JP2015127992A - 放電装置 - Google Patents

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啓 鈴村
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利夫 田中
俊治 春名
Toshiharu Haruna
俊治 春名
達海 榎田
Tatsuumi Enokida
達海 榎田
雄太 笹井
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Abstract

【課題】ストリーマ放電を行う放電装置において、碍子などの内周面に導電性の汚れが付着しても、ストリーマ放電を安定させる【解決手段】本放電装置は、放電電極(51)と放電電極(51)に対向して配置される対向電極(52)との間に所定電圧を印加して、上記放電電極(51)に電気的に接続された放電部(54)と上記対向電極(52)との間でストリーマ放電を行う。放電電極(51)と対向電極(52)との離隔は、絶縁性を有する碍子などのスペース部材(60)により所定離隔に保持される。上記放電電極(51)の表面には、上記スペース部材(60)が位置する部位から上記放電部(54)側に向って高抵抗の部材(55)が配置される。【選択図】図6

Description

本発明は、ストリーマ放電を行う放電装置の改良に関し、特に、ストリーマ放電の安定化対策に関する。
従来、ストリーマ放電を行う放電装置として、特許文献1に記載される技術がある。この技術では、放電基材(放電電極)と、この放電基材に電気的に接続された線状又は棒状の放電極(放電部)と、上記放電基材に対向させた板状又は面状の対向極(対向電極)とを備え、上記放電基材と対向極との間に所定電圧を印加することにより、放電極の先端から対向極に向ってストリーマ放電を進展させ、これにより、被処理成分を分解するための活性種(ラジカル、高速電子、励起分子等)を空気中に生成する構成を採用している。
また、このような放電装置では、従来、例えば特許文献2に記載されるように、放電部で生起するストリーマ放電の放電電流が一定になるように制御することが知られている。
特開2006−234330号公報 特開2007−328949号公報
ところで、ストリーマ放電を行う放電装置では、放電電極と対向電極との間を所定間隔に保持するために絶縁性を有する碍子などが上記両電極の両端部に配置される。例えば上記特許文献1では、絶縁性の樹脂や碍子を材料として構成された絶縁カバーを断面コ字形状に形成し、この絶縁カバーの開口面(下面)を覆うように上記対向電極を配置して断面□形状とすると共に、上記絶縁カバーの内部上面に放電電極及び放電部を配置する構成を採用している。
しかしながら、上記碍子又は絶縁カバーは、放電電極と対向電極との極間距離を保持する機能を有するものの、その碍子や放電電極及び対向電極で囲まれた空間、又は絶縁カバー及び対向極で囲まれた空間には、ストリーマ放電で生成された活性種やその副生成物又はたばこの煙などが通過又は浮遊し、そのため、碍子又は絶縁カバーの内周面には、上記活性種やその副生成物又はたばこの煙などの導電性の汚れが付着する。このため、放電電極と対向電極との間では、上記碍子又は絶縁カバーの内周面に付着した導電性の汚れを通じて電流が流れ、その結果、放電電極の放電部と対向電極との間に所定の電圧が印加されない状態となって、従来のようにストリーマ放電の放電電流を一定制御しようとしても、ストリーマ放電が安定しない又はストリーマ放電が停止するなどの欠点が生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ストリーマ放電を行う放電装置において、放電電極と対向電極間の離隔を保持する碍子などの内周面に導電性の汚れが付着しても、常にストリーマ放電を安定させることにある。
上記目的を達成するため、本発明では、放電電極と対向電極との間の実質的な絶縁距離を長く確保して、ストリーマ放電の安定化を図ることとする。
