JP2015113422A - 耐摩耗性ゴム組成物及びゴム被覆ケーブル - Google Patents

耐摩耗性ゴム組成物及びゴム被覆ケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】充分な柔軟性を有するとともに、優れた絶縁性と耐摩耗性を併せ持ち、かつゴム組成物の粘度の上昇もない耐摩耗性ゴム組成物、及び前記のゴム組成物により形成されたシース層(外層被覆)を有するゴム被覆ケーブルを提供する。
【解決手段】クロロプレンゴム100質量部に対して、カーボンブラックを5〜25質量部、シリカを5〜40質量部及びポリスルフィド系シランカップリング剤を1〜10質量部含有する耐摩耗性ゴム組成物、及び前記のゴム組成物により形成されたシース層(外層被覆)を有するゴム被覆ケーブル。
【選択図】図1

Description

本発明は、キャブタイヤケーブルの外層被覆材料を形成する耐摩耗性に優れたゴム組成物(耐摩耗性ゴム組成物)、及び前記耐摩耗性ゴム組成物により形成された外層被覆(外被、シース等)を有するゴム被覆ケーブルに関する。
工場内での移動機器の給電線として用いられるキャブタイヤケーブルや電気自動車の急速充電ケーブルとして用いられるキャブタイヤケーブルは、通常、導体及びその周囲を被覆する絶縁体からなる絶縁電線を複数本数束ね、その外周を外層被覆材で覆ってなる構造である。図1は、このようなキャブタイヤケーブル(以下、単に「ケーブル」と言う)の一例であって、工場内での移動機器の給電線として用いられるものの断面図である。
図中、1はケーブルであり、11は銅等の導体からなる素線であり、この例では、素線11が撚られて導体線15が形成されている。また、それぞれの導体線15は絶縁層12で覆われており導体線15と絶縁層12により絶縁電線16が形成されている。絶縁層12は、各絶縁電線間を互いに識別するためにそれぞれ異なった色からなる色別テープにより形成されている。
ケーブル1は、3本の絶縁電線からなる3心のキャブタイヤケーブルである。3本の絶縁電線16は、図に示すように束ねられその外周が絶縁性の外層被覆材(以下「シース層」と言う)13により覆われている。3本の絶縁電線16をシース層13内に安定的に保持するため、これらとシース層13との間は介在物(絶縁)14により充たされている。
このようなキャブタイヤケーブルのシース層には、使用時の安全を確保するための難燃性が求められる。又、工場内の移動機器用の給電ケーブルや電気自動車用の急速充電ケーブルは、一般的に重くその使用時には床面と擦れながら激しく移動することもある等、手荒く扱われることが多い。従ってシース層には、ケーブルを取回しやすくするための柔軟性とともに高い耐摩耗性が求められる。
そこで、シース層を形成する材料としては、ゴムの中でも耐摩耗性と柔軟性、難燃性に優れるクロロプレンゴム(CR)が用いられるのが一般的である。例えば、特許文献1では、銅導体等からなるコア(絶縁電線)を単独または複数本撚り合わせたものの外周に内層シース及びポリクロロプレンゴム外層シースを押出し被覆・加硫してなる高電圧キャブタイヤケーブルが開示されている。
ゴム組成物の耐摩耗性をさらに向上させるため、ゴム組成物にカーボンブラックやシリカを添加する方法が知られている。例えば、非特許文献1には、カーボンブラックやシリカをゴム組成物に添加するとゴムの耐摩耗性が向上することが開示されている。
特開2008−130367号公報
「ゴム技術の基礎」、日本ゴム協会、昭和58年、229頁
しかし、カーボンブラックは導電性の材料であり、しかも一定以上の濃度になると鎖状組織を形成し伝導性回路がゴム組成物内に形成される。カーボンブラックの添加量がある限度以上になると急にゴム組成物の絶縁抵抗が低下し漏電の危険が生じる。従って、カーボンブラックの添加量には限度がありこの方法による耐摩耗性の向上には限界があった。
一方、シリカは、カーボンブラックに比べてクロロプレンゴムとの親和性が小さいため、耐摩耗性の向上効果はカーボンブラックに比べて小さい。従って、耐摩耗性の向上のためにはより多量の添加が必要になる。しかしシリカの多量の添加はゴム組成物の粘度を上昇させる。粘度が上昇すると、ゴム組成物の混合・押出中の剪断発熱が大きくなり所謂ヤケが生じやすくなるとの問題がある。従って、シリカについてもその添加量には限度がありこの方法による耐摩耗性の向上には限界があった。
