(A)主たる実施形態
以下では、本発明の画像形成装置の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施形態では、電子写真方式のプリンタに本発明を適用する場合を例示する。なお、本発明に係る画像形成装置は、プリンタの限定されるものではなく、複写機、複合機、FAX装置等の画像形成装置にも広く適用することができる。また、本発明に係る画像形成装置としてのプリンタは、モノクロプリンタ、カラープリンタのいずれにも適用することができる。
(A−1)実施形態の構成
図1は、実施形態に係る画像形成装置100の筐体内部における内部構成を示す内部構成図である。
図1において、実施形態に係る画像形成装置100は、感光体としての感光体ドラム1、帯電装置としての帯電ローラ2、露光装置としての露光ヘッド3、現像ローラ4、供給ローラ5、転写ローラ6、定着装置7、トナーカートリッジ8、クリーニングブレード9、用紙カセット10、給紙ローラ11、搬送ローラ12及び13、排出ローラ14及び15を有する。
なお、現像ローラ4、供給ローラ5及びトナーカートリッジ8は、現像装置を構成する構成要素である。
用紙カセット10は、媒体としての用紙を収納するカセットである。給紙ローラ11は、用紙カセット10に収納されている最上位に位置している用紙を繰り出して、搬送ローラ12及び13に用紙を送るものである。搬送ローラ12及び13は、給紙ローラ11から搬送された用紙を、画像形成部61(図2参照)を構成する感光体ドラム1及び転写ローラ6に向けて搬送するものである。
感光体ドラム1は、露光ヘッド3により静電潜像が形成され、その静電潜像に現像剤が付着した現像剤像を担持するものである。感光体ドラム1は、例えば有機感光体ドラム等を用いることができる。感光体ドラム1は、転写ローラ6と対向して設けられており、転写ローラ6と接触しながら回動する。
搬送ローラ12及び13により搬送された用紙は、感光体ドラム1と転写ローラ6との間のニップ部に送られ、感光体ドラム1の表面に担持された現像剤像が用紙上に転写される。
帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面上にトナーと同じ極性の電圧を印加することにより、感光体ドラム1の表面上を均一に帯電するものである。
露光ヘッド3は、帯電された感光体ドラム1の表面を露光して画像の静電潜像を感光体ドラム1の表面上に形成するものである。露光ヘッド3は、例えばLEDヘッドを用いることができる。
現像ローラ4は、印加された電圧により供給ローラ5から供給された現像剤(トナー)を、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像に移して現像するものである。供給ローラ5は、印加された電圧により現像ローラ4に現像剤(トナー)を供給するものである。
転写ローラ6は、感光体ドラム1と対向して設けられており、感光体ドラム1との間に送られる用紙に、感光体ドラム1の表面に担持されている現像剤像を転写させるものである。転写ローラ6は、転写部に含まれるものである。
定着装置7は、例えばハロゲンランプ等の発熱体を有し、転写された像を有する用紙に対して加熱及び加圧により現像剤の定着を行うものである。
排出ローラ14及び15は、定着装置7により像が定着された用紙を排出するものである。
トナーカートリッジ8は、現像剤としてのトナーを収容するものであり、収容しているトナーを供給ローラ5及び現像ローラ4を介して感光体ドラム1に移すものである。
クリーニングブレード9は、現像剤像の転写後、感光体ドラム1の表面に残留したトナーを掻き取り、感光体ドラム1の表面をクリーニングするものである。なお、クリーニングブレード9は、クリーニング装置に含まれるものである。
図2は、実施形態に係る画像形成装置100の内部構成を示すブロック図である。図2において、実施形態に係る画像形成装置100は、画像形成部61、記憶部62、制御部63、入力部64、表示部65を有する。
画像形成部61は、感光体ドラム1、帯電ローラ2、露光ヘッド3、現像ローラ4、供給ローラ5、転写ローラ6、定着装置7、トナーカートリッジ8、クリーニングブレード9を有する。なお、画像形成部61は、図1で説明した画像形成装置100の内部構成と同一又は対応するものであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
