以下、本発明のアンテナ装置を適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1のアンテナ装置100を示す斜視図である。図2は、実施の形態1のアンテナ装置100を示す平面図である。図3及び図4は、実施の形態1のアンテナ装置100の一部を拡大して示す図である。図5は、実施の形態1のアンテナ装置100を示す斜視分解図である。図6は、図1に示す実施の形態1のアンテナ装置100のA−A矢視断面を示す図である。
以下では、直交座標系であるXYZ座標系を定義してアンテナ装置100について説明する。また、以下では、説明の便宜上、Z軸負方向側に位置する面を底面と称し、Z軸正方向側に位置する面を上面と称するが、底面と上面は便宜的な名称であり、普遍的な上下関係を示すものではない。
アンテナ装置100は、誘電体層110、120、グランドプレーン130、ミアンダ導電線140、導電ストリップ150、及び導電ストリップ160を含む。なお、導電ストリップ150は11個あり、各々を区別する場合には、導電ストリップ150A1、150A2、150B1、150B2、150C1、150C2、150D1、150D2、150E1、150E2、150E3と称す。区別しない場合には、導電ストリップ150と称す。
ここで、実施の形態1のアンテナ装置100は、UHF帯の電磁波を通信に用いるものであり、一例として、共振周波数(中心周波数)は860MHzから960MHz程度である。ここでは特に、共振周波数(中心周波数)を919MHzに設定したアンテナ装置100について説明する。
また、アンテナ装置100は、共振周波数(中心周波数)で通信を行うため、アンテナ装置100に含まれる構成要素のうち、ミアンダ導電線140と導電ストリップ150の長さは、共振周波数における波長の長さに対応した長さに設定される。
共振周波数における波長の長さは、誘電体の内部では短縮効果によって短くなるため、ミアンダ導電線140と導電ストリップ150の長さは、誘電体層110及び120の比誘電率を考慮して設定される。
例えば、919MHzにおける実際の波長が約326mmであるのに対して、誘電体層110及び120の比誘電率を考慮した波長λ(設計に用いる波長)は約180mmとなる。
以下では、誘電体層110及び120等の誘電体の比誘電率を考慮した波長に基づいて、ミアンダ導電線140及び導電ストリップ150等の構成要素の寸法を設定することを、共振周波数における波長に対応した長さに設定すると称す。また、誘電体の内部における波長の長さを共振周波数における波長に対応する長さと称す。
誘電体層110、120は、平面視で矩形状の薄板状の基板材料である。誘電体層110、120は、互いの間にミアンダ導電線140を挟んだ状態で、互いに貼り合わされることにより、アンテナ装置100の基板を構築する。誘電体層110は第1誘電体層の一例であり、誘電体層120は第2誘電体層の一例である。
誘電体層110、120のX軸方向の長さは、ともに730mmであり、Y軸方向の長さ(幅)は、ともに200mmである。また、誘電体層110の厚さは1.6mmであり、誘電体層120の厚さは1.0mmである。なお、説明の便宜上、図1及び図5では、誘電体層110と誘電体層120の厚さを実際よりも厚く示している。
実施の形態1では、誘電体層110、120は、一例として、FR4(Flame Retardant type 4)規格の基板材料であり、例えば、ガラス布基材をエポキシ樹脂に含浸させた基板材料を用いることができる。一例として、誘電体層110、120の比誘電率εrは4.4、誘電正接tanδは0.02である。
誘電体層110の底面にはグランドプレーン130が配設され、上面にはミアンダ導電線140が配設される。また、誘電体層120の上面には導電ストリップ150が配設される。
グランドプレーン130は、誘電体層110の底面に配設される。グランドプレーン130は、例えば、銅箔で形成されており、ミアンダ導電線140とマイクロストリップラインを構築する。
ミアンダ導電線140は、誘電体層110の上面に配設される。ミアンダ導電線140は、導電線の一例である。ミアンダ導電線140は、グランドプレーン130とマイクロストリップラインを構築し、マイクロストリップアンテナとして機能する。このようなマイクロストリップアンテナの特性インピーダンスは、例えば、50Ω又は75Ωであればよい。
また、ミアンダ導電線140は、誘電体層110の上面に配設され、誘電体層120の下面に位置するため、誘電体層120の上面に配設される導電ストリップ150とは絶縁されている。
ミアンダ導電線140は、例えば、銅箔をパターニングすることによって形成される。ミアンダ導電線140は、X軸に沿ってミアンダ状に折れ曲がりながら伸延する導電パターンである。ミアンダ導電線140の線幅は、例えば、3mmである。
ミアンダ導電線140は、直線部141、ミアンダ部142、及び直線部143を有する。直線部141は、X軸方向に伸延しており、直線部141のX軸負方向側の端部は、ミアンダ導電線140の一端であり、給電点141Aになっている。
直線部141は、誘電体層110及び120のX軸に平行な中心軸上に位置する。給電点141Aには、例えば、リーダライタに接続される同軸ケーブルの芯線が接続される。
また、直線部141のX軸正方向側には、10個のミアンダ部142が直列に接続されている。図3に示すように、10個のミアンダ部142は同一のパターンを有する。ミアンダ部142は、図3に示す構造を1単位としており、直線部142A、142B、142C、142D、142E、142F、142Gを有する。なお、図3では、ミアンダ部142と導電ストリップ150の位置関係を分かり易くするために、ミアンダ部142と導電ストリップ150を透過的に示す。
図3に示すように、各ミアンダ部142は、一対の導電ストリップ150の間に位置する。各ミアンダ部142の線路長は、共振周波数における波長の1波長の長さ(λ)に対応する長さに設定される。ミアンダ部142の線路長は、直線部142Aと導電ストリップ150とが交差する点と、直線部142Gと導電ストリップ150とが交差する点との間のミアンダ部142の線路長である。
また、図3においてX軸方向に伸延する破線は、誘電体層110及び120のX軸に平行な中心線である。直線部142Aと142Gは、中心線上に位置する。また、ミアンダ部142は、直線部142Dと中心線とが交差する点に対して、点対称な形状を有する。
直線部142Aは、中心線上をX軸負方向側からX軸正方向側に伸延している。直線部142AのX軸正方向側の端部には、Y軸正方向側に伸延する直線部142Bが接続されている。
また、直線部142BのY軸正方向側の端部には、X軸正方向側に伸延する直線部142Cが接続されている。直線部142CのX軸正方向側の端部には、Y軸負方向側に伸延する直線部142Dが接続されている。直線部142DのY軸負方向側の端部には、X軸正方向側に伸延する直線部142Eが接続されている。
また、直線部142EのX軸正方向側の端部には、Y軸正方向側に伸延する直線部142Fが接続されている。直線部142FのY軸正方向側の端部には、中心線上をX軸正方向側に伸延する直線部142Gが接続されている。
このような構成の直線部142A、142B、142C、142D、142E、142F、142Gにより、ミアンダ部142は、X軸に沿ってミアンダ状に伸延している。また、ミアンダ導電線140の直線部141と直線部143との間に、10個のミアンダ部142がX軸負方向側からX軸正方向側にかけて直列に接続されている。
また、10個のミアンダ部142のX軸正方向側には、直線部143(図2参照)が接続されている。直線部143は、ミアンダ部142の端部から誘電体層110のX軸正方向側の端部までX軸正方向側に伸延している。直線部143の端部は、ミアンダ導電線140のX軸正方向側に位置する他端であり、接地点(接地端)143Aになっている。
接地点143Aは、図5に示すように、誘電体層110を厚さ方向(Z軸方向)に貫通するスルーホール170によってグランドプレーン130に接続されている。スルーホール170は、接地点143Aとグランドプレーン130を電気的に接続する導電壁を含む。これにより、ミアンダ導電線140の他端は接地され、接地点143Aになっている。
直線部143の長さは、共振周波数における波長の1/4波長の長さ(λ/4)に対応する長さである。なお、直線部143が開放端である場合には、直線部143の長さは共振周波数における波長の1/2の波長の長さ(λ/2)に対応する長さに設定すればよい。
このようなミアンダ導電線140に給電点141Aから給電を行うと、接地点143Aを有する直線部143の長さが共振周波数における波長の1/4波長の長さ(λ/4)に対応する長さであるため、ミアンダ導電線140には電流の定在波が生じる。定在波の節は、接地点143Aからλ/4、3λ/4、5λ/4、7λ/4、9λ/4、11λ/4、13λ/4、15λ/4、17λ/4、19λ/4、21λ/4に対応する位置に生じる。これらの長さは、半波長に整数を乗じ、乗じた結果から、四半波長を減じることによって得られる。
すなわち、定在波の節は、直線部141及びミアンダ部142の境界と、10個のミアンダ部142の間の9つの境界と、ミアンダ部142及び直線部143の境界との11箇所に生じる。
電流の定在波の節は、電流値がゼロになり、電界が最大値になる点である。実施の形態1のアンテナ装置100では、ミアンダ導電線140と導電ストリップ150とを電磁結合させ、かつ、導電ストリップ150が発生する電界が最大になるようにするために、ミアンダ導電線140の電流の節になる位置で、ミアンダ導電線140と導電ストリップ150とを誘電体層120を介して交差させている。
また、電流の定在波の腹は、電流値が最大になるとともに磁界が最大になり、電界がゼロになる点である。電流の定在波の腹は、電流の定在波の節よりも共振周波数における波長の1/4波長の長さ(λ/4)だけずれた位置に生じる。すなわち、電流の定在波の腹は、上述した電流の節の位置(接地点143Aからの位置)から、共振周波数における波長の1/4波長の長さ(λ/4)だけX軸正方向又はX軸負方向にずれた位置に生じる。
実施の形態1のアンテナ装置100では、導電ストリップ150E3よりも接地点143A側において、ミアンダ導電線140と導電ストリップ160とを磁界結合させ、かつ、導電ストリップ160が発生する磁界が最大になるようにするために、導電ストリップ150E3よりも接地点143A側においてミアンダ導電線140の電流の定在波の腹になる位置で、ミアンダ導電線140と導電ストリップ160とを交差させている。
導電ストリップ150E3よりも接地点143A側においてミアンダ導電線140の電流の定在波の腹になる位置は、接地点143Aである。これは、直線部143の長さが共振周波数における波長の1/4波長の長さ(λ/4)に設定されているからである。
このため、実施の形態1では、接地点143Aにおいて、平面視で直線部143と導電ストリップ160とがT字型に交差する。導電ストリップ160は、平面視で、長手方向の中心点が接地点143Aと重なり、直線部143と直交するように配設される。
ここで、導電ストリップ150E3よりも接地点143A側に導電ストリップ160を設けるのは、次のような理由によるものである。導電ストリップ150A1、150A2、150B1、150B2、150C1、150C2、150D1、150D2、150E1、150E2、150E3により、X軸方向において、導電ストリップ150A1から150E3の間では電界の分布が均一化される。また、給電点141Aがある導電ストリップ150A1よりもX軸負方向側と、接地点143Aがある導電ストリップ150E3よりもX軸正方向側とを比べると、導電ストリップ150E3よりもX軸正方向側における電界の分布の方が弱くなる傾向がある。
このため、導電ストリップ150E3よりも接地点143A側における通信可能領域を補強するために、導電ストリップ150E3よりも接地点143A側に導電ストリップ160を設けている。
導電ストリップ160をミアンダ導電線140と磁界で結合させることにより、導電ストリップ150E3よりも接地点143A側における電磁界の分布を改善することができる。このように電磁界の分布を改善できることは、RFIDタグを取り付けたタオルを用いた実測結果から分かっている。
以上のようなミアンダ導電線140を含むマイクロストリップアンテナは、導電ストリップ150が発生する電界と、導電ストリップ160が発生する磁界とにより、マイクロストリップアンテナの上面側から漏れる漏れ電界と漏れ磁界により、近接界での通信を可能にする。
