JP2015119528A - ホイール駆動機構の冷却装置 - Google Patents
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Abstract
Description
一方で、インホイールモータは高負荷出力時や連続稼働時などに発熱するため、インホイールモータを冷却する技術が開発されている。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(3)前記熱感応部材にはアルミニウム材を用い、前記蓋部材及び前記ケーシングには前記アルミニウム材よりも熱膨張率の低い鋼材を用いることが好ましい。
(4)また、前記蓋部材がバイメタルで構成されていてもよい。
(5)前記蓋部材が前記開口部を覆う状態では、前記ケーシングの外周に円筒面が形成されることが好ましい。
(7)前記開口部が、前記ケーシングの外周方向に沿って複数設けられ、前記蓋部材が、前記開口部のそれぞれに対応して複数設けられることが好ましい。
また、電動モータを適切に冷却するために、蓋部材によって開閉される開口部が形成された略円筒状のケーシングを電動モータの外周に設けるだけでよいため、簡素な構成とすることができる。これにより、レイアウトの制約に対する対応自由度を向上させることができ、また、コストの上昇を抑制することができる。
このようにして、簡素な構成でホイールの内部に設けられた電動モータを適切に冷却することができる。
本発明にかかるホイール駆動機構の冷却装置は、車両用駆動輪(以下、単に「駆動輪」という)のホイールの内部に設けられた電動モータ(「インホイールモータ」,「ホイールモータ」,「ハブモータ」などとも称される。以下、「IWM」と略称する)により同ホイールを回転駆動するホイール駆動機構を冷却する装置である。この装置は、特にIWMを冷却することで、ホイール駆動機構を冷却する。
以下の説明では、駆動輪の軸に近い側を内周側とし、その逆側を外周側とし、車幅方向において車両中心側を内側とし、その逆側を外側とし、前進走行時の駆動輪の回転方向を基準に上流及び下流を定める。
[1.構成]
はじめに、本実施形態にかかるホイール駆動機構の冷却装置の前提となる駆動輪の構成を説明する。
図1に示すように、駆動輪1は、その軸芯Cを中心に回転運動し、ホイール2及びこのホイール2の外周に装着されるタイヤ3を有する。
ホイール2は、外周に円筒面をなすように配設されるリム2aと、リム2aよりも内周側に設けられるディスク2bとを有する。このディスク2bは、リム2aに結合されており、ホイール2の車幅方向外側の壁部をなしている。このため、リム2aの内周側であってディスク2bの車幅方向内側、即ち、ホイール2の内部には、空間が形成されたものといえる。
また、ホイール2のディスク2bとIWM10との間には、ブレーキ機構4が介装されている。ブレーキ機構4は、ホイール2と一体に回転するロータ4aとこのロータ4aの回転を制動するキャリパ4bとを有する。このため、キャリパ4bによってロータ4aの回転が制動されると、ブレーキ機構4によってホイール2(駆動輪1)が制動される。
上記したホイール2の内部には、IWM10と、その外周に配設されたケーシング20とが収容されている。
以下、IWM10,ケーシング20の順に各構成を説明する。
IWM10は、駆動輪1を回転駆動させる動力源であり、図示省略するバッテリからの給電により作動する。
このIWM10は、ロータとステータとのギャップ(間隙)について、このギャップが径方向に形成される方式(ラジアルギャップ方式)のものと軸方向に形成される方式(アキシャルギャップ方式)のものとに分類することができ、また、出力軸とホイールとの関係について、これらが直結されたダイレクトドライブ方式(モータ出力回転数=ホイール回転数)のものと出力軸とホイールとの間に減速機構が介装されたギヤリダクション方式(モータ出力回転数>ホイール回転数)のものとに分類することができる。IWM10としては、これらのさまざまな公知の電動モータを適用することができる。ラジアルギャップ方式の電動モータを用いる場合には、ステータに対するロータの配設箇所で類別されるアウタロータタイプ及びインナロータタイプの何れを適用してもよい。
IWM10は、駆動輪1の軸芯Cと同心に配置される出力軸11及びハウジング12を有する。出力軸11は、ハウジング12の中心部にベアリングを介して回転可能に軸支されている。
