JP5822856B2 - クリープ損傷評価方法 - Google Patents

クリープ損傷評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5822856B2
JP5822856B2 JP2013033394A JP2013033394A JP5822856B2 JP 5822856 B2 JP5822856 B2 JP 5822856B2 JP 2013033394 A JP2013033394 A JP 2013033394A JP 2013033394 A JP2013033394 A JP 2013033394A JP 5822856 B2 JP5822856 B2 JP 5822856B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
creep
heat
resistant steel
damage rate
steel pipe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013033394A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014163744A (ja
Inventor
平川 裕一
裕一 平川
駒井 伸好
伸好 駒井
寛明 福島
寛明 福島
吉田 博明
博明 吉田
英史 尾崎
英史 尾崎
大山 博之
博之 大山
公彦 富永
公彦 富永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2013033394A priority Critical patent/JP5822856B2/ja
Publication of JP2014163744A publication Critical patent/JP2014163744A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5822856B2 publication Critical patent/JP5822856B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)
  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)

Description

本発明は、高温機器に使用される耐熱鋼管の溶接部のクリープ損傷程度を評価するクリープ損傷評価方法に関する。
陸用ボイラーや蒸気タービン等のプラントの配管は高温・高圧環境で運転されるため、高温強度に優れた材料が用いられる。例えば、クロムを9〜12%(質量%)程度含有した高クロム鋼からなる耐熱鋼管や類似組織を有するクロムを2〜3%(質量%)程度含有した低合金鋼からなる耐熱鋼管などが用いられている。
長期間に亘る高温での使用によって、耐熱鋼管の熱影響部には、クリープボイドやクラック等のクリープ損傷が生じる。高クロム鋼からなる耐熱鋼管のクリープ損傷は、非破壊的にクリープボイド観察が可能な外表面側から進行するとは限らず、応力分布によっては肉厚内部から進行することが知られており、内部でクリープ損傷が蓄積して配管の取り換えを要する寿命や漏洩に至ることがある。このため、プラントの運用においては、耐熱鋼管の寿命評価を適確に行い、信頼性を向上させることが重要である。したがって、耐熱鋼管の溶接部の健全性を確保するには、クリープ損傷を高精度に且つ早期に検出する必要がある(特許文献1参照)。
そこで、クリープ損傷に伴って生成するクリープボイド個数を計測し、この結果に基づいて残余寿命を評価する方法が用いられている。例えば、レプリカ法により管外表面側のクリープボイド個数を計測してクリープボイド個数密度を算出し、当該クリープボイド個数密度から推定されるクリープ損傷率を算出することで、残余寿命を評価する方法がある。この方法では、耐熱鋼管と同一材料からなる試験片を用いて予めクリープボイド個数密度とクリープ損傷率の関係式(以下、マスターカーブという)を取得しておいて、当該マスターカーブから、図13に示すように、レプリカ法によって算出したクリープボイド個数密度に対応する外表面側の仮クリープ損傷率を算出する。その後、当該外表面側の仮クリープ損傷率に肉厚内部の損傷率を推定するために予め設定した係数kを乗算して、肉厚内部のクリープ損傷率Dcを算出し、当該クリープ損傷率Dcに基づいて残余寿命を評価する手法が考えられる。
