JP2015109193A - プラズマ源 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマ生成容器内に予備フィラメントを有するプラズマ源で、プラズマ源の運転中に生じる予備フィラメントの線径の減りを軽減する。
【解決手段】内部でアーク放電によりプラズマPが生成されるプラズマ生成容器2と、プラズマ生成容器2内に配置された複数本のフィラメント5とを備えたプラズマ源1であって、プラズマ源1の運転中に、当該フィラメント5の少なくとも1本が未使用の状態であり、かつ、未使用のフィラメント5bの電位が浮遊電位もしくはアノード電位に設定されている。
【選択図】 図1
【解決手段】内部でアーク放電によりプラズマPが生成されるプラズマ生成容器2と、プラズマ生成容器2内に配置された複数本のフィラメント5とを備えたプラズマ源1であって、プラズマ源1の運転中に、当該フィラメント5の少なくとも1本が未使用の状態であり、かつ、未使用のフィラメント5bの電位が浮遊電位もしくはアノード電位に設定されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、半導体製造装置で用いられるプラズマ源で、特に、フィラメントからの熱電子を利用してアーク放電によりプラズマを生成するプラズマ源に関する。
半導体製造装置において、フィラメントからの熱電子を利用してアーク放電によりプラズマを生成するプラズマ源が用いられている。例えば、この種のプラズマ源は、プラズマが生成される室内で半導体基板に対して処理を行うCVD装置やプラズマ源よりイオンビームの引き出しを行いプラズマが生成される室内とは別の室内に配置された半導体基板に対して処理を行うイオン注入装置で利用されている。なお、このプラズマ源は、装置での利用用途によって名称が異なっており、例えば、イオン注入装置では、イオンビームを引き出すことからイオン源と呼ばれている。
特許文献1には、イオン注入装置で用いられているイオン源の例が示されている。このイオン源は、複数本のフィラメントを有するイオン源で、イオン源の運転中は各フィラメントへの通電が同時に行われている。
イオン源の稼働時間、俗に言うイオン源の運転寿命は、フィラメントの寿命によって決定される。これは、イオン源を構成する他の部材に比べて、フィラメントの消耗が早いことによる。複数本のフィラメントの1本が断線すると、イオン源として所望する性能を保つことが困難になる。この為、この種のイオン源では、フィラメントが断線する度に、イオン源の運転を停止して断線したフィラメントをプラズマ生成容器の外部に排出して、新たなフィラメントとの交換作業を必要としていた。
フィラメントの交換中とフィラメントを取り換えてからイオンビームを再立ち上げするまでの間、イオン注入装置を用いて半導体基板を処理することはできない。装置稼働率は装置の性能指数を表す重要なファクターの一つであり、装置メーカーにとって装置稼働率を向上させることは必須の要件とされている。この稼働率を向上させる為の1つの方法として、特許文献2に記載の方法がある。
特許文献2にも、特許文献1と同様にイオン注入装置で用いられるイオン源が開示されている。このイオン源は2本のフィラメントを有していて、1本のフィラメントは未使用の状態にしておき、通常はもう1本のフィラメントを用いて、イオン源の運転を行うように構成されている。そして、使用中のフィラメントが断線した際、あるいは、断線する直前に未使用のフィラメントへの通電がなされるように電気配線の切り替えが行われるので、予備となるフィラメントの本数がなくなるまで、フィラメントをプラズマ生成容器の外部へ排出する工程を必要としない。この為、イオン源の装置稼働率を向上させることが可能となる。
しかしながら、特許文献2の構成において、未使用のフィラメントを使用する際、使用前であるにもかかわらず、真新しいフィラメントに比べてフィラメントの線径がやせ細っている。
このような線径の細化は、イオン源の運転中に未使用のフィラメントの電位がカソード電位に設定されていることに起因する。プラズマ中の正の電荷を有するイオン(陽イオン)はカソード電位にある未使用のフィラメントに引き寄せられる。これにより、フィラメントとイオンとの化学反応やイオンによるフィラメントのスパッタリングが発生し、未使用のフィラメントの線径が使用前にやせ細ってしまう。使用前に未使用のフィラメントの線径が細くなると、期待通りにイオン源の寿命を向上させることが困難になる。
そこで、本発明ではプラズマ生成容器内に予備フィラメントを有するプラズマ源で、プラズマ源の運転中に生じる予備フィラメントの線径の減りを軽減することを主たる目的とする。
