本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
<管理システム100の概要>
図1は、本実施形態に係る作業機械の管理システム100が適用される状況を示す図である。作業機械の管理システム(以下、適宜管理システムという)100は、本実施形態に係る作業機械の管理方法を実行することにより、管理装置40に、通信回線101を介して作業機械1の稼働情報を収集させたり、収集した稼働情報を集計させたり、集計した稼働情報を端末装置105に送信させたりして、作業機械1を管理する。
図1に示す例において、管理システム100は、ダンプトラックMCD及び油圧ショベルMCSの稼働情報を収集したり、収集した稼働情報を集計したりする。本実施形態において、管理システム100が管理する作業機械はこれらに限定されない。例えば、管理システム100は、ホイールローダ、ブルドーザ又はフォークリフト等を管理してもよい。以下において、ダンプトラックMCD及び油圧ショベルMCSを、適宜作業機械1というものとする。
管理システム100は、例えば、管理装置40と作業機械1が備える通信端末装置20とが、携帯電話等の移動体通信に適用される無線通信システム(地上波通信)又は衛星通信を介して通信する。通信の態様は、移動体通信又は衛星通信に限らず、無線LAN(Local Area Network)等の近距離無線通信など他の通信形態を用いてもよい。管理装置40は、例えば、管理施設3内に設置されている。管理施設3は、作業機械1が稼働する現場内に設けられていてもよいし、作業機械1が稼働する現場から遠く離れた場所、例えば作業機械1の予防保全等を実行するサービスマン又は現場の管理者が滞在する場所に設けられていてもよい。また、管理装置40は所定の場所に設置されたものでもよいし、無線通信の機能を備えた携帯端末のように、任意の場所に移動可能なものであってもよい。
本実施形態において、管理装置40は、通信装置103を介して通信回線101に接続されている。通信回線101には、交換機8が接続されている。交換機8は、基地局102と通信回線101とを接続している。交換機8は、作業機械1が備える通信装置と管理装置40との間の通信を、通信回線101との間で中継する役割を有している。基地局102は、作業機械1が備える通信端末装置20を含む通信装置から送信される各種情報を受信し、復調して交換機8に送信する。
作業機械1が備える通信端末装置20は、作業機械1の稼働状態に関する情報を収集し、稼働情報として生成し、管理装置40に送信する。通信端末装置20は、通信用アンテナATから外部に送信する。管理装置40は、作業機械1の通信端末装置20から送信された稼働情報を含む各種情報を、基地局102、交換機8、通信回線101及び通信装置103を介して受信(取得)する。
稼働情報には、例えば、作業機械1の位置に関する情報である位置情報(緯度、経度又は高度の座標)、稼働日、稼働時間、走行距離、エンジン水温、異常の内容を示す情報、異常の種類を示すコード、バッテリ電圧の状態、燃料消費情報及び積載量等に関する情報が含まれる。燃料消費情報は、燃料残量、燃料消費量、燃料消費率等を含む。稼働情報は、これらの情報の少なくとも一つを含む。なお、稼働時間は、作業機械1の累積稼働時間又は日々の稼働時間のいずれか又は両者を含む。稼働時間は、作業機械1が備えるエンジンが稼働していた時間である。稼働情報は、例えば、作業機械1の種類又は車格に対応した稼働情報であればよい。稼働情報は、作業機械がどの場所でどの程度の時間稼働していたのか、作業機械が順調に稼働していたのか又は異常が生じていたのかといった作業機械の稼働状態を示す情報であればよい。また、稼働情報は、作業機械の過去の稼働状態を示す情報に限らず、現在の稼働状態を示す情報であってもよい。このような稼働情報は、例えば、作業機械1の予防保全及び故障診断等に用いられる。本実施形態において、稼働情報には、少なくとも稼働日、稼働時間及び燃料消費情報のうち少なくとも1つが含まれる。
管理装置40は、作業機械1から稼働情報を収集する他に、作業機械1が備える記憶装置に保存されているコンピュータプログラムを更新したり、作業機械1が備える電子機器等に所定の処理を実行させることを要求したり、電子機器等の機能の設定を変更したりするために、作業機械1に命令又は情報を送信することができる。この場合、管理装置40は、作業機械1に送信する命令又は情報を、通信装置103を介して通信回線101に送信する。この命令又は情報は、交換機8で変調され、基地局102から電波の形で送信される。基地局102から送信された、作業機械1に与えられる命令又は情報を含む電波は、作業機械1の通信用アンテナATが受信する。
作業機械1の通信端末装置20は、通信用アンテナATが受信した電波を、後述する通信端末装置20が解読できる元の情報になるように復調及び変換の処理を実行し、作業機械1の通信端末装置20に送信する。このように、作業機械1、より具体的には通信端末装置20と管理装置40とは、無線通信によって相互に情報をやり取りすることができる。次に、作業機械1、管理装置40及び管理システム100について、より詳細に説明する。
管理装置40が接続されている端末装置105は、例えば、作業機械1のオーナ又は作業機械1の作業現場における管理者等が使用するものである。以下において、端末装置105を、適宜ユーザ端末装置105ともいう。ユーザ端末装置105は、通信装置104を介して通信回線101に接続されている。
ユーザ端末装置105は、例えば、ユーザ端末装置105が管理する作業機械1の稼働情報を管理装置40に対して要求する。この場合、ユーザ端末装置105は、例えば、稼働情報を要求する司令を、通信装置104及び通信回線101を介して管理装置40に送信する。この司令を受信した管理装置40は、要求された作業機械1の稼働情報を抽出し、通信装置103及び通信回線101を介してユーザ端末装置105に送信する。ユーザ端末装置105は、要求した稼働情報を受信し、例えば、作業機械1を操作したオペレータの作業日報を作成する。
<管理システム100>
図2は、本実施形態に係る作業機械の管理システム100の一例を示す図である。作業機械の管理システム100は、作業機械1が備える車載システム1Sと、管理施設に備えられる管理装置40とを含む。車載システム1Sと管理装置40とは、通信回線101、通信装置103及び基地局102を介して情報をやり取りする。