また、レプリカ法では、耐熱鋼管の内部のクリープ損傷を検出できないため、内部のクラック等のクリープ損傷を検出して残余寿命を評価することを目的として超音波探傷法が用いられている。
特開2012−108051号公報
しかしながら、上述したレプリカ法により管外表面側のクリープボイド個数を計測して仮クリープ損傷率を算出した後、当該外表面側の仮クリープ損傷率に肉厚内部の損傷率を推定するための係数kを乗算してクリープ損傷率Dcを算出して残余寿命を評価する方法では、溶接部の開先形状や扁平等の影響により肉厚内部の応力分布が変化し、肉厚内部の損傷程度が異なるため、一律に係数kを乗算して算出されたクリープ損傷率Dcの推定精度が低いという問題点があった。
また、上述した肉厚内部の損傷に対する非破壊的な評価手法である超音波探傷法では、内部のクラックが、例えば1〜3mm単位の大きさにならないと検出できないため、早期のクリープ損傷を検出することができないという問題点があった。
そこで本発明は、上述したような従来技術の状況の下になされた発明であって、最大応力が作用する深さ位置の残余寿命を精度良く推定可能なクリープ損傷評価方法を提供することを目的としている。
本発明は、上述したような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、本発明のクリープ損傷評価方法は、高温機器に使用される耐熱鋼管の溶接部のクリープ損傷程度を評価するクリープ損傷評価方法において、
前記耐熱鋼管の外表面から内表面(以下、内表面を裏面という)までの深さ方向の応力分布を解析して、最も大きい応力が作用する最大応力深さ位置を算出する最大応力位置解析工程と、
前記耐熱鋼管の外表面から裏面側へ向かって所定厚さずつ削成し、深度の異なる複数の深さ位置のクリープボイド個数を計測して、それぞれのクリープボイド個数密度を算出するクリープボイド算出工程と、
前記クリープボイド算出工程にて算出した結果に基づいて、前記耐熱鋼管の深さ位置とクリープボイド個数密度との関係式を算出する実測結果算出工程と、
前記実測結果算出工程にて算出された関係式より、前記最大応力深さ位置のクリープボイド個数密度を推定する推定工程と、
予め設定されたクリープ損傷率とクリープボイド個数密度との関係式より、前記推定工程にて推定されたクリープボイド個数密度に対応する前記最大応力深さ位置のクリープ損傷率を算出する第1クリープ損傷率算出工程と、を備えることを特徴とする。
本発明のクリープ損傷評価方法によれば、耐熱鋼管の外表面部を削って深度の異なる複数の深さ位置のクリープボイド個数を計測し、クリープボイド個数密度を算出するとともに、これらの算出結果から耐熱鋼管の深さ位置とクリープボイド個数密度との関係式を算出し、その後、予め設定されたクリープ損傷率とクリープボイド個数密度との関係式に基づいて最大応力深さ位置のクリープ損傷率を算出するため、最大応力深さ位置の残余寿命を精度良く推定することができる。
また、実測結果算出工程、推定工程及び第1クリープ損傷率算出工程は、短時間で実施することができる。これにより、クリープボイド個数を実測した後に、短時間でクリープ損傷率を算出するとともに、当該クリープ損傷率から残余寿命を評価することができるため、耐熱鋼管の処置判断期間を短縮することができる。
また、予め設定されたクリープ損傷率とクリープボイド個数密度との前記関係式より、前記クリープボイド算出工程にて算出された各深さ位置のクリープボイド個数密度に対応するクリープ損傷率をそれぞれ算出する第2クリープ損傷率算出工程と、
前記最大応力位置解析と併せて、前記耐熱鋼管の深さ位置とクリープ損傷率の関係式を算出する損傷率解析工程と、
前記損傷率解析工程にて算出された関係式を、前記第2クリープ損傷率算出工程にて算出された各深さ位置のクリープ損傷率に合わせて補正する補正工程と、
前記補正工程にて補正された関係式と前記第2クリープ損傷率算出工程にて算出されたクリープ損傷率との偏差を算出する偏差算出工程と、
前記偏差算出工程にて算出された偏差が、予め設定された所定の範囲内であるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程にて前記偏差が前記所定の範囲内であると判定された場合に、前記補正工程にて補正された前記関係式より前記最大応力深さ位置のクリープ損傷率を算出する第3クリープ損傷率算出工程と、を更に備えていてもよい。
このように、応力分布を解析して耐熱鋼管の深さ位置とクリープ損傷率の関係式を算出するとともに、当該関係式を実測結果に沿って補正し、補正された関係式とクリープボイド損傷率との偏差が所定の範囲内である場合に、最大応力深さ位置のクリープ損傷率を算出するため、残余寿命を更に精度良く推定することができる。
