JP2015133203A - 非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法、非水電解質二次電池用負極活物質、非水電解質二次電池用負極、及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、Siは、黒鉛の約11倍の容量を持っているために、Liの吸蔵放出に伴う体積変化も大きくなる。具体的には、Liの吸蔵により体積が約4倍増加する。
特許文献1〜4には、金属酸化物粒子を用いた負極において、充放電容量を向上させることの可能な電池が開示されている。
また、特許文献1には、上記電極活物質を、X値が2未満であるSiOXをフッ酸処理することで製造することが開示されている。
また、特許文献2には、シラン化合物をリチウム金属と反応させて、シリコン酸化物前駆体を製造するステップと、シリコン酸化物前駆体を不活性雰囲気下で400ないし1300℃の温度範囲で焼成させるステップと、を含むシリコン酸化物系負極活物質の製造方法が開示されている。
また、特許文献2に開示された方法は、シリコン酸化物粒子自体の合成工程を含むため、市販のシリコン酸化物を加工する場合と比較して、製造工程が煩雑になってしまう。
また、特許文献3,4に記載の方法を用いた場合、製造工程が煩雑になってしまうという問題があった。
よって、混合物を焼成させる温度を600℃以上1500℃未満にすることで、非水電解質二次電池用負極活物質の充放電容量を十分に向上させることができる。
これにより、リチウム(Li)を吸蔵した際の非水電解質二次電池用負極活物質の体積膨張が大きくなるため、非水電解質二次電池用負極活物質を含む非水電解質二次電池用負極のサイクル特性が低下してしまう。
よって、シリコン酸化物粒子の平均粒径を、d50(メジアン径)で0.5μm以上10μm未満とすることで、サイクル特性の低下を抑制した上で、充放電容量を向上させることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の概略構成を示す断面図である。図1では、非水電解質二次電池の一例として、リチウムイオン二次電池を例に挙げて説明する。
負極集電体24としては、例えば、銅箔やステンレス(SUS)箔等を用いることができる。負極集電体24の厚さは、例えば、数μm〜数十μmの範囲内で適宜設定することができる。
非水電解質二次電池用負極活物質層25と側壁11−2との間には、円筒状の空間が形成されている。
図2において、Cは非水電解質二次電池用負極活物質30の中心(言い換えれば、非水電解質二次電池用負極活物質30を構成する(母材となる)シリコン酸化物粒子29の中心)、Dは非水電解質二次電池用負極活物質30の表面30a(言い換えれば、シリコン酸化物粒子29の表面29a)を基準としたときの第1の部分31の深さ(以下、「深さD」という)をそれぞれ示している。
図2を参照するに、非水電解質二次電池用負極活物質30は、シリコン酸化物粒子29を母材として製造されており、非水電解質二次電池用負極活物質30の表面30aから100nm未満の深さDまでの部分を構成する第1の部分31と、第1の部分31よりも内側に位置する部分を構成する第2の部分32と、を有する。
非水電解質二次電池用負極活物質30の平均粒径は、例えば、d50(メジアン径)で0.1〜50μmの範囲内で設定することができる。
これにより、非水電解質二次電池用負極活物質30の充放電容量を向上させることができる。
その後、エネルギー分散形X線分析装置(EDX(Energy Dispersive X−ray))を用いて、該サンプルの切断面の元素分析を行うことで、第1の部分31の深さDを求めることができる。
なお、導電助剤としては、カーボンブラックとその他の導電剤(例えば、カーボンファイバー)とが混合された導電助剤も好ましい。
また、導電助剤の含有量が活物質の重量に対して、90重量%以上であると、活物質量が不足してリチウム吸蔵容量が低下してしまう。
リチウムの吸蔵に起因する体積変化が大きい場合には、結着力の強いバインダ樹脂(例えば、ポリイミド樹脂)が好ましい。
円形部15−1の直径は、負極ケース11の円形部11−1の直径よりも小さくなるように構成されている。円形部15−1は、その内面(正極18が配置される面)が負極ケース11を構成する円形部11−1の内面と対向するように、円形部11−1の上方に配置されている。円形部15−1の外面は、正極の端子として機能する。
上記構成とされた正極ケース15は、ガスケット16を介して、負極ケース11に固定されている。
ガスケット16としては、公知のガスケットを用いることができる。
正極18は、Li金属箔や正極活物質層と、正極集電体(図示せず)と、が積層された積層構造とすることができる。
正極活物質層を構成する正極活物質は、リチウムの吸蔵放出が可能なものであればよく、公知のリチウムイオン二次電池用の正極活物質を用いることができる。
なお、正極活物質として、上記活物質を複数混合させて用いてもよい。
