特許文献1のノブ構造によれば、スイッチノブとスライド板とが本体ケースを介して固定されている構成なので、スイッチノブとスライド板とが直接正対した状態で固定されていない。このため前後ケースの組み付け前にスイッチノブとスライド板を組み付けることはできるが、前後ケースの組み付け後にスイッチノブとスライド板を組み付けることはできない。また、特許文献1のきわ剃刃構造によれば、スイッチノブをオン位置からきわ剃位置へスライド移動した状態においてきわ剃刃を作動姿勢に切換えて、振動子の往復動力をきわ剃刃に伝動できる。しかし、スイッチノブの押上げ動作をリンクバーで揺動動作に変換したのち、リンクバーの下方揺動動作を切換えレバーできわ剃刃に伝えるので、中間伝動構造などの構成部品点数が多く、しかも各部品の組立に余分な手間が掛かるため、電気かみそりの全体コストが嵩む。また、構成部品点数が多い分だけ集積誤差の影響を受けやすく、稀にきわ剃刃の起伏動作がぎくしゃくすることがあった。
本発明の目的は、スライドノブの組み付け性を向上できる電気かみそりを提供することにある。
本発明の目的は、筒状に形成されたケース構造の段階でスライドノブを組み付け可能な電気かみそりを提供することにある。
本発明の目的は、リンクやレバーなどの中間伝動構造を使用する必要もなくトリマーユニットの姿勢を確実に切換えることができ、従ってトリマーユニットの姿勢切換構造を著しく単純化してコストを削減できる電気かみそりを提供することにある。
本発明の目的は、スライド動作を伝動するための中間伝動構造や連結構造を省略することができ、従って落下衝撃などを受けて連結部分が分離する余地がなく、トリマーユニットを常に円滑に起伏揺動できる電気かみそりを提供することにある。
本発明に係る電気かみそりは、刃部2を有する本体ケース1の外面に、本体ケース1の内部に設けたモーター4への通電をオン・オフするスライドノブ33を設けている。スライドノブ33は、ノブ本体35と、ノブ本体35の背面に直接正対する状態で固定される背面構造体36とで構成されている。背面構造体36に、スライドノブ33をオフ位置においてスライド不能にロック保持するロック構造の弾性ロック腕45と、スライドノブ33をオフ位置、オン位置の各位置において位置保持する節度構造の弾性腕46と、弾性ロック腕45を弾性変形させてロック解除操作する解除ボタン48と、スイッチ端子50を装着するための端子装着部47とが一体で設けられている。
ノブ本体35と背面構造体36とが、背面構造体36の周縁の複数個所に設けた固定部Mで一体化されている。背面構造体36における弾性ロック腕45と弾性腕46の配置位置を、左右で対を為す固定部Mを含む締結領域Rで上下に区分している。
弾性腕46が左右で対を為す固定部Mを含む締結領域Rの下方の一側に配置されている。端子装着部47が、弾性腕46の側方に隣接し、かつ締結領域Rに近接する状態で背面構造体36に設けられている。
本体ケース1のケース壁に、端子装着部47を往復スライド可能に案内する端子ガイド溝59が形成されている。端子ガイド溝59の内面内方に配置した回路基板7に、端子装着部47に固定したスイッチ端子50で接続状態が切換えられる固定端子51が設けられている。
端子装着部47と対向するノブ本体35の内面に、スイッチ端子50の弾性に抗して端子装着部47を受止める規制体85が設けられている。
本体ケース1のケース壁に、スライドノブ33を往復スライド自在に案内する複数のノブガイド溝57が形成されている。ノブ本体35の内面に前記ノブガイド溝57で案内されるスライド突起38が設けられている。スライド突起38の突端にノブガイド溝57の溝内縁に係合して、スライドノブ33を本体ケース1と連結する連結爪39が形成されている。
スライドノブ33にトリマーユニット3を備えている。スライドノブ33を往復スライドすることにより、トリマーユニット3の姿勢を切換え可能となっている。トリマーユニット3は揺動軸28を介してスライドノブ33と連結されて、その切刃部がスライドノブ33の外面から突出する作動姿勢と、トリマーユニット3の全体が本体ケース1の外面に沿って格納される待機姿勢との間で起伏揺動できるようスライドノブ33で支持されている。スライドノブ33およびトリマーユニット3と本体ケース1の対向面に、トリマーユニット3の姿勢を作動姿勢に切換える姿勢切換構造が設けられている。姿勢切換構造が、トリマーユニット3に設けた受動片70と、受動片70のスライド軌跡に臨んで本体ケース1に設けた切換えカム体62を含んで構成されている。スライドノブ33がスライド操作される状態において、スライド移動する受動片70を切換えカム体62で受止めることにより、受動片70を揺動軸28の回りに回動操作して、トリマーユニット3を待機姿勢から作動姿勢に切換える。
トリマーユニット3と本体ケース1の対向面のそれぞれに、トリマー側ストッパー79と本体側ストッパー78とが設けられている。トリマーユニット3が待機姿勢から作動姿勢に切換わるのに連動して、トリマー側ストッパー79と本体側ストッパー78とが互いに接当して、トリマーユニット3を作動姿勢に保持固定している。
本体ケース1のトリマーユニット3との対向面に、切換えカム体62がトリマーユニット3へ向かって突設されている。受動片70が、スライドノブ33に形成したスライド溝44を介して本体ケース1の側へ突出している。スライドノブ33がスライド操作される状態において、切換えカム体62がスライド溝44をスライド案内している。
スライドノブ33が、ノブ本体35と、ノブ本体35の背面に固定される背面構造体36とで構成されており、背面構造体36にスライド溝44が形成されている。
トリマーユニット3と本体ケース1との間に、トリマーユニット3を作動姿勢から待機姿勢に復帰操作する姿勢復帰構造が設けられている。
姿勢復帰構造が、トリマーユニット3に設けた復帰受動片71と、復帰受動片71のスライド軌跡に臨んで本体ケース1に設けた復帰カム体61を含んで構成されている。スライドノブ33がスライド操作される状態において、スライド移動する復帰受動片71を復帰カム体61で受止めることにより、復帰受動片71を揺動軸28の回りに回動操作して、トリマーユニット3を作動姿勢から待機姿勢に切換える(図15(b)参照)。
復帰受動片71の外周面に連続してトリマー側規制部83が設けられ、復帰カム体61の外周面に連続して本体側規制部84が設けられている。図13に示すように、トリマーユニット3が待機姿勢に格納された状態において、トリマー側規制部83と本体側規制部84とが互いに接当して、トリマーユニット3を待機姿勢に保持固定している。
トリマーユニット3が、固定刃21および可動刃22と、これら両者を支持するトリマーベース23を備えている。図5に示すように、トリマーベース23の左右方向の一側端に復帰受動片71が設けられている。
図5に示すように、トリマーベース23の左右方向の一側端に受動片70が設けてあり、トリマーベース23の左右方向の他側端に復帰受動片71が設けられている。
トリマーユニット3と対向する本体ケース1のケース壁に駆動開口18が設けられて、往復動力をトリマーユニット3へ出力する駆動アーム16が駆動開口18に臨ませてある。スライドノブ33は、ノブ本体35と、ノブ本体35の背面に固定される背面構造体36とで構成されている。トリマーユニット3を作動姿勢に切換えた状態において、駆動開口18が背面構造体36で覆われている(図10参照)。
切換えカム体62の下側にガイド溝63が設けられている。トリマーユニット3から本体ケース1へ向かって突出した受動片70の左右側面を、前記ガイド溝63の溝側壁でスライド案内している。
