以下、一実施形態の構成を図1ないし図11を参照して説明する。
図1ないし図11において、11は電気掃除機としてのスティック型(縦型)電気掃除機(以下、単に掃除機11という)を示し、この掃除機11は、図示しない置き台である充電装置(充電台)とともに、電気掃除装置を構成するものである。
そして、この掃除機11は、図5ないし図9に示すように全体を動かしながら使用する形態と、図10および図11に示すように一部を肩掛けなどして持ち運びながらハンディ型電気掃除機のように使用する形態とを選択的に切り換えできるものである。
図1ないし図11に示すように、掃除機11は、含塵空気を吸い込む風路体15と、この風路体15が接続された本体部16とを備えている。なお、以下、上下方向は掃除機11を被掃除面上に載置した状態を基準とする。すなわち、図6に示す矢印U方向が本実施形態の上方向、矢印D方向が本実施形態の下方向となる。
風路体15は、上流側(前端側)を構成するアタッチメント部18と、このアタッチメント部18が接続されて下流側(後端側)を構成するホース部19とを備えている。
アタッチメント部18は、掃除の形態に応じてホース部19に対して適宜着脱されるものであり、任意の形態とすることができるが、例えば本実施形態では吸込口体としての床ブラシ21と、この床ブラシ21を上流端である前端に着脱可能な直管長尺状の延長管22とを備えている。
床ブラシ21は、吸込具、吸込ノズル、吸込ヘッドなどとも呼ばれるもので、左右幅方向に沿って長手状、すなわち横長のケース体24と、このケース体24の後部に回転可能に接続された回転管25とを備えている。そして、ケース体24には、被掃除面に対向する下面に図示しない吸塵口が開口され、回転管25は、ケース体24に対して上下方向や軸回り方向などに回動可能に軸支されており、吸塵口と連通している。なお、吸塵口には、例えばモータなどの駆動手段によって駆動される回転清掃体としての回転ブラシを配置してもよい。
延長管22は、上流端部である前端部に吸込口部27を備え、下流端部である後端部に接続口部28を備えている。なお、この延長管22は、複数の直管状の延長管部材を摺動可能に連結するなどの構成として伸縮可能とすることもできる。
吸込口部27は、硬質の部材である合成樹脂などにより円筒状(直管状)に形成されている。この吸込口部27には、上流端部である前端部に、延長管用清掃部材であるブラシ毛31aを備えた清掃体部としてのブラシ毛部31が上下方向に回動可能に取り付けられている。そして、この吸込口部27には、床ブラシ21を着脱可能に係止保持するクランプ部32が設けられている。
接続口部28は、アタッチメント部18(延長管22)をホース部19に接続する際にこのホース部19の前端部に挿入される部分である。
また、ホース部19は、この接続口部28が挿入接続される吸込口体部34と、この吸込口体部34の下流側(後端側)に連通接続された伸縮可能なホース体35とを有している。
吸込口体部34は、例えばホース体35よりも硬質の部材である合成樹脂などにより円筒状(直管状)に形成されている。この吸込口体部34には、上流端部である前端部に、ブラシ毛37aを備えた清掃部としてのブラシ部37が上下方向に回動可能に取り付けられ、後端部に、風路体15を本体部16と別個に操作する際の把持操作用のハンドル38が同軸状に突設されているとともにこのハンドル38の下部にホース体35と連通する接続部39が分岐されて突設されている。そして、この吸込口体部34には、アタッチメント部18を着脱可能に係止保持する保持クランプ40が設けられている。
ハンドル38は、風路体15の先端側(上流側)の位置を移動操作するもので、ホース体35よりも硬質の合成樹脂などの部材により前後方向に沿って長尺の円柱(円筒)状、すなわち軸状に形成されている。したがって、風路体15は、ホース体35の下流端部と異なる位置、本実施形態ではホース体35の上流側に分岐するハンドル38の後端部の位置で本体部16に対して着脱可能となっている。そして、このハンドル38には、このハンドル38を本体部16に対して着脱可能に係止する係止体としてのクランプ体46が設けられている。
接続部39は、ホース体35とハンドル38とを分岐するもので、吸込口体部34の軸方向に対して鋭角状に交差する方向に沿って軸方向が傾斜した直管状となって吸込口体部34と一体に設けられており、ホース体35の上流端部が挿入されて気密に接続されている。この接続部39は、ハンドル38の前端部の下方に位置している。
また、ホース体35は、例えば可撓性を有する合成樹脂などにより蛇腹状に形成されて伸縮自在となっており、下流側である一端側すなわち後端側が本体部16と気密に接続され、上流側である他端側すなわち前端側が接続部39に保持されて吸込口体部34(アタッチメント部18)と気密に接続されている。
一方、本体部16は、構造的には、本体ケース51と、この本体ケース51の下部に着脱可能な塵埃収容体としてのカップ部である略有底円筒状の集塵カップ52とを備えている。この本体部16の内部には、電動送風機53が収容されているとともに、この電動送風機53により風路体15を介して吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離捕集する集塵部54が設けられている。そして、この集塵部54は、塵埃を分離する分離部55と、分離された塵埃を溜める溜め部56と、空気を導く風路部57とに大別される。分離部55は、本実施形態では含塵空気中の比較的大きい塵埃(粗塵)を(遠心)分離する第1遠心分離部61と、この第1遠心分離部61を通過した含塵空気中に残留する比較的小さい塵埃(細塵)を(遠心)分離する複数の遠心分離部である第2遠心分離部62と、これら第2遠心分離部62を通過した空気中に僅かに残留する塵埃(微細塵)をろ過分離して捕集するフィルタ63とを備えている。また、溜め部56は、第1遠心分離部61により分離された塵埃を溜める粗塵溜め部である第1溜め部65と、第2遠心分離部62により分離された塵埃を溜める細塵溜め部である第2溜め部66とを備えている。さらに、風路部57は、第1遠心分離部61に含塵空気を導入する導入風路部68と、第1遠心分離部61と第2遠心分離部62とを連通する連通風路部69と、第2遠心分離部62と電動送風機53とを連通する吸込風路部70とを備えている。