記憶部63は、制御部63の処理に必要なデータや処理プログラム等を記憶するものである。この実施形態では、制御部63が、トナー廃棄処理を制御するのに必要な情報が記憶部63に記憶されている場合を例示している。
図2に示すように、記憶部62は、感光体ドラム1の現在のドラムカウンタ21、6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22、トナー廃棄スライス値23、トナー廃棄カウンタ24の値を有する。
現在のドラムカウンタ21は、感光体ドラム1の使用カウント数を示す値である。ここで、ドラムカウンタ21の値は次のようにしてカウントされた値を用いる。例えば、A4サイズの用紙をタテ送りで3枚連続印刷した場合の感光体ドラム1の回転量(回転数)を1/3にした値を1カウントとする。
6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22は、制御部63の制御により6単位のトナー廃棄が行なわれた時点のドラムカウンタ21の値である。これにより、前回の6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ21の値を保持することができる。ここで、トナー廃棄に係る1単位とは、感光体ドラム1を介して現像装置側のトナーを廃棄するために、露光ヘッド3が28.644mm分のトナー廃棄パターンを感光体ドラム1表面上に露光してトナー廃棄処理を行うことを意味する。
トナー廃棄スライス値23は、印刷データにおける印刷Dutyに基づいて、高Duty印刷又は低Duty印刷を判断するための閾値である。
トナー廃棄カウンタ24は、画像形成装置100におけるトナー廃棄の実施をするか否かを判断するためのカウンタ値である。例えば、トナー廃棄カウンタ24は、「127」から「−128」までの範囲で印刷Duty情報に応じた値をカウントするものである。トナー廃棄カウンタ24は、高Duty印刷を実行すると負の方向に進み、低Duty印刷を実行すると正の方向に進む。つまり、高Duty側の上限値が「−128」であり、低Duty側の上限値が「127」とする。トナー廃棄カウンタ24が正の方向の値である場合には、低Duty印刷が多いことを表しており、負の方向の値である場合には、高Duty印刷が多いことを表している。
ここで、トナー廃棄カウンタ24の値は、以下の方法により求められる。例えば、ある印刷ジョブ(ここではJob1と呼ぶ。)により印刷動作を行う場合のトナー廃棄カウンタ24の算出方法を例示する。
例えば、Job1の印刷動作におけるドットカウント値をDotcntとする。また、Job1の印刷動作におけるドラムカウント値をDrumcntとする。この場合、Job1の印刷動作でのトナー廃棄スライス値23に相当するドットカウント値(以下、基準ドットカウント値ともいう。)Dotcnt(S)は下記式(1)によって求められる。
Dotcnt(S)=792/5×トナー廃棄スライス値×8192×Drumcnt …(1)
ここで、「8192」は13ビット分の桁落ちを示す。「792」は、A4縦サイズのDuty5%のときの印刷可能範囲でのドットカウント値を示す。
次に、Job1の印刷動作におけるトナー廃棄カウンタ24の値の増減分を求める。このJob1の印刷動作におけるトナー廃棄カウンタ24の値の増減分は、基準ドットカウント値Dotcnt(S)とJob1の印刷動作におけるドットカウントDotcntとの差分で求めることができる。そのため、下記式(2)に従って、Job1の印刷動作におけるトナー廃棄カウンタ24の増減分を求める。
Job1の印刷動作におけるトナー廃棄カウンタ値=Dotcnt(S)−Dotcnt …(2)
そして、トナー廃棄カウンタ24の値は、式(3)に従って、現在のトナー廃棄カウンタ24の値に、式(2)で求めたJob1の印刷動作におけるカウンタ24の値を加算することにより求めることができる。
トナー廃棄カウンタ値=現在のトナー廃棄カウンタ値+Job1の印刷動作におけるトナー廃棄カウンタ値 …(3)
図2の制御部63は、画像形成装置100の各種機能を制御するものである。制御部63は、例えばCPU、ROM、RAM、EEPROM等を有するマイクロコンピュータ等を用いることができ、CPUがROMに格納される処理プログラムを実行することにより、画像形成装置100の機能が実現される。
