JP2015116617A - 動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動側要素及び被動側要素の噛み合いを適切に保ちつつ、両要素間の弾性的な動力伝達を行うことができる動力伝達装置を提供する。【解決手段】動力伝達装置1の制御装置11は、駆動側要素4(弾性部材)と被動側要素5との間で伝達する要素間駆動力の時間的変化率の許容範囲を、弾性部材(駆動側要素4)の弾性変形量の観測値に応じて変化させるように設定し、要素間駆動力の時間的変化率を、設定された許容範囲内に制限するように要素間駆動力をアクチュエータ2を介して制御する。【選択図】図1
Description
本発明は、動力伝達装置に関する。
アクチュエータから出力される駆動力を負荷部材に伝達する動力伝達装置、例えばロボットの関節駆動機構の動力伝達装置では、その動力伝達の経路途中にバネ等の弾性部材を介装したものが従来より知られている(例えば特許文献1を参照)。
この種の動力伝達装置は、負荷側に作用する外力の変動を弾性部材の弾性変形により吸収できるので、動力伝達装置の柔軟性を高めることができると共に予期しない外力変動等に応じた動力伝達装置の損傷を防止することができる。
また、例えば特許文献2には、ウォーム減速機において、ウォームホイールと噛み合うウォームの外周部分をコイルスプリングにより構成することで、振動や騒音等を防止するようにしたものが提案されている。
動力伝達装置は一般に、その動力伝達経路の途中で、回転速度の変換(例えば減速)を行うことが必要となる場合が多い。また、動力伝達経路の途中で直線運動及び回転運動の一方から他方への変換(以降、運動変換ということがある)を行うことが必要となる場合も多々ある。
ここで、前記特許文献1に見られる如き動力伝達装置では、動力伝達経路中に備えられた弾性部材は、単にその一端側から他端側に弾性力を伝達するものに過ぎないので、回転速度の変換、あるいは、運動変換を行う機能を持たないものである。
従って、特許文献1に見られる如き動力伝達装置では、回転速度の変換、あるいは、運動変換を行うためには、弾性部材とは別に、当該変換を行うための機構が必要となる。その結果、動力伝達装置の構成の大型化や複雑化を生じやすい。
一方、前記特許文献2に見られる減速機では、ウォームの外周部分がコイルスプリングにより構成されているので、該ウォームに、回転速度の変換を行うための要素としての機能と、弾性部材としての機能との両方の機能を持たせることができる。
そこで、動力伝達経路の途中に弾性部材を要する動力伝達装置の構成の小型化等を図る上では、動力伝達装置の動力伝達経路の途中に、特許文献2に見られるウォーム及びウォームホイールのように、互いに噛み合う噛み合い部分で弾性的に動力伝達が行われる2つの要素(以降、駆動側要素及び被動側要素ということがある)を備えることが好ましいと考えられる。
しかるに、このような構成の動力伝達装置では、上記駆動側要素及び被動側要素間の噛み合い部分で弾性力を発生する弾性部材が弾性変形することで、駆動側要素及び被動側要素の間の噛み合いが不適切なものとなって、両要素間の動力伝達が適切に行うことができない状況が発生する虞れがある。
例えば、特許文献2に見られる減速機において、ウォームの圧縮量(弾性変形量)が比較的大きくなった状態で、負荷変動が生じると、駆動側要素としてのウォームと被動側要素としてのウォームホイールとの噛み合いが不適切なものとなって、該ウォームとウォームホイールとの間の動力伝達を正常に行うことができなくなる虞がある。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、弾性的に動力伝達が行われる噛み合い部分を有する駆動側要素及び被動側要素とを備えると共に、該駆動側要素及び被動側要素の噛み合いを適切に保ちつつ、両要素間の弾性的な動力伝達を行うことができる動力伝達装置を提供することを目的とする。
本発明の動力伝達装置は、かかる目的を達成するために、駆動力を出力するアクチュエータと、駆動対象の負荷部材との間の動力伝達を行う動力伝達装置であって、
前記動力伝達の経路途中での動力伝達を担う要素として該経路途中に配置された駆動側要素及び被動側要素であって、互いに噛み合わされた歯及び歯溝をそれぞれ有すると共に当該噛み合わせ部分での動力伝達が、弾性部材の弾性変形により発生する弾性力を介して行われるように構成された駆動側要素及び被動側要素と、
前記弾性部材の弾性変形量を前記アクチュエータを介して制御することで前記駆動側要素から被動側要素に伝達される駆動力である要素間駆動力を制御する制御装置とを備えており、
前記制御装置は、前記要素間駆動力の時間的変化率の許容範囲である要素間駆動力変化率許容範囲を、前記弾性部材の弾性変形量の観測値に応じて変化させるように設定する許容範囲設定手段を含み、前記要素間駆動力の時間的変化率を前記許容範囲設定手段により設定された要素間駆動力変化率許容範囲内に制限するように前記要素間駆動力を制御するように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
前記動力伝達の経路途中での動力伝達を担う要素として該経路途中に配置された駆動側要素及び被動側要素であって、互いに噛み合わされた歯及び歯溝をそれぞれ有すると共に当該噛み合わせ部分での動力伝達が、弾性部材の弾性変形により発生する弾性力を介して行われるように構成された駆動側要素及び被動側要素と、
前記弾性部材の弾性変形量を前記アクチュエータを介して制御することで前記駆動側要素から被動側要素に伝達される駆動力である要素間駆動力を制御する制御装置とを備えており、
前記制御装置は、前記要素間駆動力の時間的変化率の許容範囲である要素間駆動力変化率許容範囲を、前記弾性部材の弾性変形量の観測値に応じて変化させるように設定する許容範囲設定手段を含み、前記要素間駆動力の時間的変化率を前記許容範囲設定手段により設定された要素間駆動力変化率許容範囲内に制限するように前記要素間駆動力を制御するように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
なお、本明細書において、前記弾性変形量等の任意の状態量の「観測値」は、該状態量の実際の値の検出値又は推定値を意味する。この場合、「検出値」は、当該状態量の実際の値を適宜のセンサにより検出してなる値を意味する。また、「推定値」は、当該状態量と相関性を有する他の1つ以上の状態量の検出値を用いて該相関性に基づいて推定した値、あるいは、当該状態量の実際の値に一致もしくはほぼ一致するとみなすことができる擬似的な推定値(例えば目標値)を意味する。
上記第1発明によれば、前記許容範囲設定手段は、前記弾性部材の弾性変形量の観測値に応じて前記要素間駆動力変化率許容範囲を設定するので、前記弾性部材の任意の弾性変形量で、前記噛み合わせ部分での駆動側要素と被動側要素との間の動力伝達を適切に行い得るように、前記要素間駆動力変化率許容範囲(具体的には、該要素間駆動力変化率許容範囲の幅あるいは上限値あるいは下限値等)を可変的に設定できる。
そして、前記制御装置による制御では、要素間駆動力の時間的変化率を要素間駆動力変化率許容範囲内に制限するように、該要素間駆動力が制御される。
なお、このように、要素間駆動力を制御することは、例えば、前記弾性部材の弾性変形量の観測値等から認識される実際の要素間駆動力の時間的変化率が、要素間駆動力変化率許容範囲を逸脱した場合に、該実際の要素間駆動力の時間的変化率を、要素間駆動力変化率許容範囲内に戻すように前記アクチュエータの出力を調整することで実現できる。
従って、第1発明によれば、前記噛み合わせ部分での駆動側要素と被動側要素との噛み合いが、該噛み合わせ部分での動力伝達を適切に行い得る状態に保たれるように、要素間駆動力の時間的変化率、ひいては、弾性部材の弾性変形量の時間的変化率を調整できる。
よって、第1発明によれば、駆動側要素及び被動側要素の噛み合いを適切に保ちつつ、両要素間の弾性的な動力伝達を行うことができる。
前記駆動側要素及び被動側要素を備える動力伝達装置では、一般に、前記弾性部材の弾性変形量が比較的大きい状態で、要素間駆動力を素早く変化させようとすると、駆動側要素及び被動側要素の噛み合い状態が不適切なものとなって、両要素間の動力伝達を適切に行うことができなくなりやすい。そして、この傾向は、前記弾性部材の弾性変形量が比較的大きいほど、顕著になりやすい。
そこで、第1発明では、前記許容範囲設定手段は、前記弾性部材の弾性変形量の観測値の大きさが大きいほど、前記要素間駆動力変化率許容範囲を狭くするように該要素間駆動力変化率許容範囲を設定するように構成されていることが好ましい(第2発明)。
かかる第2発明によれば、弾性部材の弾性変形量が大きいほど、要素間駆動力変化率の大きさを小さ目に制限できる。このため、駆動側要素と被動側要素との噛み合わせ部分での動力伝達が損なわれないように要素間駆動力変化率を制限すること(ひいては、弾性部材の弾性変形量の時間的変化率を制限すること)を、弾性部材の実際の弾性変形量に適合させて効果的に行うことができる。
かかる第2発明では、前記許容範囲設定手段は、前記弾性部材の弾性変形量の観測値の大きさが、該弾性部材の許容最大変形量の設定値よりも小さい所定範囲内の値である場合に、前記要素間駆動力変化率許容範囲の中心値が、前記弾性変形量を増加させる向きの値となるように、前記要素間駆動力変化率許容範囲を設定するように構成されていることが好ましい(第3発明)。
なお、前記許容最大変形量は、前記噛み合わせ部分での動力伝達を適切に行うために許容される前記弾性部材の最大の変形量を意味する。
ここで、前記弾性部材の弾性変形量の観測値の大きさが前記所定範囲内の値となっている状況は、該弾性変形量の大きさが許容最大変形量よりも小さく、該弾性変形量の大きさをさらに支障なく増加させ得る状況である。このような状況では、要素間駆動力変化率の値が、弾性部材の弾性変形量の大きさをさらに増加させる方向の大きな値となった場合よりも、弾性部材の弾性変形量の大きさを減少させる方向の大きな値となった場合の方が、前記噛み合わせ部の噛み合い状態が不適切なものとなりやすい。
しかるに、第3発明によれば、要素間駆動力変化率許容範囲が上記の如く設定されるので、前記弾性部材の弾性変形量の観測値の大きさが前記所定範囲内の値となっている状況では、要素間駆動力変化率が、弾性部材の弾性変形量の大きさを減少させる方向の値となる場合には、弾性部材の弾性変形量の大きさをさらに増加させる方向の値となる場合よりも要素間駆動力変化率の大きさがより小さ目の大きさに制限される。
一方、要素間駆動力変化率が、弾性部材の弾性変形量の大きさをさらに増加させる方向の値となる場合には、弾性部材の弾性変形量の大きさを減少させる方向の値となる場合よりも、要素間駆動力変化率の大きさの制限がより緩和される。
このため、前記弾性部材の弾性変形量の観測値の大きさが前記所定範囲内の値となっている状況で、駆動側要素と被動側要素との噛み合わせ部分での動力伝達が損なわれないように要素間駆動力変化率を制限すること(ひいては、弾性部材の弾性変形量の時間的変化率を制限すること)を必要限に留めつつ、適切に行うことができる。
また、上記第3発明では、前記許容範囲設定手段は、前記弾性部材の弾性変形量の観測値の大きさが、前記所定範囲内の値よりも大きい値である場合に、前記要素間駆動力変化率許容範囲の中心値が、前記弾性変形量を減少させる向きの値となるように、前記要素間駆動力変化率許容範囲を設定するように構成されていることが好ましい(第4発明)。
ここで、前記弾性部材の弾性変形量の観測値の大きさが前記所定範囲内の値よりも大きい値となっている状況は、該弾性変形量の大きさが許容最大変形量に近いか、もしくは一致する状況である。このような状況では、要素間駆動力変化率の値が、弾性部材の弾性変形量の大きさをさらに増加させる方向の値になると、弾性部材の弾性変形量の大きさが許容最大変形量の設定値に達するかもしくは超えてしまい易い。
しかるに、第4発明によれば、要素間駆動力変化率許容範囲が上記の如く設定されるので、前記弾性部材の弾性変形量の観測値の大きさが前記所定範囲内の値よりも大きい値となっている状況では、要素間駆動力変化率の大きさが、十分に小さなものとなるかもしくはゼロとなるように制限される。
一方、要素間駆動力変化率が、弾性部材の弾性変形量の大きさを減少させる方向の値となる場合には、弾性部材の弾性変形量の大きさをさらに増加させる方向の値となる場合よりも、要素間駆動力変化率の大きさの制限がより緩和される。
このため、前記弾性部材の弾性変形量の観測値の大きさが前記所定範囲内の値よりも大きい値となっている状況で、前記弾性部材の弾性変形量が過大にならないようにすることと、駆動側要素と被動側要素との噛み合わせ部分での動力伝達が損なわれないように要素間駆動力変化率を制限すること(ひいては、弾性部材の弾性変形量の時間的変化率を制限すること)とを適切に行うことができる。
以上説明した第1〜第4発明では、前記アクチュエータとして、例えば電動モータを採用できる。この場合には、前記制御装置は、前記要素間駆動力の大きさの上限値を、前記弾性部材のあらかじめ設定された許容最大変形量により規定される該要素間駆動力の大きさの許容最大値以下の範囲内で前記電動モータの出力部の作動速度の観測値に応じて可変的に設定する要素間駆動力上限値設定手段をさらに備え、前記要素間駆動力の時間的変化率を前記許容範囲設定手段により設定された要素間駆動力変化率許容範囲内に制限すると共に、前記要素間駆動力の大きさを、前記要素間駆動力上限値設定手段により設定された上限値以下に制限するように、前記要素間駆動力を制御するように構成されていることが好ましい(第5発明)。
なお、この第5発明において、前記電動モータは、回転型の電動モータ、及び直動型の電動モータ(リニアモータ)のいずれであってもよい。回転型の電動モータでは、前記出力部の作動速度は、該電動モータのロータの回転速度、又は該ロータに減速機等の速度変換機を介して連結された回転部の回転速度(ロータの回転速度に比例する回転速度)を意味する。また、直動型のモータでは、前記出力部の作動速度は、直動部の並進移動速度を意味する。
ここで、電動モータは、一般に、その出力部の作動速度が大きいほど、出力し得る駆動力が減少する。
そこで、第5発明では、要素間駆動力上限値設定手段は、前記要素間駆動力の大きさの上限値を、前記弾性部材のあらかじめ設定された許容最大変形量により規定される該要素間駆動力の大きさの許容最大値以下の範囲内で前記電動モータの出力部の作動速度の観測値に応じて可変的に設定する。
そして、前記制御装置は、前記要素間駆動力の時間的変化率を要素間駆動力変化率許容範囲内に制限すると共に、前記要素間駆動力の大きさを、前記要素間駆動力上限値設定手段により設定された上限値以下に制限するように、前記要素間駆動力を制御する。
これにより、要素間駆動力変化率を制限することに加えて、電動モータが前記作動速度に応じて出力し得る駆動力の範囲内で、要素間駆動力の大きさを制限しつつ、駆動側要素及び被動側要素の噛み合わせ状態を、前記噛み合わせ部分での動力伝達を適切に行い得る状態に保つことができる。
前記第1〜第5発明では、動力伝達装置の駆動側要素及び被動側要素の構成として、例えば次のような態様を採用できる。
すなわち、その第1の態様では、前記駆動側要素はウォームであると共に前記被動側要素は該ウォームに噛み合わされたウォームホイールであり、前記ウォームホイールと噛み合う前記ウォームの外周部分が該ウォームの軸心方向に弾性変形可能な前記弾性部材により構成される(第6発明)。
また、第2の態様では、前記駆動側要素はボールねじ機構のナットであると共に前記被動側要素は該ボールねじ機構のねじ軸であり、前記ナットにボールを介して噛み合う前記ねじ軸の外周部分が該ねじ軸の軸心方向に弾性変形可能な前記弾性部材により構成される(第7発明)。
また、第3の態様では、前記駆動側要素はボールねじ機構のナット及びねじ軸の一方であると共に前記被動側要素は該ボールねじ機構のナット及びねじ軸の他方であり、前記ナットとねじ軸との間に介在するボールが該ねじ軸の軸心方向に弾性変形可能な前記弾性部材により構成される(第8発明)。
また、第4の態様では、前記駆動側要素は波動歯車装置のフレックススプラインであり、前記被動側要素は波動歯車装置のサーキュラスプラインであり、該サーキュラスプラインにより前記弾性部材が構成される(第9発明)。
上記のいずれの態様でも、本発明によれば、駆動側要素と被動側要素との間の動力伝達を、前記噛み合わせ部分での駆動側要素と被動側要素との噛み合い状態を適切な状態に保ちつつ行うことができる。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1〜図5を参照して以下に説明する。
本発明の第1実施形態を図1〜図5を参照して以下に説明する。
図1を参照して、本実施形態の動力伝達装置1は、アクチュエータ2と駆動対象の負荷部材3との間の動力伝達を行う装置である。この動力伝達装置1は、アクチュエータ2と負荷部材3との間の動力伝達経路の途中に、互いに噛み合わされた噛み合わせ部分を有する駆動側要素及び被動側要素として、スプリングウォーム4及びウォームホイール5を備える。
従って、動力伝達装置1は、アクチュエータ2が出力する駆動力を、駆動側要素としてのスプリングウォーム4と被動側要素としてのウォームホイール5とを介して負荷部材3に伝達するように構成されている。
アクチュエータ2は、本実施形態では、回転型アクチュエータとしての電動モータである。以降、アクチュエータ2を電動モータ2という。この電動モータ2は、そのロータ(図示省略)と一体に回転自在な出力軸(回転駆動軸)2aを有する。この電動モータ2のロータ又は出力軸2aが、本発明における電動モータの出力部に相当する。
スプリングウォーム4は、弾性部材としての機能とウォームとしての機能とを有するものである。弾性部材としてのスプリングウォーム4は、金属材等から構成される線状部材を螺旋状に巻回してなる弾性部材、すなわち、コイルスプリング状の弾性部材である。従って、スプリングウォーム4は、その軸心方向に弾性的に伸縮自在である。
また、ウォームとしてのスプリングウォーム4は、それを構成する螺旋状の線状部材により歯(ねじ歯)を形成し、スプリングウォーム4の軸心方向で隣り合う線状部材の間の箇所が歯溝となっている。
スプリングウォーム4は、電動モータ2のロータと一体に回転自在な出力軸(回転駆動軸)2aに同軸心に外挿されている。そして、スプリングウォーム4の一端部が、出力軸2aに固着されたフランジ状のバネ座6に固定されている。これにより、スプリングウォーム4は、電動モータ2のロータ及び出力軸2aと一体に回転可能とされている。
また、スプリングウォーム4の一端部以外の部分は、電動モータ2の出力軸2aに固定されておらず、該出力軸2aに対して軸心方向に摺動可能とされている。これにより、スプリングウォーム4は、出力軸2aの軸心方向に弾性的に伸縮自在とされている。