具体的に、第1の発明は、放電電極(51)と、上記放電電極(51)に対向して配置される対向電極(52)と、上記放電電極(51)と対向電極(52)との離隔を所定離隔に保持し、絶縁性を有するスペース部材(60)と、上記放電電極(51)に電気的に接続された放電部(54)とを備え、上記放電電極(51)と上記対向電極(52)との間に所定電圧を印加して、上記放電部(54)と上記対向電極(52)との間でストリーマ放電を行う放電装置において、上記放電電極(51)の表面には、上記スペース部材(60)が位置する部位から上記放電部(54)側に向って高抵抗の部材(55)が配置されていることを特徴とする。
上記第1の発明では、放電電極と対向電極との間の実質的な絶縁距離は、スペース部材の長さ(すなわち、放電電極と対向電極との離隔)と、放電電極の表面に配置された高抵抗の部材の長さとの合計長さとなる。従って、スペース部材の内周面や放電電極表面の高抵抗の部材に導電性の汚れが付着した場合であっても、放電電極からそれ等の導電性の汚れを介して対向電極に電流が流れ難くなって、放電電極と対向電極との間に印加される電圧はほぼ所望の電圧を保持し、放電電極の放電部と対向電極との間のストリーマ放電が安定することになる。
また、放電電極と対向電極との間に高抵抗の電気抵抗が位置するので、放電電極と対向電極との間で異常放電が起こり難くなる。
第2の発明は、請求項1記載の放電装置において、上記対向電極(52)の表面にも、上記スペース部材(60)が位置する部位から上記放電部(54)側に向って高抵抗の部材(55)が配置されていることを特徴とする。
上記第2の発明では、放電電極と対向電極との間の実質的な絶縁距離は、スペース部材の長さ(すなわち、放電電極と対向電極との離隔)と、放電電極の表面に配置された高抵抗の部材の長さと、対向電極の表面に配置された高抵抗の部材の長さとの合計長さとなる。従って、放電電極から導電性の汚れを介して対向電極に電流がより一層流れ難くなるので、放電電極の放電部と対向電極との間のストリーマ放電がより安定することになると共に、放電電極と対向電極との間での異常放電が抑制される。
第3の発明は、請求項2記載の放電装置において、上記放電電極(51)及び上記対向電極(52)は、共に、表面全体が上記高抵抗の部材(55)でモールドされていることを特徴とする。
上記第3の発明では、高抵抗の部材を有する放電電極及び放電電極を簡易に製造しつつ、放電電極の放電部と対向電極との間のストリーマ放電を安定させることが可能である。
第4の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の放電装置において、上記放電部(54)は、複数の放電針(54a)が相互に平行に位置した状態で上記放電電極(51)に電気的に接続されて成ることを特徴とする。
上記第4の発明では、放電部において、複数の放電針が相互に平行に位置しているので、複数の放電針が一列状に配置されている場合に比して、放電部ひいては放電電極及び対向電極を小さく構成でき、放電装置全体がコンパクト化される。
第5の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の放電装置において、上記スペース部材(60)は、中空の箱体形状の樹脂ケース(65)で構成され、上記樹脂ケース(65)は、上面に上記放電電極(51)の放電部(54)が通る開口(68)を有すると共に、内部上面に上記放電電極(51)が支持される支持部(67)が形成され、内部下面に上記対向電極(52)が載る載置部(68)が形成されていることを特徴とする。
上記第5の発明では、中空の樹脂ケースの支持部に放電電極を載置すると共に、載置部(68)に対向電極を載置することにより、放電電極と対向電極との双方の表面に高抵抗の部材を簡単に位置させることができる。
以上説明したように、第1の発明によれば、放電電極と対向電極との間の実質的な絶縁距離を従来よりも長く確保したので、放電電極の放電部と対向電極との間のストリーマ放電の安定化が可能であると共に、放電電極と対向電極との間に高抵抗の電気抵抗を位置させて、放電電極と対向電極との間で異常放電を起こし難くできる。
