JP2015129651A - 原子炉格納容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストの大幅な増大を抑えつつ、地震等の大きな外力が作用したときのエアロックの変形を防止した、原子炉格納容器を提供する。【解決手段】原子炉圧力容器を収容する本体部2と、本体部2の外壁部5に外壁部5を貫通して配設されたエアロック3と、を備えた原子炉格納容器である。エアロック3は、本体部2の外壁部5の外側と内側とで、それぞれサポート部材8,9によって支持されている。本体部2の外壁部5の、エアロック3を貫通させた部位の周辺部には、外壁部5とエアロック3との間の振動の伝達を緩和する緩衝構造部7が設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、原子炉格納容器に関する。
原子炉格納容器には、その側壁部(外壁部)に、原子力発電所の建設時やメンテナンス時に原子炉格納容器の内部に出入りするための貫通口が設けられている。この貫通口には、原子炉格納容器に従業員が出入りするためのエアロックが直接設けられている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、原子力プラントにおける諸設備は、地震等の外力が作用したときでも充分な耐震安全性を有している必要がある。しかし、前記の原子炉格納容器におけるエアロックは、プラント運転時などに放射性物質を外部に放散することなく従業員が出入りできるように頑丈な2重ドアを設置しており、耐震性より気密性を優先した設計の重量物となっている。したがって、地震等の外力が原子炉格納容器に作用したときには、エアロックは原子炉格納容器の外壁部から片持ち状に取り付けられ、あるいは両側に突出した状態に取り付けられているため、自重による変形が懸念される。
特開昭61−120090号公報
そこで、地震等の大きな外力が作用したときに自重によりエアロックが変形するのを防止する手法として、エアロックを取り付ける原子炉格納容器の外壁部の板厚を充分に厚くすることが考えられる。しかし、その場合には原子炉格納容器の製造コストが大幅に増大するといった新たな課題が生じてしまう。
また、前記特許文献1では、エアロックの胴体の中間部をベローズ構造としている。しかし、この特許文献1のエアロックも原子炉格納容器の外壁部に直接設けられているため、地震等の大きな外力が作用したときには外壁部からエアロックに直接振動が伝わるため変形のおそれがあり、したがってこのような変形を確実に防止するためにはやはり原子炉格納容器の外壁部の板厚を充分に厚くしなければならない。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、コストの大幅な増大を抑えつつ、地震等の大きな外力が作用したときのエアロックの変形を防止した、原子炉格納容器を提供することにある。
本発明の原子炉格納容器は、原子炉圧力容器を収容する本体部と、該本体部の外壁部に該外壁部を貫通して配設されたエアロックと、を備えた原子炉格納容器であって、前記エアロックは、前記本体部の外壁部の外側と内側とで、それぞれサポート部材によって支持されており、前記本体部の外壁部の、前記エアロックを貫通させた部位の周辺部には、前記外壁部と前記エアロックとの間の振動の伝達を緩和する緩衝構造部が設けられていることを特徴とする。
また、前記原子炉格納容器において、前記サポート部材には、免震装置が設けられていることを特徴とする。
また、前記原子炉格納容器において、前記緩衝構造部は、ベローズによって形成されていることを特徴とする。
また、前記原子炉格納容器において、前記緩衝構造部は、ダイヤフラムによって形成されていることを特徴とする。
本発明の原子炉格納容器によれば、エアロックが本体部の外壁部の外側と内側とでそれぞれサポート部材によって支持されているので、エアロックの荷重(自重)がサポート部材に支持されるため外壁部に大きな負荷がかからず、したがって外壁部の板厚を過剰に厚くすることなく必要充分な厚さにすることで耐震安全性を確保することができる。よって、コストの大幅な増大を抑えることができる。