ウォームホイール5は、その外周部に周方向に一定ピッチで配列された複数の突起状の歯を有し、隣り合う歯の間の箇所に歯溝が形成された歯車である。なお、ウォームホイール5は高剛性のものである。
このウォームホイール5は、スプリングウォーム4の軸心方向と直交する軸心周り(図1では、紙面に垂直な軸心周り)に回転自在に軸支されている。そして、ウォームホイール5は、その外周部の歯がスプリングウォーム4の歯溝に嵌り込むようにして、該スプリングウォーム4に噛み合わされている。
負荷部材3は、ウォームホイール5と一体に回転し得るように該ウォームホイール5に連結されている。該負荷部材3は、任意の構造物又は機構でよい。例えば、動力伝達装置1がロボットの関節を駆動するための動力伝達装置として使用される場合、負荷部材3は、リンク機構等により構成される。
以上が本実施形態の動力伝達装置1の機構的な構造である。
このように構成された動力伝達装置1では、電動モータ2を作動させる(出力トルクを発生させる)と、スプリングウォーム4が電動モータ2の出力軸2aと一体に回転しようとする。
このとき、負荷部材3側からウォームホイール5に作用する負荷荷重(負荷トルク)に応じてスプリングウォーム4が伸縮することで、スプリングウォーム4からウォームホイール5に弾性的に駆動力(駆動トルク)が伝達される。さらに該駆動力がウォームホイール5から負荷部材3に伝達される。これにより、電動モータ2から負荷部材3への動力伝達が行われる。
この場合、スプリングウォーム4からウォームホイール5に作用する駆動力は、スプリングウォーム4の伸縮量(弾性変形量)に応じたものとなる。具体的には、スプリングウォーム4の伸縮量(自然長状態からの伸縮量)をDX、スプリングウォーム4からウォームホイール5に作用する駆動力(駆動トルク)をPWと表記すると、DXとPWとの間の関係は次式(1)により表される。
PW=DX×Ke×Rh ……(1)
ここで、式(1)におけるKeは、スプリングウォーム4の伸縮量DXの変化に対する該スプリングウォーム4の弾性力の変化の感度(DXの単位変化量あたりの弾性力の変化量)を表す剛性係数(所謂、ばね定数)、Rhはウォームホイール5の有効回転半径である。
なお、伸縮量DXは、スプリングウォーム4の圧縮方向及び伸長方向のいずれか一方の方向の伸縮量が正極性、他方の方向の伸縮量が負極性である。以降の説明では、便宜上、スプリングウォーム4の圧縮方向の伸縮量(圧縮量)を正極性、伸長方向の伸縮量(伸長量)を負極性と定義する。この場合、式(1)により規定される駆動力PWの正方向は、図1においてウォームホイール5の時計周り方向となる。
式(1)に示されるように、スプリングウォーム4からウォームホイール5に作用する駆動力PWは、スプリングウォーム4の伸縮量DXに比例する。また、駆動力PWの向き(極性)は、伸縮量DXの極性に応じて変化する。
従って、スプリングウォーム4の伸縮量DXを制御することで、スプリングウォーム4からウォームホイール5に伝達される駆動力(駆動トルク)PW、ひいては、電動モータ2から負荷部材3に伝達される駆動力を制御できることとなる。
また、スプリングウォーム4からウォームホイール5に伝達される駆動力PWと、負荷部材3側からウォームホイール5に作用する負荷荷重とが釣り合っている状態で、負荷荷重の変動が生じると、それに応じてスプリングウォーム4が伸縮する。従って、負荷荷重の変動に伴う負荷部材3の運動エネルギーがスプリングウォーム4の弾性エネルギーに変換されて吸収される。
本実施形態の動力伝達装置1は、スプリングウォーム4からウォームホイール5に伝達される駆動力を制御するために、CPU、RAM、ROM等を含む電子回路ユニットにより構成される制御装置11と、スプリングウォーム4の伸縮量を観測するための変位センサ12と、電動モータ2のロータ(又は出力軸2a)の回転速度を観測するための速度センサ13とを備える。変位センサ12及び速度センサ13の出力(検出信号)は制御装置11に入力される。
変位センサ12は、スプリングウォーム4の軸心方向での該スプリングウォーム4の自由端(バネ座6に固定された端部と反対側の端部)の位置に応じた検出信号を出力するセンサである。該変位センサ12は、例えば光学式センサ、渦電流式センサ等の公知の変位センサにより構成される。
この変位センサ12の出力により示されるスプリングウォーム4の自由端の位置は、詳しくは、スプリングウォーム4の自然長状態での当該自由端の位置に対する相対変位量(換言すれば、スプリングウォーム4の軸心方向での伸縮量)である。
従って、変位センサ12の出力から、スプリングウォーム4の実際の伸縮量を観測できることとなる。
補足すると、変位センサ12は、例えば、スプリングウォーム4とウォームホイール5との噛み合い部分と、前記バネ座6との間の箇所におけるスプリングウォーム4の歯のピッチ(軸心方向で隣り合う歯のピッチ)に応じた信号を出力するように構成されていてもよい。この場合、スプリングウォーム4の伸縮量は、上記ピッチに応じたものとなるので、該ピッチの観測値からスプリングウォーム4の伸縮量を推定できる。
速度センサ13は、電動モータ2のロータ(又は出力軸2a)の回転速度(角速度)に応じた検出信号を出力するセンサである。該速度センサ13は、例えば電動モータ2に装着されたロータリエンコーダ、レゾルバ等により構成される。
制御装置11は、実装されるプログラムにより実現される機能、又はハードウェア構成により実現される機能として、電動モータ2の運転制御を担うモータ制御部15を備える。
モータ制御部15は、変位センサ12の出力から逐次認識されるスプリングウォーム4の実際の伸縮量の観測値と、速度センサ13の出力から逐次認識される電動モータ2のロータの実際の回転速度の観測値とを用いて、電動モータ2の制御用操作量(制御入力)を後述する如く逐次決定する。該制御用操作量は、本実施形態では、例えば電動モータ2のロータの目標回転角加速度である。なお、制御用操作量は、例えば電動モータ2の目標トルクであってもよい。
そして、モータ制御部15は、決定した制御用操作量に応じて電動モータ2の通電電流を制御することで、該電動モータ2の運転制御を行う。
この場合、スプリングウォーム4からウォームホイール5の伝達される駆動力(駆動トルク)の大きさ、あるいは、該駆動力の時間的変化率を所要の範囲内に制限するように、電動モータ2の運転制御が行われる。なお、駆動力(駆動トルク)の大きさを所要の範囲内に制限するというのは、より詳しくは、該駆動力の大きさが所要の範囲を逸脱した場合に、該駆動力の大きさを強制的に所要の範囲内に戻すことを意味する。このことは、駆動力の時間的変化率を所要の範囲内に制限するということについても同様である。
次に、モータ制御部15による制御処理を詳細に説明する。なお、以降の説明では、駆動力、速度等の任意の状態量の実際の値、あるいは、その観測値(検出値又は推定値)を参照符号で示す場合に、添え字“_act”を付する。
図2を参照して、モータ制御部15は、その機能として、電動モータ2のロータの回転角加速度ωdot(以降、モータ加速度ωdotという)の基本目標値たるモータ基本加速度ωdot_baseを決定するモータ基本加速度決定部21と、スプリングウォーム4からウォームホイール5に伝達される駆動力PW(以降、要素間駆動力PWという)の実際の値PW_actの観測値を取得する要素間駆動力算出部22と、要素間駆動力PWの時間的変化率(単位時間当たりの変化量)である要素間駆動力変化率PWdotの実際の値PWdot_actの観測値を取得する要素間駆動力変化率算出部23と、要素間駆動力変化率PWdotの許容範囲(以降、要素間駆動力変化率許容範囲という)を設定する許容範囲設定部24と、要素間駆動力PWの大きさ(絶対値)の上限値PWlim(以降、上限駆動力PW_limという)を設定する上限駆動力設定部25と、モータ基本加速度ωdot_baseを修正するための第1モータ加速度修正量dωdot_1及び第2モータ加速度修正量dωdot_2を各々算出する第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27と、モータ基本加速度ωdot_baseを第1モータ加速度修正量dωdot_1及び第2モータ加速度修正量dωdot_2により修正する演算処理を実行することで目標モータ加速度ωdot_cmdを決定する目標モータ加速度算出部28とを備える。
ここで、上記許容範囲設定部24、上限駆動力設定部25は、それぞれ本発明における許容範囲設定手段、要素間駆動力上限値設定手段に相当するものである。
なお、図2において、括弧内の参照符号は、後述の実施形態の関するものである。
モータ制御部15は、上記の各機能部の処理を所定の制御処理周期で実行することで、目標モータ加速度ωdot_cmdを決定する。
さらに詳細には、モータ制御部15は、各制御処理周期において、まず、モータ基本加速度決定部21、要素間駆動力算出部22、要素間駆動力変化率算出部23、許容範囲設定部24、上限駆動力設定部25の処理を実行する。
モータ基本加速度決定部21には、負荷部材3に付与する駆動力(駆動トルク)の目標値である目標負荷駆動力PWout_cmdが逐次入力される。
この目標負荷駆動力PWout_cmdは、負荷部材3の動作状態等に応じて制御装置11で逐次決定され、あるいは、外部のサーバー等から制御装置11に与えられる。本実施形態では、負荷部材3がウォームホイール5と一体に回転するので、目標負荷駆動力PWout_cmdは、ウォームホイール5の駆動トルクの目標値となる。
そして、モータ基本加速度決定部21は、各制御処理周期において、入力された目標負荷駆動力PWout_cmdから、あらかじめ設定されたマップ又は演算式により、モータ基本加速度ωdot_baseを決定する。
なお、モータ基本加速度ωdot_baseの決定の仕方は、上記の手法に限られるものではなく、任意の手法を採用し得る。
例えば次のようにモータ基本加速度ωdot_baseの決定するようにしてもよい。すなわち、モータ基本加速度決定部21は、各制御処理周期において、現在の目標負荷駆動力PWout_cmdをウォームホイール5の有効回転半径Rh(あらかじめ定められた定数値)により除算してなる値(これはスプリングウォーム4が発生する弾性力の目標値に相当する)を、スプリングウォーム4の既定の剛性係数Ke(あらかじめ定められた定数値)で除算することで、スプリングウォーム4の弾性変形量の目標値としての目標伸縮量DX_cmdを決定する。
さらにモータ基本加速度決定部21は、スプリングウォーム4の目標伸縮量DX_cmdと、該スプリングウォーム4の現在の実際の伸縮量DX_act(観測値)との偏差に所定値(既定値)のゲインを乗じることによって、電動モータ2のロータの目標回転速度ω_cmdを決定する。
そして、モータ基本加速度決定部21は、電動モータ2のロータの目標回転速度ω_cmdと、該ロータの現在の実際の回転速度ω_act(観測値)との偏差に所定値(既定値)のゲインを乗じることによって、モータ基本加速度ωdot_baseを決定する。
この他、例えば、米国特許5910720号に説明されている手法を用いてモータ基本加速度ωdot_baseを決定するようにしてもよい。
次に、要素間駆動力算出部22には、スプリングウォーム4の実際の伸縮量DX_actの観測値が逐次入力される。そして、要素間駆動力算出部22は、各制御処理周期において、現在の伸縮量DX_act(観測値)に、スプリングウォーム4の剛性係数Keとウォームホイール5の有効回転半径Rhとを乗じてなる値(=DX_act×Ke×Rh)を、要素間駆動力PW_act(観測値)として算出する。すなわち、前記式(1)の右辺のDXの値をDX_actとしてなる式により算出されるPWの値が、要素間駆動力PW_act(観測値)として算出される。
次に、要素間駆動力変化率算出部23には、要素間駆動力算出部22により算出された要素間駆動力PW_actが逐次入力される。そして、要素間駆動力変化率算出部23は、各制御処理周期において、要素間駆動力PW_actの時間的変化率を算出する微分演算を実行することで、要素間駆動力変化率PWdot_act(観測値)を算出する。
なお、要素間駆動力PW_actの時間的変化率を微分演算により算出した後に、該算出値にローパス特性のフィルタリング処理を施してなる値を、要素間駆動力変化率PWdot_act(観測値)として得るようにしてもよい。
また、要素間駆動力変化率算出部23は、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの時間的変化率(又は、これにローパス特性のフィルタリング処理を施してなる値)に、前記剛性係数Keと有効回転半径Rhとを乗じることによって、要素間駆動力変化率PWdot_actを算出するようにしてもよい。この場合には、要素間駆動力変化率算出部23には、要素間駆動力PW_actの代わりに、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actを逐次入力する。
次に、上限駆動力設定部25には、電動モータ2のロータの実際の回転速度ω_actの観測値が逐次入力される。そして、上限駆動力設定部25は、各制御処理周期において、まず、現在の回転速度ω_actから、あらかじめ設定されたマップ(又は演算式)により、例えば図3のグラフで示す如き特性で、電動モータ2のロータの回転角加速度ωdotの大きさ(絶対値)の上限値ωdot_lim(≧0)を決定する。
ここで、電動モータ2は、一般に、ロータの回転速度が大きくなるに伴い、出力可能な駆動トルクの最大値が低下し、ひいては、ロータの実現可能な回転角加速度の大きさの最大値も減少する。そのため、電動モータ2のロータの回転角加速度ωdotの大きさの上限値ωdot_limは、図3に示す如く、ロータの回転速度ω_actの大きさ(絶対値|ω_act|)が大きいほど、小さくなるように決定される。
次いで、上限駆動力設定部25は、上記の如く決定したωdot_limから、あらかじめ設定されたマップ(又は演算式)により、例えば図4のグラフで示す如き特性で、要素間駆動力PWの大きさ(絶対値)の上限駆動力PW_lim(≧0)を決定する。
具体的には、電動モータ2のロータの回転角加速度ωdotの大きさの上限値ωdot_limが、あらかじめ定められた所定値ωdot_lim_a以上の大きさである場合(ωdot_lim≧ωdot_lim_aである場合)には、スプリングウォーム4の弾性変形により発生させ得る弾性力の許容最大値としてあらかじめ定められた許容最大駆動力PW_maxが、上限駆動力PW_limとして決定される。
ここで、上記許容最大駆動力PW_maxは、スプリングウォーム4とウォームホイール5との間の噛み合い状態を適切な状態(その噛み合い部での動力伝達を正常に行い得る状態)に維持する上で許容される該スプリングウォーム4の最大の伸縮量(圧縮方向又は伸長方向の弾性変形量)で、該スプリングウォーム4が発生する弾性力である。
すなわち、許容最大駆動力PW_maxは、上記噛み合い状態を適切な状態に保つ上で許容されるスプリングウォーム4の最大の弾性力である。このような許容最大駆動力PW_maxは、設計的あるいは実験的にあらかじめ設定される。より詳しくは、該許容最大駆動力PW_maxは、実際の要素間駆動力PW_actが許容最大駆動力PW_maxを若干超えても、上記噛み合い状態を適切な状態に保つことができるように、多少のマージンを見込んで設定される。
なお、ωdot_lim≧ωdot_lim_aとなる状態は、要素間駆動力PW_actの大きさを許容最大駆動力PW_maxに維持する(スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさを最大駆動力PW_maxに対応する伸縮量(以降、許容最大伸縮量DX_maxという)の大きさに維持する)ことが可能となる出力トルクを電動モータ2から出力し得る状態である。
また、ωdot_limが、上記所定値ωdot_lim_aよりも小さい場合には、要素間駆動力PW_actの大きさを許容最大駆動力PW_maxに維持する(スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさを許容最大伸縮量DX_maxの大きさに維持する)ことが可能となる出力トルクを電動モータ2から出力することができなくなるので、上限駆動力PW_limは、ωdot_limが小さいほど、許容最大駆動力PW_maxから減少していくように決定される。
以上のように上限駆動力設定部25は、電動モータ2のロータの回転速度ω_act(観測値)に応じて上限駆動力PW_limを決定する。
補足すると、上限駆動力設定部25は、電動モータ2のロータの回転角加速度ωdotの大きさの上限値ωdot_limを決定することなく、回転速度ω_act(観測値)に応じて直接的に上限駆動力PW_limを決定するようにしてもよい。
具体的には、ロータの回転速度ω_act(観測値)の大きさが、前記上限値ωdot_limに関する所定値ωdot_lim_aに対応する所定の回転速度ωa(図3を参照)以下である場合に、前記許容最大駆動力PW_maxを上限駆動力PW_limとして決定する。さらに、ω_act(観測値)の大きさが、上記所定の回転速度ωaよりも大きい場合には、ω_actの大きさが大きいほど、上限駆動力PW_limを許容最大駆動力PW_maxから減少させていくように決定する。
また、本実施形態では、要素間駆動力PW_actの極性(向き)が正極性である場合と負極性である場合とのいずれの場合でも上限駆動力PW_limを同じとしている。ただし、要素間駆動力PW_actが正極性である場合の上限駆動力PW_limと、要素間駆動力PW_actが負極性である場合の上限駆動力PW_limとを各別の値に設定するようにしてもよい。このことは、前記許容最大駆動力PW_maxあるいはこれに対応するスプリングウォーム4の許容最大伸縮量DX_maxについても同様である。
次に、前記許容範囲設定部24には、要素間駆動力算出部22により算出された要素間駆動力PW_actが逐次入力される。そして、要素間駆動力算出部22は、現在の要素間駆動力PW_actから、あらかじめ設定されたマップ(又は演算式)により、例えば図5のグラフに示す如く特性で、要素間駆動力変化率許容範囲を設定する。
なお、本実施形態では、要素間駆動力PW及び要素間駆動力変化率PWdotの向きの正方向は、スプリングウォーム4の伸縮量DXが正極性(圧縮方向の伸縮量)であるときにウォームホイール5に作用する駆動力の向き(図1ではウォームホイール5の時計周り方向)と定義する。
要素間駆動力変化率許容範囲は、その上限値PWdot_lim_p(≧0)と下限値PWdot_lim_n(≦0)との組、あるいは、これらの上限値PWdot_lim_p及び下限値PWdot_lim_nを規定するパラメータ(例えば、要素間駆動力変化率許容範囲の中心値と幅との組)を決定することで、設定される。
図5に示すように、要素間駆動力変化率許容範囲は、次のような特性1〜4を有するように設定される。
