JP2015136234A - 短絡保護回路、電源回路及び電源装置 - Google Patents

短絡保護回路、電源回路及び電源装置 Download PDF

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眞也 岡崎
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Abstract

【課題】負荷側で短絡が発生した場合に、短絡電流による故障の発生を低減することができるができる短絡保護回路、電源回路及び電源装置を提供する。【解決手段】FET30をオンすることにより負荷に駆動電圧を供給する電源回路10の短絡保護回路13は、電源回路10に負荷を接続する電源供給ライン62にダイオード451を直列に接続し、ダイオード451のアノード−カソード間の電位差に基づいてFET30をオフに切り替える。【選択図】図2

Description

本発明は、短絡保護回路、電源回路及び電源装置に関する。
電源から供給される電圧のリップルを除去する大容量の平滑コンデンサーを負荷の前段に設ける場合、電源投入時に平滑コンデンサーに定常時よりも大きな電流値の突入電流が流れることが知られている。この突入電流の流入を防止する回路として、例えば、特許文献1に開示の突入電流防止回路が知られている。特許文献1記載の突入電流防止回路は、電源投入直後にFETのオン抵抗が高い状態となって電流を制限し、平滑コンデンサーの充電が完了するとFETのオン抵抗が低下して、負荷に電流が供給されるようになる。
特開2005−45957号公報
上記従来の突入電流防止回路を介して電力の供給を受ける負荷側で、短絡が発生した場合、通常の電力供給状態では、例えば負荷側のマイコン等の制御により短絡を検出して電源を遮断できる。しかしながら、電源投入直後の突入電流防止回路によりスイッチング素子であるFETのオン抵抗が高い状態で、負荷側の短絡が発生すると、突入電流防止回路に搭載されたスイッチング素子に短絡電流が瞬間的に流れ、スイッチング素子が故障してしまう場合がある。例えば、突入電流防止回路の出力に負荷を接続するためのプラグ受けに、異なる規格の接続プラグ等の導体が挿入され、この状態で電源がオンにされた場合に、電源とグランド間の短絡が発生する。この場合、突入電流防止回路が電流を抑制しているため、負荷側の制御により短絡を検出できなかった。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、負荷側で短絡が発生した場合に、短絡電流による故障の発生を低減することができる短絡保護回路、電源回路及び電源装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、第1スイッチング素子をオンすることにより負荷に駆動電圧を供給する電源回路の短絡保護回路であって、前記電源回路に前記負荷を接続する電源ラインに検出用素子を直列に接続し、前記検出用素子の両端電圧に基づいて前記第1スイッチング素子をオフに切り替えること、を特徴とする。
本発明によれば、検出用素子の両端電圧に基づいて、電源回路から負荷に流れる電流が過大となったことを検出して、負荷への駆動電圧の供給を止めることができる。このため、負荷側の短絡を速やかに検出することができ、短絡電流による故障の発生を低減することができる。
また、本発明は、上記短絡保護回路であって、前記検出用素子として前記電源ラインに順方向に挿入されるダイオードと、前記ダイオードの順方向電圧を検出する短絡検出回路と、を備え、前記短絡検出回路により検出される検出電圧が所定の値以上になった場合に、前記第1スイッチング素子をオフ状態に切り替えること、を特徴とする。
この構成によれば、ダイオードの順方向電圧が所定の値以上となったことを検出することにより、電源回路から負荷に流れる電流が過大となったことを速やかに検出し、負荷への電源電圧の供給を止めることができる。
また、本発明は、上記短絡保護回路であって、前記短絡検出回路は、前記ダイオードのアノード及びカソードに接続される第2スイッチング素子を備え、前記第2スイッチング素子のオン出力により前記第1スイッチング素子をオフ状態に切り替える構成を有し、前記ダイオードの順方向電圧が前記所定の値以上になった場合に、前記第2スイッチング素子がオンとなるよう設定されたこと、を特徴とする。
本発明によれば、ダイオードの順方向電圧が所定の値以上となった場合にオンに切り替わるスイッチング素子を用いて、電源回路から負荷に流れる電流が過大となったことを速やかに検出して出力できる。また、ダイオードの順方向電圧が所定の値以上となった場合にスイッチング素子の閾値電圧以上となるよう設定することで、シンプルな回路構成によって、負荷に流れる電流が過大となったことを速やかに検出できる。
また、本発明は、上記短絡保護回路であって、前記ダイオードのアノード−カソード間に前記第2スイッチング素子と直列に接続される素子を備え、前記素子は、前記第2スイッチング素子の閾値電圧と前記素子の電圧降下との和が前記所定の値となるよう選択されたこと、を特徴とする。
本発明によれば、素子の電圧降下を適切に選択することで、ダイオードの順方向電圧が所定の値以上となった場合にスイッチング素子の閾値電圧以上となる構成を、容易に実現できる。
また、本発明は、上記短絡保護回路であって、前記第2スイッチング素子の出力をラッチするラッチ回路と、前記ラッチ回路のラッチ出力に従って前記第1スイッチング素子のオン、オフを制御する第3スイッチング素子と、を備えること、を特徴とする。
本発明によれば、電源回路から負荷に流れる電流が収束しても、負荷への電源電圧の供給を継続して止めることができる。これにより、短絡が確実に解消されるまで電源電圧の供給を停止し、短絡電流による故障をより確実に防止できる。
また、本発明は、上記短絡保護回路であって、前記所定の値は、前記負荷の動作電流が前記ダイオードに流れる場合の順方向電圧と、前記負荷の短絡により前記ダイオードに短絡電流が流れる場合の前記ダイオードの順方向電圧との間の電圧値に設定されること、を特徴とする。
本発明によれば、負荷が動作中であって短絡が発生していない場合に、安定して負荷に電源電圧を供給できる。
また、上記目的を達成するために、本発明の電源回路は、電源と負荷との間に設けられた平滑コンデンサーへの充電電流を制限する電界効果トランジスターと、コンデンサーと抵抗素子とを有し、当該コンデンサーと当該抵抗素子に基づく時定数により変化するゲート電圧を前記電界効果トランジスターのゲート端子に与える時定数回路と、前記ゲート電圧が前記電界効果トランジスターのゲート閾値電圧を超えた場合に前記時定数回路のコンデンサーに接続され、当該コンデンサーを放電させ、前記ゲート電圧の上昇を抑えるゲート電圧抑制回路と、を備える突入電流抑制回路と、前記突入電流抑制回路に前記負荷を接続する電源ラインに検出用素子を直列に接続し、前記検出用素子の両端電圧に基づいて前記電界効果トランジスターをオフに切り替える短絡保護回路と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、突入電流抑制回路により、ゲート電圧抑制回路がコンデンサーに接続されて当該コンデンサーを放電するので、電源投入時における電界効果トランジスターのゲート電圧を、ゲート閾値電圧程度に維持して、平滑コンデンサーに流れる突入電流のピークを低い値に抑える。そして、負荷側の短絡により、突入電流抑制回路から負荷に過大な電流が流れた場合に、検出用素子の両端電圧に基づいて過大な電流を検出して、負荷への駆動電圧の供給を止めることができる。このため、負荷接続時の突入電流の影響を抑え、かつ、負荷側に短絡が発生した場合に速やかに短絡を検出でき、短絡電流による故障の発生を低減することができる。