また、第2の発明によれば、放電電極と対向電極との間の実質的な絶縁距離を従来よりもより一層長く確保したので、第1の発明の効果が大きく得られる。
更に、第3の発明によれば、高抵抗の部材を有する放電電極及び放電電極を簡易に製造しつつ、放電電極の放電部と対向電極との間のストリーマ放電を安定させることができる。
加えて、第4の発明によれば、放電装置全体のコンパクト化が可能である。
また、第5の発明によれば、簡単なレイアウト構成で放電装置を構成できる。
本実施形態に係る空気処理装置の全体構成を示す斜視図であり、水タンクをケーシングから引き出した状態を示すものである。 空気処理装置の内部を表した概略の縦断面図である。 空気処理装置における空気の流れを示すブロック図である。 空気処理装置の前側寄りの内部を表した概略の縦断面図である。 加湿ユニットの斜視図である。 (a)は放電処理部の縦断面図、同図(b)は同放電処理部での絶縁距離を示す図である。 放電部の全体斜視図である。 従来の放電処理部の縦断面図、同図(b)は同放電処理部での絶縁距離を示す図である。 (a)は変形例の放電処理部の全体斜視図、同図(b)は樹脂ケースの平面図、同図(c)は同図(b)の樹脂ケースのXc−IXc断面図、同図(d)は同放電処理部の縦断面図である。
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物又はその用途を制限することを意図するものではない。
<空気処理装置の全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る放電装置を含む空気処理装置の全体構成を示す斜視図であり、水タンクをケーシングから引き出した状態を示すものである。図2は同空気処理装置の内部を表した概略の縦断面図である。図3は同空気処理装置における空気の流れを示すブロック図である。
図1〜図3に示すように、本実施形態に係る空気処理装置(10)は、空気を浄化するための種々の空気浄化装置(20)と、空気を加湿する加湿ユニット(40)とを備えている。
上記空気処理装置(10)は、ケーシング(11)を有している。ケーシング(11)は、前後に扁平な矩形状に形成されている。ケーシング(11)には、その前側(図1における左側寄り)に前面パネル(11a)が形成されている。前面パネル(11a)には、空気をケーシング(11)内に導入するための吸込口(12)が形成されている(図2を参照)。吸込口(12)は、例えば前面パネル(11a)の左右側方にそれぞれ形成されている。また、ケーシング(11)には、その上部後方寄りの部位にケーシング(11)内の空気を吹き出すための吹出口(13)が形成されている。そして、ケーシング(11)の内部には、上記吸込口(12)から吹出口(13)に亘って空気が流通する空気通路(14)が形成されている。
図2及び図3に示すように、空気通路(14)には、空気の流れの上流側から下流側に向かって順に、プレフィルタ(21)、イオン化部(22)、プリーツフィルタ(23)、脱臭部材(24)、加湿ユニット(40)、及び遠心ファン(18)が設けられている。
また、遠心ファン(18)の上方で且つ吹出口(13)の下側には、返送通路(15)の流入端が開口している。つまり、返送通路(15)には、空気通路(14)から吹出口(13)へ流出する空気の一部が分流する。返送通路(15)は、上記空気通路(14)と区画されるように前後に延びる空間を構成している。返送通路(15)の流出端は、上記プレフィルタ(21)の上流側と繋がっている。また、返送通路(15)の通路途中には、放電処理部(放電装置)(50)が設けられている。
図4に示すように、プレフィルタ(21)の前側には、上記返送通路(15)と連通する案内通路(16)が形成されている。案内通路(16)は、例えば上記前面パネル(11a)の背面側に形成される仕切部材等によって区画形成されている。案内通路(16)は、返送通路(15)を流出した空気をプレフィルタ(21)の幅方向の中間部まで案内し、この空気を左右側方に流出させてプレフィルタ(21)側へ送るように構成されている(図4の矢印を参照)。