導電ストリップ150は、誘電体層120の上面に配設される11個の導電パターンであり、第1導電エレメントの一例である。
導電ストリップ150は誘電体層120の上面に配設されているため、ミアンダ導電線140とは絶縁されている。導電ストリップ150は、例えば、銅箔をパターニングすることによって形成される。導電ストリップ150の線幅は、例えば、4mmに設定される。
11個の導電ストリップ150は、図4に示すように直線部151、152、153を有する。なお、図4では、導電ストリップ150とミアンダ部142の直線部142A及び142Gの位置関係を分かり易くするために、ミアンダ部142と導電ストリップ150を透過的に示す。
直線部151は、Y軸に平行に伸延している。すなわち、直線部151は、ミアンダ部142の直線部142A及び142Gと直交している。直線部151のY軸正方向側の端部には、直線部152が連続的に形成されており、直線部151のY軸負方向側の端部には、直線部153が連続的に形成されている。
直線部152、153は、直線部151に対して、給電点141A側に折れ曲がっている。換言すれば、直線部152、153は、直線部151に対して、X軸負方向側に折り曲げられている。直線部152、153が直線部151の中心軸に対して折れ曲がる角度は、ともに角度θで等しい。折れ曲がる角度は折曲度合の一例である。
このような導電ストリップ150は、直線部151のY軸方向における中心点が、ミアンダ導電線140の電流の定在波の節が生じる位置と平面視で重なるように配設されている。すなわち、11個の導電ストリップ150は、それぞれ、ミアンダ導電線140の電流の定在波の11個の節において、平面視でミアンダ導電線140と交差するように誘電体層120上に配設されている。
各導電ストリップ150の直線部152の端部から直線部153の端部までの長さは、共振周波数における波長の1波長(λ)に対応する長さに設定されている。このため、各導電ストリップ150は、共振器(第1共振器)として機能する。
また、誘電体層120の厚さは、各導電ストリップ150とミアンダ導電線140との電磁結合を妨げない厚さに設定されている。このため、各導電ストリップ150は、ミアンダ導電線140と電磁結合された共振器として機能する。また、各導電ストリップ150は、ミアンダ導電線140を介して電波の放射及び受信が可能であり、共振周波数における通信を行うことができる。
また、上述したように、電流の定在波の節は、電流値がゼロになり、電界が最大値になる点である。従って、導電ストリップ150を用いることにより、ミアンダ導電線140を含むマイクロストリップアンテナのZ軸正方向側における電界の強度を向上させることができる。
また、導電ストリップ150は、アンテナ装置100のX軸方向及びY軸方向の全体を網羅するように配設されているため、アンテナ装置100の上面側における電界の強度を全体的に向上させることができ、かつ、電界の強度を均一化することができる。
ここで、導電ストリップ150A1、150A2、150B1、150B2、150C1、150C2、150D1、150D2、150E1、150E2、150E3の長さと角度θについて説明する。
導電ストリップ150A1、150A2の長さは、例えば、ともに186mmに設定される。また、導電ストリップ150E1、150E2、150E3の長さは、例えば、すべて202mmに設定される。186mmと202mmは、共振周波数における波長の1波長に相当する長さである。
また、導電ストリップ150B1と150B2、導電ストリップ150C1と150C2、導電ストリップ150D1と150D2の長さは、それぞれ等しい。導電ストリップ150B1と150B2、導電ストリップ150C1と150C2、導電ストリップ150D1と150D2の長さは、それぞれ、186mmより長く、202mmより短く設定されており、この順に長くなる。これらの長さも共振周波数における波長の1波長に相当する長さである。
なお、各導電ストリップ150における直線部151の長さは60mmであり、直線部152と153の長さは等しい。
また、図2に示すように、導電ストリップ150A1、150A2における直線部151の中心軸に対する直線部152、153が折れ曲がる角度θは、30度であり、導電ストリップ150B1、150B2における直線部151の中心軸に対する直線部152、153が折れ曲がる角度θは、35度である。
また、導電ストリップ150C1、150C2における直線部151の中心軸に対する直線部152、153が折れ曲がる角度θは、40度であり、導電ストリップ150D1、150D2における直線部151の中心軸に対する直線部152、153が折れ曲がる角度θは、45度である。
また、導電ストリップ150E1、150E2、150E3における直線部151の中心軸に対する直線部152、153が折れ曲がる角度θは、50度である。
このような長さと角度θは、有限要素法による電磁界シミュレーションによって導出したものであり、シミュレーション結果については後述するが、11個の導電ストリップ150の長さがすべて同一の場合よりも、異なる場合の方が良好なS11パラメータの値が得られ、帯域も広がった。
また、11個の導電ストリップ150の角度θをすべて同一値にする場合よりも、異なる値にする方が、より均一な電界分布が得られた。これは、図2に示すように、導電ストリップ150によって生じる電界EdのX軸方向成分ExとY軸方向成分Eyとを考えると、異なる角度θを与えることにより、Y軸方向成分Eyが増えたためと考えられる。
ここで、導電ストリップ150がすべてY軸に平行な直線状である場合は、導電ストリップ150によって生じる電界Edは、X軸方向成分Exのみとなる。
このため、各導電ストリップ150において、直線部151に対して直線部152、153が角度θをなしていることは、電界EdのY軸方向成分Eyを稼ぐために重要である。また、11個の導電ストリップ150の角度θを異なる値にすることにより、様々なY軸方向成分Eyを得ることができ、より均一な電界分布を得ることができる。
導電ストリップ160は、導電ストリップ150E3よりも接地点143A側においてミアンダ導電線140の電流の定在波の腹になる位置で、平面視でミアンダ導電線140とT字型に交差するように、誘電体層120の上面に配設される第2導電エレメントの一例である。
導電ストリップ160は、導電ストリップ150E3よりも接地点143A側における電磁界の分布を改善するために、ミアンダ導電線140の電流の定在波の腹になる位置に設けられている。
上述したように、電流の定在波の腹は、電流値が最大になるとともに磁界が最大になり、電界がゼロになる点であり、電流の定在波の節よりも共振周波数における波長の1/4波長の長さ(λ/4)だけずれた位置に生じる。
実施の形態1のアンテナ装置100では、導電ストリップ150E3よりも接地点143A側において、ミアンダ導電線140と導電ストリップ160とを磁界結合させ、かつ、導電ストリップ160が発生する磁界が最大になるようにするために、導電ストリップ150E3よりも接地点143A側においてミアンダ導電線140の電流の定在波の腹になる位置で、ミアンダ導電線140と導電ストリップ160とを交差させている。
導電ストリップ160の長さは、共振周波数における波長の半波長の長さ(λ/2)である。導電ストリップ160は、Y軸方向に伸延する直線状の導電パターンであり、平面視で、長手方向の中心が接地点143Aの真上に位置するように、誘電体層120の上面に配設される。
導電ストリップ160は、例えば、銅箔をパターニングすることによって形成される。導電ストリップ150の線幅は、例えば、4mmに設定される。導電ストリップ160を形成するための銅箔は、導電ストリップ150を形成するための銅箔と同一のものを用いることができる。
導電ストリップ160の長さは、共振周波数における波長の半波長の長さ(λ/2)に設定されているため、導電ストリップ160は、共振器(第2共振器)として機能する。導電ストリップ160は、長手方向の中央において電流が最大となり、長手方向の端部において、電流がゼロになる。このため、導電ストリップ160の長手方向の中央では、導電ストリップ160が発生する磁界が最大となる。
このような構成の導電ストリップ160をミアンダ導電線140と磁界で結合させることにより、導電ストリップ150E3よりも接地点143A側における電磁界の分布を改善する。
また、誘電体層120の厚さは、各導電ストリップ160とミアンダ導電線140との磁界結合を妨げない厚さに設定されている。このため、導電ストリップ160は、ミアンダ導電線140と磁界結合された共振器として機能する。また、導電ストリップ160は、ミアンダ導電線140を介して電波の放射及び受信が可能であり、共振周波数における通信を行うことができる。
また、上述したように、電流の定在波の腹は、電流値が最大値になり、電界がゼロになる点である。従って、導電ストリップ160を用いることにより、ミアンダ導電線140を含むマイクロストリップアンテナのX軸正方向側の端部において、Z軸正方向側における磁界の強度を向上させることができる。
以上、実施の形態1によれば、ミアンダ導電線140とグランドプレーン130とを含むマイクロストリップアンテナに、共振器(第1共振器)として機能する導電ストリップ150を電磁結合させるとともに、共振器(第2共振器)として機能する導電ストリップ160を磁界結合させることにより、近接場において十分な均一性と強度を有する電界を形成できるアンテナ装置100を提供することができる。
実施の形態1のアンテナ装置100では、導電ストリップ150A1から150E3の間と、給電点141Aがある導電ストリップ150A1よりもX軸負方向側とに比べると、接地点143Aがある導電ストリップ150E3よりもX軸正方向側における電界の分布の方が弱くなる傾向がある。電界の分布の低下は、通信可能領域が狭くなることを意味する。
このため、導電ストリップ150E3よりもX軸正方向側における通信可能領域を補強するために、アンテナ装置100のX軸正方向側の端部に導電ストリップ160を設けて、磁界による通信可能領域を構築している。
以上のようなアンテナ装置100では、導電線140を含むマイクロストリップアンテナは、導電ストリップ150が発生する電界と、導電ストリップ160が発生する磁界とにより、マイクロストリップアンテナの上面側から漏れる漏れ電界と漏れ磁界により、アンテナ装置100の表面の全体で、均一な近接界での通信を可能にしている。
なお、以上では、接地点143Aから所定の距離の位置に、それぞれ、導電ストリップ150A1、150A2、150B1、150B2、150C1、150C2、150D1、150D2、150E1、150E2、150E3を配設する形態について説明した。
所定の距離の位置は、接地点143Aから、それぞれ、λ/4、3λ/4、5λ/4、7λ/4、9λ/4、11λ/4、13λ/4、15λ/4、17λ/4、19λ/4、21λ/4に対応する長さだけ離れた位置である。
すなわち、導電ストリップ150A1、150A2、150B1、150B2、150C1、150C2、150D1、150D2、150E1、150E2、150E3同士の間隔は、λ/2に対応する長さである。
このため、導電ストリップ150A1、150A2、150B1、150B2、150C1、150C2、150D1、150D2、150E1、150E2、150E3に流れる電流は、隣接する導電ストリップ150同士で逆位相となる。
ここで、実施の形態1のアンテナ装置100の変形例として、導電ストリップ150A1、150B1、150C1、150D1、150E1、150E3のみを含むようにしてもよい。この場合は、隣接する導電ストリップ150に流れる電流の位相を等しくすることができ、導電ストリップ150A1、150B1、150C1、150D1、150E1、150E3によって形成される電界を強め合う構成にすることができる。
また、以上のようなアンテナ装置100は、例えば、次のようにして作製することができる。両面に銅箔を形成した基板材料の一方の面の銅箔をパターニングしてミアンダ導電線140を形成すれば、誘電体層110の底面にグランドプレーン130が形成され、上面にミアンダ導電線140が形成された第1構造体を作製することができる。
また、別の基板材料の一方の面に形成された銅箔をパターニングして導電ストリップ150及び160を形成することにより、誘電体層120の上面に導電ストリップ150及び160が形成された第2構造体を作製することができる。
そして、第1構造体の上面と、第2構造体の底面とを貼り合わせれば、図1に示すアンテナ装置100を作製することができる。誘電体層110と誘電体層120の貼り合わせは、熱圧着、又は、接着等で行えばよい。
