JP2015136643A - 複合体の製造方法および塗布装置 - Google Patents

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豊 大坪
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Abstract

【課題】支持基板の上にシリコーン樹脂層を有する複合体の製造において、この複合体の上に積層されるガラス基板とシリコーン樹脂層との間の空隙の原因となる異物が、極めて少ない樹脂組成物を、ダイコータによって支持基板に塗布する。
【解決手段】シリコーン樹脂層となる樹脂組成物をダイヘッドに供給するポンプの上流に第1フィルタを、同下流に第2フィルタを、それぞれ設け、かつ、第2フィルタの濾過精度が第1フィルタよりも大きいことにより、この課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、支持基板の上にシリコーン樹脂層を形成してなる複合体の製造に関する。詳しくは、欠陥の原因となる異物が無く、膜厚が均一なシリコーン樹脂層を、支持基板の上に形成できる複合体の製造方法、および、この製造方法を実施する塗布装置に関する。
近年、太陽電池(PV)、液晶パネル(LCD)、有機ELパネル(OLED)などの電子デバイス(電子機器)の薄型化、軽量化が進行している。この電子デバイスの薄型化や軽量化を図る方法の1つとして、電子デバイスに用いるガラス基板の薄板化が進行している。
ところが、薄板化によりガラス基板の強度が不足すると、デバイスの製造工程において、ガラス基板のハンドリング性が低下する。
そこで、従来から、最終厚さよりも厚いガラス基板上に電子デバイス用部品(例えば、薄膜トランジスタ)を形成した後、ガラス基板を化学エッチング処理により薄板化する方法が広く採用されている。
しかし、この方法では、例えば、ガラス基板の厚さを0.7mmから0.2mmや0.1mmに薄板化する場合、元々のガラス基板の材料の大半をエッチング液で削り落とすことになる。そのため、この方法は、生産性や原材料の使用効率という観点では好ましくない。また、この化学エッチングによるガラス基板の薄板化方法では、ガラス基板表面に微細な傷が存在する場合、エッチング処理によって傷を起点として微細な窪み(エッチピット)が形成され、光学的な欠陥となる場合があった。
このような問題を解決するために、最近では、薄板ガラス基板と補強板としての複合体とを積層したガラス積層体を用意し、ガラス積層体の薄板ガラス基板上に表示装置などの電子デバイス用部品を形成した後、薄板ガラス基板から複合体を分離する方法が提案されている(特許文献1参照)。
複合体は、支持基板と、この支持基板の上に形成されるシリコーン樹脂層とを有する。電子デバイス用部品を形成される薄板ガラス基板は、この複合体のシリコーン樹脂層に剥離可能に積層・貼着される(後述する図2参照)。
このような複合体は、ダイコータ等の塗布装置を用い、支持基板と塗布装置(塗布ヘッド)とを一方向に相対的に移動しつつ、塗布装置によって、支持基板の表面にシリコーン樹脂層となる樹脂組成物を塗布し、次いで、支持基板に塗布した樹脂組成物を硬化することで、作製される。
また、塗布装置は、樹脂組成物を貯留するタンク、支持基板に樹脂組成物を塗布する塗布ヘッド、タンクに貯留された樹脂組成物を塗布ヘッドに供給するポンプ等を有して構成される。
ここで、ガラス積層体を構成する複合体に限らず、何らかの基板に樹脂組成物を塗布する塗布装置では、樹脂組成物中の異物を除去するために、樹脂組成物の輸送経路(流路)に、異物を除去するためのフィルタを配置する場合が有る。
例えば、特許文献2および3には、ダイコータを用いて基板に樹脂組成物を塗布する塗布装置において、ポンプとダイヘッドの間に、異物除去用のフィルタを設けた塗布装置が開示されている。
これに対し、特許文献4には、塗布ヘッドとポンプとの間に配置したフィルタは、ポンプの吐出挙動に影響を与えるとして、基板に樹脂組成物を塗布する塗布装置において、ポンプの上流にフィルタを設けた塗布装置が開示されている。
国際公開第2007/018028号 特開2000−334355号公報 特開2002−086044号公報 特開2013−192983号公報
ところが、ガラス積層体を構成する複合体のシリコーン樹脂層となる樹脂組成物は、非常にゲル化し易い。そのため、単純に、タンクから塗布ヘッドまでの樹脂組成物の輸送経路に、フィルタを配置しても、ゲル化した組成物が、異物として、支持基板に塗布された樹脂組成物に混入してしまう。
このような異物が、支持基板に塗布された樹脂組成物に混入すると、樹脂組成物を硬化したシリコーン樹脂層にも異物が残存する。その結果、異物の大きさによっては、作製した複合体に薄板ガラス基板を積層してガラス積層体とした際に、異物に起因して、薄板ガラス基板とシリコーン樹脂層との間に空隙が生じてしまう。
薄板ガラス基板とシリコーン樹脂層との間に空隙が有ると、その後の電子デバイス用部品の形成における加熱を伴う工程において、空隙が膨張して、薄板ガラス基板や電子デバイス用部品の破損する等の不都合が生じる。
また、異物を除去できても、フィルタの配置位置や濾過精度によっては、異物によってポンプが適正に作動しなくなり、あるいは、圧力損失によって、適正な樹脂組成物の塗布が行えなくなってしまう。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、薄板ガラス基板が積層されてガラス積層体となる、支持基板とシリコーン樹脂層とからなる複合体の製造において、薄板ガラス基板を積層した際に、シリコーン樹脂層との空隙の原因となるような異物が無く、かつ、膜厚の均一性にも優れるシリコーン樹脂層を形成できる複合体の製造方法、および、この複合体の製造方法に利用される塗布装置を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明の複合体の製造方法は、支持基板の上にシリコーン樹脂層を形成してなる複合体を製造する製造方法であって、