また、本体部の外壁部の、エアロックを貫通させた部位の周辺部に緩衝構造部を設けたので、地震等の大きな外力が作用したときにも緩衝構造部によって本体部からエアロックへの振動の伝達を緩和することができる。したがって、振動によるエアロックの伸縮などに起因するエアロックの変形を防止することができる。
本発明の原子炉格納容器の第1実施形態を模式的に示す側断面図である。 図1の要部拡大図である。 サポート部材によるエアロックの支持構造を説明するための図である。 本発明の原子炉格納容器の第2実施形態を模式的に示す、要部を拡大した側断面図である。
以下、図面を参照して本発明の原子炉格納容器を詳しく説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明の原子炉格納容器の第1実施形態を模式的に示す側断面図であり、図1中符号1は原子炉格納容器である。この原子炉格納容器1は、コンクリート製の原子炉建屋20内に収容されたもので、本体部2と、エアロック3とを備えて構成されている。
本体部2は、原子炉圧力容器10を内部に収容した鋼製容器である。なお、図示しないものの、本体部2の内部には、原子炉圧力容器10の他にも配管や計測機器等の部品や装置が収容されている。また、本体部2の内部は、水平方向に設けられたコンクリート製の床・天井材により、全体あるいは一部が高さ方向にて数階に仕切られている。図1では、全体がコンクリート製の床・天井材4によって上下に隔てられている例を示している。
本体部2には、その外壁部(側壁部)5にエアロック3が設けられている。エアロック3は、本体部2に複数設けられているが、図1では省略して一つのみ示している。エアロック3は、図1の要部拡大図である図2に示すように、円筒状の胴部3aと、気密性を考慮した頑丈な二重のドア3b、3bとを有して形成されている。したがって、エアロック3は例えば2t程度の重量物となっている。このようなエアロック3は、本体部2の外壁部5に形成された貫通口5aに水平方向に挿通され、この貫通口5aの内縁部に設けられた取付部6に取り付けられている。
取付部6は、貫通口5aの周辺部、すなわち外壁部5の、エアロック3を貫通させた部位(貫通口5a)の周辺部を構成するもので、本体部2の側壁(外壁)から外側(原子炉建屋20側)に突出した略円筒状のものである。この取付部6は、本体部2と同じ鋼製のもので、前記貫通口5aに連結された円筒部6aと、該円筒部6aの先端に一体に設けられた円環部6bとを有し、この円環部6bの内縁部、すなわち円環部6bの内部開口に、前記エアロック3の円筒状の胴部3aを溶接等によって取り付け、保持している。なお、取付部6は原子炉建屋20の内部に設けられており、エアロック3はその外端部が原子炉建屋20の貫通口20aからその外側に引き出されている。
取付部6の円筒部6aには、ベローズ7が設けられている。ベローズ7は、山部と谷部とを有する波板が略円筒状に形成された部位であり、円筒部6aの中心軸方向に伸縮が容易になるように、円筒部6aのベローズ7以外の直管部分より薄厚に形成されている。このような構成によってベローズ7は、本体部2の外壁部5とエアロック3との間の振動の伝達を緩和するための、本発明における緩衝構造部となっている。すなわち、地震等によって本体部2に大きな揺れが生じても、この揺れによる振動がベローズ7の伸縮によって吸収され、減衰されることにより、エアロック3にはほとんど伝わらないようになっている。
なお、図2では、円筒部6aにベローズ7を一段のみ形成しているが、例えば取付部6の軸方向の長さが長い場合、ベローズ7を直列に複数段(多段)設けてもよい。このようにベローズ7を複数段(多段)設けることにより、取付部6をその軸方向により伸縮し易くすることができ、したがって単にベローズ7の長さを長くする場合に比べて取付部6の強度の低下を抑えつつ、外壁部5とエアロック3との間の振動の伝達をより緩和することができる。
また、エアロック3は、その中間部が取付部6の円環部6bに取り付けられた状態で、その両端部がサポート部材8、9によって支持されている。すなわち、エアロック3は、原子炉建屋20の貫通口20aから外側に引き出された、外壁部5の外側に位置させられた外端部が、サポート部材8に支持され、本体部2の外壁部5の貫通口5aから本体部2内に突出させられた内端部が、サポート部材9によって支持されている。
