JP2015108588A - 配管系溶接部の応力解析システム及び応力解析方法 - Google Patents

配管系溶接部の応力解析システム及び応力解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶接部に含まれる熱影響部の形状を考慮た精度のよい応力解析を簡易な構成で実施可能な配管系溶接部の応力解析システム及び応力解析方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る応力解析システムは、溶接部を有する配管系の応力解析を行うものであって、設計データを入力する入力部(102)と、該設計データを記憶する設計データ記憶部を含む記憶部(106)と、設計データに基づいて熱影響部の形状モデルを生成すると共に、該形状モデルに含まれるビード交差角度を算出するモデル生成部(110)と、ビード交差角度に対応する応力集中係数を算出する応力集中係数算出部(114)と、設計データに基づいて公称応力を算出する公称応力算出部と、公称応力に応力集中係数を乗ずることにより解析応力を算出する解析応力算出部とを備えることを特徴とする
【選択図】図1

Description

本発明は、溶接部を有する配管系のクリープ損傷の診断時において、応力解析をする際に使用される配管系溶接部の応力解析システム及び応力解析方法に関する。
発電プラントや化学プラントに設けられるボイラ蒸気配管等の高熱流体が流れる配管は、持続的に作用する熱応力や内部圧力に起因した応力が作用することにより、時間の経過と共に配管系の変形が増大するクリープ損傷が生じやすく、漏洩に至る場合もある。このような配管系について、予め補修や交換を行えるように、従来から、定期的な検査により配管系のクリープ損傷状態を調査などを行う,いわゆる余寿命評価を行っている。
配管系のうち、配管同士を溶接した円周溶接部や、溶接型エルボ配管等の長手溶接部は、不連続な形状を有し,内圧以外の曲げなども作用するため、クリープ損傷が生じやすい部位として知られている。そこで、溶接部におけるクリープ損傷状態の検査手法として、溶接部の外表面周辺にて、生成したクリープボイドの個数密度や、超音波探傷による亀裂を検出し、これらの結果を総合して余寿命評価が行われている。
例えば特許文献1では、配管表面の粒界画像に含まれるクリープボイド形状に基づいてクリープ損傷による余寿命評価を行うことが開示されている。また特許文献2では、超音波探傷装置を用いて超音波探傷を溶接部の両側から行うことで、溶接部の損傷状態を評価する技術が開示されている。
特開2013−079917号公報 特開2013−134118号公報
溶接部について精度のよい損傷評価を行うためには、当該溶接部における応力分布を把握することが有効である。特に溶接部に含まれる熱影響部(HAZ:heat affected zone)は、その形状に応じて応力集中を生じさせる要因となり、また溶接部の内部に形成される熱影響部に作用する応力は、溶接部の外表面に作用する応力に比べて多軸度が高いため、クリープ損傷への寄与度が大きい。そのため、応力解析の際には、熱影響部の形状を考慮することが重要である。
しかしながら、特許文献1をはじめとする従来の余寿命評価手法では、溶接部の外表面におけるクリープボイドの個数密度や超音波探傷による亀裂を検出することで評価を行っているため、溶接部の内部に存在する熱影響部の形状に起因する応力集中を考慮することが困難であった。
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、溶接部に含まれる熱影響部の形状を考慮した精度のよい応力解析を簡易な構成で実施可能な配管系溶接部の応力解析システム及び応力解析方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の実施形態に係る配管系溶接部の応力解析システムは、溶接部を有する配管系の応力解析を行う配管系溶接部の応力解析システムであって、少なくとも前記溶接部の設計データを入力する入力部と、少なくとも前記入力部から入力された設計データを記憶する設計データ記憶部を含む記憶部と、前記設計データに基づいて前記溶接部に含まれる熱影響部の形状モデルを生成すると共に、該形状モデルに含まれるビード交差角度を算出するモデル生成部と、前記ビード交差角度と応力集中係数との関係を規定するマップに基づいて、前記モデル生成部で算出されたビード交差角度に対応する応力集中係数を算出する応力集中係数算出部と、前記設計データに基づいて、前記溶接部における公称応力を算出する公称応力算出部と、前記公称応力に前記応力集中係数を乗ずることにより、解析応力を算出する解析応力算出部とを備えることを特徴とする。