図2では、この実施形態に係る制御部63のトナー廃棄処理を行う機能ブロックを示している。図2において、この実施形態に係る制御部63は、トナー廃棄実行決定部40、トナー廃棄実行部41、トナー廃棄カウント演算部42、ドラムカウント演算処理部43、ドラムカウント記憶処理部44を有する。
トナー廃棄実行決定部40は、記憶部62に記憶されるトナー廃棄カウンタ24の値に基づいて、トナー廃棄処理を実行するか否かを決定するものである。
ここで、トナー廃棄実行決定部40は、例えば、画像形成装置100の電源がONされたときや、トナーや感光体ドラム1等の交換のために画像形成装置100の筐体カバーが開閉されたときや、連続印刷が実行される場合にその連続印刷中(例えば64枚の連続印刷毎)や、印刷動作の前後(例えば印刷動作の終了時)等の事象が生じたタイミングをトリガとして、トナー廃棄処理を実施するか否かを判断するようにしても良い。また、トナー廃棄実行決定部40による決定方法の詳細な説明については動作の項で説明する。
トナー廃棄実行部41は、トナー廃棄実行決定部40による結果に基づいて、トナー廃棄処理を実行するものである。
ここで、トナー廃棄実行部41によるトナー廃棄処理は、露光ヘッド3が感光体ドラム1の表面上にトナー廃棄パターン(例えば、感光体ドラム1に対して28.644mm分の露光パターン)を露光し、現像装置側に溜まった劣化トナーが感光体ドラム1に移される。そして、感光体ドラム1上ではトナーが保持されたまま(すなわち、感光体ドラム1上のトナー像は転写されず)、クリーニングブレード9が感光体ドラム1上のトナー(劣化トナー)を掻き取る等の既存のトナー廃棄方法を適用することができる。また、クリーニングブレード9による掻き取られたトナーは、廃棄トナー搬送経路を経由して現像装置側に設けられている廃棄トナー容器に回収される。これにより、トナーカートリッジ9の交換等の際に、同時に廃棄トナー容器も取り出すことができる。さらに、クリーニングブレード9の下部に堆積した外添剤は、廃棄トナーの回収の際に、廃棄トナーと同時に廃棄トナー搬送経路を経由して廃棄トナー容器に回収される。これにより、クリーニングブレード9の下部に堆積した外添剤も回収することができる。
トナー廃棄カウント演算部42は、トナー廃棄処理の実行後に、トナー廃棄カウンタ24の値を求めるものである。トナー廃棄カウント演算部42によるトナー廃棄カウンタ24の値を算出する方法は、上述した式(1)〜式(3)に従った方法を用いることができる。
ドラムカウント演算処理部43は、感光体ドラム1の現在のドラムカウンタ21の値と、6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22の値との差分を求めるものである。ドラムカウント演算処理部43によるドラムカウンタ21の値を算出する方法は、上述したように、例えばA4サイズの用紙をタテ送りで3枚連続印刷した場合の感光体ドラム1の回転量(回転数)を1/3にした値を1カウントとして求める方法を適用することができる。
ドラムカウント記憶処理部44は、6単位のトナー廃棄処理を行なった際に、その時点の感光体ドラム1のドラムカウンタ21の値を、6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22の値に書き込むものである。
入力部64は、ユーザ操作を受け付けるものであり、例えば、タッチパネル50や、操作キーボード51等を挙げることができる。
表示部65は、入力部64により入力された情報を表示したり、画像形成装置100の状態を表示したりする表示パネル52等を挙げることができる。
(A−2)実施形態の動作
次に、この実施形態の画像形成装置100におけるトナー廃棄処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(A−2−1)高Duty印刷時のトナーの掻き落としについて
まず、高Duty印刷の動作により、クリーニングブレード8の下部に、より多くの外添剤が堆積する傾向があり、フィルムが押されることにより感光体ドラム1表面上のトナーが掻き落とされる動作について確認する。
そのため、以下では、低Duty印刷動作の場合のトナー廃棄処理の動作を説明しながら、高Duty印刷動作の場合に生じ得るトナーの掻き落とし動作を確認する。
