JP2015134947A - 耐疲労性に優れた歯車用鋼および歯車 - Google Patents

耐疲労性に優れた歯車用鋼および歯車 Download PDF

Info

Publication number
JP2015134947A
JP2015134947A JP2014006428A JP2014006428A JP2015134947A JP 2015134947 A JP2015134947 A JP 2015134947A JP 2014006428 A JP2014006428 A JP 2014006428A JP 2014006428 A JP2014006428 A JP 2014006428A JP 2015134947 A JP2015134947 A JP 2015134947A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gear
steel
range
hardness
fatigue strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014006428A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6263390B2 (ja
Inventor
冨田 邦和
Kunikazu Tomita
邦和 冨田
福岡 和明
Kazuaki Fukuoka
和明 福岡
佳祐 安藤
Keisuke Ando
佳祐 安藤
隆志 西迫
Takashi Nishisako
隆志 西迫
梶 修
Osamu Kaji
修 梶
隆志 福井
Takashi Fukui
隆志 福井
高志 小野坂
Takashi Onozaka
高志 小野坂
庸一 谷口
Yoichi Taniguchi
庸一 谷口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
JFE Bars and Shapes Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
JFE Bars and Shapes Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp, JFE Bars and Shapes Corp filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Priority to JP2014006428A priority Critical patent/JP6263390B2/ja
Publication of JP2015134947A publication Critical patent/JP2015134947A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6263390B2 publication Critical patent/JP6263390B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Gears, Cams (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Abstract

【課題】比較的安価な生産コストの下に得られる、耐疲労性に優れた歯車用鋼およびそれを素材として用いた歯車について提案する。【解決手段】質量%で、C:0.16〜0.22%、Si:0.90〜1.10%、Mn:0.50〜0.90%、S:0.010〜0.030%、Cu:0.05〜0.50%、Cr:0.80〜1.50%、Mo:0.10%以下、Al:0.020〜0.060%、N:0.0060〜0.0200%および0:0.0015%以下を、所定の関係の下に含有する化学組成を有し、浸炭焼入れ・焼戻し後に得られる表面から200μm深さの位置での硬さがHV730以上とする。【選択図】なし