本実施形態によれば、溶接部に含まれる熱影響部の形状を加味したモデルに基づいて算出したビード交差角度に基づいて、熱影響部の形状に起因する応力集中係数を求める。このように算出した応力集中係数を公称応力に乗じて解析応力を算出することによって、従来の熱応力に加えて、外表面からは実測が難しい熱影響部の形状に基づいた応力集中による影響を考慮した精度の高い応力解析を簡易に行うことができる。
前記入力部は更に前記溶接部に関する実測データを入力し、前記記憶部は、前記入力部から入力された実測データを記憶する実測データ記憶部を更に含み、前記モデル生成部は、前記実測データに基づいて前記形状モデルから前記ビード交差角度を幾何学的に算出してもよい。
この場合、前記実測データは、前記溶接部の余盛ビードの幅及び高さであり、前記ビード交差角度は、前記溶接部の外表面に対する余盛角度であるとよい。
これらの態様によれば、余盛ビードの幅や高さなどの溶接部の実測可能なデータがある場合には、当該実測データを用いて熱影響部の形状を幾何学的に算出することで、該熱影響部の形状に起因した応力集中を求めることができる。
また、前記入力部は更に前記溶接部と同タイプの溶接部に関する実績データを入力し、前記記憶部は、前記入力部から入力された実績データを記憶する実績データ記憶部を更に含み、前記モデル生成部は、前記実績データに基づいて前記ビード交差角度を統計的に算出してもよい。
この場合、前記溶接部は、多層溶接によって形成されており、前記実績データは、前記溶接部と同タイプの溶接部に関する統計データであり、前記ビード交差角度は、前記溶接部に形成された多層ビードの溶込角度であるとよい。
これらの態様によれば、多層溶接の溶込角度などのように熱影響部に関する実測が困難である場合、同タイプの溶接部に関する実績データに基づいて、熱影響部の形状を統計的に算出することで、該熱影響部の形状に起因した応力集中を求めることができる。
本発明の実施形態に係る配管系溶接部の応力解析方法は上記課題を解決するために、溶接部を有する配管系の応力解析を行う配管系溶接部の応力解析方法であって、少なくとも前記溶接部の設計データを入力するデータ入力工程と、少なくとも前記入力部から入力された設計データを設計データ記憶部に記憶する記憶工程と、前記入力された設計データに基づいて前記溶接部に含まれる熱影響部の形状モデルを生成すると共に、該形状モデルに含まれるビード交差角度を算出するモデル生成工程と、前記ビード交差角度と応力集中係数との関係を規定するマップに基づいて、前記モデル生成部で算出されたビード交差角度に対応する応力集中係数を算出する応力集中係数算工程と、前記入力された設計データに基づいて、前記溶接部における公称応力を算出する公称応力算出工程と、前記公称応力に前記応力集中係数を乗ずることにより、解析応力を算出する解析応力算出工程とを備えることを特徴とする。
本実施形態に係る配管系溶接部の応力解析方法は、上述の配管系溶接部の応力解析システム(上記各種態様を含む)によって、好適に実施することができる。
本発明によれば、溶接部に含まれる熱影響部の形状を加味したモデルに基づいて算出したビード交差角度に基づいて、熱影響部の形状に起因する応力集中係数を求める。このように算出した応力集中係数を公称応力に乗じて解析応力を算出することによって、従来の熱応力に加えて、外表面からは実測が難しい熱影響部の形状に基づいた応力集中による影響を考慮した精度の高い応力解析を簡易に行うことができる。
本実施形態に係る配管系溶接部の応力解析システムの構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る応力解析システムの応力解析手順を概略的に示すフローチャートである。 溶接部の基本形状パターンの一例を示す図である。 U開先を有する溶接部に対応して生成されるモデルの一例を示す模式図である。 実績データ記憶部に記憶された実績データに基づいて作成される、同タイプの溶接部に関する溶込角度の例数分布を示すグラフである。 ビード交差角度と応力集中係数との関係を規定する2次元マップの一例を示す図である。 出力部によって作成表示される応力分布の一例である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
本実施例に係る配管系溶接部の応力解析システム100の構成について、図面を使用しながら説明する。図1は、本実施形態に係る配管系溶接部の応力解析システム100の構成を示すブロック図である。