また、本発明の電源装置は、電源と、負荷と前記電源との間に設けられる平滑コンデンサーと、上記電源回路と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、突入電流抑制回路によって突入電流を効果的に抑えることが可能で、かつ、負荷側に短絡が発生した場合に短絡電流による故障の発生を低減することが可能な、電源装置を提供できる。
本発明によれば、負荷側で短絡が発生した場合の短絡電流による故障の発生を低減する効果を奏する。
電源装置の構成例を示す図である。 突入電流抑制回路及び短絡保護回路の構成例を示す回路図である。 コンデンサー電源投入直後の各部の電圧変化を示す図である。 突入電流抑制回路のコンデンサー作用を示す説明図である。 ダイオードの順方向電圧降下特性の例を示す図表である。 突入電流抑制回路及び短絡保護回路の別の構成例を示す回路図である。 突入電流抑制回路及び短絡保護回路の別の構成例を示す回路図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1に、電源装置1の構成の一例を示す。電源装置1は、電源7と、スイッチ3と、電源回路10とを備える。電源回路10は、突入電流抑制回路11と、短絡保護回路13とを備える。
本実施形態では、電源装置1がプリンター5に内蔵され、プリンター5が備えるプリンターユニット6の各部に駆動電圧を供給する構成を例に挙げる。プリンターユニット6は、印刷媒体(ロール紙等)に文字や画像を印刷する印刷ヘッド、印刷媒体を搬送する搬送機構、印刷媒体をカットするカッターユニット等の図示しない構成を有する。プリンターユニット6は、各種の電子部品を備え、電源装置1に対する電気的な負荷となる回路である。具体的には、プリンターユニット6が備える印刷ヘッド、搬送機構を構成する搬送モーター、及びカッターユニットのカッター駆動モーター、及び、各種の制御回路が、電源装置1の駆動電圧によって駆動される。
電源装置1とプリンターユニット6は、例えば、プリンター5の筐体内部において別の基板に実装されている。電源装置1とプリンターユニット6とは、プリンター5の内部において電源回路10の出力端子12を介して電気的に接続されている。
また、プリンター5は、外部装置を接続するコネクター14を備えている。コネクター14は、キャッシュドロアー15を接続する端子であり、例えばRJ規格のプラグ受けで構成される。キャッシュドロアー15は、コネクター14に差し込み可能な接続プラグ16を有し、接続プラグ16をコネクター14に差し込むことにより、電源回路10と、キャッシュドロアー15が備えるソレノイドコイル102とが接続される。
電源回路10は、出力端子12に接続されたプリンターユニット6、及び、コネクター14を介して接続されたキャッシュドロアー15に、駆動電圧となる直流の電圧(例えば、24V)を出力する。
突入電流抑制回路11とプリンターユニット6との間には平滑コンデンサー(平滑キャパシター)9が接続される。平滑コンデンサー9は、プリンターユニット6の入力ラインとアースとを接続し、入力コンデンサーとして機能する。すなわち、平滑コンデンサー9は、電源装置1が出力する電力を蓄積し、また電源装置1の電圧からリップルを除去して後段のプリンターユニット6を入力サージ電圧から保護する。平滑コンデンサー9の容量は、入力コンデンサーとして要求される電気的な仕様に応じて決定される。このプリンター5では、電源装置1が出力する電圧が多少降下した場合でも、駆動モーター等の電気部品の動作に要する電力を維持可能にする大きな容量(例えば、数千μF)が平滑コンデンサー9に要求されており、電解コンデンサーが好適に用いられる。
キャッシュドロアー15は、箱形の本体に、硬貨や紙幣等の現金を保管するドロアーを引き出し可能に備えた装置である。キャッシュドロアー15は、ドロアーを本体から突出させるバネ等の付勢部材(図示略)と、ドロアーを本体に係止するロック機構(図示略)とを備える。キャッシュドロアー15のロック機構はソレノイドコイル102を備え、ソレノイドコイル102に通電されると、ロックピン(図示略)が移動し、ロックが解除される構成となっている。上述のように接続プラグ16がコネクター14に接続されると、プリンターユニット6が備えるマイコン等の制御回路により、ソレノイドコイル102への通電オン/オフが切り替えられる。つまり、プリンターユニット6の制御回路の制御によって、電源回路10の駆動電圧をソレノイドコイル102に通電することにより、キャッシュドロアー15が開かれる。
電源7は、例えば、商用電源(図示せず)から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換装置を備え、直流電圧を出力する。スイッチ3は、電源7と出力端子12及び/又はコネクター14との間に介挿された常開接点である。プリンター5を使用するオペレーターの操作によりスイッチ3が閉成(スイッチオン)することで、電源7が電源回路10に電気的に接続され、電源回路10により出力端子12及びコネクター14に電圧が出力される。
突入電流抑制回路11は、スイッチ3が閉成してプリンターユニット6やキャッシュドロアー15に電源が投入されたときに、平滑コンデンサー9に流れる突入電流の電流値を抑える回路である。突入電流抑制回路11は、電源7と平滑コンデンサー9との間に設けられている。
短絡保護回路13は、正規の接続プラグ(例えば、接続プラグ16)以外の導体がコネクター14に挿入され、駆動電圧とグランド間の短絡が発生した場合に、短絡電流による突入電流抑制回路11の故障を防止、或いは故障の低減を図るための回路である。図1に示すように、短絡保護回路13は突入電流抑制回路11を含んで構成され、この突入電流抑制回路11を利用して、短絡発生時に電源供給を停止する。
コネクター14は、上述のように例えば箱形の接続プラグ16を挿入可能なプラグ受けであるため、棒状の物体を差し込み可能である。コネクター14内には、キャッシュドロアー15の回路に電気的に接続される複数の導体片が配置され、各々の導体片は、電源回路10が電圧を出力する接点104(図2)や、接地端子に接続されている。コネクター14に、接続プラグ16とは異なる形状のプラグ(例えば、USB Bコネクター)や金属棒等の異物が差し込まれた場合、これらの異物の表面に導体が存在すると、この導体がコネクター14内の複数の導体片を導通させる。これにより、電源回路10が電圧を出力する接点が短絡により接地され、突入電流抑制回路11に過大な電流が流れる。短絡保護回路13は、コネクター14内の導体片の短絡が発生した場合に、突入電流抑制回路11に流れる電流を速やかに遮断し、突入電流抑制回路11の故障防止または故障低減を図る。
次に、図2を参照しながら突入電流抑制回路11及び短絡保護回路13の詳細について説明する。まず、突入電流抑制回路11について説明する。