(特性1)要素間駆動力PW_actの大きさが大きいほど(換言すれば、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさが大きいほど)、要素間駆動力変化率許容範囲の幅(=PWdot_lim_p−PWdot_lim_n)が狭くなる。
(特性2)要素間駆動力PW_actの大きさ(絶対値)が正の所定値PWaよりも小さい場合(詳しくは、0<PW_act<PWa又は−PWa<PW_act<0である場合)、すなわち、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさが許容最大伸縮量DX_maxに比してさほど大きくない場合には、要素間駆動力変化率許容範囲の中心値(=(PWdot_lim_p+PWdot_lim_n)/2)が、要素間駆動力PW_actの大きさ(絶対値)を増加させる方向の値(すなわち、PW_actと同じ極性の値)になる。
(特性3)要素間駆動力PW_actの大きさ(絶対値)が所定値PWaよりも大きい場合(詳しくは、PWa<PW_act又は−PWa>PW_actである場合)、すなわち、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさが許容最大伸縮量DX_maxに近い場合には、要素間駆動力変化率許容範囲の中心値が、要素間駆動力PW_actの大きさ(絶対値)を減少させる方向の値(すなわち、PW_actと逆極性の値)になる。
(特性4)要素間駆動力PW_actの大きさ(絶対値)が許容最大駆動力PW_maxに一致する場合には、要素間駆動力変化率許容範囲の上限値PWdot_lim_p及び下限値PWdot_lim_nは、いずれも、要素間駆動力PW_actと同じ極性(向き)の値とならない。より詳しくは、要素間駆動力PW_actが正極性で、且つ、その大きさ(絶対値)が許容最大駆動力PW_maxに一致する場合には、0≧PWdot_lim_p>PWdot_lim_nとなる。また、要素間駆動力PW_actが負極性で、且つ、その大きさ(絶対値)が許容最大駆動力PW_maxに一致する場合には、PWdot_lim_p>PWdot_lim_n≧0となる。
なお、本実施形態では、上記特性4に関し、要素間駆動力PW_actが正極性で、且つ、その大きさ(絶対値)が許容最大駆動力PW_maxに一致する場合には、上限値PWdot_lim_p=0、要素間駆動力PW_actが負極性で、且つ、その大きさ(絶対値)が許容最大駆動力PW_maxに一致する場合には、下限値PWdot_lim_n=0とされている。
また、要素間駆動力PW_actがゼロである場合における要素間駆動力許容範囲は、例えばその中心値がゼロとなり、且つ、その幅が最大となるように設定される。
モータ制御部15は、各制御処理周期において、モータ基本加速度決定部21、要素間駆動力算出部22、要素間駆動力変化率算出部23、許容範囲設定部24、上限駆動力設定部25の処理を上記の如く実行した後、次に、第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27の処理を実行する。
第1モータ加速度修正量算出部26には、要素間駆動力算出部22で算出された要素間駆動力PW_actと、上限駆動力設定部25で算出された上限駆動力PW_limとが入力される。
そして、第1モータ加速度修正量算出部26は、要素間駆動力PW_actの大きさ(絶対値)が上限駆動力PW_lim以下である場合(|PW_act|≦PW_limである場合)には、次式(2a)で示す如く、第1モータ加速度修正量dωdot_1をゼロとする。
また、要素間駆動力PW_actが正の値で、且つ、その大きさ(絶対値)が上限駆動力PW_limよりも大きい場合(PW_act>0、且つPW_act>PW_limである場合)には、第1モータ加速度修正量算出部26は、次式(2b)で示す如く、PW_actと、その正極性側の限界値(上限値)としてのPW_limとの差に所定値のゲインG1を乗じてなる値を第1モータ加速度修正量dωdot_1として決定する。
また、要素間駆動力PW_actが負の値で、且つ、その大きさ(絶対値)が上限駆動力PW_limよりも大きい場合(PW_act<0、且つPW_act<−PW_limである場合)には、第1モータ加速度修正量算出部26は、次式(2c)で示す如く、PW_actと、その負極性側の限界値(下限値)としての−PW_limとの差に正の所定値のゲインG1を乗じてなる値を第1モータ加速度修正量dωdot_1として決定する。
従って、PW_actの大きさ(絶対値)がPW_limよりも大きい場合には、第1モータ加速度修正量dωdot_1は、PW_actの大きさがPW_limを超えた量に応じて決定される。
|PW_act|≦PW_limである場合
dωdot_1=0 ……(2a)
PW_act>0、且つPW_act>PW_limである場合
dωdot_1=G1×(PW_act−PW_lim) ……(2b)
PW_act<0、且つPW_act<−PW_limである場合
dωdot_1=G1×(PW_act−(−PW_lim)) ……(2c)
また、第2モータ加速度修正量算出部27には、要素間駆動力変化率算出部23で算出された要素間駆動力変化率PWdot_actと、許容範囲設定部24で設定された要素間駆動力変化率許容範囲の上限値PWdot_lim_p及び下限値PWdot_lim_nとが入力される。
そして、第2モータ加速度修正量算出部27は、要素間駆動力変化率PWdot_actが要素間駆動力変化率許容範囲内の値である場合(PWdot_lim_p≧PWdot_act≧PWdot_lim_nである場合)には、次式(3a)で示す如く、第2モータ加速度修正量dωdot_2をゼロとする。
また、要素間駆動力変化率PWdot_actが要素間駆動力変化率許容範囲の上限値PWdot_lim_pよりも大きい正の値である場合(PWdot_act>PWdot_lim_pである場合)には、第2モータ加速度修正量算出部27は、次式(3b)で示す如く、PWdot_actとPWdot_lim_pとの差に所定値のゲインG2を乗じてなる値を第2モータ加速度修正量dωdot_2として決定する。
また、要素間駆動力変化率PWdot_actが要素間駆動力変化率許容範囲の下限値PWdot_lim_nよりも小さい負の値である場合(PWdot_act<PWdot_lim_nである場合)には、第2モータ加速度修正量算出部27は、次式(3c)で示す如く、PWdot_actとPWdot_lim_nとの差に正の所定値のゲインG2を乗じてなる値を第2モータ加速度修正量dωdot_2として決定する。
従って、PWdot_actが要素間駆動力変化率許容範囲を逸脱している場合には、その逸脱量に応じて第2モータ加速度修正量dωdot_2が決定される。
PWdot_lim_p≧PWdot_act≧PWdot_lim_nである場合
dωdot_2=0 ……(3a)
PWdot_act>PWdot_lim_pである場合
dωdot_2=G2×(PWdot_act−PWdot_lim_p) ……(3b)
PWdot_act<PWdot_lim_nである場合
dωdot_2=G2×(PWdot_act−PWdot_lim_n) ……(3c)
上記ゲインG2は、あらかじめ定められた既定値である。ただし、例えば、要素間駆動力変化率許容範囲からのPWdot_actの逸脱量の大きさが大きいほど、ゲインG2の値が大きくなるように設定してもよい。
モータ制御部15は次に、目標モータ加速度算出部28の処理を実行する。この目標モータ加速度算出部28には、モータ基本加速度決定部21で決定されたモータ基本加速度ωdot_baseと、第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27でそれぞれ算出された第1モータ加速度修正量dωdot_1及び第2モータ加速度修正量dωdot_2とが入力される。
そして、目標モータ加速度算出部28は、次式(4)で示す如く、モータ基本加速度ωdot_baseに、第1モータ加速度修正量dωdot_1及び第2モータ加速度修正量dωdot_2を加え合わせてなる値を目標モータ加速度ωdot_cmdとして決定する。
ωdot_cmd=ωdot_base+dωdot_1+dωdot_2 ……(4)
モータ制御部15は、以上の如く決定した目標モータ加速度ωdot_cmdに応じて電動モータ2の通電制御を行う。具体的には、モータ制御部15は、目標モータ加速度ωdot_cmdに、電動モータ2のロータの回転系のイナーシャに相当する所定値を乗じることで、電動モータ2の目標トルク(出力トルクの目標値)を決定する。そして、モータ制御部15は、決定した目標トルクに応じて電動モータ2の通電電流の目標値を決定し、この目標値に実際の通電電流(観測値)を収束させるように、該通電電流をフィードバック制御する。
ωdot_cmd=ωdot_base+dωdot_1+dωdot_2 ……(4)
モータ制御部15は、以上の如く決定した目標モータ加速度ωdot_cmdに応じて電動モータ2の通電制御を行う。具体的には、モータ制御部15は、目標モータ加速度ωdot_cmdに、電動モータ2のロータの回転系のイナーシャに相当する所定値を乗じることで、電動モータ2の目標トルク(出力トルクの目標値)を決定する。そして、モータ制御部15は、決定した目標トルクに応じて電動モータ2の通電電流の目標値を決定し、この目標値に実際の通電電流(観測値)を収束させるように、該通電電流をフィードバック制御する。
これにより、電動モータ2のロータが目標モータ加速度ωdot_cmdで回転するように制御される。
以上説明した実施形態によれば、基本的には、電動モータ2側からウォームホイール5を介して負荷部材3に実際に付与される駆動力が、目標負荷駆動力PWout_cmdに追従する(収束する)ように、電動モータ2のロータの回転量、ひいては、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actが制御される。この状態は、換言すれば、モータ制御部15により逐次決定される目標モータ加速度ωdot_cmdが、モータ基本加速度ωdot_baseに一致する状態(第1モータ加速度修正量dωdot_1及び第2モータ加速度修正量dωdot_が共にゼロとなる状態)である。
この状態で、負荷荷重が変動すると、それに伴いスプリングウォーム4が伸縮して、該スプリングウォーム4からウォームホイール5に伝達される要素間駆動力PW_actが変動する。
このような要素間駆動力PW_actの変動によって、該要素間駆動力PW_actの大きさ(絶対値)が上限駆動力設定部25で設定された上限駆動力PW_limを超える場合(PW_act>PW_lim又はPW_act<−PW_limとなる場合)がある。
このような場合には、前記第1モータ加速度修正量算出部26により算出される第1モータ加速度修正量dωdot_1がゼロでない値となるので、目標モータ加速度ωdot_cmdが、第1モータ加速度修正量dωdot_1により修正される。これにより、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさ(ひいては弾性力)を減少させるように、スプリングウォーム4が電動モータ2により回転駆動される。
その結果、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさ(絶対値)が前記許容最大駆動力PW_maxに対応する許容最大伸縮量DX_maxよりも過大なものとなるのが防止される。ひいては、スプリングウォーム4とウォームホイール5との噛み合いが適切な状態(その噛み合い部での動力伝達を正常に行い得る状態)に維持されるように、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actが調整される。
また、電動モータ2のロータの回転速度ω_actが前記所定の回転速度ωaよりも高速になった場合には、上限駆動力PW_limは、その大きさが許容最大駆動力PW_maxよりも小さくなるように設定される。このため、電動モータ2の出力トルクが、ロータの高速回転時に実際に実現可能なトルクに収まるように、目標モータ加速度ωdot_cmdが制限される。その結果、電動モータ2によるスプリングウォーム4の回転駆動を適切に行うことができる。
また、負荷荷重が比較的素早く変動すると、それに伴いスプリングウォーム4が素早く伸縮しようとする。ひいては、要素間駆動力変化率PWdot_actの大きさが大きくなる。
このため、要素間駆動力変化率PWdot_actが前記許容範囲設定部24で設定された要素間駆動力変化率許容範囲を逸脱する(PWdot_act>PWdot_lim_p又はPWdot_act<PWdot_lim_nになる)場合がある。
このような場合には、前記第2モータ加速度修正量算出部27により算出される第2モータ加速度修正量dωdot_2がゼロでない値になるので、目標モータ加速度ωdot_cmdが、第2モータ加速度修正量dωdot_2(≠0)により修正される。これにより、要素間駆動力変化率PWdot_actを、要素間駆動力変化率許容範囲内に戻すように、ひいては、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの時間的変化率の大きさが過大にならないように、スプリングウォーム4が電動モータ2により回転駆動される。
ここで、負荷荷重の素早い変動に応じてスプリングウォーム4が素早く伸縮しようとすると、スプリングウォーム4とウォームホイール5との間の噛み合いが外れてしまう等、該噛み合いが不適切なものとなりやすい。そして、このような不都合は、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさが大きいほど生じやすい。
しかるに、本実施形態では、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性1を有するように設定されるので、要素間駆動力PW_actの大きさが大きいほど、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの時間的変化率の大きさがより小さめに制限される。
また、スプリングウォーム4が、ある程度圧縮又は伸長された状態(詳しくは、図5において0<PW_act<PWaとなる範囲で圧縮された状態、又は0>PW_act>−PWaとなる範囲で伸長された状態)では、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさがさらに増加する方向に負荷荷重が素早く変動した場合よりも、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさが減少する方向に負荷荷重が素早く変動した場合の方が、スプリングウォーム4とウォームホイール5との間の噛み合いが不適切なものとなりやすい。
しかるに、本実施形態では、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性2を有するように設定されるので、スプリングウォーム4が、上記の如くある程度圧縮された状態では、要素間駆動力変化率許容範囲の上限値PWdot_lim_pの絶対値よりも下限値PWdot_lim_nの絶対値が小さくなる。
このため、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、スプリングウォーム4の伸縮量DX_act(>0)の大きさを増加させる(要素間駆動力PW_act(>0)の大きさを増加させる)方向の値(>0)である場合よりも、伸縮量DX_act(>0)の大きさを減少させる(要素間駆動力PW_act(>0)の大きさを減少させる)方向の値(<0)である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
また、スプリングウォーム4が、上記の如くある程度伸長された状態では、前記特性2によって、要素間駆動力変化率許容範囲の下限値PWdot_lim_nの絶対値よりも上限値PWdot_lim_pの絶対値が小さくなる。
このため、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、スプリングウォーム4の伸縮量DX_act(<0)の大きさを増加させる(要素間駆動力PW_act(<0)の大きさを増加させる)方向の値(<0)である場合よりも、伸縮量DX_act(<0)の大きさを減少させる(要素間駆動力PW_act(<0)の大きさを減少させる)方向の値(>0)である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
さらに、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさ(絶対値)が前記許容最大伸縮量DX_maxに近いものとなった状態(詳しくは、図5においてPW_max≧PW_act>PWaとなる範囲で圧縮された状態、又は−PW_max≦PW_act<−PWaとなる範囲で伸長された状態)では、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさが減少する方向に負荷荷重が素早く変動した場合よりも、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさがさらに増加する方向に負荷荷重が素早く変動した場合の方が、スプリングウォーム4とウォームホイール5との間の噛み合いが不適切なものとなりやすい。さらには、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさがさらに増加する方向に負荷荷重が素早く変動した場合に、該伸縮量DX_actの大きさが前記許容最大伸縮量DX_maxを超える可能性が高まる。
しかるに、本実施形態では、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性3を有するように設定されるので、スプリングウォーム4が、上記の如く許容最大伸縮量DX_maxに近い大きさの伸縮量で圧縮された状態では、要素間駆動力変化率許容範囲の下限値PWdot_lim_nの絶対値よりも上限値PWdot_lim_pの絶対値が小さくなる。
このため、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、スプリングウォーム4の伸縮量DX_act(>0)の大きさを減少させる(要素間駆動力PW_act(>0)の大きさを減少させる)方向の値(<0)である場合よりも、伸縮量DX_act(>0)の大きさを増加させる(要素間駆動力PW_act(>0)の大きさを増加させる)方向の値(>0)である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
また、スプリングウォーム4が、上記の如く許容最大伸縮量DX_maxに近い大きさの伸縮量で伸長された状態では、要素間駆動力変化率許容範囲の上限値dot_lim_pの絶対値よりも下限値PWdot_lim_nの絶対値が小さくなる。