また、以上では、銅を用いて、グランドプレーン130、ミアンダ導電線140、導電ストリップ150、及び導電ストリップ160を形成する形態について説明したが、銅の代わりに、金、銀、ニッケル等の金属、又は、これら金属の合金等を用いてもよい。
また、グランドプレーン130の下面を覆うカバーを設けてもよい。このようなカバーは、例えば、樹脂製であればよく、誘電体層110と同様のX軸方向及びY軸方向の寸法を有していればよい。また、同様に、導電ストリップ150及び誘電体層120の上面を覆うカバーを設けてもよい。このようなカバーは、例えば、樹脂製であればよく、誘電体層120と同様のX軸方向及びY軸方向の寸法を有していればよい。
また、以上では、導電ストリップ150及び160の両方が誘電体層120の上面に配設される形態について説明したが、導電ストリップ150又は160のいずれか一方を、誘電体層120の上面に設けられるさらに別の誘電体層の上に形成してもよい。すなわち、この場合は、導電ストリップ150と160は、互いに異なる誘電体層の表面に形成されることになる。
ここで、図7を用いて、実施の形態1のアンテナ装置100の変形例について説明する。
図7は、実施の形態1のアンテナ装置100の変形例の導電ストリップ171〜175を示す図である。図7の(A)〜(E)に示す導電ストリップ171〜175は、図1乃至図6に示す導電ストリップ150の代わりに用いることができるものである。
図7(A)に示すように、導電ストリップ171は、直線部171A及び直線部171Bによって構築される。直線部171A及び171Bは、ともに破線で示す誘電体層110及び120のX軸に平行な中心線に対して、角度θ1をなす方向に伸延している。角度θ1は、0°<θ1<90°であればよい。
図7(B)に示すように、導電ストリップ172は、直線部172A、172B、172C、及び172Dによって構築される。直線部172A及び172Bは、ともに破線で示す誘電体層110及び120のX軸に平行な中心線に対して、角度θ2をなす方向に伸延している。角度θ2は、0°<θ1<90°であればよい。
また、直線部172C及び172Dは、それぞれ、直線部172A及び172Bの端部から連続的に形成され、直線部172A及び172Bよりもさらに給電点141A(図1、2参照)の方を向くように折り曲げられていればよい。
図7(C)に示すように、導電ストリップ173は、直線部173A、173B、173C、173D、及び173Eによって構築される。直線部173Aは、図1乃至図6に示す導電ストリップ150の直線部151と同様に、Y軸方向に伸延している。
また、直線部173B及び173Cは、それぞれ、直線部173Aの両端から連続的に形成され、直線部173Aから給電点141A(図1、2参照)の方を向くように折り曲げられていればよい。
また、直線部173D及び173Eは、それぞれ、直線部173B及び173Cの端部から連続的に形成され、直線部173B及び173Cよりもさらに給電点141A(図1、2参照)の方を向くように折り曲げられていればよい。
図7(D)に示すように、導電ストリップ174は、直線部174Aと、テーパ部174B及び174Cとによって構築される。直線部174Aは、図1乃至図6に示す導電ストリップ150の直線部151と同様に、Y軸方向に伸延している。
また、テーパ部174B及び174Cは、それぞれ、直線部174Aの両端から連続的に形成され、テーパ部174B及び174Cのテーパ形状の中心線が直線部173Aから給電点141A(図1、2参照)の方を向くように折り曲げられていればよい。
図7(E)に示すように、導電ストリップ175は、直線部175A、175B、及び175Cと、分岐部175D及び175Eによって構築される。直線部175A、175B、及び175Cは、図7(C)に示す直線部173A、173B、及び173Cと同様である。
また、分岐部175D及び175Eは、それぞれ、直線部175B及び175Cの端部から連続的に形成され、二手に分岐して伸延している。分岐部175D及び175Eは、分岐部175D及び175Eの中心線が直線部175B及び175Cよりもさらに給電点141A(図1、2参照)の方を向くように折り曲げられていればよい。
以上、図7の(A)〜(E)に示す導電ストリップ171〜175を、図1乃至図6に示す導電ストリップ150の代わりに用いてもよい。また、折り曲げる角度、又は、分岐の数は、図7の(A)〜(E)に示す形態に限られず、任意に変更することができる。ただし、Y軸と平行な直線に対して、給電点141A(図1、2参照)の方を向くように折り曲げられていることが望ましい。
すなわち、導電ストリップ150は、Y軸方向に対して非直線状に湾曲又は折れ曲がっていればよい。
また、以上では、導電ストリップ150がY軸方向に対して非直線状に湾曲又は折れ曲がっている形態について説明したが、導電ストリップ150がY軸方向に直線状に伸延している状態でも、近接場における十分な電界強度が得られる場合は、導電ストリップ150がY軸方向に直線状に伸延していてもよい。
ここで、図8を用いて、ミアンダ導電線140の電流の定在波の腹になる位置について説明する。
図8は、ミアンダ導電線140の電流の定在波の腹になる位置を示す図である。図8(A)では、説明の便宜上、ミアンダ導電線140は平面視で直線状であり、X軸負方向側の端部が給電点141A、X軸正方向側の端部が接地点143Aである。また、図8(A)には、誘電体層110及び120の輪郭を示す。また、説明の便宜上、図8(A)におけるミアンダ導電線140の長さは、図1、図2、及び図5に示すミアンダ導電線140の長さとは異なる。図8(B)は、図8(A)に、複数の導電ストリップ160を配置する位置を追加して示す図である。
図8(A)に示すように、ミアンダ導電線140には、接地点143Aから共振周波数における波長の半波長の長さ(λ/2)毎に、電流の定在波の腹145が生じる。腹145は、電流の定在波の節よりも共振周波数における波長の1/4波長の長さ(λ/4)だけずれた位置に生じる。
また、腹145同士の間隔は、共振周波数における波長の半波長の長さ(λ/2)であり、同位相の腹145は、交互に表れる。図8(A)では、白丸で示す腹145と、黒丸で示す腹145とは交互に表れ、白丸で示す腹145同士は同位相であり、黒丸で示す腹145同士も同位相である。
図1、図2、及び図5に示す導電ストリップ160は、図8(A)中において最もX軸正方向側にある白丸で示す腹145に対応する位置(すなわち、接地点143Aに対応する位置)に配設されているが、この導電ストリップ160に加えて、他の腹145に対応する位置に、2つ目以降の導電ストリップ160を配置してもよい。
また、この場合に、接地点143Aに対応する位置の導電ストリップ160と同位相の腹145の位置に、2つ目以降の導電ストリップ160を配置してもよい。
接地点143Aに対応する位置の導電ストリップ160に加えて、他の腹145に対応する位置に、2つ目以降の導電ストリップ160を配置すれば、導電ストリップ150によって通信可能領域をさらに補強することができる。
また、この場合に、2つ目以降の導電ストリップ160を接地点143Aに対応する位置の導電ストリップ160の腹145と同位相の腹145の位置に配設すれば、より効率的に通信可能領域をさらに補強することができる。
このように2つ目以降の導電ストリップ160を接地点143Aに対応する位置の導電ストリップ160の腹145と同位相の腹145の位置に配設すると、複数の導電ストリップ160の位置関係は、図8(B)に示すようになる。図8(B)では、図面の見易さを優先して、複数の導電ストリップ160の位置を破線で示す。これらの導電ストリップ160は、実際には、図1、図2、及び図5に示す誘電体層120の上面に、導電ストリップ150とともに配設される。従って、導電ストリップ160が導電ストリップ150と接触せず絶縁が保たれるように、導電ストリップ150及び160の導電パターンを設計すればよい。
また、以上では、導電ストリップ160の長さが共振周波数における波長の半波長の長さ(λ/2)である形態について説明したが、導電ストリップ160の長さは、共振周波数における波長の半波長の長さ(λ/2)の整数倍であればよい。このような長さであれば、電流の定在波の腹に配置した場合に、共振器として機能し得るからである。
次に、図9を用いて、導電ストリップ160の平面視での形状(パターン)について説明する。
図9は、導電ストリップ160の平面視での形状(パターン)を示す図である。ここでは、図9(A)〜(E)の5つの例示的なパターンを示す。なお、図9(A)〜(E)には、導電ストリップ160を実線で示し、ミアンダ導電線140のパターンを破線で示す。また、導電ストリップ160とミアンダ導電線140以外は省略する。
例えば、図9(A)に示すように、ミアンダ導電線140が湾曲している湾曲部の頂点において、直線状の導電ストリップ160を交差させてもよい。直線状の導電ストリップ160は、例えば、図1及び図2におけるX軸に沿った方向であってもよい。
また、図9(B)に示すように、導電ストリップ160を平面視で折り曲げた形状にしてもよい。
また、図9(C)に示すように、ミアンダ導電線140の直線状の部分に、導電ストリップ160の中央の平行な部分を重ね、両端を平面視で折り曲げた形状であってもよい。
また、図9(D)に示すように、ミアンダ導電線140の直線状の部分に対して、直線状の導電ストリップ160を斜めに交差させてもよい。
また、図9(E)に示すように、ミアンダ導電線140の直線状の部分に対して、導電ストリップ160を平行に配置してもよい。なお、この場合に、ミアンダ導電線140に平面視で重なる位置に導電ストリップ160を配置してもよい。
以上のように、様々なパターンの導電ストリップ160を用いることができる。導電ストリップ160は、両端を延長する方向(図9(A)〜(E)において矢印で示す方向)において電界が増大する効果が得られるため、導電ストリップ150の位置及び形状との関係、又は、アンテナ装置100の通信可能領域の分布特性等に応じて、導電ストリップ160のパターンを決めればよい。
次に、図10を用いて、実施の形態1のアンテナ装置100を用いたシェルフアンテナシステムについて説明する。
図10は、実施の形態1のアンテナ装置100を用いたシェルフアンテナシステムを示す図である。図10に示すシェルフアンテナシステムでは、4つのアンテナ装置100はリーダライタ900に接続されるとともに、4段の棚901の各々段に設置されている。アンテナ装置100は近接界での通信が可能であるため、読み取り可能な範囲902は、それぞれ、棚901の各段に形成される。
このようなシェルフアンテナシステムにおいて、4つのアンテナ装置100の上にRFIDタグを取り付けた物品を置いておき、各物品のRFIDタグをリーダライタ900で読み取っている状態で、物品が棚901から持ち出された場合に、当該物品のRFIDタグが読み取れなくなることにより、棚901から持ち出された物品を特定することができる。棚901に置かれた物品のRFIDタグは、読み取り可能な範囲902から外れると、リーダライタ900で読み取れなくなる。
<実施の形態2>
図11は、実施の形態2のアンテナ装置200を示す斜視図である。図12は、実施の形態2のアンテナ装置200を示す平面図である。実施の形態2のアンテナ装置200は、実施の形態1のアンテナ装置100のミアンダ導電線140と導電ストリップ150の構成を変更したものである。
このため、実施の形態1のアンテナ装置100と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。なお、図12には、主な寸法を記す。
アンテナ装置200は、誘電体層110、120、グランドプレーン130、ミアンダ導電線240、導電ストリップ250、及び導電ストリップ260を含む。なお、導電ストリップ250は11個あり、各々を区別する場合には、導電ストリップ250A1、250A2、250B1、250B2、250C1、250C2、250D1、250D2、250E1、250E2、250E3と称す。区別しない場合には、導電ストリップ250と称す。
ミアンダ導電線240は、実施の形態1のミアンダ導電線140を丸く折れ曲がるように形状を変更するとともに、接地点143Aを開放端243Aに変更したものである。
ミアンダ導電線240は、誘電体層110の上面に配設される。ミアンダ導電線240は、導電線の一例である。ミアンダ導電線140は、グランドプレーン130とマイクロストリップラインを構築し、マイクロストリップアンテナとして機能する。