応力解析対象となる配管は、原子力発電プラントや火力発電プラント等のプラントにおいて、例えば、蒸気を生成するボイラ伝熱管の出口から、蒸気によって回転する蒸気タービンの入口まで設けられており、その内部を高温蒸気が流れるものである。この種の配管は、直管型配管やエルボ型配管等の各種形状の配管を接合して構成されている。このような接合は、配管の母材同士を溶接することによって溶接部を形成することにより行われており、溶接部は母材に比べクリープ強度が弱い場合が多く,本質的にクリープ損傷が発生し易い部位となっている。
応力解析システム100は、クリープ損傷が発生し易い溶接部を有限要素法によってモデル化し、応力解析を行うことで溶接部における応力分布を作成して出力する。応力解析システム100は、いわゆるコンピュータシステムであり、図1に示すように、入力部102と、処理部104と、記憶部106と、出力部108とを備えて構成されている。
入力部102は、いわゆるキーボードやマウス等の入力装置であり、溶接部の応力分布を作成するために必要な各種データの入力作業を行う。本実施形態では、入力部102は、少なくとも解析対象となる溶接部を有する配管の仕様に関する設計データや、溶接部に対して実施された測定結果である実測データを入力する。
処理部104は、CPU等で構成されており、記憶部106に記憶された各種プログラムを実行することにより、応力解析システム100に必要な各種処理が実行される。本実施形態では、処理部104は、図1に示すように、少なくともモデル生成部110と、ビード交差角度算出部112と、応力集中係数算出部114と、公称応力算出部116と、解析応力算出部118とを備える。
モデル生成部110は、入力部102によって入力された設計データに基づいて、解析対象である溶接部をモデル化する機能を有する。ビード交差角度算出部112は、入力部102から入力された実測データに基づいて、モデル化された溶接部に含まれるHAZ形状を特定することによりビード交差角度を算出する機能を有する。応力集中係数算出部114は、算出されたビード交差角度を記憶部106に記憶された2次元マップに基づいて、溶接部に含まれるHAZ形状に対応する応力集中係数を算出する機能を有する。公称応力算出部116は、入力部102から入力された設計データに基づいて、溶接部に作用する公称応力を算出する機能を有する。解析応力算出部118は、前記算出された応力集中係数及び公称応力に基づいて溶接部に含まれるHAZに作用する解析応力を算出する機能を有する。
尚、処理部104に備わる各構成要素110、112、114、116、118の動作の詳細については、後述する。
記憶部106には、処理部104での処理に利用される各種プログラム、及び、該プログラムの実施に必要となる各種データ類が記憶されている。図1には、記憶部106の構成要素として代表的に、設計データ記憶部120、実測データ記憶部122及び実績データ記憶部124が示されている。設計データ記憶部120及び実測データ記憶部122には、入力部102から入力された設計データ及び実測データがそれぞれ記憶されている。実績データ記憶部124には、解析対象である溶接部と同タイプの溶接部に対する過去の解析実績結果が記憶されている(例えば、溶接部の形状データの類型に分けて、各形状データの関連データが記憶されている)。
尚、記憶部106に記憶される各種データの詳細については、後述する。
出力部108は、いわゆるモニタであり、処理部106の解析応力算出部で算出された解析応力の分布を出力データとして表示する。
本実施形態に係る配管系溶接部の応力解析システム100は、上述の構成を備えることによって、溶接部における応力分布を、該溶接部に含まれるHAZの形状を考慮して算出することにより簡易且つ精度よく算出することができる。
次に、応力解析システム100による応力解析の動作フローについて詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る応力解析システム100の応力解析手順を概略的に示すフローチャートである。
まず応力解析システム100のオペレータによって入力部102が操作されることにより、解析対象となる溶接部に関する設計データ及び実測データが入力される(ステップS101)。ここで、代表的な溶接部の設計データとしては、配管の形状、及び、運用時における温度や圧力が含まれており、入力された設計データは、記憶部106の設計データ記憶部120に記憶される。また代表的な溶接部の実測データとしては、溶接部の外表面側から実測可能な余盛ビードの幅及び高さがあり、入力された実測データは、記憶部106の実測データ記憶部122に記憶される。
