JP2015111283A - マスクブランク用基板、マスクブランク、転写用マスク及びこれらの製造方法並びに半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

マスクブランク用基板、マスクブランク、転写用マスク及びこれらの製造方法並びに半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マスクブランク用基板の製造スループットの低下を抑えつつ、実効的に極めて高い主表面の平坦度を持つマスクブランク用基板、マスクブランク、転写用マスクを提供することである。また、これらの製造方法を提供することである。【解決手段】半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される光学的に実効的な平坦基準面となる仮想基準面を設定し、その基準面とマスクブランク用基板の実測形状の差分の最大値と最小値の差のデータ(PV値)が露光波長λの1/10以下となるマスクブランク用基板を選別する。【選択図】図1

Description

本発明は、光リソグラフィに用いるマスクブランク用基板、マスクブランク、マスク及びこれらの製造方法並びに半導体デバイスの製造方法に係わり、特に光リソグラフィを行った際に焦点裕度を確保する上で好適なマスクブランク用基板、マスクブランク、マスク及びこれらの製造方法並びに半導体デバイスの製造方法に関するものである。
半導体デバイスの微細化に対応するために、波長193nmのArF露光光を使用する露光装置の高NA化(高開口数化)が進み、さらに液浸露光技術が導入されることによってさらなる高NA化が進んできていて、現在ではNA1.35が実用化されるに至っている。
このような、微細化の要求、及び高NA化に対応するために、転写用マスクの平坦度を高くすることが求められている。物点であるマスク面の平坦度が低下すると、投影レンズを介して転写されたウエハ上の像点の合焦点位置が振れる。そのため、マスク面の平坦度が落ちると許容される焦点裕度が小さくなる。一方で、光学の原理により、投影レンズの高NA化は焦点深度を低下させる。よって、高NA化が進むに従いリソグラフィ工程での焦点裕度が少なくなるため、マスク面での高い平坦性が求められている。このため、転写用マスクを作製するための原版となるマスクブランクに用いられる透光性基板に対しても、パターンを形成するための薄膜が設けられる側の主表面に対し、高い平坦度が求められている。この平坦度要求に応えるため、例えば、特許文献1に開示されているように、研磨布などの研磨パッドと研磨砥粒を含む研磨液を用いてマスクブランク用基板の表裏両面を研磨する両面研磨がよく用いられてきた。しかし、従来の両面研磨装置による透光性基板の研磨では、その主表面の平坦度を高めることには限界が生じていた。このため、特許文献2に示すような、基板の主表面の形状を測定し、相対的に凸になっている箇所に対してプラズマエッチングを行うことで平坦化する技術が開発されていた。
また、露光装置の高NA化に伴い、リソグラフィ工程での焦点裕度が少なくなってきていることから、投影光学系のレンズ収差が転写精度に対して与える影響が大きくなるという問題も生じている。この問題を解決する方法として、特許文献3では、投影光学系のレンズ加熱効果に起因する収差を補正するためのゼルニケ多項式によって定義可能な表面形状を有する2つの補正光学エレメントについて開示がなされている。
特開平1−40267号公報 特開2002−318450号公報 特開2008−028388号公報
上記のようにマスクブランク用基板には高い平坦度が求められおり、これを受けて、透光性基板の主表面を局所加工する技術開発が進められている。例えば、前述のように、特許文献2には、相対的に凸になっている部分に局所的にプラズマエッチングをかけて平坦度の高いマスクブランク用基板を製造する技術が開示されている。しかし、この方法では、1枚の基板ごとに主表面の形状を測定してプラズマエッチング等の局所加工を施す必要があるため、従来よりもスループットが大幅に低下するという問題があった。また、特許文献3に開示されている露光装置は、レンズ収差の補正、露光処理時の履歴による露光光の波面変化を制御することを目的としており、マスクブランクやマスクに対しては平坦度の高いものが必要となっていた。
本発明が解決しようとする課題は、マスクブランク用基板の加工時のスループットを低下させることなく、また、製造装置設備負担を抑えて、実効的な表面平坦度の高いマスクブランク用基板、マスクブランク、転写用マスク及びこれらの製造方法を提供することにある。また、その転写用マスクの使用によって、高い転写精度を確保し、回路動作の安定した半導体デバイスを製造することを目的とする。
本発明者は、本発明者が突き止めた上記課題を解決するため、以下の点について検討を行った。マスクブランク用基板の主表面は、背景技術においても述べたように、極めて高い平坦性が求められる。しかしながら、このような完全平坦面を実際に製造するのは大変困難であり、また、局所プラズマエッチングなどの手法を使って平坦に近づける工夫も行われているが、この方法はスループットが低く、装置コストなどもかかり、また異物欠陥が発生しやすいなどの副作用も多い。そこで、本発明者は、機械的平坦面を追求するのではなく、光学的平坦面、言い換えれば等波面的平坦面を追求する方向に発想を転換した。本発明者は、投影レンズを介して像転写を行う上で本質的に求められているものは、機械的な平面では必ずしもなく、波面の揃った光学的平坦面であることを見出した。この点が、本発明の第1の特徴的な点である。
本発明者は、露光装置の投影レンズには、レンズ収差を補正する収差補正機能が備え付けられていることに着目した。この機能は、露光装置レンズ組み付け、設置調整、経時変化対応など、元々は露光装置性能向上のために設けられた機能であるが、この機能を使うと光学的平坦面を、機械的平坦面からずれて研磨された面に対しても近づけられるとの発想に至った。この点が、本発明の第2の特徴的な点である。
また、本発明者は、この光学的平坦面の記述として、極座標系であるゼルニケ多項式近似面を使うことを着想した。この点が、本発明の第3の特徴的な点である。
さらに、本発明者は、投影レンズの収差補正機能は、ゼルニケ多項式の次数が3次以降の高次の項も可能であるが、高次の項まで使ってフィッティングを行った場合、露光状況により投影レンズの高次の収差が変わってきて不都合が生じるおそれがあることを見出した。また、次数が1次の項のみでは1次元的なティルト補正であり、これでは十分な光学平坦性を得ることもできないことを見出した。これらの点を踏まえ、本発明者は、半径に係わる変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係わる変数の次数が2次の項を1つ以上含むことが有効であることを見出した。この点が、本発明の第4の特徴的な点である。
このように、本発明は、前述した着想に基づいてなされたものであり、以下の構成を有する。
(構成1)
対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用基板であって、この薄膜が設けられる側の主表面は、基板の中心を基準とした直径104mmの円の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得した場合、前記差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/8以下となる表面形状を有し、この仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有するマスクブランク用基板。
(構成2)
対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用基板であって、この薄膜が設けられる側の主表面は、基板の中心を基準とした直径90mmの円の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得した場合、前記差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/8以下となる表面形状を有し、この仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有するマスクブランク用基板。
(構成3)
差分データから算出される決定係数Rが0.9以上である構成1又は2に記載のマスクブランク用基板。
(構成4)
前記薄膜が設けられる側の主表面は、基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域における平坦度が0.2μm以下とした構成1から3のいずれかに記載のマスクブランク用基板。
(構成5)
構成1から4のいずれかのマスクブランク用基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランク。
(構成6)
対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクであって、転写パターン形成用の薄膜の表面は、基板の中心を基準とした直径104mmの円の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得した場合、前記差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/8以下となる表面形状を有し、この仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有するマスクブランク。
(構成7)
対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクであって、転写パターン形成用の薄膜の表面は、基板の中心を基準とした直径90mmの円の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得した場合、前記差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/8以下となる表面形状を有し、この仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有するマスクブランク。
(構成8)
差分データから算出される決定係数Rが0.9以上である構成6又は7に記載のマスクブランク。
(構成9)
ブランク基板上の薄膜の表面の平坦度が、基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域において0.2μm以下である構成6から8のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成10)
構成5から9のいずれかのマスクブランクの前記薄膜に転写パターンが形成されている転写用マスク。
(構成11)
前記転写用マスクは露光装置のマスクステージにセットされて半導体基板上の転写対象物に対して露光転写を行うために用いられるものであり、前記露光装置は、転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対し、ゼルニケ多項式で定義される形状の波面補正を行う機能を有する、構成10記載の転写用マスク。
(構成12)
対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用基板の製造方法であって、この透光性基板の薄膜が設けられる側の主表面を、基板の中心を基準とした直径104mmの円の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得する工程と、この差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/8以下となる表面形状を有する前記透光性基板をマスクブランク用基板として選定する工程とを備え、この仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有するマスクブランク用基板の製造方法。
