JP2015120356A - 液体収容容器、及び、液体噴射システム - Google Patents

液体収容容器、及び、液体噴射システム Download PDF

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Abstract

【課題】液体を液体収容容器に注入する場合に、発生した泡が液体注入口から溢れ出す可能性を低減することができる液体収容容器を提供する。【解決手段】液体収容容器30であって、液体収容室340と、一端部が外部に向かって開口し、他端部が液体収容室内で開口した液体注入口304であって、液体を液体収容室に注入するための液体注入口と、導出部306と、を備え、液体注入口から液体を注入する注入姿勢において、液体収容室は、液体収容室を形成する壁部によって形成された空間部341であって、鉛直下方向に向かって開口している空間部を有し、注入姿勢において、空間部は液体注入口の他端部よりも上方に位置する。【選択図】図8

Description

本発明は、液体収容容器、及び、液体収容容器を備えた液体噴射システムに関する。
液体噴射装置の一例であるプリンターは、記録ヘッドからインクを記録対象物(例えば、印刷用紙)に吐出し印刷を行う。記録ヘッドへのインク供給技術として、プリンターの外側に配置されたインクタンクからチューブを介して記録ヘッドにインクを供給する技術が知られている(例えば、特許文献1)。インクタンクはインク注入口を備え、利用者は容易にインク注入口からインクを注入(補充)できる。
特開2005−219483号公報
インク注入口からインクタンク内部にインクを滴下して注入(補充)する場合、注入されたインクの表面(水面)に泡が発生する場合があった。泡が発生した状態でインク注入を続けると、泡がインク注入口から溢れ出す場合があった。
上記のような問題は、インクタンクに限らず液体噴射装置が噴射する液体を収容する液体収容容器であって、内部に液体を注入するための液体注入口を備える液体収容容器に共通する問題であった。
従って、本発明は、液体注入口を備えた液体収容容器において、液体を液体収容容器に注入する場合に、発生した泡が液体注入口から溢れ出す可能性を低減する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することができる。
[適用例1]液体噴射装置に液体を供給するための液体収容容器であって、
前記液体を収容するための液体収容室と、
一端部が外部に向かって開口し、他端部が前記液体収容室内で開口した液体注入口であって、前記液体を前記液体収容室に注入するための液体注入口と、
一端部である液体出口部が前記液体収容室内で開口した導出部であって、前記液体収容室の前記液体を前記液体噴射装置に供給するための導出部と、を備え、
前記液体注入口から前記液体収容室に前記液体を注入する際の注入姿勢において、前記液体収容室は、
前記液体収容室を形成する壁部によって形成された空間部であって、鉛直下方向に向かって開口している空間部を有し、
前記注入姿勢において、前記空間部は前記液体注入口の前記他端部よりも上方に位置する、液体収容容器。
適用例1に記載の液体収容容器によれば、液体収容室は液体注入口の他端部よりも上方に位置する空間部を有することから、液体注入時に発生する液体収容室内の泡を空間部に溜めることができる。これにより、空間部を有していない液体収容容器に比べ、液体注入時に発生する泡が液体注入口から溢れ出す可能性を低減できる。
[適用例2]適用例1に記載の液体収容容器であって、
前記注入姿勢において、前記液体注入口の前記一端部は前記空間部よりも上方に位置する、液体収容容器。
適用例2に記載の液体収容容器によれば、液体注入口の一端部は空間部よりも上方に位置することから、液体注入時に発生する泡が液体注入口から溢れ出す可能性をより低減できる。
[適用例3]適用例1又は適用例2に記載の液体収容容器であって、
前記注入姿勢において、前記導出部の前記液体出口部は前記空間部よりも下方に位置する、液体収容容器。
適用例3に記載の液体収容容器によれば、液体注入時に発生する泡が導出部に侵入する可能性を低減できる。これにより、液体収容容器から液体噴射装置のヘッドに気泡(空気)が導入される可能性を低減し、いわゆる空打ち等のヘッドの不具合の発生を抑制できる。
[適用例4]液体噴射システムであって、
適用例1乃至適用例3のいずれか1つに記載の液体収容容器と、
対象物に前記液体を噴射するためのヘッドを有する液体噴射装置と、
前記液体収容容器の前記導出部と前記液体噴射装置とを接続し、前記液体収容室に収容されている前記液体を前記液体噴射装置に流通させる流通管と、を備える、液体噴射システム。
適用例4に記載の液体噴射システムによれば、液体注入時に発生する泡が液体注入口から溢れ出す可能性を低減した液体収容容器を備えた液体噴射システムを提供できる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、上述した液体収容容器、液体噴射装置と液体収容容器を備えた液体噴射システムのほか、上述した液体収容容器の製造方法、上述した液体噴射システムを用いた液体噴射方法等の態様で実現することができる。