Description

本発明は、歯車の素材として供する、浸炭焼入れに適した歯車用鋼、なかでも高い曲げ疲労強度および面圧疲労強度を有する自動車等の駆動伝達部品の素材として適した歯車用鋼およびそれを用いて作製される歯車に関するものである。
自動車等の駆動伝達部品に用いられている歯車は、近年、省エネルギー化による車体重量の軽量化に伴って、その小型化が要求される一方、エンジンの高出力化により負荷が増大しているため、耐久性の向上が課題とされている。
一般的に、歯車の耐久性は、歯元の曲げ疲労破壊並びに歯面の面圧疲労破壊によって決定されるため、これまで、曲げ疲労強度および耐ピッチング性の向上を目的とし、微量元素の添加による介在物の形態制御や浸炭異常層の発生抑制をはかったり、あるいは、焼戻し軟化抵抗性を付与した、浸炭歯車用鋼が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、鋼中のSiを低減すると共に、Mn、Cr、MoおよびNiの量を制御することにより、浸炭熱処理後の表面の粒界酸化層を低減して亀裂の発生を少なくし、また不完全焼入層の生成を抑制することにより、表面硬さの低減を抑えて疲労強度を高め、さらにCaを添加して、亀裂の発生・伝播を助長するMnSの延伸を制御する方法が開示されている。
特許文献2には、素材としてSiを0.25〜1.50%添加した鋼材を用いて焼戻し軟化抵抗を高める方法が開示されている。
また、特許文献3には、浸炭あるいは浸炭窒化処理時の表面炭素量および窒素の量を特定範囲内に制御することにより、微細な炭化物の生成を促し、表層部の高い硬さを確保して耐ピッチング性を高める方法が開示されている。
特公平07−122118号公報 特許第2945714号公報 特開平07−188895号公報
しかしながら、上述した特許文献1〜3に記載の発明はいずれも、以下に述べる問題があった。
まず、特許文献1の記載によれば、Siを低減すると粒界酸化層および不完全焼入れ層が低減するため、歯車の歯元での曲げ疲労による亀裂発生を抑えることはできる。しかしながら、逆に焼戻し軟化抵抗が低下して、破壊の発生が歯元から歯面側に移行する結果、歯面での摩擦熱による焼戻し軟化を抑えることができなくなって表面が軟化するため、ピッチングが発生し易くなることが問題になる。
特許文献2では、焼戻し軟化抵抗を上げるために逆にSi等を添加し、一方、粒界酸化の進行を抑制するために浸炭工法を真空浸炭あるいはプラズマ浸炭等に限定しているが、これらの特殊な浸炭手法では、製造コストが嵩むという不利があり、工業的規模での量産化には不適であった。
また、特許文献3に記載の技術は、高価な合金であるV、Moを多量に添加する必要があり、製造コストの大幅な増加を招いてしまうだけでなく、炭窒化物の析出により、連続鋳造時の割れの発生が懸念されるものであった。
そこで、本発明は、比較的安価な生産コストの下に得られる、高い曲げ疲労強度および面圧疲労強度を有する歯車の素材として適した歯車用鋼およびそれを素材として用いた歯車について提案することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、浸炭焼入れ・焼戻し後の疲労特性に及ぼす、成分および浸炭層の硬さの影響について鋭意検討を行った。その結果、以下のa)〜e)の事項を見出すに到った。
a)鋼材中のSi、MnおよびCrを増量して焼戻し軟化抵抗を高めることによって、歯車としたときの接触面での発熱による軟化を抑えれば、歯車駆動時に生じる歯面の亀裂発生を抑制することができる。
b)曲げ疲労および疲労亀裂の起点となり得る粒界酸化層については、Si、MnおよびCrを所定量以上添加することにより、粒界酸化層の成長方向が深さ方向から表面の密度増加方向に変わる。従って、起点となるような深さ方向に成長した酸化層がなくなるため、曲げ疲労および疲労亀裂の起点となり難くなる。
c)上記a)およびb)で述べたとおり、Si、MnおよびCrは、焼戻し軟化抵抗の向上と粒界酸化層の制御に有効であるが、これらの効果を両立させるためには、Si、MnおよびCrについて、その含有量を厳密に制御する必要がある。
d)浸炭後の面疲労特性は、試験時の最大せん断応力の発生深さに相当する、表面から200μm深さの位置の硬さと相関があり、当該位置における硬さをHV730以上とすれば、ピッチング(素材の疲れが主原因で歯面に剥離損傷が発生すること)による破壊を効果的に抑制することができる。
e)浸炭熱処理では、表面の炭素濃度が被処理材の形状の影響を大きく受ける。すなわち、処理材の平坦部分では狙い通りの硬さや組織が得られても、歯先等の角部では浸炭が過剰となり、粗大炭化物の生成に伴う疲労強度の低下が懸念されている。特に、最近用いられるようになってきた真空浸炭では、この傾向がより顕著になっている。これに対し、炭化物の生成抑制効果のある、Si、Cuを適量添加することで、過剰浸炭による疲労強度の低下を抑制することができる。
本発明は上記の知見に立脚するものであり、その要旨構成は、次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.16〜0.22%、
Si:0.90〜1.10%、
Mn:0.50〜0.90%、
S:0.010〜0.030%、
Cu:0.05〜0.50%、
Cr:0.80〜1.50%、
Mo:0.10%以下、
Al:0.020〜0.060%、
N:0.0060〜0.0200%および
0:0.0015%以下
を、下記(1)式および(2)式を満足する範囲の下に含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる化学組成を有し、浸炭焼入れ・焼戻し後に得られる表面から200μm深さの位置での硬さがHV730以上であることを特徴とする耐疲労性に優れた歯車用鋼。

