JP2015110548A - 毛髪化粧料組成物および毛髪処理方法 - Google Patents

毛髪化粧料組成物および毛髪処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡易に泡状の毛髪化粧料を提供することができ、短時間で手軽に色むらなく毛髪を染毛または脱色・脱染することができる毛髪化粧料組成物を提供する。【解決手段】 複数の剤を用時に混合して用いられる毛髪化粧料であって、前記複数の剤は、炭酸塩以外の2価金属塩を含有し、少なくともアルカリ剤および炭酸塩と、酸化剤および前記炭酸塩を一部または全部分解可能な量の酸とを別の剤を含んで構成され、複数の剤の混合により自己発泡をおこし、泡状の剤型として毛髪に適用することを特徴とする毛髪化粧料組成物を提供するものである。【選択図】なし

Description

本発明は、毛髪化粧料組成物および毛髪処理方法に関するものである。
毛髪化粧料としては、染毛剤、脱色剤、脱染剤、脱色・脱染剤などが知られている。一般的に、染毛剤、脱色剤、脱染剤、脱色・脱染剤は、複数の剤を用時に混合して用いられ、アルカリ剤を含有する剤と、酸化剤を含有する剤とを含んで構成される。これらの剤型は、液状やクリーム状など多種類存在するが、液状やクリーム状の剤型は、毛髪にムラなく均一に塗布することが困難であることから、泡状の毛髪化粧料を利用することが提案されている(特許文献1〜4)。
特許文献1には、第1剤を充填したエアゾール容器と、第2剤を充填したエアゾール容器とを一体に収容した容器を用いて、各エアゾール容器から第1剤と第2剤とを同時に吐出させて、泡状の毛髪化粧料を得ることが記載されている。
特許文献2には、ポンプ式フォーマー容器やスクイズ式フォーマー容器などのフォーマー容器を用いて、泡状の毛髪化粧料を得ることが記載されている。
特許文献3には、複数の剤を入れた蓋付き容器を振とうする事によって、泡状の毛髪化粧料を得ることが記載されている。
特許文献4には、複数の剤の混合により自己発泡して、泡状の毛髪化粧料を得ることが記載されている。
特開平10−287534号公報 特開2004−339216号公報 特開2011−93819号公報 特開2012−106954号公報
従来、染毛剤、脱色剤、脱染剤、脱色・脱染剤などの複数の剤を用時に混合して用いられる毛髪化粧料は、粉末状、液状、クリーム状、ジェリー状などの剤型で提供されており、複数の剤をアプリケーターやトレイなどに所定量排出して混合してから頭髪に塗布するものであったが、これら混合液を毛髪にムラなく塗布をすることが難しく、特に毛髪の根元部分や後頭部への塗布は、それなりのスキルと時間を要するものであった。これら問題を解決するために、近年では混合液が泡状の剤型である毛髪化粧料が提供されている(特許文献1〜4)。
泡状の剤型を提供する方法は多種ある。例えば、特許文献1のような、噴射剤を用いた2剤式泡沫状毛髪化粧料は、混合液が均一で非常に良質な泡状を提供でき、簡便な塗布を可能にする。しかし、3剤以上の多剤式泡沫化粧料の提供は、噴射剤を使用する機構上容器が大きくなることから容器が持ち辛く、かえって塗布し辛くなることがあり簡便性が失われるという問題がある。
噴射剤を使用しない泡状の剤型を提供する方法としては、特許文献2のような、いわゆるノンエアゾールフォーマー容器を利用した方法があり、多剤式でも対応可能で簡単に泡状の剤型を提供することができる。しかし、ノンエアゾールフォーマー容器の特性上、混合液の粘度は低く設定しなければならないことから、毛髪への塗布後、泡が崩壊してしまうと毛髪から混合液が垂れ落ちるといった問題がある。
噴射剤や特殊な容器を使用しない泡状の剤型を提供する方法としては、特許文献3のような混合液を「振とう」することにより泡状の剤型を提供する方法や、特許文献4のような混合液の「自己発泡」を利用することにより泡状の剤型を提供する方法が提案されている。しかし、「振とう」という発泡操作を行う場合や、複数の剤を混合して「自己発泡」を利用する場合においても、発泡操作や混合の仕方によって個人差が生じ、混合の不均一から想定している泡状にならず、染毛にムラが生じるといった問題がある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、染毛剤、脱色剤、脱染剤、脱色・脱染剤などの複数の剤を用時に混合して用いられる毛髪化粧料であって、前記複数の剤に、アルカリ剤、炭酸塩、炭酸塩以外の2価金属塩、酸化剤、酸および界面活性剤を含有する。なお、前記複数の剤は、少なくとも(1)アルカリ剤および炭酸塩と、(2)酸化剤および酸とを別の剤に含有し、前記複数の剤を混合することにより、自己発泡をおこすことを特徴とする毛髪化粧料組成物を提供することで、特筆すべき効果を見出し、本発明を完成させるに至った。
また、さらに本発明は、上述の毛髪化粧料組成物によって泡状の毛髪化粧料を毛髪に塗布した後、3〜60分放置し洗い流す毛髪処理方法を提供することである。
