JP2015111981A - 電車および鉄道システム - Google Patents

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雅之 野木
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Abstract

【課題】電車および鉄道システムを提供する。
【解決手段】車両本体3は高効率の電力変換器4、永久磁石式同期電動機7および制御部5を備える。電力変換器4は架線2から供給される直流電力を所定の直流電圧に変換する。永久磁石式同期電動機7は電力変換器4により変換された交流電圧により車両の車輪を駆動する。制御部5は架線2の区間毎の配置状況および車両本体3の運行状況に基づき制動時に永久磁石式同期電動機7に生じる回生電力の総量を計算し、計算した回生電力が予め設定した架線区間における最大回生電力を超えない最大減速度にする減速指令信号を、車両本体3が減速を開始する地点に到達したときに出力する。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、電車および鉄道システムに関する。
例えば直流き電方式の鉄道システムでは、制動時に発生するエネルギーを利用して鉄道の省エネルギー化が実現されている。
鉄道システムにおいて、列車にブレーキをかける場合に、一般に回生ブレーキと機械ブレーキのブレンディング方式が用いられるが、高速域では、インバータ・主電動機の出力が不足することにより、機械ブレーキを介入せざるを得ず、本来回生するはずのエネルギーを機械ブレーキのブレーキシュウで熱として消費してしまい、回生エネルギーを最大化できない。
そこで、近年では、回生電力を最大限活用する技術や鉄道車両を効率よく駆動する技術が提案されている(非特許文献1、2参照)。
高速回生ブレーキ実用化に向けて〜真の純電気ブレーキ実現のために〜曽根他(TER-05-26 P.71-74 2005年5月30日 交通・電気鉄道研究会) SiCパワーモジュール適用 鉄道車両用高効率インバータシステム(平成24年電気学会産業応用部門大会 I-65 〜68)
上記文献1の技術では、実質的にインバータや電動機出力を増強することで回生出力増強を図ろうとしている。また、上記文献2の技術では、インバータにSiCデバイスを適用し、インバータの低損失化を図り電力変換機能の部分に余力ができた分を高速域の回生出力増強に向け、文献1の技術と同様に、実質的にインバータや電動機の出力を増強することで高速域からの回生に対応している。
しかしながら、これらの技術の場合、急加速または急減速が可能になるものの、架線に流れる電力がピーキーになるため、高速域からの急減速では高出力回生が行われることから回生失効が起きやすくなるという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、車両本体の高性能化に伴い生じる回生失効を抑制しつつ十分な回生を実現すると共に列車の駆動に要する消費エネルギーを低減できる電車および鉄道システムを提供することにある。
実施形態の電車は、高効率の電力変換器、永久磁石式同期電動機および制御部を備える。電力変換器は架線から供給される直流電力を所定の直流電圧に変換する高効率の電力変換器である。永久磁石式同期電動機は電力変換器により変換された交流電圧により車両の車輪を駆動する。制御部は架線の区間毎の配置状況および前記車両の運行状況に基づき制動時に永久磁石式同期電動機に生じる回生電力の総量を計算し、計算した回生電力が予め設定した架線区間における最大回生電力を超えない最大減速度にする減速指令信号を、電車が減速を開始する地点に到達したときに出力する。
第1実施形態の鉄道システムの構成を示す図である。 第1実施形態の鉄道システムにおける電車の運転シーケンスを示す図である。 第2実施形態の鉄道システムの構成を示す図である。 第3実施形態の鉄道システムの構成を示す図である。
以下、図面を参照して、実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
以下、図1を参照して鉄道システムの第1実施形態を具体的に説明する。図1は鉄道システムの全体構成の一例を示す図である。
図1に示すように、第1実施形態の鉄道システムは、整流器1、架線としてのき電線2、電車としての機関車両の本体3(以下「車両本体3」と称す)、レール8、外部表示装置9などを備える。車両本体3に他の車両を連結したものを列車と称す。
整流器1は変電所などに設置された変電設備の一つであり、送電線を通じて送電されてきた交流電流(交流電力)を直流電流(直流電力)に変換する。き電線2には整流器1により変換された直流電流(直流電力)が供給される。