ダイヘッドと前記支持基板とを相対的に移動しつつ、ダイコータによって前記支持基板にシリコーン樹脂層となる樹脂組成物を塗布する塗布工程、および、前記支持基板に塗布した樹脂組成物を硬化する硬化工程を有し、
かつ、前記ダイコータは、前記樹脂組成物を貯留するタンクと前記ダイヘッドに樹脂組成物を供給するポンプとの間に配置される第1フィルタと、前記ポンプとダイヘッドとの間に配置される第2フィルタとを有し、さらに、前記第2フィルタは、前記第1フィルタよりも濾過精度が大きいことを特徴とする複合体の製造方法を提供する。
このような本発明の複合体の製造方法において、前記シリコーン樹脂層として、前記第2フィルタの濾過精度よりも厚い前記シリコーン樹脂層を形成するのが好ましい。
また、前記支持基板がガラス板であるのが好ましい。
さらに、前記支持基板を固定して、前記ダイヘッド、ポンプおよび第2フィルタを一体化したユニットを移動することにより、前記ダイヘッドと基板とを相対的に移動するのが好ましい。
また、本発明の塗布装置は、支持基板の表面に、ダイコータによってシリコーン樹脂層となる樹脂組成物を塗布するための塗布装置であって、
前記樹脂組成物を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留された樹脂組成物を、前記ダイヘッドに供給するポンプと、
前記ポンプおよびタンクの間に配置される第1フィルタと
前記ポンプおよびダイヘッドの間に配置される、前記第1フィルタよりも濾過精度が大きい第2フィルタと、
前記ダイヘッドと支持基板とを相対的に移動させる移動手段とを有する塗布装置を提供する。
本発明によれば、電子デバイス用部品を形成される薄板ガラス基板が積層されたガラス積層体となる、支持基板とシリコーン樹脂層とからなる複合体において、薄板ガラス基板を積層・貼着した際に生じる空隙の原因となる異物が無く、かつ、膜厚の均一性にも優れるシリコーン樹脂層を有する複合体が得られる。
そのため、本発明にかかる複合体によれば、シリコーン樹脂層と薄板ガラス基板との間に空隙を生じることなく、シリコーン樹脂層の上に薄板ガラス基板を積層、貼着してガラス板積層体を作製できる。その結果、本発明によれば、ガラス積層体を利用する電子デバイスの製造において、シリコーン樹脂層と薄板ガラス基板との間の空隙に起因する、薄板ガラス基板等の破損を防止して、高い歩留りで電子デバイスを作製できる。
本発明の複合体の製造方法における塗布工程の一例を行う、本発明の塗布装置の一例を概念的に示す図である。 (A)は、本発明の複合体の製造方法で製造する複合体の一例を、(B)は、本発明の製造方法で製造された複合体を利用するガラス積層体の一例を、それぞれ、概念的に示す図である。
以下、本発明の複合体の製造方法および塗布装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の製造方法における塗布工程を行う、本発明の塗布装置の一例を概念的に示す。
本発明の複合体の製造方法(以下、単に本発明の製造方法とも言う)は、図2(A)に概念的に示すような、支持基板52の表面にシリコーン樹脂層54を形成してなる、複合体50を製造するものである。
前述のように、この複合体50は、図2(B)に概念的に示す、シリコーン樹脂層(接着層)54の表面に薄板ガラス基板56を積層・貼着した、ガラス積層体58として利用される。このガラス積層体58は、液晶パネルや有機ELパネル等の表示装置、太陽電池などの電子デバイス(電子機器)の製造に利用されるものであり、薄板ガラス基板56の表面に、電子デバイスを構成する電子デバイス用部品が形成される。
薄板ガラス基板56の表面に必要な電子デバイス用部品が形成されたら、ガラス積層体58は、複合体50(シリコーン樹脂層54)と薄板ガラス基板56とが剥離される。複合体50から剥離された薄板ガラス基板56は、例えば、電子デバイスの製造の次工程に供給される。他方、薄板ガラス基板56が剥離された複合体50は、再度、薄板ガラス基板56が積層・貼着されて、ガラス積層体58として再利用される。また、複合体50からシリコーン樹脂層54を除去した後、支持基板52を各種の用途に再利用してもよい。
なお、このガラス積層体58に用いられる薄板ガラス基板56は、電子デバイスの製造において、薄膜トランジスタ等の電子デバイス用部品が形成されるガラス基板として利用される、一般的なものである。
図1に示す塗布装置10は、このような複合体50の製造において、支持基板52の表面(主面)に、シリコーン樹脂層54となる樹脂組成物60を塗布するものである。
この塗布装置10は、いわゆるダイコータであって、主に、メインタンク12、供給ポンプ14、サブタンク16、第1フィルタ18、塗布ポンプ20、第2フィルタ24、および、ダイヘッド26を有して構成される。
図示例の塗布装置10において、塗布ポンプ20、第2フィルタ24およびダイヘッド26は、一体化されて塗布ユニット32とされている。この塗布ユニット32は、図示しない移動手段によって、ダイヘッド26の吐出口の延在方向と直交する矢印x方向に移動される。
支持基板52は、定盤30に載置・固定されて、矢印x方向に移動する塗布装置10によって、全面(あるいは、所定の塗布領域)に樹脂組成物60を塗布される。
なお、塗布装置10には、必要に応じて、図示した部材以外にも、バルブ、温度計、圧力計、流量調節手段、流量計、温度調節手段、イオン発生設備、ダイヘッド洗浄設備、空気清浄設備等の、各種のダイコータによる樹脂組成物の塗布装置に設けられる公知の部材や設備を有しても良い。
支持基板52は、図2(B)に示すガラス積層体58において、薄板ガラス基板56を支持して補強し、後の電子デバイス用部品を製造する工程において薄板ガラス基板56の変形、傷付き、破損などを防止するものである。