本発明によれば、炭酸ガスを発生させる反応を用いて自己発泡をおこし、更に炭酸塩以外の2価金属塩が炭酸塩を含有する剤と他の剤との混合を補助する効果により、発泡性、泡の持続性を向上させることにより、誰でも簡易に泡状の毛髪化粧料を提供することができ、塗布後のたれ落ちや色ムラを気にすることなく毛髪を染毛または脱色・脱染することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、複数の剤を用時に混合して用いられる毛髪化粧料であって、前記複数の剤に、アルカリ剤、炭酸塩、炭酸塩以外の2価金属塩、酸化剤、酸および界面活性剤を含有する。なお、前記複数の剤は、少なくとも(1)アルカリ剤および炭酸塩と、(2)酸化剤および酸とを別の剤に含有し、前記複数の剤を混合することにより、自己発泡をおこすことを特徴とするものである。
本発明による毛髪化粧料組成物には、炭酸塩を含有する。炭酸塩を含有する剤と、他の剤とを用時に混合し、炭酸ガスを発生させる反応を用いて自己発泡をおこすことにより、泡状の毛髪化粧料を提供することができる。
本発明による毛髪化粧料組成物には、炭酸塩以外の2価金属塩を含有する。炭酸塩以外の2価金属塩は、炭酸塩を含有する剤と他の剤との混合を補助することにより、発泡性、泡の持続性を向上させ、誰でも簡単に泡状を作ることができる毛髪化粧料を提供することができる。
本発明による毛髪化粧料組成物には、酸を含有し、その量は、炭酸塩の一部または全量を分解可能な量である。炭酸塩の一部または全量を分解可能な酸を含有する剤と炭酸塩を含有する剤との混合により炭酸ガスが発生し、自己発泡することにより、泡状の毛髪化粧料を提供することができる。
本発明による毛髪化粧料組成物には、界面活性剤を含有する。特に限定されないが、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などのイオン性界面活性剤および、非イオン性界面活性剤から選択される1または2種以上を含有することにより、高い泡の保持性を発現させ、泡状の毛髪化粧料を提供することができる。
本発明による毛髪化粧料組成物には、炭酸塩以外の2価金属塩を含有する。炭酸塩以外の2価金属塩は、複数の剤の混合液中に0.05重量%〜10重量%がよい。さらには、0.05重量%〜8.0重量%がよい。特に0.05重量%〜5.0重量%が最も望ましい。炭酸塩以外の2価金属塩が0.05重量%未満の場合、発泡性、泡の持続性を向上することができず、10重量%を超える場合、炭酸塩を含有する剤と他の剤との混合を補助することができない。
本発明による毛髪化粧料組成物は、複数の剤の混合時のpHは5.0〜10.0がよい。さらには、6.0〜9.5がよい。特に6.5〜9.0が最も望ましい。複数の剤の混合時のpHが5.0未満の場合、染毛時の染着が悪くなり、ムラになりやすく、10.0を超える場合、毛髪に負担がかかり、毛髪を損傷する恐れがある。
本発明に用いるアルカリ剤は、特に限定されないが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、モルホリン、グアニジンなどの有機アミン類、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどの無機アルカリ、アルギニン、リジンなどの塩基性アミノ酸およびそれらの塩などが挙げられる。これらアルカリ剤のうち、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどの無機アルカリから選択されるアルカリ剤がよい。さらには、アンモニアが最も望ましい。これらのアルカリ剤は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
本発明に用いる炭酸塩は、特に限定されないが、炭酸イオンのカリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属塩類、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩類、またはアンモニウム塩などが挙げられる。炭酸水素イオンのカリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属塩類、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩類、または、アンモニウム塩などが挙げられる。これら炭酸塩のうち、炭酸イオンのカリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属塩類、マグネシウム塩、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩類、またはアンモニウム塩、炭酸水素イオンのカリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属塩類、マグネシウム塩、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩類、またはアンモニウム塩から選択される炭酸塩がよい。さらには、炭酸イオンのカリウム、ナトリウムのアルカリ金属塩、またはアンモニウム塩、炭酸水素イオンのカリウム、ナトリウムのアルカリ金属塩、アンモニウム塩から選択される炭酸塩が最も望ましい。これらの炭酸塩は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
