JP2015134411A - 三次元造形物の製造方法 - Google Patents
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また、三次元造形物の表面に対する、保護用のシートや表面処理剤の付加によっては、三次元構造物の内部強度を向上させることができない。
(A)製作対象物体の三次元形状に前記補強穴の形状を加えた三次元形状のデータに基づいて積層造形法により前記補強穴を含む三次元造形物を製作し、または、製作対象物体の三次元形状のデータに基づいて積層造形法により三次元造形物を製作し該三次元造形物に前記補強穴を形成し、
(B)前記(A)で製作した前記三次元造形物の材料と異なる流動性物質を、前記補強穴に充填し、
(C)前記補強穴に充填した前記流動性物質を硬化させることにより、該流動性物質を前記三次元造形物の補強材にする、ことを特徴とする三次元造形物の製造方法が提供される。
前記補強穴は、前記線状部分の内部において、該線状部分に沿って延びている。
前記(A)では、修正後の三次元形状のデータに基づいて、三次元造形物を積層造形法により製作する。
(B1)三次元造形物の前記外表面において、補強穴が開口している開口面に対する側面である外周面に取付具を取り付け、該取付具に結合された蓋部で前記開口面を覆い、該蓋部と前記開口面により内部空間を形成し、
(B2)前記蓋部を貫通する貫通穴と前記内部空間を通して、前記補強穴に流動性物質を導入することにより、前記補強穴に流動性物質を充填する。
このように、高強度の材料で三次元造形物を製作しない場合でも、三次元造形物の表面形状精度を低下させることなく、三次元造形物の内部強度を高めることが可能となる。
図2(A)の例では、三次元造形物1を貫通する補強穴3が形成されている。各補強穴3は、その一端と他端において開口3aを有する。
図2(B)の例では、三次元造形物1は、線状に延びる線状部分1aを含む。また、補強穴3は、線状部分1aの内部において、線状部分1aに沿って延びる部分を有する。これについて、修正後三次元形状データに基づく積層造形法により、比較的容易に、線状部分1aの内部に補強穴3を形成できる。図2(B)の例では、補強穴3は、三次元造形物1を貫通している。ただし、線状部分1aの内部において線状部分1aに沿って延びる部分を有する補強穴3は、三次元造形物1を貫通していなくてもよい。なお、三次元造形物1は、例えば、工場の各設備の配置を示す模型であり、設備1bと、設備1cと、設備1bから設備1cまで延びている配管1aを各模型部分として有する。ここで、配管1aは、上述の線状部分である。
図2(C)の例では、補強穴3は、三次元造形物1の外表面から、三次元造形物1の内部へ延びてこの内部において分岐している。
図3は、ステップS2を行うのに用いられる三次元造形装置10の構成例を示す。図3の三次元造形装置10は、粉末法で三次元造形物1を製作する。三次元造形装置10は、上下に移動する昇降底面部11aを有し粉末2が導入される造形容器11と、粉末2を造形容器11に導入する粉末導入装置12と、造形容器11に導入された粉末2を部分的に固める固着装置13と、上述のステップS1で作成された修正後三次元形状データを記憶する記憶装置14と、粉末導入装置12と固着装置13と昇降底面部11aを制御する制御装置15とを備える。なお、修正後三次元形状データは、三次元造形物1の多数の層にそれぞれ対応する多数のスライスデータから構成されている(以下、同様)。
(1)制御装置15が粉末導入装置12を制御することにより、粉末導入装置12は、一層分の粉末2を造形容器11に導入する。この時、造形容器11に導入された粉末2の上面が水平になるように、粉末導入装置12は粉末2を造形容器11に導入する。図3の例では、粉末導入装置12は、昇降底面部12a1を有し粉末2が蓄えられた粉末容器12aと、ローラ12bとを有する。粉末容器12aの上面は開口している。制御装置15は、一層分に対応する距離だけ昇降底面部12a1を上昇させる。次いで、制御装置15は、図3(A)のように、ローラ12bを、粉末容器12aの開口に関して造形容器11と反対側から、水平に、この開口と造形容器11の開口を横切るように移動させる。これにより、粉末容器12aの開口から上昇した一層分の粉末2が造形容器11に導入される。この方法で、一層分の粉末2が、造形容器11に導入され、導入された粉末2の上面が水平にされる。