第1実施例の液体噴射システム1を説明するための図である。 タンクユニット50の外観斜視図である。 液体噴射システム1の構成を模式的に示した図である。 インクタンク30の第1の外観斜視図である。 インクタンク30の第2の外観斜視図である。 インクタンク30の第3の外観斜視図である。 液体収容室340のインク残量が少なくなった状態を示す図である。 インクタンク30へのインク注入を説明するための図である。 第2実施例のインクタンク30aを説明するための図である。
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.変形例:
A.第1実施例:
A−1.液体噴射システムの構成:
図1は、第1実施例の液体噴射システム1を説明するための図である。図1(A)は液体噴射システム1の第1の外観斜視図である。図1(B)は、液体噴射システム1の第2の外観斜視図であり、本発明の第1実施例の液体収容容器30を示した図である。なお、図1には方向を特定するために互いに直交するXYZ軸が図示されている。なお、これ以降の図に関しても必要に応じて互いに直交するXYZ軸が図示されている。
図1(A)に示すように、液体噴射システム1は、液体噴射装置としてのインクジェットプリンター12(単に「プリンター12」ともいう。)と、タンクユニット50とを備える。プリンター12は、用紙給紙部13と、用紙排出部14と、キャリッジ(サブタンク装着部)16と、4つのサブタンク20と、を備える。4つのサブタンク20は色の異なるインクを収容している。具体的には、4つのサブタンク20は、ブラックインクを収容するサブタンク20Bkと、シアンインクを収容するサブタンク20Cnと、マゼンダインクを収容するサブタンク20Maと、イエローインクを収容するサブタンク20Ywである。4つのサブタンク20は、キャリッジ16に搭載されている。
用紙給紙部13にセットされた印刷用紙は、プリンター12内部に搬送され、印刷後の印刷用紙が用紙排出部14から排出される。
キャリッジ16は、主走査方向(紙巾方向、X軸方向)に移動可能である。この移動は、ステッピングモーター(図示せず)の駆動によりタイミングベルト(図示さず)を介して行われる。キャリッジ16の下面には、記録ヘッド(図示せず)が備え付けられている。この記録ヘッドの複数のノズルからインクが印刷用紙上に噴射され印刷が行われる。なお、タイミングベルトやキャリッジ16等のプリンター12を構成する各種部品は、ケース10内部に収容されていることで保護されている。
タンクユニット50は、上面ケース54と、第1の側面ケース56と、第2の側面ケース58と、底面ケース(図示せず)を備える。ケース54,56,58及び底面ケースは、ポリプロピレン(PP)やポリスチレン(PS)等の合成樹脂により成形することができる。本実施例では、ケース54,56,58及び底面ケースはポリスチレンを用いて成形されている。さらに、図1(B)に示すように、タンクユニット50は、ケース(蓋部材)54,56,58及び底面ケース(蓋部材)により囲まれた4つの液体収容容器としてのインクタンク30を備える。ケース54,56,58及び底面ケースによってタンクユニット50がより安定して所定の場所(例えば、机や棚等の水平面)に設置される。なお、図1(A)に示すように、上面ケース54は、一辺54aを支点として矢印Yp方向に開閉できる。
4つのインクタンク30は、4つのサブタンク20が収容する色に対応したインクを収容している。すなわち、4つのインクタンク30は、ブラックインク、シアンインク、マゼンダインク、イエローインクをそれぞれ収容する。なお、インクタンク30は、サブタンク20よりも多くの量のインクを収容できる。
各色のインクを収容したインクタンク30は、対応した色のインクを収容するためのサブタンク20にホース(チューブ)24によって接続されている。ホース24は合成ゴム等の可撓性を有する部材で形成されている。記録ヘッドからインクが噴射されサブタンク20のインクが消費されると、ホース24を介してインクタンク30のインクがサブタンク20に供給される。これにより、液体噴射システム1は、長時間に亘って中断動作なしに連続して印刷を続けることができる。なお、サブタンク20を設けずに、ホース24を介して直接にインクタンク30から記録ヘッドにインクを供給しても良い。
図2は、タンクユニット50の外観斜視図である。図2では上面ケース54及び底面ケースの図示は省略している。タンクユニット50は、プリンター12にインクを供給する際の使用姿勢ではZ軸方向が鉛直方向となり、Z軸負方向が鉛直下方向となる。各インクタンク30は、隣り合うインクタンク30と嵌め合わされ一体とするための嵌合ユニット328を有する。嵌合ユニット328は、孔部325aと突起状の突起部324とを備える。1のインクタンク30の孔部325aに隣り合う他のインクタンク30の突起部324が嵌め合わされることで隣り合うインクタンク30同士が組み立てられ一体となる。なお、外力により突起部324は孔部325aから取り外すことができ、一体となったインクタンク30を容易に分解できる。これにより、プリンター12に用いられるインク色の数や仕様に応じて、タンクユニット50はインクタンク30の配置数(積層数)を容易に変更できる。