本発明に用いる炭酸塩以外の2価金属塩は、典型金属、遷移金属を問わず特に限定されないが、マグネシウム、カルシウム、バリウムおよび亜鉛の塩酸塩、硫酸塩、乳酸塩、酢酸塩および臭素酸塩などが挙げられる。これら炭酸塩以外の2価金属塩のうち、マグネシウム、カルシウム、バリウム、または亜鉛の塩酸塩、硫酸塩および臭素酸塩から選択される2価金属塩がよい。さらには、マグネシウム、カルシウムの塩酸塩または硫酸塩から選択される2価金属塩が最も望ましい。これらの炭酸塩以外の2価金属塩は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
本発明に用いる酸化剤は、特に限定されないが、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、臭素酸ナトリウムなどが挙げられる。これら酸化剤のうち、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過硫酸アンモニウムから選択される酸化剤が最も望ましい。これらの酸化剤は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
本発明に用いる酸は、特に限定されないが、グリコール酸、酢酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸などの有機酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過酸化水素などの無機酸などが挙げられる。これら酸のうち、クエン酸、乳酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、安息香酸、リン酸、過酸化水素がよい。さらには、ヒドロキシエタンジホスホン酸、リン酸から選択される酸が最も望ましい。これらの酸は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
本発明に用いるアニオン界面活性剤は、特に限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(以下、POEという)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸およびそれらの塩類などが挙げられる。これらアニオン性界面活性剤のうち、ラウリル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウムから選択されるアニオン性界面活性剤が最も望ましい。これらのアニオン界面活性剤は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
本発明に用いるカチオン性界面活性剤は、特に限定されないが、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルエチルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリンなどが挙げられる。これらカチオン性界面活性剤のうち、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリンから選択されるカチオン性界面活性剤が最も望ましい。これらのカチオン性界面活性剤は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
本発明に用いる両性界面活性剤は、特に限定されないが、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウムなどのイミダゾリン系両性界面活性剤、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのベタイン系両性界面活性剤、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。これら両性界面活性剤のうちイミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系両性界面活性剤から選択される両性界面活性剤が最も望ましい。これらの両性界面活性剤は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
本発明に用いる非イオン性界面活性剤は、特に限定されないが、POEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPという)アルキルエーテル類、POE脂肪酸類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEヒマシ油類、POE硬化ヒマシ油類、POEソルビトールテトラ脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、N−アルキルジメチルアミンオキシド類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル類、糖系非イオン性界面活性剤類などが挙げられる。これら非イオン性界面活性剤のうち、POEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、糖系非イオン性界面活性剤類から選択される非イオン系界面活性剤が良く、さらには、POEアルキルエーテル類、糖系非イオン性界面活性剤類から選択される非イオン性界面活性剤が最も望ましい。これらの非イオン性界面活性剤は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