本発明において、支持基板52としては、例えば、ガラス板、プラスチック板、SUS板などの金属板などが用いられる。通常、部品形成工程が熱処理を伴うため、支持基板52は薄板ガラス基板56との線膨張係数の差の小さい材料で形成されることが好ましく、薄板ガラス基板56と同一材料で形成されることがより好ましい。また、支持基板52は、ガラス板であることが好ましく、薄板ガラス基板56と同じガラス材料からなるガラス板であることがより好ましい。
支持基板52の厚さは、薄板ガラス基板56よりも厚くても薄くてもよい。好ましくは、薄板ガラス基板56の厚さ、シリコーン樹脂層54の厚さ、およびガラス積層体58の厚さに基づいて、支持基板52の厚さが選択される。
例えば、部品形成工程が厚さ0.5mmの基板を処理するように設計されたものであって、薄板ガラス基板56の厚さとシリコーン樹脂層54の厚さとの和が0.1mmの場合、支持基板52の厚さを0.4mmとする。支持基板52の厚さは、通常の場合、0.2〜5mmであることが好ましい。
支持基板52がガラス板の場合、扱いやすく、割れにくいなどの理由から、支持基板52の厚さは、0.08mm以上であることが好ましい。また、支持基板52がガラス板の場合、電子デバイス用部品形成後に剥離する際に、割れずに適度に撓むような剛性が望まれる理由から、支持基板52の厚さは、1mm以下であることが好ましい。
このような支持基板52は、定盤30に載置されて、樹脂組成物60を塗布される。
定盤30は、必要な平面性を保って支持基板52を載置(支持/保持/固定)できるものであれば、公知の板状物の支持部材(支持手段)が利用可能である。また、定盤30は、必要に応じて、支持基板52の位置決め手段や固定手段等、各種の板状物の支持部材に設けられる公知の部材を有してもよい。
メインタンク12は、塗布装置10において、シリコーン樹脂層54となる樹脂組成物60が最初に貯留される部位である。
また、メインタンク12に貯留された樹脂組成物60は、供給ポンプ14によって、サブタンク16に供給され、貯留される。樹脂組成物60は、このサブタンク16から、塗布ポンプ20によって、ダイヘッド26に供給される。
なお、本発明において、メインタンク12から樹脂組成物60を供給されるサブタンク16は、1つでも、複数でもよい。
メインタンク12およびサブタンク16は、公知の各種の樹脂組成物の貯留容器(貯留手段)が利用可能である。
また、供給ポンプ14は、樹脂組成物60の粘度等に応じて、必要な吐出量や吐出圧等を有するものであれば、公知の各種のポンプが利用可能である。
樹脂組成物60は、複合体50のシリコーン樹脂層54となるものである。
従って、樹脂組成物60には、硬化してシリコーン樹脂層54(シリコーン樹脂)となる硬化性シリコーンが含まれる。このような硬化性シリコーンは、その硬化機構により縮合反応型シリコーン、付加反応型シリコーン、紫外線硬化型シリコーンおよび電子線硬化型シリコーンに分類されるが、いずれも使用することができる。
これらの中でも付加反応型シリコーンが好ましい。これは、硬化反応のしやすさ、シリコーン樹脂層を形成した際に剥離性の程度が良好で、耐熱性も高いからである。
付加反応型シリコーンは、主剤および架橋剤を含み、白金系触媒などの触媒の存在下で硬化する硬化性の組成物である。付加反応型シリコーンの硬化は、加熱処理により促進される。
付加反応型シリコーンの主剤は、ケイ素原子に結合したアルケニル基(ビニル基など)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノアルケニルポリシロキサン。なお、直鎖状が好ましい)であるのが好ましく、アルケニル基などが架橋点となる。付加反応型シリコーン中の架橋剤は、ケイ素原子に結合した水素原子(ハイドロシリル基)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノハイドロジェンポリシロキサン。なお、直鎖状が好ましい)であることが好ましく、ハイドロシリル基などが架橋点となる。
付加反応型シリコーンは、主剤と架橋剤の架橋点とが付加反応をすることにより硬化する。なお、架橋構造に由来する耐熱性がより優れる点で、オルガノアルケニルポリシロキサンのアルケニル基に対する、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子に結合した水素原子のモル比が、0.5〜2であることが好ましい。
樹脂組成物60に含まれる硬化性シリコーンが付加反応型シリコーンである場合、樹脂組成物60には、さらに、触媒(特に、白金族金属系触媒)や、反応抑制剤等が含まれてもよい。
白金族金属系触媒(ヒドロシリル化用白金族金属触媒)は、前述したオルガノアルケニルポリシロキサン中のアルケニル基と、前述したオルガノハイドロジェンポリシロキサン中の水素原子とのヒドロシリル化反応を、進行・促進させるための触媒である。白金族金属系触媒としては、白金系、パラジウム系、ロジウム系などの触媒が挙げられ、特に白金系触媒として用いることが経済性、反応性の点から好ましい。
反応抑制剤(ヒドロシリル化用反応抑制剤)は、これらの触媒(特に、白金族金属系触媒)の常温での触媒活性を抑制して、樹脂組成物60の可使時間を長くする、いわゆるポットライフ延長剤(遅延剤とも呼ばれる)である。反応抑制剤としては、例えば、各種有機窒素化合物、有機リン化合物、アセチレン系化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物などが挙げられる。特に、アセチレン系化合物(例えば、アセチレンアルコール類およびアセチレンアルコールのシリル化物)が好適である。