本体ケース51は、例えば合成樹脂などにより形成されている。そして、この本体ケース51は、前後方向に沿って長手状のケース本体73と、このケース本体73に対して着脱可能な蓋体74とを備えている。
ケース本体73は、複数のケース部を組み合わせて形成されており、上部に、蓋体74が着脱される露出開口部75、および、肩掛け用の図示しないベルト(ショルダーベルト)が係止されるベルト取付開口76,76が開口され、下部に、集塵カップ52を着脱可能な取付開口部77が開口されている。また、このケース本体73の前端部には、風路体15のハンドル38が着脱可能に接続される保持受部78と、ホース体35の後端部(下流端部)が接続される風路体接続部79とが上下に突設されている。さらに、このケース本体73の後端部には、把持用の本体用ハンドル80が突設されている。そして、このケース本体73の内部、すなわち露出開口部75と取付開口部77との間で、かつ、保持受部78および風路体接続部79と本体用ハンドル80との間には、電動送風機53および第2遠心分離部62などを収容したユニット部81が設けられている。
露出開口部75は、蓋体74が着脱されることで開閉されるとともに、開いた状態でユニット部81の上部を露出させる部分であり、前後方向に沿って長手状に形成され、保持受部78の後方上側に位置している。
ベルト取付開口76,76は、ケース本体73の上部にて露出開口部75の前後にそれぞれ開口されており、これらベルト取付開口76,76にベルトの両端をループ状に引っ掛けることにより、ベルトを肩掛けして本体部16を保持できるようになっている。
取付開口部77は、集塵カップ52が着脱されることで開閉されるとともに、開いた状態でユニット部81の下部を露出させる部分であり、前後方向に沿って長手状に形成され、風路体接続部79の後方に位置している。また、この取付開口部77の内縁部には、集塵カップ52を気密に接続するための弾性変形可能な環状のシール部材84が取り付けられている。
保持受部78は、前後方向および水平方向に沿って軸方向を有する、すなわち前方に開口した円筒状に形成されており、電動送風機53(ユニット部81)の前方で、かつ、風路体接続部79の上方(直上)に位置している。この保持受部78には、風路体15の接続凸部48が挿入される図示しない挿入開口部と、この挿入開口部の内部に位置してクランプ体46の図示しない爪部が下方から挿入係止される図示しない係合受部とがそれぞれ凹設されている。
風路体接続部79は、前後方向および水平方向に沿って軸方向を有する、すなわち前方に開口した円筒状に形成されており、電動送風機53(ユニット部81)の前方下側で、かつ、保持受部78の下方(直下)に位置している。また、この風路体接続部79には、ホース体35の後端部が前方から挿入されて着脱不可能に固定されている。ここで、ホース体35の後端部が風路体接続部79に対して着脱不可能であるとは、風路体接続部79を分解などしない限りホース体35の後端部を風路体接続部79から取り外しできないことを言うものとする。そして、この風路体接続部79の後端部には、円筒状のシール部88が同軸状に取り付けられている。このシール部88は、弾性変形可能な部材により形成され、取付開口部77に取り付けられた集塵カップ52の前端部(上流端部)に圧接されて風路体15(ホース体35)と集塵カップ52(集塵部54)とを気密に接続するものである。
また、本体用ハンドル80は、本体部16(ケース本体73)の後部の位置に、この本体部16の上下に亘って上下方向に沿って形成され、本体部16(ケース本体73)の長手方向と交差(直交)する左右方向に開口するようにループ状となっている。そして、この本体用ハンドル80の上部には、この本体用ハンドル80を把持した手で使用者が電動送風機53の動作などを設定するための設定ボタン89が互いに前後方向に沿って離間されて複数配置されている。
ユニット部81は、本体ケース51の内部構造を収容するもので、電動送風機53を収容する電動送風機室91を内部に区画する円筒状のユニット本体部92と、このユニット本体部92の外方に位置する筒状の隔壁部93と、この隔壁部93の外方に位置して各第2遠心分離部62を内部に形成する円筒状の分離筒部94とを一体的に備えている。また、このユニット部81の上面部は、平板状に形成されて水平状に位置し吸込風路部70の上部を区画する区画壁部95となっている。この区画壁部95には、中央部に、電動送風機室91(電動送風機53)の吸込側と連通する例えば円形状の吸込開口96が開口されている。また、この区画壁部95には、吸込開口96の中心に向かって放射状の複数の吸込リブ部97が上方に向けて突設され、吸込開口96の周囲に複数の下側リブ部98が上方に向けて突設されているとともに、外縁部近傍に沿って枠状に連続する(一方および他方の)下側保持リブ部99a,99bが上方に向けて突設されている。
電動送風機室91は、本体部16の本体ケース51の前後方向および左右方向の略中央部に位置している。
ユニット本体部92は、上下方向に沿って軸方向を有している。このユニット本体部92と隔壁部93との間に、連通風路部69の下流側(上側)が前後に位置してそれぞれ区画されている。すなわち、ユニット部81の内部には、連通風路部69の一部(下流側)が区画されている。また、このユニット本体部92は、下端側が下方に向けて徐々に縮径されており、下端部が、電動送風機53からの排気を排出する円形状の排出開口100となっている。そして、この排出開口100の外方には、この排出開口100を囲んで、弾性変形可能な環状の排気側シール部材101が取り付けられている。
隔壁部93は、連通風路部69と各第2遠心分離部62(各分離筒部94)との間を区画するもので、ユニット本体部92に対して両側部が連続し、両側方向の中央部がユニット本体部92に対して前後方向に離間される、すなわち左右方向に短軸を有し前後方向に長軸を有する楕円筒状に形成されており、上下方向に沿って軸方向を有している。また、この隔壁部93の下端部には、集塵カップ52を気密に接続するための弾性変形可能な環状のシール部材102が取り付けられている。