出力軸11は、車幅方向外側端部11aがハウジング12から突出するように設けられている。この車幅方向外側端部11aには、上記したブレーキ機構4及びホイール2が結合されている。
ロータ15は、ステータ16に対して回転するものである。これらのロータ15及びステータ16は、何れも軸芯Cと同心に配置されている。
ステータ16の各コイルモジュールに電流が供給されると、ステータ16の各コイルモジュールとロータ15の永久磁石との磁力(引力或いは斥力)によって、ステータ16に対してロータ15が回転し、出力軸11から回転駆動力が出力される。このとき、ステータ16を電流が流れることにより、各コイルモジュールが発熱する。例えば、IWM10の高負荷出力時或いは連続稼働時には、ステータ16の各コイルモジュールに多量の電流或いは長期間にわたって電流が供給され、IWM10の発熱量が多くなる。
なお、図1には、ハウジング本体部13と突起部14とが一体に形成されたものを例示するが、これらのそれぞれが別体に形成されて結合されていてもよい。また、ハウジング本体部13についても、任意の箇所で分割された部材どうしを結合する構造としてもよい。
ケーシング20は、略円筒状に形成され、IWM10の外周に配設されている。具体的には、ケーシング20は、環状に形成されるとともに径方向断面が軸心Cを上方としたU字型(例えば上部では逆U字型)に形成されている。このケーシング20の内周端部とIWM10の外周端部(即ちハウジング12における突起部14の外周端部)とが結合されている。なお、ケーシング20とIWM10との結合には、溶接やボルト締結といった公知の結合手段を用いることができる。
このケーシング20には、開口部21のそれぞれに対応して複数設けられた蓋部材30(一箇所にのみ符号を付す)と、各蓋部材30によって開口部21を開閉させる熱感応部材40(一箇所にのみ符号を付す,図1では図示省略する)とが備えられている。ここでは、1つの開口部21に対して1つの蓋部材30が設けられている。
以下、開口部21,蓋部材30,熱感応部材40の順に説明する。
開口部21が閉鎖された状態(蓋部材30に覆われた状態)では、ケーシング20の外周側と内周側との連通が遮断される。このため、開口部21とIWM10におけるハウジング12の径方向端部に形成された凹所14a(図1参照)とによって閉空間が形成される。
蓋部材30は、弾性変形可能に構成されている。言い換えれば、蓋部材30は、所定の形状に復元可能な可撓性を有する。なお、蓋部材30は、少なくとも基端部30aが弾性変形可能に構成されていればよい。
図2〜図4に示すように、蓋部材30の基端部30aは、開口部21の周縁22におけるホイール2の回転方向下流側の下流縁部22aに結合されている。つまり、蓋部材30は、基端部30aよりも先端部30bがホイール2の回転方向上流側に配設される。
ここでは、蓋部材30がケーシング20に対して一体に結合されている。
ところで、IWM10(図1参照)が発熱したときには、IWM10のハウジング12(図1参照)を通じて熱が伝達され、ケーシング20,蓋部材30及び熱感応部材40の温度も上昇する。つまり、ケーシング20,蓋部材30及び熱感応部材40のそれぞれは、IWM10の温度上昇に応じて自身の温度も上昇する。本実施形態にかかるホイール駆動機構の冷却装置は、このような温度変化を利用して、開口部21を開閉している。かかる開閉の動力源といえる熱感応部材40について、以下に説明する。
熱感応部材40は、上記したように蓋部材30の基端部30aとケーシング20とが結合される結合部50に配設されている。詳細には、結合部50に凹設された凹部29に熱感応部材40が収容されている。図3及び図4には、熱感応部材40は軸状(円柱状)に形成されたものを例示する。
なお、図示省略するが、熱感応部材40には、凹部29から脱落しないように、適宜の抜け止め加工が施されている。かかる抜け止め加工としては、熱感応部材40の軸方向両端部に頭部を設けることや、抜け止めンピンを追加することなどが挙げられる。
本発明の第一実施形態にかかるホイール駆動機構の冷却装置は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
まず、本実施形態にかかるホイール駆動機構の冷却装置の作用を説明する。
