JP2015131422A - レーザ印字カードの印刷・印字方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のレーザ印字カードの印刷・印字方法は、白色の支持層と該支持層の少なくとも一の面に、レーザビーム照射により黒色に発色するレーザ発色層を有するカード用基材100の該レーザ発色層上に、透明なオフセットアンカー層103を形成してから、オフセット灰色印刷層108と、濃色部と淡色部がおおよそ印字行に従い変化する絵柄印刷104をオフセット印刷により設け、さらに必要により該絵柄印刷上に透明オーバープリント印刷105を設け、該印刷面上からレーザビーム照射を行って2行ないし4行の文字印字を行う際に、1行もしくは2行または各行を異なる印字条件で印字して、各行文字の視認性を高めることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
例えば、カードナンバー印字部分が濃色の絵柄であって、より下段のカード利用者氏名印字部分が明るい絵柄である場合、双方を同じ黒発色の文字で印字すると、利用者氏名は見易いが、カードナンバー部分は、濃色の絵柄に紛れて視認し難い状態になる。
なお、カードの印字はその長辺に平行して、2乃至4行に印字するのが通常である。
そこで、本発明は、カードにレーザ印字を行う際に、(1)照射レーザの印字条件を変えることにより印字自体に濃淡を持たせることと、(2)印刷に使用するインキ層(灰色印刷層)をカード表面に設け、当該インキ層とレーザ印字条件を組み合せることで、カードの絵柄との関係で印字の濃淡および発色状態を変えることを企図するものである。
特許文献1は、支持層とレーザビーム照射により発色する発色層を少なくとも一の面に有するカード用シートについて記載している。発色前の発色層は可視光透過性を有し、ポリエステル系樹脂からなることを要件としている。発色剤については、光熱変換による発熱によって有色金属酸化物を形成する各種金属を挙げているが、特に限定してはいない。
発色剤については、特許文献1と同様に、発熱によって有色金属酸化物を形成する各種金属や光吸収剤を挙げているが特には限定していない。ただし、同文献中の実施例ではスズ系発色剤を使用している。
カードの文字表示は、従来からエンボスにより表示しており、文字の発色濃度を可変にする先行文献を検出することはできない。
通常は、レーザ発色基材を用いて印字を行うと黒発色となるが、レーザビーム照射時の解像度を調整することにより、白色から濃黒まで明るさを調整できる。また、印刷時に酸化チタン(TiO2)などの金属を含有するインク(オフセット印刷用の白や灰色)で印刷を行い、レーザ印字条件やインキ層の調整によりレーザ発色層の発色度合いを変更し、金属含有インキ層を背景としたグレイ文字や白色文字等の印字も可能とする。
本発明の適用されるレーザ印字カード1は、代表的には接触型ICカードであって、ISOで規定する所定位置に接触端子板11を有し、接触端子板11の下側(内面)には図示しないICチップが実装されている。レーザ印字カード1の表面には、カードナンバー12や有効期限13、利用者氏名14等が、2行乃至4行で印字されている。
従来、このような印字は、活字輪を用いてカードの表裏から押圧することで形成するエンボス文字が使用されてきたが、本発明では、このエンボス文字に代えて基材の発色層をレーザビームにより発色させて印字する特徴がある。
従って、カード用基材には、表裏面(または少なくとも表面)にレーザ印字適性を有するものが使用され、単層基材の表裏に印刷後、裁断しICモジュールを装着し、レーザ印字してカードを完成する。従来のように、表裏のコアシートに印刷してからオーバーシートを積層して丁合し、プレスラミネートする工程を経ないで製造できる特徴がある。
おおよそとは、絵柄はさまざまであり、行が変わる毎に濃度が正しく変化するような絵柄はむしろ少なく、全体的に観察して濃淡の諧調があればよいという意味である。
有効期限13部分周囲の絵柄は、やや明るい色調であり、適度な印字濃度の調整が必要となる。
一方、利用者氏名14部分は、周囲の絵柄が殆ど白色に近く明るいため、利用者氏名14は通常のように黒く(暗く)印字することで視認性を高くできる。
このような印字の視認性の調整は、第1に照射レーザビームの印字条件、主として解像度dpi(1インチの直線をいくつのドット(点)で表現するかの単位)を調整することにより可能である。