さらに、樹脂組成物60には、必要に応じて、溶媒が含まれていてもよい。溶媒としては、各種成分を容易に溶解でき、かつ、容易に揮発除去させることのできる溶媒であることが好ましい。具体的には、例えば、酢酸ブチル、ヘプタン、2−ヘプタノン、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート、トルエン、キシレン、THF、クロロホルム、等を例示することができる。
なかでも、飽和炭化水素が好ましく、各種の飽和炭化水素(直鎖状飽和炭化水素、分岐鎖状飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素)の1種または2種以上から実質的になる各種の飽和炭化水素溶剤が用いられる。例えば、アイソパーG(エクソンモービル有限会社製、初留点:160℃)、アイソパーL(エクソンモービル有限会社製、初留点:189℃)、アイソパーH(エクソンモービル有限会社製、初留点:178℃)、アイソパーM(エクソンモービル有限会社製、初留点:223℃)、ノルパー13(エクソンモービル有限会社製、初留点:222℃)、ノルパー15(エクソンモービル有限会社製、初留点:249℃)、エクソールD40(エクソンモービル有限会社製、初留点:164℃)、エクソールD60(エクソンモービル有限会社製、初留点:187℃)、エクソールD80(エクソンモービル有限会社製、初留点:208℃)、ネオチオゾール(中央化成株式会社製、初留点:225℃)、IPソルベント2028(出光興産株式会社、初留点:213℃)等が例示される。
サブタンク16に貯留された樹脂組成物60は、塗布ポンプ20によって、ダイヘッド26に供給され、ダイヘッド26から定盤30に載置された支持基板52に塗布される。
塗布ポンプ20は、必要な吐出精度、吐出圧力(加圧力)、吐出量等を有するものであれば、ダイコータにおいて、サブタンク16(樹脂組成物を貯留するタンク)からダイヘッドへの樹脂組成物の供給に利用される公知のものが、各種、利用可能である。
好適には、公知のダイコータと同様、各種の定容量ポンプが利用される。具体的には、CTポンプ(コアキシャルチューブポンプ)、RTポンプ、ベローズポンプ、ダイヤフラム型ポンプ、プランジャー型ポンプ等が例示される。
ダイヘッド26は、塗布対象となる支持基板52のサイズに応じた、図1紙面と直交する方向に延在する吐出口を有するもので、目的とする量の樹脂組成物60を塗布できるものであれば、ダイコータに用いられる公知のダイヘッドが、各種、利用可能である。
ここで、本発明の製造方法における塗布工程を行う、本発明の塗布装置10には、サブタンク16と塗布ポンプ20との間に第1フィルタ18が設けられ、塗布ポンプ20とダイヘッド26との間に第2フィルタ24が設けられる。第1フィルタ18は、サブタンク16から塗布ポンプ20に至る樹脂組成物の輸送経路において、樹脂組成物に混入する異物を除去するためのフィルタである。他方、第2フィルタ24は、塗布ポンプ20からダイヘッド26に至る樹脂組成物の輸送経路において、樹脂組成物に混入する異物を除去するためのフィルタである。
ここで、本発明においては、塗布ポンプ20とダイヘッド26との間に配置される第2フィルタ24は、サブタンク16と塗布ポンプ20との間に配置される第1フィルタ18よりも、大きな濾過精度を有する。言い換えれば、塗布ポンプ20の上流側(以下、単に上流側、逆側を下流側とも言う)配置される第1フィルタ18は、塗布ポンプ20の下流に配置される第2フィルタ24よりも、小さな異物を分離(濾別・捕捉)する。
本発明の製造方法および塗布装置10は、このような構成を有することにより、ガラス積層体58における欠陥の原因となる異物が混入しない樹脂組成物60を、支持基板52の全面に均一な厚さで塗布できる。
ガラス積層体58を構成する複合体50において、シリコーン樹脂層54となる樹脂組成物は、前述のように、縮合反応型シリコーン、付加反応型シリコーン、紫外線硬化型シリコーンおよび電子線硬化型シリコーン等の硬化性シリコーンを含むものである。
この硬化性シリコーンは反応性が高い。そのため、硬化性シリコーンを含む樹脂組成物では、硬化性シリコーン等が容易にゲル化して、異物になる。そのため、メインタンク12およびサブタンク16に貯留される樹脂組成物の中には、硬化性シリコーン等のゲル化に起因する多くの異物が存在する。
このような異物を含んだ樹脂組成物60を塗布ポンプ20で輸送すると、異物によって塗布ポンプ20が適正に作動しなくなってしまい、適正な樹脂組成物60の供給ができなくなってしまう。また、樹脂組成物60を供給できたとしても、この異物によって、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間に、後に詳述するような間隙が生じてしまう。
従来は、このような問題は、塗布ポンプ20とサブタンク16との間の樹脂組成物60の輸送経路に、異物を除去するためのフィルタを配置することで解決できると考えられていた。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、塗布ポンプ20とサブタンク16との間にフィルタを配置しても、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間に生じる空隙となる異物が、支持基板52に塗布される樹脂組成物60に混入してしまう。
すなわち、ガラス積層体58となる複合体50の製造において、シリコーン樹脂層56となる樹脂組成物の塗布量は、非常に少なく、樹脂組成物60の流動が、極めて少ない。そのため、特に塗布ポンプ20とダイヘッド26との間で、樹脂組成物60のゲル化が進行して異物となる。その結果、比較的、大きな異物が混入した状態で、樹脂組成物が支持基板52に塗布されてしまう。さらに、ダイヘッド26に異物が詰まってしまい、樹脂組成物60の表面にスジ状の面荒れが生じてしまう場合も有る。また、輸送経路内でゲル化した異物を滞留させると、ゲル化が進行して輸送経路が詰まってしまい、樹脂組成物60の塗布ができない場合も有る。