また、前記クリープボイド算出工程において、
前記耐熱鋼管の外表面から裏面側へ向かって前記耐熱鋼管の表面部を前記所定厚さ削って内部を露出させ、露出した面のクリープボイド個数をレプリカ法により計測してもよい。
このように、耐熱鋼管の外表面部を削ることで内部を露出させ、露出した面のクリープボイド個数をレプリカ法により計測することで、クリープボイド個数を正確に計測することができる。
また、前記クリープボイド算出工程において、
前記耐熱鋼管の外表面を削って露出した面のクリープボイド個数を計測する際に、前記耐熱鋼管の厚さが予め設定された最小肉厚値未満となった場合に、前記耐熱鋼管を肉盛溶接して前記耐熱鋼管の厚さを前記最小肉厚値以上としてもよい。
複数の深さ位置のクリープボイド個数を計測する際に、耐熱鋼管の厚さが最小肉厚値未満となった場合でも、肉盛溶接等により肉厚を復旧することで耐熱鋼管の厚さを最小肉厚値以上とすることができる。これにより、耐熱鋼管を再び使用することができる。
本発明によれば、最大応力が作用する深さ位置の残余寿命を精度良く推定可能なクリープ損傷評価方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る耐熱鋼管の溶接部構造を示す図である。 本実施形態に係る耐熱鋼管の溶接部の応力分布図である。 本実施形態に係るクリープボイド個数の計測方法を示す図であり、(A)は耐熱鋼管の表面の計測方法を示し、(B)は耐熱鋼管の表面部を1d削って露出した面の計測方法を示し、(C)は耐熱鋼管の表面部を2d削って露出した面の計測方法を示し、(D)は耐熱鋼管の表面部を3d削って露出した面の計測方法を示す図である。 本実施形態に係る耐熱鋼管の深さ位置とクリープボイド個数密度Cdとの関係を示す図である。 本実施形態に係るクリープ損傷率Dcとクリープボイド個数密度Cdとの関係を示す図である。 本実施形態に係るクリープ損傷評価方法のフローを示す図である。 本発明の第2実施形態に係る耐熱鋼管の深さ位置とクリープ損傷率Dcとの関係を示す図である。 本実施形態に係る解析結果による耐熱鋼管の深さ位置とクリープ損傷率Dcとの関係を示す図である。 本実施形態に係る多項式回帰曲線の補正方法を説明するための図である。 補正後の多項式回帰曲線よりクリープ損傷率Dcを算出する方法を説明するための図である。 新たな深さ位置のクリープボイド個数密度Cdに基づいて補正した多項式回帰曲線を示す図である。 本実施形態に係るクリープ損傷評価方法のフローを示す図である。 従来のクリープ損傷率Dcを算出する方法を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいてより詳細に説明する。
ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限り、本発明の範囲をそれにのみ限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の第1実施形態に係る耐熱鋼管の溶接部構造を示す図である。
図1に示すように、陸用ボイラー等のプラントの耐熱鋼管1は、周方向に溶接部2を有している。この耐熱鋼管1は溶接金属4で溶接されており、溶接金属4の両側には熱影響部6が存在する。耐熱鋼管1には、クロムを9〜12%(質量%)程度含有した高クロム鋼が用いられている。また、類似組織を有するクロムを2〜3%(質量%)程度含有した高強度低合金鋼が用いられることもある。
熱影響部6には、長期間に亘る高温での運転によってクリープボイドが発生する。このクリープボイドは長時間の使用によってその数が増加し、隣接するクリープボイド同士が連結されてクラックとなる。そして、クラックは徐々に成長し、最終的には板厚方向に貫通して、内部流体のリークが発生する。このため、プラントの運用においては、耐熱鋼管1の寿命評価を適確に行う必要がある。
そこで、本発明では、残余寿命を精度良く推定可能なクリープ損傷評価方法を提供するものである。
本発明の第1実施形態に係るクリープ損傷評価方法は、まず、耐熱鋼管1の表面1aから裏面1bまでの深さ方向の応力分布を解析して、最大応力が作用する最大応力深さ位置を算出する(最大応力位置解析工程)。
最大応力位置解析工程では、最大応力が作用する深さ位置をFEM解析にて算出する。このFEM解析は、溶接部2の開先形状、ビード形状及び扁平を考慮して実施する。
