JP2015133413A - 静止誘導機器 - Google Patents

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裕之 大野
Hiroyuki Ono
裕之 大野
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Abstract

【課題】 従来の静止誘導機器は、主に上昇流と下降流の対流であり、容量の大きい変圧器を放熱する場合は放熱器を取り付けたり、タンク自体を大きくしたりすることで放熱面積を増やす必要があるために、タンク自体が大形化するという問題があった。
【解決手段】 静止誘導機器である変圧器1は、主に変圧器本体50とタンク20とで構成される。変圧器本体50は、発熱体である鉄心51と巻線52とで構成され、冷却材としての絶縁油4と共に、タンク20内に収納される。タンク20は、側板21の内面に、油面に対し所定の角度で板状部材のガイド3が溶接により取り付けられいる。以上のような構成により、上昇流と下降流の対流による放熱のみならず、側板21の内面表面に螺旋状に下降する下降流による放熱も発生させることで、変圧器の冷却効率を高める効果がある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鉄心と巻線とを有する静止誘導機器において、鉄心と巻線から発生する熱を効率よく冷却する構造に関するものである。
本発明に関連した従来技術として、特許文献1に記載の変圧器の正面断面図を図2に示す。
図2においては、10が変圧器を表しており、50が変圧器本体を表している。変圧器10は、変圧器本体50と、該変圧器本体50を内部に収納するようにタンク20が設けられている。
また変圧器本体50は、鉄心51と巻線52とで構成される。タンク20の内部には冷却材として、絶縁油4が収納されている。以上が、変圧器10の主な構成である。
ここで変圧器10を配電線に接続して運転を行った場合、変圧器本体50の鉄心51および巻線52からは変圧のために、鉄損および銅損が発生する。これら熱がタンク20の内部に篭らないよう、絶縁油4によって冷却される。
この絶縁油の冷却過程について説明する。変圧器本体50から発生する熱(鉄損および銅損によって発生する熱)は、付近の絶縁油4に伝熱される(付近の絶縁油4が変圧器本体50の熱を奪う)。伝熱された絶縁油4は熱により膨張し上昇する。上昇した絶縁油4は油面付近まで達し、タンク20内の空気に放熱される。
上昇した絶縁油4は、さらに下部の変圧器本体50に伝熱された絶縁油によって押し上げられ、側板21側へ押し出され、側板21でも放熱され、その熱は外気へ放熱される。
側板21で放熱された絶縁油4は冷却されることで収縮し、タンク20の側板21に沿って下部へと流れ込む。そこでまた、変圧器本体50に熱せられ、前記に示したような放熱を行う。
以上のような対流(図2のTで示す)を起こすことにより、変圧器本体50の熱を効率良く外部へ放熱し、変圧器本体50の冷却を行っている。
特開2009−117714号公報
しかし対流は主に上昇流と下降流であり、容量の大きい変圧器を放熱させる場合は放熱器を取り付けたり、タンク自体を大きくしたりすることで放熱面積を増やす必要があるために、タンク自体が大形化するという問題がある。
本発明は、タンクを大形化させることなく、効率的に放熱させる静止誘導機器を提供することを目的とする。
上記目的を達するために、請求項1の発明は、
底板と側板とで構成された円筒形状のタンク内に変圧器本体および絶縁油が収納された静止誘導機器において、
前記絶縁油内にあって前記側板の内面側にガイドが設けられ、
前記ガイドは、前記絶縁油の油面に対し所定の角度で取り付けられている静止誘導機器である。
請求項2の発明は、前記ガイドは、板状部材で構成されている請求項1に記載の静止誘導機器である。
請求項3の発明は、前記ガイドは、複数設けられている請求項1または2に記載の静止誘導機器である。
請求項4の発明は、前記ガイドは、前記油面に対し全て同じ所定の角度で取り付けられている請求項3に記載の静止誘導機器。
請求項5の発明は、前記ガイドは、変圧器本体の長手方向に対向するタンク内の側板の面に取り付けられている請求項1乃至4に記載の静止誘導機器。
本発明によれば、一次流としての上昇流と下降流の対流のみならず、ガイドにより、二次流としてタンク側板の内面に沿って螺旋状の下降流を起こすことにより、一次流による放熱効果と、二次流による放熱効果も得られることから、トータルとして大きな放熱効果を得ることができる。
(A)が本発明の実施形態における静止誘導機器である変圧器の上面図を示したものである。(B)が(A)のII−II線断面矢視図を示したものである(ただし、変圧器本体を示す図は省略している)。(C)が変圧器本体の正面図を示したものである。(D)がガイドを示したものである。またいずれも変圧器蓋を示す図は省略している。 従来の静止誘導機器である変圧器の正面断面図を示したものである。
以下、図1に基づき本発明の実施形態について説明する。
1は静止誘導機器である変圧器を示している。図1(A)に示すように、変圧器1は主に変圧器本体50と、該変圧器本体50を内部に収納するためのタンク20とで構成される。またタンク20上端には図示しない変圧器蓋が設けられている。
変圧器本体50に関しては、図1(C)に示すように鉄心51と巻線52と、コア締め53とで構成される。鉄心51の2つの脚部にそれぞれ巻線52が巻装され、詳細な説明は省くが、これら鉄心51と巻線52同士をしっかりと固定させるために、鉄心51の下端と上端にコア締め53が設けられ、図示しないコア締めバンドで固定されている。