このような大きな異物が混入やスジ状の面荒れを有する樹脂組成物60を硬化して形成したシリコーン樹脂層54は、表面に、異物に起因する凸部や面荒れに起因するスジムラのようなものが形成される。
このような凸部やスジムラを有するシリコーン樹脂層54に薄板ガラス基板56を積層して、図2(B)に示すようなガラス積層体58を作製すると、シリコーン樹脂層54の凹凸部等に起因して、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56とを全面的に密着できず、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間に、空隙が生じてしまう(空気が混入してしまう)。
シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間に空隙が有ると、その後の電子デバイス用部品の形成における加熱を伴う工程において、空隙が膨張して、薄板ガラス基板56や電子デバイス用部品の破損等の不都合が生じる。
また、塗布ポンプ20とダイヘッド26との間に異物を除去するためのフィルタを配置すると、圧力損失によって、特に塗布開始位置において支持基板52への樹脂組成物60の塗布が不十分になってしまい、膜厚の不均一等に起因して、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間に、空隙が生じてしまう。さらに、塗布終了位置において、液垂れ等が生じる場合も有る。
これに対し、本発明においては、サブタンク16と塗布ポンプ20との間に第1フィルタ18を配置し、塗布ポンプ20とダイヘッド26との間に、第1フィルタ18よりも濾過精度が大きい第2フィルタ24を配置する。
すなわち、サブタンク16と塗布ポンプ20との間に配置される第1フィルタ20をメインフィルタとして、サブタンク16に貯留される樹脂組成物60に混入する異物の殆どを取り除き、塗布ポンプ20とダイヘッド26との間に配置される第2フィルタをサブフィルタ26として、第1フィルタ18よりも下流で生成された、前述の空隙やスジムラの原因となる大きな異物を取り除く。
そのため、本発明によれば、塗布ポンプ20を適正に駆動して、かつ、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間の空隙の原因となるような異物の無い樹脂組成物60を支持基板52に塗布できる。また、第2フィルタ24の濾過精度が、第1フィルタ18の濾過精度よりも大きいので、第2フィルタ24による圧力損失が小さく、圧力損失による塗布の不安定性を無くして、支持基板52(塗布領域)の全域に渡って、均一な膜厚の樹脂組成物60を塗布できる。
第2フィルタ24の濾過精度を、第1フィルタ18の濾過精度よりも小さくすると、第2フィルタ24による圧量損失が大きくなってしまい、樹脂組成物60の塗布が不安定になる。その結果、特に支持基板52への塗布の開始領域において樹脂組成物60の塗膜厚が薄くなるなど、樹脂組成物60の膜厚が不均一になってしまう。
また、第2フィルタ24の濾過精度を、第1フィルタ18の濾過精度よりも小さくした際に、第2フィルタ24の濾過精度を、塗布が不安定になる圧力損失が生じないような大きさにすると、樹脂組成物のゲル化に起因する異物が第1フィルタ18を通過して、大量に塗布ポンプ20に流入してしまい、塗布を開始した後、短時間で、適正な樹脂組成物60の塗布ができなくなる。
本発明において、第1フィルタ18および第2フィルタ24としては、前述の濾過精度の大小関係を有し、かつ、必要な濾過精度を有するものであれば、使用する樹脂組成物26の濾過が可能な公知のフィルタが、各種、利用可能である。従って、第1フィルタ18および第2フィルタ24は、各種の市販のフィルタが、好適に利用可能である。
なお、フィルタによっては、濾過精度ではなく、分離(濾別・捕捉)できる物質の大きさ(通過可能な物質の最大サイズ)を、メッシュサイズ、孔径(ポアサイズ)等で示す物もある。本発明においては、濾過精度が不明な場合には、このような使用するフィルタが分離できる物質の大きさを示す指標を、濾過精度と見なす。
すなわち、本発明において、濾過精度が大きいとは、分離せずにフィルタを通過可能な物質のサイズが、大きいということを示す。
第1フィルタ18の濾過精度は、樹脂組成物60の組成等に応じて、樹脂組成物のゲル化に起因する異物を十分に取り除けるサイズを、適宜、選択すればよい。
本発明者らの検討によれば、第1フィルタ18の濾過精度は、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜7μmがより好ましく、1〜5μmが特に好ましい。
第1フィルタ18の濾過精度を、このような範囲とすることにより、第1フィルタ18からダイヘッド26までに悪影響を与える異物をほぼ除去できる、第2フィルタ24の交換頻度を軽減できる等の点で好ましい。
第1フィルタ18の配置位置は、サブタンク16すなわち最下流に配置される樹脂組成物60の貯留タンク(ダイヘッド26に樹脂組成物60を供給するタンク)と、塗布ポンプ20との間であれば、何処でもよい。
第2フィルタ24の濾過精度は、第1フィルタ18よりも大きければ良い。すなわち第2フィルタ24の濾過精度は、第1フィルタ18の濾過精度に応じて、適宜、設定すればよい。
本発明者らの検討によれば、第2フィルタ24の濾過精度は、0.1〜30μmが好ましく、0.5〜15μmがより好ましく、1〜10μmが特に好ましい。
第2フィルタ24の濾過精度を、このような範囲とすることにより、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間の空隙の原因となるような異物を好適に除去できる、ダイヘッド26の詰まりの原因となる異物を好適に除去できる、樹脂組成物60を塗布する際の圧損を少なくすることができ、膜厚の面内分布も良好になる等の点で好ましい。