POEアルキルエーテル類の具体例としては、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテルおよびPOEオレイルエーテル類などが挙げられる。
糖系非イオン性界面活性剤の具体例としては、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド、エチルグルコシド、オクチルグルコシド、ノニルグルコシド、デシルグルコシド、オクチルマルトシド、オクチルチオグルコシド、ラウリルグルコシド、ヤシ油アルキルグルコシド、アルキル(8−10)グルコシド、アルキル(12−16)グルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドなどが挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドとしては、アルキルグルコシドにエチレンオキサイドおよび、またはプロピレンオキサイドを付加したものなどが挙げられる。なお、アルキルグルコシド型界面活性剤のアルキル基の炭素数は特に限定されないが炭素数8〜16が望ましい。また、グルコシドの平均縮合度は、特に限定されないが1〜2であることが望ましい。
本発明に用いる酸化染料は、特に限定されないが、パラフェニレンジアミン、トルエン2,5−ジアミン、オルトアミノフェノール、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、5−アミノオルトクレゾール、2,6−ジアミノピリジン、塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール、1−ナフトールおよびそれらの塩類などが挙げられる。その他、「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されたものも適宜用いることができる。これらの酸化染料は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
本発明に用いる直接染料は特に限定されないが、4−ニトロ−m−フェニレンジアミン、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミンおよびそれらの塩類、黄色202号(1)、8−アミノ−2−ブロム−5−ヒドロキシ−4−イミノ−6−[(3−(トリメチルアンモニオ)フェニル)アミノ]−1(4H)−ナフタリノン−クロライド(CI56059;ベーシック・ブルーNo.99)などが挙げられる。その他、直接染料や「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」(昭和41年厚生省告示)により定められた酸性染料や塩基性染料も適宜用いることができる。これらの染料は少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
本発明による毛髪化粧料組成物には、油性成分、溶剤、増粘剤などを含有することができる。これらの成分は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
油性成分の具体例としては、炭化水素、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、エステル類、シリコーン類などが挙げられる。
本発明による毛髪化粧料組成物には、その他添加成分としてコラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、コンキオリン、大豆タンパク、カゼイン、ゼラチンなどの蛋白質、酸やアルカリや酵素などにより加水分解した加水分解物およびこれらを4級化したカチオン変性蛋白質などのポリペプタイド、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸などの保湿剤、パラベンなどの防腐剤、リン酸ナトリウムやクエン酸ナトリウムや乳酸ナトリウムなどのpH調整剤、チオグリコール酸や亜硫酸塩やアスコルビン酸やジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤、アミノ酸、植物抽出液、生薬抽出物、ビタミン類、色素、香料、顔料、紫外線吸収剤などから選ばれる1または2種以上を含有してもよい。