図3〜図5は、画像形成装置100におけるトナー廃棄処理の動作例を示すフローチャートである。図3〜図5では、低Duty印刷においてトナー廃棄カウンタ24が正方向に進んでいる場合のトナー廃棄処理の動作を示している。
図3は、画像形成装置100の電源オン時又はトナー交換の際の筐体カバーの開閉時におけるトナー廃棄処理を示すフローチャートである。
まず、画像形成装置100の電源がONされた場合、又は、画像形成装置100の筐体カバーが一旦開状態となった後に閉状態となった場合、制御部63のトナー廃棄実行決定部40はトナー廃棄処理の実行タイミングと判断する(Step1)。
トナー廃棄実行決定部40は、記憶部62に記憶されているトナー廃棄カウンタ24を読み出し、トナー廃棄カウンタ24の値が「1」以上であるか否かを判断する(Step2)。
そして、トナー廃棄カウンタ24の値が「1」以上でない場合、トナー廃棄実行決定部40はトナー廃棄処理を実施しないと決定する(Step3)。従来、低Duty印刷の場合に現像装置内に溜まっていた劣化トナーを廃棄しているので、トナー廃棄カウンタ24の値が「1」以上でない場合(すなわち、低Duty印刷の実行動作が少ない場合)にはトナー廃棄処理を実行していない。
一方、トナー廃棄カウンタ24の値が「1」以上である場合、トナー廃棄実行決定部40は、更にトナー廃棄カウンタ24の値が「5」以下であるか否かを判断する(Step4)。
トナー廃棄カウンタ24の値が「5」以下でない場合、トナー廃棄実行部41は、6単位分のトナー廃棄処理を実施する(Step5)。つまり、上述したように、28.644mm分のトナー廃棄パターンを1単位として露光ヘッド3が露光してトナー(劣化トナー)を廃棄するため、露光ヘッド3は(28.644×6)mm分のトナー廃棄パターンを露光ヘッド3が感光体ドラム1に露光してトナー廃棄を行う。これにより、低Duty印刷が実行されることで生じ得る現像装置内の劣化トナーを廃棄することができる。6単位分のトナー廃棄処理後、トナー廃棄カウント演算部42は、トナー廃棄カウンタ24の値について、現在のトナー廃棄カウンタ24の値から「6」を減算した値に変更する(Step6)。トナー廃棄カウンタ24の値を変更することにより、トナー廃棄実行タイミングの時点で、低Duty印刷又は高Duty印刷を判断することができるため、柔軟なトナー廃棄処理を行うことができる。
一方、トナー廃棄カウンタ24の値が「5」以下である場合、トナー廃棄実行部41は、トナー廃棄カウンタ24の分だけ1単位ずつトナー廃棄を実施する(Step7)。例えば、トナー廃棄実行部41は、トナー廃棄カウンタ24の値に基づきトナー廃棄カウンタ24の値の分(例えば、トナー廃棄カウンタ24の値が「3」の場合、3単位分)のトナー廃棄処理を実施する。つまり、露光ヘッド3は(28.644×トナー廃棄カウンタ24の値)mm分のトナー廃棄パターンを露光ヘッド3が感光体ドラム1に露光してトナー廃棄を行う。そのトナー廃棄処理が終了すると、トナー廃棄カウント演算部42は、トナー廃棄カウンタ24の値を「0」に更新する(Step8)。
以上のように、画像形成装置100の電源オン時又はトナー交換の際の筐体カバーの開閉時に、低Duty印刷の場合に制御部63はトナー廃棄処理を行う。
図4は、印刷終了時におけるトナー廃棄処理を示すフローチャートである。この場合も、低Duty印刷の場合に、トナー廃棄処理を実行する場合を例示している。
まず、画像形成装置100における印刷が終了した場合、トナー廃棄実行決定部40はトナー廃棄処理の実行タイミングと判断する(Step20)。
トナー廃棄実行決定部40は、記憶部62に記憶されているトナー廃棄カウンタ24を読み出し、トナー廃棄カウンタ24の値が「1」以上であるか否かを判断する(Step21)。
そして、トナー廃棄カウンタ24の値が「1」以上でない場合、トナー廃棄実行決定部40はトナー廃棄処理を実施しないと決定する(Step22)。これは、低Duty印刷の場合に現像装置内の劣化トナーを廃棄するためである。
一方、トナー廃棄カウンタ24の値が「1」以上である場合、トナー廃棄実行決定部40は、1単位分のトナー廃棄処理を実施し(Step23)、トナー廃棄カウント演算部42が、現在のトナー廃棄カウンタ24の値から「1」を減算して、トナー廃棄カウンタ24の値を更新する(Step24)。
図5は、連続印刷中に実行するトナー廃棄処理の動作を示すフローチャートである。