ここで、本発明者らの検討によれば、第2フィルタ24の濾過精度は、形成するシリコーン樹脂層54の膜厚(硬化した樹脂組成物60の膜厚(ドライの膜厚))よりも、小さいのが好ましい。例えば、形成するシリコーン樹脂層54の膜厚が10μmであれば、第2フィルタ24の濾過精度は、10μm未満であるのが好ましい。
このような構成を有することにより、樹脂組成物60中に存在する異物を、シリコーン樹脂層54に埋没できる。そのため、シリコーン樹脂層54に、異物に起因する凸部が形成されることを、より確実に防止して、異物に起因するシリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間の空隙の発生を、より確実に防止できる。
第2フィルタ24の配置位置は、塗布ポンプ20とダイヘッド26との間であれば、何処でもよい。しかしながら、本発明者らの検討によれば、塗布装置10の装置構成や設置位置等に応じて、可能な限りダイヘッド26に近接して配置するのが好ましい。
具体的には、第2フィルタ24は、樹脂組成物60の輸送距離で、ダイヘッド26から100cm以内の位置に配置するのが好ましく、50cm以内の位置に配置するのがより好ましく、30cm以内の位置に配置するのが、特に好ましい。
また、第2フィルタ24は、塗布ポンプ20とダイヘッド26との間の樹脂組成物の輸送距離の全長に対して、ダイヘッド26から30%以内の位置に配置するのが好ましく、同20%以内の位置に配置するのがより好ましく、同15%以内の位置に配置するのが特に好ましい。
特に、上記絶対的な位置の条件を満たした上で、塗布ポンプ20とダイヘッド26との間の輸送距離の全長に対する相対的な位置の条件を満たすのが好ましい。
第2フィルタ24の配置位置を上記の位置とすることにより、塗布ポンプ20とダイヘッド26との間で生成した、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間の空隙の原因となる異物を、より確実に除去して、異物に起因するシリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間の空隙の発生を、より好適に防止できる。
さらに、樹脂組成物60を安定して支持基板52に塗布するために、塗布ポンプ20よりも下流に配置される第2フィルタ24は、圧力損失が小さいほど好ましい。
前述のように、塗布装置10においては、塗布ポンプ20、第2フィルタ24およびダイヘッド26は、一体的にユニット化されて、塗布ユニット32とされている。また、塗布装置10においては、この塗布ユニット32を矢印x方向に移動することにより、定盤30に載置された支持基板52とダイヘッド26とを、相対的に移動して、支持基板52の全面に樹脂組成物60を塗布する。
塗布ユニット32の移動手段は、塗布ユニット32の大きさや重さ等に応じて、必要な搬送速度や搬送速度精度等を有するものであれば、ネジ伝動を利用する移動手段、巻き掛け伝動を利用する移動手段、歯車伝動を利用する移動手段等の公知の移動手段が、各種、利用可能である。
また、ダイヘッド26と支持基板52との相対的な移動のためにユニット化するのは、塗布ポンプ20、第2フィルタ24およびダイヘッド26に限定はされない。すなわち、支持基板52とダイヘッド26との相対的な移動のために形成される塗布ユニットは、支持基板52に樹脂組成物60を塗布するダイヘッド26を含むものであれば、各種の組み合わせ(ダイヘッド単体を含む)が利用可能である。
樹脂組成物60の膜厚(ウエット膜厚)は、樹脂組成物60の固形分濃度等に応じて、目的とするシリコーン樹脂層54の厚さが得られる膜厚を、適宜、設定すればよい。
本発明者らの検討によれば、樹脂組成物60の膜厚は、1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、8〜30μmが特に好ましい。
樹脂組成物60の膜厚を上記範囲とすることにより、形成するシリコーン樹脂層54の膜厚制御を容易にできる、異物に起因するシリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間の空隙の発生を好適に抑制できる等の点で好ましい。
従って、樹脂組成物60は、上記樹脂組成物60の膜厚で、目的とする膜厚のシリコーン樹脂層54が得られる濃度とするのが好ましい。
塗布ユニット32の移動速度(いわゆるヘッドスピード)は、目的とする生産性、樹脂組成物60の塗膜厚、樹脂組成物60の粘度等に応じて、適宜、設定すればよい。
本発明者の検討によれば、塗布ユニット32の移動速度は、1〜200mm/秒が好ましく、10〜150mm/秒がより好ましく、30〜100mm/秒が特に好ましい。
塗布ユニット32の移動速度を上記範囲とすることにより、塗布する樹脂組成物60の膜厚制御を容易にできる、塗膜が途中で切れるなどの塗膜不良を好適に防止できる等の点で好ましい。
さらに、樹脂組成物60の吐出量は、0.5〜40mlが好ましく、2〜20mlがより好ましく、4〜12mlが特に好ましい。
ダイヘッド26からの樹脂組成物60の吐出量を上記範囲とすることにより、塗布する樹脂組成物60の膜厚制御を容易にできる、塗膜が途中で切れるなどの塗膜不良を好適に防止できる等の点で好ましい。
図示例の塗布装置10は、装置を小型化できる好ましい態様として、塗布ポンプ20、第2フィルタ24およびダイヘッド26を一体化した塗布ユニット32を移動し、支持基板52とダイヘッド26とを相対的に移動している。
しかしながら、本発明は、これ以外にも、ダイヘッド26を固定して、支持基板52を載置する定盤をx方向に移動することにより、支持基板52とダイヘッド26の相対的な移動を行ってもよい。
本発明の製造方法においては、このようにして塗布工程で支持基板52に樹脂組成物60を塗布したら、次いで、硬化工程によって樹脂組成物60を硬化して、シリコーン樹脂層54を形成して、複合体50を作製する。