本発明の一のプラズマ源は、内部でアーク放電によりプラズマが生成されるプラズマ生成容器と、前記プラズマ生成容器内に配置された複数本のフィラメントとを備えたプラズマ源であって、プラズマ源の運転中に、前記フィラメントの少なくとも1本が未使用の状態にあり、かつ、前記未使用のフィラメントの電位が浮遊電位もしくはアノード電位に設定されている。
未使用のフィラメントの電位を、従来の構成で用いられていたカソード電位よりも高い電位である浮遊電位もしくはアノード電位に設定しておくことで、従来の構成に比べて、プラズマ中の陽イオンが未使用のフィラメントに到達することが困難になる。これにより、未使用のフィラメントとイオンとの化学反応やイオンによるフィラメントのスパッタリングが抑制されるので、使用前の未使用のフィラメントの細化を軽減することができる。
より好ましくは、プラズマ源の運転中に、使用中のフィラメントをカソードとし、前記プラズマ生成容器をアノードとして、前記プラズマ生成容器の室内でアーク放電によりプラズマが生成されるプラズマ源であって、未使用のフィラメントは前記プラズマ生成容器に電気的に接続されている。
未使用のフィラメントをプラズマ生成容器に電気的に接続しておくことにより、簡単な構成で当該フィラメントの電位をアノード電位に設定することが可能となる。
使用中のフィラメントと未使用のフィラメントとの交換を自動化する場合、次のようにしてプラズマ源を構成することが考えられる。前記プラズマ生成容器内に配置された複数本のフィラメントは未使用のフィラメントと使用中のフィラメントからなる少なくとも1つのフィラメントユニットを有していて、前記フィラメントユニット内で使用中のフィラメントと未使用のフィラメントとの電気回路を切り替える切り替えスイッチと、使用中のフィラメントの電気特性を計測する計測器と、前記計測器の計測結果に応じて、前記切り替えスイッチを動作させる制御装置とを備えたプラズマ源。
このようなプラズマ源であれば、使用中のフィラメントの消耗度に応じて、自動的に使用中のフィラメントと未使用のフィラメントとの交換を行うことができる。
また、フィラメントの構成については、次のようにしておくことが考えられる。前記プラズマ生成容器内に配置された複数本のフィラメントは、未使用のフィラメントと使用中のフィラメントからなる少なくとも1つのフィラメントユニットを有していて、前記フィラメントユニット内のフィラメントは、共通のフランジにより一体化されているとともに、前記フィラメントユニットは、互いに隣接配置されたフィラメントで構成されている。
フィラメントユニット内のフィラメントが共通のフランジで一体化されているので、フィラメントユニットごとにフィラメントの交換が可能となる。しかも、隣接配置されたフィラメントでフィラメントユニットが構成されているので、フランジの構成が簡単な構成でよい。
さらに、フィラメントの配置については、次のようにしておくことが考えられる。前記プラズマ生成容器内に配置された複数本のフィラメントは、未使用のフィラメントと使用中のフィラメントからなる少なくとも1つのフィラメントユニットを有していて、前記フィラメントユニット内で、使用中のフィラメントの消耗度に応じて、使用中のフィラメントと未使用のフィラメントとが切り替えて使用されるとともに、同一のフィラメントユニット内に配置された未使用のフィラメントと使用中のフィラメントとの離間距離を第一の距離とし、前記プラズマ生成容器の室内に配置された使用中のフィラメント同士の離間距離を第二の距離とした場合、第一の距離は第二の距離に比べて短くなるように各フィラメントが配置されている。
フィラメントの配置は、プラズマ生成容器内で生成されるプラズマの特性や当該プラズマから引き出されるイオンビームの特性に影響する。上記した構成にしておけば、使用中のフィラメントと未使用のフィラメントとの切り替えを行っても、プラズマやイオンビームの特性に与える影響を小さくすることができる。
プラズマ源の稼働率を向上させるには、次のようにしておくことが望ましい。前記プラズマ生成容器内に配置された全てのフィラメントは、未使用のフィラメントと使用中のフィラメントからなる少なくとも1つのフィラメントユニットで構成されている。
フィラメントユニットに属さないフィラメントが存在している場合には、当該フィラメントが消耗したとしても通電を切り替える為の未使用フィラメントが存在していないので、プラズマ源の運転を停止してフィラメントの交換を行うことが必要とされる。しかしながら、上記した構成であれば、プラズマ生成室内に配置された全てのフィラメントが1つまたは複数のフィラメントユニットのいずれかに属することになるので、使用中のフィラメントの消耗が大きくなった時点で、未使用のフィラメントに通電を切り替えることができる。これにより、プラズマ源の稼働率を向上させることができる。