1.8≧[%Si]+([%Mn]+[%Cr])/3≧1.4 …(1)
0.20≧[%Si]×([%Cu]/2)≧0.05 …(2)
但し、[ ]は括弧内の元素の含有量(質量%)
2.前記1に記載の歯車用鋼を素材とし、該素材に機械加工を行って歯車形状とした後、浸炭焼入れ処理を施して得られる耐疲労性に優れた歯車。
3.前記機械加工の前に鍛造を施してなる前記2に記載の耐疲労性に優れた歯車。
本発明の鋼を用いて、例えば歯車を作製した場合に、その歯元の曲げ疲労特性のみならず、歯面の面圧疲労特性にも優れた歯車を量産することが可能な、歯車用鋼を提供することができる。
本発明によれば、高い曲げ疲労強度および面圧疲労強度を有する歯車の素材として適した歯車用鋼を提供することができる。すなわち、歯車を、本発明鋼を用いて作製した場合に、その歯元の曲げ疲労特性のみならず、歯面の面圧疲労特性にも優れた歯車を量産することが可能になる。
浸炭焼入れ・焼戻し処理の条件を示す図である。 小野式回転曲げ疲労試験片の仕様を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関する「%」表示は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.16〜0.22%
Cは、浸炭処理後の焼入れにより中心部の硬さを高めるために0.16%以上を必要とするが、含有量が0.22%を超えると、歯車における芯部の靭性が低下するため、C量は0.16〜0.22%の範囲に限定した。好ましくは0.17〜0.21%の範囲である。
Si:0.90〜1.10%
Siは、本発明において最も重要な元素である。Siは、歯車等が転動中に到達すると予想される200〜300℃の温度域における軟化抵抗を高めると共に、浸炭表層部の硬さ低下を引き起こす残留オーステナイトの生成を抑制しつつ、焼入れ性を向上させる元素である。また、浸炭時に粗大な炭化物の生成を抑制する効果も有しており、これらの鋼を得るには、少なくとも0.90%の添加が不可欠である。しかしながら、一方でSiはフェライト安定化元素であり、過剰な添加はAc3変態点を上昇させ、通常の焼入れ温度範囲で炭素の含有量の低い芯部でフェライトが出現し易くなり強度の低下を招く。また、過剰な添加は浸炭前の鋼材を硬化させ、切削性を劣化させる不利もある。この点、Si量が1.10%以下であれば、上記のような弊害は生じないので、Si量は0.90〜1.10%の範囲に限定した。好ましくは0.95〜1.05%の範囲である。
Mn:0.50〜0.90%
Mnは、焼入性に有効な元素であり、少なくとも0.50%の添加を必要とする。しかしながら、Mnは、浸炭異常層を形成し易く、また過剰な添加は残留オーステナイト量が過多となって硬さの低下を招くため、上限を0.90%とした。好ましくは0.60〜0.80%の範囲である。
S:0.010〜0.030%
Sは、Mnと硫化物を形成し、被削性を向上させる作用を有するので、少なくとも0.010%以上含有させる。一方、過剰な添加は、部品の疲労強度および靭性を低下させるため、上限を0.030%とした。
Cu:0.05〜0.50%
Cuは、本発明において重要な効果を有する元素の一つである。特に、炭化物の生成を抑制することで、過剰浸炭による疲労強度低下の抑制に効果がある。また、焼入れ性及び耐食性の向上にも寄与するため、0.05%以上含有させる必要がある。一方、0.50%を超えて添加した場合、素材硬さの上昇を招いて冷間加工性が劣化してしまうため、Cu含有量は0.50%以下の範囲内とする必要がある。好ましくは0.10〜0.30%の範囲である。
Cr:0.80〜1.50%
Crは、焼入性のみならず焼戻し軟化抵抗の向上にも有効な元素であるが、含有量が0.80%に満たないとその添加効果に乏しく、一方1.50%を超えると軟化抵抗を高める効果は飽和し、むしろ浸炭異常層を形成し易くなるため、Cr量は0.80〜1.50%の範囲に限定した。好ましくは0.90〜1.40%の範囲である。
Mo:0.10%以下
Moは、焼入れ性および靭性を向上させると共に、浸炭処理後の結晶粒径を微細化する効果を有するため、好ましくは0.03%以上で添加する。一方、多量に添加すると、製造コストを上昇させるため、0.10%を上限とした。なお、上記効果を発揮させるため、上限値は0.07%とすることが好ましい。
Al:0.020〜0.060%
Alは、Nと結合してAlNを形成し、オーステナイト結晶粒の微細化に寄与する元素であり、この効果を得るためには0.020%以上の添加を必要とするが、含有量が0.060%を超えると疲労強度に対して有害なAl 203介在物の生成を助長するため、Al量は0.020〜0.060%の範囲に限定した。好ましくは0.020〜0.040%の範囲である。
N:0.0060〜0.0200%
Nは、Alと結合してAlNを形成し、オーステナイト結晶粒の微細化に寄与する元素である。従って、適正添加量はAlとの量的バランスで決まるが、その効果を発揮するためには0.0060%以上の添加が必要である。しかし、過剰に添加すると凝固時の鋼塊に気泡が発生したり、鍛造性の劣化を招くため、上限を0.0200%とする。好ましくは0.0100〜0.0150%の範囲である。
O:0.0015%以下
Oは、鋼中において酸化物系介在物として存在し、疲労強度を損なう元素である。従って、含有量は低いほど望ましいが、0.0015%までは許容される。
なお、被削性を向上させるために必要に応じて、Pb、SeおよびCa等の快削元素を含有させてもよい。また、Pは、結晶粒界に偏析し、浸炭層および芯部の靭性を低下させるので、その混入は低いほど望ましいが、0.020%までは許容される。
以上、本発明の基本成分の適正組成範囲について説明したが、本発明では、各々の元素が単に上記の範囲を満足するだけでは不十分であり、Si、Mn、CrおよびCuについては、次式(1)および(2)の関係を満足させることが重要である。
1.8≧[%Si]+([%Mn]+[%Cr])/3≧1.4 …(1)
0.20≧[%Si]×([%Cu]/2)≧0.05 …(2)
上式(1)は、焼入性および焼戻し軟化抵抗性に影響を与える因子を示し、その値が1.4未満では焼入性および焼戻し軟化抵抗性の改善効果に乏しい。一方、上式(1)が1.8を超えると、芯部硬さの増加によって加工性が劣化するだけでなく、浸炭表層部のMs点が低下し、残留オーステナイト量が過多となって表層硬さの低下を招くことになる。
上式(2)は、浸炭性に影響を与える因子を示し、0.05未満では炭化物生成の抑制効果に乏しく、疲労強度に悪影響を与える場合がある。一方0.20を超えると、上記の改善効果が飽和するだけでなく、表面性状や加工性の劣化を招く。
さらに、上掲した元素の規定式に加え、浸炭後の鋼材表面から200μm深さの位置における硬さをHV730以上とすることも重要である。歯車においてピッチング発生に繋がる歯面および歯元の初期亀裂は、ローラーピッチング疲労試験時の最大せん断応力発生深さに相当する、表面から200μm深さの位置の硬さが高いほど発生しにくい。初期亀裂の発生を抑制し、長寿命を得るため、表層部から200μm位置における硬さをHV730以上に限定した。なお、本発明で硬さ(HV)は全て荷重300gfで求めた値として規定する。
本発明に係る歯車用鋼から歯車を作製する際の製造条件については、特に制限は無いが、好適な製造条件は次の通りである。
前記した好適成分組成からなる鋼素材を溶解鋳造してビレットとし、熱間圧延後、歯車としての予備成形を行う。次に、機械加工、あるいは鍛造後に機械加工を行い歯車形状とした後、浸炭焼入れ処理を施し、必要に応じて更に歯面に研磨加工を施して最終製品とする。
なお、浸炭焼入れ処理は、浸炭温度900〜1050℃で60〜600min、焼入れ温度800〜900℃で10〜120minとし、焼戻しは120〜250℃で30〜180minの範囲とする。
