JP2015125965A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた充放電サイクル特性を有する非水電解液二次電池を提供する。【解決手段】 リチウムを含む遷移金属複合酸化物を活物質として含有する正極と、少なくとも黒鉛を活物質として含有する負極と、セパレータと、非水電解液とを有する非水電解液二次電池であって、前記負極は、前記活物質およびバインダを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有しており、前記負極合剤層は、前記バインダとして、スチレンブタジエンゴムとアルギン酸とを含有しており、かつスチレンブタジエンゴムの含有量を質量基準で1としたとき、アルギン酸の含有量が5以上20以下であることを特徴とする非水電解液二次電池により、前記課題を解決する。【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた充放電サイクル特性を有する非水電解液二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池は、パーソナルコンピューターや携帯電話などのポータブル機器用に普及しており、これらの各種機器に合わせた要求特性を備えている。特に今後も更に市場が伸びると予測される携帯電話については、その高機能化が進むことに伴って、その電源に使用される非水電解液二次電池にも、それに応じた高容量化が要求されると考えられる。
非水電解液二次電池の高容量化に関しては、例えば、正極において、従来から汎用されているリチウムコバルト酸化物に加えて、リチウムニッケル酸化物のように質量当たりの容量が大きい材料を活物質に用いる方法が採用されている他、最近では、電池の充電電圧を高くすることにより、同じ種類の活物質を用いていても、充放電に寄与するLi量を増加させることで、容量を大きくすることが行われている。
また、負極については、従来から活物質として黒鉛が汎用されているが、現在では黒鉛の理論容量である372mAh/gに極めて近い利用率での電池設計がなされており、これを実現するために、より結晶性が高い天然黒鉛が用いられている。
ところで、非水電解液二次電池の負極には、前記の天然黒鉛などの負極活物質を、バインダで結着して形成した負極合剤層を、金属製の集電体上に有する構造のものが一般に使用されている。そして、負極合剤層のバインダには、スチレンブタジエンゴムやフッ素ゴム、ポリアクリル酸のような合成高分子が汎用されている他、アルギン酸などの天然高分子が使用されることもある(特許文献1など)。
特開2012−18841号公報
天然黒鉛を負極活物質として使用するに際しては、自然界で産出される黒鉛塊を粉砕して粉体としているが、天然黒鉛は層状構造を有する高結晶性体であるため、その粒子の形態は、一般的には前記構造に沿った鱗片形状である。このような鱗片形状の黒鉛を用いて負極合剤層を形成すると、負極合剤層内において、黒鉛が集電体に対して平行に積層されていくため、滑りが生じて負極合剤層と集電体との間の接着強度が弱くなったり、負極合剤層の密度を高めて高容量化を図るためにプレス処理などの加圧処理を行うと、鱗片形状の黒鉛同士が容易に積み重なることから、黒鉛粒子間の隙間が非常に小さくなって、負極合剤層内に非水電解液が浸透し難くなり、充放電に寄与し得ない負極活物質(黒鉛)の割合が増大して、例えば充放電を繰り返したときに早期に容量が低下してしまう虞がある。
こうしたことから、黒鉛(特に天然黒鉛)を負極活物質とする非水電解液二次電池においては、負極合剤層の密度を高めて高容量化を図っても、充放電を繰り返した際の容量低下を抑制できるように、優れた充放電サイクル特性を確保し得る技術の開発が求められている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた充放電サイクル特性を有する非水電解液二次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の非水電解液二次電池は、リチウムを含む遷移金属複合酸化物を活物質として含有する正極と、少なくとも黒鉛を活物質として含有する負極と、セパレータと、非水電解液とを有しており、前記負極は、前記活物質およびバインダを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有しており、前記負極合剤層は、前記バインダとして、スチレンブタジエンゴムとアルギン酸とを含有しており、かつスチレンブタジエンゴムの含有量を質量基準で1としたとき、アルギン酸の含有量が5以上20以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、優れた充放電サイクル特性を有する非水電解液二次電池を提供することができる。
本発明の非水電解液二次電池の一例を模式的に表す平面図である。 図1の非水電解液二次電池のA−A線断面図である。
本発明の非水電解液二次電池に係る負極は、少なくとも黒鉛を活物質として含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有している。
黒鉛としては、例えば、鱗片状黒鉛などの天然黒鉛;熱分解炭素類、メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの易黒鉛化炭素を2800℃以上で黒鉛化処理した人造黒鉛;などが挙げられる。黒鉛には、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、電池の高容量化を図る観点からは、高結晶性のものを使用することが好ましく、天然黒鉛を使用することがより好ましい。