各分離筒部94は、コーン部などとも呼ばれ、上下方向に沿って軸方向を有しており、ユニット本体部92の前後に、例えば3つずつ配置されている。これら分離筒部94は、ユニット本体部92(電動送風機53)の中心軸を中心とする同心円上に互いに離間され、電動送風機53の中心軸に対して互いに前後方向に線対称に位置している。すなわち、これら分離筒部94(第2遠心分離部62)は、電動送風機53の軸方向(上下方向)と交差(直交)する方向に互いに反対側に配置されている。また、これら分離筒部94は、上端部から下端部へと徐々に縮径されている。さらに、これら分離筒部94は、集塵カップ52よりも径寸法が小さく設定されており、このため、第2遠心分離部62の旋回流の流速が、第1遠心分離部61の旋回流の流速よりも速くなっている。また、これら分離筒部94の上端近傍には、連通風路部69と連通してこの分離筒部94の内面の接線方向に沿って含塵空気を導く第2遠心分離部62の吸込口である吸込開口部103が軸方向に対して交差する側方に向けてそれぞれ開口されている。さらに、これら分離筒部94の上端部には、この分離筒部94と同軸状に、塵埃を遠心分離した空気が吸込風路部70へと連通する円筒状の排出筒部104が区画壁部95を貫通して配置されており、この排出筒部104の下流端である上端部が、空気を吸込風路部70へと排出する第2遠心分離部62の排気口である排出開口部105となっている。そして、各分離筒部94の下端部は、集塵カップ52の上部に対向して開口し第2遠心分離部62で分離された塵埃を第2溜め部66へと排出する塵埃排出口106となっている。したがって、これら分離筒部94内に区画される第2遠心分離部62は、上流側が吸込開口部103を介して連通風路部69と連通し、下流側が排出開口部105を介して吸込風路部70と連通し、塵埃排出口106を介して第2溜め部66と連通している。
下側リブ部98は、吸込風路部70を通過する空気を吸込開口96側(電動送風機53側)へと導くもので、吸込開口96の前後に、第2遠心分離部62の数に対応してそれぞれ形成されており、本実施形態では、吸込開口96の前側および後側に3つずつ、左右方向の中央部と、その両側とにそれぞれ設定され、左右対称となっている。これら下側リブ部98は、前後方向に沿って直線長手状に形成されており、区画壁部95から上方への突出量が吸込リブ部97と略等しくなっている。また、各下側リブ部98は、各第2遠心分離部62(各排出筒部104(各排出開口部105))の中心軸を通る仮想線上に沿って形成されている。さらに、左右方向の中央部に位置する下側リブ部98は、左右方向の中心線に沿って前後方向に吸込開口96(電動送風機53の吸込側)に向かって延び、左右両側部に位置する下側リブ部98,98は、吸込開口96(電動送風機53の吸込側)に向かって、それぞれ左右方向の中央側に傾斜している。また、各下側リブ部98の吸込開口96側の端部は、それぞれ吸込リブ部97の吸込開口96と反対側(反吸込開口96側)の端部に対向する位置まで延びている。そして、これら下側リブ部98は、吸込風路部70内に水平方向に沿って配置されたフィルタ63を下側から支持している。
下側保持リブ部99a,99bは、フィルタ63の外縁部を下側から支持する部分であり、下側保持リブ部99bが下側保持リブ部99aに対して内方(吸込開口96側)に離間されている。外側に位置する下側保持リブ部99aは、各リブ部97,98よりも区画壁部95から上方への突出量が大きく、上端部の位置が、排出筒部104の上端部と略等しい高さとなっている。また、内側に位置する下側保持リブ部99bは、区画壁部95から上方への突出量が各リブ部97,98と略等しく設定されている。
また、蓋体74は、フィルタ63を覆うとともに、露出開口部75に取り付けられてこの露出開口部75を閉塞することでユニット部81の上面部である区画壁部95との間で吸込風路部70を区画するもので、例えば板状に形成されている。この蓋体74の上側の前部には、露出開口部75の前縁部に臨んで、蓋体74をこの露出開口部75に係止するための係止クランプ107が設けられている。また、この蓋体74の下部、すなわち区画壁部95と対向する下面部には、複数の上側リブ部108が突設されているとともに、外縁部近傍に沿って枠状に連続する上側保持リブ部109が上方に向けて突設されている。
各上側リブ部108は、吸込風路部70を通過する空気を吸込開口96側(電動送風機53側)へと導くもので、ユニット部81の各下側リブ部98よりも上方の位置に、第2遠心分離部62の数に対応してそれぞれ形成されており、本実施形態では、1つの第2遠心分離部62につき2つずつで対をなして前側および後側に3対ずつ、それぞれ左右方向の中央部と、その両側とにそれぞれ設定され、左右対称となっている。これら上側リブ部108は、前後方向に沿って直線長手状に形成されており、対をなす上側リブ部108,108は、それぞれ例えばユニット部81の各排出筒部104(各排出開口部105))の両側に接する接線に沿って互いに略平行に形成されている。したがって、対をなす上側リブ部108,108は、上方から見て(電動送風機53の軸方向に見て)下側リブ部98に対してそれぞれ左右にずれた位置、すなわち各下側リブ部98の両側に形成されており、対応する下側リブ部98全体に対して直接対向していない(図2および図3)。すなわち、対をなす上側リブ部108,108間に、対応する下側リブ部98がそれぞれ位置しており、全ての上側リブ部108と下側リブ部98とが全体として上下方向に同位置とならないようになっている。なお、下側リブ部98と上側リブ部108との位置がずれているとは、下側リブ部98と上側リブ部108とが線状に対向していない(略全長に亘って長手状に対向していない)ことを意味し、上方から見て点状に交差する部分があっても構わない。さらに、左右方向の中央側に位置して対をなす上側リブ部108,108は、蓋体74の左右方向の中心線に対して略平行に、この中心線の両側に蓋体74の前後方向の中心位置(吸込開口96(電動送風機53の吸込側))に向かって延び、左右両側に位置する対をなす上側リブ部108,108は、蓋体74の前後方向の中心位置に向かって(上方から見て吸込開口96に向かって)、それぞれ左右方向の中央側に傾斜している。そして、これら上側リブ部108は、吸込風路部70内に水平方向に沿って配置されたフィルタ63を上側から押さえている。なお、これら上側リブ部108,108と、下側リブ部98との上下方向の間隔は、フィルタ63の厚みよりも小さく設定されている。
上側保持リブ部109は、フィルタ63の外縁部を上側から押さえる部分であり、上側リブ部108よりも下方への突出量が大きい。この上側保持リブ部109は、蓋体74をケース本体73(露出開口部75)に取り付けた状態で、下側保持リブ部99aに対向するように配置されてフィルタシール部63bを挟持している。