サポート部材8は、図1に示すように原子炉建屋20の床板20b上に設けられたコンクリート製の基礎台であり、図3に示すように上端部がU字状に二股に形成されて円弧状の支持面8aを形成し、水平に配置された円筒状のエアロック3の下側略半分をこの支持面8aで挟持し、これによってエアロック3の外端部を安定した状態で支持している。
サポート部材9は、図1に示すように本体部2の前記床・天井材4上に設けられたコンクリート製の基礎台であり、図3に示すように前記サポート部材8と同様に上端部がU字状に形成されて円弧状の支持面9aを形成し、エアロック3の下側略半分をこの支持面9aで挟持し、これによってエアロック3の内端部を安定した状態で支持している。
また、本実施形態では、図1に示すようにこれらサポート部材8、9に免震装置12が設けられている。免震装置12としては、特に限定されることなく、従来公知の種々の構成のものが採用可能である。例えば、金属板とゴムを交互に重ねた積層ゴムアイソレーターや、ボールスライドレール、さらにはオイルダンパーや鋼材ダンパーなどが用いられる。本実施形態では、鉛直方向に構造物を支持しつつ水平方向に柔軟に変位可能な積層ゴムアイソレーターが免震装置12として用いられる。
この積層ゴムアイソレーターからなる免震装置12は、サポート部材8、9の底部、すなわちサポート部材8と原子炉建屋20の床板20bとの間、およびサポート部材9と床・天井材4との間に配設され、構造物であるサポート部材8、9およびエアロック3を水平方向に柔軟に変位可能に支持している。なお、免震装置12の配置については、サポート部材8、9の底部に限定されることなく、サポート部材8、9の上部、すなわちサポート部材8、9とエアロック3との間に配設してもよい。さらに、サポート部材8、9を上部と下部とに分割し、その間に配設してもよい。
また、原子炉建屋20の床板20b上に配置されるサポート部材8と、床・天井材4上に配置されるサポート部材9とでは、地震などの際の揺れに相違が生じることが考えられる。そこで、これらの揺れにそれぞれ対応すべく、サポート部材8に設ける免震装置12とサポート部材9に設ける免震装置12とでは、異なる構成の免震装置を用いてもよい。
このような構成の原子炉格納容器1にあっては、地震などにより大きな外力が作用したときでも、エアロック3が本体部2の外壁部5の外側と内側とでそれぞれサポート部材8、9によって支持されているので、エアロック3の荷重(自重)がサポート部材8、9に支持されるため外壁部5に大きな負荷がかからず、したがって外壁部5の板厚を過剰に厚くすることなく必要充分な厚さにすることで耐震安全性を確保することができる。よって、コストの大幅な増大を抑えることができる。
また、本体部2の外壁部5の、エアロック3を貫通させた貫通口5aの周辺部(取付部6)に緩衝構造部として機能するベローズ7を設けたので、地震等の大きな外力が作用したときにもベローズ7がエアロック3の中心軸方向に伸縮する。したがって、地震等によって本体部2に大きな揺れが生じても、この揺れによる振動がベローズ7で吸収され、減衰することにより、振動がエアロック3にほとんど伝わらなくなる。よって、本実施形態の原子炉格納容器1にあっては、振動によるエアロック3の伸縮などに起因するエアロック3の変形を確実に防止することができる。
また、サポート部材8、9に免震装置12を設けているので、地震などにより大きな外力が作用し、サポート部材8、9が設置された原子炉建屋20や本体部2に大きな揺れが生じても、この揺れによる振動を免震装置12で減衰させることにより、振動がサポート部材8、9を介してエアロック3に伝わることを防止することができる。したがって、地震などによってエアロック3が変形するのをより確実に防止することができる。
図4は、本発明の原子炉格納容器の第2実施形態を模式的に示す図であって、その要部、すなわちエアロック3とその近傍部を拡大した側断面図である。
図4に示した構造が図2に示した第1実施形態と異なるところは、本体部2の外壁部5の、エアロック3を貫通させた部位(貫通口5a)の周辺部を円環板状のダイヤフラム13によって形成し、このダイヤフラム13を、本発明における緩衝構造部として機能させている点である。