次にタンク20について、図1(B)に基づき説明する。なお図1(B)は、(A)のII−II線断面矢視図であり、またタンク20の構造を詳細に説明するために、変圧器本体50を示す図と、変圧器蓋を示す図は省略している。
タンク20は、円筒形状の鋼板で形成されており、主に側板21と底板22とで構成されている。底板22の下面にはリング状のベース23が溶接によって取り付けられ、変圧器1を地面に置く際に、底板22を傷付けないよう設けられている。
タンク20内には、また冷却材として絶縁油4が収納されており、絶縁油4の油面から上は空気層7が設けられている。
ここで、タンク20の側板21の内面側にはガイド3が溶接により取り付けられている。ガイド3は、図1(D)に示すような略長方形の板状部材の金具で構成され、長手方向を幅方向とし、短手方向を高さ方向と定義する。また幅方向の両端を一端と他端とし、高さ方向の両端を一辺と他辺と定義する。図1(D)では、幅方向の両端が削り取られ、丸みが形成された辺を一辺(紙面の上側の辺)とし、一辺の反対側を他辺とする。ガイド3の取り付け状態については、図1(A)および(B)に基づき以下に説明する。
図1(A)および(B)に示すようにガイド3は、他辺が側板21の内面側に溶接により取り付けられる。これにより、ガイド3の一辺は巻線52に近い位置となるが、ガイド3の一辺の両端は丸みを帯びた形状であるので、電界集中を緩和することができる。
またガイド3は、変圧器1を系統に配置した時の油面に対し、約45°傾けた角度で取り付けられている。なお、本実施形態では45°としているが、角度は任意で良い(ただしガイド3を油面に対し、水平に取り付けた場合は放熱効果が見込めないため、油面に対し、所定の角度に傾けて取り付けるのが良い)。
またガイド3は、側板21の内面側に複数溶接により取り付けられている。本実施形態では複数のガイド3は、図1(A)に示すように、変圧器本体50の長手方向(2つの巻線52が並ぶ方向)に対し、向かい合う側板21の内面側に取り付けられている。
複数のガイド3は、それぞれ油面に対し約45°と同じ角度で取り付けられているとともに、油中に配置されている。また図ではガイド3の幅方向長さは個々に差異を設けているが、全て同じ幅方向長さのガイドとしても良い。この場合、ガイド3の幅方向において、油面に近い方を一端、底板に近い方を他端とすれば、ガイド3の一端は油面より上に配置されることもある。
なおガイド3の高さは、後述する一次流が弱まらない程度の高さにしておく。前記高さは、予め実験等により一次流が弱まらない程度で求められた高さである。
次に、変圧器1の運転中の絶縁油の動き(対流)について説明する。
変圧器1を系統に連結し、運転した場合は、変圧器本体50の鉄心51および巻線52からは、鉄損および銅損による熱が発生する。これらが熱として変圧器本体50から放熱され、その熱が絶縁油4へ伝って対流を起こし、外部へ放熱されることは既に説明した。
ここで、背景技術で記した図2のTで示す対流を一次流とする。本実施形態でも、図2に示した一次流は発生し、一次流により変圧器本体50の熱は外部へ放熱される。さらに、図1(A)および(B)に示した位置にガイド3を設けていることによって、ガイド3の位置で下降する絶縁油4は、側板21の内面側の表面を螺旋状に下降する。これを二次流とする。なお、一次流が弱まらない程度のガイド3の高さとしたことによって、側板21の内面側の表面付近のみ二次流が発生していることになる。すなわち、一次流と二次流が合わさった対流が発生していることになる。
本実施形態では、この一次流による放熱だけでなく、二次流による放熱をも加えられることで放熱効率を大幅に上げることができるところに特徴がある。
なお本実施形態では、ガイドを設ける範囲を図1(A)および(B)に示す位置(変圧器本体50の長手方向に対し、向かい合う側板21の内面側)に限定しているが、この位置は、スペースが大きく下降流が多いので、二次流を発生させるのに適しているためである。さらにこの位置でガイドを設けることは、高圧である巻線52との絶縁距離も十分取れることで適している。ただし、前記位置に限定する必要はなく、ガイド3を側板21の内面側の全周に設けても良い。
また本実施形態では、ガイド3の他端を底板22付近まで設けているが、底板22付近まで設ける必要はなく、例えば油面高さの半分程度にとどめても良い。つまり、ガイド3は油面下であればどの位置に設けても良い。
1 変圧器
3 ガイド
4 絶縁油
20 タンク
21 側板
22 底板
50 変圧器本体

Claims (5)

  1. 底板と側板とで構成された円筒形状のタンク内に変圧器本体および絶縁油が収納された静止誘導機器において、
    前記絶縁油内にあって前記側板の内面側にガイドが設けられ、
    前記ガイドは、前記絶縁油の油面に対し所定の角度で取り付けられている静止誘導機器。
  2. 前記ガイドは、板状部材で構成されている請求項1に記載の静止誘導機器。
  3. 前記ガイドは、複数設けられている請求項1または2に記載の静止誘導機器。
  4. 前記ガイドは、前記油面に対し全て同じ所定の角度で取り付けられている請求項3に記載の静止誘導機器。
  5. 前記ガイドは、変圧器本体の長手方向に対向するタンク内の側板の面に取り付けられている請求項1乃至4に記載の静止誘導機器。
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