ミアンダ導電線240は、直線部241、ミアンダ部242、及び調整部243を有する。直線部241は、X軸方向に伸延しており、実施の形態1のX軸負方向側の端部は、ミアンダ導電線240の一端であり、給電点241Aになっている。これは、実施の形態1の直線部141と同様である。直線部241の長さは60mmである。
10個のミアンダ部242は、実施の形態1の10個のミアンダ部142と同様に、直線部241と調整部243との間で直列に接続されている。10個のミアンダ部242は同様の構成を有するため、ミアンダ部242については図13を用いて説明する。また、調整部243については図14を用いて説明する。
図13は、実施の形態2のミアンダ部242を示す図である。図13には、一例として、導電ストリップ250B1と250B2の間に位置するミアンダ部242を示す。
ミアンダ部242は、線部242A、242B、242C、242D、242E、242F、242Gを有する。線部242A、242B、242C、242D、242E、242F、242Gは、図13に示すように、互いの接続部が平面視で円弧状に丸く湾曲した形状になっている。
線部242A、242B、242C、242D、242E、242F、242Gの幅は、直線状の部分と湾曲した部分とで等しく、例えば、3mmである。また、湾曲する部分の曲率半径は、例えば、9mmである。曲率半径は、湾曲度合の一例である。その他、線部242A、242B、242C、242D、242E、242F、242Gは、一例として、図13に示すような寸法(単位はmm)を有する。
ミアンダ部242が導電ストリップ250B1と交差する一端から、導電ストリップ250B2と交差する他端までの線路長は、共振周波数における波長の1波長の長さ(λ)に対応する長さに設定される。なお、導電ストリップ250B1と250B2との間隔は、63mmである。
図14は、実施の形態2の調整部243及び導電ストリップ260を示す図である。
調整部243の一端は、給電点241Aから最も遠いミアンダ部242の他端に接続され、他端は開放端243Aとなる。開放端243Aは、開放されており、電気的には何にも接続されていない。
調整部243は、一端からX軸正方向側に伸延してから平面視で円弧状に丸く湾曲してY軸正方向側に伸延し、平面視で円弧状に丸く湾曲してY軸負方向側に伸延し、さらに、平面視で円弧状に丸く湾曲してX軸正方向側に伸延して開放端243Aに至っている。
調整部243の一端から他端までの長さは、共振周波数における波長の半波長の長さ(λ/2)に対応する長さに設定される。調整部243の幅は、一端から他端まで等しく、例えば、3mmである。また、調整部243は、図14に示すような各部の寸法(単位はmm)を有する。
開放端243Aを有する調整部243の線路長が共振周波数における波長の半波長の長さ(λ/2)に対応する長さであるため、給電点241Aからミアンダ導電線240に給電を行うと、ミアンダ導電線240に流れる電流が開放端で反射されることにより、ミアンダ導電線240には電流の定在波が生じる。
定在波の節は、開放端243Aからλ/2、λ、3λ/2、2λ、5λ/2、3λ、7λ/2、4λ、9λ/2、5λ、11λ/2に対応する位置に生じる。これらの長さは、半波長に整数を乗じることによって得られる。
すなわち、定在波の節は、直線部241及びミアンダ部242の境界と、10個のミアンダ部242の間の9つの境界と、ミアンダ部242及び調整部243の境界との11箇所に生じる。
電流の定在波の節は、電流値がゼロになり、電界が最大値になる点である。実施の形態2のアンテナ装置200では、ミアンダ導電線240と導電ストリップ250とを電磁結合させ、かつ、導電ストリップ250が発生する電界が最大になるようにするために、ミアンダ導電線240の電流の節になる位置で、ミアンダ導電線240と導電ストリップ250とを誘電体層120を介して交差させている。
以上のようなミアンダ導電線240を含むマイクロストリップアンテナは、上面側から漏れる漏れ電界により、近接界での通信が可能になる。
また、図11に示す11個の導電ストリップ250は、それぞれ、図3に示す導電ストリップ150と同様に、3つの直線部を有するが、実施の形態2の11個の導電ストリップ250の長さと角度θは、実施の形態1の11個の導電ストリップ150の長さと角度θとは異なる。
ここで、11個の導電ストリップ150の長さと角度θについて説明する前に、導電ストリップ260について説明する。
導電ストリップ260は、導電ストリップ250E3よりも開放端243A側においてミアンダ導電線240の電流の定在波の腹に対応する位置で、平面視でミアンダ導電線240と交差するように、誘電体層120の上面に配設される第2導電エレメントの一例である。
ここで、ミアンダ導電線240の電流の定在波の腹に対応する位置とは、ミアンダ導電線240の電流の定在波の腹に一致する位置に限らず、腹に一致する位置に導電ストリップ260を配置した場合と、略同様の磁界結合が得られる位置をいう。ミアンダ導電線240の電流の定在波の腹に対応する位置は、腹と節の中間よりは、腹寄りに位置する。このように、ミアンダ導電線240の電流の定在波の腹に対応する位置をミアンダ導電線240の電流の定在波の腹に一致する位置に限らないのは、導電ストリップ260を配設するスペースに限りがある場合等を考慮したものである。
導電ストリップ260は、導電ストリップ250E3よりも開放端243A側における電磁界の分布を改善するために、ミアンダ導電線240の電流の定在波の腹に対応する位置に設けられている。これは、実施の形態2における導電ストリップ160と同様の原理である。
導電ストリップ260の長さは、共振周波数における波長の半波長の長さ(λ/2)である。導電ストリップ260は、Y軸方向に伸延する直線状の導電パターンであり、平面視で、長手方向の中心が破線で示す中心軸上に位置するように、誘電体層120の上面に配設される。破線で示す中心軸は、誘電体層120の上面のX軸方向に沿った中心軸である。
導電ストリップ260は、例えば、銅箔をパターニングすることによって形成される。導電ストリップ250の線幅は、例えば、4mmに設定される。導電ストリップ260を形成するための銅箔は、導電ストリップ250を形成するための銅箔と同一のものを用いることができる。
導電ストリップ260の長さは、共振周波数における波長の半波長の長さ(λ/2)に設定されているため、導電ストリップ260は、共振器(第2共振器)として機能する。導電ストリップ260は、長手方向の中央において電流が最大となり、長手方向の端部において、電流がゼロになる。このため、導電ストリップ260の長手方向の中央では、導電ストリップ260が発生する磁界が最大となる。
このような構成の導電ストリップ260をミアンダ導電線240と磁界で結合させることにより、導電ストリップ250E3よりも開放端243A側における電磁界の分布を改善する。
以上、実施の形態2によれば、ミアンダ導電線240とグランドプレーン130とを含むマイクロストリップアンテナに、共振器(第1共振器)として機能する導電ストリップ250を電磁結合させるとともに、共振器(第2共振器)として機能する導電ストリップ260を磁界結合させることにより、近接場において十分な均一性と強度を有する電界を形成できるアンテナ装置200を提供することができる。
実施の形態2のアンテナ装置200では、導電ストリップ250A1から250E3の間と、給電点141Aがある導電ストリップ250A1よりもX軸負方向側とに比べると、開放端243Aがある導電ストリップ250E3よりもX軸正方向側における電界の分布の方が弱くなる傾向がある。電界の分布の低下は、通信可能領域が狭くなることを意味する。
このため、導電ストリップ250E3よりもX軸正方向側における通信可能領域を補強するために、アンテナ装置200のX軸正方向側の端部に導電ストリップ260を設けて、磁界による通信可能領域を構築している。
次に、11個の導電ストリップ150の長さと角度θについて説明する。導電ストリップ250A1、250A2、250B1、250B2、250C1、250C2、250D1、250D2、250E1、250E2、250E3の長さをそれぞれ、L21、L22、L23、L24、L25、L26、L27、L28、L29、L30、L31とする。
また、導電ストリップ250A1、250A2、250B1、250B2、250C1、250C2、250D1、250D2、250E1、250E2、250E3に含まれる直線部同士がなす角度θをそれぞれ、θ21、θ22、θ23、θ24、θ25、θ26、θ27、θ28、θ29、θ30、θ31とする。
長さL21とL22は、ともに173mmである。長さL23、L24は、ともに175mmである。長さL25、L26は、ともに177mmである。長さL27、L28は、ともに175mmである。長さL29、L30、L31は、すべて173mmである。
すなわち、実施の形態2のアンテナ装置200では、X軸方向における中央部に配設される導電ストリップ250C1と250C2の長さL25、L26が最も長い。また、X軸方向における両端部に配設される導電ストリップ250A1、250A2、250E1、250E2、250E3の長さL21、L22、L29、L30、L31の長さが最も短い。
なお、長さL21、L22、L23、L24、L25、L26、L27、L28、L29、L30、L31は、共振周波数における波長の1波長(λ)に対応する長さである。
また、角度θ21とθ22は、ともに30°である。角度θ23とθ24は、ともに35°である。角度θ25とθ26は、ともに40°である。角度θ27とθ28は、ともに45°である。角度θ29、θ30、θ31は、すべて50°である。
すなわち、導電ストリップ250A1、250A2、250B1、250B2、250C1、250C2、250D1、250D2、250E1、250E2、250E3の角度θ21〜θ31は、給電部241Aに近いほど小さく、開放端243Aに近いほど大きくすることが良いことが分かった。
このような長さL21〜L31と角度θ21〜θ31は、有限要素法による電磁界シミュレーションによって導出した最適値である。
ここで、導電ストリップ250A1から250E3の長さL21〜L31を上述のように異なる値に設定したことの効果を検証するために、長さL21〜L31をすべて186mmで一定にした比較用のアンテナ装置のS11パラメータをシミュレーションで求め、実施の形態2のアンテナ装置200について求めたS11パラメータと比較した。
図15は、実施の形態2のアンテナ装置200のS11パラメータと、比較用のアンテナ装置のS11パラメータとの周波数特性を示す図である。なお、ここに示す特性は、導電ストリップ260を除いた状態のアンテナ装置200で得られた周波数特性である。導電ストリップ260を含む状態のアンテナ装置200では、導電ストリップ260を含まない状態のアンテナ装置200よりも通信可能領域が広く、より広範囲でRFIDタグを読み取れることが実験で分かっているが、ここでは、導電ストリップ260を除いた状態のアンテナ装置200で得られた周波数特性について説明する。
図15において、実線は、アンテナ装置200によって得られるS11パラメータの周波数特性を示す。また、破線は、比較用のアンテナ装置において、11個の導電ストリップ250A1から250E3の長さL21〜L31をすべて同一(186mm)にした場合のS11パラメータの周波数特性を示す。
なお、アンテナ装置200と比較用のアンテナ装置のS11パラメータは、約935MHzにおけるS11パラメータの値が略揃うように条件を揃えて求めた。また、S11パラメータは、−10dBを判断基準とした。
図15に示すように、アンテナ装置200のS11パラメータは、比較用のアンテナ装置のS11パラメータよりも、−10dB以下の値が得られる帯域が広がっていることが分かる。
以上より、導電ストリップ250A1から250E3の長さL21〜L31を上述のように異なる値に設定すると、帯域が広がることが分かった。
また、次に、アンテナ装置200の給電部241Aに入力する入力信号の位相φを変化させた場合におけるアンテナ装置200の誘電体層110の上面から400mm上方の位置における電界ベクトルをシミュレーションで求めた。
図16乃至図18は、アンテナ装置200の電界ベクトルを示すシミュレーション結果である。図15に示す周波数特性と同様に、ここに示すシミュレーション結果は、導電ストリップ260を除いた状態のアンテナ装置200で得られたものである。導電ストリップ260を含む状態のアンテナ装置200では、導電ストリップ260を含まない状態のアンテナ装置200よりも通信可能領域が広く、より広範囲でRFIDタグを読み取れることが実験で分かっているが、ここでは、導電ストリップ260を除いた状態のアンテナ装置200で得られたシミュレーション結果について説明する。