突入電流抑制回路11は、電界効果トランジスター(以下、FETという)30(第1スイッチング素子)と、時定数回路17と、ゲート電圧抑制回路18とを備えている。FET30は、P型の電界効果トランジスターであり、MOS(金属酸化膜型)が用いられ、電源回路10の電源供給ライン62に平滑コンデンサー9と直列に接続されている。具体的には、FET30は、ソースを電源7の高電位側に、ドレインを平滑コンデンサー9に接続されている。FET30のドレインに、ゲート・ソース間電圧(以下、ゲート電圧Vgsとする)に応じたドレイン電流Idを操作することにより、平滑コンデンサー9を充電するスイッチング素子である。なお、ここでは、電源7の低電位側は、アースに接続されている。
時定数回路17は、FET30にゲート電圧Vgsを与える回路であり、CR時定数回路20と、抵抗21とを有している。
CR時定数回路20は、コンデンサー(キャパシター)23と、抵抗25とを備え、コンデンサー23がFET30のソース・ゲート間を接続し、抵抗25が、FET30のゲートとアース間を接続している。CR時定数回路20は、電源投入時すなわちスイッチ3の閉成時、コンデンサー23の容量と抵抗25の値とによって決まる時定数でコンデンサー23の充電電圧を漸増させて、充電電圧の急激な上昇を抑え、コンデンサー23の充電電圧がFET30のゲート電圧Vgsとして与えられる。
また、抵抗21は、コンデンサー23に並列に接続されており、抵抗21と抵抗25が、電源7の電圧を分圧する。この抵抗21の両端電圧がコンデンサー23の充電電圧、すなわちFET30のゲート電圧Vgsの電圧の最大値を規定する。
ゲート電圧抑制回路18は、CR時定数回路20によって印加されるゲート電圧Vgsがゲート閾値電圧Vgsthを超えた場合に、CR時定数回路20のコンデンサー23を放電させることで当該コンデンサー23の充電電圧の上昇を抑え、ゲート電圧Vgsをゲート閾値電圧Vgsthの近傍の電圧に維持する回路である。
具体的には、このゲート電圧抑制回路18は、スイッチング素子としてのバイポーラトランジスター33(第3スイッチング素子)と、スイッチ制御回路35とを備えている。
バイポーラトランジスター33は、PNP型のトランジスターであり、そのエミッター33E、及びコレクター33Cをコンデンサー23の高電位側、及び低電位側に接続して設けられている。すなわち、バイポーラトランジスター33がオンすることで、時定数回路17のコンデンサー23の高電位側と低電位側が接続され、これにより当該コンデンサー23が放電される。コンデンサー23の放電が開始されると、電源7の電源電流の流入に伴う充電電圧の上昇が抑制されることから、ゲート電圧Vgsの上昇も抑えられて略一定の電圧値に維持されることとなる。
スイッチ制御回路35は、バイポーラトランジスター33のオン/オフを制御する回路であり、ゲート電圧Vgsがゲート閾値電圧Vgsthを超えてFET30にドレイン電流Idが流れたときにバイポーラトランジスター33をオンする。バイポーラトランジスター33がオンすることで、上述の通り、ゲート電圧Vgsの上昇が抑制され、ゲート電圧Vgsがそのときの電圧、すなわちゲート閾値電圧Vgsthの近傍に維持されることとなる。
スイッチ制御回路35の構成について詳述すると、スイッチ制御回路35は、スイッチング素子としてのバイポーラトランジスター39と、バイアス抵抗49と、抵抗51と、放電作動抵抗回路37とを備えている。
バイポーラトランジスター39は、NPN型のトランジスターである。時定数回路41は、FET30のドレインとアースとの間に接続され、FET30がオンしたときに抵抗49に流れる電流I2によりバイポーラトランジスター39のオン電圧を生成し、当該バイポーラトランジスター39にベース電流が流れる。抵抗51は、入力抵抗である。
この構成により、バイポーラトランジスター39は、FET30にドレイン電流Idが流れている間、バイアス抵抗49のオン電圧が印加されることでオンするスイッチとして機能する。上記バイポーラトランジスター33は、このバイポーラトランジスター39のスイッチに連動してオン/オフし、FET30にドレイン電流Idが流れている間に亘りオンする。
具体的には、PNP型のバイポーラトランジスター33のベース33Bは、電源回路10の入力ライン(コンデンサー23の高電位側)61にバイアス抵抗43を介して接続されている。また、このベース33Bは、上記バイポーラトランジスター39を介してアースに接続されており、このバイポーラトランジスター39がオンすると、ベース33Bに加わる電位が下がってオンする。上述の通り、バイポーラトランジスター39は、FET30にドレイン電流Idが流れている間に亘りオンし、その間、時定数回路17のコンデンサー23が継続して放電されることとなる。
このゲート電圧抑制回路18では、FET30から電解コンデンサー9の充電電流が流れたときにオンとなってコンデンサー23を放電させるスイッチング素子には、上述の通り、バイポーラトランジスター33、39が用いられている。これらバイポーラトランジスター33、39は、一般にFETよりもオン電圧が低いことから、FET30にドレイン電流Idが流れたときに、FETを用いた場合に比べて早いタイミングでオンしてコンデンサー23の放電を開始でき、突入電流抑制の立ち上がりを十分に早くできる。
放電作動抵抗回路37は、バイポーラトランジスター33のバイアス抵抗43とベース電流制限抵抗45とを備える。バイアス抵抗43は、電源回路10の入力ライン(高電位側)61とバイポーラトランジスター33のベース33Bに接続され、ベース電流制限抵抗45はベース33Bとスイッチ制御回路35のバイポーラトランジスター39のコレクター側に接続される。動作中、バイアス抵抗43にはバイポーラトランジスター33のベース・エミッター間電圧(約0.6V)が印加され、ベース電流制限抵抗45には電源電圧からバイポーラトランジスター33のベース・エミッター間電圧(約0.6V)とバイポーラトランジスター39のコレクター・エミッター間飽和電圧を差し引いた電圧が印加される。
コンデンサー19は、ドレイン電流Idによる平滑コンデンサー9の充電完了に伴ってスイッチ制御回路35の動作を停止するための回路であり、FET30のドレインとスイッチ制御回路35のバイアス抵抗49間に接続される。これにより、コンデンサー19とバイアス抵抗49を直列に接続した直列CR回路である時定数回路41が、平滑コンデンサー9と並列に接続される。
電源投入時には、FET30のドレイン電流Idがコンデンサー19と平滑コンデンサー9に分かれて充電電流If、Ieとして流れ込み、コンデンサー19及び平滑コンデンサー9が充電される。この充電中には、コンデンサー19の後段のスイッチ制御回路35に充電電流Ifが流れ、充電電流Ifによりスイッチ制御回路35が作動する。具体的には、充電電流Ifは、スイッチ制御回路35の抵抗51を流れる電流I1とバイアス抵抗49を流れる電流I2に分流され、電流I2がバイアス抵抗49を流れることでバイポーラトランジスター39のオン電圧が発生し、バイポーラトランジスター39がオンする。
平滑コンデンサー9が満充電に達したときには、コンデンサー19の充電電流Ifも停止することから、スイッチ制御回路35への電流が停止する。これにより、スイッチ制御回路35のバイアス抵抗49を流れる電流I2も停止することから、バイポーラトランジスター39がオフし、スイッチ制御回路35の動作が停止する。