また、負極活物質には、黒鉛と共に他の負極活物質を使用することができる。黒鉛と併用し得る他の負極活物質としては、例えば、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素材料;リチウムと合金化可能な金属(Si、Snなど)またはその合金、酸化物;Li窒化物;などが挙げられる。
なお、全負極活物質中の黒鉛の含有量は、90質量%以上であることが好ましい。また、負極活物質には黒鉛のみを使用してもよいことから、全負極活物質中の黒鉛の含有量の好適上限値は100質量%である。
負極合剤層に係るバインダには、スチレンブタジエンゴム(SBR)とアルギン酸とを使用する。
負極合剤層は、通常、負極活物質やバインダなどを溶媒に分散させたり溶解させたりして調製した負極合剤含有組成物を、集電体上に塗布し乾燥する工程を経て形成される。そして、非水電解液二次電池に係る負極合剤層のバインダには、負極合剤含有組成物の溶媒に応じたものが選択されており、一般には、前記溶媒に有機溶媒を使用するケースではポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが使用され、前記溶媒に水を使用するケースではカルボキシメチルセルロース(CMC)などが使用されている。
このうち、CMCは、負極合剤含有組成物の増粘剤としての機能を有すると共に、負極活物質粒子間や負極活物質と集電体とを接着する機能を有している。しかしながら、CMCのみをバインダとして形成した負極合剤層は柔軟性に乏しく、機械的な曲げに対する耐性が低いため、SBRやフッ素ゴムのような柔軟性に富むバインダを併用することが通常である。すなわち、負極合剤含有組成物の溶媒に水を用いる場合には、CMCとSBRとを併用することで、機械的強度と柔軟性とを併せ持った負極合剤層を有する負極を得ることができる。
ところで、負極活物質に黒鉛(特に高結晶性の天然黒鉛)を使用した場合には、例えば、負極合剤層の密度を高めると、負極合剤層表面での隙間(空孔)や負極合剤層内での負極活物質粒子間の隙間が減少するため、負極合剤層内に非水電解液が十分に浸透せず、電池の充放電反応に関与できない負極活物質粒子の割合が多くなることがある。この場合、電池の充放電容量が低下することに加えて、負極合剤層内で電流密度に分布が生じて局所的にLi金属(デンドライト)が生成するようになる。
負極合剤層内で一旦Li金属が生成すると、その部分での充放電効率が急激に低下し、それ以外の部分に電流が集中してしまうため、電池の負荷特性が低下すると共に、生成したLi金属による非水電解液の消費も進行して、電池の充放電を繰り返したときに容量低下が急激に生じるようになる。
こうした問題を回避するにあたり、負極合剤層の形成後に一般的に行われているカレンダ処理などのプレス処理時の付加圧力を下げることによって対応することも考えられる。しかしながら、現実には、例えばバインダにSBRとCMCとを併用して形成した負極合剤層を有する負極では、プレス処理を施すと、まず負極合剤層の表面から隙間が減少していくため、負極合剤層全体では空孔部分の割合を高めることができても、負極合剤層内への非水電解液の浸透性を向上させることはできなかった。
ところが、負極合剤層のバインダにSBRとアルギン酸とを併用した場合には、負極合剤層の表面の粗度を大きくできるため、負極合剤層内への非水電解液の浸透性を高めることができる。これは、SBRとアルギン酸とは相溶性が悪く、負極合剤含有組成物内で共存させた際に微小ゲルが生じ、これが負極合剤層の表面の粗度を大きくしていると推測される。
ちなみに、バインダにSBRとCMCとを併用した負極合剤層では、負極合剤含有組成物を塗布し乾燥した直後の色が灰色であるのに対し、バインダにSBRとアルギン酸とを併用した負極合剤層では、負極合剤含有組成物を塗布し乾燥した直後の色が、黒鉛の影響を強く受けた黒色で、表面の粗度が大きいことが明らかであり、この黒色は負極合剤層にプレス処理を施した後にも維持されていた。
負極合剤層においては、SBRの含有量を質量基準で1としたとき、アルギン酸の含有量は、5以上である。SBRとアルギン酸とを、このような比率で併用することで、負極合剤層内への非水電解液の浸透性を高めることができ、これにより、負極合剤層内で電池の充放電反応に寄与し得る負極活物質粒子の割合を高めたり、負極合剤層内でのLi金属の生成を抑制したりできるため、非水電解液二次電池の充放電サイクル特性を高めることができる。ただし、SBRの量に対するアルギン酸の量が多くなると、非水電解液二次電池の充放電サイクル特性が却って低下する。よって、負極合剤層においては、SBRの含有量を質量基準で1としたとき、アルギン酸の含有量は、20以下である。
なお、負極合剤層におけるSBRおよびアルギン酸の具体的な含有量は、SBRが0.025〜1質量%であることが好ましく、アルギン酸が0.5〜5質量%であることが好ましい。
負極合剤層のバインダには、SBRおよびアルギン酸と共に、これら以外のバインダを用いることもできる。このようなバインダとしては、例えば、CMC、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸およびこれらの塩などが挙げられる。
ただし、SBRおよびアルギン酸を使用することによる前記の効果をより良好に確保する観点からは、負極合剤層の有する全バインダのうち、SBRとアルギン酸との合計含有量を、50質量%以上とすることが好ましく、60質量%以上とすることがより好ましく、80質量%以上とすることが更に好ましい〔すなわち、負極合剤層の有する全バインダのうちの、SBRおよびアルギン酸以外のバインダの含有量を、50質量%以下に制限することが好ましく、40質量%以下に制限することがより好ましく、20質量%以下に制限することが更に好ましい〕。なお、負極合剤層のバインダは、SBRおよびアルギン酸のみであってもよいため、負極合剤層の有する全バインダのうちの、SBRとアルギン酸との合計含有量の好適上限値は100質量%である。