樹脂組成物60の硬化は、樹脂組成物の組成に応じた方法が、各種、利用可能である。本発明において、樹脂組成物60は硬化性シリコーンを含むので、通常、硬化は、加熱によって行う。
加熱方法は、ヒータによる加熱、温風による加熱、熱輻射による加熱、熱伝導による加熱等、公知の方法が、各種、利用可能である。
また、加熱による樹脂組成物60の硬化条件は、樹脂組成物60の組成や濃度、塗布厚等に応じて、樹脂組成物60を確実に硬化できる条件を、適宜、設定すればよい。通常は、100〜300℃程度の温度で、150〜250分程度の加熱によって、硬化を行う。
なお、樹脂組成物60が溶媒を含む場合には、この加熱による硬化工程が、溶媒の乾燥工程を兼ねてもよい(すなわち、乾燥・硬化工程)。あるいは、硬化工程の前に、別途、乾燥工程を設けてもよい。
このようにして形成されるシリコーン樹脂層54の厚さは、作製する複合体50(すなわちガラス積層体58)の用途等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明者らの検討によれば、シリコーン樹脂層54の厚さは、2〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましく、7〜20μmがさらに好ましい。シリコーン樹脂層54の厚さをこの範囲にすることにより、薄板ガラス基板56の歪み欠陥の発生を抑制できる。また、シリコーン樹脂層54が厚すぎると、形成に時間および材料を要するため、経済的ではなく、さらに、耐熱性が低下する場合がある。逆に、シリコーン樹脂層54が薄すぎると、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との密着性が低下する場合がある。
なお、シリコーン樹脂層14は2層以上からなっていてもよい。すなわち、本発明の製造方法では、1枚の支持基板52に、樹脂組成物60の塗布を2回以上行ってもよい。この場合、シリコーン樹脂層54の厚さは、全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
また、シリコーン樹脂層54が2層以上からなる場合は、各々の層を形成する樹脂が異なる架橋性シリコーンからなるものであってもよい。
このようにして形成された複合体50には、前述のように、シリコーン樹脂層54(接着層)に薄板ガラス基板56が積層・貼着されて、ガラス積層体58とされ、薄板ガラス基板56への電子デバイス用部品の形成工程に供給される。
以上、本発明の複合体の製造方法および塗布装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行っても良いのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明を、より詳細に説明する。
[実施例1]
<樹脂組成物60の調製>
成分(A)として、直鎖状ビニルメチルポリシロキサン(「VDT−127」、25℃における粘度700−800cP(センチポアズ):アヅマックス製、オルガノポリシロキサン1molにおけるビニル基のmol%:0.325)と、成分(B)として、直鎖状メチルヒドロポリシロキサン(「HMS−301」、25℃における粘度25−35cP(センチポアズ):アヅマックス製、1分子内におけるケイ素原子に結合した水素原子の数:8個)とを、全ビニル基と全ケイ素原子に結合した水素原子とのモル比(水素原子/ビニル基)が0.9となるように混合した。
このシロキサン混合物100質量部に対して、成分(C)として下記式(1)で示されるアセチレン系不飽和基を有するケイ素化合物(沸点:120℃)1質量部を混合した。
HC≡C−C(CH3)2−O−Si(CH3)3 式(1)
次いで成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計量に対して、白金換算で白金金属濃度が100ppmとなるように白金系触媒(信越シリコーン株式会社製、CAT−PL−56)を加えオルガノポリシロキサン組成物の混合液を得た。
さらに、得られた混合液に100質量部に対して、IPソルベント2028(初留点:213〜262℃、出光興産製)を150質量部加えて、未硬化の架橋性オルガノポリシロキサンを含む樹脂組成物60を調製した。
<塗布工程>
支持基板52として、厚さ0.5mm、大きさ100×100cmの無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板を用意した。この支持基板52の表面をアルカリ水溶液、純水の順に洗浄して清浄化して、定盤30の所定位置に載置した。
さらに、調製した樹脂組成物を、図1に示すような塗布装置10のサブタンク16に充填して、支持基板52の全面に、樹脂組成物60を塗布した。
塗布装置10において、塗布ポンプ20は、CTポンプを用いた。第1フィルタ18は、濾過精度1.5μmの市販品(日本ポール社製 DEZ1A015FJ1)を用いた。第2フィルタ24は、濾過精度6μmの市販品(日本ポール社製 6004202)を用いた。
塗布ユニット32の移動速度(ヘッドスピード)は40mm/秒、吐出量は8ml、樹脂組成物60の膜厚(ウエット膜厚)は20μmとした。この樹脂組成物60の膜厚は、シリコーン樹脂層54の膜厚(ドライ膜厚)が8μmとなる厚さである。
<硬化工程>
樹脂組成物60を塗布した支持基板52を、大気中において、220℃で20分間加熱することにより、樹脂組成物20を硬化して、支持基板52の表面にシリコーン樹脂層54を形成してなる複合体50を作製した。
[実施例2]
吐出量を変更することによって、樹脂組成物60の膜厚を12.5μmとした以外は、実施例1と同様にして複合体10を作製した。
なお、この樹脂組成物60の膜厚は、シリコーン樹脂層54の膜厚が5μmとなる厚さである。