セパレータ19としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン製の微孔膜、芳香族ポリアミド樹脂製の微孔膜、不織布、無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート等を用いることができる。
また、電解質Bとしては、LiBF4、LiPF6のうちの1種または2種以上を混合したリチウム塩が好ましい。
非水電解質二次電池用負極活物質30は、SiOX(0.8≦X<2.0)とされたシリコン酸化物粒子29と還元剤(以下、「還元剤E」という)とを混合させた混合物(以下、「混合物F」という)を、非酸化性雰囲気下で焼成することで製造する。
これにより、シリコン酸化物粒子29の表面29aから100nm未満の深さまでに位置する第1の部分31を構成するシリコン酸化物がSiOX(0.8≦X)となるため、非水電解質二次電池用負極活物質の充放電容量を十分に向上させることが困難となる。
よって、混合物Fを焼成させる温度を600℃以上1500℃未満にすることで、非水電解質二次電池用負極活物質30の充放電容量を十分に向上させることができる。
還元剤Eとしては、例えば、ポリイミド系樹脂を用いることができる。このように、還元剤Eとしてポリイミド系樹脂を用いることで、簡便にシリコン酸化物粒子29の表面のみを還元することができる。
上記ポリイミド系樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸構造時のポリイミド等を用いることができる。また、還元剤Eとしては、例えば、ポリアミド樹脂が好適である。
湿式法を用いる場合の溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、アミド系溶媒を用いるとよい。
シリコン酸化物粒子29の平均粒径が、d50(メジアン径)で0.5μm未満であると、非水電解質二次電池用負極活物質30全体に対してSiOX(0<X<0.8)となる部分の割合が高くなってしまう。
これにより、リチウム(Li)を吸蔵した際の非水電解質二次電池用負極活物質30の体積膨張が大きくなり、非水電解質二次電池用負極活物質30を含む非水電解質二次電池用負極13のサイクル特性が低下してしまう。
よって、シリコン酸化物粒子29の平均粒径を、d50(メジアン径)で0.5μm以上10μm未満とすることで、サイクル特性の低下を抑制した上で、充放電容量を向上させることができる。
これにより、非水電解質二次電池用負極活物質30の表面30a側に位置するOの割合を少なくして、理論容量を高めることができる。
始めに、上記方法により製造された非水電解質二次電池用負極活物質30と、導電助剤と、バインダ樹脂と、溶媒と、を混合させることで負極用スラリー(以下、「負極用スラリーG」という)を作製する。
次いで、負極用スラリーGを所定の領域に塗布し、その後、乾燥させることで、非水電解質二次電池用負極活物質層25が製造される。
<実施例1の非水電解質二次電池用負極活物質の作製、及び第1の部分の深さDの測定>
実施例1では、下記手法により、図2に示す非水電解質二次電池用負極活物質30を作製した。
始めに、日立化成株式会社製のポリアミドイミド樹脂バインダ溶液(20%溶液、HPC−9000−21)4gに、平均粒径がd50(メジアン径)で6.6μmのシリコン酸化物粒子(株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ社製) 13.5gと、N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学株式会社製)30.0gと、を加え、2時間撹拌することで、混合液を作製した。
このとき、非水電解質二次電池用負極活物質30の表面から100nm未満の深さまでの区間(第1の部分31)において、10か所(10ポイント)の元素分析を行った。
その後、OとSiとで100atmic%になるように、算出された定量値からSiOXのXの値を求めたところ、X=0.7であった。
次いで、ポリアミドイミド樹脂バインダ溶液4.3gをN−メチル−2−ピロリドン11.9gに分散させ、そこにアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製のHS−100(型番))0.88gと、カーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製のVGCF−H(型番))0.88gと、を加えて、卓上ディスパーで撹拌することで混合液を作製した。このときの撹拌時間は、1時間とした。
次いで、実施例1で作製した非水電解質二次電池用負極13を用いて、図1に示す構造体と同様な構成とされた2032型コインセルを作製した。
このとき、実施例1の非水電解質二次電池用負極13は、直径15mmの円形に加工して用いた。
非水電解液22としては、体積比でエチレンカーボネート(EC):ジエチルカーボネート(DMC)=3:7となる混合溶液に、LiPF6を1mol/Lとなるように加えたものを使用した。