背面構造体36に、ロック構造の弾性ロック腕45と、節度構造の弾性腕46と、弾性ロック腕45用の解除ボタン48と、スイッチ端子50用の端子装着部47を設けると、これらの構造を別途設ける場合に比べて、ロック構造および節度構造とその周辺構造がいたずらに複雑化するのを避けて、スライドノブ33の内部構造を簡素化できる。また、弾性ロック腕45、弾性腕46、解除ボタン48と端子装着部47を背面構造体36と一体に設けるので、部品点数が増加するのを解消して組立に要する手間を著しく省くことができる。さらに、ノブ本体35の背面に直接正対する状態で背面構造体36が固定されるので、ノブ本体35と背面構造体36との組み付け作業を的確に行うことができる。例えば、予めノブ本体35と背面構造体36とを組み付けユニット化しておき、最終段階の工程で本体ケースにスライドノブ33を組み付けることが可能となり、全体の工程を通して組み付け性が良好となる。
背面構造体36における弾性ロック腕45と弾性腕46の配置位置を、左右で対を為す固定部Mを含む締結領域Rで上下に区分すると、弾性ロック腕45と弾性腕46のいずれか一方が弾性変形するとき、他方が弾性変形の反力を受けてたわみ変形するのを、固定部Mを含む締結領域Rで遮断することができる。従って、弾性ロック腕45がロック姿勢に切換わり、あるいは解除ボタン48でロック解除操作される場合に、スライドノブ33を確実にロック保持し、あるいはロック解除できる。このとき、弾性ロック腕45が弾性するときの変形応力が弾性腕46に影響して、スライド操作を円滑に行えない可能性があったが、先の変形応力が弾性腕46に影響するのを、固定部Mを含む締結領域Rで遮断できる。また、弾性腕46がスライドノブ33の位置切換えに連動しながら弾性変形して、スライドノブ33を各切換え位置に位置保持することができる。
締結領域Rの下方の一側に弾性腕46を配置し、端子装着部47を弾性腕46の側方に隣接し、かつ締結領域Rに近接する状態で背面構造体36に設けると、端子装着部47のスライド後の位置を弾性腕46で常に適正に位置決めできる。また、端子装着部47を締結領域Rに近接する状態で配置するので、端子装着部47を背面構造体36の締結領域Rで強固に支持できる。従って、スライドノブ33を上下にスライド操作してモーター4への通電状態を切換えるとき、端子装着部47に固定したスイッチ端子50によるスイッチの切換え動作を常に確実に行うことができる。
本体ケース1のケース壁に端子ガイド溝59を設け、このガイド溝59で端子装着部47を往復スライド可能に案内すると、スライドノブ33を上下にスライド操作するとき、端子装着部47が左右方向へ揺れ動くのをガイド溝59で規制できる。従って、端子装着部47に固定したスイッチ端子50と、端子ガイド溝59の内面内方に配置した回路基板7上の固定端子51との接触状態を常に適正なものとして、スイッチの切換え動作をさらに確実なものとすることができる。
端子装着部47と対向するノブ本体35の内面に規制体85を設けると、スライドノブ33を繰り返し上下スライドする際に、端子装着部47がスイッチ端子50の弾性力で押上げられて、端子装着部47が回路基板7から徐々に離れるのを規制体85で規制することができる。これにより、スイッチ端子50と固定端子51とが接触不慮に陥るのを解消して、スイッチ端子50と固定端子51の接触状態を常に適正なものとすることができる。
本体ケース1のケース壁に複数のノブガイド溝57を形成し、ノブ本体35の内面に先のノブガイド溝57で案内されるスライド突起38を設けると、スライドノブ33が左右にぐら付くのを確実に防止しながら、スライドノブ33を本体ケース1に沿って上下スライドできる。また、スライド突起38の突端に設けた連結爪39をノブガイド溝57の溝内縁に係合することにより、本体ケース1に連結したスライドノブ33が、本体ケース1から脱落するのを防止して、スライドノブ33をノブガイド溝57に沿って、確実に上下スライド操作することができる。
トリマーユニット3とスライドノブ33を揺動軸28を介して連結し、トリマーユニット3を作動姿勢と待機姿勢とに起伏揺動できるようスライドノブ33で支持した。また、トリマーユニット3に設けた受動片70と、受動片70のスライド軌跡に臨んで本体ケース1に設けた切換えカム体62などで姿勢切換構造を構成して、スライドノブ33をスライド操作する状態において、スライド移動する受動片70を切換えカム体62で受止めて、受動片70を揺動軸28の回りに回動操作することにより、トリマーユニット3を待機姿勢から作動姿勢に切換えるようにした。このようにトリマーユニット3に設けた受動片70を、本体ケース1に設けた切換えカム体62で直接的に受止めて、トリマーユニット3を待機姿勢から作動姿勢に切換えるようにすると、リンクやレバーなどの中間伝動構造を使用する必要もなくトリマーユニットの姿勢を確実に切換えることができる。従ってトリマーユニットの姿勢切換構造を著しく単純化し、簡素化してコストを削減し、その分だけ低コストの電気かみそりを提供することができる。また、スライド移動する受動片70を切換えカム体62で直接的に受止めて、トリマーユニット3の姿勢を切換えるので、スライドノブ33のスライド動作を伝動するための中間伝動構造や連結構造を省略することができる。従って、電気かみそりに落下衝撃などが作用するような場合でも、落下衝撃を受けて連結部分が分離する余地がなく、トリマーユニット3を常に円滑に起伏揺動できる、信頼性に優れた電気かみそりを提供することができる。
トリマーユニット3と本体ケース1の対向面に、トリマー側ストッパー79と本体側ストッパー78とを設け、トリマーユニット3が作動姿勢に切換わった状態において、前記両ストッパー78・79を互いに接当させると、作動姿勢に切換えられたトリマーユニット3の姿勢を、安定した状態で保持固定することができる。従って、ユーザーがスライドノブ33をトリマー位置からオン位置側へスライド操作しない限りは、トリマーユニット3を作動姿勢に固定保持して、トリマー作業を安定した状態で行なうことが出来る。外力を受けたトリマーユニット3が待機姿勢の側へ復帰回動することもない。
本体ケース1のトリマーユニット3との対向面に切換えカム体62を突設し、スライドノブ33がスライド操作されるとき、切換えカム体62でスライド溝44をスライド案内すると、トリマーユニット3と切換えカム体62の左右方向の位置関係を適正化できる。従って、姿勢切換え時のトリマーユニット3の回動を円滑に行える。
ノブ本体35と背面カバー36とでスライドノブ33を構成すると、スライドノブ33をスライド操作した状態において、本体ケース1の前面を背面カバー36で覆い隠すことができる。従って、トリマーユニット3を使用する際に、本体ケース1に設けた駆動構造や姿勢切換え構造などが視認されるのを防いで、電気かみそりの外観上の体裁を向上することができる。また、背面カバー36を利用してスライド溝44を形成するので、スライドノブ33のスライド動作を安定化できる。
トリマーユニット3と本体ケース1との間に姿勢復帰構造を設けると、スライドノブ33をスライド操作することにより、トリマーユニット3を作動姿勢から待機姿勢に強制的に復帰操作することができる。従って、ユーザーは、単にスライドノブ33をスライド操作するだけで、トリマーユニット3を待機姿勢に復帰回動させて、次回のトリマー作業に備えることができる。
トリマーユニット3に設けた復帰受動片71と、本体ケース1に設けた復帰カム体61とで姿勢復帰構造を構成すると、スライドノブ33がスライド操作されるとき、復帰受動片71を復帰カム体61で直接的に受止めて、トリマーユニット3を作動姿勢から待機姿勢に切換えることができる。従って、リンクやレバーなどの中間伝動構造を使用する必要もなくトリマーユニット3の姿勢を姿勢復帰構造で確実に切換えることができ、さらに、中間伝動構造を省略する分だけ、姿勢切換構造を著しく単純化し簡素化してコストを削減できる。