表1に示す化学組成の鋼を溶製し、連続鋳造によりブルームとした。次いで、ビレット圧延を経て、さらに棒鋼圧延により50mmφの棒鋼とした。かくして得られた棒鋼に、1200℃で60minの加熱処理を施し、1100℃にて熱間鍛造を行って36mmφとし、その後1℃/sで室温まで冷却して丸棒鋼とし、さらに得られた丸棒鋼に対し、925℃で60minの焼準処理を実施した。
Figure 2015134947
次に、焼準処理後の丸棒鋼から、小野式回転曲げ疲労試験片、ローラーピッチング疲労試験片、20mφの丸棒を採取した。表1のNo.1〜31鋼の各試験片に対して、図1に示す条件の、浸炭焼入れ・焼戻しを施した後、回転曲げ疲労試験、ローラーピッチング疲労試験および20mmφの丸棒の表面から200μm深さの位置での硬さ調査を実施した。なお、No.32及び33鋼については、真空浸炭焼入れ・焼戻し後に同様の調査を実施した。また、熱間鍛造材を20mm厚に切断したものを試験材として、被削性をドリル切削試験により評価した。以下に、それぞれの調査内容について詳細に説明する。
回転曲げ疲労特性
直径36mmの丸棒鋼から、図2に示す寸法および形状の平行部直径8mmの試験片を採取し、平行部にこれと直角方向の深さ2mmの切欠き(切欠き係数α:1.56)を全周に付与した回転曲げ疲労試験片を作製した。得られた試験片に対して、浸炭焼入れ・焼戻し処理を行った後、小野式回転曲げ疲労試験機を用いて、回転数:3000rpmで回転曲げ疲労試験を実施し、107回を疲労限度として、回転曲げ疲労強度を測定した。
ローラーピッチング疲労特性
ローラーピッチング疲労試験機を使用して、80℃のミッションオイルを潤滑に用い、すべり率:40%、回転数:1500rpmにてローラーピッチング疲労試験を行った。その際、107回を疲労限度として評価した。
硬さ調査
発明鋼および比較鋼の20mmφの丸棒を用いて、浸炭焼入れ・焼戻し処理後に、切断し、表面から200μm深さ位置の硬さを、ビッカース硬さ計により測定した。また、焼戻し軟化抵抗性の評価のため、250℃で2時間の焼戻しを行った後に、同位置での硬さを測定した。
被削性試験
36mmφの丸棒鋼(熱間鍛造材)を20mm厚に切断したものを試験片として、JIS高速度工具鋼SKH51製の6mmφストレートドリルにて、送り:0.15mm/revおよび回転数:795rpmの下に、1断面当たり5箇所の貫通穴を開けることを繰り返し、ドリルが切削不能になるまでの総穴数を計測して評価した。
表2に上記した各調査の結果を示す。本発明鋼(No.1〜13)は、回転曲げ疲労強度が470MPa以上、面圧疲労強度が2700MPa以上であり、表面から200μm位置での硬さはHV730以上が得られ、比較鋼No.14〜33より優れていた。
すなわち、比較鋼No.14は、C含有量が本発明範囲より低いために、内部硬さが低くなりすぎて回転曲げ疲労強度が低下した。
比較鋼No.15は、C含有量が本発明範囲より高いために、芯部の靭性が低下し、回転曲げ疲労強度が低下した。
比較鋼No.16は、Si含有量及び成分範囲規定式(1)([%Si]+([%Mn]+[%Cr])/3)の値が本発明の範囲よりも低いために、芯部硬度及び耐焼戻し軟化抵抗が低下し、回転曲げ疲労強度と面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.17は、Si含有量及び成分範囲規定式(1)([%Si]+([%Mn]+[%Cr])/3)、(2)([%Si]×([%Cu]/2))の値が本発明の範囲よりも高いために、焼入れ性が高くなり、ドリル加工性が低下した。
比較鋼No.18は、Mn含有量及び成分範囲規定式(1)([%Si]+([%Mn]+[%Cr])/3)が本発明の範囲より低いために、芯部硬度及び耐焼戻し軟化抵抗が低下し、回転曲げ疲労強度と面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.19は、Mn含有量が本発明の範囲より高いために、浸炭表層部のMs点が低下し、残留オーステナイト量が増加するために、表面から200μm深さ部での硬さが低くなり、回転曲げ疲労強度と面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.20は、S含有量が本発明範囲より低いために、MnSの生成量が乏しく、ドリル加工性が低下した。
比較鋼No.21は、S含有量が本発明範囲より高いために、疲労破壊の起点となるMnSの生成量が多くなり、回転曲げ疲労強度と面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.22は、Cu含有量が本発明の範囲より低いために、芯部硬度が低下し、回転曲げ疲労強度と面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.23は、Cu含有量及び成分範囲に係る上記式(2)([%Si]×([%Cu]/2)の値が本発明範囲よりも高い結果、焼入れ性が高くなり、ドリル加工性が低下した。
比較鋼No.24は、Cr含有量及び成分範囲規定式(1)([%Si]+([%Mn]+[%Cr])/3)が本発明の範囲より低いために、芯部硬度及び耐焼戻し軟化抵抗が低下し、回転曲げ疲労強度と面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.25は、Cr含有量が本発明の範囲より高いために、浸炭表層部のMs点が低下し、残留オーステナイト量が増加する。よって、表層から200μm部での硬さが低くなり、回転曲げ疲労強度と面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.26は、Al含有量が本発明範囲より高いために、Al203介在物の生成量が多くなり、回転曲げ疲労強度と面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.27は、N添加量が本発明範囲よりも低いために、AlN生成量が少なくなり、オーステナイト結晶粒が粗大化してしまうため、回転曲げ疲労強度と面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.28は、N添加量が本発明範囲よりも高いために、熱間鍛造時に割れを生じてしまい、疲労試験が出来なかった。
比較鋼No.29は、O含有量が本発明範囲より高いために、疲労破壊の起点となる酸化物系介在物の生成量が多くなり、回転曲げ疲労強度と面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.30は、本発明成分範囲内であるが、成分範囲に係る上記規定式(1)([%Si]+([%Mn]+[%Cr])/3)の値が1.4未満のため、耐焼戻し軟化抵抗が低下し、面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.31は、本発明成分範囲内であるが、成分範囲に係る上記規定式(1)([%Si]+([%Mn]+[%Cr])/3)の値が1.8を超えているため、浸炭表層部のMs点が低下し、残留オーステナイト量が増加する。よって、表面から200μm深さ部分での硬さが低くなり、面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.32は、本発明成分範囲内であるが、成分範囲に係る上記規定式(2)([%Si]×([%Cu]/2)の値が本発明範囲よりも低い結果、過剰浸炭により粗大な炭化物が生成し、回転曲げ疲労強度と面圧疲労強度が低下した。
比較鋼No.33も同様に、本発明成分範囲内であるが、成分範囲に係る上記規定式2)([%Si]×([%Cu]/2)の値が0.20を超えているため、焼入性が高くなり、ドリル加工性が低下した。
Figure 2015134947