ここで、返送通路(15)は、放電処理部(50)の下流側において分岐しており、そのうちの一方は案内通路(16)に連通し、他方は加湿ユニット(40)の水タンク(41)に向かう移送配管(30)に連通している。移送配管(30)の通路途中には、放電処理部(50)で生成された活性種を含む空気を水タンク(41)内の水に供給するための送風ポンプ(31)が設けられている。尚、この送風ポンプ(31)を省略した構成としてもよい。
ここで、上記遠心ファン(18)及び送風ポンプ(31)は、ケーシング(11)内に設けられた制御部(17)により、それぞれ独立に送風動作が制御可能に構成されている。これにより、遠心ファン(18)を停止させた状態でも送風ポンプ(31)の送風動作を行うことができる。このため、長期間、空気浄化を行わない場合でも、送風ポンプ(31)を独立して運転させることにより、水タンク(41)内の水に菌が増殖するのを防ぐことができる。
以上のように、本実施形態の空気処理装置(10)は、空気通路(14)の流出側の空気の一部を上記放電処理部(50)を通じて空気通路(14)の流入側及び水タンク(41)内へ返送するように構成されている。
<空気浄化装置の構成>
図2に示すように、空気処理装置(10)は、空気を浄化するための空気浄化装置(20)として、上述したプレフィルタ(21)、イオン化部(22)、プリーツフィルタ(23)、脱臭部材(24)を有している。
上記プレフィルタ(21)は、空気中に含まれる比較的大きな塵埃を物理的に捕捉する集塵用のフィルタを構成している。
上記イオン化部(22)は、空気中の塵埃を帯電させる。イオン化部(22)には、例えば線状の電極と、この線状の電極に対向する板状の電極とが設けられている。イオン化部(22)では、両者の電極に電源から電圧が印加されることで、両電極の間でコロナ放電が行われる。このコロナ放電により、空気中の塵埃が所定の電荷(正又は負の電荷)に帯電される。
上記プリーツフィルタ(23)は、波板状の静電フィルタを構成している。つまり、プリーツフィルタ(23)では、上記イオン化部(22)で帯電された塵埃が電気的に誘引されて捕捉される。なお、プリーツフィルタ(23)に光触媒等の脱臭用の材料を担持させても良い。
上記脱臭部材(24)は、ハニカム構造の基材の表面に空気を脱臭するための脱臭剤が担持されて構成されている。脱臭剤は、空気中の被処理成分(臭気物質や有害物質)を吸着する吸着剤や、該被処理成分を酸化分解するための触媒等が用いられる。
<加湿ユニットの構成>
図5に示すように、加湿ユニット(40)は、水を貯留するための水タンク(41)と、水タンク(41)の水を汲み上げる水車(42)と、水車(42)によって汲み上げられた水を空気中へ付与する加湿ロータ(43)と、加湿ロータ(43)を回転駆動するための駆動モータ(44)とを備えている。
水タンク(41)は、上側が開口する横長の水容器を構成している。水タンク(41)は、ケーシング(11)内の下部の空間に設置され、ケーシング(11)の引出口(11b)を通じて出し入れ自在に構成されている(図1を参照)。これにより、ユーザー等は水タンク(41)内に加湿用の水を適宜補充することができる。また、水タンク(41)の底面には、水車(42)を回転自在に保持するための軸受部材(41a)が立設している。
水車(42)は、前後に扁平な略円板状に形成され、その軸心部に回転軸(42a)が突設されている。回転軸(42a)は、上記軸受部材(41a)の上端に枢支されている。水車(42)は、水タンク(41)の加湿水中に一部(下端部を含む所定部位)が浸漬するように回転自在に設けられており、回転部材を構成している。
水車(42)には、その後側の側面(加湿ロータ(43)に面する側面)の軸周りに複数の後側凹部(42b)が形成されている。後側凹部(42b)は、加湿水を加湿ロータ(43)側へ汲み上げるための加湿用凹部を構成している。複数の後側凹部(42b)は、径方向外側に向かうに連れて幅が拡大されるような略台形形状の開口を有している。また、後側凹部(42b)の開口の周方向の幅は、該後側凹部(42b)の内部空間の周方向の幅よりも狭くなっている。さらに、後側凹部(42b)の径方向内側の内壁は、開口端に向かうに連れて徐々に軸心側に近づくように傾斜している。各後側凹部(42b)は、水車(42)の径方向外側端部において周方向に等間隔で配列されている。回転動作中の水車(42)では、後側凹部(42b)が水タンク(41)の水中に浸漬する位置と、水中から引き出される位置とを交互に変位する。