タンクユニット50の詳細構成を説明する前に、理解の容易のために、図3を用いてインクタンク30からサブタンク20にインクが供給される原理、及び、インクタンク30とサブタンク20の概略構成について説明する。図3は、液体噴射システム1の構成を模式的に示した図である。
液体噴射システム1は、水平面である所定の設置面sf上に設置されている。インクタンク30は、液体導出部306と、液体収容室340と、空気収容室330と、液体注入口304と、栓部材302と、大気導入口317と、大気開放口318とを備える。
インクタンク30がサブタンク20にインクを供給する際のインクタンク30の使用姿勢では、Z軸方向が鉛直方向となり、Z軸負方向が鉛直下方向となる。また、インクタンク30内部にインクを注入する際の注入姿勢では、X軸方向が鉛直方向となり、X軸負方向が鉛直下方向となる。なお、2以上のインクタンク30を配置(積層)したタンクユニット50の1つのインクタンク30にインクを注入する場合、タンクユニット50一体で姿勢を変化させるため、全てのインクタンク30が注入姿勢となる。また、インクタンク30にインクを注入する際には、利用者によって上面ケース54(図1(A))が開かれる。
液体収容室340はインクを収容する。液体収容室340は、第1の壁部370c1の内面から液体収容室340内に向かって所定長さ延びる区画壁部342を有する。区画壁部342は、液体収容室340内部にY軸方向(幅方向)全域に亘って形成されている。すなわち、区画壁部342は、第1の壁部370c1を2つの領域に仕切っている。2つの領域に仕切られた領域のうち、液体導出部306と連通している領域を液体保持部345という。また、液体収容室340は、空間部341を有する。空間部341は、液体収容室340を形成する壁部により形成された凹状形状であって、インクタンク30の注入姿勢において鉛直下方向(X軸負方向)に開口している。また、空間部341は、インクタンク30の注入姿勢において、液体注入口304の下端部304mよりも上方(X軸正方向側)に位置する。なお、理解の容易のために、液体収容室340のうち、空間部341とそれ以外の領域の境界を破線で示している。
液体注入口304は、円形状の流路を内部に有し、液体収容室340と連通している。詳細には、液体注入口304の一端部である上端部304pは外部に向かって開口し、他端部である下端部304mは液体収容室340内で開口している。液体注入口304には、栓部材302が脱着可能に取り付けられ、インクが液体注入口304から外部に漏れ出すことを防止している。インクタンク30の使用姿勢では、液体注入口304は鉛直方向(Z軸方向)と直交する方向(水平方向、図3ではX軸正方向)に向かって開口している。
液体導出部306の一端部である液体出口部349は液体収容室340に接続されている。言い換えれば、液体出口部349は液体収容室340内で開口している。液体出口部349は、インクタンクの注入姿勢において、空間部341よりも下方(X軸負方向側)に位置する。インクタンク30の液体導出部306と、サブタンク20の液体受入部202はホース24によって接続されている。これにより、液体収容室340のインクは、液体導出部306からホース24を介してサブタンク20に流通する。
大気導入口317と大気開放口318は、外部からインクタンク30内部に大気を導入するための蛇行流路の両端部である。大気開放口318は、空気収容室330と連通している。空気収容室330は、狭小流路である連通部350によって液体収容室340と連通している。連通部350は、メニスカスを形成可能な程度に流路断面積が小さい流路となっている。プリンター12にインクを供給する際の状態であるインクタンク30の使用状態においては、連通部350にメニスカスが形成される。
空気収容室330は所定容量の容積を有し、液体収容室340内の空気が温度変化等により膨張し、インクが連通部350を介して逆流した場合に、所定量のインクを貯留する。すなわち、インクタンク30は空気収容室330を備えることで、インクが逆流した場合でもインクが大気導入口317から外部に漏れ出す可能性を低減できる。
注入姿勢で液体注入口304からインクを液体収容室340に注入した後に、液体注入口304を栓部材302で密封し使用姿勢にした場合、液体収容室340内の空気が膨張し、液体収容室340は負圧に維持される。また、空気収容室330は大気開放口318と連通することで大気圧に維持されている。
