮み方向移動時の減衰力特性(図8の実線Y7)と、第4の所定範囲S8〜S9および第5の所定範囲S0〜S1にあるときの縮み方向移動時の減衰力特性(図8の破線Y8)とは、ピストン速度の全領域で略同様にハードの状態となる。なお、いずれの減衰力特性も、ピストン速度が高速になるほど減衰力がハードの状態となっている。
図9に、緩衝器1の各ピストン速度別の第1ピストン71および第2ピストン72のストローク位置に対する減衰力特性のシミュレーション結果を示す。図9にZ1で示すピストン速度が高速(具体的には0.6m/s)のときの伸び方向移動時、図9にZ2で示すピストン速度が中間速(具体的には0.3m/s)のときの伸び方向移動時、図9にZ3で示すピストン速度が低速(具体的には0.1m/s)のときの伸び方向移動時、図9にZ4で示すピストン速度が極低速(具体的には0.05m/s)のときの伸び方向移動時のいずれにおいても、第3の所定範囲S2〜S3、第4の所定範囲S8〜S9および第5の所定範囲S0〜S1の減衰力が、第1の所定範囲S4〜S5および第2の所定範囲S6〜S7の減衰力よりもハードの状態になる。しかも、このような関係を維持しつつ、ピストン速度が高速になるほど減衰力がハードの状態となる。
また、図9にZ5で示すピストン速度が高速(具体的には0.6m/s)のときの縮み方向移動時、図9にZ6で示すピストン速度が中間速(具体的には0.3m/s)のときの縮み方向移動時、図9にZ7で示すピストン速度が低速(具体的には0.1m/s)のときの縮み方向移動時、図9にZ8で示すピストン速度が極低速(具体的には0.05m/s)のときの縮み方向移動時のいずれにおいても、第2の所定範囲S6〜S7、第4の所定範囲S8〜S9および第5の所定範囲S0〜S1の減衰力が、第1の所定範囲S4〜S5および第3の所定範囲S2〜S3の減衰力よりもハードの状態になる。しかも、このような関係を維持しつつ、ピストン速度が高速になるほど減衰力がハードの状態となる。
上記減衰力変化特性が得られることで、バネ上を加振する力を小さく(つまりソフト)し、バネ上を制振する力を大きく(つまりハード)することができ、電子制御なしでスカイフック制御のような上質の乗り心地が得られる。
以上は、緩衝器1が搭載された車両が標準的な積載状態にあるときの緩衝器1の作動を説明したが、上記よりも積載荷重が大きい状態あるいは積載荷重が小さい状態では、図1に示すセルフレベリング機構221がなければ、緩衝器1のピストンロッド81のシリンダ11に対する軸方向位置が上記とは異なってしまう。すると、そのままでは特性が変わってしまう。
これに対して、セルフレベリング機構221が緩衝器1のシリンダ11に対するピストンロッド81の軸方向位置を調整する。つまり、標準的な積載荷重が加わった状態において、ピストンロッド81の伸長長さは、所定の標準範囲内にある。この状態では、ポンプ室227は、ポンプロッド226の外周側の通路240,241によって下室77に連通しているので、ピストンロッド81が伸縮してもポンピング動作は行われず、その車高が維持される。
積載荷重の増加等によって車高が低下して、ピストンロッド81の伸長長さが所定の標準範囲より短くなると、ポンプチューブ224の外周側の通路241がシール部材242によって下室77から遮断される。この状態では、走行中にピストンロッド81が伸縮すると、伸び行程時には、ポンプロッド226が後退してポンプ室227が拡大、減圧され、逆止弁233が開いて、作動液タンク38の液室43の作動液が液通路61、液室53、液通路229および液通路228を通ってポンプ室227に導入される。縮み行程時には、ポンプロッド226が前進してポンプ室227が縮小、加圧されて逆止弁234が開き、ポンプ室227から作動液が液通路235を通って下室77に供給されてピストンロッド81を伸長させる。このようにして、走行中のピストンロッド81の伸縮によってポンピング動作を繰り返すことにより、ピストンロッド81を伸長させて車高を上げる。そして、車高が所定の標準範囲に達すると、通路241がシール部材242から離れることになって、通路240,241を介してポンプ室227が下室77に連通されてポンピング動作が解除される。