また、水車(42)の後側の側面には、その軸心寄りの部位に歯車(42c)が一体的に形成されている。歯車(42c)は、後述する加湿ロータ(43)の従動歯車(43a)と噛み合うように構成されている。
加湿ロータ(43)は、環状の従動歯車(43a)と、この従動歯車(43a)に内嵌して保持される円板状の吸湿部材(43b)とを有している。吸湿部材(43b)は、吸水性を有する不織布によって構成されている。加湿ロータ(43)は、上記水タンク(41)の満水時の水位よりも高い位置において、回転軸を介して回転自在に保持されている。また、加湿ロータ(43)は、その下端を含む所定部位が水車(42)と実質的に接触するように配置されている。つまり、加湿ロータ(43)は、水車(42)の後側凹部(42b)と軸方向に一致する部位を有している。これにより、加湿ロータ(43)には、水車(42)の後側凹部(42b)によって汲み上げられた加湿水が吸湿部材(43b)に吸収可能に構成されている。
駆動モータ(44)は、駆動歯車(44a)を有している。駆動歯車(44a)は、ピニオン(45)を介して加湿ロータ(43)の従動歯車(43a)と歯合している。すなわち、駆動モータ(44)が駆動歯車(44a)を回転駆動させると、ピニオン(45)及び従動歯車(43a)が回転し、さらに従動歯車(43a)と歯合する水車(42)が回転する。
<浄化ユニット(放電処理部)の構成>
空気処理装置(10)は、空気や加湿水を浄化するための浄化ユニットを備えている。この浄化ユニットは、上述した放電処理部(50)で構成され、放電処理部(50)では、空気や加湿水を浄化するためにストリーマ放電が行われる。
上記放電処理部(50)は、具体的には図6(a)に示す構成を有する。図6(a)は放電処理部(50)の縦断面図を示す。同図において、放電処理部(50)は、平板状の放電電極(51)と、この放電電極(51)の下方において放電電極(51)と対向して配置された平板状の対向電極(52)と、上記放電電極(51)と同一材料で構成された支持板(53)を介して放電電極(51)と電気的に接続された2つの放電部(54)とを備える。
そして、上記放電電極(51)及び対向電極(52)は、共に、高抵抗の物質で構成された部材(55)により表面全体がモールドされている。この高抵抗の部材(55)は、例えば10〜1018Ω・cmの範囲の抵抗値を有する材料、例えばポリプロピレン(PP、1010Ω・cm)で構成される。
上記モールドされた放電電極(51)及び対向電極(52)は相互に平行に配置され、その放電電極(51)及び対向電極(52)の図中左端部及び右端部には、各々、碍子(60)が配置されている。この両碍子(60)は、上記高抵抗の部材(55)でモールドされた状態での放電電極(51)と対向電極(52)との離隔が所定間隔(H)となるように高さ(h)が予め設定されている。
上記各放電部(54)は、放電電極(51)と対向電極(52)と2つの碍子(60)で囲む空間である返送通路(15)(図2参照)内で図6(a)中で左右方向に位置する。これらの放電部(54)は、図7に示す構成を有する。具体的には、放電電極(51)に一体形成された支持板(53)の先端部に、線状又は棒状の放電針(54a)が複数(同図では5本)配置されて成る。これ等の放電針(54a)は、各々、図6(a)において返送通路(15)を流れる空気の流通方向(すなわち、図6(a)の紙面垂直方向)に対して垂直に配置される。また、複数本の放電針(54a)は、互いに平行に配置されると共に、返送通路(15)の空気流通方向に並んで配置される。