スイッチ制御回路35の停止(バイポーラトランジスター39のオフ)に伴い、コンデンサー23を放電させているバイポーラトランジスター33もオフし、当該コンデンサー23の放電が停止する。このコンデンサー23の放電の停止により、コンデンサー23の充電電圧が上昇し、上記抵抗21、25によって電源7の電圧を分圧した値に達し、この充電電圧がゲート電圧VgsとしてFET30に印加される。
また、平滑コンデンサー9に並列に接続された時定数回路41は、平滑コンデンサー9の充電時には、コンデンサー19の容量とバイアス抵抗49の値によって決まる時定数にしたがって平滑コンデンサー9の充電電圧を漸増する。したがって、この時定数回路41の時定数を調整することで、平滑コンデンサー9の満充電に達するまでの時間を調整できるため、電源投入からスイッチ制御回路35の動作が停止するまでの時間、すなわち突入電流を抑制する時間が可変できる。
ここで、時定数回路41を構成するバイアス抵抗49には、抵抗51が接続されており、正確には、この抵抗51の成分も時定数に影響を与える。しかしながら、抵抗51を流れる電流I2は、バイポーラトランジスター39、33がオンしている場合、抵抗51の値にかかわらず、略一定となる。このため、時定数回路41の時定数を可変する抵抗成分はバイアス抵抗49と見なすことができる。
なお、バイポーラトランジスター39、33がオンしている場合、電流I2が抵抗51の値に依存せずに略一定となる理由は次の通りである。
すなわち、バイポーラトランジスター39がオンしている場合、バイアス抵抗49と抵抗51との接続点の電圧は、ベース・エミッター間電圧(約0.6V)に、抵抗51の電圧を足したものであるため、電流I2は、(0.6+抵抗51×電流I1)/バイアス抵抗49として表される。また電流I1は、バイポーラトランジスター39をオンさせるベース電流となる。バイポーラトランジスター33は、バイポーラトランジスター39がオンすることでオンするが、バイポーラトランジスター33のコレクター電流によりコンデンサー23の放電量が変動して、ゲート電圧Vgsがゲート閾値電圧Vgsthに制御される。このため、電流I1は、抵抗51の値に関わらず、ゲート電圧Vgsをゲート閾値電圧Vgsthにするように、バイポーラトランジスター39のコレクター電流を流す大きさである。また、抵抗51が大きくなれば、バイアス抵抗49に印加される電圧が大きくなり、電流I2が増えるが、抵抗51が大きくなったことよる電流I2の増加分は無視できる程度となる。このため、電流I2が抵抗51の値に依存せずに略一定となる。
次に、突入電流抑制回路11の動作について説明する。
図3はゲート電圧Vgs、ドレイン電流Id、及び平滑コンデンサー9の充電電圧Veについて、電源投入直後の変化を示す図である。なお、同図において、スイッチ3をオンして電源7の電圧が突入電流抑制回路11に投入された時点を時間t=0としている。
電源7のスイッチ3が閉じられると(時間t=0)、突入電流抑制回路11に電源7の電圧が与えられ、これに伴い、コンデンサー23が充電される。前述の通り、コンデンサー23の充電電圧は、CR時定数回路20の時定数に応じて漸増し、コンデンサー23の電圧がゲート電圧Vgsとして与えられる。
すなわち、図3に示すように、時間t=0からゲート電圧Vgsが徐々に上昇し、FET30のゲート閾値電圧Vgsthを超えると(時間t=t1)、FET30がオンしてドレイン電流Idが流れ、これがコンデンサー19と平滑コンデンサー9の各々に充電電流If、Ieとして流れる。なお、ゲート閾値電圧Vgsthは、FET30の個体ごとに、固有の値を有するものである。
前述したように、ドレイン電流Idに伴い、コンデンサー19に充電電流Ifが流れ込むと、この充電電流Ifによりスイッチ制御回路35が作動し、バイポーラトランジスター33をオンさせ、コンデンサー23の放電を開始する。
図4は、コンデンサー23の放電による作用説明図である。
コンデンサー23の放電が開始すると、コンデンサー23は電源7による充電に抗して充電電圧の上昇が抑えられる。これにより、ゲート電圧Vgsの上昇が抑制されてゲート閾値電圧Vgsthの近傍の値に維持されることから、FET30のオン抵抗が高い状態に維持される。この高いオン抵抗により、FET30のドレイン電流Idが抑えられるため、平滑コンデンサー9に流れる充電電流Ieの電流値、すなわち電源投入時の突入電流が十分小さな値に抑制される(ステップS11)。
その後、コンデンサー19は、充電電流Ifにより充電され、コンデンサー19の充電量が増大するにつれて、スイッチ制御回路35のバイアス抵抗49の電圧、すなわちオン電圧が下がり、バイポーラトランジスター39のベース電流が減少する。これに伴い、バイポーラトランジスター33のコレクター電流が減少するので、コンデンサー23の放電量が減少し、結果としてFET30のゲート電圧Vgsが微増する。これにより、バイポーラトランジスター33のオン抵抗が低くなり、ドレイン電流Id、及び充電電流Ieが増大する(ステップS12)。
このようにドレイン電流Id、及び充電電流Ieが増大とすると平滑コンデンサー9の充電量も増大し、平滑コンデンサー9の充電電圧Ve、及びコンデンサー19にかかる電圧が増大する。これにより、コンデンサー19を流れる充電電流Ifが増えるため、バイポーラトランジスター39のベース電流が増大し、バイポーラトランジスター33のコレクター電流が増大する。この結果、ステップS12とは反対に、コンデンサー23の放電量が増大し、FET30のゲート電圧Vgsが減少する(ステップS13)。
ステップS11〜S13の作用は、ゲート電圧Vgsをゲート閾値電圧Vgsthに維持するようにドレイン電流Idに負帰還をかける動きとなり、コンデンサー23の放電が継続している間は、図3に示すように、ゲート電圧Vgsがゲート閾値電圧Vgsthに維持される。この結果、FET30が比較的大きなオン抵抗状態で動作することから、ドレイン電流Id、すなわち平滑コンデンサー9に流れる充電電流Ieも十分に小さな値に一定に抑えられることとなる。
図3に示すように、平滑コンデンサー9が充電電流Ieの充電により満充電に達すると(時間t=t2)、コンデンサー19にも充電電流Ifが流れなくなる。即ち、コンデンサー19はスイッチ制御回路35へのドレイン電流の流入を止める。これにより、スイッチ制御回路35に充電電流Ifが流れないことから、バイポーラトランジスター39、バイポーラトランジスター33が共にオフし、このバイポーラトランジスター33によるコンデンサー23の放電が停止する。
これにより、コンデンサー23の充電電圧、すなわちゲート電圧Vgsは、電源7を分圧する抵抗21と抵抗25の電圧のうち、抵抗21にかかる電圧まで上昇し、ゲート電圧Vgsが一定となる定常状態となる。
そして定常状態では、プリンターユニット6が消費する電流が突入電流抑制回路11から適宜出力される。
次に、図2に戻り、プリンターユニット6及びキャッシュドロアー15に駆動電圧を供給する給電ラインについて説明する。
平滑コンデンサー9の出力段に繋がる電源供給ライン62には、ダイオード451(検出用素子)のアノードが接続され、ダイオード451のカソードには電源供給ライン63が接続される。電源供給ライン63のノードVは、図1に示す出力端子12に相当し、ノードVからプリンターユニット6(図1)に電源電圧が供給される。