すなわち、本実施形態では、外壁部5にダイヤフラム用貫通口5bを形成し、このダイヤフラム用貫通口5bの内縁部に、円環板状のダイヤフラム13を溶接等によって取り付けている。そして、このダイヤフラム13の内部孔を、エアロック3を貫通させための貫通口5aとしている。エアロック3は、ダイヤフラム13の内縁部、すなわち貫通口5aに、その胴部3aが溶接等によって取り付けられ、保持されている。
ダイヤフラム13は、例えば薄い鋼板によって側面視略円弧状に形成されており、本体部2の内部と外部との間の圧力差、すなわち外壁部5の内側と外側との間の圧力差によって容易に変形し、このような圧力差がエアロック3にかかることでエアロック3が変形することを防止している。また、ダイヤフラム13は外壁部5に比べて板厚が薄く形成されているため、外壁部5に比べて柔軟性があり、したがって、地震等によって本体部2に大きな揺れが生じても、この揺れによる振動がダイヤフラム13で吸収され、減衰することにより、振動がエアロック3にほとんど伝わらなくなる。すなわち、外壁部5とエアロック3との間の振動の伝達を緩和することができる。
よって、本実施形態の原子炉格納容器1にあっても、緩衝構造部としてダイヤフラム13を設けたことにより、振動によるエアロック3の伸縮などに起因するエアロック3の変形を防止することができる。
なお、ダイヤフラム13の形状については、図4に示した形状に限定されることなく、側面視波板状に形成された形態など、種々の形態のものが採用可能である。
また、図4に示した実施形態では、ダイヤフラム13を外壁部5に直接取り付けているが、例えば図2に示した取付部6の円環部6bをダイヤフラムによって形成してもよい。このように構成すれば、取付部6にベローズ7とダイヤフラム(円環部6b)とを設け、これらを共に本発明における緩衝構造部として機能させることができるため、振動に起因するエアロック3の変形をより確実に防止することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、サポート部材8、9の形状や材質はエアロック3の形状等に応じて適宜変更可能であり、また、サポート部材8、9の設置場所についても、エアロック3の設置場所に応じて適宜変更可能である。
また、ベローズやダイヤフラムの形状や大きさ、さらには外壁部5やエアロック3に対する取り付け位置や取り付け方法等についても、前記実施形態以外の種々の形態を採用することができる。
1…原子炉格納容器、2…本体部、3…エアロック、5…外壁部、5a…貫通口、5b …ダイヤフラム用貫通口、7…ベローズ、8…サポート部材、9…サポート部材、10…原子炉圧力容器、12…免震装置、13…ダイヤフラム、20…原子炉建屋

Claims (4)

  1. 原子炉圧力容器を収容する本体部と、該本体部の外壁部に該外壁部を貫通して配設されたエアロックと、を備えた原子炉格納容器であって、
    前記エアロックは、前記本体部の外壁部の外側と内側とで、それぞれサポート部材によって支持されており、
    前記本体部の外壁部の、前記エアロックを貫通させた部位の周辺部には、前記外壁部と前記エアロックとの間の振動の伝達を緩和する緩衝構造部が設けられていることを特徴とする原子炉格納容器。
  2. 前記サポート部材には、免震装置が設けられていることを特徴とする請求項1記載の原子炉格納容器。
  3. 前記緩衝構造部は、ベローズによって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の原子炉格納容器。
  4. 前記緩衝構造部は、ダイヤフラムによって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の原子炉格納容器。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015190773A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 燃料デブリまたは炉内機器等の搬出用作業ハウス及びそれに用いられる作業員接近用エアロック装置
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