続いて、モデル生成部110は設計データ記憶部120に記憶された設計データを読み出すことにより、解析対象となる溶接部のモデルを生成する(ステップS102)。モデル生成部110は、溶接部を有限要素法によるモデル化を行うと共に、更に溶接部に含まれるHAZ形状をモデル化することにより、従来の有限要素法のみによるモデル化に比べて精度のよい応力解析が可能なモデルを作成することができる。
尚、本実施形態では有限要素法によるモデル化に関しては公知の手法を用いることとし、詳述は省略することとする。
ここでモデル生成部110によって、溶接部に含まれるHAZ形状をモデル化する手法について説明する。
モデル生成部110は、設計データ記憶部120に記憶された設計データに基づいて溶接部の形状を特定する。図3は溶接部の基本形状パターンの一例を示したものであり、ここでは代表的に(a)U開先、(b)X開先の2つのタイプを示している。記憶部106には、このような溶接部の基本形状パターンが予め記憶されており、入力された設計データに基づいて対応する基本形状パターンが選択される。
尚、本実施例では代表的な溶接部の形状として、図3(a)及び(b)に示す2つのタイプを示しているが、溶接部の形状は、これらの2種類に限定されない。また、本実施例では、溶接部の形状として、配管の軸方向断面の形状を取り上げているが、軸方向断面の形状のみでなく、溶接型鋼管のような長手溶接部における管直径方向断面などの他の形状を用いてもよい。
続いて、基本形状パターンが特定されると、モデル作成部110は該特定された基本形状パターンに紐付けられたHAZ形状を含むモデルが作成される。ここで図4はU開先を有する溶接部に対応して生成されるモデルの一例を示す模式図である。溶接部10は多層溶接によって、配管内側(図下方側)から溶接ビード12が重ねて形成されており、最外表面側(図上方側)に、余盛ビード14が生成されている。余盛ビード14は母材16の外表面近傍における溶接不良を回避するために、開先幅A2に比べて広い範囲に亘って形成される(すなわち、余盛ビード幅A1>A2)。このような溶接部10のモデルにおいて、HAZ形状はビード交差角度である余盛角度α1と溶込角度α2とによって特徴付けられる。
ビード交差角度算出部112は、モデル生成部110によって形成されたモデルを特徴付けるビード交差角度である余盛角度α1と溶込角度α2を算出する(ステップS103)。ここで、当該モデルを用いた余盛角度α1の算出方法について説明する。図4に示すモデルでは、余盛ビード14の幅をA1、高さ及び深さをt、開先幅A2とすると、幾何学的に次式が成立する。
tanα4=t/((A1−A2)/2) (1)
尚、角度α4は図4に示すように、余盛ビード14の配管内側底面における径方向軸との交点と、余盛ビード14の母材16の外表面との接点とを結ぶ線分15の、母材16の外表面に対する角度として定義される。
ここで余盛ビード14のA1及び高さtは、実測データ記憶部122に記憶された実測データから得ることができ、開先幅A2は設計データ記憶部120に記憶された記憶データから得ることができる。従って角度α4は次式により算出することができる。
α4=arctan[t/((A1−A2)/2)] (2)
一方、余盛角度α1は、図4に示すモデルから幾何学的に、開先角度α3及び角度α4を用いて、次式により表わされる。
α1=(90°+α4)+α3 (3)
尚、開先角度α3は図4に示すように、開先の内表面の径方向軸に対する角度として定義される。
ここで、開先角度α3もまた、設計データ記憶部120に記憶された設計データから得られるため、(2)式の算出結果とあわせて(3)式により求めることができる。
このように当該モデルではHAZ形状を特徴付ける余盛角度α1を実測データに基づいて簡易に算出することができる
続いて、溶込角度α2の算出方法について説明する。溶込角度α2は積層されたビードが母材16に溶け込む際に形成された凹凸間の角度であり、外表面から測定不能であるため、上述の余盛角度α1とは異なり、幾何学的に算出することが難しい。そこで、本実施例では、溶込角度α2については、記憶部102の実績データ記憶部124に記憶された実績データに基づいて統計的に算出する。
図5は、記憶部106の実績データ記憶部124に記憶された実績データに基づいて、同タイプの溶接部に関する溶込角度α2の例数分布を示すグラフである。この例では、プラントにおいて配管が使用される場所に応じて、(a)主蒸気管などにおける円周溶接部、及び、(b)再熱蒸気管の長手溶接部などにおける溶込角度α2の例数分布が示されており、溶込角度α2が略正規分布を有している。