負極合剤層には、必要に応じて導電助剤を含有させることもできる。負極合剤層に使用可能な導電助剤としては、後述する正極合剤層に係る導電助剤と同じものが挙げられる。
負極は、例えば、前述した負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて使用する導電助剤を、水などの溶媒に分散させたペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造される。ただし、負極の製造方法は、前記の方法に制限される訳ではなく、他の製造方法で製造してもよい。
負極の集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は5μmであることが望ましい。
負極合剤層の組成としては、例えば、負極活物質の量が80〜99質量%であることが好ましく、バインダの量が1〜20質量%であることが好ましい。また、負極合剤層に導電助剤を含有させる場合には、導電助剤は、負極活物質の量およびバインダの量が、前記の好適値を満足する範囲内で使用することが好ましい。更に、負極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり、10〜100μmであることが好ましい。
また、負極合剤層の密度は、負極の高容量化を図る観点から1.4g/cm以上であることが好ましく、また、負極合剤層内への非水電解液の浸透性をより高める観点から1.7g/cm以下であることが好ましい。
本明細書でいう負極合剤層の密度は、以下の方法により測定される値である。負極を所定面積に切り取り、その質量を最小目盛0.1mgの電子天秤を用いて測定し、集電体の質量を差し引いて負極合剤層の質量を算出する。一方、負極の全厚を最小目盛1μmのマイクロメーターで10点測定し、これらの測定値から集電体の厚みを差し引いた値の平均値と、面積とから、負極合剤層の体積を算出する。そして、前記負極合剤層の質量を前記体積で割ることにより負極合剤層の密度を算出する。
本発明の非水電解液二次電池に係る正極は、リチウムを含む遷移金属複合酸化物を活物質として含有しており、例えば、前記活物質、バインダおよび導電助剤を含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものである。
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な、リチウムを含む遷移金属複合酸化物(リチウム含有遷移金属複合酸化物)が使用される。リチウム含有遷移金属複合酸化物としては、従来から知られているリチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池に使用されているもの、具体的には、LiCoO(ただし、0≦y≦1.1である。)、LiNiO(ただし、0≦z≦1.1である。)、LiMnO(ただし、0≦e≦1.1である。)、LiCo 1-b(ただし、Mは、Mg、Mn、
Fe、Ni、Cu、Zn、Al、Ti、GeおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、0≦a≦1.1、0<b<1.0である。)、LiNi1−d (ただし、Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Al、Ti、GeおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、0≦c≦1.1、0<d<1.0である。)、LiMnNiCo1−g−h(ただし、0≦f≦1.1、0<g<1.0、0<h<1.0である。)などの層状構造を有するリチウム含有遷移金属複合酸化物などが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
正極合剤層に係るバインダとしては、例えば、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、CMC、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロースなどの多糖類やそれらの変成体;ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PVDF、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂やそれらの変成体;ポリイミド;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、SBR、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシドなどのゴム状弾性を有するポリマーやそれらの変成体;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
正極合剤層に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(商品名)、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;アルミニウム粉、ニッケル粉、銅粉、銀粉などの金属粉末;フッ化炭素;酸化亜鉛;チタン酸カリウムなどからなる導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載のもの)などの有機導電性材料;などが挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
