JP2015122821A - ステータ構造およびブラシレスモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】インナーロータ型のブラシレスモータにおける逆起電圧の波形がより正弦波に近い波形となることで、これによってコギングトルクおよびトルクリップルの低減、騒音、振動の抑制および効率的なモータ駆動が実現できる技術の提供を目的とする。
【解決手段】インナーロータ型ブラシレスモータのステータ構造であって、環状の構造を有し、この環状の構造から内周方向に向かって突出した複数の突極3を備え、前記複数の突極3のそれぞれは、軸中心側に向けて突極面3cを有し、軸方向から見て、前記突極面3cは同一形状の2つの円弧α,βによって形成された形状を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、突極の形状に特徴のあるステータ構造および、これを用いたブラシレスモータの技術に関する。
インナーロータ型のブラシレスモータは、外周側にステータ、内周側にロータが配置され、ステータの内側でロータが回転するモータである。このステータは、ロータの方向に向かって複数の突極が形成されている。そしてこの突極は、ロータの外周面と対向する突極面を有している。一般的に軸方向から見た突極面の形状は、ロータの回転中心を曲率中心とする円弧形状が採用されている。
他方において、コギングトルクおよびトルクリップルの軽減や高調波の軽減を目的に、突極面の円弧形状の曲率中心の位置を回転軸の位置と異ならせた構造(例えば、特許文献1を参照)や軸方向から見た突極面の形状を円弧でない形状とした構造(例えば、特許文献2を参照)が公知である。
特開2013−27240号公報 特開2013−121271号公報
ところで、本発明者は、コギングトルクおよびトルクリップルを低減する観点から、ロータを外力によって強制的に回転させた際に駆動コイルに生じる逆起電圧に着目し、数々の検討を行った。この結果、これまで知られている軸方向から見た突極面の形状では、観測される逆起電圧が正弦波とならず、この正弦波形からのずれがトルクリップルに相関していることが判明した。すなわち、トルクリップルは、逆起電圧の波形が正弦波からずれる程、大きなものとなる。
このような背景において、本発明は、インナーロータ型のブラシレスモータにおける逆起電圧の波形がより正弦波に近い波形とすることで、これによってコギングトルクおよびトルクリップルの低減、騒音、振動の抑制および効率的なモータ駆動が実現できる技術の提供を目的とする。
請求項1に記載の発明は、インナーロータ型ブラシレスモータのステータ構造であって、環状の構造を有し、この環状の構造から内周方向に向かって突出した複数の突極を備え、前記複数の突極のそれぞれは、軸中心側に向けて突極面を有し、軸方向から見て、前記突極面は同一形状の2つの円弧によって形成された形状を有することを特徴とするステータ構造である。請求項1に記載の発明によれば、逆起電圧の波形をより正弦波に近い波形にできる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記突極面に形成された2つの円弧の曲率中心は、前記ロータの回転中心と前記突極面の周方向における中央の位置とを結ぶ線に対して線対称な位置にあり、且つ、前記ロータの回転中心よりも前記突極面に寄った位置にあることを特徴とする。請求項2に記載の発明によれば、逆起電圧の波形を更に正弦波に近い波形にできる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のステータ構造と、前記ステータ構造の内側に回転自在な状態で配置されたロータとを有することを特徴とするブラシレスモータである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記ロータと前記突極の先端部との隙間の最短距離であるエアギャップと、前記ロータと前記突極面の中央の最深部との隙間の距離である円弧高とによって表わされる円弧高/エアギャップ比が、1.2〜2.2の範囲であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記円弧高/エアギャップ比が、1.5であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5のうちいずれか1項に記載の発明において、前記ロータはロータヨークとロータマグネットで構成されており、前記ロータマグネットは、軸方向から見て180度分割、または90度分割、もしくは(360度/n(nは自然数))分割の構造を有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項3乃至6のうちいずれか1項に記載の発明において、前記ロータマグネットが2極構造であり、前記複数の突極が6スロット構造であることを特徴とする。