姿勢復帰構造を備えた電気かみそりにおいて、復帰受動片71と復帰カム体61にトリマー側規制部83と本体側規制部84を設けると、トリマーユニット3が待機姿勢に格納された状態において、トリマー側規制部83と本体側規制部84とが互いに接当して、トリマーユニット3を待機姿勢に保持固定することができる。従って、ユーザーがスライドノブ33をスライド操作しない限りは、トリマーユニット3を待機姿勢に固定保持して、トリマーユニット3の姿勢が不用意に作動姿勢に切換わるのを防止できる。トリマー側規制部83と本体側規制部84とが、機械的に互いに接当して、トリマーユニット3を待機姿勢に固定保持するので、トリマーユニット3がいたずらされ、あるいは落下衝撃がトリマーユニット3に作用するような場合であっても、トリマーユニット3を安定した状態で確実に待機姿勢に固定保持できる。また、復帰受動片71の外周面に連続してトリマー側規制部83が設けられ、復帰カム体61の外周面に連続して本体側規制部84が設けられていることにより、各規制部83・84をトリマーユニット3の他の部分に独立した構造として設ける場合に比べて、トリマーユニット3の構造を簡素化できる。
トリマーベース23の左右方向の一側端に復帰受動片71を設けると、固定刃21および可動刃22をトリマーベース23に組付ける際に、復帰受動片71が組付けの邪魔になるのを解消できる。従って、トリマーユニット3の組立に関する一連の作業を、より少ない手間で的確に行うことができる。
トリマーベース23の左右方向の一側端に受動片70を設け、トリマーベース23の左右方向の他側端に復帰受動片71を設けて、受動片70と復帰受動片71を分離配置すると、両受動片70・71を一個所に集約する場合に比べて、各受動片70・71およびその周辺構造を単純化できる。また、両受動片70・71の形成位置がトリマーベース23の両側端に位置するので、固定刃21や可動刃22などのトリマー構成部品をトリマーベース23に組付ける際に、受動片70や復帰受動片71が組付けの邪魔になることもなく、トリマーユニット3の一連の組立作業をより少ない手間で的確に行うことができる。
トリマーユニット3を作動姿勢に切換えた状態において、本体ケース1のケース壁に開口した駆動開口18を背面構造体36で覆うようにすると、トリマー作業中に切断された毛屑が駆動開口18から本体ケース1の内部に入込むのをよく防止して、毛屑の進入に伴う衛生状態の悪化や、進入した毛屑が可動部分に付着して作動不良に陥るのを良く防止できる。また、駆動開口18を介して本体ケース1の内部が視認されるのを防止して、使用状態における外観上の体裁を向上することができる。
切換えカム体62の下側にガイド溝63を設け、本体ケース1へ向かって突出した受動片70の左右側面を、前記ガイド溝63の溝側壁でスライド案内すると、スライドノブ33が上下スライドするとき、受動片70のスライド軌跡が左右に変動するのをガイド溝63で規制できる。従って、受動片70を切換えカム体62のカム面72に適正に正対させて、トリマーユニット3の姿勢切換えをさらに的確に行うことができる。また、切換えカム体62の下側に形成したガイド溝63で受動片70をスライド案内するので、ガイドリブなどのガイド構造を別途設ける場合に比べて、構造を簡素化できる。
(実施例) 図1ないし図16は、本発明に係る電気かみそりの実施例を示す。本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2および図3において電気かみそりは、グリップを兼ねる本体ケース1と、本体ケース1の上部のヘッド部に設けられる刃部2と、本体ケース1の前面上部に設けられるトリマーユニット3と、これら両者を駆動するために本体ケース1の内部に配置されるモーター4および2次電池5などで構成する。
本体ケース1は、前後に2分割された前ケース1aと後ケース1bとからなり、これら両ケース1a・1bを蓋合わせ状に接合し、4個のビスで締結することにより中空ケース状に構成されている。本体ケース1の内部には、モーター4を支持するモーターホルダー6(図4参照)や、充電用のソケットを接続するためのプラグホルダーが収容されて、前後ケース1a・1bで挟み固定してある。図2、図3において符号7は回路基板、8は充電用のプラグピンであり、回路基板7には電気かみそりの運転状態を制御する制御回路が実装してある。
図4に示すように刃部2は、スリット刃からなる内刃10と網刃からなる外刃11とで構成されて、主に短いひげを切断する際に使用される。外刃11は外刃ホルダー12でアーチ状に保形してある。モーター4の回転動力は偏心カム13と振動子14で往復動力に変換され、振動子14の上面に設けた駆動軸15を介して内刃10に伝動される。また、変換後の往復動力は、振動子14の前面に設けた駆動アーム16を介してトリマーユニット3に伝動することができる。駆動軸15は本体ケース1の上開口から上方へ突出しており、本体ケース1に装着したパッキン(図示していない)で、駆動軸15と上開口との間の隙間をシールしている。図9に示すように、駆動アーム16は前ケースの上部に開口した駆動開口18に臨ませてある。外刃ホルダー12は、本体ケース1の側面内部に組み込んだ一対のロック爪(図示していない)でロック保持してあり、ロック爪と一体に設けた取外しボタン19(図2参照)を押込み操作すると本体ケース1から取外すことができる。先のヘッド部は、刃部2と、外刃ホルダー12と、外刃ホルダー12を支持するために本体ケース1の上部に設けられるホルダーフレームと、振動子14などで構成してある。ヘッド部は、本体ケース1に対して上下、左右、前後の少なくともひとつの方向へ移動できるよう支持することができ、その場合には、ヘッド部と本体ケース1との間に設けたヘッド部移動構造でヘッド部を支持するとよい。
図5において、トリマーユニット3は固定刃21および可動刃22と、これら両者2122を支持するトリマーベース23と、可動刃22に溶着固定される可動刃ホルダー24と、可動刃22および可動刃ホルダー24を押え保持する押え枠25などで構成する。固定刃21および可動刃22のそれぞれの先端には櫛状の切刃部(図5参照)を有しており、可動刃22を往復駆動することにより毛を切断できる。トリマーユニット3は、きわ剃りの際に使用し、あるいはくせ毛を切断するなど、主に長毛を切断するトリマーとして使用する。トリマーベース23は、左右横長のホルダー壁26と、ホルダー壁26の背面両側に設けた左右一対の補強リブ27と、補強リブ27の外側面の上部に突設した揺動軸28を一体に備えている。上述したように固定刃21および可動刃22はそれぞれ櫛歯で構成してあって、両者21・22の切刃部が下向きになる状態でトリマーベース23に組付けられる。詳しくは、固定刃21はトリマーベース23の内面に係合装着され、その両側のU字状の係合部分がトリマーベース23に設けた突起で溶着固定される。また、可動刃22は固定刃21と密着するように組付けられて、トリマーベース23に組付けた押え枠25の一対のばね腕29で、可動刃ホルダー24を介して固定刃21に向かって押付け付勢される。この状態の可動刃22および可動刃ホルダー24は、トリマーベース23に設けたガイドピン30で左右スライドのみ可能に案内支持されている。可動刃ホルダー24の上部中央には受動ピース24aが突設してあり、図1に示すように、受動ピース24aが先の駆動アーム16の前端に設けた駆動アーム16aと係合することにより、駆動アーム16の往復動力を受継ぐことができる。