連続印刷を行う場合、所定の連続印刷回数の時点で印刷動作を一旦中止し、トナー廃棄処理を実行した後、残りの分の印刷動作を続行する等するようにしても良い。この場合、画像形成装置100において連続印刷中に、例えば所定の連続印刷回数に達すると、トナー廃棄実行決定部40はトナー廃棄処理の実行タイミングと判断する(Step41)。
トナー廃棄実行決定部40は、記憶部62に記憶されているトナー廃棄カウンタ24を読み出し、トナー廃棄カウンタ24の値が「1」以上であるか否かを判断する(Step42)。
そして、トナー廃棄カウンタ24の値が「1」以上でない場合、トナー廃棄実行決定部40はトナー廃棄処理を実施しないと決定する(Step43)。これは、低Duty印刷の場合に現像装置内の劣化トナーを廃棄するためである。
一方、トナー廃棄カウンタ24の値が「1」以上である場合、トナー廃棄実行決定部40は、更にトナー廃棄カウンタ24の値が「3」以下であるか否かを判断する(Step44)。
トナー廃棄カウンタ24の値が「3」以下でない場合、トナー廃棄実行部41は、4単位分のトナー廃棄処理を実施する(Step45)。つまり、露光ヘッド3は(28.644×4)mm分のトナー廃棄パターンを露光ヘッド3が感光体ドラム1に露光してトナー廃棄を行う。4単位分のトナー廃棄処理後、トナー廃棄カウント演算部42は、トナー廃棄カウンタ24の値について、現在のトナー廃棄カウンタ24の値から「4」を減算した値に変更する(Step46)。
一方、トナー廃棄カウンタ24の値が「3」以下である場合、トナー廃棄実行部41は、トナー廃棄カウンタ24の分だけ1単位ずつトナー廃棄を実施する(Step47)。例えば、トナー廃棄実行部41は、トナー廃棄カウンタ24の値に基づきトナー廃棄カウンタ24の値の分(例えば、トナー廃棄カウンタ24の値が「2」の場合、2単位分)のトナー廃棄処理を実施する。つまり、露光ヘッド3は(28.644×トナー廃棄カウンタ24の値)mm分のトナー廃棄パターンを露光ヘッド3が感光体ドラム1に露光してトナー廃棄を行う。そのトナー廃棄処理が終了すると、トナー廃棄カウント演算部42は、トナー廃棄カウンタ24の値を「0」に更新する(Step48)。
上記のように、画像形成装置100は、低Duty印刷の場合に、感光体ドラム1を介して、現像装置内に溜まった劣化トナーを廃棄することができる。
しかし、高Duty印刷を行う場合、クリーニングブレード9の下部に外添剤が堆積することでフィルムが感光体ドラム1表面上の残留トナーを掻き落としてしまう場合が生じ得る。
図6は、外添剤の堆積による感光体ドラム1表面上の残留トナーの掻き落としの様子を説明する説明図である。図6において、クリーニングブレード9の下部にはフィルム71が設けられている。例えば、このフィルム71は、クリーニングブレード9が感光体ドラム1の表面上をクリーニングする際に、塵の落下を防止する防塵用フィルムとして設けられている。高Duty印刷の場合に、クリーニングブレード9の下部に、より多くの外添剤71が堆積する傾向があり、その堆積した外添剤71がフィルムを押してしまう。そうすると、例えばフィルム71が感光体ドラム1に触れてしまう等して、クリーニングブレード9が残留トナーを掻き取る前に、感光体ドラム1上の残留トナーが掻き落とされてしまう。その結果、トナーが媒体73に付着してしまい、印刷品質が低下してしまう。
また、クリーニングブレード9の下部に堆積した外添剤は、トナー廃棄処理が実行されると、トナーと一緒に搬送されて現像装置側の廃棄トナー容器に移される。そのため、トナー廃棄処理を行うことにより、外添剤の堆積量を減らすことができる。
しかし、上述したように、高Duty印刷の場合にクリーニングブレード9の下部に、より多くの外添剤が堆積するという傾向があるが、図3〜図5に例示したトナー廃棄処理は低Duty印刷の場合に実行されるようにしており、高Duty印刷の場合にトナー廃棄処理は実行されない。
そこで、高Duty印刷動作の場合に生じ得るトナーの掻き落とし動作を確認する。
図7及び図8は、画像形成装置100において、トナー廃棄処理実施後に、それぞれ異なる印刷Duty(%)で印刷したときに、トナーの掻き落としが発生するまでのドラムカウンタ21の値の評価結果を示している。ここでは、トナー廃棄処理を実施したときにドラムカウンタ21の値を「0」として、その後にトナーの掻き落としが発生するまでのドラムカウンタ21の値を印刷Duty(%)毎に評価する。図7及び図8の結果より、印刷Duty(%)が高くなるほど、トナー掻き落とし発生までのドラムカウンタ21の値が高く低くなっていること分かる。つまり、高Dutyの連続印刷になるにつれて、トナーを掻き落とし発生までの区間が短いことがわかる。