管理システム100において、車載システム1Sの通信端末装置20は、車載システム1Sが備える車内信号線30を介して、稼働情報WIを収集する。通信端末装置20は、収集した稼働情報WIを、作業機械1の外部に出力する。例えば、稼働情報WIは、通信回線101を介して管理装置40に送信される。また、通信端末装置20は、通信回線101を介して管理装置40から送信されてきた命令又は情報を受信(取得)する。通信端末装置20は、受信した命令を作業機械1の電子機器等に送信して実行させたり、受信した情報を電子機器等に送信したり、記憶装置に保存したりする。
本実施形態においては、説明の便宜上、図2に示すように、1つの作業機械1及び1つの車載システム1Sと、1つの管理装置40及び端末装置105とが通信回線101を介して接続される場合を示すが、作業機械1及び管理装置40及び端末装置105の数は限定されない。図1に示すように作業機械1が複数あってもよい。また、管理装置40や端末装置105も複数あってもよい。次に、車載システム1Sについて説明する。
(作業機械1が備える車載システム1S)
作業機械1が備える車載システム1Sは、通信端末装置20と、エンジンコントローラ21Aと、ポンプコントローラ21Bと、モニタ22と、各種のセンサ類31と、スイッチとしてのキースイッチ32と、位置検出装置33とを有する。エンジンコントローラ21A、ポンプコントローラ21B、モニタ22及び通信端末装置20といった、これらの電子機器類は、作業機械1が備える車内信号線30に電気的に接続されている。これらの電子機器類は、車内信号線30を介して互いに通信できるようになっている。作業機械1に備えられ、車内信号線30に接続される電子機器類は、前述したものには限定されない。
キースイッチ32は、運転席近傍に設けられている。キースイッチ32は、蓄電器24と、通信端末装置20及びエンジンコントローラ21A等の電子機器類との間に設けられる。作業機械1が備える電源としての蓄電器24からの電力は、キースイッチ32の操作に連動して電子機器類に供給される。キースイッチ32がONになると、蓄電器24から電子機器類に電力が供給される。キースイッチ32がOFFになると、蓄電器24から電子機器類に供給される電力が遮断される。このように、キースイッチ32は、蓄電器24と、前記電子機器類及び通信端末装置20との間に設けられて、蓄電器24から電子機器類に供給される電力が供給又は遮断される。キースイッチ32が操作されることによって、車載システム1Sに電源が投入される。なお、キースイッチ32がONかOFFかの信号は、エンジンコントローラ21A、ポンプコントローラ21B、モニタ22及び通信端末装置20、それぞれに入力される。キースイッチ32は、キーシリンダを用いた形態に限らず、識別番号を記憶したIDキーを用いた電子キーのような形態を利用することもできる。
通信端末装置20は、処理部20Cと、記憶部(第1記憶部)20Mと、出力部としての通信部34と、入出力装置36とを有する。処理部20Cは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の数値演算処理機能を備えた電子部品等で構成されるものである。記憶部20Mは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)若しくはフラッシュメモリ等又はこれらを組み合わせたものである。記憶部20Mは、通信端末装置20が実行する処理の命令が記述されたコンピュータプログラム及び前述した処理に必要な情報等を記憶している。この他に、記憶部20Mは、作業機械情報MIを記憶している。作業機械情報MIは、識別情報としての識別番号DNと、作業機械1の稼働情報WIとを含む。識別番号DNは、数字、文字、記号のいずれか又はそれらの組み合わせによって構成されたものであればよい。また、識別番号DNは、作業機械1を操作することが許可され、当該作業機械1を操作可能とされたオペレータに対して付与された情報であるとともに、各オペレータを特定し、識別するための情報でもある。あるいは、識別番号DNは、作業機械1のオーナ又は管理者等が労務管理などを行う対象者であるオペレータに対して付与される情報でもある。
通信端末装置20、具体的には処理部20Cは、車内信号線30を介して稼働情報WIを収集する。通信端末装置20は、収集した稼働情報WIを、記憶部20Mに一時的に記憶させる。処理部20Cは、所定のタイミングで稼働情報WI及び識別番号DNを用いて作業機械情報MIを生成する。その後、処理部20Cは、生成した作業機械情報MIを、入出力装置36及び通信部34を介して作業機械1の外部に出力する。
入出力装置36は、車載システム1Sと、車載システム1Sの外部との間で情報の入力と出力とを行う制御装置である。本実施形態において、入出力装置36は、ゲートウェイ36A及び起動時制御部36Bを備えている。ゲートウェイ36Aは、車内信号線30と作業機械1の外部の通信回線101とを接続するための接続機器である。起動時制御部36Bは、キースイッチ32がOFFの状態であっても、管理装置40からの指令により、車載システム1Sに電源を投入してこれを起動させることができる。
入出力装置36には、作業機械1が備える車載システム1Sに備えられる通信部34が接続されている。通信部34は、通信用アンテナ34Aが接続されており、基地局102との間で相互に無線通信を実現できる。無線通信は、例えば、地上波通信又は衛星通信等を利用することができる。通信部34が行う通信には、前述のように、無線LAN等の他の通信形態が用いられてもよい。基地局102は、通信回線101に接続されている。通信回線101には、通信装置103が接続されている。
通信部34は、基地局102、通信回線101及び通信装置103を介して、管理装置40と情報をやり取りすることができる。出力部としてのサービスコネクタ35は、車内信号線30に接続されている。サービスコネクタ35に、例えば、検査装置を接続することにより、通信端末装置20、エンジンコントローラ21A、ポンプコントローラ21B、モニタ22又は各種のセンサ類31といった電子機器類の状態を診断したり、通信端末装置20の記憶部20Mに記憶された情報を書き換えたり読み出したりすることができる。検査装置は、例えば、専用ツール又は専用のアプリケーションがインストールされたパーソナルコンピュータ等の端末装置を用いることができる。本実施形態において、作業機械1と管理装置40とは、無線通信によって情報をやり取りすることができる。作業機械1と管理装置40との間における情報のやり取りは、例えば、パーソナルコンピュータ等の端末装置を有線(通信ケーブル)を介してサービスコネクタ35に接続し、作業機械1の外部に稼働情報等を出力したり、管理装置40から作業機械1に各種情報等を送信したりするような形態であってもよい。そして、前記端末装置と管理装置40とを無線又は有線で接続して、前述した端末装置から管理装置40に稼働情報等を送信したり、管理装置40から前述した端末装置に各種情報等を送信したりするようにしてもよい。このように、識別番号DNと稼働情報の対応関係等の情報を作業機械1の外部に出力するために、通信部34あるいはサービスコネクタ35が出力部として用いられる。