本発明は、充分な柔軟性を有するとともに、クロロプレンゴムにカーボンブラックやシリカを添加してなる従来のゴム組成物では得られない優れた絶縁性と耐摩耗性を併せ持ち、かつゴム組成物の粘度の上昇もない耐摩耗性ゴム組成物を提供することを課題とする。
本発明は、又、優れた柔軟性、絶縁性及び耐摩耗性を有する前記のゴム組成物により形成されたシース層(外層被覆)を有するゴム被覆ケーブルを提供することを課題とする。
本発明の第1の態様は、クロロプレンゴム100質量部に対して、カーボンブラックを5〜25質量部、シリカを5〜40質量部及びポリスルフィド系シランカップリング剤を1〜10質量部含有する耐摩耗性ゴム組成物である。
本発明の第2の態様は、導体線及び前記導体線を被覆する絶縁層からなる絶縁電線、及び該絶縁電線を被覆するシース層(外層被覆)を有するゴム被覆ケーブルであって、該シース層が請求項1に記載の耐摩耗性ゴム組成物の加硫体であるゴム被覆ケーブルである。
本発明の第1の態様により、充分な柔軟性を有するとともに、優れた絶縁性と耐摩耗性を併せ持ち、ゴム組成物の粘度の上昇もないゴム被覆層を形成する耐摩耗性ゴム組成物が提供される。
本発明の第2の態様により、充分な柔軟性を有するとともに、優れた絶縁性と耐摩耗性を併せ持つシース層を有し、工場内の移動機器への給電や電気自動車の急速充電に好適に用いられるゴム被覆ケーブルが提供される。
キャブタイヤケーブルの一例の構造を示す断面図である。 実施例における摩耗輪試験に使用した装置を模式的に示す図である。
[本発明の実施態様の詳細]
以下、第1及び第2の実施態様の具体的形態をその例示とともに説明する。なお、本発明の範囲は以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって記載され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
[第1の態様]
1.第1の態様の構成及びその意義
本発明の第1の態様は、
クロロプレンゴム100質量部に対して、カーボンブラックを5〜25質量部、シリカを5〜40質量部及びポリスルフィド系シランカップリング剤を1〜10質量部含有する耐摩耗性ゴム組成物である。
第1の態様においては、柔軟性、耐摩耗性、難燃性に優れるクロロプレンゴムに、耐摩耗性の向上効果の高いカーボンブラックと耐摩耗性の向上効果を有するシリカ並びにポリスルフィド系シランカップリング剤を併用して添加してゴム組成物を形成することを特徴とする。シリカをカーボンブラックと併用することにより、カーボンブラックの添加量を抑えても、優れた耐摩耗性の向上効果が得られる。すなわち、高い耐摩耗性を得るために必要なカーボンブラックの添加量を一定以下に抑えることができ、ゴム組成物の絶縁抵抗の急激な低下や漏電の危険を防ぐことができる。
シランカップリング剤は、シリカとゴムとの親和性を向上させる親和性向上効果を有するが、ポリスルフィド系シランカップリング剤はシリカとクロロプレンゴムとの親和性向上効果が特に高い。第1の態様においては、ポリスルフィド系シランカップリング剤をシリカと併用することにより、シリカとクロロプレンゴムとの親和性を大きく向上させシリカの耐摩耗性向上効果を高めることができる。又、ポリスルフィド系シランカップリング剤の併用により、クロロプレンゴムとの親和性が高まるのでシリカの多量の添加によるゴム組成物の粘度の上昇を抑えることができる。従って、粘度の上昇による、ゴム組成物の混合・押出中の剪断発熱の増大、所謂ヤケの発生も抑制できる。
このように第1の態様においては、カーボンブラックおよびシリカの少ない配合量で十分な耐摩耗性の向上効果が得られるので、優れた柔軟性を有するとともに、充分な絶縁性と耐摩耗性を併せ持つ、シース層の形成に好適な耐摩耗性ゴム組成物が提供される。また、ゴム組成物の粘度の上昇が小さいため、混合時や押出時のヤケが防止される。また、難燃性にも優れる。
2.第1の態様の構成材料
(1)クロロプレンゴム
第1の態様の耐摩耗性ゴム組成物を構成するゴム材料には、クロロプレンゴムが使用される。クロロプレンゴムは機械的強度、柔軟性、耐候性、耐熱性、耐油性、耐薬品性に優れているため、クロロプレンゴムを用いることにより、シース層用として好適な特性が得られる。特に他の構成材料を配合することにより優れた耐摩耗性を得ることができる。