本体ケース1の前面には、本体ケース1に対して上下スライドする盾形のスライドノブ33が組付けてあり、スライドノブ33の上部の格納部34にトリマーユニット3が収容してある。スライドノブ33は前側のノブ本体35と、ノブ本体35の背面を覆う背面カバー(背面構造体)36とで構成してある。背面カバー(背面構造体)36は、ノブ本体35と本体ケース1との間に配置されて、ノブ本体35の内面に固定してある。図7においてノブ本体35には、格納部34の前開口が開口してあり、その下方に指掛け凹部37が凹み形成してある。また、ノブ本体35の内面側にはスライド脚(スライド突起)38が指掛け凹部37の周辺4個所に突設されて、その突端に連結爪39が設けてある。先の前開口の内面の左右縁の上部には、トリマーユニット3の揺動軸28を軸支する軸受溝40が、背面カバー(背面構造体)36に向かって開口する状態でU字溝状に形成してある。ノブ本体35の内面の上縁左右と、格納部34の前開口の下縁左右と、指掛け凹部37の下部左右の合計6個所には、背面カバー(背面構造体)36を溶着固定するための溶着ピン41が形成してある。
背面カバー(背面構造体)36は、T字状のパネルからなり、上半側のパネル面の中央にトリマーユニット3との緩衝を避ける笠状のトリマー開口43を形成し、その左右両側にスライド溝44が形成してある。スライド溝44は後述する切換えカム体62と係合しており、スライドノブ33がスライド操作される状態において、切換えカム体62がスライド溝44をスライド案内する。このように、スライド溝44を切換えカム体62でスライド案内することにより、トリマーユニット3と切換えカム体62の左右方向の位置関係を適正化できるので、姿勢切換え時のトリマーユニット3の回動を円滑に行える。下半側のパネル面には、ロック構造の弾性ロック腕45が設けられ、その下方の左右に節度構造の弾性腕46と、縦長長方形状の端子装着部47が設けてある。上半側のパネル面の上縁の左右と、下半側のパネル面の上下縁の左右には、それぞれ先の溶着ピン41に対応するピン穴が形成してある。左右一対の弾性ロック腕45の前後には、ロック構造をロック解除操作する横一文字状の解除ボタン48と、ロック爪49(図9参照)が一体に設けてある。ロック構造および節度構造を構成する上記の各部材の詳細については、本体ケース1側の部材と対応する関係にあるので改めて説明する。端子装着部47の背面側には、弾性変形可能なスイッチ端子50が固定してある(図11参照)。また、本体ケース1の内部に設けた回路基板7には、スイッチ端子50で接続状態が切換えられる固定端子51が、上下に分離した状態で設けてある。
トリマーユニット3をノブ本体35の格納部34の背面側から組んでその揺動軸28を軸受溝40に係合し、さらに、背面カバー(背面構造体)36をノブ本体35の背面側から組んで、解除ボタン48を指掛け凹部37のボタン開口に差込み装着し、さらにピン穴を溶着ピン41に係合することにより、背面カバー(背面構造体)36をノブ本体35に仮組みできる。この状態で、各溶着ピン41のピン端を溶着することにより、トリマーユニット3とノブ本体35と背面カバー(背面構造体)36の3者を一体化できる。図8に溶着後の溶着部(固定部)を符号Mで示している。固定部Mは、溶着構造以外に、ビスなどによる締結構造や、嵌合構造などであってもよい。図8に示すように、ノブ本体35の背面に固定される背面カバー(背面構造体)36の上半側はトリマーユニット3を背面から覆っている。また、背面カバー(背面構造体)36の上半側は略長方形となっており、その上辺、および左右辺の3方の外側面が、ノブ本体35の周囲に後方に向けて突設されたリブ35aの内側面で支持されている。すなわち、ノブ本体35と背面カバー(背面構造体)36とは、両者の固定部以外に、少なくとも側面の一部分において互いが接触する接触部を有している。これにより、ノブ本体35と背面カバー(背面構造体)36とが互いに補強しあって構造強度を向上できる。さらに、ノブ本体35の背面に直接正対する状態で背面カバー(背面構造体)36が固定されるので、ノブ本体35と背面構造体36との組み付け作業を的確に行うことができる。例えば、予めノブ本体35と背面構造体36とを組み付けユニット化(本実施例では、トリマーユニット3とノブ本体35と背面カバー(背面構造体)36の3者を一体化してユニット化している)しておき、前後ケース1a・1bの組み付け後、或いは最終段階の工程で中空ケース状の本体ケース1にスライドノブ33を組み付けることが可能となり、全体の工程を通して組み付け性が良好となる。上述のように、中空ケースの状態でスライドノブ33の組み付けが可能となるのは、後述するように、スライドノブ33に設けたスライド脚38を本体ケース1に設けたノブガイド溝57に差込み係合して、スライドノブ33が本体ケース1から分離するのを阻止しているからである。なお、ノブ本体35の背面に直接正対する状態で固定される背面構造体36となっているが、この場合、背面構造体36はトリマーユニット3を覆う部分を除いた意味であることは言うまでもない。
先に説明したように、背面カバー(背面構造体)36の下半側には、ロック構造の弾性ロック腕45と、節度構造の弾性腕46とが上下に隣接する状態で配置してある。そのため、弾性ロック腕45と弾性腕46のいずれか一方が弾性変形するとき、他方が変形応力を受けてたわみ変形するおそれがある。こうした変形応力に伴う変形を避けるために、図8に示すように上記の溶着部Mのうち、左右で対を為す最下段の溶着部Mを含む締結領域Rで、弾性ロック腕45の配置位置と、弾性腕46の配置位置を上下に区分している。締結領域Rとは、先の溶着部Mを含み、背面カバー(背面構造体)36の下半側の面壁の一側から他側にわたる領域を意味している。弾性腕46と端子装着部47とは、締結領域Rより下側に配置されて左右に隣接している。
上記の組付け状態において、揺動軸28が軸受溝40から脱落するのを防止するために、背面カバー(背面構造体)36の上半側パネル面の左右側縁に蓋部52を設けて、図1に示すように軸受溝40の開口を蓋部52で塞いでいる。蓋部52には小さな突起53が設けてあり、この突起53が軸受溝40の内部に入込んで揺動軸28の周面を受止めることにより、トリマーユニット3が回動するときに揺動軸28ががた付くのを規制している。組付け状態における解除ボタン48は、図9に示すようにボタン開口から指掛け凹部37の内面に突出している。背面カバー(背面構造体)36はその上半側が略四角形状となってノブ本体35の上部背面を覆う構成となっているが、その必要はなく、スライドノブ33の下半部において、スライドノブ33をオフ位置においてスライド不能にロック保持するロック構造の弾性ロック腕45と、スライドノブ33をオフ位置、オン位置の各位置において位置保持する節度構造の弾性腕46と、弾性ロック腕45を弾性変形させてロック解除操作する解除ボタン48と、スイッチ端子50を装着するための端子装着部47とを一体に設けたカバー機能を有しない背面構造体36であってもよい。
スライドノブ33は、刃部2を駆動するモーター4への通電をオン・オフするスイッチノブを兼ねており、前ケース1aに組付けた状態において、下段のオフ位置と、オフ位置より上側のオン位置と、オン位置より上側のトリマー位置とにスライド移動でき、オン位置とトリマー位置の双方において、モーター4への通電をオン状態に保持できる。このように、スライドノブ33を本体ケース1で上下スライド自在に支持するために、前ケース1aの前壁にスライドノブ33と同形のスライド凹部56を設け、その上下中途部の4個所に縦長のノブガイド溝57を開口し、これらの溝57でノブ本体35に設けたスライド脚38を上下スライド自在に案内している。スライド脚38をノブガイド溝57に差込み係合して、スライドノブ33を本体ケース1に組付けた状態では、連結爪39がノブガイド溝57の背面側の溝側縁に係合して、スライドノブ33が本体ケース1から分離するのを阻止している(図14参照)。なお、スライド脚38と連結爪39を本体ケース1側に設け、それに対応するノブガイド溝57をスライドノブ33側に設けた構成であってもよい。要するにスライドノブ33と本体ケース1とが差し込み係合構造であれば、中空ケースの状態でスライドノブ33の組み付けが可能となるので、その構造が好ましい。