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.16〜0.22%、
    Si:0.90〜1.10%、
    Mn:0.50〜0.90%、
    S:0.010〜0.030%、
    Cu:0.05〜0.50%、
    Cr:0.80〜1.50%、
    Mo:0.10%以下、
    Al:0.020〜0.060%、
    N:0.0060〜0.0200%および
    0:0.0015%以下
    を、下記(1)式および(2)式を満足する範囲の下に含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる化学組成を有し、浸炭焼入れ・焼戻し後に得られる表面から200μm深さの位置での硬さがHV730以上であることを特徴とする耐疲労性に優れた歯車用鋼。

    1.8≧[%Si]+([%Mn]+[%Cr])/3≧1.4 …(1)
    0.20≧[%Si]×([%Cu]/2)≧0.05 …(2)
    但し、[ ]は括弧内の元素の含有量(質量%)
  2. 請求項1に記載の歯車用鋼を素材とし、該素材に機械加工を行って歯車形状とした後、浸炭焼入れ処理を施して得られる耐疲労性に優れた歯車。
  3. 前記機械加工の前に鍛造を施してなる請求項2に記載の耐疲労性に優れた歯車。
JP2014006428A 2014-01-17 2014-01-17 耐疲労性に優れた歯車用鋼および歯車 Active JP6263390B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014006428A JP6263390B2 (ja) 2014-01-17 2014-01-17 耐疲労性に優れた歯車用鋼および歯車