車内信号線30は、例えば、CAN(Controller Area Network)を用いることができる。車内信号線30にはサービスコネクタ35が電気的に接続されている。前述のように、サービスコネクタ35に端末装置等を接続することにより、サービスコネクタ35及び車内信号線30を介して、前述した端末装置と通信端末装置20及びモニタ22等とが相互に情報をやり取りすることができる。車内信号線30に接続される電子機器類の種類及び数は、前述したものには限定されない。次に、車内信号線30に接続されている他の電子機器類について説明する。
エンジンコントローラ21Aは、エンジン21EGの動作を制御する。ポンプコントローラ21Bは、作業機械1の油圧システム21PNを制御する。油圧システム21PNは、例えば、エンジン21EGによって駆動されて作動油を吐出する油圧ポンプである。ポンプコントローラ21Bが油圧ポンプの斜板角度を制御することで、作動油の吐出量が調整される。作動油は、油圧ポンプから図示しない油圧モータ並びに図示しない油圧シリンダ等に供給される。
各種のセンサ類31は、作業機械1の状態を検出するためのセンサ類である。各種のセンサ類31は、例えば、エンジン21EGの回転速度(単位時間あたりの回転数)を検出する回転センサ、エンジン21EGの冷却水の温度(エンジン冷却水温)を検出する温度センサ、作動油の温度(作動油温)を検出する温度センサ等を用いることができる。ただし、センサ類31は、作業機械1の車格、種類及び仕向地の仕様等に応じて異なるようにしてもよい。本実施形態において、センサ類31は、エンジンコントローラ21A、ポンプコントローラ21B、モニタ22といった各電子機器類に接続される。
位置検出装置33は、例えば、RTK−GNSS(Real Time Kinematic-Global Navigation Satellite Systems、GNSSは全地球航法衛星システムをいう)を実現するための装置である。位置検出装置33は、RTK−GNSS用のアンテナ33Aを備えている。位置検出装置33は、作業機械1の現在位置を検出する。位置検出装置33も、作業機械1の状態を検出するためのセンサ類の一種である。位置検出装置33として、例えばGPS(Global Positioning System)センサを用いることができる。
モニタ22は、作業機械1の状態に関する各種の情報を画面22Pに表示したり、作業機械1の動作に関する設定を行うための入力及び作業機械1を操作するオペレータが識別番号の入力を行う際の入力装置として機能したりすることが可能な表示装置である。入力装置は、押しボタン式スイッチ等を用いることができる。また、入力装置は、モニタ22と一体となったものでもよいし、モニタ22とは別体でもよい。入力装置がモニタ22とは別体である場合、例えば、入力装置は、作業機械1の運転室内のコンソール等に設置される。モニタ22は、例えば、液晶表示装置であり、タッチパネルを備えていてもよい。モニタ22は、自身の各種の機能を実現するための制御装置22CNTを備えている。制御装置22CNTは、処理部22A及び記憶部22Mを備えている。処理部22Aは、例えば、CPU等の数値演算処理機能を備えた電子部品等で構成されるものである。記憶部22Mは、例えば、RAM、ROM若しくはフラッシュメモリ等又はこれらを組み合わせたものである。記憶部22Mは、処理部22Aが実行する処理の命令が記述されたコンピュータプログラム、入力装置によって設定された、作業機械1の動作に関する設定情報及び作業機械1の操作が可能なオペレータを識別するための識別番号DN等を記憶している。
本実施形態において、モニタ22は、車内信号線30に適用されている通信プロトコル(第1の通信プロトコル)を用いて、通信端末装置20、エンジンコントローラ21A、ポンプコントローラ21Bといった電子機器と通信する。
本実施形態において、モニタ22には、車内信号線30とは異なる第2の車内信号線37が接続されている。第2の車内信号線37は、例えばCAN(Controller Area Network)を用いることができる。第2の車内信号線37は、第1の通信プロトコルとは異なる第2の通信プロトコルが適用される。第2の車内信号線37には、例えば、サブ電子機器としての情報読取装置23Aが接続されている。情報読取装置23Aは、第2の通信プロトコルを用いて、モニタ22と通信する。このように、モニタ22は、異なる2種類の通信プロトコルで通信することができる。このため、モニタ22は、通信プロトコルが異なる機器間における通信を可能にする。第2の車内信号線37に接続されるサブ電子機器の種類及び数は、前述したものには限定されない。また、他の電子機器、例えばエンジンコントローラ21A等が、異なる2種類の通信プロトコルで通信できるものであって、通信プロトコルが異なる機器間における通信を可能にするものであってもよい。つまり、当該他の電子機器に第二の車内信号線37が接続されるようにしてもよい。
本実施形態において、モニタ22は、燃料消費量及び燃料消費率を求めることができる。例えば、モニタ22は、図1に示すエンジンコントローラ21Aから図示しない燃料噴射装置に対して与えられる燃料噴射指令信号が示す燃料量のデータを受信する。さらに、モニタ22は、エンジン21EGが稼働している間、モニタ22が備えるカウンタによってエンジン21EGの稼働時間を計測する。モニタ22は、燃料量のデータ及びエンジンの稼働時間から、処理部22Aが備える燃費数値演算部により累積の燃料量を求めて燃料消費量を求める。さらに、モニタ22は、前述した燃費数値演算部により燃料消費量をエンジン稼働時間で除した値(l/h)、すなわち燃料消費率を求める。
本実施形態において、モニタ22は、各種情報の表示及び入力の他に、作業機械1の操作が可能なオペレータを管理する。モニタ22は、例えば、作業機械1の操作が可能なオペレータを、そのオペレータに与えられた識別番号DNを用いて認識する。本実施形態において、制御装置22CNTの記憶部22Mは、作業機械1の操作が可能となる識別番号DN(以下、適宜操作許可番号という)を記憶している。前述したように、識別番号DNは、作業機械1を操作可能であることを識別するための情報なので、オペレータの識別番号DNと、モニタ22が有する操作許可番号とが一致した場合、その識別番号DNのオペレータは、作業機械1を操作することができる。以下、オペレータが作業機械1を操作する際の手順及びモニタ22等が行う処理ついて説明する。