(構成13)
対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用基板の製造方法であって、この透光性基板の薄膜が設けられる側の主表面を、基板の中心を基準とした直径90mmの円の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得する工程と、この差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/8以下となる表面形状を有する前記透光性基板をマスクブランク用基板として選定する工程とを備え、この仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有するマスクブランク用基板の製造方法。
(構成14)
差分データから算出される決定係数Rが0.9以上である透光性基板を選定する工程をさらに備えることを特徴とする構成12又は13に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
(構成15)
薄膜が設けられる側の主表面における基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域の平坦度が0.2μm以下である透光性基板を選定する工程をさらに備えることを特徴とする構成12から14のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法。
(構成16)
構成12から15のいずれかのマスクブランク用基板の製造方法で製造されたマスクブランク用基板の一方の主表面に、転写パターン形成用の薄膜を設ける工程を備えたマスクブランクの製造方法。
(構成17)
対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造方法であって、このマスクブランクの転写パターン形成用の薄膜の表面を、基板の中心を基準とした直径104mmの円の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得する工程と、この差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/8以下となる表面形状を有する前記マスクブランクを選定する工程とを備え、前記仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有するマスクブランクの製造方法。
(構成18)
対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造方法であって、このマスクブランクの転写パターン形成用の薄膜の表面を、基板の中心を基準とした直径90mmの円の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得する工程と、この差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/8以下となる表面形状を有する前記マスクブランクを選定する工程とを備え、前記仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有するマスクブランクの製造方法。
(構成19)
差分データから算出される決定係数Rが0.9以上であるマスクブランクを選定する工程をさらに備えることを特徴とする構成17又は18に記載のマスクブランクの製造方法。
(構成20)
薄膜の表面における基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域での平坦度が0.2μm以下であるマスクブランクを選定する工程をさらに備えることを特徴とする構成17から19のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成21)
構成16から20のいずれかのマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクの前記薄膜に転写パターンを形成する工程を備える転写用マスクの製造方法。
(構成22)
転写用マスクの製造方法に関し、その転写用マスクは露光装置のマスクステージにセットされて半導体基板上の転写対象物に対して露光転写を行うために用いられるものであり、前記露光装置は、転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対し、ゼルニケ多項式で定義される形状の波面補正を行う機能を有する、本発明の構成21記載の転写用マスクの製造方法。
(構成23)
構成10又は11に記載の転写用マスクを露光装置のマスクステージにセットし、リソグラフィ法により前記フォトマスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写する半導体デバイスの製造方法。
(構成24)
前記露光装置は、転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対し、ゼルニケ多項式で定義される形状の波面補正を行う機能を有する構成23に記載の半導体デバイスの製造方法。
(構成25)
構成21又は22に記載の転写用マスクの製造方法で製造された転写用マスクを露光装置のマスクステージにセットし、リソグラフィ法により前記フォトマスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写する半導体デバイスの製造方法。
この発明によれば、機械的平坦性から光学的平坦性に置き換えた基準値で選別することにより、露光波長λの1/8という極めて高い実質的な平坦度の要求を満たすマスクブランク用基板が得られる。また、マスクブランク用基板の加工時のスループットを低下させることなく、また、製造装置設備負担も少なく、このように超平坦なマスクブランク用基板を製造することが可能となる。マスクブランク及び転写マスクの実効的平坦度も、マスクブランク用基板同様高いものになる。その転写マスクを用いて露光を行うと、焦点裕度や高い位置精度が確保され、極めて高い転写精度が得られる。その結果、製造される半導体デバイスの回路動作特性が安定する。
本発明の概念を説明するためのマスクブランク用基板の断面図である。 本発明によるマスクブランク用基板の製造工程を示す工程フロー図である。 本発明によるマスクブランク用基板の製造工程を示す工程フロー図である。 実施例1によって得られた実施例サンプルAのマスクブランク用基板の主表面形状分布を示す図であり、(a)はマスクブランク上面から見た表面高さ等高線分布図、(b)は対角線方向の高さ分布特性曲線図、そして(c)はマスクブランク中心部を縦及び横に切った時の高さ分布特性曲線を示す図である。 実施例サンプルAの表面形状分布を示す等高線分布図であり、(a)は直径104mm内の実測形状を示す等高線分布図、(b)はそれに対応する仮想基準面を示す等高線分布図、そして(c)は実測と仮想基準面との差分を示す差分形状等高線分布図である。 実施例サンプルBのマスクブランク用基板の主表面形状分布を示す図であり、(a)はマスクブランク上面から見た表面高さ等高線分布図、(b)は対角線方向の高さ分布特性曲線図、そして(c)はマスクブランク中心部を縦及び横に切った時の高さ分布特性曲線を示す図である。 実施例サンプルBの表面形状分布を示す等高線分布図であり、(a)は直径104mm内の実測形状を示す等高線分布図、(b)はそれに対応する仮想基準面を示す等高線分布図、そして(c)は実測と仮想基準面との差分を示す差分形状等高線分布図である。 参考例サンプルCのマスクブランク用基板の主表面形状分布を示す図であり、(a)はマスクブランク上面から見た表面高さ等高線分布図、(b)は対角線方向の高さ分布特性曲線図、そして(c)はマスクブランク中心部を縦及び横に切った時の高さ分布特性曲線を示す図である。 参考例サンプルCの表面形状分布を示す等高線分布図であり、(a)は直径104mm内の実測形状を示す等高線分布図、(b)はそれに対応する仮想基準面を示す等高線分布図、そして(c)は実測と仮想基準面との差分を示す差分形状等高線分布図である。 比較例サンプルX1のマスクブランク用基板の主表面形状分布を示す図であり、(a)はマスクブランク上面から見た表面高さ等高線分布図、(b)は対角線方向の高さ分布特性曲線図、そして(c)はマスクブランク中心部を縦及び横に切った時の高さ分布特性曲線を示す図である。 比較例サンプルX1の表面形状分布を示す等高線分布図であり、(a)は直径104mm内の実測形状を示す等高線分布図、(b)はそれに対応する仮想基準面を示す等高線分布図、そして(c)は実測と仮想基準面との差分を示す差分形状等高線分布図である。 参考例サンプルX2のマスクブランク用基板の主表面形状分布を示す図であり、(a)はマスクブランク上面から見た表面高さ等高線分布図、(b)は対角線方向の高さ分布特性曲線図、そして(c)はマスクブランク中心部を縦及び横に切った時の高さ分布特性曲線を示す図である。 参考例サンプルX2の表面形状分布を示す等高線分布図であり、(a)は直径104mm内の実測形状を示す等高線分布図、(b)はそれに対応する仮想基準面を示す等高線分布図、そして(c)は実測と仮想基準面との差分を示す差分形状等高線分布図である。 比較例サンプルX3のマスクブランク用基板の主表面形状分布を示す図であり、(a)はマスクブランク上面から見た表面高さ等高線分布図、(b)は対角線方向の高さ分布特性曲線図、そして(c)はマスクブランク中心部を縦及び横に切った時の高さ分布特性曲線を示す図である。 比較例サンプルX3の表面形状分布を示す等高線分布図であり、(a)は直径104mm内の実測形状を示す等高線分布図、(b)はそれに対応する仮想基準面を示す等高線分布図、そして(c)は実測と仮想基準面との差分を示す差分形状等高線分布図である。 実施例サンプルDのマスクブランク用基板の主表面形状分布を示す図であり、(a)はマスクブランク上面から見た表面高さ等高線分布図、(b)は対角線方向の高さ分布特性曲線図、そして(c)はマスクブランク中心部を縦及び横に切った時の高さ分布特性曲線を示す図である。 実施例サンプルDの表面形状分布を示す等高線分布図であり、(a)は直径90mm内の実測形状を示す等高線分布図、(b)はそれに対応する仮想基準面を示す等高線分布図、そして(c)は実測と仮想基準面との差分を示す差分形状等高線分布図である。 比較例サンプルYのマスクブランク用基板の主表面形状分布を示す図であり、(a)はマスクブランク上面から見た表面高さ等高線分布図、(b)は対角線方向の高さ分布特性曲線図、そして(c)はマスクブランク中心部を縦及び横に切った時の高さ分布特性曲線を示す図である。 比較例サンプルYの表面形状分布を示す等高線分布図であり、(a)は直径90mm内の実測形状を示す等高線分布図、(b)はそれに対応する仮想基準面を示す等高線分布図、そして(c)は実測と仮想基準面との差分を示す差分形状等高線分布図である。 差分形状データのゼルニケ多項式次数依存性を示す特性図である。 バイナリー型マスクを用いた時の露光光の特徴を説明するための要部マスク断面構造図である。 ハーフトーン型位相シフトマスクを用いた時の露光光の特徴を説明するための要部マスク断面構造図である 露光装置の照明及び投影光学系の構成の概要を示す露光装置光学部の要部断面構成図である。 通常照明の照明形状を示した照明分布図である。 Xダイポール照明の照明形状を示した照明分布図である。 ウエハに転写形成されたレジストパターンの上面図である。 Yダイポール照明の照明形状を示した照明分布図である。 ウエハに転写形成されたレジストパターンの上面図である。 (a)はマスクにレイアウトされたパターンを示すマスク上面図であり、(b)はそのマスクを用いてウエハに転写したとき形成されるレジストパターンの上面図であり、そして(c)はレジストパターンの断面図である。 (a)はマスクにレイアウトされたパターンを示すマスク上面図であり、(b)はそのマスクを用いてウエハに転写したとき形成されるレジストパターンの上面図であり、そして(c)はレジストパターンの断面図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら、その概念を含め具体的に説明する。なお、図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を簡略化ないし省略することがある。
