JP2015112564A - 金属製フィルターの処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を濾過したフィルターに対して優れた再生効果が得られ、かつ処理によるフィルター自体の損傷を抑制できる、熱可塑性樹脂フィルムを製造する際など、熱可塑性樹脂組成物を濾過する際に用いる金属製フィルターの処理方法の提供。【解決手段】熱可塑性樹脂組成物を濾過する際に用いる金属製フィルター10の処理方法であって、酸素濃度0〜1.0体積%の環境下で、金属製フィルター10を400〜800℃に加熱する工程(以下、加熱工程という)を有する金属製フィルターの処理方法。更にトリエチレングリコールで処理する工程、アルカリ水溶液で処理工程、その上、超音波で処理する工程と順に加熱工程以降処理し、再生する金属製フィルターの処理方法。【選択図】図4

Description

本発明は、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を濾過したフィルターに対して優れた再生効果が得られ、かつ処理によるフィルター自体の損傷を抑制することができる、熱可塑性樹脂フィルムを製造する際など、熱可塑性樹脂組成物を濾過する際に用いる金属製フィルターの処理方法に関する。
一般的に、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、粒子形態の熱可塑性樹脂原料を押出機によって溶融し、口金から溶融した熱可塑性樹脂組成物をシート状溶融物として吐出し、回転冷却体によりキャスト及び冷却固化させてシート化し、所望の厚さと幅に延伸してフィルムを得る。溶融状態の熱可塑性樹脂組成物は、通常、各種粗大異物を含有しているため、これを予め除去しなければ、最終的に得られる熱可塑性樹脂フィルムの品質や収率が低下してしまう。したがって、熱可塑性樹脂フィルムを製造する際は、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を金属製フィルターで濾過することが行われている。
粗大異物を捕捉することで濾過性能が落ちた金属製フィルターは、新たなものに替えるか、又は、再生して使用しなければならない。ただし、金属製フィルターは甚だ高価であるため、所定の洗浄工程を経て再生した後、再び使用することが望ましい。そのため、熱可塑性樹脂を扱うメーカー、特にはフィルムメーカー各社では、使用後の金属製フィルターを効果的に洗浄して再生できる方法を開発するために、多くの努力を注いできた。
そのような中で、ドロップアウト、特に広面積に渡るドロップアウトの少ないDVCテープを製造するための磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを製造する際に有効なフィルター洗浄方法、及びこの方法により洗浄されたフィルターを用いるフィルム製造方法が提案されている(特許文献1)。
また、熱可塑性樹脂フィルムを製造する際などに溶融した熱可塑性樹脂の異物を濾過し除去した金属フィルターの付着物を効果的に洗浄することができるフィルターの洗浄方法が提案されている(特許文献2)。
特開2002−186918号公報 特開2008−037012号公報
特許文献1記載のポリエステル組成物濾過用フィルターの洗浄方法、及び磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法は、フィルター中に付着しているポリエステル組成物を、水あるいは水酸基を有する化合物の存在下で加熱して分解させた後、フィルターを物理的に振動させながら液体あるいは気体を通過させて異物を除去しているが、化学的処理方法で溶かすことができない組成物に対する処理方法については考慮されていない。よって、フィルター内部の付着物を完全に取りきれず、再使用するごとに処理後のフィルター中の異物残存量が増加するという問題点があった。
特許文献2記載のフィルターの洗浄方法は、金属フィルターを、トリエチレングリコールで洗浄する工程と、大気中で430〜500℃の範囲でバイ焼する工程と、苛性及び硝酸で洗浄する工程と、超音波で洗浄する工程とを有し、中でも、バイ焼する工程では、大気中で酸化させて加熱することで残渣を灰化させることができ、加熱温度を規定することで金属フィルターを殆ど酸化させることがないが、厳密的には、大気中で加熱するため、金属フィルターの損傷を抑制する上では十分ではなかった。
本発明の課題は、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を濾過したフィルターに対して優れた再生効果が得られ、かつ処理によるフィルター自体の損傷を抑制することができる、熱可塑性樹脂フィルムを製造する際など、熱可塑性樹脂組成物を濾過する際に用いる金属製フィルターの処理方法を提供することである。