また、集塵カップ52は、有底円筒状の収容部としてのカップ部本体111と、このカップ部本体111の軸方向の一端部である上端部から前後に突設された塵埃受け部(細塵受け部)112,112と、カップ部本体111の上端近傍から前方に突設された導入部113と、カップ部本体111の上端部に着脱可能なカバー部114と、このカバー部114と一体に設けられた分離体部115と、カップ部本体111の軸方向の他端部である下端部(底部)側を覆うカバー体116と、集塵カップ52を本体ケース51に対して係止する係止手段としてのクランプ117とを備え、本体ケース51の取付開口部77に対して着脱可能となっている。そして、この集塵カップ52は、カップ部本体111および塵埃受け部112,112の上端部が、塵埃(粗塵および細塵)を廃棄するための塵埃廃棄口118となっている。
カップ部本体111は、第1遠心分離部61の一部および第1溜め部65をなすもので、例えば塵埃受け部112および導入部113とともに、透光性を有する(透明な)合成樹脂などの部材によって一体的に成形されている。このカップ部本体111は、カバー部114をこのカップ部本体111(塵埃廃棄口118)に取り付けた状態で分離体部115の周囲に位置して、この分離体部115とともに第1遠心分離部61を構成しているとともに、下部(底部側)の内部に第1溜め部65を区画している。また、このカップ部本体111の外周部の両側部には、前側寄りの位置に、複数のリブ状の滑り止め部121が上下方向に沿って、すなわちカップ部本体111の軸方向と平行な方向に沿って突設されている(一側部のみ図示)。そして、このカップ部本体111の底部には、このカップ部本体111と同軸(同心)状に、すなわちこのカップ部本体111の中心軸、換言すれば第1遠心分離部61(カップ部本体111内)で旋回する空気の旋回軸に沿って、排出部としての排気筒部122が上方に向けて突設されているとともに、この底部の外面部には、複数の導風部であるリブ123がそれぞれ径方向に沿って突設されている。
排気筒部122は、電動送風機53の排気を本体部16の外部へと排出する部分であり、集塵カップ52を本体ケース51に取り付けた状態で分離体部115の内部に挿入されるようになっている。
リブ123は、排気筒部122から排出された排気を径方向に沿って導くものであり、カバー体116の底面と接触している。
また、各塵埃受け部112は、第2遠心分離部62で分離された塵埃を受ける部分であり、カップ部本体111の軸方向と交差(直交)する前後方向に沿って軸方向を有する半円筒状(受け皿状)などに形成されており、上側が開口されているとともに、カップ部本体111と反対側(反カップ部本体111側)が閉塞されている。これら塵埃受け部112は、集塵カップ52を本体ケース51に取り付けた状態で、外縁部が取付開口部77の内縁部に沿って配置されたシール部材84に圧接されて気密に接続されるようになっている。そして、これら塵埃受け部112とカバー部114との間に第2溜め部66が区画される。
導入部113は、風路体接続部79と気密に接続されることで風路体15と集塵部54とを気密に接続するものであり、前側に位置する塵埃受け部112の下部の位置にて、カップ部本体111の一側から前方へと、このカップ部本体111の接線方向に沿って筒状に突設され、内部に導入風路部68を区画している。したがって、この導入部113により、導入風路部68が第1遠心分離部61へと、含塵空気をカップ部本体111の接線方向に導入するようになっている。また、この導入部113の前端部は、集塵カップ52を本体ケース51(取付開口部77)に取り付けた状態でシール部88の後端部に圧接されて気密に接続され、この導入部113の後端部(下流端部)には、第1遠心分離部61と連通する吸込口125が区画されている。そして、この導入部113には、吸込口125を吸い込み方向(下流側)である後方向にのみ開き、吸い込み方向と反対方向(上流側)である前方向に開かないようにする逆止弁126が取り付けられている。
また、カバー部114は、ユニット部81とともに集塵部54の風路部57(連通風路部69)の一部を構成し、かつ、カップ部本体111を覆う蓋部となるもので、例えば合成樹脂などにより板状に一体に成形され、第1被覆部としてのカバー部本体134と、このカバー部本体134から前後に突設されて前後の塵埃受け部112(第2溜め部66)の上部に位置する第2被覆部としての傾斜壁部135,135とを備え、カップ部本体111と別体となっている。
カバー部本体134は、カップ部本体111(第1溜め部65)の上部を覆うものであり、軸寸法(上下寸法)が小さい円筒状、すなわち浅い皿状に形成され、中央部に、分離体部115と連通する円形状の連通開口部141が開口されている。また、このカバー部本体134の連通開口部141よりも外方の位置には、集塵カップ52を本体ケース51に取り付けた状態でユニット部81のシール部材102が上部に圧接される平面状のカバー部圧接部142が略水平方向に沿って延びている。したがって、このカバー部本体134は、このカバー部圧接部142がシール部材102に圧接されることによって、このカバー部本体134(カバー部114)が連通風路部69の下部を構成する。換言すれば、カバー部本体134(カバー部114)は、連通風路部69の他部(上流側)を区画している。さらに、このカバー部本体134の外周部には、カバー部114をカップ部本体111に取り付けた状態でカップ部本体111に上方から圧接される弾性変形可能な円環状のシール部材143が取り付けられている。したがって、このシール部材143により、カップ部本体111に取り付けられたカバー部本体134(カバー部114)が第1溜め部65と第2溜め部66とを区画している。
各傾斜壁部135は、カバー部本体134の前端部および後端部とともに、第2溜め部66の上方を覆うものであり、各分離筒部94の下端部が挿入嵌合される円形状の複数の挿入孔145が上下方向に沿ってそれぞれ開口されている。また、カバー部本体134の前部に位置する傾斜壁部135には、カバー部114をカップ部本体111から取り外すための摘み部146が上方に向けて突設されている。そして、これら傾斜壁部135と、ユニット部81(隔壁部93(シール部材102)および分離筒部94)とにより、連通風路部69の外方でかつこの連通風路部69と各第2遠心分離部62との間に、電動送風機53の吸込側と連通しない(電動送風機53の駆動により生じる負圧が作用しない)気密な空間部148が区画される。このため、この空間部148の内部に摘み部146が位置することとなり、この摘み部146が、電動送風機53により吸い込まれる空気の流れの外に位置するようになっている。