図6(a)に示すように、放電電極(51)と対向電極(52)には、所定電圧を発生する直流電源(61)が接続される。直流電源(61)は、放電電極(51)を陽極とし、対向電極(52)を陰極として、その両電極間に発生電圧を印加する。放電電極(51)の放電部(54)の各放電針(54a)では、その後方近傍に平板状の放電電極(51)が位置した状態で対向電極(52)との間に上記直流電源(61)の直流電圧が印加されることにより、各放電針(54a)の両先端から平板状の対向電極(52)に向かってストリーマ放電(56)が生起される。このストリーマ放電(56)により、返送通路(15)中の空気中には活性種(ラジカル、オゾン、高速電子、励起分子等)が発生する。
放電処理部(50)では、各部材の間隔が以下のように設定されている。先ず、隣り合う放電針(54a)の間隔D1は、5.0mmであり、2.0mm以上であることが好ましい。また、放電針(54a)と放電電極(51)との間隔D2は、5.0mmであり、3.0mm以上、7.0mm以下であることが好ましい。また、放電針(54a)と対向電極(52)との間の距離D3は、5.0mmであり、3.0mm以上、7.0mm以下であることが好ましい。このように、各距離D1〜D3を設定することで、安定したストリーマ放電を生起することができる。
そして、上記放電処理部(50)で生成された活性種を含む空気の一部は、案内通路(16)を介して空気浄化装置(20)の最上流側に配置されたプレフィルタ(21)に供給される。また、残りの活性種を含む空気は、移送配管(30)を介して水タンク(41)内に供給される。
尚、放電処理部(50)では、その放電電流が一定となる定電流制御を行うことが好ましい。
<本実施形態の効果>
本実施形態では、遠心ファン(18)が運転されて、室内の空気が吸込口(12)を通じて空気通路(14)内に導入された後、順次、プレフィルタ(21)、イオン化部(22)、プリーツフィルタ(23)、脱臭部材(24)を通過し、その一部の空気が返送通路(15)に流入し、前方に送られて放電処理部(50)を流れる。この放電処理部(50)では、放電電極(51)と対向電極(52)との間に電源(61)の直流電圧が印加されていて、この放電処理部(50)周囲の返送通路(15)では、モールドされた高抵抗の部材(55)の有る場合と無い場合とで同一の電界が生じている。従って、この高抵抗の部材(55)が存在しても、高抵抗の部材(55)がない場合と同様に、放電電極(51)に接続された放電部(54)の複数本の放電針(54a)と対向電極(52)との間でストリーマ放電が行われて、活性種(ラジカル、オゾン、高速電子、励起分子等)が発生する。そして、この活性種を含んだ空気の一部が返送通路(15)を通じてプレフィルタ(21)の上流側を流れる空気と合流する。
その際、返送通路(15)中の放電処理部(50)が位置する部位では、発生した活性種(ラジカル、オゾン、高速電子、励起分子等)の一部が浮遊したり、脱臭部材(24)を通過したたばこの煙が存在する場合にはそのたばこの煙が浮遊しており、これ等の導電性の汚れが図6(a)に示した碍子(60)の内周面や、放電電極(51)の下側(放電部(54)側)表面を覆う高抵抗の部材(55)の表面、又は対向電極(52)の上側(放電部(54)側)表面を覆う高抵抗の部材(55)の表面に付着する。
しかし、図6(b)に示すように、放電処理部(50)では、放電電極(51)と対向電極(52)との間の絶縁距離は、碍子(60)の高さ(h)と、この碍子(60)の内周面から放電電極(51)に電気的に接続された支持板(53)の端部までの距離(d1)と、上記碍子(60)の内周面から対向電極(52)上でストリーマ放電(56)が収束する位置までの距離(d2)との合計距離(h+d1+d2)となる。この絶縁距離(h+d1+d2)は、従来の構成と比して長く確保される。例えば、図8(a)に示すように放電電極(51)と対向電極(52)とを本実施形態のようにモールドせず、両電極(51)、(52)の表面が共に返送通路(15)中に露出している場合には、同図(b)に示すように放電電極(51)と対向電極(52)との間の絶縁距離は、碍子(60)の高さ(h)のみとなるため、本放電処理部(50)での絶縁距離を図8(a)及び(b)の場合と比較すると、絶縁距離が長くなる分は、碍子(60)の内周面から放電電極(51)に電気的に接続された支持板(53)の端部までの距離(d1)と、上記碍子(60)の内周面から対向電極(52)までの距離(d2)との合計距離(d1+d2)となる。