すなわち、ICカード発行機には、印字用のレーザモジュールが付設されているが、解像度200〜1000dpiの範囲で調整可能であり、その変更により濃淡調整できる。
第2に、印字部分のオフセット絵柄印刷の下に金属を含む顔料インキで灰色印刷をすることであるが、これについては別に詳述する。
図5は、本発明で使用するカード用基材の断面図である。カード用基材100は、白色の支持層101と該支持層の少なくとも一の面に、レーザビーム照射により黒色に発色する発色層102を有している特徴がある。図5では、支持層101の両面に発色層102を有する材料が図示されているが、裏面に印字を設けない場合は表面印字側にのみ発色層102を有するものでも良い。
カード基材100の表裏の発色層102には、ポリカーボネート樹脂と非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(PET−G樹脂)のポリマーアロイ樹脂を、支持層101にはポリカーボネート樹脂を使用し、この3層を共押し出しした材料が通常使用される。ただし、この材料に限定されるものではない。
発色層102中には、発色剤が分散されているが、発色層を形成する樹脂の屈折率と、混合する発色剤の屈折率との差は小さいことが好ましく、屈折率の差が小さくなるようにすることにより、発色層102の可視光透過性を高めることができるからである。
図2は、第1の実施形態によるレーザ印字カード1の模式断面図である。図1のカードの短辺に平行し、3行の印字行12,13,14に交差する断面を示している。
オフセット絵柄印刷104は、例えばではあるが、カードの上辺(図2では左側)が明るい色調、接触端子板11を含む中央部近くが濃色であって、下辺に向かい徐々に明るくなり、最下辺(図2では右側)は白色に近い淡色になっている。
図中に示す孔B1,B2,B3は、レーザビームによる印字状態を示すもので、B1はカードナンバー12、B2は有効期限13、B3は利用者氏名14部分の印字である。
ただし、実際には数μmの深さであり、微細な文字幅であっても視覚で孔と認識されるものではない。以降の図3、図4の各例も同じであり同様に模式的に図示している。
オフセット印刷による灰色印刷層108は、白色インキと黒色インキの混色インキであり、白色インキには金属系である酸化チタン(TiO2)顔料が入るため、オフセット印刷であってもレーザビームによる消失がし難くなっている。金属系顔料は解離エネルギーが大きいからである。
灰色と言っても、白色から黒色の間であって幅があるが、ここでは比較的明るい灰色を使用するのが好ましい。例えば、反射濃度で0.15から0.80程度に印刷するのが好ましい。この濃度は反射型グレイスケール(KODAK photographic step tablet no.3)で最初のステップA(反射濃度0.05)と次のステップ(反射濃度0.20)の中間から6番目のステップ(反射濃度0.80)程度とするのが好ましい。なお、コダック社の反射型グレイスケールは、最初のステップが0.05の反射濃度で、ステップ毎に順次0.15の濃度で増加するようにされている。反射濃度が1.70を超えると視覚的には殆ど黒く見える。
一方、孔B3は白色に近い淡色部にあるので、発色層102を黒発色させるのが好ましい。孔B2は、中間的な濃度の絵柄部分にあるので、印字文字と絵柄とのコントラスト比が出し難い部分である。この領域では、絵柄が明るい領域に近いか、暗い領域に近いかを考慮して、白色文字にするか黒色文字にするかを決定する必要がある。図2では、黒色文字状態を示している。
第2の実施形態のカード1は、カード用基材100の該発色層102上に、透明なオフセットアンカー層103を形成してから、オフセット印刷による灰色印刷層108と濃色部と淡色部を有するオフセット絵柄印刷104を設けた構成になっている。第1の実施形態とは、オフセット印刷によるオーバープリント印刷が無いことのみの違いである。
オフセット絵柄印刷104およびその下層の印刷層が十分な耐久性を有する場合は、オーバープリント印刷を省略できるからである。B1,B2,B3の印字状態は第1の実施形態と同様にされている。
カードへのレーザ印字は、カード発行機を用いて行う。カード発行機には各種モジュールの一つとして、レーザ印字機が備えられている機種を使用する。