また、分離体部115は、第1遠心分離部61の旋回中心で、かつ、電動送風機53からの排気流通路となるもので、上下方向に沿って軸方向を有する円筒状に形成されており、集塵カップ52と同軸(同心)に配置される。この分離体部115は、円筒状の分離体部本体161、この分離体部本体161の内方に同軸状に位置する排気部162、および、分離体部本体161よりも径寸法が大きい円筒状の圧縮部163を軸方向に隣接して備えている。
分離体部本体161は、周囲に開口され連通風路部69と連通する複数の開口164と、これら開口164を覆う分離フィルタ165とを有している。すなわち、分離体部本体161の外部(集塵カップ52の内部)と連通風路部69とが、開口164により連通している。そして、第1遠心分離部61では、この分離体部本体161の外周面と集塵カップ52の内周面との間で空気が旋回するようになっている。
排気部162は、分離体部本体161と一体成形され、この分離体部本体161と二重筒状となっている。したがって、この排気部162は、電動送風機53の中心軸に対して略平行な中心軸を有し、実質的に電動送風機53と同軸状に配置されている。そして、この排気部162は、カバー部114をカップ部本体111に取り付けた状態で、下端部が、分離体部115(分離体部本体161)に内挿された排気筒部122の上端部と気密に接続されるとともに、集塵カップ52を本体ケース51に取り付けた状態で、上端部が、排気側シール部材101に圧接されて排出開口100と気密に接続される。したがって、排気部162および排気筒部122の外方が電動送風機53の吸込側(連通風路部69)と連通し、排気部162および排気筒部122の内方が電動送風機53の排気側と連通して、これら吸込側と排気側とが互いに別室となるように区画されている。
圧縮部163は、シェード部とも呼ばれ、分離体部本体161の下端部に段差状に拡径して連続しており、この分離体部本体161と同軸に配置されている。この圧縮部163は、分離体部本体161の下端部の周囲に上下方向に沿って開口した複数の圧縮開口166と、これら圧縮開口166を覆う圧縮フィルタ167とを有している。そして、分離体部本体161の外周と集塵カップ52の内周との間を旋回する空気の一部が圧縮部163の下端部から圧縮部163の内部を介して圧縮開口166(圧縮フィルタ167)を通過することにより、第1遠心分離部61にて遠心分離した塵埃を圧縮フィルタ167に押し付けて圧縮部163内で圧縮するようになっている。
また、カバー体116は、カップ部本体111の底部側を保護するもので、例えばエラストマなどの軟質の合成樹脂である軟質部材により、軸方向寸法が小さい有底円筒状、すなわち浅い皿状に形成されており、カップ部本体111の下端部(リブ123)を覆ってこのカップ部本体111に取り付けられている。そして、このカバー体116の外側部である外周部の全体には、複数の排気開口171がそれぞれ形成されている。これら排気開口171は、排気筒部122から排出されてカバー体116に当たった後、各リブ123を介して径方向に沿って導かれた排気風を外部へと分散排出するものである。
クランプ117は、集塵カップ52を本体ケース51に着脱可能に係止するもので、カップ部本体111の後部上端から塵埃受け部112の後部の下部に亘って略L字状に配置されている。
また、電動送風機53は、吸込側である吸気口53aを上側として電動送風機室91内に配置されている。したがって、この電動送風機53は、第1遠心分離部61(集塵カップ52のカップ部本体111および分離体部115)の上方で、かつ、各第2遠心分離部62(各分離筒部94)の側方に位置しており、吸気口53aがユニット部81の上面部である区画壁部95の吸込開口96と同軸に位置してこの吸込開口96と気密に接続されている。そして、この電動送風機53は、ケース本体73内に収容された二次電池174からの給電により駆動することで負圧を発生させて含塵空気を吸い込むとともに、その動作が、ケース本体73内に収容された図示しない本体制御部によって制御されるようになっている。
ここで、二次電池174は、電動送風機53、本体制御部、および、風路体15側などへと給電する電池パックであり、例えば本体用ハンドル80の前方の位置であるケース本体73の後端部に収容されている。そして、この二次電池174は、ケース本体73の前端部の一側部から前方に向けて突出する充電端子176を介して充電装置と電気的および機械的に接続され、この充電装置を介して必要に応じて充電可能となっている。
また、本体制御部は、例えばマイコンなどを備えており、電動送風機53を導通角制御して、この電動送風機53を所定の動作モードで動作させたり停止させたりすることが可能となっている。
そして、第1遠心分離部61は、上流側遠心分離部(上流側分離部)であり、集塵カップ52内に位置し、この集塵カップ52のカップ部本体111の内周面と分離体部115の分離体部本体161(分離フィルタ165)の外周面との間で空気を旋回させることにより、塵埃(粗塵)を遠心分離可能であり、例えば電動送風機53と同軸状に配置されている。
各第2遠心分離部62は、下流側遠心分離部(下流側分離部)であり、各分離筒部94の内面に沿って空気を旋回させることにより、塵埃(細塵)を遠心分離可能である。これら第2遠心分離部62は、第1遠心分離部61の上方、本実施形態では、この第1遠心分離部61の上端部よりも上方で、かつ、電動送風機53の前方および後方に互いに前後方向に対称に同数ずつ位置し、本体ケース51(ケース本体73)の内部に収容されている。
フィルタ63は、集塵部54中で電動送風機53の吸気口53aの上流側であって最下流に位置するフィルタである。すなわち、このフィルタ63の下流側から電動送風機53の吸気口53aまでの間には、塵埃を分離捕集する手段が備えられておらず、電動送風機53(吸気口53a)に吸い込まれる空気に対して最下流の位置で塵埃を捕集するようになっている。このフィルタ63は、リブ部98,108間に上下から挟持されて吸込風路部70に前後方向に沿って収容されている。また、このフィルタ63は、面状に形成されたフィルタ本体63aと、このフィルタ本体63aの外縁部を囲むフィルタシール部63bとを備えている。