使用するクロロプレンゴムの種類は特に限定されず、非変性のクロロプレンゴム、各種変性クロロプレンゴム等何れの種類のクロロプレンゴムも使用されるが、より耐熱性に優れるメルカプタン変性クロロプレンゴム、キサントゲン変性クロロプレンゴムを用いた場合、ゴム組成物調製のための混合工程や、電線被覆等を形成するための押出成形工程においてヤケの発生等、熱が加わったことによる品質の低下が防止されるため好ましい。
(2)カーボンブラック
使用するカーボンブラックは特に限定されないが、高い耐摩耗性を得るには、粒子径の小さいカーボンブラックが適しており、同じ粒径ならストラクチャーの高いものが好ましい。但し、粒子径が小さくなるほどゴム中に均一に分散するのが難しくなる。このような好ましいカーボンブラックとしては、例えば、東海カーボン社製のシースト3H(算術平均粒子径27μm)、シースト5H(算術平均粒子径22μm)、シースト9H(算術平均粒子径18μm)を挙げることができる。
カーボンブラックの含有量は、クロロプレンゴム100質量部に対して5〜25質量部であり、好ましくは10〜20質量部である。カーボンブラックの含有量が5質量部未満では充分な耐摩耗性の向上効果が得られず、耐摩耗性が不足する恐れがある。一方、カーボンブラックが25質量部を超えた場合には電気絶縁性が急激に低下し、漏電の可能性が生じる場合がある。
(3)シリカ
使用するシリカは特に限定されないが、カーボンブラックと同様に、粒子径の小さいシリカを用いた方が耐摩耗性が向上しやすいので好ましい。このような好ましいシリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジル200(一次粒子の平均径約12μm)、アエロジル300(一次粒子の平均径約7μm)を挙げることができる。
また、シリカの含有量は、クロロプレンゴム100質量部に対して5〜40質量部であり、好ましくは10〜30質量部である。シリカの含有量が40質量部を超える場合には充分な柔軟性が得られない可能性がある。また、(ポリスルフィド系シランカップリング剤を、10質量部を超えて添加する場合であっても)ゴム組成物の粘度が上昇し、混合時または押出時にヤケが発生する可能性がある。一方、クロロプレンゴム100質量部に対してシリカが5質量部未満では、充分な耐摩耗性の向上効果が得られず耐摩耗性が不十分となる可能性がある。
(4)ポリスルフィド系シランカップリング剤
ポリスルフィド系シランカップリング剤としては、具体的には、ビス−(3−(トリエトキシシリル)−プロピル)−ジスルフィド、ビス−(3−(トリエトキシシリル)−プロピル)−トリスルフィド、ビス−(3−(トリエトキシシリル)−プロピル)−テトラスルフィド、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス−(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等を挙げることができる。また、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等も用いられ、これらを単独もしくは二種以上併せて用いられる。
中でも、ビス−((トリアルコキシシリル)−アルキル)−ポリスルフィド、特に下記の式で表されるビス−(3−(トリエトキシシリル)−プロピル)−ポリスルフィドが、シリカとクロロプレンゴムとの親和性を向上させる効果が大きく好ましく用いられる。
(CHCHO)−Si−C−Sx−C−Si−(OCHCH
(式中xは、2〜6の整数を表す)
そこで、第1の態様の好ましい態様として、前記ポリスルフィド系シランカップリング剤が、上記の式で表される化合物である態様が提供される。
また、ポリスルフィド系シランカップリング剤の含有量は、クロロプレンゴム100質量部に対して1〜10質量部であり、好ましくは2〜5質量部である。ポリスルフィド系シランカップリング剤の含有量が10質量部を超える場合には、ゴム組成物の機械的強度が低下して好ましくない。また、10質量部を超えても耐摩耗性がさらに向上することはない。一方、クロロプレンゴム100質量部に対して、ポリスルフィド系シランカップリング剤の含有量が1質量部未満では、ゴム組成物の耐摩耗性が不十分となりやすく、又シリカの添加によるゴム組成物の粘度の上昇を充分抑えることができず、混合時または押出時にヤケが発生する可能性がある。
(5)その他の構成材料