このため、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、スプリングウォーム4の伸縮量DX_act(<0)の大きさを減少させる(要素間駆動力PW_act(<0)の大きさを減少させる)方向の値(>0)である場合よりも、伸縮量DX_act(<0)の大きさを増加させる(要素間駆動力PW_act(<0)の大きさを増加させる)方向の値(<0)である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
さらには、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性4を有するように設定されるので、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさが許容最大伸縮量DX_maxに達した状態では、要素間駆動力変化率PWdot_actが、伸縮量DX_actをさらに増加させる方向の値(PW_actと同じ向き(極性)の値)にならないように制限される。
以上の如く、要素間駆動力変化率PWdot_actが、要素間駆動力PW_actに応じて設定される要素間駆動力変化率許容範囲から逸脱するのを防止するように制限されるので、スプリングウォーム4とウォームホイール5の噛み合いが適切な状態(その噛み合い部ででの動力伝達を正常に行い得る状態)に維持されるように、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの時間的変化率が調整される。
従って、本実施形態の動力伝達装置1によれば、スプリングウォーム4とウォームホイール5の噛み合いを適切な状態に維持しながら、電動モータ2から負荷部材3への動力伝達を円滑に行うことができる。
なお、本実施形態では、スプリングウォーム4のバネ座6側と反対側の端部(図1では右側端部)は、自由端となっているが、該端部を電動モータ2の出力軸2aに固定するようにしてもよい。
このようにした場合には、スプリングウォーム4のウォームホイール5の噛み合い部から一端部側の部分と、該噛み合い部から他端部側の部分とは、逆向きに伸縮することとなる。
そして、この場合には、例えば、スプリングウォーム4のウォームホイール5の噛み合い部から一端部側の部分と、他端部側の部分とのそれぞれにおけるスプリングウォーム4のねじ歯のピッチを適宜の変位センサにより計測することで、スプリングウォーム4のウォームホイール5の噛み合い部から一端部側の部分と、他端部側の部分との伸縮量を観測することができる。ひいては、その伸縮量に応じてスプリングウォーム4からウォームホイール5に作用する駆動力(要素間駆動力)を観測できることとなる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図6及び図2を参照して説明する。なお、本実施形態では、モータ制御部の機能的構成が第1実施形態と同様であることから、その説明のためのブロック図として図2を使用する。
次に、本発明の第2実施形態を図6及び図2を参照して説明する。なお、本実施形態では、モータ制御部の機能的構成が第1実施形態と同様であることから、その説明のためのブロック図として図2を使用する。
図6を参照して、本実施形態の動力伝達装置41は、アクチュエータ42と駆動対象の負荷部材43との間の動力伝達を行う装置である。この動力伝達装置41は、アクチュエータ42と負荷部材43との間の動力伝達経路の途中に、互いに噛み合わされた噛み合わせ部分を有する駆動側要素及び被動側要素として、ボールねじ機構を構成するナット44及びねじ軸45を備える。
これらのナット44及びねじ軸45は、ナット44の内周とねじ軸45の外周との間に転動自在に介在する複数のボール46を介して互いに噛み合わされている。従って、動力伝達装置41は、アクチュエータ42が出力する駆動力を、駆動側要素としてのナット44と被動側要素としてのねじ軸45を介して負荷部材43に伝達するように構成されている。
この場合、本実施形態では、ナット44が図示しないベアリング等を介して回転自在に支持されている。また、ねじ軸45は、その軸心方向に直動可能に、図示しないガイドレール等を介して支持されている。このため、ナット44を回転駆動することで、ねじ軸45が負荷部材43と共に直動する。
アクチュエータ42は、回転型アクチュエータとしての電動モータである。以降、アクチュエータ42を電動モータ42という。この電動モータ42は、第1実施形態と同様に、そのロータ(図示省略)と一体に回転自在な出力軸42aを有する。この電動モータ42のロータ又は出力軸42aが本発明における電動モータの出力部に相当する。
ナット44の内周面には、螺旋状のねじ歯が形成されている。そして、ナット44の軸心方向で隣り合うねじ歯(突部)の間の箇所が歯溝となっている。
このナット44には、駆動プーリ47、被動プーリ48及びプーリベルト49により構成されるプーリ・ベルト式の動力伝達機構を介して電動モータ42から駆動力(回転駆動力)が伝達される。駆動プーリ47は、電動モータ42の出力軸42aと一体に回転し得るように該出力軸42aに同軸心に固定され、被動プーリ48は、ナット44の一端部に同軸心に固定されている。
なお、電動モータ42からナット44への動力伝達は、プーリ・ベルト機構以外の構造の動力伝達機構、例えば、スプロケット及びチェーンを介して動力伝達を行う機構、あるいは、ギヤを介して動力伝達を行う機構等により構成されていてもよい。
ねじ軸45は、棒状の基体50(以降、ねじ軸基体50という)と、該ねじ軸基体50に同軸心に外挿された弾性部材としてのコイルスプリング51とを備え、該コイルスプリング51を構成する螺旋状の線状部材によりねじ軸基体50の外周に歯(ねじ歯)が形成されている。そして、ねじ軸基体50の軸心方向(ねじ軸45の軸心方向)で隣り合う歯の間に歯溝が形成されている。
ねじ軸45のコイルスプリング51の一端部は、ねじ軸基体50の一端部に固着されたフランジ状のバネ座53に固定されている。
そして、ねじ軸基体50及びコイルスプリング51は、ナット44の中心を貫通して、該ナット44の軸心方向の両側に突出している。
また、ナット44の内部において、コイルスプリング51の線状部材間に形成される歯溝とナット44の内周面の歯溝との間に複数のボール46が嵌合されている。これにより、ナット44とねじ軸45とがボール46を介して噛み合わされている。なお、ナット44及びボール46は高剛性のものである。
また、コイルスプリング51のバネ座53側の一端部以外の部分は、ねじ軸基体50に固定されておらず、ねじ軸基体50に対して軸心方向に摺動可能とされている。このため、ねじ軸基体50がナット44に対して軸心方向に移動すると、それに伴い、コイルスプリング51のナット44からバネ座53側に突出した部分が弾性的に伸縮可能となっている。
負荷部材43は、ねじ軸基体50と一体に該ねじ軸基体50の軸心方向に移動(直動)し得るようにねじ軸基体50に連結されている。該負荷部材3は、任意の構造物又は機構でよい。
以上が本実施形態の動力伝達装置41の機構的な構造である。
このように構成された動力伝達装置41では、電動モータ42を作動させる(出力トルクを発生させる)と、ナット44が電動モータ2の出力軸2aに連動して回転しようとする。ひいては、ねじ軸45が軸心方向に移動(直動)しようとする。
このとき、負荷部材43側からねじ軸基体50に作用する負荷荷重(ねじ軸基体50の軸心方向の並進力)に応じて、ナット44とバネ座53との間のコイルスプリング51が伸縮することで、ナット44からねじ軸45のコイルスプリング51を介してねじ軸基体50に弾性的に駆動力(並進駆動力)が伝達される。さらに該駆動力がねじ軸基体50から負荷部材43に伝達される。これにより、電動モータ42から出力される回転駆動力が並進駆動力に変換された上で、負荷部材43に伝達される。
この場合、ナット44からねじ軸45のコイルスプリング51を介してねじ軸基体50に作用する駆動力は、コイルスプリング51の伸縮量(弾性変形量)に応じたものとなる。具体的には、コイルスプリング51の伸縮量(自然長状態からの伸縮量)をDX、ナット44からコイルスプリング51を介してねじ軸基体50に作用する駆動力(並進駆動力)をPW、コイルスプリング51の伸縮量DXの変化に対する該コイルスプリング51の弾性力の変化の感度(DXの単位変化量あたりの弾性力の変化量)を表す剛性係数(所謂、ばね定数)をKeと表記すると、DXとPWとの間の関係は次式(11)により表される。
PW=DX×Ke ……(11)
なお、PW、DX、Keは、第1実施形態でも使用した参照符号であるが、本実施形態では、上記の意味で使用する。
また、コイルスプリング51の伸縮量DXの極性は、コイルスプリング51の圧縮方向及び伸長方向のいずれか一方の方向の伸縮量が正極性、他方の方向の伸縮量が負極性である。以降の説明では、便宜上、コイルスプリング51の圧縮方向の伸縮量(圧縮量)を正極性、伸長方向の伸縮量(伸長量)を負極性と定義する。この場合、式(11)により規定される駆動力PWの正方向は、図6において左向きとなる。
式(11)に示されるように、ナット44からコイルスプリング51を介してねじ軸基体50に作用する駆動力PWは、コイルスプリング51の伸縮量DXに比例する。また、駆動力PWの向き(極性)は、伸縮量DXの極性に応じて変化する。
従って、コイルスプリング51の伸縮量DXを制御することで、ナット44からコイルスプリング51を介してねじ軸基体50に伝達される駆動力(並進駆動力)PW、ひいては、電動モータ42から負荷部材43に伝達される駆動力を制御できることとなる。
また、ナット44からコイルスプリング51を介してねじ軸基体50に伝達される駆動力PWと、負荷部材43側からねじ軸基体50に作用する負荷荷重とが釣り合っている状態で、負荷荷重の変動が生じると、それに応じてコイルスプリング51が伸縮する。従って、負荷荷重の変動に伴う負荷部材43の運動エネルギーがコイルスプリング51の弾性エネルギーに変換されて吸収される。
本実施形態の動力伝達装置41は、ナット44からコイルスプリング51を介してねじ軸基体50に伝達される駆動力を制御するために、CPU、RAM、ROM等を含む電子回路ユニットにより構成される制御装置61と、コイルスプリング51の伸縮量を観測するための変位センサ62と、電動モータ42のロータ(又は出力軸42a)の回転速度を観測するための速度センサ63とを備える。変位センサ62及び速度センサ63の出力(検出信号)は制御装置61に入力される。
速度センサ63は、第1実施形態における速度センサ13と同様に、電動モータ42に装着されたロータリーエンコーダ、レゾルバ等のセンサにより構成され、電動モータ42のロータの回転速度(角速度)に応じた検出信号を出力する。
変位センサ62は、本実施形態では、ナット44と前記バネ座53との間の箇所におけるコイルスプリング51の歯のピッチ(軸心方向で隣り合う歯のピッチ)に応じた検出信号を出力するセンサである。該変位センサ62は、例えば光学式センサ、渦電流式センサ等の公知の変位センサにより構成される。
コイルスプリング51の伸縮量DXは、変位センサ62の出力により示される上記ピッチの観測値に応じたものとなるので、該変位センサ62の出力からコイルスプリング51の実際の伸縮量を観測できることとなる。
補足すると、変位センサ62は、例えば、コイルスプリング51のバネ座53側の端部とナット44との間の距離(軸心方向での距離)に応じた信号を出力するように構成されたセンサであってもよい。この場合、コイルスプリング51の伸縮量は、上記距離に応じたものとなるので、上記距離の観測値からコイルスプリング51の伸縮量を推定できる。
制御装置61は、実装されるプログラムにより実現される機能、又はハードウェア構成により実現される機能として、電動モータ42の運転制御を担うモータ制御部65を備える。
モータ制御部65は、変位センサ62の出力に基づき逐次取得したコイルスプリング51の実際の伸縮量の観測値と、速度センサ63の出力に基づき逐次取得した電動モータ42のロータの実際の回転速度の観測値を用いて、電動モータ42の制御用操作量(制御入力)を後述する如く逐次決定する。該制御用操作量は、第1実施形態と同様に、電動モータ42のロータの目標回転角加速度である。なお、制御用操作量は、例えば電動モータ42の目標トルクであってもよい。
そして、モータ制御部65は、決定した制御用操作量に応じて電動モータ42の通電電流を制御することで、該電動モータ42の運転制御を行う。
この場合、ナット44からコイルスプリング51を介してねじ軸基体50に伝達される駆動力(並進駆動力)の大きさ、あるいは、該駆動力の時間的変化率を所要の範囲内に制限するように、電動モータ42の運転制御が行われる。
次に、モータ制御部65による制御処理を詳細に説明する。なお、以降の説明では、第1実施形態と同様に、任意の状態量の実際の値、あるいは、その観測値を参照符号で示す場合に、添え字“_act”を付する。
図2を参照して、本実施形態のモータ制御部65は、その機能として、第1実施形態のモータ制御部15と同様の機能を有する。すなわち、モータ制御部65は、第1実施形態のモータ制御部15と同様に、モータ基本加速度決定部21、要素間駆動力算出部22、要素間駆動力変化率算出部23、許容範囲設定部24、上限駆動力設定部25と、第1モータ加速度修正量算出部26、第2モータ加速度修正量算出部27、及び目標モータ加速度算出部28を有する。
この場合、本実施形態では、モータ基本加速度決定部21は、電動モータ42のロータの回転角加速度ωdot(モータ加速度ωdot)の基本目標値たるモータ基本加速度ωdot_baseを決定する機能部、要素間駆動力算出部22は、ナット44からコイルスプリング51を介してねじ軸基体50に伝達される駆動力(並進駆動力)である要素間駆動力PWの実際の値PW_actの観測値を取得する機能部、要素間駆動力変化率算出部23は、要素間駆動力PWの時間的変化率(単位時間当たりの変化量)である要素間駆動力変化率PWdotの実際の値PWdot_actの観測値を取得する機能部である。
また、許容範囲設定部24は、要素間駆動力変化率PWdotの許容範囲である要素間駆動力変化率許容範囲を設定する機能部、上限駆動力設定部25は、要素間駆動力PWの大きさ(絶対値)の上限値PW_limである上限駆動力PW_limを設定する機能部である。
また、第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27は、それぞれ、モータ基本加速度ωdot_baseを修正するための第1モータ加速度修正量dωdot_1、第2モータ加速度修正量dωdot_2を各々算出する機能部、第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27と、目標モータ加速度算出部28は、モータ基本加速度ωdot_baseを第1モータ加速度修正量dωdot_1及び第2モータ加速度修正量dωdot_2により修正する演算処理を実行する機能部である。
本実施形態のモータ制御部65が、上記の各機能部の処理を、第1実施形態と概ね同様の仕方で実行する。そこで、以降の説明では、第1実施形態と相違する事項を中心に説明する。
モータ制御部65は、各制御処理周期において、まず、モータ基本加速度決定部21、要素間駆動力算出部22、要素間駆動力変化率算出部23、許容範囲設定部24、上限駆動力設定部25の処理を実行する。
モータ基本加速度決定部21には、負荷部材43に付与する駆動力(並進駆動力)の目標値である目標負荷駆動力PWout_cmdが逐次入力される。
目標負荷駆動力PWout_cmdは、第1実施形態と同様に、負荷部材43の動作状態等に応じて制御装置61で逐次決定され、あるいは、外部のサーバー等から制御装置61に与えられる。本実施形態では、目標負荷駆動力PWout_cmdは、ねじ軸基体50の並進駆動力の目標値でもある。
そして、モータ基本加速度決定部21は、各制御処理周期において、第1実施形態と同様に、入力された目標負荷駆動力PWout_cmdから、あらかじめ設定されたマップ又は演算式により、モータ基本加速度ωdot_baseを決定する。
なお、モータ基本加速度ωdot_baseの決定の仕方は、上記の手法に限られるものではなく、任意の手法を採用し得る。
例えば次のようにモータ基本加速度ωdot_baseの決定するようにしてもよい。すなわち、モータ基本加速度決定部21は、各制御処理周期において、現在の目標負荷駆動力PWout_cmd(ねじ軸基体50の目標並進駆動力)を、コイルスプリング51の剛性係数Ke(あらかじめ定められた定数値)で除算することで、コイルスプリング51の弾性変形量の目標値としての目標伸縮量DX_cmdを決定する。
さらにモータ基本加速度決定部21は、コイルスプリング51の目標伸縮量DX_cmdと、現在の実際の伸縮量DX_act(観測値)との偏差に所定値(既定値)のゲインを乗じることによって、電動モータ42のロータの目標回転速度ω_cmdを決定する。
そして、モータ基本加速度決定部21は、電動モータ42のロータの目標回転速度ω_cmdと、該ロータの現在の実際の回転速度ω_act(観測値)との偏差に所定値(既定値)のゲインを乗じることによって、モータ基本加速度ωdot_baseを決定する。
この他、例えば、米国特許5910720号に説明されている手法を用いてモータ基本加速度ωdot_baseを決定するようにしてもよい。
次に、要素間駆動力算出部22には、コイルスプリング51の実際の伸縮量DX_actの観測値が逐次入力される。そして、要素間駆動力算出部22は、各制御処理周期において、前記式(11)の右辺のDXの値をDX_actとしてなる式により算出されるPWの値を、要素間駆動力PW_act(観測値)として算出する。
次に、要素間駆動力変化率算出部23は、第1実施形態と同様に、各制御処理周期において、要素間駆動力算出部22が算出した要素間駆動力PW_actの時間的変化率を算出する微分演算を実行することで、要素間駆動力変化率PWdot_act(観測値)を算出する。
なお、第1実施形態の場合と同様に、要素間駆動力PW_actの時間的変化率を微分演算により算出した後に、該算出値にローパス特性のフィルタリング処理を施してなる値を、要素間駆動力変化率PWdot_act(観測値)として得るようにしてもよい。
また、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの時間的変化率(又は、これにローパス特性のフィルタリング処理を施してなる値)に、コイルスプリング51の剛性係数Keを乗じることによって、要素間駆動力変化率PWdot_actを算出するようにしてもよい。
次に、上限駆動力設定部25には、電動モータ42のロータの実際の回転速度ω_actの観測値が逐次入力される。そして、上限駆動力設定部25は、各制御処理周期において、第1実施形態で説明した処理(図3及び図4を参照して説明した処理)と同じ処理によって、上限駆動力PW_limを決定する。