正極は、例えば、正極活物質や、バインダ、導電助剤などを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶媒に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造される。ただし、正極の製造方法は、前記の方法に制限される訳ではなく、他の製造方法で製造してもよい。
正極集電体としては、従来から知られている非水電解液二次電池の正極に使用されているものと同様のものが使用でき、正極集電体の材質は、構成された非水電解液二次電池において化学的に安定な電子伝導体であれば特に限定されない。例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素、導電性樹脂などの他に、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレス鋼の表面に炭素層またはチタン層を形成した複合材などを用いることができる。これらの中でも、アルミニウムまたはアルミニウム合金が特に好ましい。これらは、軽量で電子伝導性が高いからである。正極集電体には、例えば、前記材質からなるフォイル、フィルム、シート、ネット、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体などが使用される。また、正極集電体の表面に、表面処理を施して凹凸を付けることもできる。正極集電体の厚みは特に限定されないが、通常1〜500μmである。
正極合剤層の組成としては、例えば、正極活物質の量が60〜98質量%であることが好ましく、バインダの量が1〜15質量%であることが好ましく、導電助剤の量が1〜25質量%であることが好ましい。また、正極合剤層の厚みは、例えば、正極集電体の片面あたり10〜100μmであることが好ましい。
本発明の非水電解液二次電池は、正極、負極、セパレータ、および非水電解液を有しており、負極が前記の負極であって、正極が前記の正極であればよく、その他の構成および構造に関しては特に制限はなく、従来から知られている非水電解液二次電池で採用されている各種構成および構造を適用することができる。
非水電解液には、有機溶媒にリチウム塩(無機リチウム塩もしくは有機リチウム塩またはその両者)を溶解させることによって調製した電解液を使用することができる。
非水電解液に係る有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、アミンイミド系有機溶媒や、含イオウまたは含フッ素系有機溶媒なども用いることができる。これらの中でも、ECとMECとDECとの混合溶媒が好ましく、この場合、混合溶媒の全容量に対して、DECを15体積%以上80体積%以下の量で含むことがより好ましい。このような混合溶媒であれば、電池の低温特性や充放電サイクル特性を高く維持しつつ、高電圧充電時における溶媒の安定性を高めることができるからである。
非水電解液を構成するための無機リチウム塩としては、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸Li、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランLi、四フェニルホウ酸Liなどが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
非水電解液を構成するための有機リチウム塩としては、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(2≦n≦7)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基を示す。〕などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
これらの非水電解液の中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびメチルエチルカーボネートより選ばれる少なくとも1種の鎖状カーボネートと、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートより選ばれる少なくとも1種の環状カーボネートとを含む溶媒に、LiPFを溶解した電解液が好ましい。
非水電解液中のリチウム塩の濃度は、例えば、0.2〜3.0mol/Lであることが適当であり、0.8〜2.0mol/Lであることが好ましく、0.9〜1.6mol/Lであることがより好ましい。
また、充放電サイクル特性の更なる改善や、高温貯蔵性や過充電防止などの安全性を向上させる目的で、前記の非水電解液に、例えば、無水酸、スルホン酸エステル、ジニトリル、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビニレンカーボネート(VC)、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼン、環状フッ素化カーボネート〔トリフルオロプロピレンカーボネート(TFPC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)など〕、または、鎖状フッ素化カーボネート〔トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)、トリフルオロジエチルカーボネート(TFDEC)、トリフルオロエチルメチルカーボネート(TFEMC)など〕など(前記の各化合物の誘導体も含む)を適宜含有させることもできる。なお、前記環状フッ素化カーボネートおよび鎖状フッ素化カーボネートは、エチレンカーボネートなどのように、溶媒として用いることもできる。