未使用のフィラメントの電位を、カソード電位よりも高い電位である浮遊電位もしくはアノード電位に設定しておくことで、従来の構成に比べて、プラズマ中の陽イオンが未使用のフィラメントに到達することが困難になる。これにより、未使用のフィラメントとイオンとの化学反応やイオンによる未使用のフィラメントのスパッタリングが抑制されるので、使用前の未使用のフィラメントの細化を軽減することができる。
以下、本発明に係るプラズマ源の構成に関し、図面を参照して説明する。
図1に記載のプラズマ源1は、特許文献1と同様の構成であり、イオン注入装置に用いられることから、イオン源とも呼ばれている。
当該プラズマ源1は、プラズマ生成容器2の端部に沿って複数本のフィラメント5が配置されていて、プラズマ源1の運転中には、一部のフィラメントのみが使用されるように構成されている。具体的には図示されるフィラメント5aが使用中のフィラメントで、その両端にはフィラメント電源Vfが接続されている。一方、フィラメント5bは未使用のフィラメントで、当該フィラメントはプラズマ生成容器2に電気的に接続されている。この例では、未使用のフィラメント5bと使用中のフィラメント5aの2本のフィラメントを一組とし、これらのフィラメントを共通のフランジ4で物理的に一体化したものが、プラズマ生成容器2の壁面にボルト等で取り付けられている。
このプラズマ源1は、アーク放電によりプラズマ生成容器2の内部にプラズマPを発生させるプラズマ源である。使用中のフィラメント5aとプラズマ生成容器2の壁面との間にはアーク電源Varcが接続されていて、プラズマ源1の運転中には、使用中のフィラメント5aがカソード電極として機能し、プラズマ生成容器2がアノード電極として機能する。なお、アーク電源Varcは特許文献1と同様に図示されない加速電源に接続されている。
プラズマ生成容器2には、イオンビーム7中に含まれるイオンの原料となるPH3やBF3等のドーパントガスが封入されたボンベ6が接続されていて、このボンベ6からプラズマ生成容器2の室内にガスの供給が行われる。フィラメント電源Vfにより使用中のフィラメント5aに電流が流れると、当該フィラメントから熱電子が放出される。この熱電子は、プラズマ生成用容器2の壁面に向けて移動し、その過程でボンベ6から供給されたガスと衝突する。そして、この衝突により、ガスから電子が引き剥がされる。電子が引き剥がされたガスはイオン化され、最終的にプラズマ生成容器2の室内がイオンと電子で満たされて、プラズマPが生成される。
プラズマ源1からイオンビーム7を引き出す場合、プラズマ生成容器2の一端には図示されないイオンビーム7の引出用の開口が形成されている。この開口と隣接するように、イオンビーム7の引出方向に沿って複数枚の電極が並べられた引出電極系11と呼ばれる電極群が配置されており、各電極に所定の電圧が印加されることで、イオンビーム7の引出が行われる。
また、図示されるプラズマ源1には、プラズマPの生成効率を向上させる為に、特許文献1と同様に、プラズマ生成容器2の周囲に図示されないホルダーによって支持された複数の永久磁石3が設けられている。
図1の例で特筆すべき点は、未使用のフィラメント5bをプラズマ生成容器2に電気的に接続している点にある。このような構成にすることで、未使用のフィラメント5bの電位をアノードであるプラズマ生成容器2の電位に設定することができる。
プラズマ生成容器2の内部で生成されたプラズマPには陽イオンが含まれている。アノード電位はカソード電位よりも高い。未使用のフィラメント5bの電位をアノード電位に設定しておくと、プラズマP中に含まれる陽イオンが未使用のフィラメント5bに到達することが困難になる。これにより、未使用のフィラメント5bとイオンとの化学反応やイオンによる未使用のフィラメント5bのスパッタリングが抑制されるので、使用前の未使用のフィラメント5bの細化を軽減することができる。
プラズマ源1の運転中、フィラメント5aの線径はフィラメント自身が発する熱やプラズマP中のイオンとの反応等によって時間の経過とともに細くなる。プラズマ源1の運転を継続して行うと、最終的にフィラメント5aは断線してしまうので、適当なタイミングで現在使用中のフィラメント5aに代えて、未使用のフィラメント5bを使用することが必要とされる。