また、ノードVには、コネクター14(図1)に給電するドロアーキック駆動回路(以下、DK駆動回路という)100が接続される。DK駆動回路100は、電源回路10においてキャッシュドロアー15との接続部として機能し、キャッシュドロアー15に制御信号や、駆動電圧を供給する。
DK駆動回路100は、サーミスター101と、サーミスター101の出力端に接続されるFET103とを備える。DK駆動回路100は、コネクター14を介してソレノイドコイル102に接続される接点104,105を有する。接点104、105は、それぞれ、上述したようにコネクター14内の導体片に接続されている。コネクター14内には、キャッシュドロアー15との接続の際に、電源供給ライン63に接続する端子や、接地線に接続した端子が形成されている。キャッシュドロアー15が備える接続プラグ16(図1)がコネクター14に接続されると、ソレノイドコイル102は接点104、105を介して、サーミスター101及びFET103と直列に接続される。
サーミスター101は、電源回路10の電源供給ライン62と、ソレノイドコイル102の一端に接続される接点104(第2接点)とに接続されている。サーミスター101は、温度の上昇とともに電気抵抗が増大する正特性サーミスターである。すなわち、サーミスター101に電流が流れるとサーミスター101の抵抗により温度が上昇し、この温度上昇に伴ってサーミスター101の抵抗値が増大し、サーミスター101に流れる電流を抑制する。
ソレノイドコイル102の他端に接続される接点105は、FET103のドレインに接続されている。このソレノイドコイル102に電流が流れると、上述のようにキャッシュドロアー15のドロアーが外部に引き出し可能となる。
FET103は、Nチャネル型のFETであり、ドレインがソレノイドコイル102に接続され、ソースは接地され、ゲートが、上位装置であるプリンターユニット6の制御回路から供給される制御信号の入力端子に接続されている。プリンターユニット6の制御回路がFET103のゲートに制御信号を出力すると、FET103がオンになってDK駆動回路100に電流が流れ、ソレノイドコイル102に駆動電流が供給されて、ドロアーが開く構成となっている。
ところで、電源供給ライン62、63の間には、バイポーラトランジスター452(第2スイッチング素子)、抵抗453及びダイオード454が接続され、これらとダイオード451により短絡検出回路450を構成する。
短絡保護回路13は、この短絡検出回路450と、後述する保持回路500とによって構成される。
バイポーラトランジスター452は、エミッターが電源供給ライン62に接続されている。バイポーラトランジスター452のベースには抵抗453及びダイオード454が直列接続され、ダイオード454のカソードは電源供給ライン63に接続される。また、バイポーラトランジスター452のコレクターは、抵抗460を介して後述するラッチ回路510に接続される。
短絡検出回路450は、ダイオード451に流れる電流が、予め設定された所定の電流以上になった場合に、検出信号を出力する回路である。バイポーラトランジスター452のコレクターは短絡検出回路450の出力端子として機能し、ダイオード451の順電流が所定の電流以上になった場合にラッチ回路510に電圧を出力する。バイポーラトランジスター452のコレクターから出力される電圧を、シャットダウン信号と呼ぶ。
図5は、ダイオード451の順方向電流と順方向電圧降下との相関の一例を示す図表である。
一般に、ダイオードは順方向の電圧降下特性を有することが知られている。順方向降下電圧すなわちアノード−カソード間の電位差は、図5に示すように、ダイオードに流れる順方向電流の増加に伴い、非線形で増大する。特に、順方向電流が大きい領域(例えば、1A以上100A以下)では、順方向降下電圧の値は順方向電流の値にほぼ線形の相関を示す。従って、ダイオード451のアノード−カソード間の電位差に基づき、順方向電流の大きさを検出できる。
図2に示すように、電源回路10から負荷に流れる電流はダイオード451の順方向電流である。従って、ダイオード451の順方向電流が過大になったことを検出すれば、負荷側で短絡が発生した場合など、電源回路10から負荷に流れる電流の異常を検出できる。短絡検出回路450は、この検出を行う検出回路として機能し、電源回路10から負荷に流れる電流が過大となった場合にシャットダウン信号を出力する。
ここで、短絡検出回路450のバイポーラトランジスター452のベース−エミッター電圧(VBE)と、抵抗453の両端電圧と、ダイオード454のアノード−カソード間電圧との和をVrefとし、ダイオード451のアノード−カソード間の電位差をVTGとする。
ref<VTGの場合、バイポーラトランジスター452のベース−エミッター間の電位差はVBEを超えないので、バイポーラトランジスター452はオフ状態となる。この場合、短絡検出回路450は出力を行わない。
一方、Vref≧VTGの場合、バイポーラトランジスター452のベース−エミッター間の電位差がVBEに達するので、バイポーラトランジスター452はオン状態となり、シャットダウン信号が出力される。
従って、Vrefの値を、ダイオード451の順方向電流が上限に達したときのVTG(順方向降下電圧)の値に対応して設定することにより、ダイオード451の順方向電流が過大であることを検出できる。
また、Vrefの値を、ダイオード451の順方向電圧降下特性に基づいて決定することで、短絡を検出する基準となる電流を選択できる。例えば、ダイオード451が、順方向降下電圧が大きい素子である場合は、短絡保護回路13がシャットダウン信号を出力する電流の閾値が小さい。一方、ダイオード451が、順方向降下電圧が小さい素子である場合には、短絡保護回路13がシャットダウン信号を出力する電流の閾値が大きい。さらに、ダイオード454が、順方向降下電圧が小さい素子である場合は、短絡保護回路13がシャットダウン信号を出力する電流の閾値が大きく、順方向降下電圧が大きい素子である場合は電流の閾値が小さい。このように、ダイオード451、454の順方向電圧降下特性に基づき、ダイオード451に流れる電流値の閾値を高い自由度で選択し、突入電流抑制回路11を保護できる。
refの値は、本発明の所定の値に対応し、抵抗453及びダイオード454を選択することにより、容易に、任意の値にすることができる。
refの値は、負荷であるプリンターユニット6及びキャッシュドロアー15の通常動作時に、出力端子12及びコネクター14から負荷に流れる電流に対応するVTGの値に基づき、設定するとよい。この場合、プリンターユニット6及びキャッシュドロアー15が通常の動作を行っている間に、バイポーラトランジスター452がオンになることがなく、電源回路10から負荷に対して安定して電源電圧を供給できる。負荷の通常動作とは、プリンターユニット6の動作がソフトウェア的に正常に動作する場合やキャッシュドロアー15が正常に機能する場合等に限定されず、電気的な異常が発生していない状態を指す。電気的な異常とは、例えば、後述するDK駆動回路100の短絡が発生した場合、プリンターユニット6の電源回路やキャッシュドロアー15を駆動する電気回路において、異物、水ぬれ、回路の破損等により短絡が発生した場合等である。従って、プリンターユニット6及び/又はキャッシュドロアー15が機能的に正常動作していなくても、電源回路10から電源供給を受ける回路において電気的な異常が発生していなければ、上記した負荷の通常動作に含まれる。