図16乃至図18には、給電部241Aからアンテナ装置200に入力する電力の周波数をそれぞれ919MHz、910MHz、930MHzにした場合の電界ベクトルを示す。
また、図16乃至図18には、それぞれ、アンテナ装置200の給電部241Aに入力する入力信号の位相φを0°、40°、80°、120°、160°に変化させた場合の5種類の電界ベクトルの分布及び向きを示す。入力信号の位相φは、周波数が919MHz、910MHz、930MHzの場合における1周期(360°)のうちの位相を表す。
なお、実際のシミュレーション結果はカラーで電界の強度を示し、0(V/m)の電界Eが青(凡例の下端参照)で表され、5(V/m)の電界Eが赤(凡例の上端参照)で表されるが、図16乃至図18では電界の強度を無彩色で示すため、5(V/m)の電界Eと0(V/m)の電界Eとを色だけで区別することはできない。
しかしながら、実際のシミュレーション結果で赤く示される強い電界Eは、平面視でアンテナ装置200の中心部に位置し、青く示される弱い電界は、平面視でアンテナ装置200の外周部に位置する。
このため、図16乃至図18では、実際のシミュレーション結果で赤く示される強い電界Eが位置する中心部に、大きな矢印で強い電界の主な方向を示す。
図16に示すように、アンテナ装置200の給電部241Aに入力する919MHzの入力信号の位相φが0°のときは、アンテナ装置200の中心部に表れる強い電界の向きはX軸負方向である。
また、給電部241Aに入力する919MHzの入力信号の位相φを40°、80°、120°、160°に変化させると、強い電界の向きは、反時計回りに変化し、位相φが160°のときは、強い電界の向きは略X軸正方向である。
これは、入力信号の位相φが変化するにつれて、アンテナ装置200の表面に生じる電界の向きが円偏波のように回転することを意味する。
このような傾向は、図17及び図18に示すように、アンテナ装置200の給電部241Aに910MHz、930MHzの入力信号を入力した場合にも同様である。
従って、実施の形態2によれば、入力信号の位相φが変化するにつれて、919MHz、910MHz、930MHzの周波数で、電界の向きが円偏波のように回転するアンテナ装置200を提供することができる。
このようにアンテナ装置200の表面に生じる電界の向きが入力信号の位相φに応じて変わるので、例えば、図10に示すように、アンテナ装置200を棚901に設置し、アンテナ装置200の上にRFIDタグを取り付けた物品がどのような向きで配置されても、RFIDタグの識別情報を読み取ることができる。
上述のように、導電ストリップ260を含む状態のアンテナ装置200では、導電ストリップ260を含まない状態のアンテナ装置200よりも通信可能領域が広く、より広範囲でRFIDタグを読み取れることが、RFIDタグを取り付けたタオルを用いた実測結果から分かっている。
従って、実施の形態2によれば、ミアンダ導電線240とグランドプレーン130とを含むマイクロストリップアンテナに、共振器(第1共振器)として機能する導電ストリップ250を電磁結合させることにより、近接場において十分な均一性と強度を有する電界を形成できるアンテナ装置200を提供することができる。
なお、図15乃至図18に示すようなシミュレーション結果は、実施の形態2のアンテナ装置200について求めたものであるが、実施の形態1のアンテナ装置100においても同様の結果を求められることが推察される。
<実施の形態3>
以下で説明する実施の形態3乃至6のアンテナ装置は、実施の形態1及び2のアンテナ装置100及び200と同様に、一端が給電点と接続され、他端が開放端となっているマイクロストリップラインをマイクロストリップアンテナとして利用する。そのため、このアンテナ装置では、マイクロストリップアンテナを流れる電流が開放端で反射されることにより、その電流が定常波となる。そこでこのアンテナ装置は、その定常波の節点(nodal point)の何れか、すなわち、流れる電流が極小となり、かつ、その周囲の電界の強度が極大となる位置の何れかの近傍の、マイクロストリップアンテナと電磁結合可能な範囲内に、少なくとも一つの共振用の導体を有することで、アンテナ表面の近傍における電界の均一性及び強度を向上させる。
図19は、実施の形態3によるアンテナ装置の透過斜視図であり、図20は、図19におけるB−B矢視断面を示す図である。また図21は、図19に示されたアンテナ装置の平面図である。
アンテナ装置300は、二つの誘電体層を有する基板10と、基板10の下側に設けられた接地電極11と、基板10の二つの誘電体層の間に設けられた導体12と、基板10の上面に設けられた複数の共振器13−1〜13−5と、導電ストリップ360とを有する。
導電ストリップ360は、実施の形態2の導電ストリップ260を導体12に対して平面視で直交するように配設したものである。また、導体12は、実施の形態2のミアンダ導電線240のパターンを直線状に変更したものである。また、共振器13−1〜13−5は、実施の形態2の導電ストリップ250に対応する。また、基板10の下側層10−1は、誘電体層110に対応し、上側層10−2は誘電体層120に対応する。接地電極11は、グランドプレーン130に対応する。
基板10は、接地電極11、導体12及び共振器13−1〜13−5を支持する。また基板10は、相対的に下側に位置する下側層10−1と、下側層10−1の上方に配置された上側層10−2とを有する。基板10の下側層10−1及び上側層10−2の何れも誘電体により形成され、これにより、接地電極11、導体12及び共振器13−1〜13−5は互いに絶縁されている。例えば、下側層10−1及び上側層10−2は、それぞれ、FR-4といったガラスエポキシ樹脂により形成される。あるいは、下側層10−1及び上側層10−2は、層状に形成可能な他の誘電体により形成されてもよい。また、下側層10−1及び上側層10−2は同じ誘電体で形成されてもよく、あるいは、互いに異なる誘電体で形成されてもよい。
接地電極11は、接地された平板状の導体であり、基板10の下側の表面全体を覆うように設けられる。
導体12は、基板10の下側層10−1と上側層10−2の間に設けられた線状の導体であり、その一端が給電点12Aとなっている。一方、導体12の他端12Bは開放端となっている。そして導体12、接地電極11及び基板10の下側層10−1は、マイクロストリップアンテナを形成する。
導体12の端部12Bが開放端となっているため、このマイクロストリップアンテナから放射される電波、あるいはこのマイクロストリップアンテナで受信される電波によって導体12を流れる電流は、定常波となる。そのため、導体12の端部12B、すなわち、マイクロストリップアンテナの開放端から、その電波の波長の1/2の整数倍に相当する距離だけ離れた位置に、その定常波の節点が形成される。なお、導体12は、下側層10−1と上側層10−2の間に配置されているので、電波の波長は、下側層10−1の比誘電率及び上側層10−2の比誘電率に応じて短くなることに留意されたい。定常波の各節点では、電流が極小値となるとともに、その節点の周囲に相対的に強い電界が形成される。なお、以下では、便宜上、基板10内でのマイクロストリップアンテナから放射またはマイクロストリップアンテナで受信される電波の波長を設計波長と呼ぶ。
共振器13−1〜13−5は、それぞれ、設計波長またはその整数倍と略等しい長さを持つ線状の導体で形成され、基板10の上側層10−2の表面に設けられる。なお、本実施の形態では、各共振器の長さは設計波長と略等しいものとした。
上記のように、導体12に沿って、マイクロストリップアンテナの開放端12Bから設計波長の1/2の整数倍に相当する距離だけ離れた位置において、導体12の周囲に相対的に強い電界が形成される。そこで各共振器13−1〜13−5は、導体12の端部12Bから、導体12に沿って、設計波長の1/2の略整数倍の距離の位置に、導体12と直交するように配置される。本実施の形態では、共振器13−1〜13−5は、開放端12Bから、それぞれ、λ/2、λ、3λ/2、2λ、5λ/2の距離だけ離れた位置の近傍に配置される。ただし、λは基板10の下側層10−1と上側層10−2の比誘電率を考慮した波長λ(設計に用いる波長(設計波長))である。これにより、各共振器13−1〜13−5は、設計波長を持つ電波に対してマイクロストリップアンテナと電磁結合する。そのため、各共振器13−1〜13−5も、設計波長を持つ電波を放射または受信できる。さらに、共振器13−1〜13−5は、導体12と直交するように配置されているので、共振器13−1〜13−5のそれぞれが、マイクロストリップアンテナによる電界と異なる方向に広がりを持つ電界を形成できる。その結果として、アンテナ装置300の表面近傍における電界は、マイクロストリップアンテナのみにより生じる電界よりも均一性及び強度が向上する。なお、各共振器13−1〜13−5の正確な設置位置は、例えば、有限要素法を用いた電界シミュレーションの結果に基づいて、各共振器13−1〜13−5とマイクロストリップアンテナ間の電磁結合が最も強くなるように調節される。また各共振器の長さも、有限要素法を用いた電界シミュレーションの結果に基づいて、各共振器13−1〜13−5から放射される電界が最も強くなるように決定されてもよい。
なお、接地電極11、導体12及び共振器13−1〜13−5は、例えば、銅、金、銀、ニッケルといった金属またはこれらの合金若しくはその他の導電性を有する材料によって形成される。そして接地電極11、導体12及び共振器13−1〜13−5は、例えば、エッチングまたは接着によって基板10の下側層10−1または上側層10−2に固定される。また下側層10−1と上側層10−2も、例えば、接着によって互いに固定される。
また、上側層10−2の厚さは、マイクロストリップアンテナと各共振器13−1〜13−5が電磁結合するように、例えば、有限要素法を用いたシミュレーションにより最適化される。一方、下側層10−1の厚さは、マイクロストリップアンテナの特性インピーダンスが所定の値、例えば、50Ωまたは75Ωとなるように決定される。
導電ストリップ360は、共振器13−1よりも開放端12B側において導体12の電流の定在波の腹に一致する位置で、平面視で導体12と直交するように、上側層10−2の上面に配設される第2導電エレメントの一例である。共振器13−1よりも開放端12B側において導体12の長さは、共振周波数における波長の半波長の長さ(λ/2)であるため、導電ストリップ360は、共振器13−1から開放端12B側に、共振周波数における波長の1/4波長の長さ(λ/4)だけずれた位置に配設されている。導電ストリップ360と開放端12Bとの間の導体12の長さは、共振周波数における波長の1/4波長の長さ(λ/4)である。
次に、図22を用いて、アンテナ装置300のSパラメータの周波数特性のシミュレーション結果について説明する。図22に示す特性は、導電ストリップ360を除いた状態のアンテナ装置300で得られた周波数特性である。導電ストリップ360を含む状態のアンテナ装置300では、導電ストリップ360を含まない状態のアンテナ装置300よりも通信可能領域が広く、より広範囲でRFIDタグを読み取れることがRFIDタグを取り付けたタオルを用いた実測結果から分かっているが、ここでは、導電ストリップ360を除いた状態のアンテナ装置300で得られた周波数特性について説明する。
図22は、アンテナ装置300のSパラメータの周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。また図23は、アンテナ装置300の表面近傍に形成される電界のシミュレーション結果を示す図である。なお、図22及び図23に示されたシミュレーションにおいて、基板10の下側層10−1及び上側層10−2の何れも、FR4(比誘電率εr=4.4、誘電正接tanδ=0.02)で形成されるものとした。そして基板10は、導体12の長手方向に沿った長さが550mmであり、導体12の長手方向に直交する方向の長さが200mmであるとした。また下側層10−1の厚さは、下側層10−1、接地電極11及び導体12により形成されるマイクロストリップラインの特性インピーダンスが50Ωとなるように、1.6mmとした。また、上側層10−2の厚さは1.0mmとした。