(2)制御装置15が一層分のスライスデータに従って固着装置13を制御することにより、固着装置13は、図3(B)のように造形容器11に導入された粉末2を固める。固着装置13が、バインダ(例えば水溶性接着剤)を導入するノズルである場合には、この制御により、ノズル13は、上記(1)で導入された一層分の粉末2のうち、対応する一層分のスライスデータが示す部分にバインダを噴射して、この部分を固める。固着装置13が、レーザビームを照射するレーザ照射装置である場合には、この制御により、レーザ照射装置13は、上記(1)で導入された一層分の粉末2のうち、対応する一層分のスライスデータが示す部分にレーザビームを照射して、この部分を焼結して固める。
(3)制御装置15は、一層分の厚みだけ昇降底面部11aを下降させる。
図4は、ステップS2を行うのに用いられる三次元造形装置20の構成例を示す。図4の三次元造形装置20は、光造形法で三次元造形物1を製作する。三次元造形装置20は、光(一般的には紫外線)のエネルギーにより硬化する液状の光硬化性樹脂4が蓄えられた樹脂容器21と、樹脂容器21内に配置され昇降する造形テーブル22と、樹脂容器21内の光硬化性樹脂4の上面の一部に光を照射することによりこの一部を硬化させる光照射装置23と、液体の光硬化性樹脂4の上面を水平にするために水平に往復動するリコータ24と、上述のステップS1で作成された修正後三次元形状データを記憶する記憶装置25と、造形テーブル22と光照射装置23とリコータ24を制御する制御装置26とを備える。なお、光照射装置23は、例えば、光を射出する光源23aと、光源23aからの光を樹脂容器21内の光硬化性樹脂4の上面へ反射させるミラー23bとを有する。
(1)制御装置26が、一層分のスライスデータに従って、光照射装置23(例えば、光硬化性樹脂4の上面に対するミラー23bの向き)を制御することにより、図4(A)のように、光照射装置23は、樹脂容器21内の光硬化性樹脂4の上面の一部に光を照射する。この制御により、光照射装置23は、光硬化性樹脂4の上面のうち、一層分のスライスデータが示す部分に光を照射して、この部分を一層分の厚みだけ硬化させる。
(2)制御装置26は、造形テーブル22を、一層分の厚みだけ下降させる。
(3)制御装置26は、図4(B)のように、下面が光硬化性樹脂4に接するリコータ24を水平方向に往復動させる。これによって、液体である光硬化性樹脂4の上面を正確に水平にする。その結果、上記(1)で硬化した光硬化性樹脂4の上に、正確に、一層分の厚みだけ液体の光硬化性樹脂4が位置するようになる。
図5は、ステップS2を行うのに用いられる三次元造形装置30の構成例を示す。図5の三次元造形装置30は、シート積層法で三次元造形物1を製作する。三次元造形装置30は、昇降する造形テーブル31と、造形テーブル31上にシート32を供給するシート供給装置33と、造形テーブル31へ供給されたシート32を造形テーブル31上の最上位のシート32に圧着する圧着装置34と、造形テーブル31へ供給されたシート32を切り取るカット装置35と、上述のステップS1で作成された修正後三次元形状データを記憶する記憶装置36と、造形テーブル31とシート供給装置33と圧着装置34とカット装置35を制御する制御装置37とを備える。なお、この例では、シート32の表面には接着剤が塗られている。
(1)制御装置37がシート供給装置33を制御することにより、図5(A)に示すように、シート供給装置33は、造形テーブル31上にシート32を供給する。図5の例では、シート供給装置33は、シート32が巻き付けられたシート供給ドラム33aを備える。制御装置37は、シート供給ドラム33aを回転させることにより、シート32がシート供給ドラム33aから巻き出されて造形テーブル31上へシート32が送られる。