サブタンク20は、ポリスチレンやポリエチレン等の合成樹脂により成形されている。サブタンク20は、インク貯留室204と、インク流動路208と、フィルター206とを備える。インク流動路208には、キャリッジ16のインク供給針16aが挿入されている。フィルター206は、インクに異物等の不純物が混入していた場合に、その不純物を捕捉することで記録ヘッド17への不純物の流入を防止する。インク貯留室204のインクは、記録ヘッド17からの吸引によって、インク流動路208、インク供給針16aを流れて、記録ヘッド17に供給される。記録ヘッド17に供給されたインクは、ノズルを介して外部(印刷用紙)へ向かって噴射される。
使用姿勢において、メニスカスを形成する連通部350は、記録ヘッド17よりも低い位置になるように配置される。これにより、水頭差d1が発生する。なお、使用姿勢において、連通部350にメニスカスが形成された状態での水頭差d1を「定常時水頭差d1」とも呼ぶ。
インク貯留室204のインクが記録ヘッド17によって吸引されることで、インク貯留室204は所定の負圧以上となる。インク貯留室204が所定の負圧以上になると、液体収容室340のインクがホース24を介してインク貯留室204に供給される。すなわち、インク貯留室204には、記録ヘッド17に流出した量のインクが液体収容室340から自動的に補充されることになる。言い換えれば、インクタンク30内の空気収容室330と接するインク液面と、記録ヘッド(詳細にはノズル)との鉛直方向の高さの差によって発生する水頭差d1よりも、プリンター12側からの吸引力(負圧)がある程度大きくなることでインクが液体収容室340からインク貯留室204へ供給される。
液体収容室340のインクが消費されると、空気収容室330の空気G(「気泡G」ともいう。)が連通部350を介して液体収容室340に導入される。これにより液体収容室340の液面は低下する。
A−2.インクタンクの構成:
次に、図4〜図6を用いてインクタンク30の構成を説明する。図4は、インクタンク30の第1の外観斜視図である。図5は、インクタンク30の第2の外観斜視図である。図6は、インクタンク30の第3の外観斜視図である。なお、図4〜図6には、栓部材302(図3)の図示は省略している。
図4〜図6に示すように、インクタンク30は略柱体形状(詳細には略角柱形状)をしている。図4に示すように、インクタンク30は、タンク本体32と、第1のフィルム34と、第2のフィルム322とを備える。タンク本体32は、ポリプロピレン等の合成樹脂により成形されている。また、タンク本体32は半透明である。これにより利用者は外部から内部のインクの量を確認できる。タンク本体32の形状は、一側面が開口した凹状形状である。タンク本体32の凹部には様々な形状のリブ(壁部)362が形成されている。ここで、開口している一側面(開口を形成するタンク本体32の外枠を含む一側面)を開口側面370(開口壁部370)とも言う。
第1のフィルム34は、ポリプロピレン等の合成樹脂により成形されており、透明状である。第1のフィルム34は熱溶着によって開口側面370の開口を覆うようにタンク本体32に貼り付けられる。具体的には、第1のフィルム34は、リブ362の端面、および、タンク本体32の外枠の端面に隙間が生じないように緻密に貼り付けられている。これにより複数の小部屋が形成されている。具体的には、主に、空気収容室330と液体収容室340と連通部350とが形成される。すなわち、タンク本体32と第1のフィルム34によって空気収容室330、液体収容室340、連通部350が形成されている。なお、第1のフィルム34のタンク本体32への貼り付けは、熱溶着に限られず、例えば粘着剤を用いて貼り付けても良い。
液体収容室340は、複数の壁部により形成されている。具体的には、主に、第1のフィルム34により形成された開口壁部370と、内部空間(例えば液体収容室340)を挟んで開口壁部370と対向する対向壁部370b(図5)と、開口壁部370と対向壁部370bに接続された複数の接続壁部370c(図4、図6)とを備える。図4及び図5に示すように、開口壁部370の外形と対向壁部370bの外形は同一形状(凸形状)である。
図6に示すように、複数の接続壁部370cは第1の壁部370c1と第2の壁部370c2とを含む。タンクユニット50としてインクタンク30が組み立てられた場合(図1(A))、第1の壁部370c1は外部から視認でき、第2の壁部370c2は上面ケース54を開けることで外部から視認できる。なお、液体収容室340を形成する複数の壁部のうち、複数のインクタンク30の配置方向(積層方向、Y軸方向)に垂直な平面を有する開口壁部370(図4)及び対向壁部370b(図5)は、タンクユニット50としてインクタンク30が組み付けられた場合、外部から視認できない。
第1の壁部370c1は、インクタンク30の使用姿勢において、インクタンク30が設置された設置面(水平面)に対して立設状態となる壁部である。すなわち、第1の壁部370c1は、インクタンク30の使用姿勢において、下方から上方に向かって延びる壁部である。本実施例の場合、第1の壁部370c1は、インクタンク30の使用姿勢において、設置面(水平面)に対して略垂直な角度を有するようにインクタンク30の壁部を構成する。なお、第1の壁部370c1は、インクタンク30の注入姿勢において、インクタンク30の底面を構成する。