第1の態様の耐摩耗性ゴム組成物には、本実施の態様の趣旨を妨げない範囲で上記以外の添加剤、例えば、滑剤、補強剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、受酸剤等を適宜添加することができる。但し、本実施の態様の耐摩耗性ゴム組成物は、可塑剤を含有していない場合でも充分な柔軟性を有しており、可塑剤の添加は、耐摩耗性を低下させる場合があるので、可塑剤は添加しない方が好ましい。
3.第1の態様の耐摩耗性ゴム組成物の製造(耐摩耗性ゴム組成物の調製)
第1の態様の耐摩耗性ゴム組成物は、前記の構成材料をロール混合機、単軸混練押出機、二軸混練押出機、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、ロール混合機等の既知の混合機を用いて混合することにより行う。混合中に加硫反応が進行しないように、混合は、ゴム組成物の温度が100℃を越えないようにして行い、必要に応じて水冷を行う。
[第2の態様]
本発明の第2の態様は、
導体線及び前記導体線を被覆する絶縁層からなる絶縁電線、及び該絶縁電線を被覆するシース層を有するゴム被覆ケーブルであって、該シース層が請求項1に記載の耐摩耗性ゴム組成物の加硫体であるゴム被覆ケーブルである。
第2の実施の態様においては、シース層が第1の態様の耐摩耗性ゴム組成物、即ち充分な柔軟性を有するとともに絶縁性、耐摩耗性に優れる耐摩耗性ゴム組成物を用いて形成されているため、絶縁性に優れ、取回しがしやすく高い耐摩耗性を有し、工場内の移動機器への給電や電気自動車の急速充電に好適に用いられるゴム被覆ケーブルが提供される。また、上記耐摩耗性ゴム組成物は、難燃性にも優れているため、使用時の安全が確保される。
1.ゴム被覆ケーブルの構成
第2の態様のゴム被覆ケーブルでは、図1に示すように、絶縁層で被覆された導体線からなる絶縁電線が1〜4本(図1の例では3本)束ねられその外周がシース層で被覆されている。各導体線を被覆する絶縁層は、それぞれの間を互いに識別するためにそれぞれ異なった色に着色されたものであってもよい。
2.導体線
導体線を構成する導体としては、導電性に優れる銅、アルミ等を挙げることができる。導体線は単線であってもよいし、複数の素線の撚り線であってもよい。
3.絶縁電線(導体線)の数
絶縁電線(導体線)の数は、1〜4本である。EPゴムを絶縁層として被覆したものが一般的であるがポリ塩化ビニルを被覆したものもある。
4.シース層の形成
シース層は、溶融押出機など既知の押出成形機を用いて前記第1の態様の耐摩耗性ゴム組成物を導体線の束の上(介在物がある場合はその上)に押出成形し、加硫することにより形成される。加硫は、公知の方法により行うことができる。例えば、加圧水蒸気法を挙げることができ、この方法は長尺物の加硫方法として製造スピードが速く、電線・ケーブル等の加硫には多用されている。但し、加硫時に高圧が加わることからシース層、絶縁層が変形する場合がある。この問題をさけるため、バッチ式で温度がやや低く、高い圧力が加わらない缶加硫方法もある。シース層の厚みはケーブルのサイズ、用途等に応じて適宜決定される。
[1]ケーブルの作製
1.耐摩耗性ゴム組成物の調製
(1)使用した材料
(クロロプレンゴム)
メルカプタン変性クロロプレンゴム:ショウプレンTW(昭和電工社製)
キサントゲン変性クロロプレンゴム:デンカクロロプレンDCR−42(電気化学工業社製)
(カーボンブラック)
シースト3H(東海カーボン社製)
(シリカ)
アエロジル200V(日本アエロジル社製)
(ポリスルフィド系シランカップリング剤)
カプラス−2(ダイソー社製)
カプラス−4(ダイソー社製)
(他の添加剤)
重質炭酸カルシウム:ホワイトンP−30(白石カルシウム社製)
酸化防止剤:ノクラックCD(大内新興化学社製)
プロセスオイル:ダイアナプロセスオイルNP−24(出光興産社製)
滑剤:ステアリン酸
酸化マグネシウム:キョーワマグ#150(協和化学工業社製)
酸化亜鉛:酸化亜鉛1種(堺化学工業社製)
加硫促進剤:アクセルTS(川口化学工業社製)
(2)材料の混合
前記材料を以下に記載する表1、2に示す配合量(単位:質量部)でそれぞれ配合し、バンバリーミキサーにより混合中に加硫が進行しないように水冷をしつつ、ゴム組成物の温度が100℃以下になるようにして混合して耐摩耗性ゴム組成物を調製した。
(3)ケーブルの作製
調製した耐摩耗ゴム組成物をオープンロールで帯状に延ばし、ゴム押出機を用いてケーブルサンプルを作製した。押出しはゴム温度が100℃を超えないように水冷しながら行った。なお、ケーブルの作製は、600V特殊移動用2種EPゴム絶縁クロロプレンシースキャブタイヤケーブル(F−2PNCT)と呼ばれる設計で行った(3心、公称断面積38mm、シース層厚み3mm)。