図2には、図1のプラズマ源1で使用するフィラメントを変更したときの様子が描かれている。図1に記載の未使用のフィラメント5bは、図2では使用中のフィラメント5aとしてその両端にフィラメント電源Vfが接続されるとともに、その電位がカソード電位となるように電気配線の繋ぎ替えが行われる。一方、図1に記載の使用中のフィラメント5aは、図2では使用済みのフィラメント5cとして、プラズマ生成容器2と電気的に接続されており、その電位がアノード電位となるように電気配線の繋ぎ替えが行われる。
使用済みのフィラメント5cの電位をアノード電位以外の電位に設定すると、フィラメントの交換の前後でプラズマ生成容器2の室内の電位分布に変動を来す恐れがある。室内の電位分布に変動が生じ、フィラメント交換の前後でプラズマPの分布が変動すると、処理対象である半導体基板の特性がフィラメント交換の前後で異なるものになってしまう。このような理由から、フィラメント交換の前後で、各フィラメントの電位の関係は、大きく変化させないようにしておくことが望ましい。具体的には、使用するフィラメントの切り替えに伴って、切り替え対象にするフィラメントの電位関係を逆転させておく。
図3は設定電位による未使用のフィラメントの消耗度の違いを表す実験データである。この実験は、特許文献1の装置と同様の装置に未使用のフィラメントを追加し、このフィラメントの電位をカソード電位とアノード電位のいずれかに設定して行われている。図3に示すデータは、プラズマ源を数時間運転させた後の未使用フィラメントの線径の変化を表している。破線は未使用のフィラメントの電位をカソード電位に設定した時の線径の減りを表し、実線は未使用のフィラメントの電位をアノード電位に設定した時の線径の減りを表している。
また、図3に示すデータの横軸は、フィラメントの長さ方向での位置を表しており、右側がフィラメントの先端部に相当し、左側がフィラメントの根元部分に相当する。一方、図3に示すデータの縦軸はフィラメントの消耗量を表していて、真新しいフィラメントの線径(プラズマ源が運転される前のフィラメントの線径)からの変化量を表している。例えば、損耗量-0.05mmはプラズマ源の運転後に0.05mm線径が減少したことを表している。
この実験データからもわかるように、未使用のフィラメントの電位をアノード電位にした方がフィラメントの線径の減りが軽減されることがわかる。
図1の実施例では未使用のフィラメント5bの電位をアノード電位に設定するものであったが、アノード電位に代えて、浮遊電位に設定してもいい。図4にはこの場合の例が描かれている。
未使用のフィラメント5bを浮遊電位にした場合、当該フィラメントの電位は、プラズマ中の電子が帯電することで、おおよそカソード電位とプラズマ電位の中間電位となる。このような電位であれば、カソード電位の場合に比べて、プラズマ中の陽イオンが未使用のフィラメント5bに到達することが困難になる。よって、未使用のフィラメント5bを浮遊電位にしておいても、カソード電位に設定する場合に比べて、未使用のフィラメント5bの線径の減りを軽減することができる。なお、未使用のフィラメント5bを浮遊電位に設定する場合、このフィラメントの端子はどこにも接続する必要がないので、その分、配線の引き回しが簡単に済む。
図2の実施例と同様に、未使用のフィラメント5bの電位を浮遊電位に設定する場合には、使用中のフィラメント5aを交換して、これを使用済みのフィラメント5cとするときは、使用済みのフィラメントの電位を浮遊電位に設定しておくことが望まれる。
図5(A)〜(D)にはフィラメントユニットFUの4つの構成例が記載されている。本発明で言うフィラメントユニットFUとは、未使用のフィラメント5bと使用中のフィラメント5aからなるユニットで、共通のフランジにより物理的に一体化された構造体のことを指す。このフィラメントユニットFU内で使用中のフィラメント5aに代えて未使用のフィラメント5bが使用されるように電気配線の繋ぎ替えが行われる。なお、各フィラメントはフランジにより物理的に一体化されているが、フィラメント同士は電気的には接続されていない。
図5(A)には、プラズマ生成容器2の壁面に配置された8本のフィラメントが2本ずつ一組となり、フィラメントユニットFUを構成している例が描かれている。この図に描かれているように、同数のフィラメントを1つのフィラメントユニットFUごとに割り当てるようにしてもよい。
一方、フィラメントユニットFUに含まれるフィラメントの本数は必ずしも同数である必要はない。図5(B)には、フィラメントユニットFUでフィラメントの本数が異なる例が描かれている。例えば、この図5(B)では、8本のフィラメントは、3本のフィラメントからなる2つのフィラメントユニットFUと2本のフィラメントからなる1つのフィラメントユニットFUに割り当てられている。このようにして、フィラメントユニットFUを構成しておいてもよい。