下側で左右対を為すノブガイド溝57の間には、ロック爪49の上下スライドを許す爪ガイド溝58と、端子装着部47の上下スライドを許す端子ガイド溝59とが開口され、端子ガイド溝59の側方に隣接して瓢箪形の節度突起60が形成してある。スライド凹部56の上部には先に説明した駆動開口18が開口され、その左右に復帰カム体61と切換えカム体62が形成され、切換えカム体62の下側に受動片70をスライド案内するガイド溝63が形成してある。図13に示すように、復帰カム体61は、前方へ向かって下り傾斜する緩やかな傾斜面からなり、前ケース1aの上隅に形成した凹部の底壁に形成してある。
上記のように、スライドノブ33をオフ位置、オン位置、およびトリマー位置の各位置において位置保持するために、背面カバー(背面構造体)36と前ケース1aの対向面に節度構造を設けている。また、スライドノブ33をオフ位置においてスライド不能にロック保持するために、背面カバー(背面構造体)36と前ケース1aとの間にロック構造を設けている。
節度構造は、背面カバー(背面構造体)36の最下部に設けた左右一対の弾性腕46と、前ケース1aに形成した逆瓢箪形の節度突起60とで構成してあり、一対の弾性腕46の下部対向面には節度爪66が形成してある。節度突起60の長軸方向は本体ケース1の長軸方向(上下方向)と一致させている。スライドノブ33が上下スライドするとき、節度爪66は一対の弾性腕46が拡開状に弾性変形しながら節度突起60の円筒部を乗越えており、オフ位置における節度爪66は、図12、および図16(a)に示すように、節度突起60の下側の円筒部の下周面で受止められている。また、オン位置における節度爪66は、図16(b)に示すように、節度突起60の上下の円筒部の間のくびれ部で受止められており、トリマー位置における節度爪66は、図16(c)に示すように、節度突起60の上側の円筒部の上周面で受止められている。
節度突起60は、大小2つの円筒体を上下にオーバーラップした状態で隣接させて逆瓢箪形を成すものであり、一対の弾性腕46が下方側の小さい円筒部を乗り越えるときの抵抗に比べて上方側の大きい円筒部を乗り越えるときの抵抗を大きくしている。抵抗とは、各円筒部を乗り越えるときの一対の弾性腕46の撓み量で考えることができる。大きい円筒部を乗り越えるときは弾性腕46が大きく撓むためばね圧が大きくなり抵抗が増し、小さい円筒部を乗り越えるときは弾性腕46が大きい円筒部を乗り越えるときに比べて小さく撓むためばね圧が小さくなり抵抗が減少する。これにより、スライドノブ33を図16(a)に示すオフ位置から図16(b)に示すオン位置にスライド移動するときの抵抗(移動し難さ)に比べて、スライドノブ33を図16(b)に示すオン位置から図16(c)に示すトリマー位置にスライド移動するときの抵抗(移動し難さ)は大きい。逆方向にスライド移動するときも同じで、スライドノブ33を図16(c)に示すトリマー位置から図16(b)に示すオン位置にスライド移動するときの方が、図16(b)に示すオン位置から図16(a)に示すオフ位置にスライド移動するときよりも抵抗(移動し難さ)は大きい。従って、スライドノブ33がトリマー位置からオン位置へスライド移動しにくくなるため、トリマー作業中に不用意にトリマーユニット3が作動姿勢から待機姿勢に姿勢変更することがない。節度突起60は、無端枠状のリブを前ケース1aから突設して逆瓢箪形に形成しているので、単に棒状の突起で節度突起を形成する場合に比べて構造強度が向上している。
スライドノブ33を図16(c)に示すトリマー位置から図16(b)に示すオン位置にスライド移動するときの方を、図16(b)に示すオン位置から図16(a)に示すオフ位置にスライド移動するときよりも抵抗(移動し難さ)を大きくする手法として他に、トリマー位置における節度爪66を受け止めている、節度突起60の上側の円筒部の上周面の部分に平面部を形成するとともに、その平面部を下向きに傾斜させて傾斜角度を持たせ、一方、オン位置における節度爪66を受け止めている、節度突起60の上下の円筒部の間のくびれ部の下方周面部分に平面部を形成するとともに、その平面部を下向きに傾斜させて傾斜角度を持たせ、その傾斜角度をトリマー位置の傾斜角度より大きくしたような構成であっても実現できる。この場合、上下2つの円筒部の径は同じであってもよい。実施例では、上下2つの円筒体をオーバーラップして瓢箪形に形成しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、径の異なる独立した2つの円筒体を上下に並設した形態であってもよい。さらに、節度構造が、スライドノブ33をオン位置からオフ位置にスライド移動するときよりも、トリマー位置からオン位置にスライド移動するときの方を移動し難くする手法として、トリマー位置における節度爪66を受け止めている、節度突起60の上側の円筒部の上周面の部分に、ゴムやエラストマー樹脂のような摩擦係数の大きい弾性部材(滑り止め部)を設け、一方、オン位置における節度爪66を受け止めている、節度突起60の上下の円筒部の間のくびれ部の下方周面部分は何も処理せずにプラスチック面をそのまま露呈しておくことも考えられる。これによって、トリマー位置における節度爪66が滑り難くなることにより、スライドノブ33がトリマー位置からオン位置へスライド移動しにくくなるため、トリマー作業中に不用意にトリマーユニット3が作動姿勢から待機姿勢に姿勢変更することがなくなる。この場合、上下2つの円筒部の径は同じであってもよい。
ロック構造は、背面カバー(背面構造体)36の中途部に設けた左右一対の弾性ロック腕45と、その下端背面側に設けたロック爪49と、前ケース1aの爪ガイド溝58の下端背面に設けた鉤形凹部67とで構成する(図9参照)。スライドノブ33をオフ位置に戻した状態では、ロック爪49が鉤形凹部67と係合しているので、スライドノブ33を押上げ操作しても同ノブ33がスライドすることはない。スライドノブ33をオン位置、あるいはトリマー位置までスライド移動させる場合には、解除ボタン48を押込み操作して、弾性ロック腕45を本体ケース1側へ弾性変形させ、ロック爪49と鉤形凹部67との係合を解除した状態で、スライドノブ33を押上げ操作する。なお、スライドノブ33をオン位置からオフ位置へ戻す場合には、ロック爪49が弾性ロック腕45を弾性変形させながら爪ガイド溝58の下壁に乗上がって鉤形凹部67に落込むので、解除ボタン48を操作する必要はない。
スライドノブ33の上下スライド動作を利用して、トリマーユニット3の姿勢を作動姿勢と待機姿勢に強制的に切換えるために、トリマーユニット3およびスライドノブ33と本体ケース1の対向面に姿勢切換構造と姿勢復帰構造を設けている。図1において、姿勢切換構造は、トリマーユニット3に設けた受動片70と、受動片70の上下スライド軌跡に臨んで本体ケース1に設けた切換えカム体62とで構成してあり、スライドノブ33の上方スライド動作を利用してトリマーユニット3を待機姿勢から作動姿勢に切換える。姿勢復帰構造は、トリマーユニット3に設けた復帰受動片71と、復帰受動片71のスライド軌跡に臨んで本体ケース1に設けた復帰カム体61とで構成してあり、スライドノブ33の下方スライド動作を利用してトリマーユニット3を作動姿勢から待機姿勢に切換える。スライドノブ33を本体ケース1に組付けた状態における受動片70は、その先端が背面カバー(背面構造体)36のスライド溝44を介して前ケース1aのガイド溝63内に突出しており(図14参照)、スライドノブ33が上下にスライド操作される状態では、受動片70の左右壁がガイド溝63の溝側面でスライド案内される。従って、トリマーユニット3が作動姿勢から待機姿勢に回動する間に、受動片70が左右方向へずれ動くのを確実に防止して、切換えカム体62による受動片70の回動操作を常に的確に行える。