オペレータは、キースイッチ32をONにさせ、その後、モニタ22の入力装置を使って、識別番号DNを入力する。モニタ22は、入力された識別番号DNと記憶部22Mに記憶されている操作許可番号との一致判定を行う。この場合、入力装置は、後述する情報読取装置23Aに相当する。
処理部22Cは、情報読取装置23Aにより取得した識別番号DNと記憶部22Mに記憶されている操作許可番号との一致判定を行う。例えば、情報読取装置23Aを介してモニタ22の制御装置22CNTに取得された識別番号DNが、記憶部22Mに記憶されている操作許可番号と一致した場合、処理部22Cは、作業機械1を始動(操作)可能な状態、すなわちエンジン21EGを始動可能な状態とする。モニタ22に備えられた処理部22Aは、始動許可信号を生成し、始動許可信号は、モニタ22に接続された図示しないリレー回路に送信されリレー回路を動作させる。リレー回路は、蓄電器24、図示しないスタータ、キースイッチ32、これらを結ぶ電気回路上にある。リレー回路は、始動許可信号を受信すると閉じて、キースイッチ32とスタータとを結ぶ電気回路を通電可能な状態とする。つまり、蓄電器24からの電気が、キースイッチ32を介してスタータに供給可能な状態となる。そこで、オペレータによってキースイッチ32がONの位置からスタートの位置に操作されると、蓄電器24からの電気がキースイッチ32を経由してスタータに供給されスタータが駆動する。その後、スタータの駆動にともないエンジン21EGが始動する。エンジン21EGが始動すると、キースイッチ32はスタートの位置からONの位置に戻る。なお、処理部22Aは、前述の一致があった場合、一致したことを示す情報を通信端末装置20に送信し、通信端末装置20の記憶部22Mは、一致したことを示す情報を記憶する。情報読取装置23Aにより取得された識別番号DNが、記憶部22Mに記憶されている操作許可番号と異なる場合、処理部22Cは、始動許可信号を生成せず、図示しないリレー回路には始動許可信号が送信されない。つまり、作業機械1は始動することができない。このような処理により、モニタ22は、作業機械1の操作が可能なオペレータを認識する。
処理部22Cは、情報読取装置23Aにより取得した識別番号DNと記憶部22Mに記憶されている操作許可番号との一致判定を行わないようにしてもよい。つまり、情報読取装置23Aを介してモニタ22の制御装置22CNTに識別番号DNが取得されたならば、処理部22Aは始動許可信号を生成し、取得された識別番号DNを記憶部22Mさせる。つまり、識別番号DNが取得されたことをトリガーとして処理部22Aは、始動許可信号を生成するようにしてもよい。後述するIDキー3Bを用いる場合も同様に処理部22Cは一致判定を行わないようにしてもよい。
モニタ22が、IDキー3Bを用いてオペレータを認証する際の処理の一例を説明する。作業機械1のキースイッチ32がONにされた状態で、オペレータは自身が携帯するIDキー3Bに記憶されている識別番号DNを、情報読取装置23Aに読み取らせる。この場合、情報読取装置23Aは、無線通信を使ってIDキー3Bに記憶されている識別番号DNを読み込むことができるものであって、例えば、イモビライザキーを用いることができる。情報読取装置23Aは、作業機械1を操作できるオペレータを認証するためのIDキー3Bから識別番号DNを取得し、取得した識別番号DNを、第2の車内信号線37を介してモニタ22、より具体的には制御装置22CNTに送信する。本実施形態において、IDキー3Bは、図2に示すように電子キー3BK又は携帯通信端末装置3BCを利用することもできるが、これに限定されるものではなく、識別番号DNが記憶されたものであればよい。例えば、IDカード等でもよい。制御装置22CNTの処理部22Aは、記憶部22Mに記憶している操作許可番号と、情報読取装置23Aから取得した識別番号DNとの一致判定を行う。
処理部22Cは、両者が一致した場合、例えば、始動許可信号を生成し、図示しないリレー回路に始動許可信号を送信する。その後、オペレータは、エンジン21EGを始動させるために、キースイッチ32をスタートの位置に操作するとスタータは駆動し、エンジン21EGが始動する。処理部22Aは、認証に用いられたIDキー3Bを携帯するオペレータは、作業機械1の操作が可能である旨の情報を画面22Pに表示させるようにしてもよい。処理部22Aは、取得した識別番号DNと操作許可番号とが一致しない場合、始動許可信号を生成せず、図示しないリレー回路に始動許可信号を送信しない。処理部22Aは、認証に用いられたIDキー3Bを携帯するオペレータは、作業機械1の操作が可能でない旨の情報を画面22Pに表示させるようにしてもよい。
モニタ22の記憶部22Mに記憶されている操作許可番号が書き換えられたり削除されたりすることにより、操作許可番号が変更される。また、記憶部22Mに複数の操作許可番号を追加して記憶させることもできる。この場合、モニタ22の制御装置22CNTは、通信端末装置20及び車内信号線30を介して、変更後の操作許可番号又は追加の操作許可番号を取得し、記憶部22Mに記憶させる。操作許可番号が削除される場合、制御装置22CNTは、通信端末装置20及び車内信号線30を介して操作許可番号を削除する旨の指令を取得し、対応する操作許可番号を記憶部22Mから削除する。モニタ22の記憶部22Mに記憶された操作許可番号は、例えば、サービスコネクタ35に接続された端末装置又は情報読取装置23Aを介してから書き換えられたり削除又は追加されたりしてもよい。識別番号DNは、モニタ22の入力装置又はモニタ22とは別体の入力装置を介して変更又は追加されてもよいし、サービスコネクタ35に接続された端末装置から変更されてもよいし、管理装置40による遠隔操作によって、作業機械1に操作許可番号の変更又は追加に関する情報が送信され、モニタ22の記憶部22Mに記憶されている操作許可番号が変更又は追加されてもよい。なお、前述のように、オペレータが、モニタ22を介して識別番号DNを入力できる手段と、IDキー3Bを介して識別番号DNを入力できる手段との両手段(情報読取装置23A)を備えた作業機械1であってもよいし、どちらか一つの手段が備えられた作業機械1であってもよい。両手段を備えた作業機械1である場合は、モニタ22を使っていずれかの手段が有効となるように設定しておくことで、識別番号DNを取得することができる。次に、管理装置40について説明する。
(管理装置40)