また、前記の非水電解液に公知のポリマーなどのゲル化剤を添加してゲル状としたもの(ゲル状電解質)を、本発明の非水電解液二次電池に使用してもよい。
本発明の非水電解液二次電池に係るセパレータとしては、強度が十分で、かつ非水電解液を多く保持できるものがよく、例えば、厚みが5〜50μmで開口率が30〜70%の、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、エチレン−プロピレン共重合体を含んでいてもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。
更に、セパレータには、融点が140℃以下の樹脂を主体とした多孔質層と、融点が150℃以上の樹脂または耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質層とから構成された積層型のセパレータを使用することができる。ここで、「融点」とは日本工業規格(JIS) K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度を意味し、「耐熱温度が150℃以上」とは、少なくとも150℃において軟化などの変形が見られないことを意味している。
セパレータ(ポリオレフィン製の微多孔膜からなるセパレータや、前記積層型のセパレータ)の厚みは、10〜30μmであることがより好ましい。
本発明の非水電解液二次電池の形態としては、特に制限はない。例えば、コイン形、ボタン形、シート形、積層形、円筒形、扁平形、角形、電気自動車などに用いる大型のものなど、いずれであってもよい。
また、非水電解液二次電池に正極、負極およびセパレータを導入するにあたっては、電池の形態に応じて、複数の正極と複数の負極とをセパレータを介して積層した積層電極体や、正極と負極とをセパレータを介して積層し、更にこれを渦巻状に巻回した巻回電極体として使用することができる。
本発明の非水電解液二次電池は、優れた充放電サイクル特性を有していることから、こうした特性を生かして、小型で多機能な携帯機器の電源用途を始めとして、従来から知られている非水電解液二次電池が適用されている各種用途に好ましく用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<正極の作製>
正極活物質であるLiCoO:93質量部、導電助剤であるカーボンブラック:3質量部、およびバインダであるPVDF:4質量部を、溶媒であるNMPを用いて均一になるように混合して正極合剤含有スラリーを調製した。この正極合剤含有スラリーを、厚みが15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の片面に塗布し、乾燥した後、ローラープレス機により加圧成形することにより、正極集電体の片面に厚みが70μmの正極合剤層を形成した。その後、これを25mm×35mmに切断して短冊状の正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質である天然黒鉛〔(002)面の面間隔(d002):3.351Å、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc):1000Å〕と、SBRの水分散体(SBRの濃度:40質量%)と、アルギン酸水溶液(アルギン酸の濃度:2質量%)とを混合して、負極合剤含有スラリーを調製した。なお、この負極合剤含有スラリーにおいては、天然黒鉛とSBRとアルギン酸との組成比(質量比)を、96.85:0.15:3(すなわち、SBRを質量基準で1としたときに、アルギン酸が20)となるようにした。
前記の負極合剤含有スラリーを、厚みが10μmの銅箔からなる負極集電体の片面に塗布し、乾燥した後、ローラープレス機により加圧成形することにより、負極集電体の片面に厚みが50μmの負極合剤層を形成した。その後、これを30mm×35mmに切断して短冊状の負極を得た。得られた負極の負極合剤層の密度は、1.7g/cmであった。
<電池の組み立て>
前記の正極と前記の負極とを、PE製微多孔膜セパレータ(厚み25μm、空孔率45%)を介在させつつ重ね合わせて積層電極体とした。この積層電極体を10cm×20cmのアルミニウムラミネートフィルムからなる外装体内に挿入した。次に、ECとDECとMECとを1:1:1の体積比で混合した溶液にLiPFを1mol/Lの濃度で溶解させた後、更にVCを1質量%となる量で溶解させて調製した非水電解液を外装体内に注入した。その後、外装体の開口部を封口して、図1に示す外観で、図2に示す断面構造の非水電解液二次電池を作製した。この非水電解液二次電池は、正極容量と負極容量との比を0.9:1として正極容量によって電池容量を規制して、設計容量を200mAhとしたものである(後記の実施例2、および比較例1、2の電池も同様である)。
ここで、図1および図2について説明すると、図1は非水電解液二次電池を模式的に表す平面図であり、図2は、図1のA−A線断面図である。非水電解液二次電池1は、2枚のラミネートフィルムで構成した外装体2内に、正極5と負極6とをセパレータ7を介して積層して構成した積層電極体と、非水電解液(図示しない)とを収容しており、外装体2は、その外周部において、上下のラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。なお、図2では、図面が煩雑になることを避けるために、外装体2を構成している各層、並びに正極5および負極6の各層を区別して示していない。