[マスクブランク用基板及びその製造方法]
ここでは、マスクブランク用基板及びその製造方法に関して説明する。最初に本発明の構成概念を説明し、その後、その概念に基づいて実施した実施例を比較例及び参考例とともに示す。
まず、本発明は、投影レンズを介して像転写を行う上で本質的に求められているものは、機械的な平面では必ずしもなく、波面の揃った光学的平坦面であることに基づいている。この点について、図1を用いて説明する。マスクブランク用基板の主表面(転写パターン形成用の薄膜が設けられる側である一方の主表面)は、背景技術においても述べたように、極めて高い平坦性が求められる。図1はマスクブランクの断面を示したもので、一般的には、マスクブランク1の主表面は、同図中の符号2に示すように、完全平坦面が理想とされている。しかしながら、このような完全平坦面を実際に製造するのは大変困難であり、また、局所プラズマエッチングなどの手法を使って平坦に近づける工夫も行われているが、この方法はスループットが低く、装置コストなどもかかり、また異物欠陥が発生しやすいなどの副作用も多い。そこで、機械的平坦面を追求するのではなく、光学的平坦面、言い換えれば等波面的平坦面を追求する方向に発想を転換したものである。
そして、本発明は、露光装置の投影レンズに備え付けられたレンズ収差を補正する収差補正機能を用いて、光学的平坦面を、機械的平坦面からずれて研磨された面に対して近づけている。この点について、図1を用いて説明する。図1中の符号3は研磨を行って形成された主表面の断面形状を示す。例えば、同図中のA点での理想的機械的平坦面からのずれはd1となるが、露光装置の収差補正機能を使った光学的平坦面(断面)4からのずれはd2と極めて小さくできる。ここでの光学的平坦面とは、この面から波面を揃えて出た光線が、レンズ収差補正機能を使って意図的に投影レンズに収差を与えることにより、理想的な結像を示す面のことである。言い換えれば、ここで言う光学的平坦面とは、ウエハ面を像点面とした時の投影レンズの共役上にある物点面のことで、投影レンズに意図的に収差を与えて、機械的平坦面から所望に近い形状に変形させた物点面を言う。本願では、この物点面の平坦度のことを光学的平坦度と呼ぶことにする。この光学的平坦度は、機械的完全平坦面というような1つの固定面ではなく、マスクブランク用基板の表面形状に応じてある程度の自由度を持って決められる面なので、平坦度を高めることが容易になる。
また、本発明は、この光学的平坦面の記述に極座標系であるゼルニケ多項式近似面を使用している。その極座標の原点は、マスクブランク用基板の中心である。ArF露光装置などに用いられるマスクブランクは、一部隅の部分で面取りはされているものの、縦横とも約152mm幅の四角形であり、またマスクパターン図形のレイアウトもXY座標表示となっていることから、座標系表示としては、一般にXY座標系が用いられている。あえて四角形のものに極座標系で記述したところに本発明の特徴的な点がある。ゼルニケ多項式近似は直交座標系であり、各変数が独立関係にあって取り扱いが容易であるとともに、投影レンズの収差特性が、フーリエ変換面である投影レンズの瞳面での波面のゼルニケ多項式展開の各項と対応が付くことから、投影レンズ収差補正とブランク基板面の光学的平坦面を結びつけるのに大変好適である。なお、ArF露光装置としては、現在の主流はArFスキャナであるが、スキャナに限るものではなく、ステッパでも構わない。また、光源もArFエキシマレーザ(波長193nm)に限るものではなく、例えばKrFエキシマレーザ(波長248nm)などでも構わない。
このように、光学的平坦面を仮想基準面として、その表面形状をゼルニケ多項式近似で表した形状に対して、研磨されたマスクブランク主表面形状とフィッティングをとって、その差が基準値以下のものを選別することが本発明の骨子である。加えて、より好ましい転写性能を与えるマスクブランク用基板を製造するために、以下の点について詳細な検討を行った。
投影レンズの収差補正機能は、ゼルニケ多項式における半径に係わる変数の次数が3次以降の高次の項も可能であるが、高次の項まで使ってフィッティングをかけるとある時点では良いが、露光状況により投影レンズの高次の収差が変動して、不都合が生じるということがわかった。この点については、[露光方法及びそれを用いたデバイスの製造方法]において詳細を後述する。また、次数が1次の項のみでは1次元的なティルト補正であり、これでは十分な光学平坦性を得ることができないこともわかった。よって半径に係わる変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係わる変数の次数が2次の項を1つ以上含むことが肝要であることが、詳細な検討の結果わかった。その必要な代表の2次の項はデフォーカスの項であり、デフォーカスの項は、アリゾナ大学表記では第4項、標準形では第5項にあたる。これが本発明の第3の特徴的な点である。なお、ゼルニケ多項式近似は標準形、アリゾナ大学方式、及びフリンジゼルニケ方式など各種の方式があるが、半径に係わる変数の次数が2次以下の項では、順番や係数に差はあっても、本発明の適用にあたっては、どの形式のゼルニケ多項式近似を用いても問題はない。
上記フィッティング度を判定選別する指標としては、露光装置のスキャン露光時の露光スリット長の最大値である104mm直径内での仮想基準面とマスクブランク主表面形状の差分の最高高さと最低高さの差、いわゆるPV値が好適であることが検討の結果わかった。一点でもPV値が外れるとそこでは波面がその分ずれるので、その場所で転写特性に悪影響が出る。選別の基準値としては、位相差による投影露光時の悪影響が充分小さく、波面計測測定装置の計測精度基準の1つとなっている露光波長λの1/8、すなわちλ/8とするのが良い。転写評価の結果、通常はこの基準で十分な転写精度が得られた。露光装置の調整時やQC(Quality Control)を行うとき等、より高い精度が求められるときは、選別の基準値をλ/10とすることが好ましい。
第2のフィッティング選別指標は、前述の差分形状から算出される決定係数Rである。決定係数Rとは、重相関係数の2乗で、寄与率とも呼ばれるもので、標本値から求めた回帰方程式の当てはまりの良さの尺度として良く用いられる指標である。その定義式は、実測値をy、回帰方程式による推定値をfとすると、
Figure 2015111283
であり、この値が1に近いほど相対的な残差が少ないことを表す。PV値がポイントでの異常を選別する指標に対し、決定係数Rは形状全体の残差の大きさを表す指標となる。マスクを作成して転写との相関をとって種々調べた結果、決定係数Rが0.9以上で十分な転写精度が得られた。
前述の手法では、マスクブランクの中心を基準とした直径104mm内の光学的平坦度は十分確保されるが、チップ露光は最大104mm×132mm領域で行われる。そこで前述の光学的平坦度選別に加え、マスクブランク用基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域における平坦度を0.2μm以下とする基準を併用すると、全面に渡ってさらに良い転写結果が得られた。なお、チップ露光は最大でも104mm×132mmと、本測定基準領域の132mm×132mmより小さいが、これはマスクブランクの向きを限定しないためである。また、マスクブランク用基板の主表面は、所定以上の表面粗さに鏡面研磨されている必要がある。主表面は、一辺が5μmの四角形の内側領域で算出される自乗平方根平均粗さRqが0.2nm以下であることが好ましく、0.15nm以下であるとより好ましい。なお、表面粗さは、例えば原子間力顕微鏡(AFM)によって測定できる。
一般に、転写用マスクにおいて、転写パターンを形成することができるパターン形成領域は104mm×132mmの内側の領域である。転写パターンは、比較的疎な領域と比較的密な領域、あるいは比較的微細なパターンが存在する領域と比較的大きなパターンからなっている領域が混在していることが一般的である。パターン形成領域の外周側にはパターンが密な領域や微細なパターン領域を配置しないことも多い。焦点裕度の問題から、微細なパターンを転写する場合にはマスクブランク用基板には高い光学的平坦度が求められる。また、マスクブランク用基板において、光学的平坦度を確保する領域を基板の中心を基準とする直径104mmの円の内側領域とすると、基板の生産歩留まりが上がりにくいという問題もある。これらの点を考慮すると、本発明のマスクブランク用基板の別の態様として、光学的平坦度を確保する領域を、基板の中心を基準とする直径90mmの円の内側領域とする構成としてもよい。
すなわち、この別の態様においては、前記のゼルニケ多項式で定義された形状である仮想基準面に対して、基板における薄膜が設けられる側の主表面をフィッティングする領域(算出領域)を、基板の中心を基準とした直径90mmの円の内側領域とする。そして、そのフィッティングによって、基板の主表面と仮想基準面との差分データを取得し、その差分データから、算出領域内での最高高さと最低高さの差であるPV値を算出する。この態様のマスクブランク用基板においても、その算出領域において算出されたPV値が、露光波長λの1/8、すなわちλ/8とするのが好ましい。また、高い精度が求められるときは、選別の基準値をλ/10とすることがより好ましい。なお、この本発明の別の態様においても、いわゆる機械的平坦度に関する事項、表面粗さに関する事項、第2のフィッティング選別指標に関する事項等については、本発明の態様と同様である。
次に本発明の概念に沿って高平坦度なマスクブランク用基板を製造する工程を、図2のマスクブランク用基板の製造工程フローチャート図を参照しながら説明する。
最初は、図2の工程S1に示すように、合成石英インゴットからマスクブランク用基板の形状に切り出し、次に同図の工程S2に示すように、切り出した基板の主表面、端面及び面取り面に対して研磨を行う研削工程、続いて同図の工程S3に示すように、主表面に対してその表面を精密に研磨する工程を行う。この研磨は通常多段階で行われる。研磨の方法は様々であってここでは特に制限を設けるわけではないが、酸化セリウム等の研磨剤を用いたCMP(Chemical Mechanical Polishing)やコロイダルシリカ等の研磨剤を用いたポリッシングが好適に行われる。その後、同図の工程S4に示すように、主表面の精密な形状測定を行う。以上の工程S4までは、通常の方法であってもよい。なお、ここではマスクブランク材料として一般的な合成石英ガラスの場合を示したが、転写用マスクの基板として用いることができるものであれば、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、露光波長によっては、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、無アルカリガラス、フッ化カルシウムガラスなども適用可能である。