ただし、電動モータ42のロータの回転速度ω_act(観測値)の大きさ(絶対値)がωdot_lim_aに対応する所定値ωa(図3参照)以上である場合(換言すれば、ωdot_lim≧ωdot_lim_aとなる場合)に上限駆動力PW_limとして決定される許容最大駆動力PW_maxは、本実施形態では、ナット44とねじ軸45のコイルスプリング51との間の噛み合い状態を適切な状態(ナット44とねじ軸45のコイルスプリング51との間でボール46に作用する力が過大なものとならずに、ナット44とねじ軸45との間の動力伝達を正常に行い得る状態)に維持する上で許容される該コイルスプリング51の最大の伸縮量(圧縮方向又は伸長方向の弾性変形量)で、該コイルスプリング51が発生する弾性力である。
このような許容最大駆動力PW_maxは、第1実施形態と同様に、あらかじめ設計的あるいは実験的に設定される。
補足すると、第1実施形態で説明した場合と同様に、上限駆動力設定部25は、電動モータ42のロータの回転速度ω_act(観測値)に応じて直接的に(ωdot_limを決定する処理を行わずに)、上限駆動力PW_limを決定するようにしてもよい。
また、要素間駆動力PW_actが正極性である場合の上限駆動力PW_limと、要素間駆動力PW_actが負極性である場合の上限駆動力PW_limとを各別の値に設定するようにしてもよい。このことは、許容最大駆動力PW_max、あるいはこれに対応するコイルスプリング51の伸縮量である許容最大伸縮量DX_maxについても同様である。
次に、前記許容範囲設定部24には、要素間駆動力算出部22により算出された要素間駆動力PW_actが逐次入力される。そして、許容範囲設定部24は、各制御処理周期において、第1実施形態で説明した処理(図5を参照して説明した処理)と同じ処理によって、前記特性1〜4を有するように、要素間駆動力変化率許容範囲を設定する。
ただし、この場合において前記特性1〜3に関する伸縮量DXは、本実施形態では、コイルスプリング51の伸縮量である。
モータ制御部65は、各制御処理周期において、モータ基本加速度決定部21、要素間駆動力算出部22、要素間駆動力変化率算出部23、許容範囲設定部24、上限駆動力設定部25の処理を上記の如く実行した後、次に、第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27の処理を実行する。
これらの第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27の処理は、第1実施形態と同じである。
モータ制御部65は次に、目標モータ加速度算出部28により、第1実施形態と同じ演算(前記式(4)の演算)を実行することで、目標モータ加速度ωdot_cmdを決定する。
そして、モータ制御部65は、以上の如く決定した目標モータ加速度ωdot_cmdに応じて電動モータ42の通電制御を行う。具体的には、モータ制御部65は、目標モータ加速度ωdot_cmdに、電動モータ42のロータの回転系のイナーシャに相当する所定値を乗じることで、電動モータ42の目標トルク(出力トルクの目標値)を決定する。そして、モータ制御部65は、決定した目標トルクに応じて電動モータ42の通電電流の目標値を決定し、この目標値に実際の通電電流(観測値)を収束させるように、該通電電流をフィードバック制御する。
これにより、電動モータ42のロータが目標モータ加速度ωdot_cmdで回転するように制御される。
以上説明した実施形態によれば、基本的には、電動モータ42側からナット44及びねじ軸45を介して負荷部材43に実際に付与される駆動力が、目標負荷駆動力PWout_cmdに追従する(収束する)ように、電動モータ42のロータの回転量が制御される。
この状態で、負荷荷重が変動すると、それに伴いコイルスプリング51が伸縮して、該コイルスプリング51を介してナット44からねじ軸基体50に伝達される要素間駆動力PW_actが変動する。
このような要素間駆動力PW_actの変動によって、該要素間駆動力PW_actの大きさ(絶対値)が上限駆動力設定部25で設定された上限駆動力PW_limを超えた場合には、前記第1モータ加速度修正量算出部26により算出される第1モータ加速度修正量dωdot_1(≠0)によって、目標モータ加速度ωdot_cmdが修正される。これにより、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの大きさ(ひいては弾性力)を減少させるように、ナット44が電動モータ42により回転駆動される。
その結果、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの大きさ(絶対値)が前記許容最大駆動力PW_maxに対応する伸縮量DX_maxよりも過大なものとなるのが防止される。ひいては、ナット44とねじ軸45との間でボール46に作用する力が過大のものとならないように、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actが調整される。
また、第1実施形態と同様に、電動モータ42のロータの回転速度ω_actが前記所定の回転速度ωaよりも高速になった場合には、上限駆動力PW_limは、その大きさが許容最大駆動力PW_maxよりも小さくなるように設定される。このため、電動モータ42の出力トルクが、ロータの高速回転時に実際に実現可能なトルクに収まるように、目標モータ加速度ωdot_cmdが制限される。その結果、電動モータ42によるナット44及びねじ軸45の駆動を適切に行うことができる。
また、負荷荷重が比較的素早く変動すると、それに伴いコイルスプリング51が素早く伸縮しようとする。ひいては、要素間駆動力変化率PWdot_actの大きさが大きくなる。
このとき、要素間駆動力変化率PWdot_actが前記許容範囲設定部24で設定された要素間駆動力変化率許容範囲を逸脱した場合(PWdot_act>PWdot_lim_p又はPWdot_act<PWdot_lim_nとなった場合)には、第1実施形態と同様に、前記第2モータ加速度修正量算出部27により算出される第2モータ加速度修正量dωdot_2(≠0)によって、目標モータ加速度ωdot_cmdが修正される。
これにより、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの時間的変化率の大きさが過大にならないように、ナット44が電動モータ42により回転駆動される。
ここで、ナット44に対してねじ軸45が軸心方向に相対移動しようとしているときに、負荷荷重の素早い変動に応じてコイルスプリング51が素早く伸縮しようとすると、ナット44の端部(コイルスプリング51の伸縮部分寄り側の端部(図6では左型端部))におけるねじ軸45のねじ歯のピッチが急激に変化しようとすため、該端部におけるナット44とねじ軸45との噛み合いが不適切なものとなりやすい。
より詳しくは、ナット44の端部におけるねじ軸45とナット44との間でのボール46の円滑な転動が損なわれ、ひいては、ナット44とねじ軸45との間の滑らかな相対移動が損なわれやすくなる。そして、このような不都合は、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの大きさが大きいほど(要素間駆動力PW_actが大きいほど)、生じやすい。
しかるに、本実施形態では、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性1を有するように設定されるので、要素間駆動力PW_actの大きさが大きいほど、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの時間的変化率の大きさがより小さめに制限される。
また、コイルスプリング51が、ある程度圧縮又は伸長された状態(詳しくは、図5において0<PW_act<PWaとなる範囲で圧縮された状態、又は0>PW_act>−PWaとなる範囲で伸長された状態)では、ナット44がねじ軸45に対して軸心方向に相対移動しようとしているときに、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの大きさがさらに増加する方向に負荷荷重が素早く変動した場合よりも、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの大きさが減少する方向に負荷荷重が素早く変動した場合の方が、ナット44とねじ軸45との間の噛み合いが不適切なものとなりやすい。
すなわち、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの大きさが減少する方向に負荷荷重が素早く変動した場合には、ナット44の端部(コイルスプリング51の伸縮部分寄り側の端部)におけるねじ軸45のねじ歯のピッチが急激に変化することに加えて、ナット44及びねじ軸45の軸心方向でボール46に作用する力(並進力)の向きが急変しようとする。
このため、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの大きさがさらに増加する方向に負荷荷重が素早く変動した場合よりも、特に、ナット44の端部におけるねじ軸45とナット44との間でのボール46の円滑な転動がより一層、阻害されやすい。このため、ナット44とねじ軸45との間の滑らかな相対移動が損なわれやすくなる。
しかるに、本実施形態では、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性2を有するように設定されるので、コイルスプリング51が、上記の如くある程度圧縮された状態では、要素間駆動力変化率許容範囲の上限値PWdot_lim_pの絶対値よりも下限値PWdot_lim_nの絶対値が小さくなる。
このため、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、コイルスプリング51の伸縮量DX_act(>0)の大きさを増加させる(要素間駆動力PW_act(>0)の大きさを増加させる)方向の値(>0)である場合よりも、伸縮量DX_act(>0)の大きさを減少させる(要素間駆動力PW_act(>0)の大きさを減少させる)方向の値(<0)である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
また、コイルスプリング51が、上記の如くある程度伸長された状態では、前記特性2によって、要素間駆動力変化率許容範囲の下限値PWdot_lim_nの絶対値よりも上限値PWdot_lim_pの絶対値が小さくなる。
このため、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、スプリングウォーム4の伸縮量DX_act(<0)の大きさを増加させる(要素間駆動力PW_act(<0)の大きさを増加させる)方向の値(<0)である場合よりも、伸縮量DX_act(<0)の大きさを減少させる(要素間駆動力PW_act(<0)の大きさを減少させる)方向の値(>0)である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、スプリングウォーム4の伸縮量DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
さらに、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの大きさ(絶対値)が前記許容最大伸縮量DX_maxに近いものとなった状態(詳しくは、図5においてPW_max≧PW_act>PWaとなる範囲で圧縮された状態、又は−PW_max≦PW_act<−PWaとなる範囲で伸長された状態)では、ナット44がねじ軸45に対して軸心方向に相対移動しようとしているときに、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの大きさが減少する方向に負荷荷重が素早く変動した場合よりも、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの大きさがさらに増加する方向に負荷荷重が素早く変動した場合の方が、ナット44とねじ軸45との間の噛み合いが不適切なものとなりやすい。
これは、ナット44の端部(コイルスプリング51の伸縮部分寄りの端部)でのねじ軸45のねじ歯のピッチが、コイルスプリング51の許容最大伸縮量DX_maxに対応する許容限界のピッチに近いピッチ、あるいは、それを超えるピッチに変化しようとするため、ナット44の端部での該ナット44とねじ軸45との間のボール46の円滑な転動が阻害されやすいからである。
しかるに、本実施形態では、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性3を有するように設定されるので、コイルスプリング51が、上記の如く許容最大伸縮量DX_maxに近い大きさの伸縮量で圧縮された状態では、要素間駆動力変化率許容範囲の下限値PWdot_lim_nの絶対値よりも上限値PWdot_lim_pの絶対値が小さくなる。
このため、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、コイルスプリング51の伸縮量DX_act(>0)の大きさを減少させる(要素間駆動力PW_act(>0)の大きさを減少させる)方向の値(<0)である場合よりも、伸縮量DX_act(>0)の大きさを増加させる(要素間駆動力PW_act(>0)の大きさを増加させる)方向の値(>0)である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
また、コイルスプリング51が、上記の如く許容最大伸縮量DX_maxに近い大きさの伸縮量で伸長された状態では、要素間駆動力変化率許容範囲の上限値dot_lim_pの絶対値よりも下限値PWdot_lim_nの絶対値が小さくなる。
このため、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、コイルスプリング51の伸縮量DX_act(<0)の大きさを減少させる(要素間駆動力PW_act(<0)の大きさを減少させる)方向の値(>0)である場合よりも、伸縮量DX_act(<0)の大きさを増加させる(要素間駆動力PW_act(<0)の大きさを増加させる)方向の値(<0)である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
さらには、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性4を有するように設定されるので、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの大きさが許容最大伸縮量DX_maxに達した状態では、要素間駆動力変化率PWdot_actが、伸縮量DX_actをさらに増加させる方向の値(PW_actと同じ向き(極性)の値)にならないように制限される。
以上の如く、要素間駆動力変化率PWdot_actが、要素間駆動力PW_actに応じて設定される要素間駆動力変化率許容範囲から逸脱するのを防止するように制限されるので、ナット44とねじ軸45と間でのボール46の円滑な転動が阻害されるのを防止するように、コイルスプリング51の伸縮量DX_actの時間的変化率が調整される。
従って、本実施形態の動力伝達装置41によれば、ナット44とねじ軸45との噛み合いを適切な状態に維持しながら、電動モータ42から負荷部材43への動力伝達を行うことができる。
なお、本実施形態では、コイルスプリング51のバネ座53側と反対側の端部(図6では右側端部)は、自由端となっているが、該端部をねじ軸基体60に固定するようにしてもよい。
このようにした場合には、コイルスプリング51のうちのナット44からバネ座53側に突出した部分と、ナット44からバネ座53と反対側に突出した部分とは、逆向きに伸縮することとなる。
そして、この場合には、例えば、コイルスプリング51のうちのナット44からバネ座53側に突出した部分と、ナット44からバネ座53と反対側に突出した部分とのそれぞれにおけるねじ歯のピッチを適宜の変位センサにより計測することで、コイルスプリング51の当該両方の部分のそれぞれの伸縮量を観測することができる。ひいては、その伸縮量に応じてナット44からコイルスプリング51を介してねじ軸基体50に作用する駆動力(要素間駆動力)を観測できることとなる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図7及び図2を参照して説明する。なお、本実施形態の動力伝達装置71の構成は、第2実施形態の動力伝達装置41と一部の構成だけが相違するものである。従って、本実施形態の説明では、第2実施形態と同一の構成要素については、第2実施形態と同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
次に、本発明の第3実施形態を図7及び図2を参照して説明する。なお、本実施形態の動力伝達装置71の構成は、第2実施形態の動力伝達装置41と一部の構成だけが相違するものである。従って、本実施形態の説明では、第2実施形態と同一の構成要素については、第2実施形態と同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
図7を参照して、本実施形態の動力伝達装置71は、アクチュエータとしての電動モータ42と負荷部材43との間の動力伝達経路の途中に、互いに噛み合わされた噛み合わせ部分を有する駆動側要素及び被動側要素として、ボールねじ機構を構成するナット44及びねじ軸75を備える。
ただし、本実施形態では、ねじ軸75は、棒状のねじ軸基体75aの外周面に該ねじ軸基体75aと一体にねじ歯75bを形成した構造のものである。
そして、本実施形態では、ナット44の内側で、ナット44の歯溝とねじ軸75の歯溝とに嵌合する複数のボール76のそれぞれが弾性部材により構成されている。以降、ボール76を弾性ボール76という。
本実施形態の動力伝達装置71の機構的な構造は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。
このように構成された動力伝達装置71では、電動モータ42を作動させる(出力トルクを発生させる)と、ナット44に回転駆動力が付与されることで、ねじ軸75が軸心方向に移動(直動)しようとする。
このとき、負荷部材43側からねじ軸75に作用する負荷荷重(ねじ軸75の軸心方向の並進力)に応じて、ナット44とねじ軸75との間の各弾性ボール76が圧縮されることで、ナット44から弾性ボール76を介してねじ軸75に弾性的に駆動力(並進駆動力)が伝達される。さらに該駆動力がねじ軸75から負荷部材43に伝達される。これにより、電動モータ42から出力される回転駆動力が並進駆動力に変換された上で、負荷部材43に伝達される。