実施例1で行ったあるアルゴン雰囲気下での焼成条件を異ならせたこと以外は、実施例1と同様な手法により、実施例2のコインセルを作製した。
実施例2では、焼成温度を1000℃、焼成時間を10分として、焼成処理を行った。
実施例1で行ったあるアルゴン雰囲気下での焼成条件を異ならせたこと以外は、実施例1と同様な手法により、比較例1のコインセルを作製した。
比較例1では、焼成温度を500℃、焼成時間を15分として、焼成処理を行った。
比較例2では、ポリアミドイミド樹脂バインダ溶液と平均粒径がd50(メジアン径)で6.6μmのシリコン酸化物粒子とを混合させないで、かつ、アルゴン雰囲気下での焼成処理を行わないこと以外は、実施例1と同様な手法により、比較例2のコインセルを作製した。
比較例3では、ポリアミドイミド樹脂バインダ溶液と平均粒径がd50(メジアン径)で6.6μmのシリコン酸化物粒子とを混合させないで、言い換えれば、ポリアミドイミド樹脂バインダ溶液を用いないこと以外は実施例1と同様な手法により、比較例3のコインセルを作製した。
次いで、実施例1,2のコインセル、及び比較例1〜3のコインセルを用いて、コインセルの充放電の評価試験を行った。
具体的には、0.05Cの定電流充電及び−0.05Cの定電流放電と、0.1Cの定電流充電及び−0.1Cの定電流放電と、0.2Cの定電流充電及び−0.2Cの定電流放電と、を続けて行った後、0.2Cの定電流充電及び−1.0Cの定電流放電で放電容量の確認とサイクル試験(60サイクル)を行った。また、充放電は、0.01〜1.5Vで行った。
この結果を表1に示す。また、表1には、実施例1,2、及び比較例1〜3の非水電解質二次電池用負極活物質層の製造条件の一部を示す。
表1において、初期放電容量とは、満充電後の初回の放電時の容量のことをいう。
実施例1,2の非水電解質二次電池用負極活物質30の第1の部分31では、SiOXのXの値が0.6〜0.7まで低下し、実施例1,2のコインセルでは、焼成処理を実施していない比較例2のコインセルよりも初期放電容量が向上した。
60サイクル後の充放電評価結果から、放電容量の序列は初期放電容量と同様であり、実施例1,2の非水電解質二次電池用負極のサイクル特性は、良好であった。
Claims (8)
- SiOX(0.8≦X<2.0)とされたシリコン酸化物粒子と還元剤とを混合させた混合物を、不活性ガス雰囲気下で焼成することを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
- 前記混合物を焼成させる温度は、600℃以上1500℃未満であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
- 前記還元剤として、ポリイミド系樹脂を用いることを特徴とする請求項1または2記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
- 前記シリコン酸化物粒子の平均粒径が、d50(メジアン径)で0.5μm以上10μm未満であることを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
- 請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法により製造された非水電解質二次電池用負極活物質であって、
前記非水電解質二次電池用負極活物質は、該非水電解質二次電池用負極活物質の表面から100nm未満の深さまでの部分を構成する第1の部分と、前記第1の部分よりも内側に位置する部分を構成する第2の部分と、
を有し、
前記第1の部分がSiOX(0<X<0.8)で構成され、
前記第2の部分がSiOX(0.8≦X<2.0)で構成されていることを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質。 - 請求項5記載の前記非水電解質二次電池用負極活物質を含むことを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
- 負極集電体と、
前記負極集電体上に積層され、前記非水電解質二次電池用負極活物質を含む非水電解質二次電池用負極活物質層と、
を有することを特徴とする請求項6記載の非水電解質二次電池用負極。 - 請求項6または7記載の前記非水電解質二次電池用負極と、
前記非水電解質二次電池用負極を収容し、該非水電解質二次電池用負極と電気的に接続される負極ケースと、
前記負極ケースと対向配置され、かつ側壁が該負極ケースの側壁に囲まれる正極ケースと、
絶縁性を有し、前記負極ケースの側壁と前記正極ケースの側壁との間に配置され、前記負極ケース及び前記正極ケースで区画された空間を気密するガスケットと、
前記正極ケースに収容され、一面が前記正極ケースと接触する正極と、
前記非水電解質二次電池用負極と前記正極との間に配置され、該非水電解質二次電池用負極と該正極とを電気的に絶縁するセパレータと、
前記空間に収容された非水電解液と、
を有することを特徴とする非水電解質二次電池。
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