第2の壁部370c2は、インクタンク30の注入姿勢において、インクタンク30が設置された設置面(水平面)に対して立設状態となる壁部である。すなわち、第2の壁部370c2は、インクタンク30の注入姿勢において、下方から上方に向かって延びる壁部である。本実施例の場合、第2の壁部370c2は、インクタンク30の注入姿勢において、設置面(水平面)に対して略垂直な角度を有するようにインクタンク30の壁部を構成する。
図6に示すように、第1の壁部370c1には、下限部としての下限線LM1が設けられている。第2の壁部370c2には、上限部としての上限線LM2が設けられている。下限線LM1及び上限線LM2は、直線状である。下限線LM1は、使用姿勢において水平(鉛直方向に垂直)な線である。上限線LM2は、注入姿勢において水平(鉛直方向に垂直)な線である。また、下限線LM1及び上限線LM2は、設けられた壁部370c1、370c2の外面から突出した突起状であり、タンク本体32と一体成形されている。
下限線LM1は、インクタンク30の使用姿勢において、液体収容室340のインクが消費され、液体収容室340のインクが第1の閾値となったことを利用者に示すために設けられている。上限線LM2は、インクタンクの注入姿勢において、液体注入口304から液体収容室340にインクが注入され、液体収容室340のインクが第2の閾値になったことを利用者に示すために設けられている。すなわち、下限線LM1及び上限線LM2は、液体収容室340の液体の量が第1又は第2の閾値になったことを外部から識別するために用いられる。
A−3.インクの注入方法:
図7は、液体収容室340のインク残量が少なくなった状態を示す図である。なお、実際には、液体導出部306とサブタンク20の液体受入部202とはホース24を介して接続されているが、ホース24の図示は省略している。なお、図7は、インクタンク30をY軸正方向側から見た場合の図である。
図7に示すように、液体収容室340のインクがプリンター12に供給され消費されるとインク液面が低下し、下限線LM1にインク液面が到達する。下限線LM1近傍にインク液面が到達した場合、利用者はインクを液体収容室340に注入(補充)する。このように、液体収容容器30は、下限線LM1によって利用者に液体収容室340へのインク補充を促すことで、液体収容室340にインクが無い状態でプリンター12による印刷が行われることを防止できる。よって、空気(気泡)が液体収容室340からプリンター12に導入される可能性を低減できる。これにより、プリンター12の不具合の発生(ドット抜け等)を防止することができる。
インクを液体収容室340に注入する際には、矢印YRで示すように、液体注入口304の開口が水平方向から鉛直上向きを向くようにインクタンク30が回転される。詳細には、図1(A)に示すタンクユニット50を回転させ、タンクユニット50を構成する4つのインクタンク30を矢印YR方向に回転させる。これにより、使用姿勢から注入姿勢にインクタンク30の姿勢が変化する。すなわち、インクタンク30は、液体注入口304の開口が外部に向かって向く方向が異なる使用姿勢と注入姿勢との2姿勢で使用される。利用者は、インクタンク30の姿勢を注入姿勢にした後に、上面ケース54(図1(A))を開けることで、上限線LM2が設けられた第2の壁部370c2を外部から視認できる。
図8は、インクタンク30へのインク注入を説明するための図である。図8(A)は、インク液面が下限線LM1に到達した状態で、インクタンク30を使用姿勢から注入姿勢に変化させた際のインクタンク30内部のインクの状態を示している。図8(B)は、液体注入口304から液体収容室340にインクを注入する様子を示した図であり、インク液面が上限線LM2に到達した状態を示している。なお、図8(A)及び(B)は、インクタンク30をY軸正方向側から見た場合の図である。また、図8(A)及び(B)は、実際には、液体導出部306とサブタンク20の液体受入部202とはホース24を介して接続されているが、ホース24の図示は省略している。なお、図8(A)は、インクタンク30を注入姿勢にした後に、栓部材302を取り外した状態を示している。
図8(A)に示すように、インクタンク30の注入姿勢における高さ方向(鉛直方向、X軸方向)について、液体注入口304の上端部304pは、空間部341が位置する範囲に位置する。