図9及び図10は、画像形成装置100において、トナー掻き落とし発生後、単位数を変えてトナー廃棄処理を行った場合に、その後にトナー掻き落としが再発するまでの印刷枚数の評価結果を示している。なお、トナー廃棄処理後は、印刷Dutyを100%として連続印刷した場合を例示している。図9及び図10の結果より、トナー廃棄処理が5単位以上とすると、トナーの掻き落とし再発までの印刷枚数が多くなることが分かる。
図7、図8、図9及び図10の結果から、より高Duty印刷になるにつれてトナーの掻き落としが発生する頻度が高まることが分かる。さらに、トナー掻き落とし発生後、トナー廃棄処理を5単位以上で実施した場合に、トナー掻き落とし再発までの印刷可能枚数が多くなること(すなわち、トナー掻き落としの再発が起きにくいこと)ことが分かる。
そこで、例えば、トナー掻き落とし発生後、トナー廃棄処理を6単位実施した後に、トナー掻き落としが再発するまでのドラムカウンタ21の値を評価する。図11及び図12は、その結果である。この実施形態では、6単位のトナー廃棄処理後、20%Dutyでの連続印刷をした場合の結果である。ここで、連像印刷時のドラムカウンタ21の1単位は、A4サイズの縦長297mmに用紙どうしの紙間距離25mmを加えた長さとする。
図11及び図12の結果から、6単位のトナー廃棄処理を実施した後、トナー掻き落としの再発までのドラムカウンタ21の値は「646」が最小値であることが分かる。このことから、高Duty印刷の場合に、6単位のトナー廃棄処理後、感光体ドラム1のドラムカウンタ21の値が最低でも「600」程度となる前に、再度、トナー廃棄処理を実行すれば、トナーの掻き落としを予防することができることが分かる。
(A−2−2)強制トナー廃棄を含むトナー廃棄処理
上記の結果に鑑み、この実施形態では、トナーの掻き落としによる印刷品質の低下を防止するため、6単位のトナー廃棄処理後、感光体ドラム1のドラムカウンタ21の値の差分が「600」となる前に、トナー廃棄処理実行すべきか否かを確認し、トナー廃棄処理を実行する場合を例示する。
なお、この実施形態では、印刷品質の向上のために、トナーの掻き落としが再発するまでのドラムカウンタ21の閾値が「600」とする場合を例示する。しかし、再発するまでのドラムカウンタ21の閾値は「600」に限定されるものではない。
トナー廃棄処理は、現像装置内の劣化トナーだけでなく、正常なトナーも多少使用されてしまうため、閾値が小さくなりトナー廃棄処理の回数が増えると、トナーが使用されることになり、トナーの交換回数が増加することになる。一方、閾値が大きくなると、高Duty印刷でのトナー掻き落としが生じ、印刷品質が低下することになり得る。そこで、トナーの交換及びトナー掻き落としの発生に鑑みて、閾値を調整するようにしても良い。
図13は、この実施形態に係る画像形成装置100の電源オン時又はトナー交換の際の筐体カバーの開閉時におけるトナー廃棄処理を示すフローチャートである。
なお、図13では、強制的なトナー廃棄処理を含まない図3のフローチャートと同一又は対応する処理については同一の符号を付している。これら図3に示す同一又は対応する処理については説明が重複するため、ここでの詳細な説明は省略する。
図13において、まず、画像形成装置100の電源がONにされた場合、又は、画像形成装置100の筐体カバーが一旦開状態となった後に閉状態となった場合、制御部63のトナー廃棄実行決定部40は、トナー廃棄処理の実行タイミングと判断する(Step1)。
トナー廃棄実行決定部40は、記憶部62に記憶されている現在のドラムカウンタ21及び6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22に基づいて強制的なトナー廃棄処理(すなわち、高Duty印刷動作のときの廃棄処理)を実行するか否かを判断する(Step80)。
図14は、実施形態に係る画像形成装置100の強制トナー廃棄処理の動作を示すフローチャートである。