管理装置40は、例えば、コンピュータである。管理装置40は、作業機械1から送信される作業機械情報MIを取得し、作業機械1の稼働状況を管理する。本実施形態において、管理装置40は、複数の作業機械1を管理することが可能であるが、管理装置40に管理される作業機械1の数は限定されるものではない。
管理装置40は、処理部41と、記憶部42と、入出力部43とを含む。処理部41は、例えば、CPU等の数値演算処理機能を備えた電子部品等で構成されるものである。記憶部42は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ若しくはハードディスクドライブ等又はこれらを組み合わせたものである。入出力部43は、処理部41と情報の入出力を行うとともに、管理装置40に接続される通信装置(第2通信装置)103と処理部41との間で情報の入出力を行う。
管理装置40は、入出力部43に、通信装置103が電気的に接続されている。通信装置103は、通信回線101と電気的に接続されている。このような構造により、管理装置40は、通信装置103を介して通信回線101に接続される。管理装置40、より具体的には管理装置40の処理部41は、作業機械1の通信端末装置20から送信されてきた作業機械情報MI及びその他の情報を、通信回線101及び通信装置103を介して受信(取得)する。また、処理部41は、通信装置103及び通信回線101を介して、命令又は情報等を作業機械1に送信する。
管理装置40は、例えば、作業機械1から取得した作業機械情報MIを作業機械1毎に集計し、作業機械情報データベースDBMを生成する。作業機械情報データベースDBMは、記憶部42に記憶される。処理部41は、例えば、入出力部43に電気的に接続されている表示装置44に、作業機械情報MI又は作業機械情報データベースDBMの内容を表示させることができる。次に、ユーザ端末装置105について説明する。
(ユーザ端末装置105)
ユーザ端末装置105は、例えば、コンピュータである。ユーザ端末装置105は、通信回線101及び通信装置104を介して、管理装置40から必要な作業機械情報MIを取得する。ユーザ端末装置105が取得する作業機械情報MIは、ユーザ端末装置105を使用する者が管理又は所有する作業機械1についての作業機械情報MIである。
ユーザ端末装置105は、作業機械1から送信される作業機械情報MIを取得し、作業機械1の稼働状況を管理する。本実施形態において、ユーザ端末装置105が管理する作業機械1の数は限定されるものではない。
ユーザ端末装置105は、処理部106と、記憶部107と、入出力部108とを含む。処理部106は、例えば、CPU等の数値演算処理機能を備えた電子部品等で構成されるものである。記憶部107は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ若しくはハードディスクドライブ等又はこれらを組み合わせたものである。入出力部108は、処理部106と情報の入出力を行うとともに、ユーザ端末装置105に接続される通信装置104と処理部106との間で情報の入出力を行う。
記憶部107には、対応付け用プログラムPGと、対応データベースCTとが記憶されている。処理部106は、対応付け用プログラムPGを読み込んで実行することにより、通信回線101を介して取得した作業機械情報MIと、対応データベースCTとを結び付けて、オペレータ情報DBEを生成する。記憶部107は、生成されたオペレータ情報DBEを記憶する。
本実施形態において、入出力部108には、通信装置104と、表示装置109Mと、入力装置109Iと、出力装置109Pと、読み取り装置110とが電気的に接続されている。ユーザ端末装置105には、表示装置109Mと出力装置109Mの両者又は少なくとも一方が報告書出力装置として接続されている。表示装置109Mは、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置109Iは、例えば、キーボード、マウス又はタッチパネル等である。出力装置109Pは、例えば、プリンターである。読み取り装置110は、例えば、DVD−ROM又はメモリーカード等のストレージデバイス(記憶媒体)に記憶された情報を、記憶媒体から読み取る装置である。
前述したように、ユーザ端末装置105の処理部106は、通信回線101及び通信装置104を介して管理装置40の記憶部42に記憶されている作業機械情報データベースDBMから作業機械情報MIを取得する。この他にも、作業機械情報データベースDBMから読み出された作業機械情報MIを記憶した記憶媒体を読み取り装置110が読み取ることにより、ユーザ端末装置105は、必要な作業機械情報MIを取得することができる。
<作業機械情報MI及び作業機械情報データベースDBM>
図3は、作業機械情報MIの一例を示す概念図である。図4は、作業機械情報データベースDBMの一例を示す概念図である。作業機械情報MIは、例えば、情報が格納される領域MA1、MA2、・・・MAm−1、MAm(mは3以上の整数)を有している。領域MA1には、作業番号SNが格納されている。作業番号SNは、原則として、図2に示すエンジン21EGが始動してから停止するまでを1つの作業の単位(以下、適宜作業単位という)としてカウントする。作業番号SNは、例えば、1つの作業単位が終了する毎に、1ずつ加算される。作業番号SNによって、作業機械1が実行したそれぞれの作業を区別することができる。例えば、複数の作業単位において、識別番号DNが同一であっても作業番号SNが異なれば、それぞれの作業単位は異なる作業の内容であると判断される。作業機械1の機体情報を記憶部20Mに記憶させておき、作業機械情報MIに作業機械1の機体情報を含めて管理装置40に送信するようにしてもよい。作業機械1の機体情報としては、例えば、通信端末装置20の電話番号、通信端末装置20の製造番号又は作業機械1の製造番号等のように、作業機械1を個別に識別するような情報を用いることができる。
ここで、オペレータ毎に生成される作業機械情報MIについて詳述する。まず、複数のオペレータが、同日に同一の作業機械1を操作し、各々のオペレータが一つの作業(一つの作業単位)を行った場合について説明する。
例えば、ある作業機械1に対して、あるオペレータ(第1オペレータ)によって作業機械1のキースイッチ32がONにされ、エンジン21EGが始動した際に、通信端末装置20の処理部20Cは、キースイッチ32から信号を受信し、その受信をトリガーとして一つの作業、すなわち一つの作業単位が開始されたと判断する。作業単位の開始の判断は、キースイッチ32の操作を示す信号の代わりに、モニタ22の入力装置を使った識別番号DNの入力による一致判定やIDキー3Bによる識別番号DNの一致判定に基づく信号又は単に識別番号DNが入力されたことを示す信号を用いて判断するようにしてもよい。