最大応力は、図2に示すように、耐熱鋼管1の表面1aよりも内側の内部に発生する。
次に、耐熱鋼管1の表面1aから裏面1b側へ向かって深度の異なる複数の深さ位置のクリープボイド個数密度Cdを算出する(クリープボイド算出工程)。
クリープボイド算出工程では、まず、図3(A)に示すように、熱影響部6の表面1aにレプリカ8を付着させてクリープボイド個数を計測し、クリープボイド個数密度Cdを算出する。
続いて、図3(B)に示すように、予め設定された所定の深さdだけ熱影響部6の表面部を削って内部を露出させる。熱影響部6を削る所定の深さdを本実施形態では1mmとしたが、この値に限定されるものではなく、設計等によって適宜決定することができる。
そして、露出した面(以下、第1深さ位置という)のクリープボイド個数を計測し、クリープボイド個数密度Cdを算出する。
また、図3(C)に示すように、第1深さ位置から更に所定の深さdだけ熱影響部6を削って深部を露出させる。
そして、露出した面(以下、第2深さ位置という)のクリープボイド個数を計測し、クリープボイド個数密度Cdを算出する。
更に、図3(D)に示すように、第2深さ位置から所定の深さdだけ熱影響部6を削って深部を露出させる。
露出した面(以下、第3深さ位置という)のクリープボイド個数を計測し、クリープボイド個数密度Cdを算出する。
上述したように、耐熱鋼管1の表面部を1mm削って露出した面のクリープボイド個数を計測する作業を複数回実施して(図3(B)〜(D)参照)、第1〜第3深さ位置のクリープボイド個数密度Cdを算出する。本実施形態では、3箇所の深さ位置のクリープボイド個数密度Cdを算出したが、この数に限定されるものではない。
クリープボイド算出工程において、耐熱鋼管1の表面部を削って、複数の深さ位置のクリープボイドを計測する際に、耐熱鋼管1の厚さが設計等により設定された最小肉厚値未満となった場合には、削った部分を肉盛溶接して耐熱鋼管1の厚さを最小肉厚値以上に修復する。
なお、耐熱鋼管1の表面部を削っても最小肉厚値以上の厚さを確保できる場合には、削った部分を肉盛溶接しなくてもよい。
次に、クリープボイド算出工程にて算出した各深さ位置のクリープボイド個数密度Cdに基づいて、耐熱鋼管1の深さ位置とクリープボイド個数密度Cdとの関係式を算出する(実測結果算出工程)。
図4は、本実施形態にかかる耐熱鋼管1の深さ位置とクリープボイド個数密度Cdとの関係を示す図である。
図4に示すように、クリープボイド算出工程にて算出した各深さ位置のクリープボイド個数密度Cd(図中の点部)に基づいて、カーブフィッティングを行う。例えば、回帰分析にて多項式曲線の関係式(図中の実線部分)を算出する。
続いて、実測結果算出工程にて算出された関係式より、最大応力深さ位置のクリープボイド個数密度Cdを推定する(推定工程)。
推定工程では、実測結果算出工程にて算出された関係式を用いて、最大応力位置解析工程で算出した最大応力深さ位置に対応するクリープボイド個数密度Cdを推定する。
次に、推定工程にて推定されたクリープボイド個数密度Cdに対応するクリープ損傷率Dcを算出する(第1クリープ損傷率算出工程)。
第1クリープ損傷率算出工程では、図5に示すように、予め設定されたクリープ損傷率Dcとクリープボイド個数密度Cdとの関係式(以下、予め設定されたクリープ損傷率Dcとクリープボイド個数密度Cdとの関係式をマスターカーブという)より、推定工程にて推定されたクリープボイド個数密度Cdに対応するクリープ損傷率Dcを算出する。
マスターカーブは、高クロム鋼の試験片を配管と同様の条件下において予め予備試験によって算出されたものを用いる。
次に、本実施形態に係るクリープ損傷評価方法をフロー図を用いて説明する。
図6は、本実施形態に係るクリープ損傷評価方法のフローを示す図である。
図6に示すように、まず、耐熱鋼管1のFEM解析によって最大応力が作用する最大応力深さ位置を算出する最大応力位置解析工程を実施する(ステップS1)。
耐熱鋼管1の表面1aから裏面1bまでの深さ方向の応力分布を解析して(図2参照)、最大応力が作用する最大応力深さ位置を算出する。
次に、深度の異なる複数の深さ位置のクリープボイド個数を計測してクリープボイド密度を算出するクリープボイド算出工程を実施する(ステップS3)。
まず、熱影響部6の表面1aのクリープボイド個数を計測し(図3(A)参照)、その後、表面部を所定の深さd(例えば、1mm)だけ削って第1深さ位置のクリープボイド個数を計測する(図3(B)参照)。このように、表面部を所定の深さdだけ削って露出した面のクリープボイド個数を計測する作業を複数回実施する(図3(B)〜(D)参照)。