[比較例1]
塗布装置10から第2フィルタ24を取り外した以外は、実施例1と同様にして複合体10を作製した。
[比較例2]
塗布装置10から第1フィルタ18を取り外した以外は、実施例1と同様にして複合体10を作製した。
しかしながら、本例では、樹脂組成物60の塗布を開始した後、直ぐに、塗布ポンプ20の上流で配管が詰まって、支持基板52に樹脂組成物60を塗布することができなくなってしまい、複合体10を作製できなかった。
[比較例3]
第1フィルタ18と第2フィルタ24とで、使用するフィルタを交換した以外は、実施例1と同様にして複合体10を作製した。
従って、本例では、サブタンク16と塗布ポンプ20との間の第1フィルタ18の濾過精度が6μmで、塗布ポンプ20とダイヘッド26との間の第2フィルタ24の濾過精度が1.5μmである。
[評価]
薄板ガラス基板56として、厚さ0.5mm、大きさ100×100cmの無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板を用意した。
この薄板ガラス基板56を、支持基板52と同様に洗浄した。
次いで、洗浄した薄板ガラス基板56を、シリコーン樹脂層54に対面して、作製した実施例1および2、ならびに、比較例1および3の各複合体10と積層し、室温下で、真空プレスにより貼り合わせ、複合体50に薄板ガラス基板56を貼り合わせてなるガラス積層体58を作製した。
なお、比較例2に関しては、前述のように複合体10が作製できなかったので、ガラス積層体58は、作製しなかった。
各ガラス積層体58について、蛍光灯を光源として、目視によって検査を行った。
シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間に、ガラス積層体58として不可になると考えられる空隙が認められない場合を『○』;
シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間に、ガラス積層体58として不可になると考えられる空隙が認められた場合を『×』; と評価した。
その結果、実施例1は、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間に、空隙は全くが認められなかった(評価『○』)。
実施例2は、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間に、若干の空隙は認められるが、ガラス積層体58としては全く問題なく使用可能であった(評価『○』)。
比較例1は、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間に、樹脂組成物60の異物、および、シリコーン樹脂層54のスジ状の面荒れによるスジムラに起因すると思われる多数の空隙が認められ、適正に薄板ガラス基板56を貼り合わせられなかった(評価『×』)。
比較例3は、塗布開始位置において、シリコーン樹脂層54と薄板ガラス基板56との間に多くの気泡が認められた。この気泡は、第2フィルタ24による圧力損失に起因して、塗布圧の立ち上がりに鈍くなり、樹脂組成物60の塗布厚が薄い部分および未塗布の部分が生じ、目的とする厚さのシリコーン樹脂層54を形成できなかった部分が生じたためであると思われる。さらに、本例では、塗布終了位置に、圧力損失に起因すると考えられる液垂れが認められた(評価『×』)。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
電子デバイスの製造に好適に利用可能である。
10 塗布装置
12 メインタンク
14 供給ポンプ
16 サブタンク
18 第1フィルタ
20 塗布ポンプ
24 第2フィルタ
26 ダイヘッド
30 定盤
32 塗布ユニット
50 複合体
52 支持基板
54 シリコーン樹脂層
56 薄板ガラス基板
58 ガラス積層体

Claims (5)

  1. 支持基板の上にシリコーン樹脂層を形成してなる複合体を製造する製造方法であって、
    ダイヘッドと前記支持基板とを相対的に移動しつつ、ダイコータによって前記支持基板にシリコーン樹脂層となる樹脂組成物を塗布する塗布工程、および、前記支持基板に塗布した樹脂組成物を硬化する硬化工程を有し、
    かつ、前記ダイコータは、前記樹脂組成物を貯留するタンクと前記ダイヘッドに樹脂組成物を供給するポンプとの間に配置される第1フィルタと、前記ポンプとダイヘッドとの間に配置される第2フィルタとを有し、さらに、前記第2フィルタは、前記第1フィルタよりも濾過精度が大きいことを特徴とする複合体の製造方法。
  2. 前記シリコーン樹脂層として、前記第2フィルタの濾過精度よりも厚い前記シリコーン樹脂層を形成する請求項1に記載の複合体の製造方法。
  3. 前記支持基板がガラス板である請求項1または2に記載の複合体の製造方法。
  4. 前記支持基板を固定して、前記ダイヘッド、ポンプおよび第2フィルタを一体化したユニットを移動することにより、前記ダイヘッドと基板とを相対的に移動する請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  5. 支持基板の表面に、ダイコータによってシリコーン樹脂層となる樹脂組成物を塗布するための塗布装置であって、
    前記樹脂組成物を貯留するタンクと、
    前記タンクに貯留された樹脂組成物を、前記ダイヘッドに供給するポンプと、
    前記ポンプおよびタンクの間に配置される第1フィルタと
    前記ポンプおよびダイヘッドの間に配置される、前記第1フィルタよりも濾過精度が大きい第2フィルタと、
    前記ダイヘッドと支持基板とを相対的に移動させる移動手段とを有することを特徴とする塗布装置。
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