何本のフィラメントをフィラメントユニットFU内に設けるのかは、例えば、フィラメントの消耗度に応じて決めることができる。プラズマ生成容器2の内部でのプラズマの分布等の関係で、フィラメントが消耗しやすい場所が存在する場合、その場所ではフィラメントの交換が頻繁に行われることになるので、この場所に配置されるフィラメントユニットFU内のフィラメントの本数を他の場所に配置されるフィラメントユニットFUよりも多くしておくことが考えられる。
また、プラズマ生成容器2に配置される全てのフィラメントがいずれかのフィラメントユニットFUに属する必要はない。この例が、図5(C)に描かれている。図5(C)では、8本のフィラメントは、3本のフィラメントからなる2つのフィラメントユニットFUといずれのフィラメントユニットFUにも属さない2本のフィラメントに割り当てられている。
さらに、フィラメントユニットFUは必ずしも隣接したフィラメントで構成される必要はない。例えば、図5(D)に描かれているような構成でもいい。図5(D)では、2本の未使用のフィラメント5b1と2本の使用中のフィラメント5a1が第一のフィラメントユニットを形成し、2本の未使用のフィラメント5b2と2本の使用中のフィラメント5a2が第二のフィラメントユニットを形成している。各フィラメントユニットはそれぞれ第一のフランジ41と第二のフランジ42によって物理的に一体化されている。このように、プラズマ生成容器2に配置された8本のフィラメントが交互に別のフィラメントユニットFUに属するように構成しておいてもいい。
図5(A)〜5(C)に記載のフランジ4は、隣接配置されたフィラメントでフィラメントユニットFUが構成されている為、例えば、プラズマ生成容器2の壁面との当接面が円形状あるいは長方形状といった単純な形状にすることができる。一方、図5(D)に記載の第一のフランジ41と第二のフランジ42は、隣接配置されたフィラメントでフィラメントユニットFUが構成されていない為、櫛歯状のような複雑な形状にしなければならない。フランジの構成があまりにも複雑になると、製造が困難となることや製造価格が高額になってしまう。また、フィラメントユニットFUごとフィラメントを交換することを考えると、フランジの構造は単純な構造の方が交換に係る作業性もよい。これらの点を考慮すると、隣接配置されたフィラメントでフィラメントユニットFUが構成されている方が望ましい。
フィラメントの配置は、プラズマ生成容器内で生成されるプラズマの特性や当該プラズマから引き出されるイオンビームの特性に影響する。一般に、プラズマ源の運転中に通電されるフィラメントの位置は装置ごとに適切な配置となっている。このような配置関係を過度に壊すことなく、使用中のフィラメント5aと未使用のフィラメント5bとを切り替えて使用する場合には、図6に記載の構成にしておくことが望まれる。
図6には、図5(A)と同様に、8本のフィラメントが2本ずつ一組となり、各フィラメントユニットFUを構成している例が描かれている。この図に記載されている距離Bは、プラズマ生成容器2の壁面に沿った方向から視て、同一のフィラメントユニットFU内に配置された未使用のフィラメント5bと使用中のフィラメント5aとの離間距離を表している。また、距離Aは、同方向における使用中のフィラメント5a同士の離間距離を表している。
これらの距離の関係で、距離Bが距離Aよりも小さくなるように各フィラメントを配置しておけば、フィラメントユニットFU内で使用するフィラメントが交換された場合でも、プラズマ生成用器2の室内のプラズマPの特性や当該プラズマPより引き出されるイオンビーム7の特性に与える影響を少なくすることができる。
使用中のフィラメント5aと未使用のフィラメント5bの電気配線の繋ぎ替えは、手動で繋ぎかえてもいいが、フィラメントの交換を短時間で行って、装置の稼働率を向上させるには自動化することが望まれる。
図7には、フィラメントの交換を自動で行う構成例が描かれている。図7に記載されているように、フィラメントユニットFU内で使用中のフィラメント5aと未使用のフィラメント5bとの電気回路を切り替える切り替えスイッチ8を設けておく。より具体的には、この切り替えスイッチ8はリレー回路により構成されている。
使用中のフィラメント5aには、フィラメント端子間の電圧を計測する為の電圧計が並列接続されているとともに、当該フィラメントを流れる電流を計測する為の電流計が直列接続されている。ここで言う電圧計及び電流計は、計測器9のブロックをなし、計測器9で使用中のフィラメント5aの電気特性が計測される。また、計測器9での計測結果は信号Dとして制御装置10に送信される。