本発明は、熱可塑性樹脂組成物を濾過する際に用いる金属製フィルターの処理方法であって、
酸素濃度0体積%以上1.0体積%以下の環境下で、金属製フィルターを400℃以上800℃以下に加熱する工程(以下、加熱工程という)を有することを特徴とする。
本発明により、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を濾過したフィルターに対して優れた再生効果が得られ、かつ処理によるフィルター自体の損傷を抑制することができる、熱可塑性樹脂フィルムを製造する際など、熱可塑性樹脂組成物を濾過する際に用いる金属製フィルターの処理方法を提供することができる。より具体的には、主成分の各種熱可塑性樹脂を始めとして様々な含有物を含む熱可塑性樹脂組成物を濾過したフィルターに対して優れた再生効果が得られ、かつ処理によるフィルター自体の損傷を抑制することができるため、適応範囲の広い金属製フィルターの処理方法として好適に用いることができる。
フィルム製造装置を示す概略図 濾過装置を示す概略図 金属製フィルターの構造を示す概略図 加熱装置を示す概略図
以下に、本発明を実施するための望ましい形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
最初に熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の一例を、図1を用いて説明する。図1のフィルム製造装置を示す概略図より、例えば、熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いた場合、これを予め80℃から160℃の温度範囲で1時間から5時間乾燥した後、押出機1に供給し、250℃から300℃の温度範囲で溶融状態にしてギアポンプ2で計量後、金属製フィルター(リーフディスク型)10を含む濾過装置3で溶融した熱可塑性樹脂組成物を濾過し、口金4から一定量のシート状溶融物を吐出し、押し出された該シート状溶融物へ上面又は下面より静電荷を析出させて、10℃から60℃の温度範囲で回転冷却体5(キャスティングドラムとも呼ばれる)の表面で冷却、固化して未延伸フィルムを得る。次いで、延伸装置A6で、一軸方向(縦方向又は横方向)にガラス転移温度からプラス50℃の温度範囲で2倍から8倍の倍率で延伸を行う。次いで、延伸装置B7で、上記延伸方向と直角方向(一軸延伸方向と直交する方向)に90℃から170℃の温度範囲で延伸、及び150℃から250℃の温度範囲で熱固定を行う。次いで、幅方向に均一に冷却させながら室温まで冷却して巻取部9で巻き取り、2軸延伸した熱可塑性樹脂フィルム8を得る。
金属製フィルター(リーフディスク型)10を含む濾過装置3の概略図を、図2に示す。濾過装置3は、溶融した熱可塑性樹脂組成物の供給口12及び溶融した熱可塑性樹脂組成物の排出口14を有する円筒形状の濾過ハウジング11、該濾過ハウジング内に設けられた複数の円盤形状の金属製フィルター(リーフディスク型)10で構成されている。図3は、金属製フィルター(リーフディスク型)10の構造を示す概略図である。金属製フィルター(リーフディスク型)10の主な構造としては、濾材部分のメディア15、その内側のフィルター支持部材であるリテーナーメッシュ16、及び軸部分のハブ部材17で構成されている。メディア15は、例えば、最外面より金属製保護メッシュ/金属繊維焼結濾材/金属繊維焼結濾材/金属製保護メッシュ等、複数の濾過部材が積層された構造となっている。また、金属製フィルター(リーフディスク型)10には、濾過された溶融した熱可塑性樹脂組成物が溶融した熱可塑性樹脂組成物の流路13に流れるように、濾過流露18が形成されている。図3の金属製フィルター(リーフディスク型)10の外径Dは、押出機1からの溶融した熱可塑性樹脂組成物の供給量や滞留時間に応じて適宜設定される。熱可塑性樹脂フィルムを製造する際の、熱可塑性樹脂組成物の濾過に用いる金属製フィルター(リーフディスク型)10は、外径D100mm〜450mm程度のものが好ましい。