ビード交差角度算出部112は、このように実績データから得られる図5に示す例数分布グラフを統計的に処理することによって、以下の計算に必要な溶込角度α2を算出する。例えば、例数分布における平均値を用いてもよいし、ピーク値を用いてもよい。
尚、本実施例では幾何学的に算出可能な余盛角度α1については実測データに基づいて算出する例を示しているが、溶込角度α2と同様に余盛角度α1についても実績データを予め蓄積しておいて統計的に算出するようにしてもよい。このような統計的な算出は、実測データを用いることなく実施することができるので、配管系が用いられているプラントの運用停止を伴う定期検査期間に先じて本システムを用いた応力解析を行うことができる。この場合、定期検査の実施前に予めクリープ損傷箇所の大きな部位の選定を精度よく行うことができるので有用である。
再び図2に戻って、続いて、応力集中係数算出部114によって当該HAZ形状に対応する応力集中係数が算出される(ステップS104)。ビード交差角度と応力集中係数との関係は、記憶部106に予め2次元マップとして記憶されている。ここで図6は、溶込角度α2と応力集中係数との関係を規定する2次元マップの一例を示しており、溶込角度α2が鋭角になるに従って応力集中係数βが増大する傾向が示されている。ここで、ビード交差角度α1と応力収集係数の関係も予め実験や応力解析などで求めておけばよい。
応力集中係数算出部114は、このような2次元マップに基づいて、ステップS103で算出したビード交差角度である余盛角度α1及び溶込角度α2に対して、それぞれ対応する応力集中係数β1及びβ2を算出する。
続いて公称応力算出部は、設計データ記憶部120に記憶された設計データに基づいて公称応力を算出する(ステップS105)。設計データには、運用時に溶接部が曝される温度及び圧力が含まれており、配管の形状及び材質に基づいて、たとえば円周溶接部であれば,内圧や熱応力による管軸方向の公称平均応力σ1を算出する。
そして、解析応力算出部118は、ステップS104で算出した応力集中係数β1及びβ2を、ステップS105で算出した公称応力σ1に乗ずることにより、次式から余盛部と溶込部における解析応力σ´1及びσ´2を算出する(ステップS106)。
σ´1=β1×σ1 (4−1)
σ´2=β2×σ2 (4−2)
このように算出された解析応力σ´1及びσ´2は、出力部108から応力分布として作成され、モニタ上に表示される(ステップS107)。図7は出力部によって作成表示される応力分布の一例であり、(a)はU開先、(b)はX開先を有する溶接部における応力分布を示している。ここで、長手溶接部においては、上述のσ1を内圧による周方向の公称平均応力σ2に変えて算出すれば良い。このように本実施例では、溶接部を従来の有限要素法によるモデル化することに加えて、溶接部に含まれるHAZ形状による応力集中を加味した応力解析を行うことで、より精度の高い応力解析を簡易に行うことができる。
最後に、本実施例に係る応力解析システムを用いたボイラ配管の溶接部における余寿命評価方法の一連の流れを、従来例と比較して説明する。
まず従来例では、定期検査期間に先じて、ボイラ運用中に有限要素法を用いた応力解析を行うことで応力(熱応力)が大きいと推定される部位を予め選定し、検査期間に当該部位について、超音波探傷検査や管外表面の組織調査(クリープボイド調査)を行うことにより、処置対象部位の選定を行っていた。
しかしながら、従来の応力解析では、HAZ形状による応力集中を加味していない単純な熱応力に基づいた検査部位の選定を行っているため、応力解析の精度が低かった。そのため、定期検査を実施した結果、予想に反してクリープ損傷が進行している部位が発見されることで、予期しない検査および取替え期間のために定期検査の延長が生じたり、ボイラ再稼動後に臨時停止期間を設けて対処する必要が生じたり、或いは、損傷箇所の延命のために運用変更(運用温度低減など)を行う必要が生ずるリスクが大きかった。
一方、本実施例に係る応力解析システム100を用いると、記憶部106の実績データ記憶部122に予め記憶された実績データに基づいて、評価対象の配管系が有する溶接部について、損傷が大きい部位を、定期検査期間に先じて選定することができる。特に、本実施例では溶接部に含まれるHAZ形状による応力集中を加味することで、高精度の応力解析を行うことができるため、後に定期検査を行った際に、意図しない損傷進行箇所が発見されるリスクを効果的に軽減することができる。