制御装置10は、計測器9からの信号Dに基づきフィラメントの抵抗値をリアルタイムで算出し、この値が制御装置10に予め記憶されている基準値よりも高くなった場合に、現在使用中のフィラメントが断線間近であると判断して、信号SWを切り替えスイッチ8に送信するように構成されている。制御装置10からの信号SWを受信した切り替えスイッチ8は、各部のスイッチを切り替えて、電気回路の切り替えが行われる。
ここでは制御装置10の機能として、使用中のフィラメント5aの抵抗値に基づいてフィラメントが断線間近であるかどうかを判断すると説明したが、抵抗値に代えて使用中のフィラメント5aに流れる電流値に基づいて判断するようにしてもよい。この場合、図示される計測器9で電圧計は不要となる。また、この種の判断を、使用中のフィラメント5aの抵抗値の変化率に基づいて行うようにしてもよい。何らかの原因でフィラメントの線径が急激にやせ細ってしまう場合もある。抵抗値の変化率を用いた場合、たとえ抵抗値が正常値であったとしても、次の瞬間にはフィラメントが断線してしまうような場合にも対応できうる。
<その他の変形例>
プラズマ源1を構成するプラズマ生成容器2の形状は、特段の限定はなく、円柱形であっても矩形状であっても、他の形状であっても構わない。また、プラズマ生成容器2の室内に配置されるフィラメントの本数は、未使用のフィラメント5bを含めて2本以上あればよく、図5や図6の実施例で説明した8本のフィラメントに限られるものではない。
プラズマ源1を構成するプラズマ生成容器2の形状は、特段の限定はなく、円柱形であっても矩形状であっても、他の形状であっても構わない。また、プラズマ生成容器2の室内に配置されるフィラメントの本数は、未使用のフィラメント5bを含めて2本以上あればよく、図5や図6の実施例で説明した8本のフィラメントに限られるものではない。
図1の実施例では、プラズマ生成容器2に未使用のフィラメント5bを接続することで、当該フィラメントの電位をアノード電位にする構成を説明したが、プラズマ生成容器2への接続に代えて、別電源を用意しておき、フィラメントの電位がアノード電位と同等の電位となるように設定するようにしてよい。ただし、この場合、配線の引き回しが複雑になることや別電源が必要となることから、構成の簡素化を鑑み未使用のフィラメント5bをプラズマ生成容器2に電気的に接続しておく方が望ましい。
手動により電気配線を繋ぎかえる場合、フィラメントの交換のタイミングがわかるようにしておくことが望まれる。例えば、図7の例と同じように計測器9と制御装置10を設けておき、制御装置10からの信号SWを基に、プラズマ源や当該プラズマ源を備える装置から警報が鳴るように構成しておくことが考えられる。また、警告灯を装置に設けておき、警報とともに警告灯でも装置の操作者にフィラメント交換のタイミングを知らせるように構成しておいてもいい。一方、切り替えスイッチ8のみを用意しておき、装置の操作者の経験則等に基づいてフィラメントの交換を行うようにしてもよい。
電気配線の繋ぎ替えについては、手動、自動に関わらず、使用中のフィラメント5aの断線前に行われることが望ましい。半導体基板を処理中にフィラメントが断線すると、当該基板が使用不可能となってしまう恐れがある。処理中での断線が予測される場合には、速やかにプラズマ源の運転を停止して、フィラメントが断線する前にフィラメント交換が行われるように構成しておくことが望まれる。
上述した実施形態では、略Uの字状のフィラメントを例に挙げて説明したが、フィラメントの形状はこれに限らず、別の形状をしていてもよい。例えば、凸形状のフィラメントを用いてもよい。
また、上述した実施例では、複数のUの字状のフィラメントが同一方向を向いて取り付けられていたが、フィラメントごとにバラバラの方向を向くようにして取り付けられていてもよい。さらに、一方向から視て各フィラメントのUの字状の面が重なるように一列に配置されていても構わない。また、一列に配置されている必要はなく、若干のズレを持たせて各フィラメントを千鳥状に配置したり、複数列で配置するようにしてもよい。
上述した実施例ではプラズマ生成容器2をアノード電極として用いていたが、本発明のプラズマ源1はこのような構成に限らない。例えば、プラズマ生成容器2の内壁に沿って別の電極を設けておき、これをアノード電極として用いるようなプラズマ源であってもよい。この場合、例えば、未使用のフィラメント5bはプラズマ生成容器2の内側に設けられたアノード電極に電気的に接続されるように構成しておく。
前述した以外に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行っても良いのはもちろんである。
1・・・プラズマ源
2・・・プラズマ生成容器
4・・・フランジ