車両本体3はき電線2から直流電流(直流電力)の供給を受けてレール8の上を走行する。車両本体3には、電力変換器4、制御部5、表示部6、永久磁石式同期電動機としての主電動機7などが備えられている。主電動機7は電力変換器4により変換された交流電圧により車両本体3の車輪を駆動する。主電動機7は外見上、車輪のため、説明では主電動機・車輪7と記載する。レール8には帰線電流が流れる。
電力変換器4は、き電線2から直流電流(直流電力)を得て主電動機・車輪7を駆動するための直流き電電圧を生成(変換)する高効率の電力変換器である。直流き電電圧は、例えばDC3000V、1500V、750V、600Vのいずれかであり、システムの規模に応じて利用される。
表示部6は車両本体3の運転台に運転席の運転士が視認可能な位置に設置されており、制御部5から送られたきた表示情報を表示する。外部表示装置9は線路脇または架線上部に設置されている。外部表示装置9は車両本体3の制御部5から無線通信などで入力された減速指令信号に基づき減速開始の指示を報知する。
すなわちこれら表示部6および外部表示装置9は減速開始地点において制御部5から入力された減速指令信号に基づき減速を指示および報知する報知部として機能する。
制御部5は運転士によりブレーキノッチが操作された段数に応じて力行、惰行および減速するように主電動機・車輪7に駆動用の電力を供給するよう電力変換器4に指令を出す。制御部5は、例えばマスターコントローラー、自動列車制御装置(以下「ATO」と称す)およびトレインコントロールマネージメントシステム(以下「TCMS」と称す)などである。
制御部5はき電線2の区間毎の配置状況および列車の運行状況に基づき制動時に主電動機・車輪7に生じる回生電力の総量を計算し、計算した回生電力が予め設定した架線区間における最大回生電力を超えない最大減速度にする減速指令信号を、列車が減速を開始する地点に到達したときに表示部6および外部表示装置9へ出力する。
制御部5は、定速走行状態からの惰行開始地点とその後の制動開始地点の少なくとも2箇所で減速指令信号を出力する。減速指令信号は例えばブレーキノッチの段数を示す信号である。
き電線2の区間毎の配置状況や列車の運行状況などは、予め分っているため、メモリなどに記憶しておいたものを読み出してもよく、その都度、外部のストレージから無線または有線などのネットワークを通じて取得してもよい。
具体的には、制御部5は操作されたブレーキノッチの段数に応じたブレーキ指令(制動開始の指令)を電力変換器4に出力する。制御部5はブレーキ指令を一定指令値以下となるように制限することで、電力変換器4の最大回生電力を制限する。ここで指令値は例えばマスコンのノッチをB4以下にするというように、運転士(オペレータ)の指令として入力する操作量を制限する。この他、例えば自動列車制御装置やTCMSなどの制御部5自体が運転士を介さずに最大トルクや車両本体3の運転速度を制限してもよい。
主電動機・車輪7には例えばPMSM(永久磁石式同期電動機)が用いられる。これにより従来の誘導電動機と同体格の主電動機・車輪でより大きな出力を出す駆動システムを構成することができ、力行・回生を効率よく駆動するとともに、列車の編成としての回生電力を増強することも期待できる。
ところで、回生電力を単に増強しただけでは、大きな回生電力をより遠方まで送ることが難しい。
そこで、本実施形態では、図2の運転曲線21に示すような運行を行う。すなわち運転開始時(加速時または力行時)には、高効率の電力変換器4により、通常の運転曲線20のよりも速い加速度で加速し、高速運行状態(一定速度)に達すると定速走行に移る。
そして、制御部5は、高速運行状態(一定速度)から減速を開始するタイミングを決定し、そのタイミングで、まず初めに惰行開始指令(第1減速開始指令信号)を運転台の表示部6へ出力する。
運転席にいる運転士が運転台の表示部6に表示された内容を確認し、ブレーキノッチの操作を行うことで、その操作の指示を制御部5が受け取り、電力変換部4を制御することで、図2のポイント22で惰行運転が開始される。
その後、制御部5は、惰行運行開始からある程度速度が落ちた段階で制動を開始するタイミングを決定し、そのタイミングで制動開始指令信号(第2減速開始指令信号)を運転台の表示部6へ出力する。
運転席にいる運転士が上記同様に運転台の表示部6に表示された内容を確認し、ブレーキノッチの操作を行うことで、その操作の指示を制御部5が受け取り、電力変換部4を制御することで、図2のポイント23で制動(回生)が開始され、これにより電力変換器4の最大回生電力を制限する。