本発明の特徴は、図2の工程S5以降にある。まず、工程S5で、仮想基準面の算出計算を行う。この仮想基準面は、前述のように、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、半径に係わる変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係わる変数の次数が2次の項を1つ以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状である。範囲は、マスクブランク用基板の中央を中心とした直径104mmの円内(本発明の別の態様の場合は、直径90mmの円内)である。この仮想基準面の算出にあたっては、工程S4で計測されたマスクブランク用基板の主表面の表面形状を参考にして算出計算される。次に、図2の工程S6に示すように、工程S5で算出計算された仮想基準面形状と工程S4で実測されたマスクブランク用基板の主表面形状との差分を計算し、差分形状のデータ(差分データ)を取得する。その後、図2の工程S7に示すように、工程S6で得られた差分データから最高高さと最低高さの差、いわゆるPV値を計算する。その後、図2の工程S8に示すように、工程S7で求めたPV値が露光波長λの1/8、すなわちλ/8以下であるか、それを超える値であるかを判定し、λ/8以下の場合は高平坦マスクブランク用基板として選別して終了する(図2の工程S9)。それを超える場合は、低・中平坦品として、ミドルレイヤーやラフレイヤー用のマスクブランク用基板としての活用を考えるか、工程S3の研磨工程に戻すか、局所加工工程を経て工程S4以降再度同様の工程を踏むか、あるいはこのマスクブランク用基板を廃棄する(図2の工程S10)。以上のマスクブランク用基板の製造方法により、光学的平坦度λ/8以下という極めて高い平坦度を有するマスクブランク用基板が、高いスループットを持って製造することが可能となる。ArFエキシマ露光の場合のλ/8は25nm(小数点以下切上げ)であり、従来法より格段に高い光学的平坦度が、マスクブランク用基板の加工時のスループットを低下させることなく得られ、また、製造装置設備負担も抑えることが可能となる。
次に、決定係数Rを用いたもう一つのマスクブランク用基板を製造する工程を、図3のマスクブランク用基板の製造工程フローチャート図を参照しながら説明する。工程S8までは前述の図2のマスクブランク用基板の製造方法と同一である。違いは工程S8以降で、PV値がλ/8以下であった場合、図3の工程S11に示すように、差分形状(差分データ)から算出される決定係数Rを計算する。そして図3の工程S12に示すように、決定係数Rが0.9以上の場合は高平坦マスクブランク用基板として選別し、終了する。0.9未満の場合は、低・中平坦品として、ミドルレイヤーやラフレイヤー用のマスクブランク用基板としての活用を考えるか、工程S3の研磨工程に戻すか、局所加工工程を経て工程S4以降再度同様の工程を踏むか、あるいはこのマスクブランク用基板を廃棄する。この方法では、1点異常点のみの判定ではなく、形状全体の光学平坦面とのフィッティング度をも併用して選別するため、そのマスクブランク用基板を使って製造されたマスクの転写精度は高い。
なお、工程S11及びS12は、差分形状を算出する工程S6が行われた後であれば、どの段階で行われてもよい。たとえば、工程S11を工程S7と工程S8の間で行ってもよいし、工程S11とS12を工程S8よりも先に行ってもよい。また、PV値の計算と基準値との比較判定(工程S7及びS8)と、決定係数Rの計算と基準値との比較判定(工程S11及びS12)の順番を入れ替えることも可能である。なお、ここで決定した仮想基準面の情報は保持しておいて、露光装置のレンズ収差補正機能に反映させることが、投影レンズの共役面での露光が容易に可能になるので、好ましい。
なお、本発明のマスクブランク用基板を製造する工程において、透光性基板の主表面の機械的平坦度が、その基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域において0.2μm以下である基板を選定する工程(機械的平坦度の指標で基板を選定する工程)を有することが好ましい。ここで、この平坦度が0.2μm以下である基板の選定工程は、工程S4の主表面形状測定工程よりも後の工程であることが、用途別選別を効率的に進める上でさらに好ましい。
[マスクブランク及びその製造方法]
本発明のマスクブランクは、前述のマスクブランク用基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜を設けたことを特徴としている。また、本発明のマスクブランクの製造方法は、前述のマスクブランク用基板の製造方法で製造されたマスクブランク用基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜を設ける工程を備えることを特徴としている。
ここで重要となるのは応力の制御で、この薄膜による応力でマスクブランク用基板が歪むと、基板表面の平坦度は変化する。この膜応力による基板主表面の変形は、同心円状の2次曲面という比較的単純な変形であり、露光機の収差補正によって対応できるが、一方で、薄膜の応力が大きすぎると、マスクブランクから転写マスクを製造する際に行われる薄膜のパターニング時に、薄膜パターンの位置ずれが起こるという問題が生じる。マスクブランクの中心を基準とし、一辺が132mmの四角形の内側領域の機械的平坦度の変化量と膜応力の関係を調べたところ、平坦度変化量10nm、20nm、25nm、30nm、40nm、及び50nmに対応する膜応力は、それぞれ55MPa、110MPa、137MPa、165MPa、220MPa、及び275MPaであった。この結果から、薄膜の応力は、275MPa以下が望ましく、165MPa以下だとさらに望ましく、110MPa以下だとさらに一層望ましいことがわかる。
したがって、薄膜の膜応力を調整する必要があるが、その方法としては、例えば、加熱処理(アニール)を行う方法やフラッシュランプ等の高エネルギー光を薄膜に対して照射する光照射処理を行う方法などがある。この膜応力調整に留意して薄膜形成を行えば、露光波長λの1/8という光学的超平坦マスクブランクを製造することができ、そのマスクブランクを使って製造された転写用マスクを用いて露光を行うと、焦点深度、位置ずれ、及び解像度に優れ、それを使って製造される半導体デバイスの回路特性も安定する。
上記のように、パターン形成用の薄膜の応力によって生じるマスクブランク用基板の主表面の変形は、同心円状の2次曲面という比較的単純な変形である。この変形は、ゼルニケ多項式における半径に係わる変数の次数が2次以下の項で表すことができる。よって、マスクブランクにおける転写パターン形成用の薄膜の表面が、基板の中心を基準とした直径104mmの円(本発明の別の態様の場合は、直径90mmの円)の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行ってその主表面と仮想基準面との差分データを取得した場合、差分データの算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/8以下となる表面形状を有しており、さらにその仮想基準面が、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状であるマスクブランクは、本発明のマスクブランクとすることができる。この本発明のマスクブランクは、本発明のマスクブランク用基板における一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜を設けてなる前記のマスクブランクと同等の効果を得ることができる。
また、同様の理由から、本発明のマスクブランクの製造方法は、マスクブランクの転写パターン形成用の薄膜の表面を、基板の中心を基準とした直径104mmの円(本発明の別の態様の場合は、直径90mmの円)の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得する工程と、この差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/8以下となる表面形状を有する前記マスクブランクを選定する工程とを備え、前記仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有するものとすることができる。
さらに、同様の理由から、本発明のマスクブランクの製造方法は、差分データから算出される決定係数Rが0.9以上であるマスクブランクを選定する工程をさらに備えるものとすることができる。また、同様の理由から、本発明のマスクブランクの製造方法は、薄膜の表面における基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域での平坦度が0.2μm以下であるマスクブランクを選定する工程をさらに備えるものとすることができる。
本発明のマスクブランク及び本発明のマスクブランクの製造方法で製造されるマスクブランクは、以下の(1)〜(3)の構成のものを適用することができる。
(1)遷移金属を含む材料からなる遮光膜を備えたバイナリマスクブランク
かかるバイナリマスクブランクは、透光性基板上に遮光膜(パターン形成用の薄膜)を有する形態のものであり、この遮光膜は、クロム、タンタル、ルテニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ロジウム等の遷移金属単体あるいはその化合物を含む材料からなる。例えば、クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したクロム化合物で構成した遮光膜が挙げられる。また、例えば、タンタルに、酸素、窒素、ホウ素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物で構成した遮光膜が挙げられる。かかるバイナリマスクブランクは、遮光膜を、遮光層と表面反射防止層の2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層を加えた3層構造としたものなどがある。また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
(2)ケイ素と窒素を含む材料、又は遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる光半透過膜を備えた位相シフトマスクブランク
かかる位相シフトマスクブランクとしては、透光性基板(ガラス基板)上に光半透過膜(パターン形成用の薄膜)を有する形態のものであって、該光半透過膜をパターニングしてシフタ部を設けるタイプであるハーフトーン型位相シフトマスクが作製される。かかる位相シフトマスクにおいては、光半透過膜を透過した光に基づき転写領域に形成される光半透過膜パターンによる被転写基板のパターン不良を防止するために、透光性基板上に光半透過膜とその上の遮光膜(遮光帯)とを有する形態とするものが挙げられる。また、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクのほかに、透光性基板をエッチング等により掘り込んでシフタ部を設ける基板掘り込みタイプであるレベンソン型位相シフトマスク用やエンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクが挙げられる。