また、接地電極11、導体12及び共振器13−1〜13−5の何れも、銅(導電率σ=5.8×107)で形成されるものとした。さらに、導体12の幅は3mmとした。一方、各共振器13−1〜13−5の幅は4mmとし、長さは161mmとした。そして、導体12の開放端12Bから共振器13−1の中心線までの距離を84mmとした。さらに、共振器13−1の中心線と共振器13−2の中心線間の距離を85mmとした。同様に、共振器13−2の中心線と共振器13−3の中心線間の距離、共振器13−3の中心線と共振器13−4の中心線間の距離及び共振器13−4の中心線と共振器13−5の中心線間の距離を、それぞれ、82mm、85mm、85mmとした。
図22において、横軸は周波数[GHz]を表し、縦軸はS11パラメータの値[dB]を表す。そしてグラフ401は、有限要素法による電磁場のシミュレーションにより得られた、アンテナ装置300のS11パラメータの周波数特性を表す。グラフ401に示されるように、アンテナ装置300は、RFIDシステムで利用される950MHz〜960MHzにおいて、S11パラメータが良好なアンテナ特性の目安とされる-10dB以下となっていることが分かる。
次に、図23を用いて、アンテナ装置300の表面に平行な面の電界の強度分布について説明する。図23に示す分布は、導電ストリップ360を除いた状態のアンテナ装置300で得られた分布である。導電ストリップ360を含む状態のアンテナ装置300では、導電ストリップ360を含まない状態のアンテナ装置300よりも通信可能領域が広く、より広範囲でRFIDタグを読み取れることがRFIDタグを取り付けたタオルを用いた実測結果から分かっているが、ここでは、導電ストリップ360を除いた状態のアンテナ装置300で得られた分布について説明する。
図23において、グラフ501は、アンテナ装置300の表面から上方に50mmの位置における、アンテナ装置300の表面に平行な面の電界の強度分布を表す。またグラフ502は、アンテナ装置300の表面から上方に100mmの位置における、アンテナ装置300の表面に平行な面の電界の強度分布を表す。グラフ503は、アンテナ装置300の表面から上方に200mmの位置における、アンテナ装置300の表面に平行な面の電界の強度分布を表す。ただし、各グラフにおいて、電波の周波数は950MHzであるとする。各グラフにおいて、濃度が濃いところほど、電界が強い。グラフ501〜503に示されるように、導体12の近傍だけでなく、各共振器13−1〜13−5の近傍においても電界が強くなっていることが分かる。そのため、アンテナ装置300の表面近傍における電界の均一性は、マイクロストリップアンテナそのものにより形成される電界の均一性よりも向上することが分かる。なお、アンテナ装置300の表面から上方に50mm、100mm、200mmの位置における電界の強度の最大値は、それぞれ、9.7V/m、2.9V/m、1.2V/mである。
以上に説明してきたように、このアンテナ装置では、マイクロストリップアンテナの一端が開放端として形成されることでマイクロストリップアンテナを流れる電流が定常波となる。そして、定常波の節点の近傍に共振器が配置されることで、マイクロストリップアンテナと共振器とが電磁結合する。そのため、このアンテナ装置は、マイクロストリップアンテナと共振器の両方から電波を放射したり、その両方で電波を受信できるので、アンテナ装置の表面近傍における電界の均一性を向上できるとともに、その電界の強度を高くすることができる。
また、上述のように、導電ストリップ360を含む状態のアンテナ装置300では、導電ストリップ360を含まない状態のアンテナ装置300よりも通信可能領域が広く、より広範囲でRFIDタグを読み取れることが、RFIDタグを取り付けたタオルを用いた実測結果から分かっている。
従って、実施の形態3によれば、近接場において十分な均一性と強度を有する電界を形成できるアンテナ装置300を提供することができる。
<実施の形態4>
次に、実施の形態4によるアンテナ装置について説明する。実施の形態4によるアンテナ装置は、実施の形態3によるアンテナ装置と比較して、共振器の位置が異なる。そこで以下では、共振器に関連する部分について説明する。実施の形態4によるアンテナ装置のその他の構成要素については、実施の形態3によるアンテナ装置の対応する構成要素の説明を参照されたい。
図24は、実施の形態4によるアンテナ装置の平面図である。なお、図24において、実施の形態4によるアンテナ装置400の各構想要素には、図1〜図21に示されたアンテナ装置300の対応する構成要素の参照番号と同じ参照番号を付した。
実施の形態4によるアンテナ装置400においても、3個の共振器13−1、13−3及び13−5は、それぞれ、設計波長と略等しい長さを持つ線状の導体で形成され、基板の上側層10−2の表面に設けられる。ただし、実施の形態3によるアンテナ装置300と異なり、アンテナ装置400では、開放端12Bから設計波長の整数倍だけ離れている共振器13−2と共振器13−4とが省略されている。すなわち、共振器13−1、13−3及び13−5は、それぞれ、マイクロストリップアンテナの開放端12Bから設計波長の整数倍に設計波長の1/2を加えた距離の位置のみに設けられる。そのため、互いに隣接する二つの共振器間の導体12に沿った距離が設計波長と略等しくなっている。
実施の形態3によるアンテナ装置300では、共振器13−1〜13−5のそれぞれは、隣接する他の共振器に対して導体12に沿って設計波長の略1/2だけ離れている。そのため、隣接する二つの共振器に流れる電流の位相は、互いに反転している。
これに対し、実施の形態4によるアンテナ装置400では、共振器13−1、13−5及び13−5のそれぞれは、隣接する他の共振器に対して導体12に沿って略設計波長だけ離れているため、隣接する二つの共振器に流れる電流の位相は同相となる。そのため、各共振器により形成される電界も互いに強め合うことができる。
図25は、アンテナ装置400のSパラメータの周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。また図26は、アンテナ装置400の表面近傍に形成される電界のシミュレーション結果を示す図である。このシミュレーションでは、アンテナ装置400の各構成要素のサイズ及び位置は、アンテナ装置300の対応する構成要素のサイズ及び位置と同じであるとした。
なお、実施の形態3と同様に、図25に示す特性は、導電ストリップ360を除いた状態のアンテナ装置400で得られた周波数特性であり、図26に示す分布は、導電ストリップ360を除いた状態のアンテナ装置400で得られた分布である。
図25において、横軸は周波数[GHz]を表し、縦軸はS11パラメータの値[dB]を表す。そしてグラフ700は、有限要素法による電磁場のシミュレーションにより得られた、アンテナ装置400のS11パラメータの周波数特性を表す。グラフ700に示されるように、アンテナ装置400では、RFIDシステムで利用される950MHz〜960MHzにおいて、S11パラメータは、実用上の支障がないアンテナ特性の目安とされる-6dB以下となっていることが分かる。
図26において、グラフ801は、アンテナ装置400の表面から上方に50mmの位置における、アンテナ装置400の表面に平行な面の電界の強度分布を表す。またグラフ802は、アンテナ装置400の表面から上方に100mmの位置における、アンテナ装置400の表面に平行な面の電界の強度分布を表す。グラフ803は、アンテナ装置400の表面から上方に200mmの位置における、アンテナ装置400の表面に平行な面の電界の強度分布を表す。ただし、各グラフにおいて、電波の周波数は950MHzであるとする。各グラフにおいて、濃度が濃いところほど、電界が強い。グラフ801〜803に示されるように、導体12の近傍だけでなく、各共振器13−1、13−3及び13−5の近傍においても電界が強くなっていることが分かる。さらに、アンテナ装置400の表面から上方に100mmの位置では、アンテナ装置300により形成される電界と比較して、電界の強度分布がより均一となっていることが分かる。
さらに、アンテナ装置400の表面から上方に50mm、100mm、200mmの位置における電界の強度の最大値は、それぞれ、11.6V/m、5.6V/m、4.2V/mであり、それぞれの位置において、アンテナ装置300についての電界の強度の最大値よりも強くなっている。
以上に説明してきたように、実施の形態4によるアンテナ装置では、互いに隣接する二つの共振器間の距離が設計波長と略等しい。これにより、各共振器に流れる電流の位相が同相となる。その結果として、このアンテナ装置は、各共振器から放射される電界同士が強め合うので、アンテナ装置の表面近傍における電界の均一性をより向上できるとともに、その電界の強度をより高くすることができる。
また、実施の形態3と同様に、導電ストリップ360を含む状態のアンテナ装置400では、導電ストリップ360を含まない状態のアンテナ装置400よりも通信可能領域が広く、より広範囲でRFIDタグを読み取れることが、RFIDタグを取り付けたタオルを用いた実測結果から分かっている。
従って、実施の形態4によれば、近接場において十分な均一性と強度を有する電界を形成できるアンテナ装置400を提供することができる。
<実施の形態5>
次に、実施の形態5によるアンテナ装置について説明する。実施の形態5によるアンテナ装置は、実施の形態3によるアンテナ装置と比較して、マイクロストリップアンテナを形成する導体が蛇行するように折り曲げられることで、隣接する共振器間の間隔が狭められている。そこで以下では、導体及び共振器に関連する部分について説明する。実施の形態5によるアンテナ装置のその他の構成要素については、実施の形態3によるアンテナ装置の対応する構成要素の説明を参照されたい。
図27は、実施の形態5によるアンテナ装置の平面図である。なお、図27において、実施の形態5によるアンテナ装置500の各構想要素には、図1〜図21に示されたアンテナ装置300の対応する構成要素の参照番号と同じ参照番号を付した。
実施の形態5によるアンテナ装置500では、マイクロストリップアンテナの一部を形成する導体12'が、互いに隣接する二つの共振器間において、複数の箇所で直角に折り曲げられた蛇行形状を有している。
一方、実施の形態5によるアンテナ装置500においても、5個の共振器13−1〜13−5は、それぞれ、設計波長と略等しい長さを持つ線状の導体で形成され、基板の上側層10−2の表面に設けられる。そして共振器13−1〜13−5は、それぞれ、互いに隣接する二つの共振器間の導体12'に沿った距離が設計波長と略等しくなるように配置される。そのため、互いに隣接する二つの共振器間の直線距離は設計波長よりも短くなる。その結果として、各共振器から放射される電波同士が互いにより強めることができる。なお、この実施の形態においても、共振器13−1〜13−5のうち、マイクロストリップアンテナの開放端12Bに最も近い共振器13−1は、導体12'に沿って、その開放端12Bから設計波長の略1/2だけ離れた位置、すなわち、開放端12Bに最も近い定常波の節点の近傍に配置されることが好ましい。
図28は、アンテナ装置500のSパラメータの周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。また図29は、アンテナ装置500の表面近傍に形成される電界のシミュレーション結果を示す図である。このシミュレーションでは、図27に示されるように、導体12'の折り曲げられた部分のうち、導体12'の長手方向と直交する最も長い部分の長さを50mmとし、その前後の導体12'の長手方向と平行な部分の長さをそれぞれ20mmとした。そして隣接する二つの共振器間の導体12'に沿った長さが設計波長と略等しくなるように、隣接する二つの共振器の中心線間の直線距離を86mmとした。さらにまた、導体12'の長手方向に沿った基板10の長さを505mmとした。なお、上記以外のアンテナ装置500の各構成要素のサイズ及び材質は、実施の形態3によるアンテナ装置300のシミュレーションの際に設定されたサイズ及び材質と同じとした。
なお、実施の形態3、4と同様に、図28に示す特性は、導電ストリップ360を除いた状態のアンテナ装置500で得られた周波数特性であり、図29に示す分布は、導電ストリップ360を除いた状態のアンテナ装置500で得られた分布である。
図28において、横軸は周波数[GHz]を表し、縦軸はS11パラメータの値[dB]を表す。そしてグラフ1000は、有限要素法による電磁場のシミュレーションにより得られた、アンテナ装置500のS11パラメータの周波数特性を表す。グラフ1000に示されるように、アンテナ装置500では、RFIDシステムで利用される950MHz〜960MHzにおいて、S11パラメータは、良好なアンテナ特性の目安とされる-10dB以下となっていることが分かる。