レーザビームにはファイバーレーザ(発振波長1.06μm)が使用される。
パルスエナジーは、10mJであり、レーザビームで刻印される黒点1つあたりのサイズは20〜90μmの径である。
レーザ発色層102の黒化濃度は、レーザビームの出力と照射密度dpiで変化させ得るが、通常は出力を一定にして照射密度dpiで調整できる。すなわち、dpiが小さければ白色に近い灰色になり、dpiの増加に伴い濃度を増して黒化する。
総厚が800μであって、中心の支持層101が厚み670μmのポリカーボネート樹脂からなり、その両面に厚み65μmのPET−G樹脂からなりモリブデン化合物による黒色発色剤を含む透明なレーザ発色層102を全面に有する3層共押し出ししたカード用基材(三菱樹脂株式会社製造)100を使用して、接触型ICカードであるレーザ印字カード1を製造した。
まず、基材100の表面側の発色層102面上に、アクリル系紫外線硬化型インキからなるオフセット用アンカーインキを印刷して透明なオフセットアンカー層103を形成した。続いて、いずれもアクリル系紫外線硬化型インキからなるオフセット灰色印刷層108と、濃色部と淡色部がおおよそ印字行に従い変化するオフセット絵柄印刷104と、全面の透明オフセットオーバープリント印刷105を印刷した(図2参照)。それぞれのインキ膜厚は、何れも1μm未満のものである。
なお、オフセット印刷による灰色印刷層108の反射濃度は、0.20〜0.35の濃度(コダック社のphotographic step tablet no.3の第2、第3段階の濃度相当)であった。また、フセット絵柄印刷104の濃色部は、白黒濃度換算反射濃度で0.95〜1.10程度のものである。
試験例1と同一のカード用基材100を使用して、接触型ICカードであるレーザ印字カード1を製造した。
まず、基材100の表面側の発色層102面上に、アクリル系紫外線硬化型インキからなるオフセット用アンカーインキを印刷して透明なオフセットアンカー層103を形成した。続いて、いずれもアクリル系紫外線硬化型インキからなるオフセット灰色印刷層108と、濃色部と淡色部がおおよそ印字行に従い変化するオフセット絵柄印刷04を、試験例1と同一の条件で印刷した。
なお、透明なオフセットオーバープリント印刷105は行っていない(図3参照)。
それぞれのインキ膜厚は、何れも1μm未満のものである。
図4は、比較例によるカードの模式断面図である。
試験例1と同一のカード用基材100を使用して、接触型ICカードであるレーザ印字カード1を製造した。
まず、基材100の表面側の発色層102面上に、アクリル系紫外線硬化型インキからなるオフセット用アンカーインキを印刷して透明なオフセットアンカー層103を形成し、続いて、いずれもアクリル系紫外線硬化型インキからなるオフセット印刷による濃色部と淡色部がおおよそ印字行に従い変化するオフセット絵柄印刷104と透明なオフセットオーバープリント印刷105を行った。それぞれのインキ膜厚は、何れも1μm未満のものである。
その結果、試験例1の場合は、オフセットオーバープリント印刷層105とオフセット絵柄印刷104の一部が消失し、試験例2の場合は、オフセット絵柄印刷104の一部が消失したため、B1の印字行は濃色の絵柄中の白抜き文字のように印字され、いずれも視認性が優れていた。これは、灰色印刷層108が視覚的には白く見えるためである。
しかし、B2、B3の印字行は、淡い絵柄中に埋もれたようになっていて殆ど識別できなかった。
比較例1の場合は、B1,B2,B3の印字行は、発色層102が僅かに灰色に発色しているが視認性は低かった。
その結果、試験例1の場合は、オフセットオーバープリント印刷105とオフセット絵柄印刷104、オフセット灰色印刷層108、オフセットアンカー層103が完全に消失し、試験例2の場合は、オフセット絵柄印刷104とオフセット灰色印刷層108、オフセットアンカー層103が完全に消失し、試験例1も試験例2もレーザ発色層102が不完全に発色したため、B1の印字行は、いずれも濃色の絵柄中にグレイ発色で印字され多少の視認性が認められたが、解像度300dpiのものより視認性は低下していた。
B2,B3の印字行は淡い絵柄中に埋もれたようになっていて視認性は低かった。
