JP2015124284A - タイヤサイドウォール用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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航一 川口
Koichi Kawaguchi
航一 川口
誠 ▲芦▼浦
誠 ▲芦▼浦
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Abstract

【課題】重荷重用タイヤのサイドウォールには、耐カット性等の耐引裂強度が求められているが、従来の手法では破断伸びとの両立が困難であった。そのため、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンをゴム組成物に配合する方法があるが、天然ゴムとシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンとの分散性が非常に乏しいため、それぞれのゴムが有する長所を存分に発揮できないという問題点があった。
【解決手段】天然ゴムおよびシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンを少なくとも含むゴム成分100質量部に対し、ジヒドラジド化合物を0.1〜1.5質量部配合してなることを特徴とするタイヤサイドウォール用ゴム組成物によって上記課題を解決した。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤサイドウォール用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、耐屈曲疲労性を悪化させずに耐引裂強度を改善できるタイヤサイドウォール用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
トラック、バス等の重荷重用タイヤのサイドウォールには、耐カット性等の耐引裂強度が求められている。そのためには、サイドウォールの強度を向上させる必要がある。強度を上げるための一般的な手法として、ゴム成分として天然ゴムを用い、(1)カーボンブラックを増量する、(2)硫黄や加硫促進剤を増量する、等の方法が知られているが、これらの方法ではいずれも破断伸びが悪化してしまう。破断伸びが悪化すると、サイドウォールの耐屈曲疲労性が低下し、タイヤの耐久性が損なわれる。このように、強度と伸びは二律背反の関係にあり、両立は非常に困難である。
一方、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンをゴム組成物に配合してタイヤサイドウォールの耐カット性を改善しようとする技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
しかし、天然ゴムとシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンとは分散性が非常に乏しく、両者を均一に分散させることができず、それぞれのゴムが有する長所を存分に発揮できないという問題点があった。すなわち従来技術は、サイドウォールの耐引裂強度を、所望する程度まで十分に向上させるには至っていない。
特開2006−63143号公報
したがって本発明の目的は、天然ゴムとシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンとの分散性を改善し、耐引裂強度を大幅に改善するとともに、該強度とは二律背反の関係にある破断伸びの低下も抑制したタイヤサイドウォール用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の組成を有するゴム成分に、ジヒドラジド化合物の特定量を配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.天然ゴムおよびシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンを少なくとも含むゴム成分100質量部に対し、ジヒドラジド化合物を0.1〜1.5質量部配合してなることを特徴とするタイヤサイドウォール用ゴム組成物。
2.前記ゴム成分100質量部に対し、前記天然ゴムの配合量が10質量部以上であることを特徴とする前記1に記載のタイヤサイドウォール用ゴム組成物。
3.前記ジヒドラジド化合物が、下記式(1)で表されることを特徴とする前記1または2に記載のタイヤサイドウォール用ゴム組成物。
Figure 2015124284
(式(1)中、Rは炭素数2、4、8もしくは10のアルキレン基またはフェニレン基を表す。)
4.前記1〜3のいずれかに記載のゴム組成物をサイドウォールに用いた空気入りタイヤ。
本発明によれば、特定の組成を有するゴム成分に、ジヒドラジド化合物の特定量を配合したので、天然ゴムとシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンとの分散性を改善し、耐引裂強度を大幅に改善するとともに、該強度とは二律背反の関係にある破断伸びの低下も抑制したタイヤサイドウォール用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(ゴム成分)
本発明で使用されるゴム成分は、天然ゴム(NR)およびシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンの使用を必須とする。シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンを含むポリブタジエンは公知であり、その製造方法は例えば特開2000−44633号公報に開示されている。また商業的に入手可能であり、例えば宇部興産(株)から商品名UBEPOL VCR412として市販されている。
また、NRおよびシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン以外にも、タイヤサイドウォール用ゴム組成物に配合することができる任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ジエン系ゴムはその分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル基等で末端変性されていてもよい。
本発明において、ゴム成分を100質量部としたとき、NRは10質量部以上であり、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンは0.1質量部以上であることが好ましい。
好ましくは、ゴム成分100質量部に対し、NRが20〜90質量部であり、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンが1.2〜12質量部であるのが好ましい。
(ジヒドラジド化合物)
本発明で使用されるジヒドラジド化合物は、分子中に2個のヒドラジド基を有する化合物であって、NRとシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンとの分散性をさらに改善するという観点から、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2015124284
式(1)中、Rは炭素数2、4、8もしくは10のアルキレン基またはフェニレン基を表す。
中でも、Rが炭素数4のアルキレン基を表すアジピン酸ジヒドラジド、Rが炭素数8のアルキレン基を表すセバチン酸ジヒドラジドがとくに好ましい。
本発明で使用されるジヒドラジド化合物は市販されているものを利用できる。
(タイヤサイドウォール用ゴム組成物の配合割合)
本発明のタイヤサイドウォール用ゴム組成物は、前記ゴム成分100質量部に対し、ジヒドラジド化合物を0.1〜1.5質量部配合してなることを特徴とする。