従って、返送通路(15)中の導電性の汚れが図6(a)に示した碍子(60)の内周面や、放電電極(51)の下側表面及び対向電極(52)の上側表面を覆う高抵抗の部材(55)の表面に付着しても、この導電性の汚れの付着に対する耐力が向上して、放電電極(51)の支持板(53)から上記付着した導電性の汚れを介した対向電極(52)への電流は流れ難くなり、放電電極(51)の放電部(54)の各放電針(54a)と対向電極(52)とに印加される電圧は所期の電圧に良好に保持される。よって、放電電極(51)の各放電針(54a)から生起されるストリーマ放電が安定することになる。
更に、放電電極(51)と対向電極(52)との間には、高抵抗の部材(55)が位置しているので、放電電極(51)と対向電極(52)と間で異常放電は起こし難くなる。
また、放電電極(51)の下側表面だけでなく、対向電極(52)の上側表面にも高抵抗の部材(55)が位置しているので、碍子(60)の内周面から対向電極(52)上でストリーマ放電(56)が収束する位置までの距離(d2)の分、絶縁距離をより長く確保できて、ストリーマ放電を安定させることができる。
加えて、放電電極(51)及び対向電極(52)の全体が高抵抗の部材(55)でモールドされているので、高抵抗の部材(55)を表面に有する放電電極(51)及び対向電極(52)を比較的簡易に製造しつつ、ストリーマ放電の安定化が可能である。
更に、対向電極(52)の放電部(54)では、複数本の放電針(54a)が互いに平行に配置されているので、これ等の放電針(54a)が一列状に配置される構成に比べて、放電部(54)、放電電極(51)及び対向電極(52)をコンパクト化でき、ひいては放電処理部(50)全体のコンパクト化が可能である。
尚、本実施形態では、放電電極(51)及び対向電極(52)の全表面をモールドして、その両電極の全表面に高抵抗の部材(55)を配置する構成を採用したが、本発明はこの実施形態に限定されず、その他、例えば、放電電極(51)の放電部(54)側の表面において、2つの放電部(54)間の部位では、絶縁距離と無関係であるので、高抵抗の部材(55)を必ずしも配置する必要はない。同様に、対向電極(52)の放電部(54)側の表面でも、2つの放電部(54)間の部位では、高抵抗の部材(55)を必ずしも配置する必要はない。更に、本実施形態では、図6(b)に示した距離(d1)、(d2)の全体に高抵抗の部材(55)を位置させたが、碍子(60)の内周面から放電電極(51)の支持板(53)の端部に至るまでの一部の距離(この距離をd3とすると、d3<d1)に高抵抗の部材(55)を位置させたり、碍子(60)の内周面から対向電極(52)上でストリーマ放電(56)が収束する位置に至るまでの一部の距離(この距離をd4とすると、d4<d2)に高抵抗の部材(55)を位置させても、絶縁距離は図8(a)、(b)の構成に比して長く確保できる。
<放電処理部の変形例>
図9は、上記放電処理部(50)の変形例を示す。本変形例では、上記碍子(60)と高抵抗の部材(55)とを一体形成した樹脂ケースを設けたものである。
図9(a)は放電処理部(50)の全体構成を示す斜視図、同図(b)は樹脂ケース単体の上面図、同図(c)は同樹脂ケースの断面図、同図(e)は樹脂ケースに放電電極(51)及び対向電極(52)を取り付けた断面図である。図9(b)及び(c)に示したように、樹脂ケース(65)は、高抵抗の樹脂で形成されると共に、図9(b)の紙面上下方向(図9(c)の紙面垂直方向)に開口する中空の上下に2分割された箱体形状に形成され、この箱体の内部空間が返送通路(15)となる。この樹脂ケース(65)には、上面に放電電極(51)の支持板(53)及び放電部(54)を通す開口(66)が形成されていると共に、放電電極(51)を支持する支持部(67)が上面に形成されている。また、樹脂ケース(65)の内部下面には、対向電極(52)が載置される載置部(68)形成されている。