図14において、まず、トナー廃棄実行決定部40は、記憶部62に記憶されている現在のドラムカウンタ21と、前回6単位トナー廃棄を実行した時点のドラムカウンタ22とを比較する。そして、トナー廃棄実行決定部40は、現在のドラムカウンタ21の値と前回の6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22の値との差分が「600」以上であるか否かを判断する(Step61)
現在のドラムカウンタ22の値と前回の6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22の値との差分が「600」以上でない場合、トナー廃棄実行決定部40は、トナー廃棄を実施しないものと判断する(Step62)。これは、前回の6単位トナー廃棄処理の時点からドラムカウンタ21の値が「600」程度増加しておらず、高Duty印刷により外添剤の堆積量が少なく、感光体ドラム1のトナーの掻き落としの再発が生じる可能性は少ないと判断できるからである。その後、処理は図13のStep81に移行する。
一方、現在のドラムカウンタ22の値と前回の6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22の値との差分が「600」以上である場合、トナー廃棄実行決定部40は、6単位のトナー廃棄の実行を決定する。このトナー廃棄実行決定部40による決定を受けて、トナー廃棄実行部41は、6単位分のトナー廃棄処理を実行する(Step63)。
トナー廃棄実行部41による6単位分のトナー廃棄処理の実行後、トナー廃棄カウント演算部42は、現在のトナー廃棄カウンタ24の値から「6」を減算した値が、高Duty印刷の上限値である「−128」以上であるか否かを判断する(Step64)。つまり、トナー廃棄カウント演算部42は、トナー廃棄カウンタ24の値を、高Duty側の上限値「−128」の方に「6」だけ減算できるかを確認している。
そして、トナー廃棄カウンタ24の値を「6」だけ減算しても、高Duty印刷の上限値「−128」以上である場合には、トナー廃棄カウント演算部42は、現在のトナー廃棄カウンタ24の値から「6」だけ減算した値に更新する(Step65)。
一方、トナー廃棄カウンタ24の値を「6」だけ減算した場合に「−128」を超えてしまうとき、トナー廃棄カウント演算部42は、トナー廃棄カウンタ24の値を上限値である「−128」にする(Step66)。
そして、ドラムカウント記憶処理部44は、現在のドラムカウンタ21の値を、6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22の値として記憶する(Step67)。これにより、今回書き込んだ6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22の値が、次回のトナー廃棄処理のときに利用される。その後、処理は図13のStep81に移行する。
図13のStep81において、Step80で図14の強制トナー廃棄フローによる6単位分のトナー廃棄処理を実施した場合、トナー廃棄実行決定部40は、通常のトナー廃棄処理を実行せず、処理を終了する。これは、トナー廃棄処理を続けて実行するトナー廃棄の二重化を防止するためである。従って、図14に示す強制的なトナー廃棄処理(すなわち、高Duty印刷動作でトナー廃棄処理)が実行された場合、通常のトナー廃棄処理を実行しないようにする。
一方、Step81において、Step80で図14の強制トナー廃棄フローによる6単位分のトナー廃棄処理を実施しなかった場合、トナー廃棄実行決定部40は、Step2に移行して通常のトナー廃棄処理を実施する(Step2)。Step2〜Step8の処理は、図3のトナー廃棄処理で既に詳細に説明したため、ここでの詳細な説明は省略する。
また、Step5でトナー廃棄実行部41が6単位分のトナー廃棄処理を実行し、Step6でトナー廃棄カウント演算部42がトナー廃棄カウンタ24の値を「6」だけ減算すると、ドラムカウント記憶処理部44は、現在のドラムカウンタ21の値を、6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22の値として記憶して処理を終了する(Step82)。
図15は、この実施形態に係る画像形成装置100の連続印刷中に実行するトナー廃棄処理の動作を示すフローチャートである。
なお、図15では、強制的なトナー廃棄処理を含まない図5のフローチャートと同一又は対応する処理については同一の符号を付している。これら図5に示す同一又は対応する処理については説明が重複するため、ここでの詳細な説明は省略する。