その後、第1オペレータが作業を終了し、キースイッチ32をOFFにしたとする。その後、同日に他のオペレータ(第2オペレータ)が、第2オペレータの識別番号DNを使って当該作業機械1を始動させ、作業を行ったとする。通信端末装置20の記憶部20Mは、第1オペレータによるキースイッチ32のON又はOFFがされたことを示す情報と第1オペレータの識別番号DNとを関連付けて記憶している。処理部20Cは、記憶部20Mから読み出した第1オペレータの識別番号DNと、新たに取得した第2オペレータの識別番号DNとを比較する。処理部20Cは、当該比較の結果、既に記憶されている第1オペレータの識別番号DNと新たに取得した第2オペレータの識別番号DNとが異なることを検知し、オペレータが交代されたことを認識し第1オペレータによる作業を一つの作業単位として作業番号SNを付与した作業機械情報MIを生成する。
第2オペレータが作業を終了し、キースイッチ32をOFFにしたとする。処理部20Cは、第2オペレータによる作業を一つの作業として第1オペレータの作業単位に対して付与された作業番号SNとは異なる作業番号SNを付与した作業機械情報MIを生成する。すなわち、オペレータ毎の作業機械情報MIが生成される。
次に、複数のオペレータが、同日に同一の作業機械1を操作し、各々のオペレータが複数の作業(複数の作業単位)を行った場合について説明する。
この場合を説明する一例として、第1オペレータによる最初の作業(最初の作業単位)が終了し、その後、第2オペレータによる作業が終了し、キースイッチ32がOFFにされた後に、再び、同日に第1オペレータによる作業が行われた場合について説明する。すなわち、最初の作業の後、再び、第1オペレータが自身の識別番号DNを使って、当該作業機械1を始動させたとする。この場合、第1オペレータが、同日に2回目の作業を行うことになるが、処理部20Cは、1回目の作業(最初の作業単位)とは別の作業番号SNを付与した作業機械情報MIを生成する。つまり、同日に、同一のオペレータが、同一の作業機械1による作業を異なるタイミングで行った場合、処理部20Cは、異なる作業が行われたとして、作業単位毎の作業番号SNを設定する。キースイッチ32がONされ、その後にOFFがされたことを一つの動作として、当該動作を一つの作業単位とし、当該動作が複数回行われたのであれば、当該動作の回数に応じた複数の作業単位を定めて、各作業単位に対し作業番号SNを設定するのである。
前述の場合は、同日に同一の作業機械1を同一のオペレータ(前述の場合、第1オペレータ)が複数の作業(複数の作業単位)を連続しないで行った場合であったが、次の場合は、同一のオペレータが連続して複数の作業(複数の作業単位)を行った場合について説明する。
つまり、当該作業機械1を用いて、同日に行われた作業が、第1オペレータによる連続した作業の場合は、以下のように作業機械情報MIが生成される。例えば、第1オペレータが、ある作業機械1を用いて、ある作業を午前に行い、その作業が終了して、キースイッチ32をOFFにして、午後に作業を開始するために、キースイッチ32をONにして、同日の夕方に午後の作業を終了して、キースイッチ32をOFFにしたとする。例えば、第1オペレータによる連続の作業の場合として、作業機械1が油圧ショベルであって、第1オペレータによる午前の作業の内容は掘削作業であり、第1オペレータによる午後の作業の内容は土砂をダンプトラックに積み込む作業であるような場合がある。ここで、処理部20Cは、午前の作業の内容と午後の作業の内容との異同には関係なく、第1オペレータによる午前の作業と午後の作業とを一つの作業(一つの作業単位)として、作業番号SNを付与した作業機械情報MIを生成する。つまり、一旦、キースイッチ32がOFFされても、同日に同じオペレータ(同じ識別番号DN)による作業が、オペレータの交代がなく連続して行われたのであれば、処理部20Cは、後の作業に関する情報を含めた一つの作業機械情報MIを生成する。つまり、前述のように、作業番号SNは、原則としてエンジン21EGが始動してから停止するまでを1つの作業単位として付与されるが、同一の作業機械1を用いて同一オペレータが同日に連続して複数の作業を行った際は、それらの作業をまとめて一つの作業単位として、一つの作業番号SNがカウントされる。処理部20Cは、キースイッチ32がONされ後にOFFがされたことを一つの動作として、当該動作が複数回行われ、かつ、当該複数の動作が同一のオペレータによる連続したものであるか否かを判断し、当該複数の動作が連続するのであれば、当該複数の動作を一つの作業単位と定めて、当該一つの作業単位に対し一つの作業番号SNを設定するのである。
作業機械情報MIは、例えば1日毎に生成される。例えば、第1オペレータが、ある作業機械1を用いて、オペレータの交代がなく、複数日にわたって作業を行ったとする。第1オペレータは、日々、作業の開始の際にキースイッチ32をONさせ、作業の終了の際にキースイッチ32をOFFにする。なお、日々の作業の内容は、日々の間で同一であってもよいし、異なっていてもよい。処理部20Cは、通信端末装置20に内蔵する図示しない時計を用いて日時を計時し、得られた日時の情報を用いて作業機械情報MIを生成する。つまり、処理部20Cは、第1オペレータについて、前述のように作業単位毎に作業番号SNを付与し、さらに日時の情報を付与した作業機械情報MIを生成する。複数日にわたる作業において、オペレータの交代があった場合は、処理部20Cは、オペレータ毎について、前述のように作業単位毎に作業番号SNを付与し、さらに日時の情報を付与した作業機械情報MIを生成する。
領域MA2には、識別番号DNが格納されている。図3に示す例では、数字1011が識別番号DNである。領域MA3から領域MAm−1には、作業機械1の稼働情報WIが格納される。稼働情報WIとしては、例えば、稼働日Da、稼働時間H、図2に示すエンジン21EGのエンジン水温Te等が挙げられる。領域MAmには、作業機械情報MIの末尾を示す情報FNが格納される。本実施形態において、作業機械情報MIは、m個の領域のうち、m−3個に稼働情報WIが格納される。
本実施形態において、作業機械情報MIは、識別番号DNと、この識別番号DNによって、図2に示すエンジン21EGが運転を開始してから停止するまでに取得された稼働情報WIとを含む。例えば、図3に示す作業機械情報MIは、識別番号DN=1011のオペレータが搭乗した作業機械1のエンジン21EGが運転を開始してから停止するまでに、通信端末装置20が取得した稼働情報WIを含んでいる。