続いて、計測した各深さ位置のクリープボイド個数に基づいて、クリープボイド個数密度Cdをそれぞれ算出する。
次に、耐熱鋼管1の深さ位置とクリープボイド個数密度Cdとの関係式を算出する実測結果算出工程を実施する(ステップS5)。
ステップS3で算出したクリープボイド個数密度Cdと耐熱鋼管1の各深さ位置との関係に基づいてカーブフィッティングを行って、多項式曲線の関係式を算出する(図4参照)。
次に、ステップS5で算出された関係式より、最大応力深さ位置のクリープボイド個数密度Cdを推定する推定工程を実施する(ステップS7)。
推定工程では、最大応力深さ位置に対応するクリープボイド個数密度Cdを算出する。
次に、ステップS7で算出されたクリープボイド個数密度Cdに基づいてクリープ損傷率Dcを算出する第1クリープ損傷率算出工程を実施する(ステップS9)。
マスターカーブ(図5参照)より、ステップS7で算出されたクリープボイド個数密度Cdに対応するクリープ損傷率Dcを算出する。そして、このクリープ損傷率Dcに基づいて残余寿命を評価する。
上述したクリープ損傷評価方法によれば、深度の異なる第1〜第3深さ位置のクリープボイド個数を計測してクリープボイド個数密度Cdを算出するとともに、これらの算出結果から耐熱鋼管1の深さ位置とクリープボイド個数密度Cdとの関係式を算出し、その後、マスターカーブに基づいて最大応力深さ位置のクリープ損傷率Dcを算出するため、最大応力深さ位置の残余寿命を精度良く推定することができる。
また、実測結果算出工程、推定工程及び第1クリープ損傷率算出工程は、短時間で実施することができる。これにより、クリープボイド個数を実測した後に、短時間でクリープ損傷率Dcを算出し、当該クリープ損傷率Dcに基づいて残余寿命を評価することができるため、耐熱鋼管1のメンテナンスにかかる期間を短縮することができる。
また、耐熱鋼管1の表面部を削って露出した面のクリープボイド個数をレプリカ法により計測することで、耐熱鋼管1内部のクリープボイド個数を正確に計測することができる。
さらに、第1〜第3深さ位置のクリープボイド個数を計測する際に、耐熱鋼管1の厚さが最小肉厚値未満となった場合でも、肉盛溶接することで耐熱鋼管1の厚さを最小肉厚値以上とすることができる。これにより、耐熱鋼管1を再び使用することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述した第1実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る耐熱鋼管1の深さ位置とクリープ損傷率Dcとの関係を示す図である。
図7に示すように、本実施形態に係るクリープ損傷評価方法は、上述したクリープボイド算出工程にて算出された各深さ位置のクリープボイド個数密度Cdに対応するクリープ損傷率Dcを上記マスターカーブ(図5参照)から、それぞれ算出する(第2クリープ損傷率算出工程)。
第2クリープ損傷率算出工程では、クリープボイド算出工程にて算出された表面1a及び第1〜第3深さ位置のクリープボイド個数密度Cdに対応するクリープ損傷率Dcを算出する。
図8は、本実施形態に係る解析結果による耐熱鋼管1の深さ位置とクリープ損傷率Dcとの関係を示す図である。
図8に示すように、耐熱鋼管1の表面1aから裏面1bまでの深さ方向の応力分布を解析して、耐熱鋼管1の深さ位置とクリープ損傷率Dcの関係式を算出する(損傷率解析工程)。
損傷率解析工程では、設計図面等に基づいて耐熱鋼管1の深さ位置とクリープ損傷率Dcの関係式(以下、損傷率解析工程にて算出された耐熱鋼管1の深さ位置とクリープ損傷率Dcの関係式を多項式回帰曲線という)をFEM解析にて算出する。このFEM解析は、溶接部2の開先形状、ビード形状及び扁平を考慮して実施される。
多項式回帰曲線の表面1aから最大応力深さ位置まで(図8中の右上がり曲線部分)は、次の(1)式で示すことができる。
Dc=f(t)・・・(1)式
ここで、Dc:クリープ損傷率、t:耐熱鋼管1の深さである。
図9は、本実施形態に係る多項式回帰曲線の補正方法を説明するための図である。
図9に示すように、損傷率解析工程にて算出された(1)式を、第2クリープ損傷率算出工程にて算出された各深さ位置におけるクリープ損傷率Dcに合わせて補正する(補正工程)。
補正工程では、例えば、(1)式に補正値αを加えて次の(2)式とする。
Dc=f(t)+α・・・(2)式
次に、第2クリープ損傷率算出工程にて算出されたクリープ損傷率Dcと(2)式との偏差を算出する(偏差算出工程)。