フィルタ本体63aは、ユニット部81の吸込開口96を覆うもので、例えば軟質の不織布などを層状に重ねて一体に形成されており、空気を通過させて塵埃をろ過捕集するようになっている。また、このフィルタ本体63aは、上側リブ部108,108と下側リブ部98とにより上下から挟持されることで、これら上側リブ部108,108と下側リブ部98との間に沿って断面が波状となるように湾曲変形された状態で吸込風路部70に保持されている。さらに、このフィルタ本体63aには、各排出筒部104がそれぞれ嵌合されて挿通される円形状の複数のフィルタ開口63cが前端部および後端部に開口されている。
また、フィルタシール部63bは、例えばゴムなどの弾性を有する部材により形成されている。このフィルタシール部63bは、蓋体74をケース本体73(露出開口部75)に取り付けた状態で、ケース本体73のユニット部81の下側保持リブ部99aの内縁に沿って嵌合され、下側保持リブ部99bによって下側から支持されるとともに、蓋体74の上側保持リブ部109により上方から押さえ付けられてケース本体73と蓋体74との間で挟持され、露出開口部75と蓋体74との隙間を閉塞するシールとなっている。
また、吸込風路部70は、本体ケース51のケース本体73内の上部に沿って前後方向に延びて位置している。この吸込風路部70は、内部に配置されたフィルタ63によって、このフィルタ63(フィルタ本体63a)の上側に位置する上流側吸込風路部である上側風路178と、フィルタ63(フィルタ本体63a)の下側に位置する下流側吸込風路部である下側風路179とに上下に分割されている。そして、上側風路178が、フィルタ63のフィルタ開口63cに挿通された各排出筒部104の排出開口部105を介して第2遠心分離部62の下流側と直接連通し、下側風路179が、フィルタ63(フィルタ本体63a)を介して上側風路178と連通するとともに、ユニット部81の吸込開口96(電動送風機53の吸気口53a)と連通するようになっている。
次に、上記一実施形態の動作を説明する。
掃除を開始する際には、まず、集塵カップ52を組み立てた後、予め本体ケース51に取り付けておくとともに、フィルタ63を予め本体ケース51に取り付けておく。
集塵カップ52は、カップ部本体111に対して、上方からカバー部114を挿入することで、シール部材143が圧接され、第1溜め部65と第2溜め部66とが区画されるとともに、カバー部114と一体の分離体部115がカップ部本体111に同軸状に挿入されて第1遠心分離部61を構成し、かつ、排気筒部122が分離体部115に下方から内挿されて排気部162の下端部と気密に接続される。
そして、この組み立てた集塵カップ52を本体ケース51の取付開口部77に位置合わせして本体ケース51(ケース本体73)側へと押し込むことで、集塵カップ52のカップ部本体111の上端部がシール部材84に圧接されるとともに、集塵カップ52の上部に位置するカバー部114のカバー部圧接部142に本体ケース51のユニット部81の隔壁部93の下部に位置するシール部材102が圧接されて連通風路部69が構成され、各連通開口部141に各分離筒部94の下端がそれぞれ挿入されて各塵埃排出口106が第2溜め部66と連通され、排気側シール部材101に対して排気部162の上端部が圧接されて排気部162が排出開口100と気密に接続されるとともに、導入部113の前端部がシール部88に圧接されて導入風路部68が風路体接続部79(風路体15)の下流側である後端部に気密に接続された状態で、クランプ117の作用により集塵カップ52が本体ケース51に係止保持される。
また、フィルタ63は、各フィルタ開口63cに排出筒部104を挿通してケース本体73に対して位置決めし、蓋体74を露出開口部75に対して位置合わせしてケース本体73側へと押し込むことで、各下側リブ部98と各上側リブ部108との間でフィルタ本体63aが上下から挟持され、ケース本体73と蓋体74との隙間が、保持リブ部99a,99b,109間に挟持したフィルタシール部63bによって閉塞された状態で、係止クランプ107の作用によって蓋体74がケース本体73に係止保持される。
なお、集塵カップ52およびフィルタ63は、既に取り付けられた状態である場合、上記の各作業は不要である。
この結果、風路体15から、導入風路部68(逆止弁126および吸込口125)、第1遠心分離部61、開口164(分離フィルタ165)、連通風路部69、吸込開口部103、第2遠心分離部62、排出開口部105、吸込風路部70(上側風路178、フィルタ63および下側風路179)、吸込開口96および電動送風機53(吸気口53a)と連通する吸込風路と、電動送風機53(排気口)、排出開口100、排気部162、排気筒部122、および、排気開口171と連通する排気風路とが気密に形成される。
そして、掃除機11は、例えば、室内の床面などの被掃除面の比較的広い面積を掃除する場合には、図5および図6に示すように、風路体15のハンドル38の後端部を本体部16に対して保持受部78の位置で装着し、本体用ハンドル80を把持して全体を動かしながら掃除をする。
このとき、ハンドル38の後端部を本体部16の保持受部78に対して位置合わせしつつ前方から挿入嵌合することで、接続凸部48が保持受部78の挿入開口部に相対的に挿入されるとともに、係合受部にクランプ体46の爪部が挿入係止されて、ハンドル38の後端部の位置で風路体15が本体部16に保持される。この状態で、図5および図6に示すように、ハンドル38が前後方向に沿って位置し、このハンドル38と同軸状の吸込口体部34が前後方向に沿って直管状に位置することにより、風路体15は、吸込口体部34およびハンドル38が略一直線上に位置し、かつ、吸込口体部34から下方に分岐したホース体35の後端部(下流端部)が、ハンドル38よりも下方の風路体接続部79にて本体部16に対して接続された状態となる。この結果、ホース体35が上流側から下流側へと、上側から下側に緩やかに屈曲した状態に保形され、風路体15が第1遠心分離部61へと、上下左右に急峻に屈曲することなく基本的に前後方向に沿って略直線状に連通する。このため、風路体15内での圧力損失が少なく、空気および塵埃が内部を通りやすくなる。すなわち、風路体15は、ハンドル38の後端部とホース体35の後端部との位置で、換言すれば上下に並んだ位置でそれぞれ本体部16の前端部に対して機械的に接続され、ホース体35の後端部(下流端部)の位置で導入風路部68(吸込風路)と連通する。