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014006428A JP6263390B2 (ja) 2014-01-17 2014-01-17 耐疲労性に優れた歯車用鋼および歯車

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015134947A true JP2015134947A (ja) 2015-07-27
JP6263390B2 JP6263390B2 (ja) 2018-01-17

Family

ID=53766974

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014006428A Active JP6263390B2 (ja) 2014-01-17 2014-01-17 耐疲労性に優れた歯車用鋼および歯車

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6263390B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190008915A (ko) * 2016-05-31 2019-01-25 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 기소강 및 그 제조 방법과 기어 부품의 제조 방법
CN115852233A (zh) * 2022-12-07 2023-03-28 江苏永钢集团有限公司 一种控制齿轮钢硼元素的方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001032037A (ja) * 1999-07-23 2001-02-06 Nkk Joko Kk 耐ピッチング性に優れた低歪み型歯車用鋼材およびその鋼材による歯車の製造方法
JP2008179849A (ja) * 2007-01-24 2008-08-07 Jfe Bars & Shapes Corp 耐衝撃疲労特性に優れた歯車用鋼及びそれを用いた歯車
JP2008280610A (ja) * 2007-04-09 2008-11-20 Daido Steel Co Ltd 高強度浸炭高周波焼入れ部品
JP2009249684A (ja) * 2008-04-07 2009-10-29 Sumitomo Metal Ind Ltd 肌焼鋼
JP2012017499A (ja) * 2010-07-08 2012-01-26 Jfe Bars & Shapes Corp 疲労強度に優れた歯車およびその製造方法
JP2015134949A (ja) * 2014-01-17 2015-07-27 Jfe条鋼株式会社 肌焼鋼および機械構造用部品