(2)制御装置37は、図5(B)のように、圧着装置34を駆動する(この例では、圧着装置34としての圧着ローラを水平に移動させる)ことにより、上記(1)で造形テーブル31上へ供給されたシート32を、造形テーブル31における最上位のシート32(製作途中の三次元造形物1の最上位シート32)に圧着させる。
(3)制御装置37がカット装置35を制御することにより、図5(C)のように、カット装置35は、上記(2)で圧着された新たなシート32を設定範囲Xに切り取るとともに、この設定範囲X内において、一層分のスライスデータが示す輪郭に沿って、造形テーブル31上の新たな最上位シート32のみをカット装置35が切り取る。ここで、上記輪郭は、補強穴3の内周面を区画する輪郭を含む。カット装置35は、例えば、カッタによりシート32を切り取る装置であってもよいし、レーザ光によりシート32を切り取る装置であってもよい。
(4)制御装置37は、一層分の厚みだけ、造形テーブル31を下降させる。
図6は、ステップS2を行うのに用いられる三次元造形装置40の構成例を示す。図3の三次元造形装置40は、溶融堆積法で三次元造形物1を製作する。三次元造形装置40は、造形テーブル41と、造形テーブル41に対して(加熱により)溶融状態となっている材料(例えば、樹脂)を供給する材料供給装置42と、上述のステップS1で作成された修正後三次元形状データを記憶する記憶装置43と、修正後三次元形状データの一層分のスライスデータに従って材料供給装置42を制御する制御装置44とを備える。
制御装置44が材料供給装置42を制御することにより、材料供給装置42は、一層分の溶融状態の材料を、造形テーブル41上に(製作途中の三次元造形物1の最上面に)材料供給装置42が供給する。この時、材料供給装置42は、一層分のスライスデータが示す部分に溶融状態の材料を供給するように制御される。
なお、ステップS2では、このように製作された三次元造形物1に対して脱脂処理や焼結処理を必要に応じて行う。
三次元造形物1を貫通している補強穴3に、流動性物質6を加圧注入装置51により注入する。図7(A)の例では、加圧注入装置51は、流動性物質6が充填されたシリンダ室51aと、シリンダ室51aに連通する注入口51bと、シリンダ室51a内を移動可能なピストン51cと、ピストン51cに結合されたピストンロッド51dとを有する。図7(A)のように、注入口51bを補強穴3の開口3aに接続した状態で、ピストンロッド51dをシリンダ室51a内に押し込む。これにより、シリンダ室51a内の流動性物質6が加圧されて注入口51bを通って、補強穴3の内部へ導入される。このようにして、流動性物質6を補強穴3に充填する。複数の補強穴3が存在する場合には、補強穴3毎に上記のように流動性物質6を注入する。
補強穴3が三次元造形物1を貫通していない場合には、図7(B)のように、一端53aが加圧注入装置51の注入口51bに接続されたチューブ53を補強穴3の内部に挿入する。この状態で、加圧注入装置51の注入口51bからチューブ53へ流動性物質6を導入し、この流動性物質6をチューブ53の他端53bの開口から補強穴3の内部に注入する。このように注入を行いながら、チューブ53の他端53bを補強穴3の開口3a側へ徐々に移動させることにより、流動性物質6を補強穴3に充填できる。
図8(A)のように、三次元造形物1において、補強穴3が開口している開口面1dに対する側面である外周面に取付具55を取り付ける。この状態では、取付具55の内周面とこの外周面との間は適宜の手段で密閉されている。図8(B)は、図8(A)のB−B線矢視図である。