濾過装置3における溶融した熱可塑性樹脂組成物の濾過経路は以下の通りである。押出機1からの溶融した熱可塑性樹脂組成物は、溶融した熱可塑性樹脂組成物の供給口12から複数の金属製フィルター(リーフディスク型)10のそれぞれの内部に供給され、各金属製フィルター(リーフディスク型)10の濾過流路18から濾過済みの溶融した熱可塑性樹脂組成物として流れ出た後、溶融した熱可塑性樹脂組成物の流路13を流れて溶融した熱可塑性樹脂組成物の排出口14から排出される。このように、押出機1の出口で濾過装置3により熱可塑性樹脂組成物の濾過を行うことで、熱可塑性樹脂組成物に含まれる各種粗大異物(外部混入異物、未反応物、ゲル化物、押出機内の熱劣化物等)を溶融した熱可塑性樹脂組成物中から除去し、口金4からクリーンな溶融した熱可塑性樹脂組成物を吐出することができる。
また、熱可塑性樹脂フィルムを製造する際に用いる金属製フィルター(リーフディスク型)10は、甚だ高価であるため、使用後に適切な処理工程を経て再生し、繰り返し使用することが望ましい。使用後の金属製フィルターには、その内外部に樹脂や各種粗大異物等の様々な残渣が付着しているため、それら残渣を取り除くための処理方法として、様々なフィルターの処理方法が提案されてきた。その一つである本発明は、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を濾過したフィルターに対して優れた再生効果が得られ、かつ処理によるフィルター自体の損傷を抑制することができる、熱可塑性樹脂組成物を濾過する際に用いる金属製フィルターの処理方法である。
つまり本発明の金属製フィルターの処理方法は、熱可塑性樹脂フィルムを製造する際など、熱可塑性樹脂組成物を濾過する際に用いる金属製フィルターの処理方法であって、酸素濃度0体積%以上1.0体積%以下の環境下で、金属製フィルターを400℃以上800℃以下に加熱する工程(以下、加熱工程という)を有する発明である。
本発明の加熱工程で用いる加熱装置の概略図を、図4に示す。該加熱装置は、装置内の酸素濃度を調節するための窒素流入経路20を有し、ヒーター19で加熱することで、金属製フィルターに付着した残渣を分解除去することができる。装置内にセットされた使用済みの金属製フィルター10は、付着した残渣が熱分解し、ガス排出経路21より排出されて、装置の外部で冷却して廃液槽に捕集される。
加熱工程の酸素濃度は、0体積%以上1.0体積%以下であることが重要である。加熱工程において、酸素濃度が1.0体積%を超える場合、金属製フィルターが酸化劣化し、メディア15の変色、また、金属製フィルターの構成部材が脆化し、濾材部分が破損することがある。酸素濃度を調節するための置換ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが挙げられるが、安価で入手し易い点から窒素が好ましい。つまり、加熱工程を酸素濃度0体積%以上1.0体積%以下の環境下とするために、加熱工程において窒素等の不活性ガスを流入させる方法が好ましい。
加熱工程の加熱温度は、400℃以上800℃以下であることが重要であり、好ましくは450℃以上600℃以下である。加熱温度が400℃未満の場合、残渣の加熱分解に時間がかかり、また、熱可塑性樹脂組成物中の含有物によっては加熱分解できないことがある。加熱温度が800℃を超える場合、金属製フィルターの構成部材が脆化し、濾材部分が破損することがある。
加熱工程の加熱時間は、特に限定されないが、2時間以上24時間が好ましく、6時間以上18時間以下がさらに好ましく、8時間以上14時間以下が特に好ましい。
本発明の処理方法を好適に適用可能な金属製フィルターの種類としては、上記で説明した金属製の網等の支持体を上下から濾材で挟み込んだリーフディスク型フィルター、濾材にヒダ付き加工を施したプリーツ円筒型フィルター、濾材を円筒状に加工したフラット円筒型フィルター、濾材を打ち抜き等で加工したディスク型フィルター等を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの中でも、濾過装置の設計自由度が高く、耐熱性、耐圧性及び濾過面積に優れる点から、リーフディスク型フィルター又はプリーツ円筒型フィルターが好ましく、リーフディスク型フィルターが特に好ましい。該リーフディスク型フィルターは、濾材部分の種類により金属繊維焼結濾材と金属粒子焼結濾材に分けられるが、該金属粒子焼結濾材は濾過精度が低く、流動抵抗も大きいため、金属繊維焼結濾材の方が好ましい。最近では金属繊維焼結濾材と金属粒子焼結濾材の両方を用いた複合タイプのリーフディスク型フィルターも開発され、熱可塑性樹脂フィルムの生産現場で使用されている。また、金属製フィルターの濾過精度は、0.5μm以上80μm以下が好ましく、さらに好ましくは、1μm以上20μm以下である。フィルム用の金属製フィルターの濾過精度は、できるだけ微細なものが望ましいが、フィルターの圧力損失、添加する不活性微粒子の粒子径等の観点から、現実的には0.5μm以上となる。ここで、本発明で言う「濾過精度」とは、除去率95%カットにおける粒子径を指す。