また、Vrefの値を、出力端子12またはコネクター14に負荷が接続された場合に流れる突入電流に対応するVTGの値以上に設定してもよい。この場合、プリンターユニット6及び/又はキャッシュドロアー15が接続された場合に、突入電流が流れても、バイポーラトランジスター452がオンにならず、電源回路10から電源電圧が供給される。電源回路10の電源投入時に流れる突入電流は上述したように突入電流抑制回路11により抑制できる。また、負荷であるプリンターユニット6及びキャッシュドロアー15に流れる突入電流については、負荷側の電源回路により対策することが十分に可能である。従って、短絡検出回路450は、負荷側の短絡により電源供給ライン63から過大な電流が出力される場合に、この過大な電流を検出できればよい。
負荷側で発生する短絡の典型的な例として、コネクター14の異物挿入による短絡について説明する。
コネクター14はキャッシュドロアー15の接続プラグを挿入可能な凹部を有するので、誤って他の機器のプラグ等の細長い異物が、コネクター14に挿入される可能性がある。コネクター14に挿入された異物の表面に、例えば金属が露出している場合には、コネクター14内部で短絡が発生する。具体的には、コネクター14の複数の導体片が異物に接触して導通し、接点104が接地端子に導通して、接点104の電圧がグランドに低下する。この場合、電源供給ライン63の電圧がグランドに低下するので、短絡検出回路450には大きな短絡電流が流れる。
ダイオード451に短絡電流が流れ、VTGがVref以上になると、上述のようにバイポーラトランジスター452がオンに切り替わって、シャットダウン信号が出力される。このシャットダウン信号によって、FET30がオフに切り替えられ、電源供給ライン62からの電流が遮断されるため、短絡電流による電源回路10の故障を防止できる。
また、抵抗453は、電流制限用の抵抗として機能するベース抵抗である。バイポーラトランジスター452がオンになる場合には、ダイオード451に流れる電流が大きくアノード−カソード間の電位差が大きく、抵抗453により電流を制限することで、バイポーラトランジスター452及び各部の破損を防ぐ。抵抗460も同様に電流制限用の抵抗として機能するベース抵抗である。バイポーラトランジスター452がオンになる場合に、ラッチ回路510に流れる電流を制限することで、バイポーラトランジスター452及びラッチ回路510を含む各部の破損を防ぐことができる。
続いて、短絡検出回路450の出力によりFET30をオフに切り替える構成について説明する。
保持回路500は、ラッチ回路510、及び、バイポーラトランジスター33を備える。バイポーラトランジスター33は、突入電流抑制回路11を構成する回路素子であるが、短絡保護回路13の一部(保持回路500)としても機能する。つまり、短絡保護回路13は、突入電流抑制回路11の構成を利用して短絡電流を遮断する。保持回路500は、バイポーラトランジスター452が出力するシャットダウン信号の電圧が、所定電圧以上になった場合に、バイポーラトランジスター33によってFET30をオフし、FET30に過電流が流れるのを防止する回路である。ここで、FET30を、保持回路500の構成に含めてもよい。すなわち、短絡保護回路13は、突入電流抑制回路11のFET30及びバイポーラトランジスター33を含んでもよい。
ラッチ回路510は、バイポーラトランジスター511と、第3分圧回路512と、バイポーラトランジスター521と、第4分圧回路522とを備える。
ラッチ回路510は、直列に接続されたバイポーラトランジスター511及び第3分圧回路512と、直列に接続されたバイポーラトランジスター521及び第4分圧回路522とを、バイポーラトランジスター33のベースと、グランドとの間に並列に接続した構成を備える。
バイポーラトランジスター511は、NPN型のトランジスターである。バイポーラトランジスター511のコレクターは、第3分圧回路512の抵抗514に接続し、ベースは、第4分圧回路522の出力端子525に接続し、エミッターは接地している。
第3分圧回路512は、直列に接続した抵抗513及び514を備える。抵抗513の一方の端部は、バイポーラトランジスター33のベースに接続し、他方の端部は、抵抗514に接続している。抵抗514の一方の端部は、抵抗513に接続し、他方の端部はバイポーラトランジスター511のコレクターに接続している。第3分圧回路512の出力端子515は、バイポーラトランジスター521のベースに接続している。
バイポーラトランジスター521は、PNP型のトランジスターである。バイポーラトランジスター521のエミッターは、第3分圧回路512の抵抗513とバイポーラトランジスター33のベースとを接続する配線に接続し、ベースは、第3分圧回路512の出力端子515に接続し、コレクターは、第4分圧回路522の抵抗523に接続している。
第4分圧回路522は、直列に接続した抵抗523及び524を備える。抵抗523の一方の端部は、バイポーラトランジスター521のコレクターに接続し、他方の端部は、抵抗524に接続している。抵抗524は、抵抗523に接続すると共に、バイポーラトランジスター511のベース・エミッター間に接続されている。第4分圧回路522の出力端子525は、バイポーラトランジスター511のベースに接続している。また、第4分圧回路522の出力端子525は、ダイオード401を介して接点400に接続している。
保持回路500は、バイポーラトランジスター511のベースに電圧レベルがハイのシャットダウン信号が印加されると、バイポーラトランジスター511がオンしてバイポーラトランジスター33をオンさせる。すなわち、バイポーラトランジスター511がオンすると、バイポーラトランジスター33に、電源7から供給されるベース電流が流れ、バイポーラトランジスター33がオンする。バイポーラトランジスター33がオンすると、FET30のゲート電圧が0Vになるため、FET30がオフ状態に固定される。
また、バイポーラトランジスター511がオンすることで、バイポーラトランジスター521にもベース電流が流れてバイポーラトランジスター521がオンするため、バイポーラトランジスター511は、オン状態に固定される。すなわち、接点400の電圧が0Vに低下したとしても、バイポーラトランジスター511のベースには、バイポーラトランジスター521のコレクター電流が流れるため、バイポーラトランジスター511は、オン状態に固定される。
従って、短絡検出回路450が、電圧レベルがハイのシャットダウン信号を出力すると、保持回路500のバイポーラトランジスター511がオンになり、バイポーラトランジスター33がオンになる。これにより、FET30のゲート電圧が0Vになって、FET30がオフ状態に固定され、突入電流抑制回路11から電源供給ライン62への電流の出力が停止される。
その後、短絡検出回路450ではダイオード451に流れる電流が遮断されることで、バイポーラトランジスター452のベース−エミッター間の電位差が閾値電圧VBEより小さくなり、バイポーラトランジスター452がオフに切り替わる。このため、バイポーラトランジスター452が出力するシャットダウン信号の電圧レベルはローに切り替わる。