制動開始指令信号(第2減速開始指令信号)に含まれる指令値は例えばマスターコントローラーのノッチの段数であり、例えばB4以下などである。
このように制御部5は、運転士(オペレータ)への指令を運転台に設置された表示部6に出力し、運転士が表示部6の表示内容(ブレーキノッチの段数:B4)を確認して、運転席に設置されたブレーキノッチの操作量をその指示値の範囲内に制限する。
この他、制御部5自体が例えば自動列車制御装置やTCMSであれば、最大トルクや編制限速度を制限するよう電力変換部4を制御してもよい。指令値そのものは、例えば予め行ったシミュレーション結果から、回生失効の増加につながらない編成最大回生電力や減速度を算出し、算出した編成最大回生電力や減速度の値を基に減速開始指令を出力する。
当然ながら、き電線2の配置状況(架線構成)や列車の運行ダイヤ(運行状況)に依存して負荷分布が時系列に変化する。このことから、制御部5は指令の最大リミット値を時間に応じて変化させたり、また当該編成の列車が走行する位置(運行ダイヤによって同じ地点を通過する列車が増えたり減ったりするため)に応じて変化させる。
後者については、運行間隔が短い(列車密度の高い)都心部と、運行間隔が長い(列車密度の低い)郊外では、回生電力を受け止める負荷の存在確率が異なるからである。
例えば、上下一括き電方式の架線構成(システム構成)の場合、8両編成の列車が上下それぞれ5分間各程度で走向する路線であれば、最大回生可能な電力は4000〜5000kW程度になる傾向が得られる。
もちろん前述の通り、き電線2の架線構成が上下線別の架線構成である場合は、き電線2の抵抗値が増大するため、上下一括き電方式の架線構成よりも最大回生可能電力は低下することになる。
先述した人間系で回生電力を制限する場合、例えば線路脇などに最大ブレーキノッチを表示する外部表示装置9を設置し、この地点を通過する列車の運転士がこの外部表示装置9の表示内容を確認した時点でブレーキノッチの段数を一定値以下に操作してブレーキノッチを制限するようにする。
また列車の運転台(運転席)に設置した車載用の表示部6に、この通過地点の直接最大ブレーキノッチを表示し、運転士に伝達してもよい。また、予め運転士に対して時間帯別最大ブレーキノッチを告知しておき、使用する最大ブレーキノッチを制限してもよい。
前述の手法は、回生電力を所定値以下に抑える、もしくは減速度を所定値以下に抑える、どちらの方法でも構わない。減速時間をできるだけ短くしたいのであれば、前者の制限範囲内で減速することが有効である。
このようにこの第1実施形態によれば、回生失効が見込まれないと予め予測(推定)した最大限の減速度になるような指令値を出力し、運転士によるブレーキノッチ操作または直接的な制御により電力変換器4を制御して回生パワーを抑制することで、車両本体3の高性能化に伴い生じる回生失効を抑制しつつ十分な回生を実現すると共に列車の駆動に要する消費エネルギーを低減できる。
(第2実施形態)
次に、図3を参照して第2実施形態を説明する。図3は鉄道システムの第2実施形態の構成を示す図である。なお第2実施形態を説明するにあたり、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付しその説明は省略する。
図3に示すように、この第2実施形態は車両本体3に荷重検出部としての荷重検出装置10を備える。つまりこの第2実施形態は図1に示した第1実施形態に荷重検出装置10を追加した例である。
荷重検出装置10は、列車全体の乗車率により編成質量の変化を検出するためのものであり、前後の編成質量の変化が検出された場合、その変化量を制御部5にフィードバックして列車が乗車率によらず均一な加速度・減速度で走行する機能(応加重制御機能)のために用いられる。
この第2実施形態では、制御部5は、列車(車両)を加速させる際に、荷重検出装置10により検出された列車(車両)の荷重に応じてトルク制御する応加重制御機能を用いずに予め設定された所定の駆動トルク特性で列車(車両)を加速させるよう電力変換器4を制御する。つまり列車(車両)を加速させる際(力行時)には、上記応加重制御機能を用いずに、主電動機・車輪7、電力変換器4の出力能力を最大にして列車を加速させ、減速時(回生時)には応加重制御機能を用いて減速する。
このようにこの第2実施形態によれば、第1実施形態と同様な効果が得られると共に、車両本体3の乗車率により編成質量の変化を検出する荷重検出装置10を設置した列車の場合、加速時には、応荷重制御機能を切って高速度で加速し、減速時には応荷重制御機能を入れて減速することで、機器稼働時間を短くし機器損失を低減することができる。