以上、詳述した本発明の毛髪化粧料組成物は、複数の剤を混合することによって、特殊な容器や噴射剤を使用することなく泡状の毛髪化粧料を得ることができる。このとき、使用者は、簡単な、混合作業を行うだけでよい。また、本発明の毛髪化粧料組成物は、複数の剤を混合し、炭酸ガスを発生させる反応を用いて自己発泡をおこすことにより、液状またはクリーム状であった複数の剤が徐々に泡状の毛髪化粧料となる様子を使用者が観察することができるため、演出性(楽しさ、わくわく感)を向上させることができる。さらに、炭酸塩以外の2価金属塩による自己発泡の補助効果が、発泡性、泡の持続性を向上させ、複数の剤が混ざりやすくなり、より簡単に良質な泡状の毛髪化粧料を得ることができる。この泡状の毛髪化粧料をゴム手袋をした手や櫛、ハケなどに取り、頭髪に塗布した後、3〜60分放置し洗い流す事により簡易にムラなく毛髪処理を行うことができる効果が発揮される。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本明細書に示す評価試験において、毛髪化粧料組成物に含まれる成分およびその含有量を種々変更しながら実施した各種の実験結果を以下に示す。ここで、毛髪化粧料組成物の各成分の配合量を示す単位は全て重量%であり、これを常法にて調製した。本明細書に示す評価試験における混合比は、複数の剤を混合する比率を示す。
本明細書に示す評価試験において、複数の剤の合計が150g(グラム)の混合時の状況について目視で確認して評価した。なお、混合時には直径8mmの円柱状のプラスチック棒を用いて撹拌し、撹拌回数は、混合容器の内周を1周させた際に「1回」と数える。
本明細書に示す評価試験において、毛髪処理操作は毛髪試験用ドール(株式会社ビューラックス社製「カットマネキンNO.775S」)の毛髪全体に得られた毛髪化粧料150gをゴム手袋をした手で直接取り、直接手で毛髪試験用ドールに塗布し20分間放置後洗い流す脱色または染毛操作を行ない、乾かした毛髪を目視で確認して評価した。
本明細書に示す評価試験は25℃条件下において、専門のパネラー5名が混合操作および毛髪処理操作を行い、混合操作および毛髪処理操作を行っていない専門のパネラー5名が目視で観察し「発泡性」「泡の保持性」「複数の剤の混ざりやすさ」「毛髪の明度または染毛性」の4項目で評価した。ここで、「毛髪の明度または染毛性」は脱色剤、脱染剤および脱色・脱染剤に関しては「毛髪の明度」で評価し、染毛剤に関しては「毛髪の染毛性」で評価した。
評価基準として、次の通り評価しその平均点の少数点以下を四捨五入して評価結果とした。
「発泡性」の評価基準
5:非常に優れた発泡性を示した。
4:優れた発泡性を示した。
3:良好な発泡性を示した。
2:弱い発泡性を示した。
1:発泡性を示さない。
「泡の保持性」の評価基準
5:容器内で150回以上撹拌しても、泡がしぼまなかった。
4:容器内で100回以上撹拌しても、泡がしぼまなかったが、150回撹拌するまでに泡がしぼみはじめた。
3:容器内で50回以上撹拌しても、泡がしぼまなかったが、100回撹拌するまでに泡がしぼみはじめた。
2:容器内で50回撹拌するまでに泡がしぼみはじめた。
1:泡とならない。
「複数の剤の混ざりやすさ」の評価基準
5:60回未満の撹拌で、均一の泡となる。
4:80回未満の撹拌で、均一の泡となる。
3:100回未満の撹拌で、均一の泡となる。
2:100回以上の撹拌でも均一の泡とならない。
1:泡とならない。
「毛髪の明度または染毛性」の保持性の評価基準
5:非常に優れた明度または染毛性を示した。
4:優れた明度または染毛性を示した。
3:良好な明度または染毛性を示した。
2:弱い明度または染毛性を示した。
1:泡状の毛髪化粧料を得られなかったため染毛操作が出来なかった。
表1は第2剤の成分と配合量を示す。表1に示す第2剤は乳液状であるが、剤型は特に限定されない。本明細書に示す評価試験において、第2剤は全て共通の第2剤を用いた。
Figure 2015110548
第1評価試験:
第1評価試験では、発明者は、各成分の配合量を変えた第1剤および前述した第2剤(表1)を用いて評価を行なった。第1評価試験で生成される毛髪化粧料は、脱色剤である。表2は用いた第1剤の配合量、毛髪化粧料の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第1評価試験の結果を示す。表2に示す第1剤はクリーム状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
Figure 2015110548
(実施例1)
実施例1では、界面活性剤、炭酸塩(炭酸カリウムおよび炭酸水素アンモニウム)および2価金属塩(塩化カルシウム二水和物)を含有した第1剤と、第1剤に含有されている炭酸塩の一部を分解可能な酸と界面活性剤を含有した第2剤とを混合し、得られた毛髪化粧料について評価した。
第1評価試験における実施例1の結果によれば、「発泡性」、「泡の保持性」、「複数の剤の混ざりやすさ」、「毛髪の明度」の4つの評価項目の全てにおいて非常に優れていることが分かる。
(比較例1)
比較例1では、実施例1から2価金属塩を含有していない第1剤を用いて得られた毛髪化粧料について評価した。
第1評価試験における比較例1の結果によれば、「発泡性」、「毛髪の明度」は問題ないものの、「泡の保持性」および「複数の剤の混ざりやすさ」については良好な結果は得られなかった。
(比較例2および3)