この場合、ナット44の内側で該ナット44とねじ軸75との間に介在する全ての弾性ボール76の圧縮(弾性変形)によって、ねじ軸75がナット44に対して軸心方向に相対変位する。以降、その相対変位量をばね性変位量という。
そして、ナット44からボール46を介してねじ軸75に作用する駆動力は、上記ばね性変位量にほぼ比例する。すなわち、ナット44に対するねじ軸75のばね性変位量をDX、ナット44から弾性ボール76を介してねじ軸75に作用する駆動力(並進駆動力)をPW、ばね性変位量DXの変化(これは弾性ボール76の圧縮量の変化に相当する)に対する弾性力の変化の感度(DXの単位変化量あたりの弾性力の変化量)を表す剛性係数(所謂、ばね定数)をKeと表記すると、DXとPWとの間の関係は次式(12)により表される。
PW=−DX×Ke ……(12)
なお、PW、DX、Keは、第1実施形態又は第2実施形態でも使用した参照符号であるが、本実施形態では、上記の意味で使用する。この場合、PWは、ナット44の内側で該ナット44とねじ軸75との間に介在する全ての弾性ボール76の圧縮(弾性変形)によって発生する全体の弾性力(ねじ軸75の軸心方向の弾性力)に相当し、Keは、当該全ての弾性ボール76の全体の剛性係数に相当する。
また、ナット44に対するねじ軸75のばね性変位量DXの極性は、ねじ軸75の軸心方向の一方側(図7の右向き又は左向き)の変位量が正極性、他方側への変位量が負極性である。以降の説明では、便宜上、図7の右向きへのばね性変位量DX及び駆動力PWを正極性、左向きへのばね性変位量DXを負極性と定義する。この場合、式(12)により規定される駆動力PWの正方向は、図7において左向きとなる。
上記の如く、ナット44から弾性ボール76を介してねじ軸75に作用する駆動力PWは、ナット44に対するねじ軸75のばね性変位量DXにほぼ比例する。
このため、上記ばね性変位量DXを制御することで、ナット44から弾性ボール76を介してねじ軸75に伝達される駆動力(並進駆動力)PW、ひいては、電動モータ42から負荷部材43に伝達される駆動力を制御できることとなる。
また、ナット44から弾性ボール76を介してねじ軸75に伝達される駆動力PWと、負荷部材43側からねじ軸75に作用する負荷荷重とが釣り合っている状態で、負荷荷重の変動が生じると、それに応じて弾性ボール76の圧縮量が変化する。従って、負荷荷重の変動に伴う負荷部材43の運動エネルギーが弾性ボール76の弾性エネルギーに変換されて吸収される。
本実施形態の動力伝達装置71は、ナット44からねじ軸75に伝達される駆動力を制御するために、第2実施形態と同様に制御装置81及び速度センサ63と備えると共に、ねじ軸75のばね性変位量DXを観測するための変位センサ82を備える。変位センサ82の出力(検出信号)は、速度センサ63の出力と共に制御装置81に入力される。
上記変位センサ82は、本実施形態では、ナット44に対するねじ軸75の相対変位量(ねじ軸75の軸心方向での相対変位量)に応じた検出信号を出力するセンサである。該変位センサ82は、例えば光学式センサ、渦電流式センサ等の公知の変位センサにより構成される。
ここで、弾性ボール76の弾性変形が発生していない状態では、ナット44に対するねじ軸75の相対変位量(以降、これを基本相対変位量という)は、ナット44の回転量(基準の回転角度位置からの回転角度)に応じて規定される。そして、ナット44の回転量は、ロータリエンコーダ等により構成される速度センサ63の出力から認識される電動モータ42のロータの回転角度(観測値)と、電動モータ42からナット44への減速比(本実施形態では、プーリ・ベルト式の動力伝達機構の減速比)とから推定できる。
また、変位センサ82の出力から認識されるねじ軸75の相対変位量は、上記基本相対変位量と、前記ばね性変位量DXとの合成変位量となる。このため、この合成変位量から基本相対変位量を減算したものが、ばね性変位量DXとなる。
従って、変位センサ82の出力から認識されるねじ軸75の相対変位量(観測値)と、速度センサ63の出力から認識される電動モータ42のロータの回転角度(観測値)と、電動モータ42からナット44への減速比の値(本実施形態では一定値)とから、ばね性変位量DXの観測値を得ることができることとなる。
なお、速度センサ63とは別に、ナット44の回転量を直接的に観測するためのロータリエンコーダ等のセンサを備えるようにしてもよい。この場合、該センサの出力から認識されるナット44の回転量(観測値)と、変位センサ82の出力から認識されるねじ軸75の相対変位量(観測値)とから、ばね性変位量DXの観測値を得ることができる。
制御装置81は、実装されるプログラムにより実現される機能、又はハードウェア構成により実現される機能として、電動モータ42の運転制御を担うモータ制御部85を備える。
モータ制御部85は、ねじ軸75の実際の相対変位量の観測値と、電動モータ42のロータの実際の回転速度の観測値を用いて、電動モータ42の制御用操作量を後述する如く逐次決定する。該制御用操作量は、第2実施形態と同様に、電動モータ42のロータの目標回転角加速度(又は目標トルク)である。
そして、モータ制御部85は、決定した制御用操作量に応じて電動モータ42の通電電流を制御することで、該電動モータ42の運転制御を行う。
この場合、ナット44から弾性ボール76を介してねじ軸75に伝達される駆動力(並進駆動力)の大きさ、あるいは、該駆動力の時間的変化率を所要の範囲に制限するように、電動モータ42の運転制御が行われる。
次に、モータ制御部85による制御処理を詳細に説明する。なお、以降の説明では、第1実施形態又は第2実施形態と同様に、任意の状態量の実際の値、あるいは、その観測値を参照符号で示す場合に、添え字“_act”を付する。
図2を参照して、本実施形態のモータ制御部85は、その機能として、第1実施形態又は第2実施形態のモータ制御部15,65と同様の機能を有する。すなわち、モータ制御部85は、モータ基本加速度決定部21、要素間駆動力算出部22、要素間駆動力変化率算出部23、許容範囲設定部24、上限駆動力設定部25と、第1モータ加速度修正量算出部26、第2モータ加速度修正量算出部27、及び目標モータ加速度算出部28を有する。
そして、モータ制御部85は、上記各機能部の処理を第2実施形態と同様の仕方で実行する。
すなわち、モータ制御部85は、各制御処理周期において、まず、モータ基本加速度決定部21、要素間駆動力算出部22、要素間駆動力変化率算出部23、許容範囲設定部24、上限駆動力設定部25の処理を実行する。
モータ基本加速度決定部21には、負荷部材43に付与する駆動力(並進駆動力)の目標値である目標負荷駆動力PWout_cmdが逐次入力される。
目標負荷駆動力PWout_cmdは、第1実施形態と同様に、負荷部材43の動作状態等に応じて制御装置81で逐次決定され、あるいは、外部のサーバー等から制御装置81に与えられる。本実施形態では、目標負荷駆動力PWout_cmdは、ねじ軸75の並進駆動力の目標値でもある。
そして、モータ基本加速度決定部21は、各制御処理周期において、第1実施形態と同様に、入力された目標負荷駆動力PWout_cmdから、あらかじめ設定されたマップ又は演算式により、モータ基本加速度ωdot_baseを決定する。
なお、モータ基本加速度ωdot_baseの決定の仕方は、上記の手法に限られるものではなく、任意の手法を採用し得る。
例えば次のようにモータ基本加速度ωdot_baseの決定するようにしてもよい。すなわち、モータ基本加速度決定部21は、各制御処理周期において、現在の目標負荷駆動力PWout_cmd(ねじ軸75の目標並進駆動力)を、ナット44とねじ軸75との間に介在する弾性ボール76の全体の剛性係数に相当する剛性係数Ke(あらかじめ定められた定数値)で除算することで、ばね性変位量DXの目標値としての目標ばね性変位量DX_cmdを決定する。
さらにモータ基本加速度決定部21は、目標ばね性変位量DX_cmdと、現在の実際のばね性変位量DX_act(観測値)との偏差に所定値(既定値)のゲインを乗じることによって、電動モータ42のロータの目標回転速度ω_cmdを決定する。
そして、モータ基本加速度決定部21は、電動モータ42のロータの目標回転速度ω_cmdと、該ロータの現在の実際の回転速度ω_act(観測値)との偏差に所定値(既定値)のゲインを乗じることによって、モータ基本加速度ωdot_baseを決定する。
この他、例えば、米国特許5910720号に説明されている手法を用いてモータ基本加速度ωdot_baseを決定するようにしてもよい。
次に、要素間駆動力算出部22には、ねじ軸75の実際のばね性変位量DX_actの観測値が逐次入力される。そして、要素間駆動力算出部22は、各制御処理周期において、前記式(12)の右辺のDXの値をDX_actとしてなる式により算出されるPWの値を、要素間駆動力PW_act(観測値)として算出する。
次に、要素間駆動力変化率算出部23は、第1実施形態と同じ処理(要素間駆動力PW_actの時間的変化率を求める微分演算)により、要素間駆動力変化率PWdot_act(観測値)を算出する。
なお、要素間駆動力PW_actの時間的変化率を微分演算により算出した後に、該算出値にローパス特性のフィルタリング処理を施してなる値を、要素間駆動力変化率PWdot_act(観測値)として得るようにしてもよい。
また、ねじ軸75のばね性変位量DX_actの時間的変化率(又は、これにローパス特性のフィルタリング処理を施してなる値)に、剛性係数Keを乗じることによって、要素間駆動力変化率PWdot_actを算出するようにしてもよい。
次に、上限駆動力設定部25には、電動モータ42のロータの実際の回転速度ω_actの観測値が逐次入力される。そして、上限駆動力設定部25は、各制御処理周期において、第1実施形態で説明した処理(図3及び図4を参照して説明した処理)と同じ処理によって、上限駆動力PW_limを決定する。
ただし、電動モータ42のロータの回転速度ω_act(観測値)の大きさ(絶対値)がωdot_lim_aに対応する所定値ωa(図3参照)以上である場合(換言すれば、ωdot_lim≧ωdot_lim_aとなる場合)に上限駆動力PW_limとして決定される許容最大駆動力PW_maxは、本実施形態では、ナット44とねじ軸75との噛み合い状態を適切な状態(ナット44とねじ軸45との間で弾性ボール76に作用する力が過大なものとならずに(弾性ボール76が過剰に圧縮されずに)、ナット44とねじ軸75との間の動力伝達を正常に行い得る状態)に維持する上で許容される最大のばね性変位量である。
このような許容最大駆動力PW_maxは、第1実施形態と同様に、あらかじめ設計的あるいは実験的に設定される。
補足すると、上限駆動力設定部25は、電動モータ42のロータの回転速度ω_act(観測値)に応じて直接的に(ωdot_limを決定する処理を行わずに)、上限駆動力PW_limを決定するようにしてもよい。
また、要素間駆動力PW_actが正極性である場合の上限駆動力PW_limと、要素間駆動力PW_actが負極性である場合の上限駆動力PW_limとを各別の値に設定するようにしてもよい。このことは、許容最大駆動力PW_max、あるいはこれに対応するばね性変位量DXである許容最大ばね性変位量DX_maxについても同様である。
次に、前記許容範囲設定部24には、要素間駆動力算出部22により算出された要素間駆動力PW_actが逐次入力される。そして、許容範囲設定部24は、各制御処理周期において、第1実施形態で説明した処理(図5を参照して説明した処理)と同じ処理によって、前記特性1〜4を有するように、要素間駆動力変化率許容範囲を設定する。
ただし、この場合において前記特性1〜3に関する伸縮量DXは、本実施形態では、ナット44に対するねじ軸75のばね性変位量である。
モータ制御部85は、各制御処理周期において、モータ基本加速度決定部21、要素間駆動力算出部22、要素間駆動力変化率算出部23、許容範囲設定部24、上限駆動力設定部25の処理を上記の如く実行した後、次に、第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27の処理を実行する。
これらの第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27の処理は、第1実施形態又は第2実施形態と同じである。
モータ制御部85は次に、目標モータ加速度算出部28により、第1実施形態と同じ演算(前記式(4)の演算)を実行することで、目標モータ加速度ωdot_cmdを決定する。
そして、モータ制御部85は、以上の如く決定した目標モータ加速度ωdot_cmdに応じて電動モータ42の通電制御を行う。具体的には、モータ制御部85は、目標モータ加速度ωdot_cmdに、電動モータ42のロータの回転系のイナーシャに相当する所定値を乗じることで、電動モータ42の目標トルク(出力トルクの目標値)を決定する。そして、モータ制御部85は、決定した目標トルクに応じて電動モータ42の通電電流の目標値を決定し、この目標値に実際の通電電流(観測値)を収束させるように、該通電電流をフィードバック制御する。
これにより、電動モータ42のロータが目標モータ加速度ωdot_cmdで回転するように制御される。
以上説明した実施形態によれば、基本的には、電動モータ42側からナット44及びねじ軸75を介して負荷部材43に実際に付与される駆動力が、目標負荷駆動力PWout_cmdに追従する(収束する)ように、電動モータ42のロータの回転量が制御される。
この状態で、負荷荷重が変動すると、それに伴う弾性ボール76の圧縮によってばね性変位量DX_actが変化して、該弾性ボール76を介してナット44からねじ軸75に伝達される要素間駆動力PW_actが変動する。
このような要素間駆動力PW_actの変動によって、該要素間駆動力PW_actの大きさ(絶対値)が上限駆動力設定部25で設定された上限駆動力PW_limを超えた場合には、前記第1モータ加速度修正量算出部26により算出される第1モータ加速度修正量dωdot_1(≠0)によって、目標モータ加速度ωdot_cmdが修正される。これにより、ばね性変位量DX_actの大きさ(ひいては弾性ボール76の圧縮量)を減少させるように、ナット44が電動モータ42により回転駆動される。
その結果、ばね性変位量DX_actの大きさ(絶対値)が前記許容最大駆動力PW_maxに対応する許容最大ばね性変位量DX_maxよりも過大なものとなるのが防止される。ひいては、ナット44とねじ軸75との間で弾性ボール46が過剰に圧縮されないように、ナット44とねじ軸75との間のばね性変位量DX_actが調整される。
また、第1実施形態と同様に、電動モータ42のロータの回転速度ω_actが前記所定の回転速度ωaよりも高速になった場合には、上限駆動力PW_limは、その大きさが許容最大駆動力PW_maxよりも小さくなるように設定される。このため、電動モータ42の出力トルクが、ロータの高速回転時に実際に実現可能なトルクに収まるように、目標モータ加速度ωdot_cmdが制限される。その結果、電動モータ42によるナット44及びねじ軸75の駆動を適切に行うことができる。
また、負荷荷重が比較的素早く変動すると、それに伴い、弾性ボール76の圧縮量、ひては、ばね性変位量DX_actが素早く変化しようとする。ひいては、要素間駆動力変化率PWdot_actの大きさが大きくなる。
このとき、要素間駆動力変化率PWdot_actが前記許容範囲設定部24で設定された要素間駆動力変化率許容範囲を逸脱した場合(PWdot_act>PWdot_lim_p又はPWdot_act<PWdot_lim_nとなった場合)には、第1実施形態と同様に、前記第2モータ加速度修正量算出部27により算出される第2モータ加速度修正量dωdot_2(≠0)によって、目標モータ加速度ωdot_cmdが修正される。
これにより、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、ばね性変位量DX_actの時間的変化率の大きさが過大にならないように、ナット44が電動モータ42により回転駆動される。
ここで、ナット44に対してねじ軸75が軸心方向に相対移動しようとしているときに、負荷荷重の素早い変動に応じて弾性ボール76の圧縮量が素早く変化しようとすると、ナット44とねじ軸75との間に介在する弾性ボール76の形状が急激に変化すると共に、該弾性ボール76とねじ軸75又はナット44のねじ歯とのクリアランスが急激に変化しようとすため、ナット44とねじ軸75との噛み合いが不適切なものとなりやすい。
より詳しくは、弾性ボール76の円滑な転動が損なわれ、ひいては、ナット44とねじ軸75との間の滑らかな相対移動が損なわれやすくなる。そして、このような不都合は、ナット44とねじ軸75との間のばね性変位量DX_actの大きさが大きいほど(要素間駆動力PW_actが大きいほど)、生じやすい。
しかるに、本実施形態では、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性1を有するように設定されるので、要素間駆動力PW_actの大きさが大きいほど、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、ばね性変位量DX_actの時間的変化率の大きさがより小さめに制限される。
また、ナット44とねじ軸75との間に介在する弾性ボール76が、ある程度圧縮された状態(詳しくは、図5において0<PW_act<PWaとなる範囲、又は0>PW_act>−PWaとなる範囲で圧縮された状態)では、ナット44がねじ軸75に対して軸心方向に相対移動しようとしているときに、ばね性変位量DX_actの大きさがさらに増加する方向に負荷荷重が素早く変動した場合よりも、ばね性変位量DX_actの大きさが減少する方向に負荷荷重が素早く変動した場合の方が、ナット44とねじ軸75との間の噛み合いが不適切なものとなりやすい。
すなわち、ナット44とねじ軸75との間のばね性変位量DX_actの大きさが減少する方向に負荷荷重が素早く変動した場合には、ナット44とねじ軸75との間に介在する弾性ボール76の変形量が急激に変化することに加えて、該弾性ボール76に作用する力(並進力)の向きが急変しようとする。このため、ばね性変位量DX_actの大きさがさらに増加する方向に負荷荷重が素早く変動した場合よりも、ねじ軸75とナット44との間での弾性ボール76の円滑な転動がより一層、阻害されやすい。このため、ナット44とねじ軸75との間の滑らかな相対移動が損なわれやすくなる。
しかるに、本実施形態では、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性2を有するように設定される。