また、高加速度で加速することにより、駅間を一定時分で走る場合は最高速度を低減することができる。すなわち、列車の運動エネルギーの注入量を抑制することにつながり省エネルギー化することができる。
これを実現するために、例えば、第1実施形態で説明したような自動列車制御装置を用いて最高速度を抑制・適正化することがよい。また列車内の運転台に設置される表示部6に、ノッチオフ指示を表示し、ブレーキをかけるタイミングを運転士に伝達してもよい。
なお、モータ車・付随車の比率によるが実際には車輪の粘着限界があるのでそれが最大踏面出力をリミットするケースも考えられる。
先に列車の力行性能は、応加重制御機能によらずに最大加速すると説明したが、実際の車両は架線電圧に応じてトルクが異なる場合がある。例えば架線電圧が下がると定トルク加速領域が低下し、所定速度に達するまで時間がかかってしまうのがその例である。
そこで、変換器損失が許容できる間は、電力変換器4に入力される直流電圧が低くても入力電流を拡大し、最大加速することでも同様の効果が得られる。
(第3実施形態)
次に第3実施形態を説明する。なお第3実施形態を説明するにあたり、第1および図2実施形態と同様の構成には同一の符号を付しその説明は省略する。
第1実施形態や第2実施形態に示した構成を実現するためには、電力変換器4、主電動機・車輪7の出力の増強が必要になる。この結果として重量・装置体格(車両本体3の重量や大きさ)の増大につながる。
装置体格は、搭載空間が車両本体3の床下に存在すれば問題ないが、重量の増大は列車全体の消費エネルギーの増加に直結する。このため、質量あたりの装置出力密度の向上が必要である。
そこで、この第3実施形態では、図1の電力変換器4にSiCデバイスを適用することで、スイッチング損失を低減し、また高温に強いSiCデバイスを高温動作させることで、電力変換器4の質量密度を向上することができる。
主電動機・車輪7については、体格を決める要因の一つは、電動機の損失であることから、例えばPMSM(永久磁石式同期電動機)のような電動機を用いてもよい。また、誘導電動機でも損失低減のために、電力変換器4のスイッチング周波数を向上させ、主電動機・車輪損失を低減するという方法も考えられる。
逆にモータ損失を許容し、変換器損失を低減するためにスイッチング周波数を変換器損失を低減し、第2実施形態で説明したように電力変換器4への直流入力電流を拡大し、加速度・減速度を高めてもよい。
加速度、減速度を高め、最高速度を抑制することが基本的な省エネルギー化の走行方法であるが、最高速度は従来のままで、惰行開始の位置もしくは時間を早めることで対応してもよい。
このようにこの第3実施形態によれば、第1乃至第2実施形態と同様な効果が得られると共に、電力変換器4にSiCデバイスを適用することで、スイッチング損失を低減し、またSiCデバイスを高温動作させることで、電力変換器4の質量密度を向上することができる。
(第4実施形態)
次に、図4を参照して第3実施形態を説明する。図4は鉄道システムの第3実施形態の構成を示す図である。なお第3実施形態を説明するにあたり、第1および図2実施形態と同様の構成には同一の符号を付しその説明は省略する。
図4に示すように、この第3実施形態は、き電線2に定置型の蓄電装置11を接続した例である。蓄電装置11は一つとは限らず、所定の区間(例えば数km間隔)毎に複数の蓄電装置11を分散配置する。
第1実施形態で説明したように列車の回生電力は、回生車の周辺付加状態によって左右される。例えば図4に示すように、き電線2に蓄電装置11を接続し、列車が制動する際に生じる余剰回生電力を、き電線2を通じて蓄電装置11に吸収(蓄電)することで、列車の最大限速度増加(すなわち最大回生電力の増大)に寄与することができる。
回生電力の観点だけで言えば、定置型の蓄電装置11以外に、例えばブレーキ抵抗器であったり、交流系統へ余剰回生電力を回生(逆潮流)する回生インバータであってもよい。
一方、列車の力行性能を向上させて高い加速度で加速することは、最大力行電力の増加をもたらす。このため、変電所の電圧変動率により送り出し電圧が下がる他、き電線2を流れる電流も増え、き電線2の電圧降下が増大する。このため、列車への供給電圧が低下し、加速力の低下をもたらす。
また、減速時に架線電圧が低いと、車両本体3のトルク特性上、最大回生電力が下がる領域があるため、力行時は可能な限り高い電圧、回生時は回生失効しない限り高い電圧にするのが望ましい。このため、蓄電装置11を路線内に分散配置することは極めて有効であると言える。