先に説明したように、補強リブ27はホルダー壁26の背面両側に設けられてトリマーベース23の構造強度を増強しており、図5に示すように受動片70は、トリマーベース23の右端の補強リブ27の背面上部に配置されて後向きに突設してある。復帰受動片71は、トリマーベース23の左端の補強リブ27の上部に配置されて、上向きに突設してある。このように、受動片70および復帰受動片71を補強リブ27と一体に設けると、固定刃21、可動刃22、可動刃ホルダー24、および押え枠25をトリマーベース23に組付ける際に、受動片70や復帰受動片71が組付けの邪魔になるのを解消できる。また、受動片70や復帰受動片71をトリマーベース23のホルダー壁26から直接突設する場合に比べて、補強リブ27の分だけ受動片70や復帰受動片71の突出寸法を小さくして強度を向上できる。さらに、トリマーユニット3が格納部34に収容されて待機姿勢になっているとき、受動片70や復帰受動片71が格納部34の前開口から視認されるのを防止できる。
図1に示すように、スライドノブ33がオン位置からトリマー位置まで押上げ操作されるとき、切換えカム体62は、その下面および下隅にわたって設けたカム面72で、受動片70の突端上面の受動部73を受止めて、受動片70を揺動軸28の周りに回動させ、トリマーユニット3の姿勢を切換える。カム面72は、切換えカム体62の下面に設けられる第1カム面74と、第1カム面74に連続して傾斜する第2カム面75とで構成してある。
トリマーユニット3が待機姿勢から作動姿勢に切換わったとき、トリマーユニット3の作動姿勢を安定した状態で保持するために、切換えカム体62の外周面に連続して本体側ストッパー78を設け受動片70の外周面に連続してトリマー側ストッパー79を設けている。本体側ストッパー78は、先の第2カム面75の上側に隣接する垂直の前端面からなり、トリマー側ストッパー79は、受動片70の受動部73に連続する水平の上端面からなる(図5参照)。図1に示すように、トリマーユニット3が作動姿勢に切換わった状態では、本体側ストッパー78とトリマー側ストッパー79とが面接触状に接当している。そのため、トリマーユニット3が作動姿勢を越えて回動することはなく、外力を受けたトリマーユニット3が下方回動して待機姿勢に戻ることもない。
図5において復帰受動片71の背面側には、復帰カム体61で切換え操作される垂直の受動部82と、作動姿勢から待機姿勢に切換わったトリマーユニット3の姿勢を安定した状態で保持するトリマー側規制部83とが連続して設けてある。また、トリマー側規制部83に対応して、復帰カム体61の外周面に連続して本体側規制部84を設けている。図13に示すように、トリマーユニット3が待機姿勢に切換わった状態では、本体側規制部84とトリマー側規制部83とが面接触状に接当するので、トリマーユニット3が揺動軸28の周りに回動するのを確実に規制することができる。
先に説明したように、端子装着部47は背面カバー(背面構造体)36の下端一側に配置されて片持ち梁状に支持されている。そのため、スライドノブ33を繰り返し上下スライドする際に、端子装着部47がスイッチ端子50の弾性力で押上げられて、端子装着部47が回路基板7から徐々に離れ、スイッチ端子50と固定端子51とが接触不慮に陥るおそれがある。こうした接触不良を防いで、スイッチ端子50と固定端子51の接触状態を常に適正にするために、図11に示すように、端子装着部47と対向するノブ本体35の内面に規制体85を設け、その突端で端子装着部47の前面を受止めている。上述したように本体ケース1のケース壁に、端子装着部47を往復スライド可能に案内する端子ガイド溝59が形成されている。端子装着部47は、図11に示すように、端子ガイド溝59内に突出しており、また図16(a)(b)(c)に示すように、端子装着部47の左右側面が端子ガイド溝59の左右側面に近接して位置している。これにより端子装着部47の上下スライドが案内されている。また、端子ガイド溝59の内面内方に配置した回路基板7に、端子装着部47に固定したスイッチ端子50でスイッチの接続状態が切換えられる固定端子51が設けられている。このように、本体ケース1のケース壁に端子ガイド溝59を設け、このガイド溝59で端子装着部47を往復スライド可能に案内すると、スライドノブ33を上下にスライド操作するとき、端子装着部47が左右方向へ揺れ動くのをガイド溝59で規制できる。従って、端子装着部47に固定したスイッチ端子50と、端子ガイド溝59の内面内方に配置した回路基板7上の固定端子51との接触状態を常に適正なものとして、スイッチの切換え動作をさらに確実なものとすることができる。
次に、主にスライドノブ33の上下スライド動作と、これに伴うトリマーユニット3の姿勢切換え動作について説明する。スライドノブ33がオフ位置にあるとき、トリマーユニット3は図14に示すように、格納部34に収容されて待機姿勢になっている。このとき、受動片70の突端は、切換えカム体62の下側に設けたガイド溝63の上下中途部に位置している。この状態からスライドノブ33をオン位置まで上方スライド操作すると、トリマーユニット3がスライドノブ33に同行して、図14に想像線で示す位置まで上昇する。このときの受動片70は切換えカム体62と、僅かな隙間を介して対向している。また、トリマーユニット3とともに上昇スライドしたスイッチ端子50が、回路基板7に設けられた上下の固定端子51を導通してモーター4に駆動電流を供給するので、刃部2の内刃10が往復駆動される。特許請求の範囲におけるモーター4は、リニア駆動を行うモーターを含む概念である。
トリマー作業を行うために、スライドノブ33をオン位置からトリマー位置へと押上げ操作すると、まず受動片70の受動部73が切換えカム体62の第1カム面74で受止められ、受動片70が揺動軸28の周りに回動してトリマーユニット3をケース前方へ傾動させる。このとき、揺動軸28から最も離れた受動片70の突端寄りが第1カム面74で受止められるので、トリマーユニット3が回動するときのモーメントアームを大きくすることができ、従って、トリマーユニット3を軽快に前方傾動させることができる。受動片70が回動を開始したのちは、受動部73は第1カム面74と第2カム面75の隣接隅部で受止められて徐々に回動量を増し、図15(a)に示すように、トリマーユニット3の傾動角度が45度に達した時点で、受動部73が第2カム面75に接当する。
以後は、受動部73に連続するトリマー側ストッパー79が、第2カム面75と本体側ストッパー78の隣接隅部で受止められて、トリマーユニット3の全体が作動姿勢へ向かって跳ねあげ傾動される。スライドノブ33がトリマー位置まで押上げ操作された状態では、図10に示すようにトリマーユニット3は、その切刃部が水平に突出する作動姿勢となって、トリマー側ストッパー79が本体側ストッパー78で受け止められる。従って、トリマーユニット3が作動姿勢を越えて過剰に回動操作されることはなく、また、下向きの外力が作用したとしても、トリマーユニット3が下向きに回動することはなく、トリマーユニット3を安定した状態で作動姿勢に保持し続けることができる。
上記のように、トリマーユニット3を作動姿勢に切換えた状態においては、図10に示すようにスライドノブ33が最上端のトリマー位置までスライド変位し、背面カバー(背面構造体)36が駆動開口18の前面を覆う。そのため、トリマー作業中に切断された毛屑が格納部34内に入込むことがあったとしても、毛屑が駆動開口18から本体ケース1の内部に入込むのをよく防止して、毛屑の進入に伴う衛生状態の悪化や、進入した毛屑が可動部分に付着して作動不良に陥るのを良く防止できる。また、駆動開口18を介して本体ケース1の内部が視認されるのを良く防止して、使用状態における外観上の体裁を向上することができる。スライド変位する受動片70の左右側面を、ガイド溝63の溝側壁を利用してスライド案内し、受動片70のスライド軌跡が左右に変動するのを規制するので、受動片70を切換えカム体62のカム面72に適正に正対させて、トリマーユニット3の姿勢切換えを的確に行うことができる。