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001032037A (ja) * 1999-07-23 2001-02-06 Nkk Joko Kk 耐ピッチング性に優れた低歪み型歯車用鋼材およびその鋼材による歯車の製造方法
JP2008179849A (ja) * 2007-01-24 2008-08-07 Jfe Bars & Shapes Corp 耐衝撃疲労特性に優れた歯車用鋼及びそれを用いた歯車
JP2008280610A (ja) * 2007-04-09 2008-11-20 Daido Steel Co Ltd 高強度浸炭高周波焼入れ部品
JP2009249684A (ja) * 2008-04-07 2009-10-29 Sumitomo Metal Ind Ltd 肌焼鋼
JP2012017499A (ja) * 2010-07-08 2012-01-26 Jfe Bars & Shapes Corp 疲労強度に優れた歯車およびその製造方法
JP2015134949A (ja) * 2014-01-17 2015-07-27 Jfe条鋼株式会社 肌焼鋼および機械構造用部品

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190008915A (ko) * 2016-05-31 2019-01-25 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 기소강 및 그 제조 방법과 기어 부품의 제조 방법
EP3467133A4 (en) * 2016-05-31 2019-04-10 JFE Steel Corporation INSERT HARDENED STEEL AND METHOD OF MANUFACTURING THEREOF AND GEAR COMPONENT MANUFACTURING METHOD
KR102165228B1 (ko) 2016-05-31 2020-10-13 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 기소강 및 그 제조 방법과 기어 부품의 제조 방법
US11174543B2 (en) 2016-05-31 2021-11-16 Jfe Steel Corporation Case hardening steel, method of producing case hardening steel, and method of producing gear part
CN115852233A (zh) * 2022-12-07 2023-03-28 江苏永钢集团有限公司 一种控制齿轮钢硼元素的方法
CN115852233B (zh) * 2022-12-07 2024-04-02 江苏永钢集团有限公司 一种控制齿轮钢硼元素的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6263390B2 (ja) 2018-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6098732B2 (ja) 浸炭鋼部品の製造方法及び浸炭鋼部品
JP5099276B1 (ja) 面疲労強度に優れたガス浸炭鋼部品、ガス浸炭用鋼材およびガス浸炭鋼部品の製造方法
JP5163241B2 (ja) 肌焼鋼
JP6741060B2 (ja) 歯車部品およびその製造方法
JP5163242B2 (ja) 肌焼鋼
JP5260460B2 (ja) 肌焼鋼部品およびその製造方法
JP5299118B2 (ja) 真空浸炭用鋼および真空浸炭部品
JP6078008B2 (ja) 肌焼鋼および機械構造用部品の製造方法
JP5541048B2 (ja) 耐ピッチング性に優れた浸炭窒化鋼部品
EP3467133B1 (en) Case-hardened steel and manufacturing method therefor as well as gear component manufacturing method
JP5381171B2 (ja) 高強度肌焼鋼部品の製造方法
WO2017209180A1 (ja) 肌焼鋼およびその製造方法ならびに歯車部品の製造方法
JP6263390B2 (ja) 耐疲労性に優れた歯車用鋼および歯車
JP5332410B2 (ja) 浸炭用鋼材の製造方法
JP6078007B2 (ja) 肌焼鋼および機械構造用部品の製造方法
CN107532252B (zh) 表面硬化钢
JP6477614B2 (ja) 軟窒化用鋼および部品ならびにこれらの製造方法
JP2001032037A (ja) 耐ピッチング性に優れた低歪み型歯車用鋼材およびその鋼材による歯車の製造方法
JP2021028414A (ja) 浸炭歯車用鋼、浸炭歯車及び浸炭歯車の製造方法
JP6569650B2 (ja) 肌焼鋼
JP2013112826A (ja) 耐摩耗性と面疲労特性に優れた高周波焼入歯車およびその製造方法
JP2021161462A (ja) 鋼材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161024

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20170526

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170602

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170602

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170809

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170926

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20170928

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171212

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171218

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6263390

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250