比較例2では、実施例1から炭酸塩を含有していない第1剤を、比較例3では、さらにアンモニア水を増量してpH調整した第1剤を用いた。この結果、発泡剤である炭酸塩が含有されていないため、酸を含有する第2剤と混合したとしても泡立つことはなく、泡状の毛髪化粧料は得られなかった。
第2評価試験:
第2評価試験では、発明者は、各成分の配合量を変えた第1剤、前述した第2剤(表1)および第3剤を用いて評価を行なった。第2評価試験で生成される毛髪化粧料は、脱色・脱染剤である。表3は用いた第1剤および第3剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第2評価試験の結果を示す。表3に示す第1剤はクリーム状であり、第3剤は粉末状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
Figure 2015110548
(実施例2)
実施例2では、界面活性剤、炭酸塩および2価金属塩を含有した第1剤と、第1剤に含有されている炭酸塩の一部を分解可能な酸と界面活性剤を含有した第2剤と、2価金属塩を含有した第3剤とを混合し、得られた毛髪化粧料について評価した。
第2評価試験における実施例2の結果によれば、「発泡性」、「泡の保持性」、「複数の剤の混ざりやすさ」、「毛髪の明度」の4つの評価項目の全てにおいて優れていることが分かる。
(比較例4)
比較例4では、実施例2から2価金属塩を含有していない第1剤および第3剤を用いて得られた毛髪化粧料について評価した。
第2評価試験における比較例4の結果によれば、「毛髪の明度」は問題ないものの、「発泡性」、「泡の保持性」および「複数の剤の混ざりやすさ」については良好な結果は得られなかった。
(比較例5および6)
比較例5では、実施例2から炭酸塩を含有していない第1剤を、比較例6では、さらにアンモニア水を増量してpH調整した第1剤を用いた。この結果、発泡剤である炭酸塩が含有されていないため、酸を含有する第2剤および第3剤と混合したとしても泡立つことはなく、泡状の毛髪化粧料は得られなかった。
第3評価試験:
第3評価試験では、発明者は、含有する2価金属塩の配合量と種類を様々に変えた第1剤および前述した第2剤(表1)を用いて評価を行なった。第3評価試験で生成される毛髪化粧料は、染毛剤である。表4および表5は用いた第1剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第3評価試験の結果を示す。表4および表5に示す第1剤はクリーム状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
Figure 2015110548
Figure 2015110548
(実施例3〜13)
実施例3〜13では、界面活性剤および炭酸塩を含有し、さらに、2価金属塩の配合量および種類を様々に代えて含有した第1剤と、第1剤に含有されている炭酸塩の一部を分解可能な酸と界面活性剤を含有した第2剤とを混合し、得られた毛髪化粧料について評価した。
第3評価試験における実施例3〜13の結果によれば、含有する2価金属塩の種類や配合量を変えたとしても、得られる泡状の毛髪化粧料は良好な品質を確保できることがわかる。
第4評価試験:
第4評価試験では、発明者は、第3評価試験の実施例3における第1剤に炭酸塩として含まれる「炭酸カリウム」および「炭酸水素アンモニウム」に代えて、種類が異なる炭酸塩を含有した実施例14〜17について評価を行った。第4評価試験で生成される毛髪化粧料は、染毛剤である。表6は用いた第1剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第4評価試験の結果を示す。表6に示す第1剤はクリーム状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
Figure 2015110548
(実施例14〜17)
第4評価試験における実施例14〜17の結果によれば、含有する炭酸塩の種類を変えたとしても、得られる泡状の毛髪化粧料は非常に優れた品質を確保できることがわかる。
第5評価試験:
第5評価試験では、発明者は、第3評価試験の実施例3における第1剤に含まれる「炭酸カリウム」を配合せず、さらに「炭酸水素アンモニウム」の配合量をかえた実施例18について、および第3評価試験の実施例3における第1剤に含まれるアンモニア水の配合量を変えた実施例19をそれぞれ調製し、第3評価試験の実施例3における物性値(pH)を様々に変えて評価を行った。第5評価試験で生成される毛髪化粧料は、染毛剤である。表7は用いた第1剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第5評価試験の結果を示す。表7に示す第1剤はクリーム状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
Figure 2015110548
(実施例18および19)
第5評価試験における実施例18および実施例19の結果によれば、物性値(pH)を様々に変えたとしても、得られる泡状の毛髪化粧料は良好な品質を確保できることがわかる。
第6評価試験:
第6評価試験では、発明者は、第3評価試験の実施例3における第1剤の界面活性剤の種類および配合量を様々に変えた実施例20〜30について評価を行った。第6評価試験で生成される毛髪化粧料は、染毛剤である。表8および表9は用いた第1剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第6評価試験の結果を示す。表8および表9に示す第1剤はクリーム状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
Figure 2015110548
Figure 2015110548
(実施例20〜30)
第6評価試験における実施例20〜30の結果によれば、含有する界面活性剤の種類および配合量を様々に変えたとしても、得られる泡状の毛髪化粧料は優れた品質を確保できることがわかる。
第7評価試験:
第7評価試験では、発明者は、各成分の配合量を変えた第1剤、前述した第2剤(表1)および2価金属塩を含有した第3剤を用いて評価を行なった。第7評価試験で生成される毛髪化粧料は、染毛剤である。表10は用いた第1剤および第3剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第7評価試験の結果を示す。表10に示す第1剤はクリーム状であり、実施例31で用いる第3剤は液状であり、実施例32で用いる第3剤は粉末状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
Figure 2015110548
(実施例31および32)
第7評価試験における実施例31および32の結果によれば、各剤を混合して得られる毛髪化粧料について、毛髪化粧料の元となる複数の剤のいずれかに2価金属塩を含有した場合でも、得られる泡状の毛髪化粧料は優れた品質を確保できることがわかる。
第8評価試験:
第8評価試験では、発明者は、第3評価試験の実施例3における第1剤から各成分の配合量を変えた第1剤および前述した第2剤(表1)を用いて評価を行なった。第8評価試験で生成される毛髪化粧料は染毛剤である。表11は用いた第1剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第8評価試験の結果を示す。表11に示す第1剤はクリーム状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
Figure 2015110548
(比較例7)
比較例7では、実施例3から2価金属塩を含有していない第1剤を用いて得られた毛髪化粧料について評価した。
第8評価試験における比較例7の結果によれば、「発泡性」、「毛髪の明度」は問題ないものの、「泡の保持性」および「複数の剤の混ざりやすさ」については良好な結果は得られなかった。
(比較例8および9)
比較例8では、実施例3から炭酸塩を含有していない第1剤を、比較例9では、さらにアンモニア水を増量してpH調整した第1剤を用いた。この結果、発泡剤である炭酸塩が含有されていないため、酸を含有する第2剤と混合したとしても泡立つことはなく、泡状の毛髪化粧料は得られなかった。

Claims (7)

  1. 複数の剤を用時に混合して用いられる毛髪化粧料であって、前記複数の剤に、アルカリ剤、炭酸塩、炭酸塩以外の2価金属塩、酸化剤、酸および界面活性剤を含有し、前記複数の剤を混合することにより、自己発泡をおこすことを特徴とする毛髪化粧料組成物。なお、前記複数の剤は、少なくとも(1)アルカリ剤および炭酸塩と、(2)酸化剤および酸とを別の剤に含有する。
  2. 前記複数の剤には、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤と、前記炭酸塩の一部若しくは全量を分解可能な量の酸を含有する第2の剤と、を含有することを特徴とする請求項1記載の毛髪化粧料組成物。
  3. 前記炭酸塩以外の2価金属塩が、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、亜鉛塩のいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の毛髪化粧料組成物。
  4. 前記界面活性剤が、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1以上を含有することを特徴とする請求項1から3記載の毛髪化粧料組成物。
  5. 前記非イオン性界面活性剤が、糖系非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の毛髪化粧料組成物。
  6. 前記毛髪化粧料組成物の混合時のpHが5.0〜10.0であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の毛髪化粧料組成物。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物の毛髪処理方法であって、毛髪化粧料組成物を泡状の剤型に形成する工程と、得られた泡状の剤型の毛髪化粧料を毛髪に塗布する工程と、塗布した後、3〜60分放置し洗い流す工程とからなることを特徴とする毛髪処理方法。
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