ジヒドラジド化合物の配合量が0.1質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に1.5質量部を超えると破断伸びが悪化する。
ジヒドラジド化合物のさらに好ましい配合量は、前記ゴム成分100質量部に対し、0.2〜1.0質量部である。
本発明で使用されるタイヤサイドウォール用ゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;各種オイル;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
また本発明のタイヤサイドウォール用ゴム組成物は、従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤのサイドウォールを形成するのに使用することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
実施例1〜7および比較例1〜10
サンプルの調製
表1〜5に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで4分間混練した後、約160℃でミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物に加硫促進剤および硫黄を加えてオープンロールにて混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で170℃、10分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
耐引裂強度:JIS K6301に準拠して測定した。結果は比較例1の値を100として指数表示した。この値が大きいほど耐引裂強度に優れることを意味する。
破断強度(TB):JIS K 6251(ダンベル3号)に準拠して測定した。結果は比較例1の値を100として指数表示した。この値が大きいほど破断強度に優れることを意味する。
破断伸び(EB):JIS K 6251(ダンベル3号)に準拠して測定した。結果は比較例1の値を100として指数表示した。この値が大きいほど破断伸びに優れることを意味する。
結果を表1〜5に併せて示す。
Figure 2015124284
Figure 2015124284
Figure 2015124284
Figure 2015124284
Figure 2015124284
*1:NR(RSS#3)
*2:BR−1(宇部興産(株)製UBEPOL VCR412。シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンを12質量%含む)
*3:アジピン酸ジヒドラジド(日本ファインケム(株)製)
*4:カーボンブラック(キャボットジャパン(株)製ショウブラックN550)
*5:オイル(昭和シェル(株)製エキストラクト4号S)
*6:老化防止剤−1(住友化学(株)製アンチゲン6C)
*7:老化防止剤−2(住友化学(株)製アンチゲンRD−G)
*8:ワックス(大内新興化学工業(株)製サンノック)
*9:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸)
*10:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*11:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G)
*12:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄)
*13:BR−2(日本ゼオン(株)製Nipol 1220)
上記の表1は、天然ゴムを40質量部およびUBEPOL VCR412を60質量部配合した系の結果を示している。表1の結果から、実施例で調製されたゴム組成物は、特定の組成を有するゴム成分に、ジヒドラジド化合物の特定量を配合したので、比較例1に比べて、耐引裂強度および破断強度TBが改善されている。これは、天然ゴムとシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンとの分散性が改善されていることに基づいている。また、該強度とは二律背反の関係にある破断伸びEBの低下も抑制されている。
これに対し、比較例2は、ジヒドラジド化合物の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、EBが悪化した。
上記の表2は、天然ゴムを90質量部およびUBEPOL VCR412を10質量部配合した系の結果を示している。上記の表2の結果から、実施例で調製されたゴム組成物は、特定の組成を有するゴム成分に、ジヒドラジド化合物の特定量を配合したので、比較例3に比べて、耐引裂強度および破断強度TBが改善され、かつ該強度とは二律背反の関係にある破断伸びEBの低下も抑制されている。
これに対し、比較例4は、ジヒドラジド化合物の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、EBが悪化した。
上記の表3は、天然ゴムを10質量部およびUBEPOL VCR412を90質量部配合した系の結果を示している。上記の表3の結果から、実施例で調製されたゴム組成物は、特定の組成を有するゴム成分に、ジヒドラジド化合物の特定量を配合したので、比較例5に比べて、耐引裂強度および破断強度TBが改善され、かつ該強度とは二律背反の関係にある破断伸びEBの低下も抑制されている。
これに対し、比較例6は、ジヒドラジド化合物の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、EBが悪化した。
上記の表4は、天然ゴムを配合せず、UBEPOL VCR412を100質量部配合した系の結果を示している。上記の表4の結果から、天然ゴムを配合しないと、耐引裂強度および破断強度TBの改善が見られないことが分かった。
上記の表5は、UBEPOL VCR412を配合せず、その替わりに通常のBRを配合した系の結果を示している。この結果から、ジヒドラジド化合物の添加効果は、天然ゴムとシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンとの組み合わせに固有のものであることが分かった。

Claims (4)

  1. 天然ゴムおよびシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンを少なくとも含むゴム成分100質量部に対し、ジヒドラジド化合物を0.1〜1.5質量部配合してなることを特徴とするタイヤサイドウォール用ゴム組成物。
  2. 前記ゴム成分100質量部に対し、前記天然ゴムの配合量が10質量部以上であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤサイドウォール用ゴム組成物。
  3. 前記ジヒドラジド化合物が、下記式(1)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤサイドウォール用ゴム組成物。
    Figure 2015124284

    (式(1)中、Rは炭素数2、4、8もしくは10のアルキレン基またはフェニレン基を表す。)
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物をサイドウォールに用いた空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017110068A (ja) * 2015-12-15 2017-06-22 株式会社ブリヂストン タイヤのサイドゴム用ゴム組成物及びタイヤ
WO2022113722A1 (ja) 2020-11-24 2022-06-02 横浜ゴム株式会社 タイヤ用ゴム組成物

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