本発明における金属製フィルターの濾材の材質としては、特に限定されず、ステンレス(ステンレス系のメタルファイバーや焼結多孔質体)、ブロンズ、鉄、銅等の金属が例示できる。中でも、耐熱性、耐腐食性の観点からステンレスがより好ましい。ステンレスの中でもSUS304、SUS316、SUS316L、SUS430等が特に好ましい。また、フィルター支持部材、溶接部等の濾材以外の構造物の材質も、処理工程における効率化の観点から濾材と同じ材質であることが好ましい。ここで、ステンレスとは、鉄(Fe)にクロム(Cr)を質量比で10.5%以上含有させた合金であり、炭素(C)が質量比で1.2%以下のものの総称である。特徴は、極めて錆び難い鉄鋼材料である。ステンレス鋼を大気中の高温環境下に曝した場合、一般に、テンパーカラーと呼ばれる、Cr濃度の減少及びFe濃度の増加を起因とする酸化皮膜が形成される。該酸化皮膜は、温度上昇に伴い厚さが増し、使用環境によっては孔食や粒界腐食の発生等、ステンレス鋼の耐食性が低下する原因となることがある。よって、本発明の金属製フィルターの処理方法は、上記の加熱工程において酸素濃度0体積%以上1.0体積%以下の環境下にすることで、フィルター自体の損傷を抑制することができる。
本発明の金属製フィルターの処理方法は、金属製フィルターをトリエチレングリコールで処理する工程(以下、処理工程1という)を有することが好ましい。

処理工程1は、金属製フィルターにトリエチレングリコールを付着させる工程を意味し、具体的にはトリエチレングリコールを金属製フィルターの熱可塑性樹脂組成物が付着した部分に塗布したり、トリエチレングリコール中に金属製フィルターを浸漬する等の工程を意味する。そして、この処理工程1を経ることで、金属製フィルターに付着した熱可塑性樹脂の分子鎖を切断して分解除去することができる。処理工程1の処理方法としては、トリエチレングリコールを金属製フィルターの内部まで浸透させて再生効果を高める観点から、トリエチレングリコール中に金属製フィルターを浸漬する方法が好ましい。例えば、処理工程1で金属製フィルターに付着したポリエステルをトリエチレングリコールで処理すると、ビス−2−ヒドロキシエチルテレフタレート及びトリエチレングリコールが生成される。この際、熱可塑性樹脂は、高温であるほど分解速度が速くなるため、沸点近くまで加熱した高純度のトリエチレングリコールを5時間〜15時間循環させて処理することが好ましい。さらに、処理工程1で用いたトリエチレングリコールを廃棄後、金属製フィルターに対して水洗することが好ましい。この水洗の際は、高圧水洗が好ましく、水洗効果を高めるために50℃〜90℃に予熱された水を循環させることが好ましい。

本発明の金属製フィルターの処理方法は、金属製フィルターをアルカリ水溶液で処理する工程(以下、処理工程2という)及び硝酸で処理する工程(以下、処理工程3という)を有し、処理工程2及び処理工程3を、この順に有することが好ましい。
処理工程2は、金属製フィルターにアルカリ水溶液を付着させる工程を意味し、具体的にはアルカリ水溶液を金属製フィルターの熱可塑性樹脂組成物が付着した部分に塗布したり、アルカリ水溶液中に金属製フィルターを浸漬する等の工程を意味する。そしてこの処理工程2を経ることで、金属製フィルターに付着した熱可塑性樹脂組成物を溶解させたり、フィルター表面に付着した熱可塑性樹脂組成物の剥離を促進させることができる。処理工程2の処理方法としては、アルカリ水溶液を金属製フィルターの内部まで浸透させて再生効果を高める観点から、アルカリ水溶液中に金属製フィルターを浸漬する方法が好ましい。
洗浄工程2に用いるアルカリ水溶液としては、無機水酸化物の水溶液が挙げられる。無機水酸化物の水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液等が挙げられる。例えば、熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂がポリエステルの場合、該熱可塑性樹脂組成物を処理工程1で処理後、生成したビス−2−ヒドロキシエチルテレフタレートを処理工程2で水酸化ナトリウム水溶液を用いて処理することで、ナトリウム塩が分解生成し、生成されたナトリウム塩は水洗して除去することができる。また、処理工程2を経ることで、金属製フィルターに付着した無機化合物などの不活性粒子(シリカ、酸化アルミニウム等)を溶解除去することができる。処理工程2は、50℃〜60℃に調節された、濃度15質量%〜25質量%のアルカリ水溶液中に金属製フィルターを浸漬し、該アルカリ水溶液を5時間〜15時間循環させて処理することが好ましい。さらに、前記処理工程2で用いた槽内に水を注入して水洗し、残存するアルカリ水溶液を除去することも好ましい。この際、水洗効果を高めるために50℃〜90℃に予熱された水を循環させることが好ましい。