前記ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものであって、所定の位相差(例えば180度)を有するものである。この光半透過膜をパターニングした光半透過部と、光半透過膜が形成されていない実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部とによって、光半透過部を透過して光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることによって、光半透過部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回り込んだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラスト即ち解像度を向上させるものである。
この光半透過膜は、例えば遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイドを含む)の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素及び/又は窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。また、光半透過膜上に遮光膜を有する形態の場合、上記光半透過膜の材料が遷移金属及びケイ素を含むので、遮光膜の材料としては、光半透過膜に対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物で構成することが好ましい。
この光半透過膜は、ケイ素と窒素を含む材料で形成してもよい。具体的には、光半透過膜は、ケイ素及び窒素からなる材料、又は当該材料に半金属元素、非金属元素及び希ガスから選ばれる1種以上の元素を含有する材料で形成される。光半透過膜に含有される半金属元素としては、ホウ素、ゲルマニウム、アンチモン及びテルルから選ばれる1種以上の元素を含有させることが好ましい。光半透過膜には、窒素に加え、いずれの非金属元素を含有してもよい。この非金属元素の中でも、炭素、フッ素及び水素から選ばれる1種以上の元素を含有させると好ましい。低透過層及び高透過層は、酸素の含有量を10原子%以下に抑えることが好ましく、5原子%以下とすることがより好ましく、積極的に酸素を含有させることをしない(RBS、XPS等の組成分析の結果が検出下限値以下)ことがとさらに好ましい。
この光半透過膜は、窒素含有量が比較的少ない低透過層と、窒素含有量が比較的多い高透過層との組み合わせが1組以上積層した構造としてもよい。なお、ケイ素と窒素を含む材料で形成される光半透過膜における遮光膜の材料に関する事項についても、前記の遷移金属及びケイ素の化合物を含む材料からなる光半透過膜の場合と同様である。
レベンソン型位相シフトマスクは、バイナリマスクブランクと同様の構成のマスクブランクから作製されるため、パターン形成用の薄膜の構成については、バイナリマスクブランクの遮光膜と同様である。エンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものではあるが、透過する露光光に生じさせる位相差が小さい膜(例えば、位相差が30度以下。好ましくは0度。)であり、この点が、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜とは異なる。この光半透過膜の材料は、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜と同様の元素を含むが、各元素の組成比や膜厚は、露光光に対して所定の透過率と所定の小さな位相差となるように調整される。
(3)遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる遮光膜を備えたバイナリマスクブランク
この遮光膜(パターン形成用の薄膜)は、遷移金属及びケイ素の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素又は窒素のうちの少なくとも1つ以上を主たる構成要素とする材料が挙げられる。また、遮光膜は、遷移金属と、酸素、窒素又はホウ素のうちの少なくとも1つ以上を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。特に、遮光膜をモリブデンシリサイドの化合物で形成する場合であって、遮光層(MoSi等)と表面反射防止層(MoSiON等)の2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層(MoSiON等)を加えた3層構造がある。また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
また、レジスト膜の膜厚を薄膜化して微細パターンを形成するために、遮光膜上にエッチングマスク膜を有する構成としてもよい。このエッチングマスク膜は、遷移金属シリサイドを含む遮光膜のエッチングに対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物からなる材料で構成することが好ましい。このとき、エッチングマスク膜に反射防止機能を持たせることにより、遮光膜上にエッチングマスク膜を残した状態で転写用マスクを作製してもよい。
なお、上記(1)〜(3)において、透光性基板(ガラス基板)と遮光膜との間、又は光半透過膜と遮光膜との間に、遮光膜や光半透過膜に対してエッチング耐性を有するエッチングストッパー膜を設けてもよい。エッチングストッパー膜は、エッチングストッパー膜をエッチングするときにエッチングマスク膜を同時に剥離することができる材料としてもよい。
[転写用マスク及びその製造方法]
本発明の転写用マスクは、前記のマスクブランクの薄膜に転写パターンが形成されていることを特徴としている。また、本発明の転写用マスクの製造方法は、前記のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクの薄膜に転写パターンを形成する工程を備えることを特徴としている。以下、マスクブランクから転写用マスクを製造する工程について説明する。なお、ここで使用するマスクブランクは、前述(2)の位相シフトマスクブランクであり、透光性基板上に、光半透過膜(転写パターン形成用の薄膜)と遮光膜が順に積層した構造を備える。また、この転写用マスク(位相シフトマスク)の製造方法は一例であり、一部の手順を変えても製造することは可能である。
まず、位相シフトマスクブランクの遮光膜上に、レジスト膜をスピン塗布法によって形成する。このレジスト膜には、電子線露光描画用の化学増幅型レジストが好ましく用いられる。次に、レジスト膜に対して、光半透過膜に形成すべき転写パターンを電子線で露光描画し、現像等の所定の処理を施し、転写パターンを有するレジストパターンを形成する。続いて、遮光膜に対してレジストパターンをマスクとしたドライエッチングを行い、遮光膜に光半透過膜に形成すべき転写パターンを形成する。ドライエッチング後、レジストパターンを除去する。次に、光半透過膜に対し、転写パターンを有する遮光膜をマスクとしたドライエッチングを行い、光半透過膜に転写パターンを形成する。続いて、レジスト膜をスピン塗布法で再度形成し、遮光膜に形成すべきパターン(遮光帯等のパターン)を電子線で露光描画し、現像等の所定の処理を施し、レジストパターンを形成する。遮光膜に対し、遮光帯等のパターンを有するレジストパターンをマスクとするドライエッチングを行い、遮光膜に遮光帯等のパターンを形成する。そして、所定の洗浄処理等を施し、転写用マスク(位相シフトマスク)が出来上がる。
本方法で製造された転写用マスクの基板露出面(パターン形成用薄膜が残されていない開口部の基板主表面)の光学的平坦度は露光波長λの1/8以下と極めて高く、十分な波面コントロールがなされた転写マスクを製造することが可能となった。波面コントロールが十分なされるため、この転写マスクを用いて露光を行うと、焦点深度、位置ずれ、及び解像度に優れ、それを使って製造される半導体デバイスの回路特性も安定していた。
本発明は、転写マスクの種類によらずに効果的で、バイナリー型マスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、エンハンサーマスク、及びレベンソン型位相シフトマスクともに効果がある。
この中で、バイナリー型マスクは最も汎用に用いられ、特別な方法で遮光帯を作る必要もないので、量産上効果が大きい。また、ハーフトーン型位相シフトマスクに関しては、パターン開口部はもとより光半透過部からも露光光が透過するため、波面制御の転写性能への影響が大きいので、本方法で製造された転写マスクは特に効果が大きい。このことを、転写マスクの断面図である図21及び22を用いながら説明する。図21はバイナリー型マスクの場合で、透明なマスクブランク用基板21と遮光膜パターン22からなっている。露光光23は、開口パターン部24は通過するが、遮光膜パターン22のある部分、いわゆるフィールド部分25は透過しない。露光光の波面コントロールが効果を現すのはこの開口パターン部のみということになる。一方、図22はハーフトーン型位相シフトマスクの場合を示すが、この場合は光半透部26も減光されてはいるが、露光光23は透過する。すなわち、パターン開口部24のみならずフィールド部25からも露光光が透過するため、マスク全面の波面コントロールが重要となり、本発明の効果が大きく出る。しかもハーフトーン型位相シフトマスクであるため、その原理上波面コントロールは重要である。
[露光方法及びそれを用いたデバイスの製造方法]
ここでは、前述の方法で製造したマスクを用いた露光方法及びそれを用いたデバイスの製造方法について述べる。
最初に、露光装置の光学系部分の概要を装置構成の概要を断面図にして示した装置構成概要図である図23を参照しながら説明する。露光装置の光学系部分は以下の構成になっている。光源31から露光光32が発せられ、照明光学系33を介して転写用マスク34に露光光が照射される。転写用マスク34を透過した露光光は投影レンズ35及び38を介してウエハステージ39上に載置されたウエハ40上に照射されて露光が行われる。投影レンズ35及び38の間にある瞳36部分には一般的に可動絞りが設置されていて投影レンズの開口数(NA:Numerical Aperture)が調整できるようになっている。投影レンズ35及び38はこの図では各々1枚のレンズで描かれているが実際には多数のレンズ群から成り立っており、その相互位置は一部微動できるようになっていて低次を中心としたレンズ収差の補正ができる機構が組み込まれている。また、瞳36の近傍には位相フィルタ37が組み込まれていて、この位相フィルタ37を調整することによって高次のレンズ収差、特にレンズ部分ヒーティングによる高次収差のリアルタイム補正が可能なようになっている。
この低次のレンズ収差補正はティルト、非点収差などゼルニケの多項式の6項までを含む。すなわち、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって規定される項を補正する機能がある。本発明の転写マスクを用いると、この低次のレンズ収差補正によって投影レンズ35,38にとってウエハ40上と共役の位置に転写用マスクの主表面を持ってくることができ、この転写用マスクの主表面は光学的平坦面となるため、この転写マスクを用いて露光を行うと、焦点深度、位置ずれ、及び解像度に優れ、それを使って製造される半導体デバイスの回路特性も安定する。なお、転写マスクのマスクステージへの載置(セット)は、いわゆるソフトチャックでもハードチャックでも構わない。