また、風路体15は、必要に応じてアタッチメント部18を取り付ける。この場合には、例えば吸込口体部34の上流端部である前端部に延長管22の接続口部28を挿入接続するとともに、延長管22の吸込口部27の上流端部である前端部に対して床ブラシ21の回転管25を挿入接続する。このとき、保持クランプ40の作用により延長管22が吸込口体部34に気密に接続された状態で係止保持されるとともに、クランプ部32の作用により床ブラシ21が延長管22に気密に接続された状態で係止保持される。
そして、使用者が本体用ハンドル80を把持しつつ設定ボタン89を操作することで、本体制御部が電動送風機53を導通角制御して、電動送風機53が所望の動作モードで駆動する。この電動送風機53の駆動により生じた負圧は、吸込風路部70(下側風路179および上側風路178)、各第2遠心分離部62、連通風路部69、第1遠心分離部61および導入風路部68に作用して、逆止弁126を後方に回動させて吸込口125を開き、さらに風路体接続部79、ホース体35、吸込口体部34およびアタッチメント部18を介して床ブラシ21の吸塵口に作用するので、使用者は、被掃除面上に載置した床ブラシ21を掃除機11全体とともに被掃除面上で前後に交互に走行させながら被掃除面の電動送風機53の負圧の作用によって吸塵口から空気とともに塵埃を吸い込む。また、使用者は、必要に応じて、床ブラシ21の回転ブラシを回転駆動させることで、被掃除面の塵埃を掻き取ったり、被掃除面を磨いたりするなどの掃除補助を行う。
また、例えば家具と壁部との間など、床ブラシ21を挿入することができない狭い隙間を掃除するなどの必要に応じて、床ブラシ21を延長管22から取り外して用いることも可能である(図7)。この場合には、保持クランプ40を操作することで床ブラシ21の係止を解除して延長管22から取り外す。そして、使用者は、延長管22の前端部の吸込口部27のブラシ毛部31などを用いながら、この吸込口部27から同様に空気とともに塵埃を吸い込んで被掃除面を掃除する。
一方、例えば、テーブルの上や被掃除面の比較的狭い面積などを掃除する場合には、図5ないし図7に示す状態から、図8に示すように、風路体15においてアタッチメント部18(延長管22および床ブラシ21)を取り外して、本体用ハンドル80を把持して全体を動かしながら掃除をする。
このとき、アタッチメント部18(延長管22)は、保持クランプ40を操作することで吸込口体部34から取り外される。そして、使用者は、本体用ハンドル80を把持して掃除機11全体を持ち運びながら、吸込口体部34のブラシ部37などを用いて、この吸込口体部34から空気とともに塵埃を吸い込んで掃除をする。
また、このとき、被掃除面の種類などの必要に応じて、床ブラシ21のみを吸込口体部34に取り付けて用いることも可能である(図9)。この場合には、床ブラシ21の回転管25を吸込口体部34に上流側から挿入することで、保持クランプ40の作用によって床ブラシ21が吸込口体部34に対して気密に接続された状態で保持される。そして、使用者は、被掃除面上に載置した床ブラシ21を掃除機11全体とともに被掃除面上で前後に交互に走行させながら被掃除面の電動送風機53の負圧の作用によって吸塵口から空気とともに塵埃を吸い込む。また、使用者は、必要に応じて、床ブラシ21の回転ブラシを回転駆動させることで、被掃除面の塵埃を掻き取ったり、被掃除面を磨いたりするなどの掃除補助を行う。
さらに、例えば、天井などの相対的に高い位置を掃除する場合には、図7に示す状態から、図10に示すように、ハンドル38を把持して風路体15を本体部16から取り外し、本体用ハンドル80によって本体部16を持ち運んだり、ベルト取付開口76,76間に引っ掛けたベルトを肩掛けして本体部16を持ち運んだりしつつ、ハンドル38によって本体部16に対して風路体15のホース体35を伸張(伸縮)させながら風路体15の位置を操作して、延長管22の前端部の吸込口部27により掃除をする。
また、例えば、テレビなどの設置物の裏、車両のシート、あるいは階段など、使用者の手元に近い位置を掃除する場合には、図11に示すように、図10に示す状態からさらに延長管22を取り外し、本体用ハンドル80によって本体部16を持ち運んだり、ベルト取付開口76,76間に引っ掛けたベルトを肩掛けして本体部16を持ち運んだりしつつ、ハンドル38によって本体部16に対して風路体15のホース体35を伸張(伸縮)させながら風路体15の位置を操作して、吸込口体部34により掃除をする。
これらの図10および図11に示す掃除形態の場合には、クランプ体46を操作して風路体15をハンドル38の位置で本体部16から取り外す。そして、使用者は、ハンドル38を把持し、基本的にはホース体35を伸縮させて風路体15のみを動かしながら、吸込口部27のブラシ毛部31、あるいは吸込口体部34のブラシ部37などを用いて、空気とともに塵埃を吸い込んで掃除をする。
なお、ホース体35の伸張のみで充分に届く範囲を掃除する場合、あるいはベッドの下などを掃除する場合などには、本体部16は被掃除面上に載置した状態などとしてもよい。このとき、カバー体116が被掃除面に対して滑り止めとして作用し、ホース体35の収縮力によって本体部16が引きずられることがない。
そして、塵埃とともに吸い込まれた空気、すなわち含塵空気は、床ブラシ21、延長管22、吸込口体部34、ホース体35と移動し、このホース体35の内面に沿って緩やかに屈曲しながら、ホース体35の下流端から風路体接続部79を介して導入風路部68へと流入し、逆止弁126により整流されつつ導入部113の外側部に沿って導かれ、吸込口125からカップ部本体111の内周面の接線方向に沿って第1遠心分離部61へと吸い込まれる。この後、含塵空気は、集塵カップ52(カップ部本体111)の内周面と分離体部115の分離体部本体161の外周面との間で旋回されて特に大きい塵埃(粗塵)が自重により空気から遠心分離され、カップ部本体111の内周面に沿って落下してカップ部本体111の第1溜め部65に捕集される。この塵埃は、カップ部本体111内の旋回流の一部が圧縮部163の下端部から圧縮開口166(圧縮フィルタ167)を通過することによって圧縮フィルタ167に押し付けられて圧縮され、圧縮部163の内部に溜まる。