そして、図9(a)及び(d)から判るように、樹脂ケース(65)の上面の支持部(67)で放電電極(51)及び放電部(54)を支持すると共に、樹脂ケース(65)の内部下面の載置部(68)に対向電極(52)が載置されて、放電処理部(50)が構成される。
本変形例では、図9(b)及び(d)から判るように、樹脂ケース(65)において、放電電極(51)と対向電極(52)とを所定距離に離隔する所定高さ(h)の縦部(65a)が上記実施形態の碍子(60)に相当すると共に、樹脂ケース(65)の上面及び下面が高抵抗の部材(55)に相当する。
従って、本変形例でも、上記実施形態と同様に、放電電極(51)と対向電極(52)との間の絶縁距離を従来よりも拡大して、樹脂ケース(65)の内周面に導電性の汚れが付着しても、両電極(51)、(52)間に印加される電圧を所定電圧に良好に保持してストリーマ放電を安定させることが可能である。しかも、樹脂ケース(65)に放電電極(51)と対向電極(52)とを配置するだけでそれら両電極(51)、(52)の表面に高抵抗の部材を配置できる。
以上説明したように、本発明は、ストリーマ放電を行う放電装置において、放電電極と対向電極との間の実質的な絶縁距離を長く確保したので、碍子などの内周面に導電性の汚れが付着しても、常にストリーマ放電を安定させることが可能であるので、その放電装置やこの放電装置を備えた空気処理装置に適用して、有用である。
10 空気処理装置
14 空気通路
15 返送通路
50 放電処理部(放電装置)
51 放電電極
52 対向電極
53 支持板
54 放電部
54a 放電針
55 高抵抗の部材
56 ストリーマ放電
60 碍子(スペース部材)
61 電源
65 樹脂ケース
65a 縦部
66 開口
67 支持部
68 載置部

Claims (5)

  1. 放電電極(51)と、
    上記放電電極(51)に対向して配置される対向電極(52)と、
    上記放電電極(51)と対向電極(52)との離隔を所定離隔に保持し、絶縁性を有するスペース部材(60)と、
    上記放電電極(51)に電気的に接続された放電部(54)とを備え、
    上記放電電極(51)と上記対向電極(52)との間に所定電圧を印加して、上記放電部(54)と上記対向電極(52)との間でストリーマ放電を行う放電装置において、
    上記放電電極(51)の表面には、上記スペース部材(60)が位置する部位から上記放電部(54)側に向って高抵抗の部材(55)が配置されている
    ことを特徴とする放電装置。
  2. 請求項1記載の放電装置において、
    上記対向電極(52)の表面にも、上記スペース部材(60)が位置する部位から上記放電部(54)側に向って高抵抗の部材(55)が配置されている
    ことを特徴とする放電装置。
  3. 請求項2記載の放電装置において、
    上記放電電極(51)及び上記対向電極(52)は、共に、表面全体が上記高抵抗の部材(55)でモールドされている
    ことを特徴とする放電装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の放電装置において、
    上記放電部(54)は、複数の放電針(54a)が相互に平行に位置した状態で上記放電電極(51)に電気的に接続されて成る
    ことを特徴とする放電装置。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の放電装置において、
    上記スペース部材(60)は、中空の箱体形状の樹脂ケース(65)で構成され、
    上記樹脂ケース(65)は、上面に上記放電電極(51)の放電部(54)が通る開口(68)を有すると共に、内部上面に上記放電電極(51)が支持される支持部(67)が形成され、内部下面に上記対向電極(52)が載る載置部(68)が形成されている
    ことを特徴とする放電装置。
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