比較例1の場合は、オフセットオーバープリント印刷層105とオフセット絵柄印刷104、オフセットアンカー層103が完全に消失し、B1の印字行は、レーザ発色層102が黒発色しているが、濃色の絵柄に埋もれて殆ど識別できなかった。B2,B3の印字行は、レーザ発色層102が黒発色していて視認性が認められた。
その結果、試験例1の場合は、オフセットオーバープリント印刷層105とオフセット絵柄印刷104、オフセット灰色印刷層108、オフセットアンカー層103が完全に消失し、発色層102が濃いグレイ発色したため、試験例2の場合は、オフセット絵柄印刷104とオフセット灰色印刷層108、オフセットアンカー層103が完全に消失し、発色層102が濃いグレイ発色したため、いずれも濃色の絵柄中のB1の印字行は、殆ど識別できず視認性が認められなかった。B2,B3の印字行は淡い絵柄に対して、発色しており視認性は高かった。
比較例1の場合は、オフセットオーバープリント印刷層105とオフセット絵柄印刷104、オフセットアンカー層103が完全に消失し、B1の印字行は、レーザ発色層102が黒発色しているが、濃色の絵柄に埋もれて殆ど識別できなかった。B2,B3の印字行は、レーザ発色層102が黒発色していて視認性が高かった(図4参照)。
また、淡色の絵柄中にある印字行B2,B3は、解像度500dpiで印字すれば、試験例1と試験例2のカードでも視認性を高くできることが確認された。
試験例1のカードについて、印字行B1を解像度300dpiで印字し、印字行B2とB3を解像度500dpiで印字した結果、いずれの印字行でも視認性の高い印字文字を有する最良のICカードが得られた。
試験例2のカードについて、印字行B1を解像度300dpiで印字し、印字行B2とB3を解像度500dpiで印字した結果、いずれの印字行でも視認性の高い印字文字を有する最良のICカードが得られた。
11 接触端子板
12 カードナンバー
13 有効期限
14 利用者氏名
100 カード用基材
101 支持層
102 発色層
103 オフセットアンカー層
104 オフセット絵柄印刷
105 オフセットオーバープリント印刷
108 オフセット灰色印刷層、オフセット印刷による灰色印刷層
B1 カードナンバー部分の印字
B2 有効期限部分の印字
B3 利用者氏名部分の印字
Claims (5)
- 白色の支持層と該支持層の少なくとも一の面に、レーザビーム照射により黒色に発色するレーザ発色層を有するカード用基材の該レーザ発色層上に、透明なオフセットアンカー層を形成してから、オフセット印刷による灰色印刷層と、濃色部と淡色部がおおよそ印字行に従い変化するオフセット絵柄印刷を設け、さらに該オフセット絵柄印刷上に透明オフセットオーバープリント印刷を設け、該オフセットオーバープリント印刷面上からレーザビーム照射を行って2行乃至4行の文字印字を行う際に、1行もしくは2行または各行を異なる印字条件で印字して、各行文字の視認性を高めることを特徴とするレーザ印字カードの印刷・印字方法。
- 白色の支持層と該支持層の少なくとも一の面に、レーザビーム照射により黒色に発色するレーザ発色層を有するカード用基材の該レーザ発色層上に、透明なオフセットアンカー層を形成してから、オフセット印刷による灰色印刷層と、濃色部と淡色部がおおよそ印字行に従い変化するオフセット絵柄印刷を設け、該オフセット絵柄印刷面上からレーザビーム照射を行って2行乃至4行の文字印字を行う際に、1行もしくは2行または各行を異なる印字条件で印字して、各行文字の視認性を高めることを特徴とするレーザ印字カードの印刷・印字方法。
- オフセット印刷による灰色印刷層の反射濃度が、0.20〜0.80の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のレーザ印字カードの印刷・印字方法。
- カード用基材のレーザ発色層の黒化濃度がレーザビームの解像度の変更により調整されることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1の請求項記載のレーザ印字カードの印刷・印字方法。
- カード用基材の支持層がポリカーボネート樹脂からなり、レーザ発色層がポリカーボネートとPET−G樹脂のポリマーアロイ樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1の請求項記載のレーザ印字カードの印刷・印字方法。
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