トリマー作業が終了したのち、スライドノブ33をトリマー位置からオン位置側へ押下げ操作(下方スライド操作)すると、図15(b)に示すように、復帰受動片71の受動部82が復帰カム体61に接当して、復帰受動片71が揺動軸28の周りに回動してトリマーユニット3を下向きに傾動させる。復帰受動片71が回動を開始したのちの受動部82は、復帰カム体61と本体側規制部84との隣接角部が受動部82に接当して徐々に回動量を増す。以後は、スライドノブ33がオン位置に達する間に、トリマーユニット3が揺動軸28の周りに回動して、全体が格納部34に収容される待機姿勢へ復帰する。この状態では、図13に示すように、トリマー側規制部83が本体側規制部84で受止められるので、トリマーユニット3が待機姿勢を越えて過剰に回動操作されることはなく、また、上向きの外力が作用したとしても、トリマーユニット3が上向きに回動することはなく、トリマーユニット3を安定した状態で待機姿勢に保持し続けることができる。
以上のように、スライドノブ33が上方スライドするとき受動片70をカム面72に接当させ、受動片70を揺動軸28の周りに回動させてトリマーユニット3の姿勢を作動姿勢に切換えるようにすると、リンクやレバーなどの中間伝動構造を使用する必要もなくトリマーユニット3の姿勢を確実に切換えることができる。また、トリマーユニット3の姿勢切換構造を著しく単純化してコストを削減できる。さらに、スライド動作を伝動するための中間伝動構造や連結構造を省略することができるので、落下衝撃などを受けて連結部分が分離する余地がなく、トリマーユニット3を常に円滑に起伏揺動できる、信頼性に優れた電気かみそりを提供できる。
本実施例の電気かみそりは以下の態様で実施することができる。
(態様1)
刃部2をその上部に有する本体ケース1の外面に、刃部2を駆動するモーター4への通電をオン・オフするスライドノブ33が設けられており、
本体ケース1には、スライドノブ33とトリマーユニット3とが設けられ、スライドノブ33の移動に伴ってトリマーユニット3を作動姿勢に変更でき、
スライドノブ33は、モーター4への通電をオフするオフ位置と、オフ位置より上側のモーター4への通電をオンするオン位置と、オン位置より上側のトリマーユニット3を作動姿勢とするトリマー位置とにスライド移動でき、
スライドノブ33と本体ケース1との間には、スライドノブ33をオフ位置、オン位置、トリマー位置のそれぞれの位置で位置保持させるための節度構造を有しており、
節度構造が、スライドノブ33をオン位置からオフ位置にスライド移動するときよりも、トリマー位置からオン位置にスライド移動するときの方を移動し難く構成されていることを特徴とする電気かみそり。
この構成により、スライドノブ33がトリマー位置からオン位置へスライド移動しにくくなるため、トリマー作業中に不用意にトリマーユニット3が作動姿勢から待機姿勢に姿勢変更することを防止できる。
(態様2)
刃部2をその上部に有する本体ケース1の外面に、刃部2を駆動するモーター4への通電をオン・オフするスライドノブ33が設けられており、
本体ケース1には、スライドノブ33とトリマーユニット3とが設けられ、
スライドノブ33に、トリマーユニット3を備え、スライドノブ33の移動に伴ってトリマーユニット3を作動姿勢に変更でき、
スライドノブ33は、モーター4への通電をオフするオフ位置と、オフ位置より上側のモーター4への通電をオンするオン位置と、オン位置より上側のトリマーユニット3を作動姿勢とするトリマー位置とにスライド移動でき、
スライドノブ33と本体ケース1との間には、スライドノブ33をオフ位置、オン位置、トリマー位置のそれぞれの位置で位置保持させるための節度構造を有しており、
節度構造が、スライドノブ33をオン位置からオフ位置にスライド移動するときよりも、トリマー位置からオン位置にスライド移動するときの方を移動し難く構成されていることを特徴とする電気かみそり。
この構成により、スライドノブ33がトリマー位置からオン位置へスライド移動しにくくなるため、トリマー作業中に不用意にトリマーユニット3が作動姿勢から待機姿勢に姿勢変更することを防止できる。
(態様3)
刃部2をその上部に有する本体ケース1の外面に、刃部2を駆動するモーター4への通電をオン・オフするスライドノブ33が設けられており、
本体ケース1には、スライドノブ33とトリマーユニット3とが設けられ、
スライドノブ33に、トリマーユニット3を備え、スライドノブ33の移動に伴ってトリマーユニット3を作動姿勢に変更でき、
トリマーユニット3は揺動軸28を介してスライドノブ33と連結されて、その切刃部がスライドノブ33の外面に突出する作動姿勢と、全体が本体ケース1の外面に沿って格納される待機姿勢との間で起伏揺動できるようスライドノブ33で支持されており、
スライドノブ33は、モーター4への通電をオフするオフ位置と、オフ位置より上側のモーター4への通電をオンするオン位置と、オン位置より上側のトリマーユニット3を作動姿勢とするトリマー位置とにスライド移動でき、
スライドノブ33と本体ケース1との間には、スライドノブ33をオフ位置、オン位置、トリマー位置のそれぞれの位置で位置保持させるための節度構造を有しており、
節度構造が、スライドノブ33をオン位置からオフ位置にスライド移動するときよりも、トリマー位置からオン位置にスライド移動するときの方を移動し難く構成されていることを特徴とする電気かみそり。
この構成により、スライドノブ33がトリマー位置からオン位置へスライド移動しにくくなるため、トリマー作業中に不用意にトリマーユニット3が作動姿勢から待機姿勢に姿勢変更することを防止できる。
(態様4)
刃部2をその上部に有する本体ケース1の外面に、刃部2を駆動するモーター4への通電をオン・オフするスライドノブ33が設けられており、
本体ケース1には、スライドノブ33とトリマーユニット3とが設けられ、
スライドノブ33に、トリマーユニット3を備え、スライドノブ33の移動に伴ってトリマーユニット3を作動姿勢に変更でき、
スライドノブ33は、モーター4への通電をオフするオフ位置と、オフ位置より上側のモーター4への通電をオンするオン位置と、オン位置より上側のトリマーユニット3を作動姿勢とするトリマー位置とにスライド移動でき、
スライドノブ33と本体ケース1との間には、スライドノブ33をオフ位置、オン位置、トリマー位置のそれぞれの位置で位置保持させるための節度構造を有しており、
節度構造は、スライドノブ33に設けた左右一対の弾性腕46と、本体ケース1に設けた逆瓢箪形の節度突起60とで構成してあり、
節度構造が、スライドノブ33をオン位置からオフ位置にスライド移動するときよりも、トリマー位置からオン位置にスライド移動するときの方を移動し難く構成されていることを特徴とする電気かみそり。
この構成により、スライドノブ33がトリマー位置からオン位置へスライド移動しにくくなるため、トリマー作業中に不用意にトリマーユニット3が作動姿勢から待機姿勢に姿勢変更することを防止できる。また、節度突起60を逆瓢箪形に形成しているので、構造強度が向上する。
(態様5)
刃部2をその上部に有する本体ケース1の外面に、刃部2を駆動するモーター4への通電をオン・オフするスライドノブ33が設けられており、
本体ケース1には、スライドノブ33とトリマーユニット3とが設けられ、
スライドノブ33に、トリマーユニット3を備え、スライドノブ33の移動に伴ってトリマーユニット3を作動姿勢に変更でき、
トリマーユニット3は揺動軸28を介してスライドノブ33と連結されて、その切刃部がスライドノブ33の外面に突出する作動姿勢と、トリマーユニット3の全体が本体ケース1の外面に沿って格納される待機姿勢との間で起伏揺動できるようスライドノブ33で支持されており、