処理工程3は、金属製フィルターにアルカリ水溶液を付着させる工程を意味し、具体的には硝酸を金属製フィルターの熱可塑性樹脂組成物が付着した部分に塗布したり、硝酸中に金属製フィルターを浸漬する等の工程を意味する。そして処理工程3を経ることで、トリエチレングリコール及びアルカリ水溶液によって容易に分解されない粗大異物を除去することができる。例えば、処理工程3によって、濾材内部に残存する触媒残渣、無機化合物の不活性粒子(炭酸カルシウム等)、変性ポリマー等を溶解除去することができる。なお、処理工程3で用いる硝酸は、水溶液であることが好ましい。また、処理工程3は、硝酸で処理することにより処理工程2で用いたアルカリ水溶液の残存溶液と中和させる役割も有する。処理工程3は、常温で、濃度25質量%〜35質量%の硝酸水溶液中に金属製フィルターを浸漬し、該硝酸水溶液を1時間〜10時間循環させて処理することが好ましい。さらに、前記処理工程3で用いた槽内に常温の水を注入して水洗し、残存する硝酸を除去することも好ましい。その際、水洗効果を高めるために常温の水を循環させることが好ましい。

本発明の金属製フィルターの処理方法は、金属製フィルターを超音波で処理する工程(以下、処理工程4という)を有することが好ましい。なお処理工程4は、金属製フィルターを水等の液体中に浸漬しながら超音波を付与する工程を意味する。処理工程2及び処理工程3で処理後、液体中に金属製フィルターを浸漬して超音波で処理する工程により、処理工程4よりも前の工程によって剥離した熱可塑性樹脂組成物を短時間で液体中に取り除くことができる。超音波発振器は、特に限定されないが、例えばホーン型又はターン型を用いることができる。処理工程4は、30℃〜60℃に調節された水中に金属製フィルターを浸漬し、該水中で30分間以上超音波で処理することが好ましい。また、処理工程4で処理後、100℃〜200℃で、3時間〜12時間の乾燥処理を行うことが好ましい。

本発明の金属製フィルターの処理方法は、処理工程1、加熱工程、処理工程2、処理工程3、及び処理工程4を、この順に有することが好ましい。各工程をこの順序とすることで、主成分の各種熱可塑性樹脂を始めとして様々な含有物を含む熱可塑性樹脂組成物を濾過したフィルターに対して優れた再生効果が得られ、かつ処理によるフィルター自体の損傷を抑制することができるため、適応範囲の広い金属製フィルターの処理方法として好適に用いることができる。
本発明に好適に適用可能な熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等)、ポリアミド(例えばナイロン6、ナイロン66等)、ポリカーボネート、アクリル等が例示できる。この中でも、本発明の処理方法は、熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いた場合に適用することが好ましく、特にポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)を用いることがより好ましい。PETは原料コストが低く、寸法安定性、透明性、機械特性、電気特性等に優れているためである。
本発明の金属製フィルターの処理方法は、濾過される熱可塑性樹脂がポリエステルである場合に特に効果的である。ポリエステルとは、ジカルボン酸とジオールの重縮合によって得られるポリマーであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等で代表されるものであり、またジオールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等で代表されるものである。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