5・・・フィラメント
5a・・・使用中のフィラメント
5b・・・未使用のフィラメント
2・・・プラズマ生成容器
4・・・フランジ
5・・・フィラメント
5a・・・使用中のフィラメント
5b・・・未使用のフィラメント
Claims (6)
- 内部でアーク放電によりプラズマが生成されるプラズマ生成容器と、
前記プラズマ生成容器内に配置された複数本のフィラメントとを備えたプラズマ源であって、
プラズマ源の運転中に、当該フィラメントの少なくとも1本が未使用の状態であり、かつ、前記未使用のフィラメントの電位が浮遊電位もしくはアノード電位に設定されているプラズマ源。 - プラズマ源の運転中に、使用中のフィラメントをカソードとし、前記プラズマ生成容器をアノードとして、前記プラズマ生成容器の室内でアーク放電によりプラズマが生成されるプラズマ源であって、
未使用のフィラメントは前記プラズマ生成容器に電気的に接続されている請求項1記載のプラズマ源。 - 前記プラズマ生成容器内に配置された複数本のフィラメントは、未使用のフィラメントと使用中のフィラメントからなる少なくとも1つのフィラメントユニットを有していて、
前記フィラメントユニット内で使用中のフィラメントと未使用のフィラメントとの電気回路を切り替える切り替えスイッチと、
使用中のフィラメントの電気特性を計測する計測器と、
前記計測器の計測結果に応じて、前記切り替えスイッチを動作させる制御装置とを備える請求項1または2記載のプラズマ源。 - 前記プラズマ生成容器内に配置された複数本のフィラメントは、未使用のフィラメントと使用中のフィラメントからなる少なくとも1つのフィラメントユニットを有していて、
前記フィラメントユニット内のフィラメントは、共通のフランジにより一体化されているとともに、
前記フィラメントユニットは、互いに隣接配置されたフィラメントで構成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプラズマ源。 - 前記プラズマ生成容器内に配置された複数本のフィラメントは、未使用のフィラメントと使用中のフィラメントからなる少なくとも1つのフィラメントユニットを有していて、
前記フィラメントユニット内で、使用中のフィラメントの消耗度に応じて、使用中のフィラメントと未使用のフィラメントとが切り替えて使用されるとともに、同一のフィラメントユニット内に配置された未使用のフィラメントと使用中のフィラメントとの離間距離を第一の距離とし、前記プラズマ生成容器の室内に配置された使用中のフィラメント同士の離間距離を第二の距離とした場合、第一の距離は第二の距離に比べて短くなるように各フィラメントが配置されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプラズマ源。 - 前記プラズマ生成容器内に配置された全てのフィラメントは、未使用のフィラメントと使用中のフィラメントからなる少なくとも1つのフィラメントユニットで構成されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプラズマ源。
Priority Applications (1)
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JP2013251235A JP2015109193A (ja) | 2013-12-04 | 2013-12-04 | プラズマ源 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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Cited By (1)
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CN107993909A (zh) * | 2017-08-18 | 2018-05-04 | 日新离子机器株式会社 | 离子源 |
-
2013
- 2013-12-04 JP JP2013251235A patent/JP2015109193A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN107993909A (zh) * | 2017-08-18 | 2018-05-04 | 日新离子机器株式会社 | 离子源 |
CN107993909B (zh) * | 2017-08-18 | 2019-05-14 | 日新离子机器株式会社 | 离子源 |
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