正極5は、電池1内でリード体を介して正極外部端子3と接続しており、また、図示していないが、負極6も、電池1内でリード体を介して負極外部端子4と接続している。そして、正極外部端子3および負極外部端子4は、外部の機器などと接続可能なように、片端側がラミネートフィルム外装体2の外側に引き出されている。
実施例2
負極活物質である天然黒鉛と、SBRと、アルギン酸との組成比(質量比)を、96.7:0.3:3(すなわち、SBRを質量基準で1としたときに、アルギン酸が10)に変更した以外は、実施例1と同様にして負極合剤含有スラリーを調製した。そして、前記の負極合剤含有スラリーを用いた以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
実施例3
負極活物質である天然黒鉛と、SBRと、アルギン酸との組成比(質量比)を、96.4:0.6:3(すなわち、SBRを質量基準で1としたときに、アルギン酸が5)に変更した以外は、実施例1と同様にして負極合剤含有スラリーを調製した。そして、前記の負極合剤含有スラリーを用いた以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
比較例1
負極活物質である天然黒鉛と、SBRと、アルギン酸との組成比(質量比)を、96.9:0.1:3(すなわち、SBRを質量基準で1としたときに、アルギン酸が30)に変更した以外は、実施例1と同様にして負極合剤含有スラリーを調製した。そして、前記の負極合剤含有スラリーを用いた以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
比較例2
負極活物質である天然黒鉛と、SBRと、アルギン酸との組成比(質量比)を、96:1:3(すなわち、SBRを質量基準で1としたときに、アルギン酸が3)に変更した以外は、実施例1と同様にして負極合剤含有スラリーを調製した。そして、前記の負極合剤含有スラリーを用いた以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
実施例および比較例の各非水電解液二次電池について、以下の各評価を行った。
<充放電サイクル特性評価>
実施例および比較例の各非水電解液二次電池を、50mAの定電流で4.2Vまで充電し、続いて4.2Vの定電圧で充電した。このときの定電流充電と定電圧充電との総充電時間は5時間とした。次に、充電後の各電池を、50mAの定電流で2.5Vになるまで放電させた。前記の定電流−定電圧充電と、その後の定電流放電とを行う一連の操作を1サイクルとして、これらを500サイクル行った。そして、各電池について、500サイクル目の各放電容量を初回放電容量で除した値を百分率で表して、容量維持率を求めた。
<負極の吸液性評価>
実施例および比較例の各非水電解液二次電池について、作製直後から1時間経過した後に、200mAの定電流で4.2Vまで充電し、続いて4.2Vの定電圧で充電した。このときの定電流充電と定電圧充電との総充電時間は2時間とした。次に、充電後の各電池を、50mAの定電流で2.5Vになるまで放電させた。前記の定電流−定電圧充電と、その後の定電流放電とを行う一連の操作を1サイクルとして、これらを5サイクル行った後に、各電池を分解して、負極の表面におけるLi析出の有無を調べた。すなわち、この評価において、負極の表面にLiの析出が認められなければ、負極の注液性(負極合剤層内への非水電解液の浸透性)が良好であり、Liが析出していれば、負極の注液性が劣っていると判断できる。
実施例および比較例の各非水電解液二次電池における負極合剤層の組成を表1に示し、前記の各評価結果を表2に示す。
表1および表2に示す通り、SBRとアルギン酸とを適正な比率で用いた負極合剤層を有する負極を備えた実施例1〜3の非水電解液二次電池は、充放電サイクル特性評価の際の500サイクル目の容量維持率が高く、優れた充放電サイクル特性を有していた。これら実施例1〜3の非水電解液二次電池は、負極の吸液性評価において、負極の表面にLiが析出していなかった。よって、実施例1〜3の非水電解液二次電池は、負極合剤層内への非水電解液の浸透性が良好であるといえる。
これに対し、SBRの含有量に対するアルギン酸の含有量が多すぎる比較例1の電池、およびSBRの含有量に対するアルギン酸の含有量が少なすぎる比較例2の電池は、充放電サイクル特性評価の際の500サイクル目の容量維持率が低く、充放電サイクル特性が劣っていた。また、比較例1の電池は、負極の吸液性評価において、負極の表面にLiの析出が認められた。
1 非水電解液二次電池
2 外装体
5 正極
6 負極
7 セパレータ

Claims (2)

  1. リチウムを含む遷移金属複合酸化物を活物質として含有する正極と、少なくとも黒鉛を活物質として含有する負極と、セパレータと、非水電解液とを有する非水電解液二次電池であって、
    前記負極は、前記活物質およびバインダを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有しており、
    前記負極合剤層は、前記バインダとして、スチレンブタジエンゴムとアルギン酸とを含有しており、かつスチレンブタジエンゴムの含有量を質量基準で1としたとき、アルギン酸の含有量が5以上20以下であることを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 前記負極合剤層におけるアルギン酸の含有量が、0.5〜5質量%である請求項1に記載の非水電解液二次電池。
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