インク残量が少ない状態で使用姿勢から注入姿勢に姿勢を変化させた場合において、液体保持部345はインクが液体収容室340の他の部分に流れ出すことを抑制する。すなわち、区画壁部342は、液体出口部349から離れる方向(Z軸正方向)へのインクの流れを堰き止める。このため、注入姿勢において、液体保持部345では他の部分よりも水位を高く維持することができる。より詳細には、注入姿勢において液体出口部349よりも高い位置まで延びる区画壁部342によって、液体保持部345のインクの水位(液面)を液体出口部349の高さ以上に維持することが可能となる。これにより、インク残量が少ない場合でも、液体導出部306内のインクと液体保持部345のインクとは空気を介さず連続して存在することが可能となる。よって、インク注入時に空気(気泡)が液体出口部349から液体導出部306に流入し、ホース24を介してサブタンク20へ流入する可能性を低減することができる。これにより、インク注入時に記録ヘッド17(図3)側に空気が流れ込まないため、空打ちによるドット抜けを抑制し、印字品質の低下を抑制することができる。
図8(B)に示すように、液体収容室340へのインクの補充は、インクを収容した補充用容器980を用いて行われる。具体的には、補充用容器980からインクを液体収容室340に滴下して、液体収容室340にインクが補充される。液体収容室340にインクを滴下してインクが補充される場合、補充されたインク中に泡990が発生し、インク液面(インク表面)に浮上する。ここで、上述のように、上限線LM2は液体注入口304からインクが注入され、液体収容室340内に十分な量(液体注入口304からインクが溢れ出さない程度の量、第2の閾値)のインクが収容されていることを利用者に示すために設けられている。図8(B)に示すように、利用者は液体収容室340のインク液面が上限線LM2に達する程度までインクを液体収容室340に注入する。
インクが液体収容室340に注入され、インク液面が上昇するに従って泡990も上昇する。ここで、液体収容室340は、注入姿勢において鉛直下方向(X軸負方向)が開口し、液体注入口304の下端部304mよりも上方に位置する空間部341を有する。よって、インク液面の泡990が上昇してきた場合に、泡990を空間部341に溜める(逃がす)ことができる。これにより、インクを注入する際に、インク注入時に発生した液体収容室340の泡990が液体注入口304から溢れ出す可能性を低減できる。
上記のように、第1実施例のインクタンク30は、液体収容室340に空間部341を有することから、空間部341を有さないインクタンクに比べ、インク注入時に発生する泡990が液体注入口304から溢れ出す可能性を低減できる。また、液体導出部306の液体出口部349は、インクタンク30の注入姿勢において、空間部341よりも下方に位置する。これにより、インク注入時に発生しインク液面に浮上した泡990が液体導出部306及びホース24(図3)を介してプリンター12の記録ヘッド17に侵入する可能性を低減できる。これにより、インクタンク30を備えた液体噴射システム1は、いわゆる空打ち等のプリンター12の不具合の発生を抑制できる。また、下限線LM1及び上限線LM2は各姿勢(使用姿勢、注入姿勢)において、水平な直線状であることから、利用者は各姿勢において液体収容室340のインクの量を容易に確認することができる。すなわち、利用者は、インクを補充するタイミング、及び、インク補充が完了したタイミングを容易に確認することができる。また、下限線LM1及び上限線LM2は各姿勢(使用姿勢、注入姿勢)において、水平な直線状であることから、インク液面と下限線LM1又は上限線LM2を比較することで、利用者はインクタンク30が水平面に設置されているかどうかを容易に判断できる。すなわち、インク液面に対して下限線LM1又は上限線LM2が傾いていれば、インクタンク30が水平面に設置されていないことが分かる。
B.第2実施例:
図9は、第2実施例のインクタンク30aを説明するための図である。図9(A)は、図8(A)に相当する図であり、図9(A)は図8(B)に相当する図である。第1実施例のインクタンク30との違いは、液体注入口304,304aの形状である。その他の構成(液体収容室340や空間部341等)については、第1実施例のインクタンク30と同様の構成であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。また、タンクユニット50の上面ケース54等の構成や、プリンター12の構成についても第1実施例と同様の構成であるため説明を省略する。
図9(A)に示すように、インクタンク30aは、液体注入口304aを備える。液体注入口304aの上端部304pは、インクタンク30aの注入姿勢において、空間部341よりも上方に位置する。
図9(B)に示すように、液体収容室340のインク液面が上限線LM2に達する程度までインクが液体収容室340に注入された場合、第1実施例と同様に、インク液面の泡990は空間部341に溜められる。ここで、インク注入時に発生した泡990の一部は、液体注入口304a(詳細には下端部304m)の近傍にも存在する。第2実施例の液体注入口304aの上端部304pは、注入姿勢において空間部341よりも上方に位置することから、第1実施例に比べ泡990が液体注入口304aから溢れ出す可能性をより低減できる。