連続印刷を行う場合、所定の連続印刷回数の時点で印刷動作を一旦中止し、トナー廃棄処理を実行した後、残りの分の印刷動作を続行する等するようにしても良い。この場合、画像形成装置100において連続印刷中に、例えば所定の連続印刷回数に達すると、トナー廃棄実行決定部40はトナー廃棄処理の実行タイミングと判断する(Step41)。
トナー廃棄実行決定部40は、記憶部62に記憶されている現在のドラムカウンタ21及び6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22に基づいて強制的なトナー廃棄処理(すなわち、高Duty印刷動作のときの廃棄処理)を実行するか否かを判断する(Step80)。このStep80では、図14に示す強制トナー廃棄処理の動作を示すフローチャートに示す処理を実行する。そのため、ここでの詳細な説明は省略する。
そして、図15のStep81において、Step80で図14の強制トナー廃棄フローによる6単位分のトナー廃棄処理を実施した場合、トナー廃棄処理の二重化を防止するために、トナー廃棄実行決定部40は、通常のトナー廃棄処理を実行せず、処理を終了する。
一方、Step81において、Step80で図14の強制トナー廃棄フローによる6単位分のトナー廃棄処理を実施しなかった場合、トナー廃棄実行決定部40は、Step2に移行して通常のトナー廃棄処理を実施する(Step2)。Step42〜Step46の処理は、図5のトナー廃棄処理で既に詳細に説明したため、ここでの詳細な説明は省略する。
(A−3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、従来のトナー廃棄処理は低Duty印刷が続いている場合だけでなく、高Duty印刷を実行する際にもドラムカウントを基準とした経時情報によってトナー廃棄を実行させることで、高Dutyの連続印刷におけるトナー掻き落としを定期的に防ぐことができ、印刷結果の品質を保証することができる。
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても本発明の種々の変形実施形態について言及したが、本発明は以下の他の変形実施形態にも適用することができる。
(B−1)上述した実施形態は、例えば、図11及び図12に示すように、高Duty20%印刷を基準としてのドラムカウント(印刷枚数)の結果に基づき最小値を考慮して、強制トナー廃棄処理を実行するか否かの閾値を「600」とする場合を例示した。しかし、閾値は「600」に限定されるものではない。例えば、複数の試行回数で得られたトナー掻き落とし再発までのドラムカウント数の平均値を閾値としても良い。また、閾値は、所定値に限定されるものではなく、可変であっても良く、例えばユーザ設定により値を設定変更できるようにしたり、又ユーザが要求する画像品質の要求の程度に応じて設定変更するようにしても良い。
(B−2)また、ユーザが20%より高いDuty印刷を使用する場合、ユーザが、主に使用する印刷Dutyを入力することによって、強制トナー廃棄を実施するドラムカウントを自動的に調整する強制トナー廃棄自動モードを追加するようにしても良い。これにより、画像形成装置の使用態様応じて、更なる印刷結果の品質を得ることが可能になることが期待できる。
(B−3)上述した実施形態では、現像装置が1個の場合を例示したが、例えば、カラープリンタ等のように複数個の現像装置を備えるものであっても良い。この場合、画像形成装置は、各現像装置毎に、強制トナー廃棄を行うようにしても良い。つまり、制御部は、現像装置毎に、強制トナー廃棄を実行するための閾値を備え、各現像装置毎に強制トナー廃棄を実施するか否かの判断を行うようにしても良い。このとき、各現像装置の使用態様に応じて強制トナー廃棄処理を行うために、強制トナー廃棄を行うための閾値が、各現像装置毎に異なるものであっても良い。
(B−4)上述した実施形態では、図13は画像形成装置の電源ON時又は筐体カバーの開閉時の強制トナー廃棄処理、図15は連続印刷中の強制トナー廃棄処理を説明したが、強制トナー廃棄処理は、図4に示す印刷処理の終了後に実行するようにしても良い。つまり、印刷処理の終了後に、現在のドラムカウンタ21の値と6単位トナー廃棄時のドラムカウンタ22の値とに基づいて強制トナー廃棄処理を行うか否かを判断するようにしても良い。