図2に示す通信端末装置20は、識別番号DNに対応する稼働情報WIから作業機械情報MIを生成し、例えば、一日に1回、特定の時間に、通信回線101を介して管理装置40に送信する。管理装置40は、受信した作業機械情報MIを、例えば、同一の作業機械1毎に集計して、図4に示すような作業機械情報データベースDBMを生成する。作業機械情報データベースDBMは、同一の作業機械1から得られた複数の作業機械情報MIを含む。すなわち、作業機械情報データベースDBMは、同一の作業機械1から得られた複数の識別番号DN及びそれぞれの識別番号DNに対応した稼働情報WIを含む。
作業機械情報データベースDBMは、所定の期間の作業機械情報MI、具体的には識別番号DN及びこれに対応する稼働情報WIを集計して保存する。所定の期間は、作業機械情報MIを分析するときの目的に応じて、例えば1日、1週間、1か月又は5営業日等のように、任意に設定される。所定の期間中に、同一の識別番号DNに対応する稼働情報WIが含まれることがある。このような場合であっても、作業番号SNが異なるため、同一の識別番号DNの稼働情報WIを区別することができる。例えば、図4に示す例では、識別番号DNが1011のものが2個含まれているが、作業番号SNはそれぞれ1、n+kと異なる。このため、両方の稼働情報WIが区別される。
作業機械情報データベースDBM及びこれに含まれる作業機械情報MIは、識別番号DNに対する稼働情報WIが記述されている。作業機械情報MIを取得したユーザ端末装置105が、取得した作業機械情報MIをそのまま表示装置109Mに表示したり、出力装置109Pから出力したりすると、作業機械1のオーナ又は管理者は、実際に作業機械1を用いて作業をしたオペレータと稼働情報WI等との対応がわかりにくい可能性がある。つまり、どのオペレータが、いずれの日にどの程度の時間、作業をしたのかといったこと又はどのオペレータが作業をした時に作業機械1の状態がいかなる状態であったのかといったこと等が、オペレータの特定という点でわかりにくい可能性がある。
このため、本実施形態において、図2に示すユーザ端末装置105は、対応付け用プログラムPGにより、作業機械情報MIと、対応データベースCTとを結び付ける。このようにして、ユーザ端末装置105は、作業機械1を用いて作業をしたオペレータと稼働情報WIとを対応付けたオペレータ情報DBEを生成する。オペレータ情報DBEは、作業機械1を用いて作業をしたオペレータと稼働情報WIとが対応付けられているので、作業機械1のオーナ又は管理者(以下、適宜作業機械1のユーザという)は、オペレータと稼働情報WIとの関係を容易に理解することができる。
<対応データベースCT>
図5は、ユーザ端末装置105の記憶部107に記憶される対応データベースCTの一例を示す図である。対応データベースCTは、作業機械1を操作するオペレータと識別番号DNとの対応関係を示す情報である。作業機械1を操作するオペレータは、本実施形態では名前NMが用いられるが、オペレータを識別できればよく、オペレータの名前NMに限定されるものではない。例えば、オペレータの名前NMの代わりに、オペレータのニックネーム等が用いられてもよい。
図5に示す例では、識別番号DNが1011、1036、1042、1055、1061に対応したオペレータの名前NMは、それぞれThomas、James、Edward、Gordon、Hemryとなっている。作業機械1のユーザは、自身が管理するオペレータと、そのオペレータに与えられた識別番号DNとの関係を予め作成して、例えば、ユーザ端末装置105の記憶部107に記憶させておく。
<オペレータと稼働情報WIとの対応付け>
図6は、オペレータと稼働情報WIとを対応付ける方法を示す図である。オペレータと稼働情報WIとの対応付けには、作業機械の管理用コンピュータプログラムとしての対応付け用プログラムPGを用いる。対応付け用プログラムPGは、オペレータの名前NMと稼働情報WIとを対応付ける処理をコンピュータに実行させる、コンピュータプログラムである。このコンピュータは、本実施形態ではユーザ端末装置105である。
対応付け用プログラムPGは、識別番号DNと稼働情報WIとの対応関係及び作業機械1を操作するオペレータと識別番号DNとの対応関係を用いて、オペレータと稼働情報WIとの対応関係を生成する処理を、ユーザ端末装置105に実行させる。本実施形態において、識別番号DNと稼働情報WIとの対応関係は、作業機械情報MI又は作業機械情報データベースDBMである。本実施形態において、作業機械1を操作するオペレータと識別番号DNとの対応関係は、対応データベースCTである。
対応付け用プログラムPGは、作業機械情報MI等の識別番号DNを、対応データベースCT中に含まれる同一の識別番号DNに対応したオペレータの名前NMに置き換える処理を、ユーザ端末装置105に実行させる。ユーザ端末装置105がこの処理を実行すると、オペレータ情報DBEが生成される。オペレータ情報DBEは、オペレータの名前NMと、稼働情報WIとの対応関係を示している。作業機械1の管理者等は、オペレータ情報DBEにより、例えば、どのオペレータがどのような作業を実行したのかといったこと又はその作業時の作業機械1の状態はどうであったのかといったこと等を容易に理解することができる。
図7は、所定期間にわたる稼働情報WIを一人のオペレータについて集計したオペレータ情報DBEDの一例を示す図である。本実施形態において、ユーザ端末装置105は、所定期間の稼働情報WIを集計して、オペレータと稼働情報WIとの対応関係を生成してもよい。例えば、図7に示すオペレータ情報DBEDは、一人のオペレータについて、稼働日がDa1からDaiまでの稼働情報WIが集計されたものである。この場合、ユーザ端末装置105は、図2に示す管理装置40から作業機械情報MIを取得する。そして、ユーザ端末装置105は、稼働情報WIを集計する対象のオペレータの識別番号DNに対応する稼働情報WIを所定の期間にわたって抽出し、例えば、時系列に配列する。このようにして、一人のオペレータについて、所定期間における稼働情報WIが集計されたオペレータ情報DBEDがられる。
ユーザ端末装置105は、オペレータ情報DBEDに含まれる稼働情報WIを統計処理して、オペレータの平均燃費、稼働時間及び累積稼働時間等を求め、報告書を作成してもよい。この場合、ユーザ端末装置105は、ある時間帯は早出、次の時間帯は遅出、その次の時間帯は夜勤というように、稼働情報WIに含まれる時刻から、オペレータが作業した時間帯を分類してもよい。このようにすれば、オペレータがどの時間帯に作業をしたかを把握することができるので、オペレータの勤怠管理を行うこともできる。