照明光学系33にはズーミング機構や可動式マルチミラー光学系などが組み込まれていて、所望の形状の照明を設定できるようになっている。図24に通常照明の例を示すが、通常照明は照明部41と遮光部(光が遮断される部分)42からなっている。照明部は中央を中心とした円形で、その円の大きさで照明条件を定義する。(これをコヒーレンシーと呼んでいる)一方、メモリ系デバイスを中心に最近よく使われるようになってきているのがダイポール照明と呼ばれるもので、その一例を図25に示す。これはXダイポールと呼ばれるもので、中央からX軸上に離れて円形状の小さな照明部43が配置され、その周りは遮光部44となっている。照明部が円形から扇型などに変形された変形ダイポール照明も使われることがある。このXダイポール照明はX方向の解像度が高く、図26に示すようにX方向に密で微細なパターンの形成に適している。ここで、同図中の45はレジストパターンを表す。このXダイポール照明の際、照明光を、通常なら遮光部(フィールド部)44に回る光もこの照明部43に集中させ、照射効率を上げる機構が照明部33に組み込まれている。したがって投影レンズ35及び38においては、レンズの一部分に集中的に強い露光光が通り、部分的レンズヒーティングが起こる。この熱によってレンズは歪むので複雑な高次のレンズ収差が発生する。また、デバイス製造においては、Xダイポール照明ばかりでなく、図27に示すYダイポール照明も多用される。同図中の46は照明部で、47は遮光部(フィールド部)である。この場合は、図28に示すようにY方向に密で微細なパターンの形成に適している。メモリでは、特に微細なパターン形成が要求されるのがワード線とビット線であるが、一般にその両者は直行関係の配置、すなわちX方向に密な配線と、Y方向に密な配線とからなる。そのようなこともあってXダイポール照明とYダイポール照明が両者多用して用いられる。また、ロジックパターンなどでの様々な形状のパターン形成には、通常照明が多用される。このように様々な照明が使われるので、レンズヒーティングが起こる場所も様々で、レンズ高次収差の発生も様々である。ヒーティングなので露光を始めた時と続けて多量処理をしている時でも異なり、高次のレンズ収差補正は経時変化に追従する必要もある。この高次の収差補正は、ゼルニケの多項式で表すと半径方向3次以上の項であり、その項は逐次補正がなされることになる。よって、転写マスクの光学平坦面を、半径方向3次以上のゼルニケ多項式の項まで補正しても、ある時点でのある照明状態での光学的平坦に過ぎず、様々な使用状況の中では十分な波面コントロールにはならない。したがって、前述したように、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって転写マスクの仮想基準面である光学平坦面を設定するのが最も効率的で、効果的である。
以下、露光適用の応用例である3つの例を以下に示す。
<ハーフトーンマスクのサブピーク転写回避例>
ここで示すのは、ハーフトーンマスクを用いた時にしばしば問題となるサブピーク転写不良を改善した例である。図29はハーフトーン型位相シフトマスクを使って配線層のパターンを転写した例を示す。ここで、図29(a)はハーフトーン型位相シフトマスクを上面から要部を見た図で、51aが開口部、52aは光半透過膜によるフィールド部(光半透過部)であり、図29(b)はウエハ上に転写形成されたレジストパターンの上面図である。また、同図のA―B面で切り出した断面図を図29(c)に示す。ウエハのレジストとしてポジレジストを用いると、形成されるレジストパターンはレジスト部52bの中に形成された所望の開口パターン51bとなるが、サブピーク現象によってレジスト部であるべき場所にレジストくぼみ53が生じる。このくぼみは被加工膜のエッチングの際に突き抜けを起こし、デバイス回路の欠陥の巣となって、デバイスの製造歩留まりを落としたり、回路動作の不安定要因になったりする。同様のもう一つの例を図30に示す。これはホールやビア層の例で、図30(a)はハーフトーン型位相シフトマスクを上面から要部を見た図で、55aが開口部、56aは光半透過膜によるフィールド部(光半透過部)であり、図30(b)はウエハ上に転写形成されたレジストパターンの上面図である。また、同図のA―B面で切り出した断面図を図30(c)に示す。同様に、形成されるレジストパターンはレジスト部56bの中に形成された所望の孔パターン55bとなるが、サブピーク現象によってレジスト部であるべき場所にレジストくぼみ57が生じる。このくぼみは被加工膜のエッチングの際に突き抜けを起こし、デバイス回路の欠陥の巣となって、デバイスの製造歩留まりを落としたり、回路動作の不安定要因になったりする。レジスト膜厚を厚くできればこの問題は解消されるが、レジスト解像度の問題やパターン倒れの問題などがあってレジストを厚くすることは困難である。この問題の解決法の一つはレンズに低次の収差を与え、サブピークが出にくくすることであるが、一方でこの方法では露光裕度、特にフォーカス裕度が小さくなる。したがってマスクブランク用基板や転写用マスクに対してはより厳しい平坦度が要求される。そこで、本実施の形態のマスクブランク用基板及び転写用マスクを用い、このマスクブランク用基板や転写用マスクに対して光学平坦面を与えるべく投影レンズに対し、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される低次の収差補正を加え、さらにその補正の上にサブピーク転写防止の低次の補正を加えて露光を行った。その結果、必要な焦点裕度を確保した上で、上記ハーフトーン型位相シフトマスクを用いた時のサブピーク転写の問題を回避することができた。これは、本実施の形態のマスクブランク用基板及び転写用マスクでは、光学平坦度λ/8以下が達成されることによる。
<露光装置QC適用例>
ここで示すのは、露光装置のQC(Quality Control)に適用した例である。露光装置の投影レンズの高次の収差補正は前述の通り、露光状況に応じて逐次調整されるものであるが、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式で記述されるような低次の項は、前述のように半導体デバイスの適用層によっては変化させるが、露光装置管理という観点では基準値は半固定で運用すべきものである。通常はこれらの低次のレンズ収差補正は経時的に変化しないものであるが、停電や、温度調整チャンバーの異常停止による露光装置の温度環境変化、及び地震などが起こると変化が生じる。そこで、露光装置の低次のレンズ収差補正管理のQCが必要になるが、このQCには極めて平坦で、波面収差の基とならない基準マスクが必要となる。レンズ収差の評価であるため、そこで使用する基準マスクに関しては、高度な光学測定器に要求されるのと同様の光学平坦度λ/8以下の平坦性が要求される。本実施の形態のマスクブランク用基板及び転写用マスクはこの要求を満たすので、露光装置のレンズ収差補正機能調整に最適であった。
<露光装置レンズ収差補正機能調整適用例>
ここでは、露光装置のレンズ収差補正機能調整に適用した例を示す。上記の通り、露光装置にはレンズ収差補正機能が組み込まれている。この機能を調整、評価するにあたっては極めて平坦で、波面収差の基とならない基準マスクが必要となる。レンズ収差の評価であるため、そこで使用する基準マスクに関しては、高度な光学測定器に要求されるのと同様の光学平坦度λ/8以下の平坦性が要求される。本実施の形態のマスクブランク用基板及び転写用マスクはこの要求を満たすので、露光装置のレンズ収差補正機能調整に最適であった。
(実施例、比較例、参考例)
[マスクブランク用基板の製造]
本実施の形態のマスクブランク用基板の製造方法に従って8枚のマスクブランク用基板のサンプルを作成し、評価を行った。サンプルA、B、Dの3枚が実施例、サンプルX1、X3、Yの3枚が比較例、サンプルC、X2の2枚が参考例となる。基板の平坦度測定まで、この8枚は全て以下に示す同一の工程で製造した。
まず、合成石英ガラス基板(大きさ152.4mm×152.4mm、厚さ6.35mm)を切り出し、この合成石英ガラス基板の端面を面取加工、及び研削加工し、さらに酸化セリウム砥粒を含む研磨液で粗研磨処理及び精密研磨した。その後、このガラス基板を両面研磨装置のキャリアにセットし、下記条件で超精密研磨を行った。
研磨パッド:軟質ポリシャ(スウェードタイプ)
研磨液:コロイダルシリカ砥粒(平均粒径100nm)と水
加工圧力:50〜100g/cm
加工時間:60分
超精密研磨終了後、ガラス基板を希フッ酸液中に浸漬させてコロイダルシリカ砥粒を除去する洗浄を行った。その後、ガラス基板の主表面及び端面に対してスクラブ洗浄を行い、その後純水によるスピン洗浄、及びスピン乾燥を行って、表面が研磨加工されたガラス基板を6枚準備した。そしてそのガラス基板の表面形状(フラットネス)を平坦度測定装置(Corning Tropel社製 UltraFlat200M)で実測した。
その実測データを図4,6,8,10,12、14、16、及び18に示す。各図は順に、実施例サンプルA、B、参考例サンプルC、比較例サンプルX1、参考例サンプルX2、比較例サンプルX3、実施例サンプルD、及び比較例サンプルYの場合を示し、図中の(a)は実測の主表面形状を上面から見た等高線分布図、(b)は対角線方向の高さ分布曲線図、そして(c)はガラス基板中心を横切る縦軸、横軸に沿った高さ分布曲線図を示す。また、各図(a)中の左側の平面図の縦軸、横軸の単位は平坦度測定に用いた計測装置のピクセルの番号を示す。ピクセルのサイズは1個あたり0.77mmである。したがって、ガラス基板の中心を基準とした146mm×146mmの四角形の内側領域を測定している。等高線は10nm刻みでプロットした。右横に示されたZの単位はμmである。各図(b)及び(c)の横軸は平坦度測定に用いたピクセルの番号で、縦軸は高さを表し、その単位はμmである。
実施例サンプルA、B、参考例サンプルC、比較例サンプルX1、参考例サンプルX2、比較例サンプルX3の6枚のガラス基板については、基板の中心を基準とした直径104mmの円領域で主表面と仮想基準面とのフィッティングを行い、差分形状(差分データ)を算出した。ガラス基板の中心を基準とした直径104mmの円領域で表面形状分布を表示し直した主表面形状の例を図5,7,9,11,13及び15に示す。各図は順に、実施例サンプルA、B、参考例サンプルC、比較例サンプルX1、参考例サンプルX2、及び比較例サンプルX3の場合を示し、図中の(a)は実測の主表面形状の等高線分布図(実測の主表面)、(b)は半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義された仮想基準面(直径104mm)を等高線分布図で示したもの、そして(c)は実測の主表面と仮想基準面との差分形状(差分データ)を等高線分布図で示したものである。
実施例サンプルD、及び比較例サンプルYの2枚のガラス基板については、基板の中心を基準とした直径90mmの円領域で主表面と仮想基準面とのフィッティングを行い、差分形状(差分データ)を算出した。ガラス基板の中心を基準とした直径90mmの円領域で表面形状分布を表示し直した主表面形状の例を、実施例サンプルDのものを図17に、比較例サンプルYのものを図19にそれぞれ示す。図17及び図19中の(a)は実測の主表面形状の等高線分布図(実測の主表面)、(b)は半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義された仮想基準面(直径90mm)を等高線分布図で示したもの、そして(c)は実測の主表面と仮想基準面との差分形状(差分データ)を等高線分布図で示したものである。
なお、ここでのゼルニケ多項式としてはアリゾナ大学表記のものを用い、その1から6項まで使って実測形状に近づけるようにフィッティングを行って仮想基準面を生成した。ただし、前述のように、これは一実施例であり、ゼルニケ多項式としては、アリゾナ大学表記のものに限るものではない。標準ケルニケ表記やフリンジゼルニケ表記等のほかの表記方式を適用した場合であっても、同様の仮想基準面を得ることは可能である。なお、等高線は5nm刻みでプロットしてある。