Figure 2015113422
Figure 2015113422
[2]ケーブルの評価
1.評価方法
(1)耐摩耗性
JIS K7204に基づき摩耗輪試験を行い、耐摩耗性を評価した。具体的には図2に示すように、ケーブル1の先端に所定の加重(5kgfの錘)23を吊り下げ、他端を摩耗輪試験装置2の把持部22で把持して、ケーブルの側面を摩耗輪21に押し当て、摩耗輪21を所定数回転(750回転)させ、シース層(図1のシース層13に相当する)を摩耗させた後、ケーブル1の状態(摩耗後残存するシース層の厚さ(「摩耗厚」と言う)、介在物の露出の有無)を調べた。ケーブル1の介在物(絶縁)(図1の介在物14に相当する)が露出していない場合(摩耗後残存するシース層の厚さが0mmより大きいもの)を合格とし、露出している場合を不合格とした。
(2)体積固有抵抗(絶縁性)
ゴム組成物から熱プレス機を用いて、φ100mm×t2.5mmのサイズの試験サンプルを作製し、JIS K6271に定める二重リング電極法を用いて電気抵抗を測定した。測定値から体積固有抵抗値を求めた。体積固有抵抗値が≧1×10Ω・mを合格とし、<1×10Ω・mを不合格とする。
(3)ヤケの発生
a.混合時のヤケの発生
混合後のゴム組成物の外観を目視でチェックして、ヤケの発生の有無を調べた。ヤケが発生していない場合を合格とし、ヤケが発生している場合を不合格とする。
b.押出時のヤケの発生
押出後のシース層の外観を目視でチェックして、ヤケの発生の有無を調べた。ヤケが発生していない場合を合格とし、ヤケが発生している場合を不合格とした。
2.評価結果
評価結果を表3、4に示す。
Figure 2015113422
Figure 2015113422
表3及び表4より、ゴム組成物の組成が第1の実施態様の条件、即ちクロロプレン100質量部に対してカーボンブラックを5〜25質量部、シリカを5〜40質量部、ポリスルフィド系シランカップリング剤を1〜10質量部それぞれ含有する耐摩耗性ゴム組成物を用いた実験1〜5では、耐摩耗性、体積固有抵抗、混合時のヤケ、押出時のヤケの評価結果は、いずれも合格であった。
一方、カーボンブラックの含有量が3質量部と5質量部未満である実験6およびポリスルフィド系シランカップリング剤の含有量が0.5質量部と1質量部未満である実験7は、摩耗により絶縁が露出し、耐摩耗性が不合格であった。また、カーボンブラックの含有量が30質量部と25質量部を超えている実験8では、体積固有抵抗が1×10Ω・m未満であり、絶縁性が不十分であった。実験8、及びポリスルフィド系シランカップリング剤の含有量が12質量部と10質量部を超えている実験10は、押出時にヤケが発生し、シリカの含有量が45質量部と40質量部を超えている実験9は混合時、押出時の両方でヤケが発生することが分かった。
第1の態様の耐摩耗性ゴム組成物は、粘度の上昇が抑制されているので、シース層の形成のための押出時、混合時におけるヤケを防止することができる。又、この耐摩耗性ゴム組成物をシース層の形成に用いることにより、絶縁性、柔軟性、耐摩耗性に優れるゴム被覆ケーブルの提供を可能とするものである。従って、この耐摩耗性ゴム組成物をシース層の形成に用いて得られる第2の態様の耐摩耗性ゴム組成物は、工場内での移動機器への給電線として用いられるケーブル、電気自動車の急速充電用のケーブル等として好ましく用いられる。
1 ケーブル
11 素線
12 絶縁層
13 シース層
14 介在物(絶縁)
15 導体線
16 絶縁電線

Claims (3)

  1. クロロプレンゴム100質量部に対して、カーボンブラックを5〜25質量部、シリカを5〜40質量部及びポリスルフィド系シランカップリング剤を1〜10質量部含有する耐摩耗性ゴム組成物。
  2. 前記ポリスルフィド系シランカップリング剤が、下記一般式で表される化合物である耐摩耗性ゴム組成物。
    (CHCHO)−Si−C−Sx−C−Si−(OCHCH
    (式中xは、2〜6の整数を表す)
  3. 導体線及び前記導体線を被覆する絶縁層からなる絶縁電線、及び該絶縁電線を被覆するシース層を有するゴム被覆ケーブルであって、該シース層が請求項1に記載の耐摩耗性ゴム組成物の加硫体であるゴム被覆ケーブル。
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