また、積載荷重の減少等によって車高が上昇して、ピストンロッド81の伸長長さが所定の標準範囲を超えると、ポンプロッド226のリリーフポート243がポンプチューブ224から離間して、リリーフポート243と通路240とによって下室77と液通路228が連通される。これにより、下室77の作動液が作動液タンク38の液室43に戻されて、ピストンロッド81が短縮して車高が下がる。そして、車高が下がってピストンロッド81の伸長長さが所定の標準範囲まで短縮されると、リリーフポート243がポンプチューブ224によって遮断されて、その車高が維持される。
上記した特許文献1に記載の緩衝器は、減衰バルブをそれぞれが有する2つのピストンと、メータリングピンとを設け、ピストンの位置に応じて、上流側に位置するピストンの減衰バルブをバイパスして下流側のピストンの減衰バルブで減衰力を発生させる状態と、上流側に位置するピストンの減衰バルブをバイパスせずに2つのピストンのそれぞれの減衰バルブでハードな減衰力を発生させる状態とを切り替えるようになっている。一方で、減衰力の設定自由度を高めることが望まれている。
第1実施形態に係る緩衝器1は、位置感応機構215が、上室75および下室77間を連通させる状態と、上室75および中間室76間を連通させる状態と、下室77および中間室76間を連通させる状態とに、壁通路203の状態を変えるため、上室75および下室77間を連通させて減衰力をソフトの状態にしたり、上室75および中間室76間を連通させて中間室76と下室77との間に設けられた第2の減衰力発生機構191で減衰力を発生させる状態としたり、下室77および中間室76間を連通させて中間室76と上室75との間に設けられた第1の減衰力発生機構171で減衰力を発生させる状態としたりできる。よって、減衰力の設定自由度を高めることが可能となる。しかも、構成が簡素であり、低コストとなる。
より具体的には、第1ピストン71および第2ピストン72に設けられ、上室75および中間室76間と、中間室76および下室77間とを作動液が流れるように連通する通路165,166,185,186とは別に、壁通路203を設け、この壁通路203に、第1ピストン71および第2ピストン72の位置により上室75および中間室76間の作動液の流路面積を調整する第1調整部211と、第1ピストン71および第2ピストン72の位置により下室77および中間室76間の作動液の流路面積を調整する第2調整部212とを設けている。そして、第1ピストン71および第2ピストン72が中立位置を含む第1の所定範囲S4〜S5内にあるとき、第1調整部211および第2調整部212の流路面積が共に大きくなり上室75および下室77間を連通させて減衰力をソフトの状態にする。
また、第1ピストン71および第2ピストン72が第1の所定範囲S4〜S5を超えて最大長側の第2の所定範囲S6〜S7内にあるとき、第1調整部211の流路面積が小さく、かつ第2調整部212の流路面積が大きくなる。よって、伸び行程では、上室75の作動液を第1ピストン71の伸び側減衰バルブ169を通過させながら中間室76および第2調整部212を介して下室77に流すことができる。また、縮み行程では、下室77の作動液を第2調整部212から中間室76に流し第1ピストン71の縮み側減衰バルブ168を通過させながら上室75に流すことができる。
また、第1ピストン71および第2ピストン72が第1の所定範囲S4〜S5を超えて最小長側の第3の所定範囲S2〜S3内にあるとき、第1調整部211の流路面積が大きく、かつ第2調整部212の流路面積が小さくなる。よって、伸び行程では、上室75の作動液を第1調整部211を介して中間室76に導入しつつ第2ピストン72の伸び側減衰バルブ189を通過させながら下室77に流すことができる。また、縮み行程では、下室77の作動液を第2ピストン72の縮み側減衰バルブ188を通過させて中間室76に流し第1調整部211を介して上室75に流すことができる。よって、減衰力の設定自由度を高めることが可能となる。