IWM10の温度は、始動初期や極寒冷地における作動時などには低温である。このとき、図2,図3及び図5に示すように、熱感応部材40は、所定温度以下であり凹部29に収容される。このため、蓋部材30は、熱感応部材40に押し上げられることがなく、開口部21を覆う状態(閉鎖する状態)となる。
開口部21が開放された状態では、蓋部材30の基端部30aから先端部30bに向かうに連れて開口部21の周縁22から離隔する。
IWM10の温度が上昇すると、熱感応部材40の体積が膨張する。このとき、熱感応部材40の体積膨張よりも小さいながら、ケーシング20及び蓋部材30も微小に体積膨張する。これらの体積膨張により、熱感応部材40と蓋部材30の基端部30aとが押し合うとともに、熱感応部材40と凹部29とが押し合う。よって、蓋部材30の基端部30aが、熱感応部材40によって押し上げられ、弾性変形する。このとき、熱感応部材40の押し上げ対象となる蓋部材30の基端部30aにおいては、ホイール2の回転方向上流側よりも下流側の方が剛であるため、熱感応部材40の蓋部材30への押し上げ力がホイール2の回転方向下流側から上流側(剛な部分から柔な部分)へ逃げるように移行し、熱感応部材40が微小に回転する。
熱感応部材40をはじめとしたケーシング20及び蓋部材30の各体積は、温度に対して略比例的な対応関係を有するため、開口部21の開放度合いはIWM10の温度に応じたものとなる。
開口部21が開放されると、ケーシング20の外周側と内周側とが連通され、開口部21の閉鎖時に形成される開口部21及び凹部14aの閉空間の空気が排出されるとともに、開口部21を通じてケーシング20の外周側の空気(外気)が凹部14aに導入される。つまり、凹部14aで温められた空気が換気される。
IWM10の温度上昇に応じて開口部21を覆っていた蓋部材30が開口部21を開放するため、ケーシング20の内周側と外周側とで空気を入れ換える(換気する)ことができ、ケーシング20の内周側に設けられたIWM10を外気で冷却することができる。このとき、ホイール2が回転していれば、この回転にともなう空気の流れによって換気が促進され、IWM10の冷却効率を向上させることができる。
このように、IWM10の温度に応じて、蓋部材30が開口部21を開閉するため、IWM10を適切に冷却することができる。
この熱感応部材40は、IWM10の温度と開口部21の開放度合いとが対応するように、蓋部材30によって開口部21を開放させるため、IWM10を確実に冷却することができる。
IWM10にアキシャルギャップ方式のものを用いているため、ラジアルギャップ方式のものに比較して、小型化に有利であり、レイアウトへの対応自由度を更に向上させることができる。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。本発明の第二実施形態にかかるホイール駆動機構の冷却装置は、第一実施形態に対して蓋部材の構成が異なる。なお、ここで説明する点を除いては第一実施形態と同様の構成になっており、これらについては、同様の符号を付し、各部の説明を省略する。
この蓋部材60は、外周側の第一メタル部材61と内周側の第二メタル部材62とを有する。
なお、図6には、蓋部材60が結合される結合部50に凹部29が設けられたものを示すが、この凹部29は省略してもよい。
敷衍して言えば、蓋部材60は、上述した第一実施形態の蓋部材30と同様に、温度と開口部21の開放度合いとが比例的な対応関係を有するものといえる。延いては、IWM10の温度と蓋部材60による開口部21の開放度合いとも対応するものといえる。
蓋部材60がバイメタルで構成されているため、第一実施形態にかかるホイール駆動機構の冷却装置のように、熱感応部材40を要することなく、IWM10の温度上昇に応じて開口部21を開放することができる。このため、更に簡素な構成とすることができる。延いては、コストの低減や耐久性の向上に寄与しうる。