本発明の金属製フィルターの処理方法は、濾過される熱可塑性樹脂組成物が、不活性粒子を含有しても良い。不活性微粒子の含有量としては、質量基準で2ppm以上2000ppm以下が好ましく、さらに好ましくは5ppm以上1500ppm以下である。不活性微粒子としては、タルク、凝集シリカ、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、珪酸アルミナ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機粒子や、高架橋ポリスチレン、ポリアクリル酸、ベンゾグアナミン樹脂等の架橋高分子などの有機粒子を挙げることができるが、これらに限定されない。上記の不活性微粒子を含む熱可塑性樹脂組成物を用いてフィルムを製造すると、該フィルムはその表面に微細な突起が形成され、フィルムの滑り性を良好にすることができる。不活性微粒子の平均粒径は、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05μm以上3μm以下である。熱可塑性樹脂組成物中に不活性微粒子を含有させる方法としては、熱可塑性樹脂と上記の不活性微粒子の混合物を溶融押し出しするか、又は熱可塑性樹脂の合成段階で不活性微粒子を添加して得られた組成物を溶融押し出しする方法がある。熱可塑性樹脂がポリエステルの場合、熱可塑性樹脂フィルム中に、ポリエステルの重合工程で触媒等に使用された金属化合物とリン化合物とが反応して、リン酸金属塩として析出した粒子(いわゆる内部粒子)を含んでいても良い。
本発明の処理方法は、熱可塑性樹脂組成物が架橋構造を有する有機粒子を含有する場合に適用することが特に好ましい。架橋構造を有する有機粒子は特に限定されないが、例えば、高架橋ポリスチレンは、耐薬品性に優れるため化学的処理で溶かすことができず、フィルター内部に残存して濾過性能の低下原因となる。本発明の処理方法を行うことによって、高架橋ポリスチレンを加熱分解し、金属製フィルターの優れた再生効果を得ることができる。
また、熱可塑性樹脂組成物は、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、分散助剤等を含有していても良い。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
(1)変色
処理を施したリーフディスクフィルター10の外観を目視観察し、メディア15の少なくとも片方の面における全面積100%に対して、10%以上変色が確認されたものを変色ありとした。
(2)破損
予め処理を施したリーフディスクフィルター10を水に10分間浸漬した後、メディア15を水平にして浴槽内に水を入れ、水面がメディア15の表面から15mmの高さになるように調節した。次いで、メディア15の内部の空気圧を0から徐々に増加し、メディア15から最初に気泡が発生し、その気泡が連続して発生している時の空気圧を測定した。空気圧が低いほど破損が進行しており、空気圧が10kPa以下のフィルターを破損とした。上記の測定を、熱可塑性樹脂フィルムの製造に使用した全ての金属製フィルター100枚に対して行い、破損した枚数を算出した。
(3)フィルターの回復率
フィルターに空気を一定流速で通過させ、その空気透過抵抗を新品のフィルターと処理を施したフィルターとについてそれぞれ測定し、両者の相対値を百分率で示した。さらに、熱可塑性樹脂フィルムの製造に使用した全ての金属製フィルター100枚に対して同様に行い、100枚の平均値をフィルターの回復率とした。ここで、フィルム製造後の処理を施す前のフィルターの回復率は0である。
(4)フィルムの異物個数
処理を施したリーフディスクフィルター10の100枚を含む図2の濾過装置3を用い、図1のフィルム製造装置より得られた熱可塑性樹脂フィルム8から、幅方向に等間隔の5ヶ所で10cm×10cm角のフィルムサンプルを採取し、顕微鏡にて各フィルムサンプルを観察し、長径が50μm以上の異物個数を集計した。5サンプルの異物個数の平均値をフィルムの異物個数とした。
(実施例1)
IV0.63のポリエチレンテレフタレート(高架橋ポリスチレン粒子(NANOTEX PF032A/JSR株式会社製)を0.15質量%含む)を図1の押出機1で290℃の温度で押し出し、ギアポンプ2で計量した後、新品の金属製フィルター(リーフディスク型、濾過精度:5μm・95%カット)の100枚を含む濾過装置3で濾過し、口金4から一定量のシート状溶融物を吐出し、押し出された該シート状溶融物へ上面又は下面より静電荷を析出させて、表面温度25℃の回転冷却体5の表面で冷却、固化して未延伸フィルムを得た。次いで、延伸装置A6で、縦方向に90℃で2.5〜4.5倍の延伸を行った。さらに、延伸装置B7で、横方向(上記延伸方向と直角方向)に90℃〜170℃で2.5〜4.5倍の延伸、及び150℃〜250℃で熱固定を行い、幅方向に均一に徐冷後、室温まで冷却して巻取部9で巻き取り、2軸延伸した熱可塑性樹脂フィルム8を得た。この際、上記の濾過装置3に用いたフィルム製造後の金属製フィルター(リーフディスク型)の100枚を処理用として準備した。