また、第1ピストン71の伸び側減衰バルブ169および第2ピストン72の伸び側減衰バルブ189は、第1ピストン71および第2ピストン72が伸び方向に移動したとき、上流側に位置する伸び側減衰バルブ169で発生する減衰力が下流側に位置する伸び側減衰バルブ189で発生する減衰力よりも小さく設定されている。このため、第2の所定範囲S6〜S7内にあるときの伸び行程での伸び側減衰バルブ169を通過する作動液の流れによる減衰力をソフトにでき、第3の所定範囲S2〜S3内にあるときの伸び行程での伸び側減衰バルブ189を通過する作動液の流れによる減衰力をハードにできる。
また、第1ピストン71の縮み側減衰バルブ168および第2ピストン72の縮み側減衰バルブ188は、第1ピストン71および第2ピストン72が縮み方向に移動したとき、上流側に位置する縮み側減衰バルブ188で発生する減衰力が下流側に位置する縮み側減衰バルブ168で発生する減衰力よりも小さく設定されている。このため、第3の所定範囲S2〜S3内にあるときの縮み行程での縮み側減衰バルブ188を通過する作動液の流れによる減衰力をソフトにでき、第2の所定範囲S6〜S7内にあるときの縮み行程での縮み側減衰バルブ168を通過する作動液の流れによる減衰力をハードにできる。
以上により、バネ上を加振する力を小さく(つまりソフト)し、バネ上を制振する力を大きく(つまりハード)することができ、電子制御なしでスカイフック制御のような上質の乗り心地が得られる。
また、第1ピストン71および第2ピストン72が第2の所定範囲S6〜S7を超えて最大長側にある第4の所定範囲S8〜S9にあるとき、および第3の所定範囲S2〜S3を超えて最小長側にある第5の所定範囲S0〜S1にあるとき、第1調整部211および第2調整部212の流路面積が共に小さくなる。よって、壁通路203は、上室75、中間室76および下室77のいずれの連通も制限される状態となるため、伸び行程および縮み行程の減衰力がともに高くなる。これにより、伸び切り、縮み切り時に減衰力を高めることができ、異音の抑制および乗り心地の改善を図ることができる。
以上に述べた本実施形態によれば、第1調整部211および第2調整部212間の軸方向長さよりも長く延びて位置感応機構215を構成する凹部200をシリンダ11の内筒10に形成すれば良いため、より簡素な構造とすることができる。
しかも、ピストンロッド81の伸縮によってシリンダ11と作動液タンク38との間で作動液を授受してピストンロッド81の伸長長さを調整するセルフレベリング機構221が設けられているため、緩衝器1を搭載した車両において積載重量の違いがあっても、バネ上を加振する力を小さく(つまりソフト)し、バネ上を制振する力を大きく(つまりハード)することができ、電子制御なしでスカイフック制御のような上質の乗り心地が得られる。つまり、セルフレベリング機構221が設けられていなければ、積載重量の違いがある場合に1G位置が変化してしまうことになり、その際の乗り心地の変化を抑制するためには、壁通路203が上室75、中間室76および下室77を連通させることにより減衰力が切り替わらない不感帯の幅を広げることになる。すると、実ストローク範囲でのハード領域が狭くなり、位置変化に対して急に、かつ大きく減衰力を変化させることになってしまう。すると、減衰力の急変によるショックが大きく、バネ上制振性は上がっても、乗り心地が悪化してしまう。よって、バネ上の制振の機能を弱めざるを得ない。これに対して、本実施形態によれば、セルフレベリング機構221が設けられているため、積載重量の違いがあっても1G位置を一定に保つように自動調整することができるため、不感帯の幅を広げる必要がなくなる。これにより、より速く減衰力を切り替えることができるので、十分にバネ上制振性を向上させることができる。
また、シリンダ11の内筒10の内壁に、軸方向所定範囲に亘って凹部200を形成して壁通路203を形成するため、位置感応機構215が第1ピストン71および第2ピストン72の位置に応じて、上室75および下室77間を連通させる状態と、上室75および中間室76間を連通させる状態と、下室77および中間室76間を連通させる状態とに、壁通路203の状態を変えることを、低コストで行うことができる。