スライドノブ33およびトリマーユニット3と本体ケース1の対向面に、トリマーユニット3の姿勢を作動姿勢に切換える姿勢切換構造が設けられており、
姿勢切換構造が、トリマーユニット3に設けた受動片70と、受動片70のスライド軌跡に臨んで本体ケース1に設けた切換えカム体62を含み、
スライドノブ33がスライド操作される状態において、スライド移動する受動片70を切換えカム体62で受止めることにより、受動片70を揺動軸28の回りに回動操作して、トリマーユニット3を待機姿勢から作動姿勢に切換えるよう構成されており、
スライドノブ33は、モーター4への通電をオフするオフ位置と、オフ位置より上側のモーター4への通電をオンするオン位置と、オン位置より上側のトリマーユニット3を作動姿勢とするトリマー位置とにスライド移動でき、
スライドノブ33と本体ケース1との間には、スライドノブ33をオフ位置、オン位置、トリマー位置のそれぞれの位置で位置保持させるための節度構造を有しており、
節度構造は、スライドノブ33に設けた左右一対の弾性腕46と、本体ケース1に設けた逆瓢箪形の節度突起60とで構成してあり、
節度構造が、スライドノブ33をオン位置からオフ位置にスライド移動するときよりも、トリマー位置からオン位置にスライド移動するときの方を移動し難く構成されていることを特徴とする電気かみそり。
この構成により、スライドノブ33がトリマー位置からオン位置へスライド移動しにくくなるため、トリマー作業中に不用意にトリマーユニット3が作動姿勢から待機姿勢に姿勢変更することを防止できる。また、節度突起60を逆瓢箪形に形成しているので、節度突起60の構造強度が向上する。
なお、上記態様1〜5に係る構成の先行技術として、実開昭58−55767号(特許文献1)、特開昭63−229087号(特許文献2)がある。何れの先行技術も、スイッチ摘みが、スイッチのオフ位置と、スイッチのオン位置と、トリマーユニットを作動姿勢とするトリマー位置とにスライド移動でき、スイッチ摘みと本体ケースとの間には、スイッチ摘みをオフ位置、オン位置、トリマー位置のそれぞれの位置で位置保持させるための節度構造を有している。しかし、何れの先行技術もスライドノブをオン位置からオフ位置にスライド移動するときの移動し難さとトリマー位置からオン位置にスライド移動するときの移動し難さは同じであるのでトリマー作業中に不用意にトリマーユニットが作動姿勢から待機姿勢に姿勢変更する虞れがある。上記態様1〜5に係る構成の目的は、トリマー作業中に不用意にトリマーユニットが作動姿勢から待機姿勢に姿勢変更することを防止できる電気かみそりを提供することにある。
態様1の構成は、本実施例、上記特許文献1および上記特許文献2のスライドノブ、トリマーユニット、節度構造の形態を含む。さらに、トリマーユニットが本実施例のように回転突出する形態ではなく、スライドノブの上端に切刃部が上向きとなるように固定されており、スライドノブの移動に伴って切刃部が上向き姿勢のままトリマーユニット全体が移動する形態(トリマーユニット固定形態)も含んでいる。
態様2の構成は、本実施例の形態と上記トリマーユニット固定形態を含んでいる。
態様3の構成は、本実施例の形態を含んでいる。
態様4の構成は、本実施例の形態を含んでいる。
態様5の構成は、本実施例の形態を含んでいる。
図17は切換えカム体62の構造と受動片70の構造を一部変更した別実施例を示している。そこでは、切換えカム体62の下面にカム面72を設け、切換えカム体62の前面にカム面72と直交する本体側ストッパー78を設けて、上記の実施例における第2カム面75を省略した。また、受動片70を斜上方へ突設し、受動部73の前側に隣接して逆三角形状の逃げ凹部90を設けるようにした。逃げ凹部90の斜辺同士が挟む角度は90度とした。上記のように、切換えカム体62をカム面72と本体側ストッパー78とで構成すると、受動部73がカム面72で僅かでも回動操作されると、以後は、受動片70の上面がカム面72と本体側ストッパー78の隣接角部で受止められるため、トリマーユニット3が回動するときのモーメントアームが小さくなる。こうした不具合を避けるために、受動部73の前側に隣接して逃げ凹部90を設けて、トリマーユニット3が45度回動するまでの間、受動部73の前縁がカム面72で受止められるようにしている。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
図18は姿勢復帰構造の一部を変更した別の実施例を示している。そこでは、受動片70と本体ケース1との間に復帰ばね92を配置して、姿勢復帰構造とした。復帰ばね92は引っ張りコイルばねで構成されており、その一端を本体ケース1側の固定連結部93に掛止し、他端を受動部73の突端寄りの可動連結部94に掛止するようにした。固定連結部93と可動連結部94は、スライドノブ33がオフ位置、オン位置、トリマー位置の各位置にあるときの、固定連結部93と可動連結部94との間の距離をL1、L2、L3とするとき、不等式(L2<L1<L3)を満足できる位置関係になるようにした。図18(a)はスライドノブ33がオフ位置にある状態を、図18(b)はスライドノブ33がオン位置にある状態を、図18(c)はスライドノブ33がトリマー位置にある状態を、それぞれ示している。
上記のように、固定連結部93と可動連結部94との間の距離を(L2<L1<L3)とすることにより、各位置における復帰ばね92の張力を大小に変化させて、トリマーユニット3を復帰ばね92の付勢力で揺動軸の周りに回動させて待機姿勢に戻すことができる。また、スライドノブ33がオフ位置に位置している状態において、待機位置にあるトリマーユニット3を復帰ばね92の付勢力で引っ張り付勢して、トリマーユニット3が揺動軸の周りに回動するのを、トリマー側規制部83による回動規制作用と協同して規制できる。なお、スライドノブ33がオン位置にある状態では、固定連結部93と可動連結部94との間の距離L2が最も小さいが、復帰ばね92はこの状態でも小さなばね力を発揮して、トリマー側規制部83を本体側規制体84に密着させている。
上記の実施例では、受動片70と復帰受動片71を、トリマーベース23の両側に配置したがその必要はなく、トリマーベース23の背面側の任意の位置に配置することができる。とくに、トリマーベース23の背面に、別途形成した蓋体を係合装着する場合には、蓋体の任意の位置に受動片70と復帰受動片71を設けることができる。揺動軸28は、ノブ本体35の側に設けることができ、その場合の軸受溝40はトリマーベース23の側に形成するとよい。カム面72は、円弧面で形成することができ、あるいは複数の平面が連続する多数の角部を備えた平面で形成することができる。復帰ばね92はねじリコイルばねや圧縮ばねなど、引っ張りコイルバネ以外のばねで形成してあってもよい。
スライドノブ33は上下スライドする以外に、左右スライドする形態や、斜めにスライドする形態であってもよい。また、スライドノブ33は、トリマーユニット3を待機姿勢と作動姿勢に切換える姿勢切換えノブを兼ねている必要はなく、単にモーター4の起動スイッチとして機能するものであってもよい。その場合には、トリマーユニット3の姿勢切換えノブをスライドノブ33とは別に設けておくとよい。実施例では、内刃10が往復動する電気かみそりについて説明してきたが、本発明を実施する場合、内刃10が縦軸まわりに回転する回転式や横軸まわりに回転するロータリー式の電気かみそりであってもよい。また、刃部2は外刃11を省いて内刃10のみで構成することができる。さらに、刃部2は、櫛状の固定刃と櫛状の可動刃とを組み合わせた櫛状切断刃であってもよい。また、実施例では、前後ケース1a・1bを蓋合わせ状に接合して筒状の本体ケース1を構成したものであるが、成形時に一体で筒状の本体ケース1を構成したものであってもよく、さらに本体ケース1が2重構造のケースで構成されたものであってもよい。