図29において、グラフ1001は、アンテナ装置500の表面から上方に50mmの位置における、アンテナ装置500の表面に平行な面の電界の強度分布を表す。またグラフ1102は、アンテナ装置500の表面から上方に100mmの位置における、アンテナ装置500の表面に平行な面の電界の強度分布を表す。グラフ1103は、アンテナ装置500の表面から上方に200mmの位置における、アンテナ装置500の表面に平行な面の電界の強度分布を表す。ただし、各グラフにおいて、電波の周波数は950MHzであるとする。各グラフにおいて、濃度が濃いところほど、電界が強い。グラフ1101〜1103に示されるように、導体12'の近傍だけでなく、各共振器13−1〜13−5の近傍においても電界が強くなっていることが分かる。さらに、アンテナ装置500の表面から上方に100mmの位置及びその表面から上方に200mmの位置では、アンテナ装置300により形成される電界と比較して、より電界の強度分布が均一となっていることが分かる。
さらに、アンテナ装置500の表面から上方に50mm、100mm、200mmの位置における電界の強度の最大値は、それぞれ、17.3V/m、11.3V/m、7.8V/mであり、それぞれの位置において、アンテナ装置300またはアンテナ装置400により形成される電界の強度の最大値よりも強くなっている。
以上に説明してきたように、実施の形態5によるアンテナ装置では、導体12'が蛇行形状を有することで、隣接する二つの共振器間の導体12'に沿った長さが設計波長と略等しいものの、その二つの共振器間の直線距離は設計波長よりも狭くなる。そのため、このアンテナ装置では、各共振器から放射される電界同士がより強め合うことができる。その結果として、このアンテナ装置は、アンテナ装置表面近傍の電界の均一性をより向上できるとともに、アンテナ装置表面近傍の電界の強度をより強くできる。
また、実施の形態3、4と同様に、導電ストリップ360を含む状態のアンテナ装置500では、導電ストリップ360を含まない状態のアンテナ装置500よりも通信可能領域が広く、より広範囲でRFIDタグを読み取れることが、RFIDタグを取り付けたタオルを用いた実測結果から分かっている。
従って、実施の形態5によれば、近接場において十分な均一性と強度を有する電界を形成できるアンテナ装置500を提供することができる。
なお、実施の形態5の変形例によれば、導体12'は、隣接する二つの共振器間でどのように折り曲げられていてもよい。例えば、導体12'は、隣接する二つの共振器間で正弦波状、あるいは鋸歯状に形成されていてもよい。
また実施の形態5の他の変形例によれば、各共振器は、マイクロストリップアンテナの一部である導体に沿った、隣接する二つの共振器間の距離が、設計波長の略1/2となり、かつ、隣接する二つの共振器間の直線距離が設計波長の1/2よりも短くなるように配置されてもよい。
<実施の形態6>
次に、実施の形態6によるアンテナ装置について説明する。実施の形態6によるアンテナ装置は、実施の形態5によるアンテナ装置と比較して、各共振器が導体の開放端に対して凸となり、かつ、各共振器の少なくとも一部と給電点と導体の開放端とを結ぶ線との間の角が鋭角となるように形成される点で異なる。これにより、このアンテナ装置は、アンテナ装置の長手方向及び短手方向のそれぞれに沿った電界の成分を生じさせ、その結果として、アンテナ装置の表面に平行な面内で、電界の方向によらずに電界の強度を均一化する。そこで以下では、導体及び共振器に関連する部分について説明する。実施の形態6によるアンテナ装置のその他の構成要素については、第1〜実施の形態5によるアンテナ装置の対応する構成要素の説明を参照されたい。
図30は、実施の形態6によるアンテナ装置600の平面図である。なお、図30において、実施の形態6によるアンテナ装置600の各構想要素には、図27に示された実施の形態5によるアンテナ装置500の対応する構成要素の参照番号と同じ参照番号を付した。
実施の形態6によるアンテナ装置600では、実施の形態5と同様に、マイクロストリップアンテナの一部を形成する導体12'が、互いに隣接する二つの共振器間において、複数の箇所で直角に折り曲げられた蛇行形状を有している。そのため、導体12'は、アンテナ装置600の長手方向に沿った部分121と、アンテナ装置600の短手方向に平行な部分122とを有している。そのため、導体12'は、アンテナ装置600の長手方向に平行な電界の成分と、アンテナ装置600の短手方向に平行な電界の成分とを生じさせる。
なお、以下では、便宜上、アンテナ装置600の表面に沿った長手方向をx軸方向と呼び、アンテナ装置600の表面に沿った短手方向をy軸方向と呼ぶ。
共振器13−1〜13−7は、それぞれ、設計波長と略等しい長さを持つ線状の導体で形成され、基板の上側層10−2の表面に設けられる。そして共振器13−1は、導体12'を流れる電流の定常波の節点の近傍に位置するように、導体12'の開放端12Bから設計波長の略1/2だけ離れた位置に配置される。さらに共振器13−2〜13−7も、それぞれ、導体12'を流れる電流の定常波の節点の近傍に位置するように、互いに隣接する二つの共振器間の導体12'に沿った距離が設計波長と略等しくなるように配置される。
この実施の形態では、共振器13−1〜13−7は、それぞれ、3個の直線状の素子13A〜13Cを有する。中心の素子13Aは、導体12'の開放端12Bと給電点12Aとを結ぶ線(以下、便宜上、中心線と呼ぶ)に対して、素子13Aの中点で直交する。一方、中心の素子13Aの両側の素子13B、13Cは、それぞれ、中心線に近づくほど導体12'の開放端12Bに近く、中心線から離れるほど給電点12Aに近づくように、中心線と鋭角をなすように配置される。その結果として、各共振器は、導体12'の開放端12Bに対して凸状に形成される。
そのため、各共振器から生じる電界も、導体12'から生じる電界と同様に、x軸方向に沿った成分(すなわち、中心線に平行な成分)と、y軸方向に沿った成分(すなわち、中心線に直交する成分)とを持つ。そのため、アンテナ装置600の表面近傍において、導体12'及び各共振器を流れる電流の位相の変化に応じて、x軸方向の瞬時的な電界の成分の強度とy軸方向の瞬時的な電界の成分の強度の組み合わせも変動し、その結果として、瞬時的な電界の向きも変動する。そのため、アンテナ装置600は、電界の向きによらずに電界の強さを均一化できる。また、各共振器が開放端12Bに対して凸状に形成されることで、アンテナ装置600が共振する波長とインピーダンス整合する波長とを一致させることが可能になる。
なお、共振器13−1〜13−7の両側の素子13B、13Cと中心線のなす角は、素子13B、13Cが導体12'とオーバーラップしないように決定されることが好ましい。中心線以外の位置で共振器13−1〜13−7と導体12'とがオーバーラップすると、そのオーバーラップした位置で共振器と導体12'間に電磁結合が生じる。その結果として、共振器上での電流の分布が不均一になり、共振器から生じる電界も不均一になるためである。
一方、共振器13−1〜13−7の両側の素子13B、13Cと中心線間の角が大きくなるほど、各共振器から生じる、y軸方向に平行な電界の成分が相対的に強くなり、x軸方向に平行な電界の成分が相対的に弱くなる。そこで共振器13−1〜13−7の両側の素子13B、13Cと中心線との間の角は、y軸方向に平行な電界の強さがx軸方向に平行な電界の強さと略等しくなるように設定されることが好ましい。
また、両側の素子13B、13Cが短くなるほど、共振器13−1〜13−7から生じる電界のx軸方向に平行な成分が弱くなる。そこで、素子13B、13Cの長さも、y軸方向に平行な電界の強さがx軸方向に平行な電界の強さと略等しくなるように設定されることが好ましい。本実施の形態では、素子13B、13Cの長さは、設計波長の略1/3以上となるように設定される。
図31(A)は、アンテナ装置600の表面近傍に形成される電界のx軸方向に平行な成分の強度のシミュレーション結果を示す図である。また図31(B)は、アンテナ装置600の表面近傍に形成される電界のy軸方向に平行な成分の強度のシミュレーション結果を示す図である。図31(A)及び図31(B)に示されたシミュレーションにおいて、基板10は、x軸方向に沿った長さが500mmであり、y軸方向に沿った長さが200mmであるとした。
また、導体12'の幅は3mmとした。導体12'の折り曲げられた部分のうちy軸方向に平行な最も長い部分の長さを61mmとし、その前後のx軸方向と平行な部分の長さをそれぞれ18mmとした。そして隣接する二つの共振器間の導体12'に沿った長さが設計波長と略等しくなるように、隣接する二つの共振器間の中心線上の距離を63mmとした。
一方、各共振器13−1〜13−7の幅は4mmとし、長さは182mmとした。そして、共振器13−1〜13−7の中央の素子13Aの長さを60mmとし、素子13B、13Cの長さをそれぞれ61mmとした。さらに、素子13B、13Cと中心線との間の角を55°(すなわち、素子13B、13Cと中央の素子13Aとの間の角は35°)とした。
上記以外のアンテナ装置500の各構成要素のサイズ及び材質は、実施の形態3によるアンテナ装置300のシミュレーションの際に設定されたサイズ及び材質と同じとした。
なお、実施の形態3乃至5と同様に、図31に示す特性は、導電ストリップ360を除いた状態のアンテナ装置600で得られた周波数特性であり、図32に示す分布は、導電ストリップ360を除いた状態のアンテナ装置600で得られた分布である。
図31(A)及び図31(B)において、横軸は給電点12Aからのx軸方向に沿った距離を表す。一方、縦軸は、電界の強度を表す。グラフ1301〜1305は、それぞれ、アンテナ装置600の表面から400mm上方における、給電点12Aからのx軸方向の距離と電界のx軸に平行な成分の強度の関係を表す。このうち、グラフ1301は、中心線からのy軸方向の距離が0mmの位置における、給電点12Aからの距離と電界のx軸方向に平行な成分の強度の関係を表す。また、グラフ1302、1303は、それぞれ、中心線からのy軸方向の距離が50mm及び-50mmの位置における、給電点12Aからの距離と電界のx軸方向に平行な成分の強度の関係を表す。さらに、グラフ1304、1305は、それぞれ、中心線からのy軸方向の距離が100mm及び-100mmの位置における、給電点12Aからの距離と電界のx軸方向に平行な成分の強度の関係を表す。
なお、中心線からのy軸方向の距離は、図30において中心線より上側では正の符号で表され、中心線より下側では負の符号で表される。
一方、グラフ1311〜1315は、それぞれ、アンテナ装置600の表面から400mm上方における、給電点12Aからのx軸方向に沿った距離と電界のy軸方向に平行な成分の強度の関係を表す。このうち、グラフ1311は、中心線からのy軸方向の距離が0mmの位置における、給電点12Aからの距離と電界のy軸方向に平行な成分の強度の関係を表す。また、グラフ1312、1313は、それぞれ、中心線からのy軸方向の距離が50mm及び-50mmの位置における、給電点12Aからの距離と電界のy軸方向に平行な成分の強度の関係を表す。さらに、グラフ1314、1315は、それぞれ、中心線からのy軸方向の距離が100mm及び-100mmの位置における、給電点12Aからの距離と電界のy軸方向に平行な成分の強度の関係を表す。
グラフ1301〜1305、1311〜1315に示されるように、アンテナ装置600の表面から400mm上方で、x軸方向に平行な電界の成分の強度分布は、y軸方向に平行な電界の成分の強度分布との差が小さくなっていることが分かる。
図32は、アンテナ装置600のSパラメータの周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。なお、このシミュレーションにおいても、アンテナ装置600の各部のサイズ及び電気特性は、図31(A)及び図31(B)のシミュレーションにおけるものと同じとした。図32において、横軸は周波数[GHz]を表し、縦軸はS11パラメータの値[dB]を表す。そしてグラフ1400は、有限要素法による電磁場のシミュレーションにより得られた、アンテナ装置600のS11パラメータの周波数特性を表す。グラフ1500に示されるように、アンテナ装置600では、RFIDシステムで利用される912MHz〜934MHzにおいて、S11パラメータが良好なアンテナ特性の目安とされる-10dB以下となっていることが分かる。
アンテナ装置600が、他の通信装置、例えば、アンテナ装置600上に載置される物品に付されたRFIDタグと通信する場合、アンテナ装置600に対して他の通信装置は様々な方向を向く可能性がある。しかし、この実施の形態によれば、アンテナ装置600は、電界の方向によらずに電界の強度を均一化できる。そのため、アンテナ装置600は、他の通信装置のアンテナの向きによらず、他の通信装置と良好に通信できる。