なお、本実施形態において、凹部200の長さと、第1調整部211を構成する第1ピストン71および第2調整部212を構成する第2ピストン72間の長さとの関係を変更して、伸び切り位置S9まで、第1調整部211が上室75と中間室76との連通を遮断しかつ第2調整部212が中間室76と下室77とを連通させるようにしても良い。つまり、これらの関係を満たす上記した第2の所定範囲S6〜S7を、伸び切り位置S9まで延ばしても良い。同様に、縮み切り位置S0まで、第1調整部211が上室75と中間室76とを連通させかつ第2調整部212が中間室76と下室77との連通を遮断しても良い。つまり、これらの関係を満たす上記した第3の所定範囲S2〜S3を、縮み切り位置S0まで延ばしても良い。
また、これらの変更のうち、伸び側および縮み側のいずれか一方のみの変更を採用しても良い。好ましくは、第1ピストン71および第2ピストン72が第2の所定範囲S6〜S7を超えて最大長側にあるとき、および、第1ピストン71および第2ピストン72が第3の所定範囲S2〜S3を超えて最小長側にあるときの少なくともいずれか一方において、第1調整部211および第2調整部212の流路面積が共に小さくなるように設定し、より好ましくは、両方において、第1調整部211および第2調整部212の流路面積が共に小さくなるように設定する。
また、第1ピストン71および第2ピストン72のいずれか一方を、シリンダ11内に摺動させずに設け、これらの内部に中間室76を設けても良い。また、第1ピストン71と第2ピストン72の外周側に、第1ピストン71と第2ピストン72とを繋ぐ筒体を設け、該筒体の内部に中間室を形成するようにしてもよい。
また、縮み側減衰バルブ168,188および伸び側減衰バルブ169,189の減衰力特性はすべて異ならせても良く、少なくともいずれか二つを同等の減衰力特性としても良い。例えば、二つをソフトとハードの間のミディアムの特性とし、残りの一つをソフトの特性とし、残りの一つをハードの特性とする等の変更が可能である。
また、本発明を複筒型に限らず単筒型の緩衝器にも適用することができる。この場合、シリンダ内に、第2ピストンのピストンロッドの延出側とは反対側にフリーピストンが設けられることになる。
本実施形態の緩衝器は、作動液が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に設けられ、該シリンダ内を上室および下室に区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、作動液およびガスが封入されるリザーバと、作動液を貯留する作動液タンクと、前記ピストンロッドの伸縮によって前記シリンダと前記作動液タンクとの間で作動液を授受して前記ピストンロッドの伸長長さを調整するセルフレベリング機構と、を有する緩衝器であって、前記シリンダには、前記ピストンによって形成される中間室と、前記上室と前記中間室との間に設けられて減衰力を発生する第1の減衰力発生機構と、前記下室と前記中間室との間に設けられて減衰力を発生する第2の減衰力発生機構と、前記ピストンの位置に応じて、前記上室および前記下室間を連通させる状態と、前記上室および前記中間室間を連通させる状態と、前記下室および前記中間室間を連通させる状態とに、通路の状態を変える位置感応機構と、が設けられている。これにより、減衰力の設定自由度を高めることが可能となる。しかも、セルフレベリング機構が設けられているため、積載重量の違いがあっても十分にバネ上制振性を向上させることができる。
また、前記シリンダの内壁に、軸方向所定範囲に亘って凹部が形成されているため、位置感応機構がピストンの位置に応じて、上室および下室間を連通させる状態と、上室および中間室間を連通させる状態と、下室および中間室間を連通させる状態とに、通路の状態を変えることを、低コストで行うことができる。