前述の蓄電装置11を駅などに分散配置する場合、十分な設置スペースがないことも想定される。このため変換器にはSiCデバイスを用いて低損失化し、電力変換器4を小型化し、またはスイッチング周波数を増加させてリアクトル等の部品を小型化することで対応することが考えられる。
さらに、この実施形態は前述の通り高加減速度を有する運転パターンで運転することであるが、これはき電機器、車両機器の短時間過負荷定格の増大につながる。このような観点でも短時間過負荷出力が可能、すなわち同一冷却能力の変換器でも高温動作可能なSiCデバイスを用いることは、装置小型化・軽量化・低コスト化を実現するための構成要素として大きく寄与するものである。つまり短時間過負荷出力を強化するためにSiCデバイスを用いることが有効である。
また、蓄電装置11などの電力吸収手段を設置し電源を増強しない場合、高加減速度運転をする列車(車両)には、き電線2から供給される直流電圧が予め設定された閾値以下になった場合、力行電圧を絞り込むよう動作する電力変換器4を用いる。この他、特殊な電力変換器4を用いずに、例えば制御部5が、き電線2から供給される直流電力を監視し、直流電力が予め設定された閾値以下になった場合、電力変換器4に対して力行電力を絞り込むよう制御してもよい。
このように架線電圧に応じて、力行電力または力行電流を絞り込むことで、変電所において過電流検知による給電遮断をするようなことがなくなり、変電所設備とき電系統設備との保護協調を実現することができる。
もちろん、実施形態の効果をフルに発揮できる状況にはならないが、架線電圧が下がらない限りは、本実施形態の効果である省エネルギー効果を得られるものである。
このようにこの第4実施形態によれば、第1乃至第3実施形態と同様な効果が得られると共に、き電線2に蓄電装置11を接続し、列車が制動する際に生じる余剰回生電力をき電線2を通じて蓄電装置11に吸収(蓄電)することで、き電線2に供給する電力を高く維持でき、列車の最大限速度増加(すなわち最大回生電力の増大)に寄与することができる。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
2…き電線、3…車両本体、4…電力変換器、5…制御部、6…表示部、7…主電動機・車輪、8…レール、9…路側表示装置、10…荷重検出装置、11…蓄電装置。

Claims (9)

  1. 架線から供給される直流電力を直流電圧に変換する高効率の電力変換器と、
    前記電力変換器により変換された交流電圧により車両の車輪を駆動する永久磁石式同期電動機と、
    前記架線の区間毎の配置状況および前記車両の運行状況に基づき制動時に前記永久磁石式同期電動機に生じる回生電力の総量を計算し、計算した回生電力が予め設定した架線区間における最大回生電力を超えない最大減速度にする減速指令信号を、前記車両が減速を開始する地点に到達したときに出力する制御部と
    を具備する電車。
  2. 前記減速開始地点において前記制御部から入力された減速指令信号に基づき減速を報知する報知部を具備する請求項1記載の電車。
  3. 前記制御部は、定速走行状態からの惰行開始地点とその後の制動開始地点の2箇所で減速指令信号を出力する請求項1記載の電車。
  4. 前記減速指令信号がブレーキノッチの段数を示す信号である請求項1または2いずれか記載の電車。
  5. 前記電車の荷重を検出する荷重検出部を備え、
    前記制御部は、
    前記車両を加速させる際に、前記荷重検出部により検出された前記車両の荷重に応じてトルク制御する応加重制御機能を用いずに予め設定された所定の駆動トルク特性で前記車両を加速させるよう前記電力変換器を制御する請求項1記載の電車。
  6. 前記電力変換器は、前記架線から供給される直流電圧が予め設定された閾値以下になった場合、力行電圧を絞り込むよう動作する請求項1記載の電車。
  7. 前記高効率の電力変換器にSiCデバイスを用いた請求項1記載の電車。
  8. 前記請求項1乃至7いずれか1項に記載の電車と、
    前記架線に接続され、前記電車で生じる回生電力を吸収する蓄電装置と
    を具備する鉄道システム。
  9. 線路脇または架線上部に設置され、前記車両の前記制御部から入力された減速指令信号に基づき減速開始の指示を報知する報知部を具備する請求項8記載の鉄道システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114604284A (zh) * 2022-03-21 2022-06-10 中车大连机车车辆有限公司 一种集中动力式永磁直驱无人驾驶混铁车及其控制方法

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