そして定期検査期間においても、従来の超音波探傷検査や管外表面の組織調査(クリープボイド調査)と並行して、本実施例に係る応力解析を行うことで、より正確な損傷部位の検査を行うことができる。これにより、ボイラを再始動する前に、損傷部位に対して必要な対処を完了することができ、定期検査の精度向上及び効率化を行うことができる。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、配管系溶接部の応力解析システムの構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
本発明は、溶接部を有する配管系のクリープ損傷の診断時において、応力解析をする際に使用される配管系溶接部の応力解析システム及び応力解析方法に利用可能である。
100 応力解析システム
102 入力部
104 処理部
106 記憶部
108 出力部
110 モデル生成部
112 ビード交差角度算出部
114 応力集中係数算出部
116 公称応力算出部
118 解析応力算出部
120 設計データ記憶部
122 実測データ記憶部
124 実績データ記憶部

Claims (6)

  1. 溶接部を有する配管系の応力解析を行う配管系溶接部の応力解析システムであって、
    少なくとも前記溶接部の設計データを入力する入力部と、
    少なくとも前記入力部から入力された設計データを記憶する設計データ記憶部を含む記憶部と、
    前記設計データに基づいて前記溶接部に含まれる熱影響部の形状モデルを生成すると共に、該形状モデルに含まれるビード交差角度を算出するモデル生成部と、
    前記ビード交差角度と応力集中係数との関係を規定するマップに基づいて、前記モデル生成部で算出されたビード交差角度に対応する応力集中係数を算出する応力集中係数算出部と、
    前記設計データに基づいて、前記溶接部における公称応力を算出する公称応力算出部と、
    前記公称応力に前記応力集中係数を乗ずることにより、解析応力を算出する解析応力算出部と
    を備えることを特徴とする配管系溶接部の応力解析システム。
  2. 前記入力部は更に前記溶接部に関する実測データを入力し、
    前記記憶部は、前記入力部から入力された実測データを記憶する実測データ記憶部を更に含み、
    前記モデル生成部は、前記実測データに基づいて前記形状モデルから前記ビード交差角度を幾何学的に算出することを特徴とする請求項1に記載の配管系溶接部の応力解析システム。
  3. 前記実測データは、前記溶接部の余盛ビードの幅及び高さであり、
    前記ビード交差角度は、前記溶接部の外表面に対する余盛角度であることを特徴とする請求項2に記載の配管系溶接部の応力解析システム。
  4. 前記入力部は更に前記溶接部と同タイプの溶接部に関する実績データを入力し、
    前記記憶部は、前記入力部から入力された実績データを記憶する実績データ記憶部を更に含み、
    前記モデル生成部は、前記実績データに基づいて前記ビード交差角度を統計的に算出することを特徴とする請求項1に記載の配管系溶接部の応力解析システム。
  5. 前記溶接部は、多層溶接によって形成されており、
    前記実績データは、前記溶接部と同タイプの溶接部に関する統計データであり、
    前記ビード交差角度は、前記溶接部に形成された多層ビードの溶込角度であることを特徴とする請求項4に記載の配管系溶接部の応力解析システム。
  6. 溶接部を有する配管系の応力解析を行う配管系溶接部の応力解析方法であって、
    少なくとも前記溶接部の設計データを入力するデータ入力工程と、
    少なくとも前記入力部から入力された設計データを設計データ記憶部に記憶する記憶工程と、
    前記入力された設計データに基づいて前記溶接部に含まれる熱影響部の形状モデルを生成すると共に、該形状モデルに含まれるビード交差角度を算出するモデル生成工程と、
    前記ビード交差角度と応力集中係数との関係を規定するマップに基づいて、前記モデル生成部で算出されたビード交差角度に対応する応力集中係数を算出する応力集中係数算工程と、
    前記入力された設計データに基づいて、前記溶接部における公称応力を算出する公称応力算出工程と、
    前記公称応力に前記応力集中係数を乗ずることにより、解析応力を算出する解析応力算出工程と
    を備えることを特徴とする配管系溶接部の応力解析方法。
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