続いて、偏差算出工程にて算出された偏差が、予め設定された所定の範囲内であるか否かを判定する(判定工程)。
判定工程では、(2)式を中心に上側及び下側にそれぞれ標準偏差に基づく上限曲線及び下限曲線を設定する。上限曲線及び下限曲線は、それぞれ(2)式からのずれが+10%、−10%となる位置に設けられる。
そして、偏差算出工程にて算出された偏差が、±10%以内の範囲内であるか否かを判定する。
判定工程にて偏差が所定の範囲内であると判定された場合に、図10に示すように、(2)式より最大応力深さ位置のクリープ損傷率Dcを算出する(第3クリープ損傷率算出工程)。
一方、判定工程にて偏差が所定の範囲外である判定された場合は、第1実施形態で説明したクリープボイド算出工程を再び実施して、新たな深さ位置のクリープボイド個数密度Cdを算出する。
具体的には、新たな深さ位置(例えば、表面1aからの深さが4d、5d、6dの第4〜第6深さ位置)のクリープボイド個数を計測するために、更に耐熱鋼管1の表面部を削る。そして、クリープボイド個数を計測して、第4〜第6深さ位置のクリープボイド個数密度Cdを算出する。
続いて、再び第2クリープ損傷率算出工程から判定工程までを実施する。
具体的には、第2クリープ第4〜第6深さ位置のクリープボイド個数密度Cdに対応するクリープ損傷率Dcを上記マスターカーブ(図5参照)から、それぞれ算出する。続いて、表面1a、第1〜第6深さ位置までのクリープ損傷率Dcに基づいて、再び損傷率解析工程、補正工程(図11参照)及び判定工程を実施する。
次に、本実施形態に係るクリープ損傷評価方法をフロー図を用いて説明する。
図12は、本発明のクリープ損傷評価方法のフローを示す図である。
図12に示すように、まず、第1実施形態と同様にステップS1(最大応力位置解析工程)を実施する。
次に、耐熱鋼管1の表面1aから裏面1bまでの応力分布を解析して、耐熱鋼管1の深さ位置とクリープ損傷率Dcの関係式を算出する損傷率解析工程を実施する(ステップS2)。
損傷率解析工程では、設計図面等に基づいてFEM解析を行い、多項式回帰曲線を算出する(図8参照)。特に、多項式回帰曲線の表面1aから最大応力深さ位置までを上記(1)式で示す。
次に、第1実施形態と同様に、ステップS3からステップS9までを実施する。
続いて、ステップS3にて算出された第1〜第3深さ位置及び表面1aのクリープボイド個数密度Cdに対応するクリープ損傷率Dcをマスターカーブ(図5参照)から算出する第2クリープ損傷率算出工程を実施する(ステップS11)。
第2クリープ損傷率算出工程では、ステップS3にて算出された表面1a及び第1〜第3深さ位置のクリープボイド個数密度Cdに対応するクリープ損傷率Dcをそれぞれ算出する(図7参照)。
次に、ステップS2にて算出された上記(1)式を、ステップS11にて算出された各深さ位置におけるクリープ損傷率Dcに合わせて補正する補正工程を実施する(ステップS13)。
補正工程では、上記(1)式に、例えば補正値αを加えて上記(2)式とする(図9参照)。
次に、ステップS11にて算出されたクリープ損傷率Dcと上記(2)式との偏差を算出する偏差算出工程を実施する(ステップS15)。
続いて、ステップS15にて算出された偏差が、予め設定された所定の範囲内であるか否かを判定する判定工程を実施する(ステップS17)。
判定工程にて偏差が所定の範囲内であると判定された場合(ステップS17:YES)に、上記(2)式より最大応力深さ位置のクリープ損傷率Dcを算出する(図10参照)第3クリープ損傷率算出工程を実施する(ステップS19)。
一方、判定工程にて偏差が所定の範囲外である判定された場合(ステップS17:NO)は、再び、ステップS3を実施する。
上述したクリープ損傷評価方法によれば、応力分布を解析して、耐熱鋼管1の深さ位置とクリープ損傷率Dcの関係を示す上記(1)式を算出し、上記(1)式を補正して上記(2)式とし、この上記(2)式とクリープボイド損傷率Dcとの偏差が所定の範囲内である場合に、最大応力深さ位置のクリープ損傷率Dcを算出するため、残余寿命を更に精度良く推定することができる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態で示した効果を得ることができる。
1 耐熱鋼管
1a 表面
1b 裏面
2 溶接部
4 溶接金属
6 熱影響部
8 レプリカ

Claims (4)

  1. 高温機器に使用される耐熱鋼管の溶接部のクリープ損傷程度を評価するクリープ損傷評価方法において、