塵埃が遠心分離された空気は、分離フィルタ165を通過しつつ開口164に流入する。この開口164(分離フィルタ165)を通過した空気は、排気部162の滑らかな円筒状の外周によって整流されつつ連通風路部69を通過し、電動送風機室91とともに電動送風機53を冷却する。さらに、この連通風路部69を通過した空気は、吸込開口部103を介して第2遠心分離部62へと流入し、この第2遠心分離部62において分離筒部94の内周面に沿って旋回されて細塵がさらに遠心分離される。この分離された細塵は、分離筒部94の下端部の塵埃排出口106から集塵カップ52内の第2溜め部66へと落下して捕集される。この細塵が分離された空気は、各排出開口部105から吸込風路部70の上側風路178へと流出し、対をなす上側リブ部108,108によりガイドされつつ吸込開口96に向かってフィルタ63(フィルタ本体63a)全体を厚み方向(上下方向)に傾斜状に下側風路179へと通過し、僅かに残留した塵埃(微細塵)がフィルタ63(フィルタ本体63a)によってろ過捕集されるとともに、さらに下側リブ部98および吸込リブ部97によりガイドされつつ吸込開口96から電動送風機53の吸気口53aへと吸い込まれる。
そして、この電動送風機53に吸い込まれた空気は、この電動送風機53を冷却しつつ通過して排気風となり、排気口から電動送風機室91内へと排出された後、この電動送風機室91の下部の排出開口100から排気部162および排気筒部122の滑らかな内周面によって整流されつつ分離体部115の内方を下方へと通過して集塵カップ52(本体部16)の外方へと排出され、各リブ123によって分散されつつ各排気開口171へと導かれ、これら排気開口171から径方向に沿って分散排気される。
掃除が終了すると、使用者は設定ボタン89を操作して電動送風機53を停止させ、掃除機11を充電装置に設置して収納するとともに二次電池174を充電する。
また、塵埃を廃棄する際には、滑り止め部121に手を掛けてカップ部本体111を掴んだ状態でクランプ117を操作して集塵カップ52を本体ケース51(取付開口部77)から取り外す。この状態で、使用者は、ごみ箱などの廃棄位置に集塵カップ52を運び、摘み部146を摘んでカバー部114をカップ部本体111から取り外す。そして、使用者はカップ部本体111を上下逆さにして、塵埃廃棄口118から第1溜め部65および第2溜め部66の塵埃を排出する。この集塵カップ52は、塵埃を除去した後、再装着して使用できる。
なお、フィルタ63には、例えば電動送風機53の吸気口53a(吸込開口96)に対向する位置などの特定の箇所に集中することなく全体に(フィルタ本体63a全体に)満遍なく空気が通過し、また、第2遠心分離部62を通過した後の空気には殆ど塵埃が残留していないので、実質的に目詰まりが生じることはなく、基本的にメンテナンスの必要はないが、例えば係止クランプ107を操作して蓋体74をケース本体73から取り外し、露出開口部75を露出させて取り外し、叩いたりすることでこのフィルタ63に付着した塵埃を除去することもできる。
以上説明した一実施形態によれば、吸気口53aを上方に向けて配置した電動送風機53に対して反対の位置(電動送風機53の中心軸に対して交差(直交)する方向に互いに反対側)、本実施形態では電動送風機53の前後の位置に、第2遠心分離部62をそれぞれ配置することにより、各第2遠心分離部62の排出開口部105から排出される空気の方向と、電動送風機53の吸気口53aへと吸い込まれる空気の方向とが互いに反対方向(互いに異なる方向)となるとともに、各第2遠心分離部62の排出開口部105から排出されて電動送風機53の吸気口53aへと吸い込まれる空気が、全体として側方(前後方向)に流れることとなる。そこで、電動送風機53の前後に位置する第2遠心分離部62の排出開口部105間に電動送風機53の吸気口53aを覆ってフィルタ63を配置し、このフィルタ63によって、各排出開口部105から空気が排出される上側風路178と、電動送風機53の吸気口53aへと空気が吸い込まれる下側風路179とを上下に区画することにより、フィルタ63が各第2遠心分離部62を通過して電動送風機53へと吸い込まれる空気の流れに対して直交する方向に配置されず、各第2遠心分離部62の排出開口部105から上側風路178へと流入した空気が、電動送風機53の吸気口53aに向かってフィルタ63を厚み方向に対して傾斜するように交差する方向に沿って下側風路179へと流れる。したがって、フィルタ63は、電動送風機53の吸気口53aに対向する領域だけを直交方向に空気が通過するのではなく、全体に満遍なく空気が通過するため、特定の位置だけに塵埃(微細塵)が集中的に捕集されることがなく、吸込風路部70全体に広がったフィルタ63(フィルタ本体63a)全体の面積をろ過捕集に有効利用できる。この結果、フィルタ63の目詰まりを抑制でき、吸込性能を長期に亘って維持でき、かつ、フィルタ63のメンテナンスの頻度を低減する(実質的に0とする)ことができ、使い勝手が良好になる。
また、上側風路178の上方を覆う蓋体74に突設した通気ガイド用の上側リブ部108と、下側風路179の下方を区画する区画壁部95に突設した通気ガイド用の下側リブ部98とを互いにずれて配置し、これら上側リブ部108と下側リブ部98とによりフィルタ63を上下から挟持することにより、フィルタ63を強固に固定しつつ、フィルタ63(フィルタ本体63a)をこれらリブ部108,98によって潰すことがなく、フィルタ63(フィルタ本体63a)の全体をろ過捕集に有効利用できる。しかも、これらリブ部108,98によって挟持されたフィルタ63(フィルタ本体63a)が、これらリブ部108,98間に沿って波状に変形するので、対をなす上側リブ部108,108間に位置するフィルタ63(フィルタ本体63a)の表面積を増加させることができ、各排出開口部105から上側風路178へと流入して上側リブ部108,108間をガイドされつつ流れる空気から、より効果的に塵埃を捕集できる。
なお、上記一実施形態においては、第1遠心分離部61と第2遠心分離部62との複数段としたが、1段の複数の遠心分離部を備える構成としてもよい。
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。