このため、ばね性変位量DX_actが正の値となるように弾性ボール76がある程度圧縮された状態では、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、ばね性変位量DX_act(>0)の大きさを増加させる(要素間駆動力PW_act(>0)の大きさを増加させる)方向の値(>0)である場合よりも、ばね性変位量DX_act(>0)の大きさを減少させる(要素間駆動力PW_act(>0)の大きさを減少させる)方向の値(<0)である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、ばね性変位量DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
また、ばね性変位量DX_actが負の値となるように弾性ボール76がある程度圧縮された状態では、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、ばね性変位量DX_act(<0)の大きさを増加させる(要素間駆動力PW_act(<0)の大きさを増加させる)方向の値(<0)である場合よりも、ばね性変位量DX_act(<0)の大きさを減少させる(要素間駆動力PW_act(<0)の大きさを減少させる)方向の値(>0)である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、ばね性変位量DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
さらに、ばね性変位量DX_actの大きさ(絶対値)が前記許容最大ばね性変位量DX_maxに近いものとなった状態(詳しくは、図5においてPW_max≧PW_act>PWaとなる範囲、又は−PW_max≦PW_act<−PWaとなる範囲で弾性ボール76が圧縮された状態)では、ナット44がねじ軸75に対して軸心方向に相対移動しようとしているときに、ばね性変位量DX_actの大きさが減少する方向に負荷荷重が素早く変動した場合よりも、ばね性変位量DX_actの大きさがさらに増加する方向に負荷荷重が素早く変動した場合の方が、ナット44とねじ軸75との間の噛み合いが不適切なものとなりやすい。
これは、ナット44とねじ軸75との間に介在する弾性ボール76の圧縮量が、許容最大ばね性変位量DX_maxに対応する許容限界の圧縮量に近い圧縮量、あるいは、それを超える圧縮量に変化しようとするため、該弾性ボール76の円滑な転動が阻害されやすいからである。
しかるに、本実施形態では、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性3を有するように設定される。
このため、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、弾性ボール76の圧縮量を減少方向の値である場合よりも、該弾性ボール76の圧縮量を増加させる方向の値である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、ばね性変位量DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
さらには、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性4を有するように設定されるので、ばね性変位量DX_actの大きさが許容最大ばね性変位量DX_maxに達した状態では、要素間駆動力変化率PWdot_actが、ばね性変位量DX_actをさらに増加させる方向の値(PW_actと同じ向き(極性)の値)にならないように制限される。
以上の如く、要素間駆動力変化率PWdot_actが、要素間駆動力PW_actに応じて設定される要素間駆動力変化率許容範囲から逸脱するのを防止するように制限されるので、ナット44とねじ軸75と間でのボール76の円滑な転動が阻害されるのを防止するように、ばね性変位量DX_actの時間的変化率が調整される。
従って、本実施形態の動力伝達装置71によれば、ナット44とねじ軸75との噛み合いを適切な状態に維持しながら、電動モータ42から負荷部材43への動力伝達を行うことができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図8及び図2を参照して説明する。なお、本実施形態では、モータ制御部の機能的構成が第1実施形態と同様であることから、その説明のためのブロック図として図2を使用する。
次に、本発明の第4実施形態を図8及び図2を参照して説明する。なお、本実施形態では、モータ制御部の機能的構成が第1実施形態と同様であることから、その説明のためのブロック図として図2を使用する。
図8(a)を参照して、本実施形態の動力伝達装置91は、アクチュエータ92と負荷部材93との間の動力伝達経路の途中に波動歯車装置94を備え、アクチュエータ92が出力する駆動力を波動歯車装置94を介して負荷部材93に伝達する。
アクチュエータ92は、前記第1実施形態等と同様に、回転型アクチュエータとしての電動モータである。以降、アクチュエータ92を電動モータ92という。この電動モータ92は、第1実施形態と同様に、そのロータ(図示省略)と一体に回転自在な出力軸92aを有する。この電動モータ92のロータ又は出力軸92aが本発明における電動モータの出力部に相当する。
波動歯車装置94は、その基本構成要素として、図8(b)に示す如く、ウェーブジェネレータ94a、サーキュラスプライン94b、及びフレックススプライン94cを有する公知の構造のものである。
フレックススプライン94cは、弾性部材により環状に構成されており、その外周に歯及び歯溝が形成されている。このフレックススプライン94cは、その内側に配置されるウェーブジェネレータ94aにより楕円状に変形されると共に、その長軸がウェーブジェネレータ94aの回転に伴い回転するようになっている。
そして、フレックススプライン94cの長軸方向の両端部は、該フレックススプライン94cの外側にウェーブジェネレータ94aと同軸心に配置される内歯車状のサーキュラスプライン94bに噛み合わされている。
本実施形態では、このように噛み合わされたフレックススプライン94c及びサーキュラスプライン94bが、それぞれ本発明における駆動側要素、被動側要素に相当する。
このように構成された波動歯車装置94では、ウェーブジェネレータ94aを回転駆動すると、フレックススプライン94cの長軸が回転する。これに伴い、駆動側要素としてのフレックススプライン94cと被動側要素としてのサーキュラスプライン94bとの噛み合い部が移行しつつ、サーキュラスプライン94bが、ウェーブジェネレータ94aよりも低速で回転する。
これにより、ウェーブジェネレータ94aからサーキュラスプライン94bにフレックススプライン94cを介して駆動力(回転駆動力)が伝達される。
そして、本実施形態では、ウェーブジェネレータ94aが電動モータ92の出力軸92aと一体に回転するように該出力軸92aに連結されている。
また、負荷部材93が、サーキュラスプライン94bと一体に回転するように該サーキュラスプライン94bに連結されている。該負荷部材93は、任意の構造物又は機構でよい。
以上が本実施形態の動力伝達装置91の機構的な構造である。
このように構成された動力伝達装置91では、電動モータ92を作動させる(出力トルクを発生させる)と、波動歯車装置94のウェーブジェネレータ94aに回転駆動力が付与され、この回転駆動力がフレックススプライン94c及びサーキュラスプライン94bを介して負荷部材93に伝達される。
このとき、フレックススプライン94cの形状は概ね楕円形状に維持されるものの、負荷部材93側からサーキュラスプライン94bに作用する負荷荷重(負荷トルク)に応じて、フレックススプライン94cの変形形状が若干変動する。このフレックススプライン94cの変形形状の変動に応じて、フレックススプライン94cとサーキュラスプライン94bとの噛み合いの歯数が変動するために、ウェーブジェネレータ94aの単位回転量当たりのサーキュラスプライン94bの回転量が(換言すれば、波動歯車装置94の実際の減速比が)変動する。
従って、例えば、波動歯車装置94の実際の減速比と、該波動歯車装置94の基準の(定格の)減速比との差は、フレックススプライン94cの弾性変形量の度合を示す指標となる。
そこで、本実施形態では、波動歯車装置94の実際の減速比と基準の減速比との差を、フレックススプライン94cの弾性変形量を表すものとして用い、以降、当該差を弾性変形量指標DXと称する。この場合、フレックススプライン94cの弾性変形(基準の減速比に対応する変形状態からの弾性変形)に応じて発生する弾性力によってサーキュラスプライン94bに作用する駆動力(回転駆動力)をPW、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DXの変化に対する駆動力PWの変化の感度を表す剛性係数(所謂、ばね定数)をKeと表記すると、DXとPWとの間の関係は、次式(13)により表されるとみなすことができる。
PW=DX×Ke ……(13)
なお、PW、DX、Keは、第1〜第3実施形態でも使用した参照符号であるが、本実施形態では、上記の意味で使用する。
なお、弾性変形量指標DXの極性は、波動歯車装置94の実際の減速比が基準の減速比よりも大きいか、あるいは、小さいかに依存する。本実施形態では、便宜上、波動歯車装置94の実際の減速比が基準の減速比よりも大きい場合における弾性変形量指標DXの極性を正とする。また、弾性変形量指標DXが正極性であるときに、フレックススプライン94cの弾性変形によってサーキュラスプライン94bに作用する駆動力PWの向きを該駆動力PWの正方向とする。
上記式(13)により、弾性変形量指標DXを調整することで、サーキュラスプライン94bに作用する駆動力PW(回転駆動力)を調整でき、ひいては、波動歯車装置94の入力側(電動モータ92側)から負荷部材93側に伝達される駆動力を調整できることとなる。
本実施形態の動力伝達装置91は、電動モータ92から負荷部材93に伝達される駆動力を制御するために、CPU、RAM、ROM等を含む電子回路ユニットにより構成される制御装置101と、電動モータ92のロータ(又は出力軸92a)の回転速度を観測するための速度センサ102と、波動歯車装置94の出力部であるサーキュラスプライン94bの回転速度を観測するための速度センサ103とを備える。速度センサ102,103の出力(検出信号)は制御装置101に入力される。
速度センサ102は、第1実施形態における速度センサ13と同様に、電動モータ92に装着されたロータリーエンコーダ、レゾルバ等のセンサにより構成され、電動モータ92のロータの回転速度(角速度)に応じた検出信号を出力する。
また速度センサ103は、負荷部材93に波動歯車装置94と同軸心に装着されたロータリーエンコーダ、レゾルバ等のセンサにより構成され、波動歯車装置94のサーキュラスプライン94bの回転速度(=負荷部材93の回転速度)に応じた検出信号を出力する。
ここで、速度センサ102の出力により示される回転速度(観測値)を、速度センサ103の出力により示される回転速度(観測値)で除算してなる値が、波動歯車装置94の実際の減速比の観測値を示すものとなる。そして、該減速比の観測値から、波動歯車装置94の基準の減速比(これはあらかじめ定められた定数値である)を減算することで、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DXの観測値が得られることとなる。従って、速度センサ102,103は、本実施形態では、前記弾性変形量指標DXの実際の値を観測するためのセンサとして使用される。
制御装置101は、実装されるプログラムにより実現される機能、又はハードウェア構成により実現される機能として、電動モータ92の運転制御を担うモータ制御部105を備える。
モータ制御部105は、速度センサ102,103の出力に基づきそれぞれ逐次取得した回転速度の観測値を用いて、電動モータ92の制御用操作量(制御入力)を後述する如く逐次決定する。該制御用操作量は、第1実施形態と同様に、電動モータ92のロータの目標回転角加速度である。なお、制御用操作量は、例えば電動モータ92の目標トルクであってもよい。
そして、モータ制御部105は、決定した制御用操作量に応じて電動モータ92の通電電流を制御することで、該電動モータ92の運転制御を行う。
この場合、波動歯車装置94のフレックススプライン94cの弾性変形(弾性変形量指標DXに対応する弾性変形)によりサーキュラスプライン94bに作用する駆動力PW(回転駆動力)の大きさ、あるいは、該駆動力PWの時間的変化率を所要の範囲内に制限するように、電動モータ92の運転制御が行われる。
次に、モータ制御部105による制御処理を詳細に説明する。なお、以降の説明では、第1実施形態と同様に、任意の状態量の実際の値、あるいは、その観測値を参照符号で示す場合に、添え字“_act”を付する。
図2を参照して、本実施形態のモータ制御部105は、その機能として、第1実施形態のモータ制御部15と同様の機能を有する。すなわち、モータ制御部105は、第1実施形態のモータ制御部15と同様に、モータ基本加速度決定部21、要素間駆動力算出部22、要素間駆動力変化率算出部23、許容範囲設定部24、上限駆動力設定部25と、第1モータ加速度修正量算出部26、第2モータ加速度修正量算出部27、及び目標モータ加速度算出部28を有する。
この場合、本実施形態では、モータ基本加速度決定部21は、電動モータ92のロータの回転角加速度ωdot(モータ加速度ωdot)の基本目標値たるモータ基本加速度ωdot_baseを決定する機能部、要素間駆動力算出部22は、フレックススプライン94cの弾性変形によりサーキュラスプライン94bに作用する駆動力である要素間駆動力PWの実際の値PW_actの観測値を取得する機能部、要素間駆動力変化率算出部23は、要素間駆動力PWの時間的変化率(単位時間当たりの変化量)である要素間駆動力変化率PWdotの実際の値PWdot_actの観測値を取得する機能部である。
また、許容範囲設定部24は、要素間駆動力変化率PWdotの許容範囲である要素間駆動力変化率許容範囲を設定する機能部、上限駆動力設定部25は、要素間駆動力PWの大きさ(絶対値)の上限値PW_limである上限駆動力PW_limを設定する機能部である。
また、第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27は、それぞれ、モータ基本加速度ωdot_baseを修正するための第1モータ加速度修正量dωdot_1、第2モータ加速度修正量dωdot_2を各々算出する機能部、第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27と、目標モータ加速度算出部28は、モータ基本加速度ωdot_baseを第1モータ加速度修正量dωdot_1及び第2モータ加速度修正量dωdot_2により修正する演算処理を実行する機能部である。
本実施形態のモータ制御部105が、上記の各機能部の処理を、第1実施形態と概ね同様の仕方で実行する。そこで、以降の説明では、第1実施形態と相違する事項を中心に説明する。
モータ制御部105は、各制御処理周期において、まず、モータ基本加速度決定部21、要素間駆動力算出部22、要素間駆動力変化率算出部23、許容範囲設定部24、上限駆動力設定部25の処理を実行する。
モータ基本加速度決定部21には、負荷部材93に付与する駆動力(回転駆動力)の目標値である目標負荷駆動力PWout_cmdが逐次入力される。
目標負荷駆動力PWout_cmdは、第1実施形態と同様に、負荷部材93の動作状態等に応じて制御装置101で逐次決定され、あるいは、外部のサーバー等から制御装置101に与えられる。本実施形態では、目標負荷駆動力PWout_cmdは、波動歯車装置94のサーキュラスプライン94bの回転駆動力の目標値でもある。
そして、モータ基本加速度決定部21は、各制御処理周期において、第1実施形態と同様に、入力された目標負荷駆動力PWout_cmdから、あらかじめ設定されたマップ又は演算式により、モータ基本加速度ωdot_baseを決定する。
なお、モータ基本加速度ωdot_baseの決定の仕方は、上記の手法に限られるものではなく、任意の手法を採用し得る。
例えば米国特許5910720号に説明されている手法を用いてモータ基本加速度ωdot_baseを決定するようにしてもよい。
次に、要素間駆動力算出部22には、フレックススプライン94cの実際の弾性変形量指標DX_actの観測値が逐次入力される。そして、要素間駆動力算出部22は、各制御処理周期において、前記式(13)の右辺のDXの値をDX_actとしてなる式により算出されるPWの値を、要素間駆動力PW_act(観測値)として算出する。
次に、要素間駆動力変化率算出部23は、第1実施形態と同様に、各制御処理周期において、要素間駆動力算出部22が算出した要素間駆動力PW_actの時間的変化率を算出する微分演算を実行することで、要素間駆動力変化率PWdot_act(観測値)を算出する。
なお、第1実施形態の場合と同様に、要素間駆動力PW_actの時間的変化率を微分演算により算出した後に、該算出値にローパス特性のフィルタリング処理を施してなる値を、要素間駆動力変化率PWdot_act(観測値)として得るようにしてもよい。
また、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DX_actの時間的変化率(又は、これにローパス特性のフィルタリング処理を施してなる値)に、式(13)における剛性係数Keを乗じることによって、要素間駆動力変化率PWdot_actを算出するようにしてもよい。
次に、上限駆動力設定部25には、電動モータ92のロータの実際の回転速度ω_actの観測値が逐次入力される。そして、上限駆動力設定部25は、各制御処理周期において、第1実施形態で説明した処理(図3及び図4を参照して説明した処理)と同じ処理によって、上限駆動力PW_limを決定する。
ただし、電動モータ92のロータの回転速度ω_act(観測値)の大きさ(絶対値)がωdot_lim_aに対応する所定値ωa(図3参照)以上である場合(換言すれば、ωdot_lim≧ωdot_lim_aとなる場合)に上限駆動力PW_limとして決定される許容最大駆動力PW_maxは、本実施形態では、フレックススプライン94cとサーキュラスプライン94bとの間の噛み合い状態を適切な状態(波動歯車装置94での動力伝達を正常に行い得る状態)に維持する上で許容される最大の弾性変形量指標DXに対応する最大の要素間駆動力である。
このような許容最大駆動力PW_maxは、第1実施形態と同様に、あらかじめ設計的あるいは実験的に設定される。
補足すると、第1実施形態で説明した場合と同様に、上限駆動力設定部25は、電動モータ92のロータの回転速度ω_act(観測値)に応じて直接的に(ωdot_limを決定する処理を行わずに)、上限駆動力PW_limを決定するようにしてもよい。