    前記耐熱鋼管の表面から裏面までの深さ方向の応力分布を解析して、最も大きい応力が作用する最大応力深さ位置を算出する最大応力位置解析工程と、
    前記耐熱鋼管の表面から裏面側へ向かって所定厚さずつ削成し、深度の異なる複数の深さ位置のクリープボイド個数を計測して、それぞれのクリープボイド個数密度を算出するクリープボイド算出工程と、
    前記クリープボイド算出工程にて算出した結果に基づいて、前記耐熱鋼管の深さ位置とクリープボイド個数密度との関係式を算出する実測結果算出工程と、
    前記実測結果算出工程にて算出された関係式より、前記最大応力深さ位置のクリープボイド個数密度を推定する推定工程と、
    予め設定されたクリープ損傷率とクリープボイド個数密度との関係式より、前記推定工程にて推定されたクリープボイド個数密度に対応する前記最大応力深さ位置のクリープ損傷率を算出する第1クリープ損傷率算出工程と、を備えることを特徴とするクリープ損傷評価方法。
  2. 予め設定されたクリープ損傷率とクリープボイド個数密度との前記関係式より、前記クリープボイド算出工程にて算出された各深さ位置のクリープボイド個数密度に対応するクリープ損傷率をそれぞれ算出する第2クリープ損傷率算出工程と、
    前記最大応力位置解析と併せて、前記耐熱鋼管の深さ位置とクリープ損傷率の関係式を算出する損傷率解析工程と、
    前記損傷率解析工程にて算出された関係式を、前記第2クリープ損傷率算出工程にて算出された各深さ位置のクリープ損傷率に合わせて補正する補正工程と、
    前記補正工程にて補正された関係式と前記第2クリープ損傷率算出工程にて算出されたクリープ損傷率との偏差を算出する偏差算出工程と、
    前記偏差算出工程にて算出された偏差が、予め設定された所定の範囲内であるか否かを判定する判定工程と、
    前記判定工程にて前記偏差が前記所定の範囲内であると判定された場合に、前記補正工程にて補正された前記関係式より前記最大応力深さ位置のクリープ損傷率を算出する第3クリープ損傷率算出工程と、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のクリープ損傷評価方法。
  3. 前記クリープボイド算出工程において、
    前記耐熱鋼管の表面から裏面側へ向かって前記耐熱鋼管の表面部を前記所定厚さ削って内部を露出させ、露出した面のクリープボイド個数をレプリカ法により計測することを特徴とする請求項1に記載のクリープ損傷評価方法。
  4. 前記クリープボイド算出工程において、
    前記耐熱鋼管の表面を削って露出した面のクリープボイド個数を計測する際に、前記耐熱鋼管の厚さが予め設定された最小肉厚値未満となった場合に、前記耐熱鋼管を肉盛溶接して前記耐熱鋼管の厚さを前記最小肉厚値以上とすることを特徴とする請求項3に記載のクリープ損傷評価方法。
JP2013033394A 2013-02-22 2013-02-22 クリープ損傷評価方法 Active JP5822856B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013033394A JP5822856B2 (ja) 2013-02-22 2013-02-22 クリープ損傷評価方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013033394A JP5822856B2 (ja) 2013-02-22 2013-02-22 クリープ損傷評価方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014163744A JP2014163744A (ja) 2014-09-08
JP5822856B2 true JP5822856B2 (ja) 2015-11-25

Family

ID=51614493

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013033394A Active JP5822856B2 (ja) 2013-02-22 2013-02-22 クリープ損傷評価方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5822856B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7125266B2 (ja) * 2018-02-14 2022-08-24 三菱重工業株式会社 プラントの検査方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014163744A (ja) 2014-09-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20140043160A (ko) 손상 평가 방법 및 유지 보수 평가 지표의 책정 방법