本実施例等で使用したアリゾナ大学表記のゼルニケ多項式の各項は、表1のとおりである。各項は半径がρ、位相(方位角)がθである極座標系で表記されている。表1において、jは項の番号(第j項)であり、Zj(ρ,θ)はその番号の項の内容である。表1では参考までに第10項まで表記したが、本実施例等で使用したのは第6項までである。
Figure 2015111283
<実施例>
実施例であるサンプルA及びBの機械的平坦度は、最高点の絶対値と最低点での絶対値の和であるTIR(Total Indicator Reading)で表して、146mm×146mm領域の場合は各々216nmと249nmであった。転写露光領域(ショット領域)が収まる132mm×132mm領域の場合は、各々138nmと148nmであって、両者とも200nm以下であった。また、104mm直径の円領域の場合は各々55nmと46nmであった。この2枚のサンプルの機械的平坦度の最小値は、104mm直径の円領域の場合で46nmであり、ArF露光の露光波長λ(193nm)のλ/8である25nm(小数点以下切上げ)の倍近くの値であった。
一方、実測の主表面と仮想基準面との差分形状(差分データ)から算出される本発明による光学的平坦度の観点に立つと、104mm直径の円領域内でのその平坦度指標の1つであるPV値は、実施例サンプルA、Bの順で記して14nmと15nmであった。この方法により、ArF露光の露光波長λのλ/8である25nm(小数点以下切上げ)を実施例サンプルA、Bとも大幅に下回り、λ/10をも下回る極めて平坦な光学的平坦度を有するマスクブランク用基板を選別取得することができた。
実測の主表面と仮想基準面との差分形状(差分データ)の決定係数Rを図20に示す。同図では、仮想基準面の計算にあたって、ゼルニケ多項式の次数を1から4まで使った場合(図中の「Z1−4」に対応)から、1から17(図中の「Z1−17」に対応)まで使った場合まで計算した。ゼルニケ多項式としてはアリゾナ大学表記を用いた。サンプルA、B、C、X1、X2、及びX3ともに、高次の項まで使うほど決定係数Rは1に近づき、特に15項以上まで使うと、決定係数Rは0.9を超えた。一方で、前述のように6次を超えた高次の項でマスクブランク用基板の仮想基準面調整を行うと、露光条件による投影レンズの収差補正変化から、労力がかかる割には効果が得られない。半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式の1から6項まで使った(図中の「Z1−6」に対応)マスクブランク用基板の選別で、決定係数Rは0.9を超えるサンプルA、B、C、及びX3を得た。ただし、後述の比較例で示すように、比較例サンプルX3のPV値は26nmであり、その値はλ/8を超えている。また、参考例サンプルCは、後述のように、104mm直径の円領域の光学平坦度と決定係数Rは選択基準値を満たしたが、132mm×132mm領域の機械的平坦度が281nmあり、200nm以下には入らなかった。
選別取得された高平坦マスクブランク用基板である実施例サンプルAとBは、直径104mmの円内で波面収差がλ/8以下で、かつ、決定係数Rは0.9を超え、また、132mm×132mm領域の場合での機械的平坦度は0.2μm以下である。このマスクブランク用基板を使って製造されたマスクを用いて露光を行ったところ、焦点裕度、位置ずれ、及び解像度に優れ、[露光方法及びそれを用いたデバイスの製造方法]において前述したように、それを使って製造される半導体デバイスの回路特性も安定していた。
一方、もう1つの実施例であるサンプルDの機械的平坦度は、最高点の絶対値と最低点での絶対値の和であるTIR(Total Indicator Reading)で表して、146mm×146mm領域の場合は422nmであった。転写露光領域(ショット領域)が収まる132mm×132mm領域の場合は、167nmであって、200nm以下であった。また、90mm直径の円領域の場合は63nmであり、ArF露光の露光波長λ(193nm)のλ/8である25nm(小数点以下切上げ)の倍以上の値であった。
実測の主表面と仮想基準面との差分形状(差分データ)から算出される本発明による光学的平坦度の観点に立つと、その平坦度指標の1つであるPV値は、この実施例サンプルDでは90mm直径の円領域内で17nmであった。この方法により、ArF露光の露光波長λのλ/8である25nm(小数点以下切上げ)を実施例サンプルDは大幅に下回り、λ/10をも下回る極めて平坦な光学的平坦度を有するマスクブランク用基板を選別取得することができた。また、この実施例サンプルDにおける実測の主表面と仮想基準面との差分形状(差分データ)の決定係数Rは、0.943であり、0.9を超えていた。
選別取得された高平坦マスクブランク用基板である実施例サンプルDは、直径90mmの円内で波面収差がλ/8以下で、かつ、決定係数Rは0.9を超え、また、132mm×132mm領域の場合での機械的平坦度は0.2μm以下である。このマスクブランク用基板を使って製造されたマスクを用いて露光を行ったところ、焦点裕度、位置ずれ、及び解像度に優れ、[露光方法及びそれを用いたデバイスの製造方法]において前述したように、それを使って製造される半導体デバイスの回路特性も安定していた。
<比較例>
比較例サンプルX1とX3の機械的平坦度は、TIRで表して、146mm×146mm領域の場合は各々163nmと282nmであり、132mm×132mm領域の場合は各々71nmと239nmであった。比較例サンプルX1の132mm×132mm領域のTIRの値71nmは、実施例サンプルAの138nmやBの148nmのほぼ半分である。また、104mm直径の円領域の場合は各々40nmと75nmであった。比較例サンプルX1のこの値40nmも実施例サンプルAの55nmやBの46nmよりも優れた値である。一方、その104mm直径の円領域における実測の主表面と仮想基準面との差分形状から算出される本発明による光学的平坦度の指標であるPV値は、比較例サンプルX1が30nm、X3が26nmであって、ArF露光の露光波長λのλ/8である25nmを両方の比較例サンプルX1、X3ともに満たさなかった。また、機械的平坦性を表すTIRの大小と、光学的平坦度の大小との間には相関がなく、λ/8という非常に平坦な平坦度を得るためには、本発明による光学平坦度による選別取得が大変有効なことがわかった。
比較例サンプルYの機械的平坦度は、TIRで表して、146mm×146mm領域の場合は441nmであり、132mm×132mm領域の場合は107nmであった。比較例サンプルYの132mm×132mm領域のTIRの値107nmは、実施例サンプルDよりも優れた数値であった。また、90mm直径の円領域の場合は51nmであった。比較例サンプルYのこの値51nmも実施例サンプルDの63nmよりも優れた値である。一方、その90mm直径の円領域における実測の主表面と仮想基準面との差分形状から算出される本発明による光学的平坦度の指標であるPV値は、この比較例サンプルYでは36nmであって、ArF露光の露光波長λのλ/8である25nmを満たさなかった。また、機械的平坦性を表すTIRの大小と、光学的平坦度の大小との間には相関がなく、λ/8という非常に平坦な平坦度を得るためには、本発明による光学平坦度による選別取得が大変有効なことがわかった。
<参考例1>
参考例サンプルCの機械的平坦度は、TIRで表して、146mm×146mm領域の場合は346nmであり、132mm×132mm領域の場合は281nm、104mm直径の円領域の場合は81nmであった。この値は6サンプルの内で最も大きな値となっている。特に転写露光領域(ショット領域)が収まる132mm×132mm領域では、200nm(0.2μm)を超えていた。一方、その104mm直径の円領域における実測の主表面と仮想基準面との差分形状から算出される本発明による光学的平坦度は、PV値で表して13nmであって、ArF露光の露光波長λのλ/8である25nmの半分近くと極めて良好な値であった。このマスクブランク用基板を使ってマスクを製造し、スキャナによる転写評価を行ったところ、ショット中心部は実施例と同様に焦点裕度、位置ずれ、及び解像度に優れていたが、周辺部では低下していた。
<参考例2>
参考例サンプルX2の機械的平坦度は、TIRで表して、146mm×146mm領域の場合は126nmであり、132mm×132mm領域の場合は81nm、104mm直径の円領域の場合は29nmであった。この値は比較例サンプルX1と並んで小さい値である。一方、その104mm直径の円領域における実測の主表面と仮想基準面との差分形状から算出される本発明による光学的平坦度はPV値で表して19nmであって、ArF露光の露光波長λのλ/8である25nm以下と良好な値であった。しかしながら、決定係数Rは0.637と小さく、104mm直径の円領域全体での光学的平坦面(仮想基準面)とのフィッティング乖離が目立った。
[マスクブランクの製造]
ここでは、ハーフトーン用マスクブランクを製造した例を示す。まず前述の方法で製造し、選別基準を通過したマスクブランク用基板(実施例サンプルA,B,D)を準備し、その上に窒化されたモリブデン及びシリコンからなる光半透過膜を形成した。具体的には、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=10mol%:90mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:N:He=5:49:46)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を3.0kWとして、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、モリブデン、シリコン及び窒素からなるMoSiN膜を69nmの膜厚で形成した。次いで、上記MoSiN膜が形成された基板に対して、加熱炉を用いて、大気中で加熱温度を450℃、加熱時間を1時間として、加熱処理を行った。なお、このMoSiN膜は、ArFエキシマレーザーにおいて、透過率は6.16%、位相差が184.4度となっていた。
次に、上記光半透過膜の上に、遮光膜を成膜した。具体的には、スパッタターゲットにクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)と二酸化炭素(CO)と窒素(N)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気(ガス圧0.2Pa,ガス流量比 Ar:CO:N:He=20:35:10:30)とし、DC電源の電力を1.7kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚30nmのCrOCN層を成膜した。続いて、アルゴン(Ar)と窒素(N)との混合ガス雰囲気(ガス圧0.1Pa,ガス流量比 Ar:N=25:5)とし、DC電源の電力を1.7kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚4nmのCrN層を成膜した。最後に、アルゴン(Ar)と二酸化炭素(CO)と窒素(N)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気(ガス圧0.2Pa,ガス流量比Ar:CO:N:He=20:35:5:30)とし、DC電源の電力を1.7kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚14nmのCrOCN層を成膜し、合計膜厚48nmの3層積層構造のクロム系遮光膜を形成した。その後、280℃で15分間の加熱処理を加えて、膜応力を0近くまで軽減した。