しかしながら、ラッチ回路510はバイポーラトランジスター511のオン状態を保持するので、シャットダウン信号の電圧レベルがローに切り替わっても、FET30はオフ状態を保持する。このため、電源供給ライン62への電流の出力が停止された状態が保持される。
コネクター14の異物の挿入等が要因となって短絡が発生し、電源供給ライン62への電流が遮断された場合、短絡の要因が除去されないうちに電流の出力が再開されると、再び短絡が発生する。電源回路10では、短絡検出回路450がシャットダウン信号の電圧レベルをハイに切り替えると、その後はラッチ回路510の機能により、電流が遮断された状態が継続する。これにより、短絡の要因が除去されるまで、電流を遮断することができる。
また、短絡が発生した場合には、オペレーターによりスイッチ3がオフにされ、短絡の要因が除去される。さらに、例えば、電源回路10外部のマイコン(図示略)の制御や手動のスイッチ(図示略)の操作により、バイポーラトランジスター511のベースがグランドに接続され、電位が低下する。これにより、FET30をオン状態に切り換え可能となる。その後、スイッチ3がオンに切り替えられると、上述したように突入電流抑制回路11によって平滑コンデンサー9が充電されるまで突入電流が抑制され、負荷への電源供給が開始される。
以上説明したように、本発明を適用した実施形態に係る電源装置1は、FET30をオンすることにより負荷に駆動電圧を供給する電源回路10を備え、電源回路10は、突入電流抑制回路11及び短絡保護回路13を備える。短絡保護回路13は、電源回路10に負荷を接続する電源ラインに検出用素子を直列に接続した構成を有し、検出用素子の両端電圧に基づいてFET30をオフに切り替える。これにより、電源回路10から負荷に流れる電流が過大となったことを検出して、負荷への駆動電圧の供給を止めることができる。このため、負荷側の短絡を速やかに検出することができ、短絡電流による故障の発生を低減することができる。
また、短絡保護回路13は、検出用素子として電源ラインに順方向に挿入されるダイオード451と、ダイオード451の順方向電圧を検出する短絡検出回路450と、を備える。短絡保護回路13は、短絡検出回路450により検出される検出電圧が所定の値以上になった場合に、FET30をオフ状態に切り替える。このため、ダイオード451の順方向電圧が所定の値以上となったことを検出することにより、電源回路10から負荷に流れる電流が過大となったことを速やかに検出し、負荷への電源電圧の供給を止めることができる。
また、短絡保護回路13は、ダイオード451のアノード及びカソードに接続されるバイポーラトランジスター452を備える。短絡保護回路13は、バイポーラトランジスター452のオン出力によりFET30をオフ状態に切り替える構成を有し、ダイオード451の順方向電圧が所定の値以上になった場合に、バイポーラトランジスター452の閾値電圧以上となるよう設定される。このため、ダイオード451の順方向電圧が所定の値以上となった場合にオンに切り替わるバイポーラトランジスター452を用いて、電源回路10から負荷に流れる電流が過大となったことを速やかに検出して出力できる。また、ダイオード451の順方向電圧が所定の値以上となった場合にバイポーラトランジスター452のVBEの閾値電圧以上となるよう設定することで、シンプルな回路構成によって、負荷に流れる電流が過大となったことを速やかに検出できる。
また、短絡保護回路13は、ダイオード451のアノード−カソード間にバイポーラトランジスター33と直列に接続される素子として、抵抗453及びダイオード454を備える。抵抗453及びダイオード454は、バイポーラトランジスター452のVBEの閾値電圧と素子の電圧降下との和が所定の値となるよう選択される。このため、素子の電圧降下を適切に選択することで、ダイオード451の順方向電圧が所定の値以上となった場合にバイポーラトランジスター452のVBEの閾値電圧以上となる構成を、容易に実現できる。
また、短絡保護回路13は、バイポーラトランジスター452の出力をラッチするラッチ回路510と、ラッチ回路510のラッチ出力に従ってFET30のオン、オフを制御するバイポーラトランジスター33と、を備える。このため、電源回路10から負荷に流れる電流が収束しても、負荷への電源電圧の供給を継続して止めることができる。これにより、短絡が確実に解消されるまで電源電圧の供給を停止し、短絡電流による故障をより確実に防止できる。
また、短絡保護回路13の所定の値は、負荷の動作電流がダイオード451に流れる場合の順方向電圧と、負荷の短絡によりダイオード451に短絡電流が流れる場合のダイオード451の順方向電圧との間の電圧値に設定される。このため、負荷に短絡が発生していない場合に、安定して負荷に電源電圧を供給できる。
また、負荷の動作電流がダイオード451に流れる場合の順方向電圧は、負荷接続時の突入電流に対応するダイオード451の順方向電圧以上であってもよい。言い換えれば、電源回路10に負荷を接続したことにより、電源回路10から負荷に突入電流が流れた場合に、この突入電流がダイオード451に流れても、短絡保護回路13はFET30をオフにしない。つまり、短絡保護回路13は負荷が接続されたときに流れる突入電流を含む電流値の範囲を、通常動作時に流れる電流とする。この場合、負荷接続時に突入電流が流れても電源電圧の供給が停止されず、突入電流を超える過大な電流が電源回路10から負荷に流れた場合に電源電圧が停止される。このため、短絡が発生していない場合には安定して負荷に電源電圧を供給できる。
また、上記実施形態の短絡保護回路13によれば、Vrefの値を、ダイオード451の順方向電圧降下特性に基づいて決定することで、短絡を検出する基準となる電流を選択できる。
また、短絡検出回路450の構成は、短絡が発生していない状態における漏れ電流が非常に小さいという利点がある。さらに、ヒューズ等を用いて不可逆的に短絡を検出して電流を遮断する回路構成と比較して、スイッチ3の操作によって容易に、かつ安全に復帰可能であるという利点がある。
また、電源回路10は、平滑コンデンサー9への充電電流を制限するFET30と、時定数回路41と、ゲート電圧抑制回路18と、を備える突入電流抑制回路11と、短絡保護回路13とを備える。時定数回路41は、コンデンサー19と抵抗49とを有し、コンデンサー19と抵抗49に基づく時定数により変化するゲート電圧をFET30のゲート端子に与える。ゲート電圧抑制回路18は、ゲート電圧がFET30のゲート閾値電圧を超えた場合に時定数回路41のコンデンサー19に接続され、コンデンサー19を放電させ、ゲート電圧の上昇を抑える。短絡保護回路13は、突入電流抑制回路11に負荷を接続する電源供給ライン62にダイオード451を接続し、ダイオード451の両端電圧に基づいてFET30をオフに切り替える。この構成によれば、突入電流抑制回路11により、ゲート電圧抑制回路18がコンデンサー19を放電するので、電源投入時におけるFET30のゲート電圧を、ゲート閾値電圧程度に維持して、平滑コンデンサー9に流れる突入電流のピークを低い値に抑える。そして、負荷側の短絡により、突入電流抑制回路11から負荷に過大な電流が流れた場合に、ダイオード451の両端電圧に基づいて過大な電流を検出して、負荷への駆動電圧の供給を止めることができる。このため、負荷接続時の突入電流の影響を抑え、かつ、負荷側に短絡が発生した場合に速やかに短絡を検出でき、短絡電流による故障の発生を低減することができる。