JP2015188928A (ja) 寿命評価方法及び寿命評価装置
CN112255238A (zh) 一种基于三维激光扫描的油气管道外表面腐蚀及凹坑缺陷的自动识别与智能评价方法
CN111033212B (zh) 龟裂评价基准制定方法、基于内部探伤检査的龟裂评价方法及保养管理方法
JP6041794B2 (ja) 配管系溶接部の応力解析システム及び応力解析方法
JP5822856B2 (ja) クリープ損傷評価方法
JP2013122411A (ja) 配管のクリープ寿命評価方法
JP6254033B2 (ja) 寿命評価方法及び寿命評価装置
JP2014052211A (ja) 溶接部評価装置および溶接部評価方法
JP5492057B2 (ja) 耐熱鋼溶接部の損傷予測方法
CN109255139B (zh) 一种高温管道中表面多裂纹合并方法
Lu et al. Effects of geometry of a local thin area defect on remaining strength and fitness of pressure equipment
KR101218885B1 (ko) 증기발생기 관막음 전열관의 마모수명 평가방법
JP2014134416A (ja) 鋳鋼溶接部き裂進展予測手法
Kiefner Peer Review of the Plausible Profiles Corrosion Assessment Model
Kamaya Monitoring of inside surface crack growth by strain measurements of the outside surface: Application of multiple strain measurements technique to fatigue crack growth
US11872663B2 (en) Repair welding method
JP4865741B2 (ja) 鋼管の曲げ部の損傷評価方法
JP5995833B2 (ja) 応力推定方法、応力推定システムおよび応力推定プログラム
Bratton et al. An approach for evaluating the integrity of plain dents reported by in-line inspection tools
Pikas et al. Remaining strength of corroded pipe direct assessment process
CN109374179A (zh) 一种测量铝镁合金钢管轴向残余应力的方法
CN117828800A (zh) 一种压缩机进出口管道环焊缝剩余寿命预测方法
Hicks et al. Residual stress evaluation of small diameter stainless steel piping by experimental measurements and finite element analysis
RU2603884C1 (ru) Способ определения допускаемого внутреннего давления для участка линейной части магистрального трубопровода со стресс-коррозионной трещиной

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150812

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150911

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151006

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5822856

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151