C.変形例:
なお、上記実施例における構成要素の中の、特許請求の範囲の独立項に記載した要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、本発明の上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
C−1.第1変形例:
上記実施例では、液体注入口304,304aは、液体収容室340を形成する壁部から所定長さ延びる円筒形状を有していたが(図8、図9)、これに限定されるものではなく、一端部である上端部304pが外部に向かって開口し、他端部である下端部304mが液体収容室340内において開口していれば良い。例えば、液体収容室340を形成する壁部に貫通孔を設けることで液体注入口を形成しても良い。壁部に貫通孔を設けることで液体注入口を形成する場合、下端部304mは液体収容室340内において開口している部分(面)であり、上端部304pは外部に向かって開口している部分(面)となる。このようにしても、上記実施例と同様に、空間部341を有することでインク注入時に発生する泡990が貫通孔である液体注入口からは溢れ出す可能性を低減できる。また、液体注入口が液体収容室340を形成する壁部に貫通孔を設けることで形成されるため、壁部から所定長さ延びる円筒形状の部材を用いる必要がない。
C−2.第2変形例:
上記実施例では空間部341は、使用姿勢における鉛直方向(Z軸方向)について、液体収容室340のうち、液体注入口304の下端部304mと、液体導出部306の液体出口部349との間に形成されていたが(図8、図9)、これに限定されるものではない。例えば、使用姿勢における鉛直方向(Z軸方向)について、液体収容室340のうち、液体注入口304の下端部304mを挟んで液体出口部349と対向する位置に空間部341を設けても良い。すなわち、使用姿勢における鉛直方向について、上方から下方に向かって、空間部341、液体注入口304の下端部304m、液体出口部349の順に形成しても良い。このようにしても、上記実施例と同様に、空間部341を有することでインク注入時に発生する泡990が貫通孔である液体注入口から溢れ出す可能性を低減できる。
C−3.第3変形例:
上記実施例では、下限線LM1及び上限線LM2は直線状であったが、これに限定されるものではなく、液体収容室340内のインクの量を外部から確認できる目印であれば良い。例えば、下限線LM1、上限線LM2の少なくとも1つを点状にしても良い。また、下限線LM1、上限線LM2を黒色等に着色しても良い。また、使用姿勢と注入姿勢の各姿勢における鉛直方向について、下限線LM1と上限線LM2の少なくとも1つにおいて異なる高さに複数の線(目印)を設ける構成としても良い。複数の目印を設けることで、利用者はより精度良く液体収容室340の液体の量を把握することができる。
C−4.第4変形例:
上記実施例では、第1と第2の壁部370c1,370c2を含むタンク本体32は半透明であったが、透明であっても良い。また、少なくとも一部が外部からインクタンク30内部のインクを視認できる視認部を有すれば、その他の部分は外部からインクタンク30内部を視認できなくても良い。すなわち、外部から視認可能な第1の壁部370c1であって、外部から液体収容室340内部を視認できる第1の視認部を有する第1の壁部370c1に下限部としての下限線LM1を設ける。下限線LM1は、使用姿勢において、第1の視認部が設けられている高さの範囲に設けられていれば良い。第1の視認部は、例えば、透明又は半透明である。また、外部から視認可能な第2の壁部370c2であって、外部から液体収容室340内部を視認できる第2の視認部を有する第2の壁部370c2に上限部としての上限線LM2を設ける。上限線LM2は、注入姿勢において、第2の視認部が設けられている高さの範囲に設けられていれば良い。こうすれば、液体収容室340のインクの量が第1の閾値又は第2の閾値になったことを利用者は容易に確認することができる。
C−5.第5変形例:
上記実施例では、液体収容容器としてプリンター12に用いられるインクタンク30を例に説明を行ったが、これに限定されるものではなく、例えば液晶ディスプレー等の色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等の液体噴射装置に液体を供給可能な液体収容容器であって、液体注入口を備える液体収容容器に本発明は適用できる。上記の各種の液体噴射装置に液体収容容器を使用する際には、各種の液体噴射装置が噴射する液体の種類に応じた液体(色材,導電ペースト,生体有機物等)を、液体収容容器内部に収容すれば良い。また、各種液体噴射装置と各種液体噴射装置に用いる液体収容容器を備える液体噴射システムとしても本発明は適用可能である。
1…液体噴射システム
10…ケース
12…インクジェットプリンター(プリンター)
13…用紙給紙部
14…用紙排出部
16…キャリッジ
16a…インク供給針
17…記録ヘッド
20…サブタンク