該金属製フィルターをトリエチレングリコール(処理工程1)で処理後、図4の加熱装置において、該加熱装置内に窒素を200リットル/分で流入させて酸素濃度0.01体積%に調節後、窒素を35リットル/分で流入させて酸素濃度0.01体積%の窒素雰囲気下に保ちながら、500℃で10時間の加熱工程で処理し、続いて処理工程2、処理工程3、処理工程4の順に処理し、最後に乾燥処理を行って、処理後の金属製フィルターの破損状態及び濾過性能を評価した。
(実施例2)
加熱工程で温度を750℃とした以外は実施例1と同様にして、処理後の金属製フィルターの損傷状態及び濾過性能を評価した。
(比較例1)
加熱工程で酸素濃度を21体積%(大気中)とした以外は実施例1と同様にして、処理後の金属製フィルターの損傷状態及び濾過性能を評価した。
(比較例2)
加熱工程で酸素濃度を21体積%(大気中)、温度を700℃とした以外は実施例1と同様にして、処理後の金属製フィルターの損傷状態及び濾過性能を評価した。
(比較例3)
加熱工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして、処理後の金属製フィルターの損傷状態及び濾過性能を評価した。
Figure 2015112564
本発明により、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を濾過したフィルターに対して優れた再生効果が得られ、かつ処理によるフィルター自体の損傷を抑制することができる、熱可塑性樹脂フィルムを製造する際など、熱可塑性樹脂組成物を濾過する際に用いる金属製フィルターの処理方法を提供することができる。
1:押出機
2:ギアポンプ
3:濾過装置
4:口金
5:回転冷却体
6:延伸装置A
7:延伸装置B
8:熱可塑性樹脂フィルム
9:巻取部
10:金属製フィルター(リーフディスク型)
11:濾過ハウジング
12:溶融した熱可塑性樹脂組成物の供給口
13:溶融した熱可塑性樹脂組成物の流路
14:溶融した熱可塑性樹脂組成物の排出口
15:メディア
16:リテーナーメッシュ
17:ハブ部材
18:濾過流路
19:ヒーター
20:窒素流入経路
21:ガス排出経路

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂組成物を濾過する際に用いる金属製フィルターの処理方法であって、
    酸素濃度0体積%以上1.0体積%以下の環境下で、金属製フィルターを400℃以上800℃以下に加熱する工程(以下、加熱工程という)を有することを特徴とする、金属製フィルターの処理方法。
  2. 金属製フィルターを、トリエチレングリコールで処理する工程(以下、処理工程1という)を有することを特徴とする、請求項1に記載の金属製フィルターの処理方法。
  3. 金属製フィルターを、アルカリ水溶液で処理する工程(以下、処理工程2という)及び硝酸で処理する工程(以下、処理工程3という)を有し、
    処理工程2及び処理工程3を、この順に有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属製フィルターの処理方法。
  4. 金属製フィルターを、超音波で処理する工程(以下、処理工程4という)を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の金属製フィルターの処理方法。
  5. 処理工程1、加熱工程、処理工程2、処理工程3、及び処理工程4を、この順に有することを特徴とする、請求項4に記載の金属製フィルターの処理方法。
  6. 熱可塑性樹脂が、ポリエステルであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の金属製フィルターの処理方法。
  7. 熱可塑性樹脂組成物が、架橋構造を有する有機粒子を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の金属製フィルターの処理方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104943023A (zh) * 2015-06-30 2015-09-30 李孝异 塑料挤出机的塑料过滤网的再生工艺及装置
JP2018187603A (ja) * 2017-05-11 2018-11-29 株式会社カネカ 再生フィルターの製造方法、再生フィルター、及び熱可塑性樹脂組成物の成形品の製造方法
CN109045819A (zh) * 2018-08-07 2018-12-21 深圳市华星光电技术有限公司 一种液晶过滤装置

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