また、実施の形態3乃至5と同様に、導電ストリップ360を含む状態のアンテナ装置600では、導電ストリップ360を含まない状態のアンテナ装置600よりも通信可能領域が広く、より広範囲でRFIDタグを読み取れることが、RFIDタグを取り付けたタオルを用いた実測結果から分かっている。
従って、実施の形態6によれば、近接場において十分な均一性と強度を有する電界を形成できるアンテナ装置600を提供することができる。
図33は、実施の形態6の変形例によるアンテナ装置の平面図である。
この変形例でも、共振器13−1〜13−5は、それぞれ、設計波長と略等しい長さを持つ線状の導体で形成され、基板の上側層10−2の表面に設けられる。そして共振器13−1〜13−5は、それぞれ、互いに隣接する二つの共振器間の導体12'に沿った距離が設計波長と略等しくなるように配置される。
この変形例では、共振器13−1〜13−5は、それぞれ、導体12'の開放端12Bと給電点12Aとを結ぶ中心線とオーバーラップする位置で接続される二つの直線状の素子13A及び13Bを有する。そして素子13A及び13Bは、中心線に対して対称であり、かつ、中心線と呼ぶとオーバーラップする位置で開放端12Bに最も近く、中心線から離れるほど、給電点12Aに近づくように、中心線に対して鋭角をなすように形成される。したがって、この変形例でも、共振器13−1〜13−5は、それぞれ、導体12'の開放端12Bに対して凸状に形成される。
図34(A)及び図34(B)は、それぞれ、実施の形態6のさらなる変形例によるアンテナ装置の平面図である。図34(A)及び図34(B)に示された変形例では、図30に示されたアンテナ装置600と比較して、各共振器の形状または向きが異なっている。図34(A)に示された変形例では、共振器13−1〜13−7の両側の二つの素子13B、13Cが中央の素子13Aとなす角が互いに異なっている。具体的には、素子13Bと中央の素子13Aとの間の角が、素子13Cと中央の素子13Aとの間の角よりも大きくなっている。そのため、給電点12Aと開放端12Bとを結ぶ中心線に対して各共振器は非対称となっている。
また、図34(B)に示された変形例では、給電点12Aと開放端12Bとを結ぶ中心線と共振器13−1〜13−7の中央の素子13Aとの間の角度が鋭角となるように、各共振器は、中心線に対して傾けて配置される。そのため、この変形例では、共振器の一方の側の素子13Bと中心線間の角度が、他方の側の素子13Cと中心線間の角度よりも小さくなっている。そのため、中心線に対して各共振器は非対称となっている。しかし、何れの変形例においても、各共振器は、導体12'の開放端12Bに対して凸状に形成されており、共振器の少なくとも一部と中心線間の角度が鋭角となっている。
そのため、図34(A)及び図34(B)に示されるように、各共振器が、中心線に対して非対称となるように形成されても、各共振器は、x軸方向の電界成分とy軸方向の電界成分とを生じさせることができる。
図35は、実施の形態6のさらなる変形例によるアンテナ装置の平面図である。この変形例では、図30に示されたアンテナ装置600と比較して、各共振器の形状が異なっている。この変形例では、共振器13−1〜13−7は、円弧状に形成される。そしてこの変形例でも、各共振器は、導体12'の開放端12Bに対して凸となり、かつ、各共振器の中点が導体12'と交差するように配置される。そのため、共振器の中点以外では、共振器と給電点12Aと開放端12Bとを結ぶ線との間の角が鋭角となっているので、各共振器は、x軸方向に平行な電界成分とy軸方向に平行な電界成分とを生じさせることができる。そのため、この変形例によるアンテナ装置も、電界の向きによらずに電界の強度を均一化できる。したがって、このアンテナ装置は、RFIDタグといった他の通信装置のアンテナの向きによらずに他の通信装置との通信を可能にする。
なお、実施の形態6のこれらの変形例についても、共振器上での電流の分布が不均一になることを避けるために、各共振器は、導体の蛇行形状部分とオーバーラップしないことが好ましい。
さらに、上記の各実施の形態の変形例によれば、各共振器は、線状以外の形状を有していてもよい。図36(A)〜図36(C)は、それぞれ、他の実施の形態による共振器の形状を示す図である。なお、いずれの変形例においても、各共振器は、マイクロストリップアンテナ上を流れる電流の定常波の節点の近傍、すなわち、開放端からの距離が設計波長の1/2の整数倍となる位置の近傍に配置される。
図36(A)に示される例では、共振器14−1〜14−3は、それぞれ、線状の2本の導体がX字状に配置された形状を有する。この例でも、共振器を形成する2本の導体は、それぞれ、設計波長と略等しい長さを持つ。そして共振器を形成する2本の導体の交点が、導体12の真上に位置するように、各共振器は配置される。
図36(B)に示される例では、共振器15−1〜15−3は、それぞれ、蝶ネクタイ状の形状を有する。そして共振器15−1〜15−3のそれぞれは、導体12の長手方向に沿った幅が最小となる部分が導体12の上方に位置するように配置される。
図36(C)に示される例では、共振器16−1〜16−3は、それぞれ、蛇行形状を有している。この場合も、共振器16−1〜16−3のそれぞれは、その蛇行する導体に沿った長さが設計波長と略等しくなるように設計される。そして共振器の中点が、導体12の真上に位置するように、各共振器は配置される。
また、各共振器の形状は、互いに異なっていてもよい。例えば、アンテナ装置が3個の共振器を有する場合、その共振器のうちの一つは、図3に示された共振器13−1と同様に線状の導体であり、他の一つは、図36(A)に示されたX線状の導体であり、さらに他の一つは図36(B)に示された蝶ネクタイ状の導体であってもよい。
さらに他の変形例によれば、各共振器は、その共振器の長手方向とマイクロストリップアンテナの一部である導体の長手方向とが鋭角をなすように配置されてもよい。
なお、何れの実施の形態またはその変形例においても、共振器のうちの一つは、マイクロストリップアンテナの開放端から設計波長の1/2だけ離れた位置、すなわち、マイクロストリップアンテナを流れる電流の定常波の節点のうち、開放端に最も近い節点の近傍に配置されることが好ましい。開放端に最も近い節点の近傍の電界は、他の節点の近傍の電界よりも強いので、その節点の近傍に配置された共振器は、マイクロストリップアンテナと強く電磁結合できるためである。
以上、本発明の例示的な実施の形態のアンテナ装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
平面視で矩形状の第1誘電体層と、
前記第1誘電体層の第1面に配設されるグランドプレーンと、
給電点になる一端と、前記グランドプレーンに接続される接地端、又は、開放端になる他端とを有し、前記第1誘電体層の第2面に配設される導電線と、
前記第1誘電体層に対応した形状を有し、前記第1誘電体層との間に前記導電線を挟んだ状態で、前記第1誘電体層の前記第2面に重ねて配設される第2誘電体層と、
前記第2誘電体層の前記第1誘電体層に重ねられる第1面とは反対の第2面において、前記導電線に流れる電流の定在波の複数の節に対応する複数の第1位置で、それぞれ、平面視で前記導電線と交差するように配設される複数の第1導電エレメントと、
前記第2誘電体層の前記第1誘電体層に重ねられる第1面とは反対の第2面において、前記複数の第1位置のうち最も前記他端に近い第1位置と前記他端との間で前記導電線に流れる電流の定在波の1又は複数の腹に対応する1又は複数の第2位置で、平面視で前記導電線と交差するように配設される1又は複数の第2導電エレメントと
を含む、アンテナ装置。
(付記2)
前記複数の第1導電エレメントの各々は、前記導電線と電磁結合しており、第1共振器を構築する、付記1記載のアンテナ装置。
(付記3)
前記第1導電エレメントの長さは、共振周波数における波長の1波長の長さに対応する、付記1又は2記載のアンテナ装置。
(付記4)
前記導電線の前記他端が前記開放端である場合に、前記導電線に流れる電流の定在波の前記複数の節に対応する前記複数の第1位置は、それぞれ、前記導電線の前記他端からの前記導電線の長さが共振周波数における波長の半波長の整数倍の長さに対応する位置である、付記1乃至3のいずれか一項記載のアンテナ装置。
(付記5)
前記半波長の整数倍の長さは、前記半波長の奇数倍の長さである、付記4記載のアンテナ装置。
(付記6)
前記導電線の前記他端が前記接地端である場合に、前記導電線に流れる電流の定在波の前記複数の節に対応する前記複数の第1位置は、それぞれ、前記導電線の前記他端からの前記導電線の長さが共振周波数における波長の半波長の整数倍の長さから、四分の一波長の長さを減じた長さに対応する位置である、付記1乃至3のいずれか一項記載のアンテナ装置。
(付記7)
前記共振周波数における波長の半波長の整数倍の長さから、四分の一波長の長さを減じた長さは、前記半波長の奇数倍の長さから、四分の一波長の長さを減じた長さである、付記6記載のアンテナ装置。
(付記8)
前記第1導電エレメントは、平面視で前記第1位置から前記導電線と交差する方向に伸延する第1線部と、前記第1線部の両端に接続され、前記第1線部の伸延方向とは異なる方向に伸延する一対の第2線部とを有する、付記1乃至7のいずれか一項記載のアンテナ装置。
(付記9)
前記第1導電エレメントは、前記第2線部の先端に接続される第3線部をさらに有する、付記8記載のアンテナ装置。
(付記10)
前記第2線部は、前記第1線部に接続される接続部から先端部に伸延する方向において平面視で角度が広がるテーパ状に形成される、付記8又は9記載のアンテナ装置。
(付記11)
前記複数の第1導電エレメントは、それぞれ、平面視で前記導電線と交差する複数の第1位置に対して、平面視で前記給電点に向かって湾曲しており、又は、折れ曲がっている、付記1乃至10のいずれか一項記載のアンテナ装置。
(付記12)
前記複数の第1導電エレメントのうちの一の第1導電エレメントと、前記複数の第1導電エレメントのうちの他の第1導電エレメントとの湾曲度合、折れ曲がり度合、又は長さは、互いに異なる、付記11記載のアンテナ装置。
(付記13)
前記1又は複数の第2導電エレメントは、前記導電線と磁界結合しており、第2共振器を構築する、付記1乃至12のいずれか一項記載のアンテナ装置。
(付記14)
前記第2導電エレメントの長さは、共振周波数における波長の半波長の整数倍の長さに対応する、付記1乃至13のいずれか一項記載のアンテナ装置。
(付記15)
前記第2導電エレメントは、前記第2位置において、長手方向における中点で前記導電線と交差する、付記1乃至14のいずれか一項記載のアンテナ装置。
(付記16)
前記第2導電エレメントは、平面視で、前記導電線に対して前記第2位置を中心とする点対称なパターンを有する、付記1乃至15のいずれか一項記載のアンテナ装置。
(付記17)
前記第2導電エレメントは、平面視で、前記導電線の一方の側に湾曲された、又は、折り曲げられたパターンを有する、付記1乃至15のいずれか一項記載のアンテナ装置。
(付記18)
前記導電線は、前記給電点と前記導電線の前記他端との間で平面視でミアンダ状の形状を有する、付記1乃至17のいずれか一項記載のアンテナ装置。
(付記19)
前記ミアンダ状の形状は、ミアンダの折れ曲がり部が丸く折れ曲がったミアンダ形状である、付記18記載のアンテナ装置。
(付記20)
平面視で矩形状の第1誘電体層と、
前記第1誘電体層の第1面に配設されるグランドプレーンと、
給電点になる一端と、前記グランドプレーンに接続される接地端、又は、開放端になる他端とを有し、前記第1誘電体層の第2面に配設される導電線と、
前記第1誘電体層に対応した形状を有し、前記第1誘電体層との間に前記導電線を挟んだ状態で、前記第1誘電体層の前記第2面に重ねて配設される第2誘電体層と、
前記第2誘電体層の前記第1誘電体層に重ねられる第1面とは反対の第2面において、前記導電線に流れる電流の定在波の複数の節に対応する複数の第1位置で、それぞれ、平面視で前記導電線と交差するように配設される複数の第1導電エレメントと、
前記第2誘電体層の前記第1誘電体層に重ねられる第1面とは反対の第2面、又は、前記第1誘電体層の第2面とは異なる面において、前記導電線とは絶縁された状態で、前記複数の第1位置のうち最も前記他端に近い第1位置と前記他端との間で前記導電線に流れる電流の定在波の1又は複数の腹に対応する1又は複数の第2位置で、平面視で前記導電線と交差するように配設される1又は複数の第2導電エレメントと
を含む、アンテナ装置。