20Bk…サブタンク
20Ma…サブタンク
20Cn…サブタンク
20Yw…サブタンク
24…ホース
30…液体収容容器(インクタンク)
30a…インクタンク
32…タンク本体
34…第1のフィルム
50…タンクユニット
54…上面ケース
54a…一辺
56…第1の側面ケース
58…第2の側面ケース
202…液体受入部
204…インク貯留室
206…フィルター
208…インク流動路
302…栓部材
304…液体注入口
304a…液体注入口
304m…下端部
304p…上端部
306…液体導出部
317…大気導入口
318…大気開放口
322…第2のフィルム
324…突起部
325a…孔部
328…嵌合ユニット
330…空気収容室
340…液体収容室
341…空間部
342…区画壁部
345…液体保持部
349…液体出口部
350…連通部
362…リブ
370…開口側面(開口壁部)
370b…対向壁部
370c…接続壁部
370c1…第1の壁部
370c2…第2の壁部
980…補充用容器
990…泡
G…空気(気泡)
LM1…下限線
LM2…上限線
sf…設置面
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することができる。
[形態1]
液体噴射装置に液体を供給するための液体収容容器であって、
複数の壁部によって形成され、前記液体を収容するための液体収容室と、
前記液体を前記液体収容室に注入するための液体注入口と、
前記液体収容室の前記液体を前記液体噴射装置に供給するための導出部と、を備え、
前記複数の壁部は、前記液体注入口を鉛直上方向に向けたとき、前記液体収容容器が設置された設置面に対して立設状態となる第一壁部であって、前記液体収容室内の液面を外部から視認可能な第一壁部を含み、
前記第一壁部には、前記液体注入口から注入される液体の量の上限を示す上限部が外部から識別可能に設けられている、液体収容容器。
この形態によれば、利用者は液体収容室に注入された液体の量の上限を上限部によって容易に把握できる。
[形態2]
形態1に記載の液体収容容器であって、
前記上限部は、水平な直線状である、液体収容容器。
[形態3]
形態1又は形態2に記載の液体収容容器であって、
前記複数の壁部は、前記液体注入口を水平方向に向けたとき、前記液体収容容器が設置された設置面に対して立設状態となる第二壁部であって、前記液体収容室内の液面を外部から視認可能な第二壁部を含み、
前記第二壁部には、前記液体収容室内の前記液体の量が第1の閾値になったことを示す下限部が外部から識別可能に設けられている、液体収容容器。
[形態4]
形態3に記載の液体収容容器であって、
前記下限部は、水平な直線状である、液体収容容器。
[形態5]
液体噴射システムであって、
形態1から形態4までのいずれか一つに記載の液体収容容器と、
対象物に前記液体を噴射するためのヘッドを有する液体噴射装置と、
前記液体収容容器の前記導出部と前記液体噴射装置とを接続し、前記液体収容室に収容されている前記液体を前記液体噴射装置に流通させる流通管と、を備える、液体噴射システム。

Claims (4)

  1. 液体噴射装置に液体を供給するための液体収容容器であって、
    前記液体を収容するための液体収容室と、
    一端部が外部に向かって開口し、他端部が前記液体収容室内で開口した液体注入口であって、前記液体を前記液体収容室に注入するための液体注入口と、
    一端部である液体出口部が前記液体収容室内で開口した導出部であって、前記液体収容室の前記液体を前記液体噴射装置に供給するための導出部と、を備え、
    前記液体注入口から前記液体収容室に前記液体を注入する際の注入姿勢において、前記液体収容室は、
    前記液体収容室を形成する壁部によって形成された空間部であって、鉛直下方向に向かって開口している空間部を有し、
    前記注入姿勢において、前記空間部は前記液体注入口の前記他端部よりも上方に位置する、液体収容容器。
  2. 請求項1に記載の液体収容容器であって、
    前記注入姿勢において、前記液体注入口の前記一端部は前記空間部よりも上方に位置する、液体収容容器。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の液体収容容器であって、
    前記注入姿勢において、前記導出部の前記液体出口部は前記空間部よりも下方に位置する、液体収容容器。
  4. 液体噴射システムであって、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体収容容器と、
    対象物に前記液体を噴射するためのヘッドを有する液体噴射装置と、
    前記液体収容容器の前記導出部と前記液体噴射装置とを接続し、前記液体収容室に収容されている前記液体を前記液体噴射装置に流通させる流通管と、を備える、液体噴射システム。
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