蓋部材60の基端部60aにだけ二つのメタル部材61,62が設けられれば、材料コストを抑制することも可能となる。また、凹部29の形成を省略すれば、形成コストを抑制することも可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した第一実施形態及び第二実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、開口部21が矩形状に形成されたものを例示したが、開口部21の形状としては、円柱形状やスリット状などの種々の形状のものを採用することができる。例えば、開口部21が開放されたときの空気の流れを考慮して開口部21の形状を設計してもよい。具体的には、開口部21を通してケーシング20の外周側の空気が導入される点に着目すれば、導入される空気の流通方向に沿うように径方向に対して傾斜する軸心或いは辺を有する形状を採用してもよい。この場合、ケーシング20の内周側への外気の導入効率が向上し、IWM10の冷却効果を向上させることができる。
また、開口部21は少なくとも1つ設けられていればよい。さらに、1つの開口部21に対して1つの蓋部材30が設けられたものに限らず、1つの蓋部材が複数の開口部を覆う構成としてもよいし、逆に、複数の蓋部材が1つの開口部を覆う構成としてもよい。
また、蓋部材30における外周側の形状は種々の形状とすることができ、蓋部材30が開口部21を覆う状態におけるケーシング20の外周には、円筒面に限らず種々の形状が形成されうる。
上述の第二実施形態では、蓋部材60がバイメタルで構成され、第一実施形態の熱感応部材40を省略することができる点を説明したが、蓋部材60がバイメタルで構成されるとともに熱感応部材40が設けられていてもよい。この場合、蓋部材60による開口部21の開閉を更に確実にすることができる。
2 ホイール
2a リム
2b ディスク
3 タイヤ
4 ブレーキ機構
4a ロータ
4b キャリパ
10 IWM(インホイールモータ,電動モータ)
11 出力軸
11a 車幅方向外側端部
12 ハウジング
13 ハウジング本体部
13a 外周部
14 突起部
14a 凹所
15 ロータ
15a 中心部
15b 外周部
16 ステータ
20 ケーシング
21 開口部
22 周縁
22a 下流縁部
22b 上流縁部
29 凹部
29a 本体部
29b 絞り部
30 蓋部材
30a 基端部
30b 先端部
40 熱感応部材
50 結合部
60 蓋部材(バイメタル)
60a 基端部
61 第一メタル部材
62 第二メタル部材
C 軸芯
Claims (7)
- 車両用駆動輪のホイールの内部に設けられた電動モータにより前記ホイールを回転駆動するホイール駆動機構において、
前記電動モータの外周に配設され、少なくとも1つの開口部が形成された略円筒状のケーシングと、
前記開口部を覆うとともに前記電動モータの温度上昇に応じて前記開口部を開放する蓋部材と、を備えた
ことを特徴とする、ホイール駆動機構の冷却装置。 - 前記開口部の周縁の一部とそれに対応する前記蓋部材の周縁の一部とが結合された結合部と、
前記結合部に配設され、前記電動モータの温度上昇に応じて体積が膨張する熱感応部材と、を備え、
前記熱感応部材の体積が膨張することにより前記蓋部材が前記開口部を開放する
ことを特徴とする、請求項1に記載のホイール駆動機構の冷却装置。 - 前記熱感応部材にはアルミニウム材を用い、
前記蓋部材及び前記ケーシングには前記アルミニウム材よりも熱膨張率の低い鋼材を用いる
ことを特徴とする、請求項2に記載のホイール駆動機構の冷却装置。 - 前記蓋部材がバイメタルで構成された
ことを特徴とする、請求項1に記載のホイール駆動機構の冷却装置。 - 前記蓋部材が前記開口部を覆う状態では、前記ケーシングの外周に円筒面が形成されることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のホイール駆動機構の冷却装置。
- 前記電動モータのステータと前記ケーシングとが一体的に接合され、
前記蓋部材は、基端部が前記開口部の周縁における前記ホイールの回転方向下流側の下流縁部に結合され、先端部が前記電動モータの温度上昇に応じて前記開口部の周縁における前記ホイールの回転方向上流側の上流縁部から離隔する
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のホイール駆動機構の冷却装置。 - 前記開口部が、前記ケーシングの外周方向に沿って複数設けられ、
前記蓋部材が、前記開口部のそれぞれに対応して複数設けられた
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のホイール駆動機構の冷却装置。
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