なお、上記実施形態は本発明を適用した好ましい一態様を例示したものであり、本発明はこれに限定されない。例えば、電源装置1では、平滑コンデンサー9は、電解コンデンサーであるものとして説明したが、他の種類のコンデンサーであってもよい。また、平滑コンデンサー9は、電源回路10が備えるものとして説明したが、電源回路10の外部に設けられるものであってもよい。
また、例えば上述した実施形態において、バイポーラトランジスター33、39を、電界効果トランジスターに置き換えても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、バイポーラトランジスター511、521を、電界効果トランジスターに置き換えても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、上記実施形態において、短絡検出回路450が備えるダイオード451、454に、直列に他のダイオードを接続してもよい。
例えば、図6に変形例として示す回路図では、短絡検出回路450(図2)のダイオード451に、ダイオード471を直列に接続した短絡検出回路470を設けている。ダイオード471以外の構成は、図2の回路図と同様である。図6の構成では、ダイオード451のアノードとダイオード471のカソードとの間の電位差が、上述したVref以上となった場合に、バイポーラトランジスター452がオンに切り替わってシャットダウン信号が出力される。この構成では、ダイオード451の順方向降下電圧が大きい場合と同様の動作が実現できる。従って、負荷側で短絡が発生した場合のダイオード451の順方向電圧降下特性から得られるダイオード451のアノード−カソード間の電位差、及び、ダイオード471のアノード−カソード間の電位差との和から、Vrefを設定すればよい。
また、例えば、図7に変形例として示す回路図では、短絡検出回路450(図2)のダイオード454に、ダイオード476を直列に接続した短絡検出回路475を設けている。ダイオード476以外の構成は、図2の回路図と同様である。
図7の構成では、ダイオード451の順方向電圧降下特性に基づいてVrefが設定される。このVrefを実現するために、バイポーラトランジスター452のVBEの閾値電圧と抵抗453の電圧降下、及び、ダイオード454、476の順方向電圧降下特性を考慮して、各素子を選択すればよい。この構成では、ダイオード454の順方向降下電圧が大きい場合と同様の作用が実現できる。
また、例えば、上述した実施形態では、保持回路500を設けて、保持回路500の出力によりFET30をオフする構成を示した。本発明はこれに限定されず、例えば、電源回路10に電源7をシャットダウンするシャットダウン機能が備えられている場合には、短絡検出回路450の出力するシャットダウン信号を、シャットダウン機能を動作させる端子に入力させて、電源回路10をシャットダウンする構成を採用することもできる。また、電源回路10の負荷として、プリンター5及びキャッシュドロアー15を例示したが、これに限らずに、任意の電気機器が負荷になり得る。
1…電源装置、5…プリンター、6…プリンターユニット(負荷)7…電源、9…電解コンデンサー(平滑コンデンサー)、10…電源回路、11…突入電流抑制回路、12…出力端子、13…短絡保護回路、14…コネクター、15…キャッシュドロアー(負荷)、17…時定数回路、18…ゲート電圧抑制回路、19…コンデンサー、23…コンデンサー、25…抵抗、30…FET(第1スイッチング素子)、33…バイポーラトランジスター(第3スイッチング素子)、35…スイッチ制御回路、39…バイポーラトランジスター、41…時定数回路、100…DK駆動回路、101…サーミスター、102…ソレノイドコイル、104…接点、450、470、475…短絡検出回路、451…ダイオード(検出用素子)、452…バイポーラトランジスター(第2スイッチング素子)、453…抵抗、454…ダイオード、471、476…ダイオード、500…保持回路、510…ラッチ回路、512…第3分圧回路、522…第4分圧回路。

Claims (8)

  1. 第1スイッチング素子をオンすることにより負荷に駆動電圧を供給する電源回路の短絡保護回路であって、
    前記電源回路に前記負荷を接続する電源ラインに検出用素子を直列に接続し、前記検出用素子の両端電圧に基づいて前記第1スイッチング素子をオフに切り替えること、
    を特徴とする短絡保護回路。
  2. 前記検出用素子として前記電源ラインに順方向に挿入されるダイオードと、
    前記ダイオードの順方向電圧を検出する短絡検出回路と、を備え、
    前記短絡検出回路により検出される検出電圧が所定の値以上になった場合に、前記第1スイッチング素子をオフ状態に切り替えること、
    を特徴とする請求項1記載の短絡保護回路。
  3. 前記短絡検出回路は、前記ダイオードのアノード及びカソードに接続される第2スイッチング素子を備え、前記第2スイッチング素子のオン出力により前記第1スイッチング素子をオフ状態に切り替える構成を有し、
    前記ダイオードの順方向電圧が前記所定の値以上になった場合に、前記第2スイッチング素子がオンとなるよう設定されたこと、
    を特徴とする請求項2記載の短絡保護回路。
  4. 前記ダイオードのアノード−カソード間に前記第2スイッチング素子と直列に接続される素子を備え、
    前記素子は、前記第2スイッチング素子の閾値電圧と前記素子の電圧降下との和が前記所定の値となるよう選択されたこと、を特徴とする請求項3記載の短絡保護回路。
  5. 前記第2スイッチング素子の出力をラッチするラッチ回路と、
    前記ラッチ回路のラッチ出力に従って前記第1スイッチング素子のオン、オフを制御する第3スイッチング素子と、を備えること、
    を特徴とする請求項4記載の短絡保護回路。
  6. 前記所定の値は、前記負荷の動作電流が前記ダイオードに流れる場合の順方向電圧と、前記負荷の短絡により前記ダイオードに短絡電流が流れる場合の前記ダイオードの順方向電圧との間の電圧値に設定されること、を特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の短絡保護回路。
  7. 電源と負荷との間に設けられた平滑コンデンサーへの充電電流を制限する電界効果トランジスターと、コンデンサーと抵抗素子とを有し、当該コンデンサーと当該抵抗素子に基づく時定数により変化するゲート電圧を前記電界効果トランジスターのゲート端子に与える時定数回路と、前記ゲート電圧が前記電界効果トランジスターのゲート閾値電圧を超えた場合に前記時定数回路のコンデンサーに接続され、当該コンデンサーを放電させ、前記ゲート電圧の上昇を抑えるゲート電圧抑制回路と、を備える突入電流抑制回路と、
    前記突入電流抑制回路に前記負荷を接続する電源ラインに検出用素子を直列に接続し、前記検出用素子の両端電圧に基づいて前記電界効果トランジスターをオフに切り替える短絡保護回路と、
    を備えることを特徴とする電源回路。
  8. 電源と、
    負荷と前記電源との間に設けられる平滑コンデンサーと、
    請求項7に記載の電源回路と、
    を備えることを特徴とする電源装置。
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