また、要素間駆動力PW_actが正極性である場合の上限駆動力PW_limと、要素間駆動力PW_actが負極性である場合の上限駆動力PW_limとを各別の値に設定するようにしてもよい。このことは、許容最大駆動力PW_max、あるいはこれに対応するフレックススプライン94cの弾性変形量指標DXである許容最大弾性変形量指標DX_maxについても同様である。
次に、前記許容範囲設定部24には、要素間駆動力算出部22により算出された要素間駆動力PW_actが逐次入力される。そして、許容範囲設定部24は、各制御処理周期において、第1実施形態で説明した処理(図5を参照して説明した処理)と同じ処理によって、前記特性1〜4を有するように、要素間駆動力変化率許容範囲を設定する。
ただし、この場合において前記特性1〜3に関するDXは、本実施形態では、フレックススプライン94cの弾性変形用指標である。
モータ制御部105は、各制御処理周期において、モータ基本加速度決定部21、要素間駆動力算出部22、要素間駆動力変化率算出部23、許容範囲設定部24、上限駆動力設定部25の処理を上記の如く実行した後、次に、第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27の処理を実行する。
これらの第1モータ加速度修正量算出部26及び第2モータ加速度修正量算出部27の処理は、第1実施形態と同じである。
モータ制御部105は次に、目標モータ加速度算出部28により、第1実施形態と同じ演算(前記式(4)の演算)を実行することで、目標モータ加速度ωdot_cmdを決定する。
そして、モータ制御部105は、以上の如く決定した目標モータ加速度ωdot_cmdに応じて電動モータ92の通電制御を行う。具体的には、モータ制御部105は、目標モータ加速度ωdot_cmdに、電動モータ92のロータの回転系のイナーシャに相当する所定値を乗じることで、電動モータ92の目標トルク(出力トルクの目標値)を決定する。そして、モータ制御部105は、決定した目標トルクに応じて電動モータ92の通電電流の目標値を決定し、この目標値に実際の通電電流(観測値)を収束させるように、該通電電流をフィードバック制御する。
これにより、電動モータ92のロータが目標モータ加速度ωdot_cmdで回転するように制御される。
以上説明した実施形態によれば、基本的には、電動モータ92側から波動歯車装置94を介して負荷部材93に実際に付与される駆動力が、目標負荷駆動力PWout_cmdに追従する(収束する)ように、電動モータ92のロータの回転量が制御される。
この状態で、負荷荷重が変動すると、それに伴いフレックススプライン94cが弾性変形することで、弾性変形量指標DX_actが変化し、ひいては、フレックススプライン94cとサーキュラスプライン94bとの間の要素間駆動力PW_actが変動する。
このような要素間駆動力PW_actの変動によって、該要素間駆動力PW_actの大きさ(絶対値)が上限駆動力設定部25で設定された上限駆動力PW_limを超えた場合には、前記第1モータ加速度修正量算出部26により算出される第1モータ加速度修正量dωdot_1(≠0)によって、目標モータ加速度ωdot_cmdが修正される。これにより、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DXの大きさを減少させるように、ウェーブジェネレータ94aが電動モータ92により回転駆動される。
その結果、弾性変形量指標DX_actの大きさ(絶対値)が前記許容最大駆動力PW_maxに対応する許容最大弾性変形量指標DX_actよりも過大なものとなるのが防止される。ひいては、要素間駆動力PW_actが過大のものとならないように、フレックススプライン94cの弾性変形量が調整される。
また、第1実施形態と同様に、電動モータ92のロータの回転速度ω_actが前記所定の回転速度ωaよりも高速になった場合には、上限駆動力PW_limは、その大きさが許容最大駆動力PW_maxよりも小さくなるように設定される。このため、電動モータ92の出力トルクが、ロータの高速回転時に実際に実現可能なトルクに収まるように、目標モータ加速度ωdot_cmdが制限される。その結果、電動モータ92による負荷部材93の駆動を適切に行うことができる。
また、負荷荷重が比較的素早く変動すると、それに伴いフレックススプライン94cが素早く弾性変形しようとする。ひいては、要素間駆動力変化率PWdot_actの大きさが大きくなる。
このとき、要素間駆動力変化率PWdot_actが前記許容範囲設定部24で設定された要素間駆動力変化率許容範囲を逸脱した場合(PWdot_act>PWdot_lim_p又はPWdot_act<PWdot_lim_nとなった場合)には、第1実施形態と同様に、前記第2モータ加速度修正量算出部27により算出される第2モータ加速度修正量dωdot_2(≠0)によって、目標モータ加速度ωdot_cmdが修正される。
これにより、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DX_actの時間的変化率の大きさが過大にならないように、ウェーブジェネレータ94aが電動モータ92により回転駆動される。
ここで、負荷荷重の素早い変動に応じてフレックススプライン94cの弾性変形量指標DX_actが素早く変化しようとすると、フレックススプライン94cとサーキュラスプライン94bとの噛み合いが外れたり、その噛み合い部での滑りが生じる等の不都合を生じやすい。そして、このような不都合は、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DX_actの大きさが大きいほど、生じやすい。
しかるに、本実施形態では、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性1を有するように設定されるので、要素間駆動力PW_actの大きさが大きいほど、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DX_actの時間的変化率の大きさがより小さめに制限される。
また、フレックススプライン94cが、波動歯車装置94の基準の減速比に対応する状態からある程度変形した状態(詳しくは、図5において0<PW_act<PWaとなる範囲、又は0>PW_act>−PWaとなる範囲で弾性変形した状態)では、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DX_actの大きさがさらに増加する方向に負荷荷重が素早く変動した場合よりも、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DX_actの伸縮量DX_actの大きさが減少する方向に負荷荷重が素早く変動した場合の方が、フレックススプライン94cとサーキュラスプライン94bとの間の噛み合いが不適切なものとなって、該噛み合いの外れや、該噛み合い部での滑り等が発生しやすい。
これは、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DX_actの伸縮量DX_actの大きさが減少する方向に負荷荷重が素早く変動した場合の方が、フレックススプライン94cからサーキュラスプライン94bに作用する力の方向が急変しようとするためである。
しかるに、本実施形態では、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性2を有するように設定される。
このため、弾性変形量指標DX_actが正の値となるように、フレックススプライン94cが波動歯車装置94の基準の減速比に対応する状態からある程度変形した状態では、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、弾性変形量指標DX_act(>0)の大きさを増加させる(要素間駆動力PW_act(>0)の大きさを増加させる)方向の値(>0)である場合よりも、弾性変形量指標DX_act(>0)の大きさを減少させる(要素間駆動力PW_act(>0)の大きさを減少させる)方向の値(<0)である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、弾性変形量指標DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
また、弾性変形量指標DX_actが負の値となるようにフレックススプライン94cが弾性変形した状態では、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、弾性変形量指標DX_act(<0)の大きさを増加させる(要素間駆動力PW_act(<0)の大きさを増加させる)方向の値(<0)である場合よりも、弾性変形量指標DX_act(<0)の大きさを減少させる(要素間駆動力PW_act(<0)の大きさを減少させる)方向の値(>0)である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、弾性変形量指標DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
さらに、弾性変形量指標DX_actの大きさ(絶対値)が前記許容最大弾性変形量指標DX_maxに近いものとなった状態(詳しくは、図5においてPW_max≧PW_act>PWa、又は−PW_max≦PW_act<−PWaとなる範囲でフレックススプライン94cが弾性変形した状態)では、弾性変形量指標DX_actの大きさが減少する方向に負荷荷重が素早く変動した場合よりも、弾性変形量指標DX_actの伸縮量DX_actの大きさがさらに増加する方向に負荷荷重が素早く変動した場合の方が、フレックススプライン94cとサーキュラスプライン94bとの間の噛み合いが不適切なものとなりやすい。
これは、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DX_actが、許容最大弾性変形量指標DX_max、あるいは、それを超える値に変化しようとするため、フレックススプライン94cとサーキュラスプライン94bとの間の噛み合いの外れや滑り等が生じやすくなるからである。
しかるに、本実施形態では、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性3を有するように設定される。
このため、要素間駆動力変化率PWdot_actの値が、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DX_actの大きさを減少させる方向の値である場合よりも、該弾性変形量指標DX_actの大きさを増加させる方向の値である場合の方が、要素間駆動力変化率PWdot_act、ひいては、弾性変形量指標DX_actの時間的変化率の大きさが小さめに制限される。
さらには、要素間駆動力変化率許容範囲は、前記特性4を有するように設定されるので、弾性変形量指標DX_actの大きさが許容最大弾性変形量指標DX_maxに達した状態では、要素間駆動力変化率PWdot_actが、弾性変形量指標DX_actをさらに増加させる方向の値(PW_actと同じ向き(極性)の値)にならないように制限される。
以上の如く、要素間駆動力変化率PWdot_actが、要素間駆動力PW_actに応じて設定される要素間駆動力変化率許容範囲から逸脱するのを防止するように制限されるので、フレックススプライン94cとサーキュラスプライン94bとの間の噛み合い状態を適切な状態に維持し、ひいては、フレックススプライン94cとサーキュラスプライン94bとの間の動力伝達を円滑に行う得るように、フレックススプライン94cの弾性変形量指標DX_actの時間的変化率が調整される。
従って、本実施形態の動力伝達装置91によれば、波動歯車装置94のフレックススプライン94cとサーキュラスプライン94bとの噛み合い状態を適切な状態に維持しながら、電動モータ92から負荷部材93への動力伝達を行うことができる。
[変形態様について]
以上説明した各実施形態では、アクチュエータとして、回転型のアクチュエータ(電動モータ2,42,92)を備える動力伝達装置1,41,71,91を示したが、アクチュエータとして、リニアモータ等の直動型のアクチュエータを使用してもよい。また、アクチュエータは油圧式のアクチュエータであってもよい。
以上説明した各実施形態では、アクチュエータとして、回転型のアクチュエータ(電動モータ2,42,92)を備える動力伝達装置1,41,71,91を示したが、アクチュエータとして、リニアモータ等の直動型のアクチュエータを使用してもよい。また、アクチュエータは油圧式のアクチュエータであってもよい。
また、前記第3実施形態では、ナット44を駆動側要素、ねじ軸75を被動側要素として構成したが、ナット44を被動側要素、ねじ軸75を駆動側要素として構成してもよい。
また、前記各実施形態では、要素間駆動力PW_actの大きさが許容最大駆動力PW_actに達した場合に、要素間駆動力PW_actの大きさをさらに増加させる方向の要素間駆動力変化率許容範囲の限界値(上限値PWdot_lim_p又は下限値PWdot_lim_n)をゼロに設定したが、該限界値を、要素間駆動力PW_actの大きさを減少させる方向の極性に設定するようにしてもよい。
すなわち、PW_act=PW_max(>0)である場合には、PWdot_lim_p<0とし、PW_act=−PW_max(<0)である場合には、PWdot_lim_n>0となるように、要素間駆動力変化率許容範囲を設定するようにしてもよい。
1,41,71,91…動力伝達装置、2,42,92…電動モータ(アクチュエータ)、3,43,93…負荷部材、4…スプリングウォーム(駆動側要素、弾性部材)、5…ウォームホイール(被動側要素)、11,61,81,101…制御装置、24…許容範囲設定部(許容範囲設定手段)、25…上限駆動力設定部(要素間駆動力上限値設定手段)、44…ナット(駆動側要素)、45,75…ねじ軸(被動側要素)、46…ボール、51…コイルスプリング(弾性部材)、76…ボール(弾性部材)、94…波動歯車装置、94a…ウェーブジェネレータ、94b…サーキュラスプライン、94c…フレックススプライン。
Claims (9)
- 駆動力を出力するアクチュエータと、駆動対象の負荷部材との間の動力伝達を行う動力伝達装置であって、
前記動力伝達の経路途中での動力伝達を担う要素として該経路途中に配置された駆動側要素及び被動側要素であって、互いに噛み合わされた歯及び歯溝をそれぞれ有すると共に当該噛み合わせ部分での動力伝達が、弾性部材の弾性変形により発生する弾性力を介して行われるように構成された駆動側要素及び被動側要素と、
前記弾性部材の弾性変形量を前記アクチュエータを介して制御することで前記駆動側要素から被動側要素に伝達される駆動力である要素間駆動力を制御する制御装置とを備えており、
前記制御装置は、前記要素間駆動力の時間的変化率の許容範囲である要素間駆動力変化率許容範囲を、前記弾性部材の弾性変形量の観測値に応じて変化させるように設定する許容範囲設定手段を含み、前記要素間駆動力の時間的変化率を前記許容範囲設定手段により設定された要素間駆動力変化率許容範囲内に制限するように前記要素間駆動力を制御するように構成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1記載の動力伝達装置において、
前記許容範囲設定手段は、前記弾性部材の弾性変形量の観測値の大きさが大きいほど、前記要素間駆動力変化率許容範囲を狭くするように該要素間駆動力変化率許容範囲を設定するように構成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項2記載の動力伝達装置において、
前記許容範囲設定手段は、前記弾性部材の弾性変形量の観測値の大きさが、該弾性部材の許容最大変形量の設定値よりも小さい所定範囲内の値である場合に、前記要素間駆動力変化率許容範囲の中心値が、前記弾性変形量を増加させる向きの値となるように、前記要素間駆動力変化率許容範囲を設定するように構成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項3記載の動力伝達装置において、
前記許容範囲設定手段は、前記弾性部材の弾性変形量の観測値の大きさが、前記所定範囲内の値よりも大きい値である場合に、前記要素間駆動力変化率許容範囲の中心値が、前記弾性変形量を減少させる向きの値となるように、前記要素間駆動力変化率許容範囲を設定するように構成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の動力伝達装置において、
前記アクチュエータは電動モータであり、
前記制御装置は、前記要素間駆動力の大きさの上限値を、前記弾性部材のあらかじめ設定された許容最大変形量により規定される該要素間駆動力の大きさの許容最大値以下の範囲内で前記電動モータの出力部の作動速度の観測値に応じて可変的に設定する要素間駆動力上限値設定手段をさらに備え、前記要素間駆動力の時間的変化率を前記許容範囲設定手段により設定された要素間駆動力変化率許容範囲内に制限すると共に、前記要素間駆動力の大きさを、前記要素間駆動力上限値設定手段により設定された上限値以下に制限するように、前記要素間駆動力を制御するように構成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の動力伝達装置において、
前記駆動側要素はウォームであると共に前記被動側要素は該ウォームに噛み合わされたウォームホイールであり、前記ウォームホイールと噛み合う前記ウォームの外周部分が該ウォームの軸心方向に弾性変形可能な前記弾性部材により構成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の動力伝達装置において、
前記駆動側要素はボールねじ機構のナットであると共に前記被動側要素は該ボールねじ機構のねじ軸であり、前記ナットにボールを介して噛み合う前記ねじ軸の外周部分が該ねじ軸の軸心方向に弾性変形可能な前記弾性部材により構成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の動力伝達装置において、
前記駆動側要素はボールねじ機構のナット及びねじ軸の一方であると共に前記被動側要素は該ボールねじ機構のナット及びねじ軸の他方であり、前記ナットとねじ軸との間に介在するボールが該ねじ軸の軸心方向に弾性変形可能な前記弾性部材により構成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の動力伝達装置において、
前記駆動側要素は波動歯車装置のフレックススプラインであり、前記被動側要素は波動歯車装置のサーキュラスプラインであり、該サーキュラスプラインにより前記弾性部材が構成されていることを特徴とする動力伝達装置。
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