本発明によれば、インナーロータ型のブラシレスモータにおける逆起電圧の波形がより正弦波に近い波形とすることで、これによってコギングトルクおよびトルクリップルの低減、騒音、振動の抑制および効率的なモータ駆動が実現できる技術が得られる。
実施形態のブラシレスモータの正面図(A)および、この断面図(B)である。 ステータの突極の拡大図である。 ロータマグネットの正面図であり、(A)は2分割の正面図、(B)は4分割の正面図である。 ステータとロータの位置関係を表す概略図である。 エアギャップと円弧高との比による、モータ効率、コギングトルクおよび正弦波偏差の変化を表すグラフである。 図5におけるブラシレスモータの逆起電圧波形である。
(構成)
図1には、実施形態のブラシレスモータ1が示されている。ブラシレスモータ1は、インナーロータ型の2極6スロットのブラシレスモータである。ブラシレスモータ1は、ステータコア2を有している。軸方向から見たステータコア2の構造は、環状の部分と、この環状の部分から内周側(回転中心の方向)に向かって突出する6個の突極3を有している。6個の突極3は、周方向において等角な角度位置(60°間隔)にある。ステータコア2は、図1(A)に示す形状の板状の軟磁性材料(例えば、電磁鋼鈑)を図1(B)に示すように軸方向で複数枚積層した構造を有している。
図2には、軸方向から見た突極3の拡大図が示されている。突極3は、ステータコア2の環状の部分から内周側に向かって延長した延長部3a、この延長部3aの先端の部分であり、周方向に開いた形状の先端部3b、この先端部3bのロータ側(軸中心側)に対向した面である突極面3cを有している。突極3の延長部3aには、図示しない絶縁用のインシュレータを介して駆動コイル4が巻回されて、ステータが形成される。なお、絶縁用のインシュレータの代わりに粉体塗装を行ってもよい。
ステータコア2の内側には、突極面3cに対向するように隙間を隔ててロータ5が配置されている。ロータ5は、ステータコア2に対して回転自在な状態で保持されている。ロータ5は、ロータヨークとなる略円筒形状のロータコア6、ロータコア6の中心に貫通した状態で固定された回転軸となるシャフト7、ロータコア6の外周に固定された略円筒形状のロータマグネット8を有している。ロータマグネット8は、S極8aとN極8bの2極に着磁されている。軸方向から見たS極8aとN極8bの周方向における角度範囲は、それぞれ180°である。シャフト7は、ロータコア6から軸方向の前後に突出しており、このシャフト7の突出した部分が軸受によって回転自在な状態で保持されている。なお、この図示しない軸受は、例えば玉軸受や磁気軸受でもよく、ステータコア2を内側に収めた図示しないケーシングに取り付けられている。
ロータマグネット8は、図1に示すように2極に着磁した構造が示されている。このロータマグネット8は、図3(A)に示すように周方向で2分割(180°分割)したロータマグネット片401,402により、ロータマグネット400を構成してもよく、また、図3(B)に示す4分割(90°分割)したロータマグネット片501,502,503,504により、ロータマグネット500を構成してもよい。このロータマグネット8は、分割された片を接着等により結合し、円筒形状に形成される。なお、分割を更に細かくすることも可能である。分割数は、一般式(360度/n(nは自然数))によって示される。このようにロータマグネットの分割数を増やすことで、ロータの組み立てが容易になる。
ステータコア2の6個の突極3に巻回された駆動コイル4に、駆動電流を供給することでロータ5が回転する。この原理は、通常のブラシレスモータの場合と同じである。
ここで、本発明者は、コギングトルクおよびトルクリップルを低減する観点から、ロータを外力によって強制的に回転させた際に駆動コイルに生じる逆起電圧に着目し、数々の検討を行った。その結果を以下に説明する。本実施形態において、ステータコア2の突極面3cは、2つの円弧αおよびβにより構成することで、本発明の効果を得られることが分かった。突極面3cを構成する2つの円弧αとβは、同じ半径rの円弧であり、円弧αの曲率中心Cと円弧βの曲率中心Cとは、その位置がずれている。曲率中心Cと曲率中心Cの位置は、曲率中心Cよりも突極面3cに近い位置、すなわちステータに近い位置にある。また、円弧αとβは、左右対称な位置関係にあり、曲率中心Cと突極面3cの周方向における中央の部分とを結んだ線に対して、曲率中心Cと曲率中心Cは線対称な位置にある。また、図2の例では、r=rに設定されている。