本方法によって製造したマスクブランクの表面平坦度は、ArF露光の露光波長λ(193nm)のλ/8である25nm以下となり、λ/8という十分な波面コントロールがなされたマスクブランクとなった。
なお、上記マスクブランクの製造方法では、マスクブランク用基板の平坦度を測定し、前記の仮想基準面と差分形状のデータをとって、光学平坦度選別を行った後、薄膜を形成してマスクブランクを製造したが、薄膜形成と光学平坦度選別の順番を逆にしてもよい。すなわち、マスクブランク用基板上に薄膜を形成した後、マスクブランクの平坦度を測定し、前記の仮想基準面と差分形状データをとって、光学平坦度選別を行ってもよい。
[転写用マスクの製造及び半導体デバイスの製造]
ここでは、前述の方法で製造したマスクブランク上の薄膜に対してパターン形成を行って転写マスクを製造した。転写用マスクの製造工程については、上記[転写用マスク及びその製造方法]で記載した方法と同様であるので説明は省略する。
本方法で製造された転写用マスクの転写主面15の光学的平坦度は露光波長λの1/8以下と極めて高く、十分な波面コントロールがなされた転写マスクを製造することが可能となった。波面コントロールが十分なされるため、この転写マスクを用いて露光を行うと、焦点深度、位置ずれ、及び解像度に優れ、それを使って製造される半導体デバイスの回路特性も安定していた。
なお、本発明のマスクブランク用基板及びマスクブランクでは、露光装置における収差補正機能への負荷を考慮し、ゼルニケ多項式の次数が2次の項までの収差補正機能を使用した場合の表面形状がλ/8以下であるものとしている。しかし、露光装置の収差補正機能等の性能向上や投影レンズの品質向上等によって、より多くの負荷を基板やマスクブランクの表面形状に係る波面収差の補正に割いても、露光転写への影響が小さい場合においては、仮想基準面の範囲を半径に係る変数の次数が3次以下の項のみで構成され、かつ変形に係る変数の次数が3次の項を1以上含むゼルニケ多項式で定義される表面形状まで広げてもよい。このようなゼルニケ多項式で定義される表面形状を仮想基準面とすることにより、本発明のマスクブランク用基板やマスクブランクを製造する際の歩留まりを大幅に向上させることができる。
1…マスクブランク用基板、2…機械的平坦面、3…基板主表面、4…光学的平坦面、21…マスクブランク用基板、22…遮光パターン、23…露光光、24…開口部、25…フィールド部、26…光半透過パターン、31…光源、32…露光光、33…照明光学系、34…マスク、35…投影レンズ、36…瞳、37…位相フィルタ、38…投影レンズ、39…ウエハステージ、40…ウエハ、41…照明部、42…遮光部、43…照明部、44…遮光部、45…レジストパターン、46…照明部、47…遮光部、48…レジストパターン、51a…パターン開口部、51b…開口部、52a…光半透過部、52b…レジストパターン、53…くぼみ、55a…パターン開口部、55b…開口部、56a…光半透過部、56b…レジストパターン、57…くぼみ、60…ウエハ

Claims (21)

  1. 対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用基板であって、
    前記薄膜が設けられる側の主表面は、基板の中心を基準とした直径90mmの円の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得した場合、前記差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/10以下となる表面形状を有し、
    前記仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有する
    ことを特徴とするマスクブランク用基板。
  2. 前記差分データから算出される決定係数Rが0.9以上であることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク用基板。
  3. 前記薄膜が設けられる側の主表面は、基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域における平坦度が0.2μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のマスクブランク用基板。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランク用基板の一方の主表面に前記転写パターン形成用の薄膜が設けられたことを特徴とするマスクブランク。
  5. 対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクであって、
    前記転写パターン形成用の薄膜の表面は、基板の中心を基準とした直径90mmの円の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得した場合、前記差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/10以下となる表面形状を有し、
    前記仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有する
    ことを特徴とするマスクブランク。
  6. 前記差分データから算出される決定係数Rが0.9以上であることを特徴とする請求項5記載のマスクブランク。
  7. 前記薄膜の表面は、基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域における平坦度が0.2μm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載のマスクブランク。
  8. 請求項4から7のいずれかに記載のマスクブランクの前記薄膜に転写パターンが形成されていることを特徴とする転写用マスク。
  9. 前記転写用マスクは、露光装置のマスクステージにセットされ、半導体基板上の転写対象物に対して露光転写を行うために用いられるものであり、前記露光装置は、転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対し、ゼルニケ多項式で定義される形状の波面補正を行う機能を有することを特徴とする請求項8記載の転写用マスク。
  10. 対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用基板の製造方法であって、
    前記透光性基板の薄膜が設けられる側の主表面を、基板の中心を基準とした直径90mmの円の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得する工程と、
    前記差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/10以下となる表面形状を有する前記透光性基板をマスクブランク用基板として選定する工程とを備え、
    前記仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有する
    ことを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法。
  11. 前記差分データから算出される決定係数Rが0.9以上である前記透光性基板を選定する工程をさらに備えることを特徴とする請求項10記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  12. 前記薄膜が設けられる側の主表面における前記基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域での平坦度が0.2μm以下である透光性基板を選定する工程をさらに備えることを特徴とする請求項10または11に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  13. 請求項10から12のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法で製造されたマスクブランク用基板の一方の主表面に前記転写パターン形成用の薄膜を設ける工程を備えることを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  14. 対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造方法であって、
    前記マスクブランクの転写パターン形成用の薄膜の表面を、基板の中心を基準とした直径90mmの円の内側の算出領域で、仮想基準面に対して形状フィッティングを行って前記主表面と前記仮想基準面との差分データを取得する工程と、
    前記差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、転写に用いられる露光波長をλとした時、λ/10以下となる表面形状を有する前記マスクブランクを選定する工程とを備え、
    前記仮想基準面は、極座標系で表現されたゼルニケ多項式であり、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有する
    ことを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  15. 前記差分データから算出される決定係数Rが0.9以上である前記マスクブランクを選定する工程をさらに備えることを特徴とする請求項14記載のマスクブランクの製造方法。
  16. 前記薄膜の表面における前記基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域での平坦度が0.2μm以下であるマスクブランクを選定する工程をさらに備えることを特徴とする請求項14または15に記載のマスクブランクの製造方法。
  17. 請求項13から16のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクの前記薄膜に転写パターンを形成する工程を備えることを特徴とする転写用マスクの製造方法。
  18. 前記転写用マスクは、露光装置のマスクステージにセットされ、半導体基板上の転写対象物に対して露光転写を行うために用いられるものであり、前記露光装置は、転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対し、ゼルニケ多項式で定義される形状の波面補正を行う機能を有することを特徴とする請求項17記載の転写用マスクの製造方法。
  19. 請求項8または9に記載の転写用マスクを露光装置のマスクステージにセットし、リソグラフィ法により前記フォトマスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
  20. 請求項17または18に記載の転写用マスクの製造方法で製造された転写用マスクを露光装置のマスクステージにセットし、リソグラフィ法により前記フォトマスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
  21. 前記露光装置は、転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対し、ゼルニケ多項式で定義される形状の波面補正を行う機能を有することを特徴とする請求項19または20に記載の半導体デバイスの製造方法。
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