三次元造形物1を貫通している補強穴3に、流動性物質6を吸引により充填する。図9の例では、容器61に蓄えられた流動性物質6の内部に、三次元造形物1を入れる。これにより、補強穴3の一方の開口3aを流動性物質6の流動面(液面)より下方に位置させ、補強穴3の他方の開口3aを流動性物質6の流動面より上方に位置させる。この状態で、補強穴3の他方の開口3aから補強穴3の内部を吸引する。例えば、図9のように、補強穴3の他方の開口3aに接続した吸引チューブ62を通して、適宜の吸引装置63により補強穴3の内部を吸引する。このような吸引により、容器61内の流動性物質6を、一方の開口3aから補強穴3に流入させて、流動性物質6を補強穴3に充填する。三次元造形物1を貫通する補強穴3が複数存在する場合には、補強穴3毎に上記のように流動性物質6を充填する。
流動性物質6の流動性が高い場合には、適宜の容器に蓄えられた流動性物質6の内部に、三次元造形物1を浸してもよい。これにより、流動性物質6が補強穴3の内部に自然に流入して、流動性物質6が補強穴3に充填される。
上述では、ステップS2において、修正後三次元形状データに基づく積層造形法により、三次元造形物1を製作したが、修正前三次元形状データに基づいて三次元造形物1を製作してもよい。この場合、ステップS1において修正後三次元形状データを作成せず、ステップS2の後であって、ステップS3を開始する前に、三次元造形物1に補強穴3を形成する加工(例えば切削加工)を行う。
上述の充填方法3について、上述では、取付具55と蓋部57との結合は、蓋部57の内周面57bを取付具55の外周面55aに嵌合または螺合させることにより行われた。これに代えて、取付具55と蓋部57との結合は、取付具55の内周面55b(図8(A)(C)を参照)に蓋部57の外周面を嵌合または螺合させることにより行われてもよい。
上述の充填方法3について、取付具55と蓋部57は、互いに分離不可能に一体で形成されていてもよい。この場合、補強穴3が開口している開口面1dに対する側面である外周面55aに取付具55を取り付けることにより、内部空間59が形成される。また、この場合、蓋部57は、加圧注入装置51(例えば上述のシリンダ51e)に結合されていてもよいし、加圧注入装置51(例えば上述のシリンダ51e)から分離していてもよい。後者の場合、蓋部57の貫通穴57aと注入口51bとはチューブで接続されていてもよい。
Claims (4)
- 三次元造形物の外表面の開口から内部に延びている補強穴に補強材を設けた該三次元造形物の製造方法であって、
(A)製作対象物体の三次元形状に前記補強穴の形状を加えた三次元形状のデータに基づいて積層造形法により前記補強穴を含む三次元造形物を製作し、または、製作対象物体の三次元形状のデータに基づいて積層造形法により三次元造形物を製作し該三次元造形物に前記補強穴を形成し、
(B)前記(A)で製作した前記三次元造形物の材料と異なる流動性物質を、前記補強穴に充填し、
(C)前記補強穴に充填した前記流動性物質を硬化させることにより、該流動性物質を前記三次元造形物の補強材にする、ことを特徴とする三次元造形物の製造方法。 - 前記三次元造形物は、線状に延びる線状部分を含み、
前記補強穴は、前記線状部分の内部において、該線状部分に沿って延びている、ことを特徴とする請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記補強穴は、前記三次元造形物の外表面から、前記三次元造形物の内部へ延びて当該内部において分岐している、ことを特徴とする請求項1または2に記載の三次元造形物の製造方法。
- 前記(B)において、
(B1)三次元造形物の前記外表面において、補強穴が開口している開口面に対する側面である外周面に取付具を取り付け、該取付具に結合された蓋部で前記開口面を覆い、該蓋部と前記開口面により内部空間を形成し、
(B2)前記蓋部を貫通する貫通穴と前記内部空間を通して、前記補強穴に流動性物質を導入することにより、前記補強穴に流動性物質を充填する、ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の三次元造形物の製造方法。
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