次に、ステータコア2の突極面3cは、軸方向から見て左右対称であり、2つの円弧αおよびβによって形成されているため、ロータ5と反対の方向に向かって凹型に窪んだ形状を有している。この構造では、突極面3cの周方向における中央の部分が最深部(ロータ5から最も離れた部分)となっている。また、ロータ5の回転中心Cを軸として突極面3cの周方向における両端に接する円弧9が示されている。円弧9の半径がrで示され、円弧9の曲率中心C(つまりロータ5の回転中心)から突極面3cの最深部(周方向における中央部)までの距離がrで示されている。突極面3cは、窪んでいるので、r>rである。
図4はステータとロータの位置関係を表す概略図である。ここでロータマグネット8の半径をrとした時、r−rをエアギャップGとする。エアギャップGはロータマグネット8と先端部3bとの隙間の最短距離である。また、r−rを円弧高Gとする。円弧高Gはロータマグネット8と突極面3c中央の最深部との隙間の距離である。
本発明者は、2つの円弧αおよびβによって形成されるステータ形状で、円弧高G/エアギャップGの比(G/G比)をパラメータとしてシミュレーションを実施した。その結果を図5に示す。図5には、G/G比に対して、モータ効率、コギングトルクおよび正弦波偏差の変化が示されている。また、それぞれの逆起電圧波形を図6に示す。この結果より、G/G比が1に近いと正弦波偏差は大きく、図6(A)のように正弦波形は崩れ、G/G比が大きくなるにつれ正弦波偏差は小さくなり、図6(B)の状態を経由してきれいな正弦波形(図6(C))になる。コギングトルクについても、G/G比に対して同様の傾向を示す。これらの結果に対し、モータ効率はG/G比が1に近いと効率が上がり、G/G比が大きくなるとモータ効率は下がる。これらの結果より、G/G比が1.5の時がモータとしてコギングトルクおよびトルクリップルの低減、騒音、振動の抑制および効率的なモータ駆動が実現できることが分かり、またG/G比が1.2〜2.2の範囲内でもそれに準じたモータを得ることができる。なお、円弧高/エアギャップ比の最適値は、1.5から±10%程度の範囲の誤差が許容される。
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
1…ブラシレスモータ、2…ステータコア、3…突極、3a…延長部、3b…先端部、3c…突極面、4…駆動コイル、5…ロータ、7…シャフト、8…ロータマグネット、8a…S極、8b…N極、9…円弧、α…円弧、β…円弧、C…円弧9の曲率中心(ロータ5の回転中心)、C…円弧αの曲率中心、C…円弧βの曲率中心、r…円弧9の曲率半径、r…ロータの回転中心から突極面3c中央部分までの距離、r…円弧αおよびβの曲率半径、r…ロータの回転半径、G…エアギャップ、G…円弧高。

Claims (7)

  1. インナーロータ型ブラシレスモータのステータ構造であって、
    環状の構造を有し、この環状の構造から内周方向に向かって突出した複数の突極を備え、
    前記複数の突極のそれぞれは、軸中心側に向けて突極面を有し、
    軸方向から見て、前記突極面は同一形状の2つの円弧によって形成された形状を有することを特徴とするステータ構造。
  2. 前記突極面に形成された2つの円弧の曲率中心は、前記ロータの回転中心と前記突極面の周方向における中央の位置とを結ぶ線に対して線対称な位置にあり、且つ、前記ロータの回転中心よりも前記突極面に寄った位置にあることを特徴とする請求項1に記載のステータ構造。
  3. 請求項1または2に記載のステータ構造と、
    前記ステータ構造の内側に回転自在な状態で配置されたロータと
    を有することを特徴とするブラシレスモータ。
  4. 前記ロータと前記突極の先端部との隙間の最短距離であるエアギャップと、
    前記ロータと前記突極面の中央の最深部との隙間の距離である円弧高とによって表わされる円弧高/エアギャップ比が、1.2〜2.2の範囲であることを特徴とする請求項3に記載のブラシレスモータ。
  5. 前記円弧高/エアギャップ比が、1.5であることを特徴とする請求項4に記載のブラシレスモータ。
  6. 前記ロータはロータヨークとロータマグネットで構成されており、
    前記ロータマグネットは、軸方向から見て180度分割、または90度分割、もしくは(360度/n(nは自然数))分割の構造を有することを特徴とする請求項3乃至5のうちいずれか1項に記載のブラシレスモータ。
  7. 前記ロータマグネットが2極構造であり、
    前記複数の突極が6スロット構造であることを特徴とする請求項3乃至6のうちいずれか1項に記載のブラシレスモータ。
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