前述した報告書は、例えば稼働情報WIを一人のオペレータについて集計したオペレータ情報DBEDであり、オペレータの情報、すなわちオペレータを特定する個人情報を含んだものである。報告書は、端末装置105の表示装置109Mに出力(画面に表示)させて作業機械1のユーザが確認できるようにしてもよいし、出力装置109Pによって紙に出力(印刷)して作業機械1のユーザが確認できるようにしてもよい。
図8は、報告書RPを表示装置109M又は出力装置109Pといった報告書出力装置に出力する場合、出力される内容の構成例を示す図である。図8に示す報告書RPは、どのオペレータが、何月何日のどの時間帯に何時間、作業機械1の運転を行ったのかを管理する勤怠管理、オペレータ毎の運転方法の違い及びオペレータ毎のコーション対応状況の把握等に用いることができる。報告書RPは、機種、機番及び顧客車両番号等を含む車両属性、オペレータ別期間集計に関する情報を含む。期間集計に関する情報は、例えば、稼働時間及び燃料消費量等である。オペレータ別期間集計は、レポート期間において、報告対象のオペレータの集計値である。集計値に含まれる燃料消費量は、例えば、レポート期間における燃料消費量、稼動状態での燃費、実稼働状態での燃費又は燃料消費量に比例したCO2の排出量等を含む。
報告書RPの項目のPage1には、報告書RPの報告対象となるオペレータのID及び名前(オペID/オペ名)、車両属性情報及び期間稼働情報が記述される。オペレータの名前は、オペレータの個人情報である。車両属性情報は、報告対象となるオペレータが用いた作業機械の機種、機番及び顧客車両番号等である。
期間稼働情報は、レポート期間における、報告対象のオペレータの稼動状況、作業機械1の使われ方のデータを集計した情報である。期間稼働情報は、例えば、作業モード/使われ方、燃料消費量及び省エネガイダンス回数等を含む。オペレータの稼動状況に関する情報としては、例えば、稼動時間、実稼働時間又はアイドリング時間と対稼働時間との比率がある。例えば、稼働時間等の数値情報は、グラフ等の図形を用いて報告書RPに出力するようにしてもよい。作業機械1の使われ方の情報としては、例えば、作業機械1が油圧ショベルである場合、掘削時間、ホイスト時間、アタッチメント時間又は走行時間と対実稼働時間の比率、実稼働中の各モードの使用時間及び占有比率、各走行モードの使用時間及び占有比率並びに油圧リリーフさせた時間及び対実稼働時間比率等がある。省エネガイダンスは、作業機械1のモニタ22に表示された省エネガイダンスの種類及び回数等である。
報告書RPの項目のPage2には、レポート期間における、報告対象のオペレータの日毎のデータが記載される。このデータとしては、例えば、稼働時間帯、日毎の使われ方明細及びAIS情報並びにコーション履歴等がある。日毎の使われ方明細としては、例えば、稼動マップ及び故障発生等を示すコーションが発生していた時間帯のマップ、作業開始時刻、作業終了時刻、稼動時間、累積稼働時間、実稼働時間、油圧リリーフ時間、実稼働での燃費並びに燃料消費量等がある。AIS情報の内容としては、例えば、エンジン21EGのアイドリング時間、エンジン21EGのアイドリング状態が所定時間継続したときに自動停止する機能であるオートアイドリングストップ機能の設定状態及び発動回数等がある。コーション履歴は、例えば、毎日の各コーション(故障又は異常)の発生有無を示したマップで示される。
また、ユーザ端末装置105は、例えば、図6に示すオペレータ情報DBEを用いて、同一の作業機械を操作した複数のオペレータに対してそれぞれ稼働情報WIを集計し、オペレータ間での比較ができるような情報を生成してもよい。この他にも、ユーザ端末装置105は、オペレータ情報DBE又はオペレータ情報DBEDを用いて、様々な集計を行うことができる。この場合も、作業機械1のユーザは、どのオペレータがどのような作業を実行したか又はその作業時の作業機械1の状態はどうであったのか等を容易に理解することができるので、情報を解析する際の利便性が向上する。
以上、本実施形態は、オペレータの名前NMと識別番号DNとの関係を用いて、オペレータの識別番号DNと稼働情報WIとの関係から、オペレータの名前NMと稼働情報WIとの対応関係を生成する。このため、作業機械1のユーザは、オペレータ情報DBEにより、例えば、オペレータと作業機械1の稼働情報WIとの関係を容易に把握することができる。
本実施形態において、管理装置40は、作業機械1の作業機械情報MIを収集及び集計して、作業機械1のユーザに提供するサービスをする事業者に用いられることがある。一般に、オペレータの名前NM等はオペレータの個人情報であるので、そのような個人情報を管理装置40に保存することが法律によって制限される国又は地域等が存在する。また、オペレータの個人情報を管理装置40に保存することが許可される場合であっても、管理装置40を用いてサービスを提供する事業者と作業機械1のユーザとの間で個人情報の取り扱いに関する契約、セキュリティの確保又は保護状態の監査等といった、個人情報を保護する手間を要することがある。このため、前述したサービスを提供する事業者の管理装置40に、オペレータの個人情報を保存することは困難である。
本実施形態において、オペレータの個人情報は、対応データベースCTの形でユーザ端末装置105に保存される。このため、前述したサービスを提供する事業者の管理装置40にオペレータの個人情報を保存する必要はないので、オペレータの個人情報を保護する手間を低減しつつ、ユーザは、オペレータと作業機械1の稼働情報WIとの関係を容易に把握することができる。このため、前述したサービスを提供する事業者は、このようなサービスを容易に実現できるという利点がある。作業機械1のユーザも、対応データベースCT及び対応付け用プログラムPGを用意しておけば、オペレータと稼働情報WIとの対応関係を簡易に生成することができる。この場合、オペレータと稼働情報WIとの対応関係を生成する処理をコンピュータに実行させる対応付け用プログラムPGは、例えば、前述したサービスを提供する事業者から作業機械1のユーザに対して配布される。以上に説明した、作業機械の稼働情報を管理する管理方法、管理用コンピュータプログラム及び管理システムを用いることにより、作業機械1のユーザは、各オペレータの労務管理又は各オペレータの燃料消費量の結果等を基にした運転指導、作業機械1の予防保全及び故障診断への対応等を実現することができる。
以上、本実施形態を説明したが、前述した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。