JPH1114782A - 配管劣化評価方法及び装置 - Google Patents

配管劣化評価方法及び装置

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JPH1114782A
JPH1114782A JP9177810A JP17781097A JPH1114782A JP H1114782 A JPH1114782 A JP H1114782A JP 9177810 A JP9177810 A JP 9177810A JP 17781097 A JP17781097 A JP 17781097A JP H1114782 A JPH1114782 A JP H1114782A
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JP
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pipe
vibration
stress
deterioration
evaluation
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Withdrawn
Application number
JP9177810A
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English (en)
Inventor
Kazutaka Onishi
一孝 大西
Masaya Matsumoto
賢哉 松本
Takuya Ogawa
琢也 小川
Hiroshi Furuta
啓 古田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shikoku Electric Power Co Inc
Nuclear Fuel Industries Ltd
Original Assignee
Shikoku Electric Power Co Inc
Nuclear Fuel Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Testing Of Devices, Machine Parts, Or Other Structures Thereof (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 配管の振動中においても配管のひび割れ、破
断及び劣化を短時間かつ高精度に評価する。 【解決手段】 配管の劣化を評価する配管劣化評価方法
において、計測対象部位の振動の経時変化と温度を計測
する計測ステップと、振動の経時変化から、振動特性に
基づく評価値の経時変化を計測対象部位ごとに求め、該
評価値及び温度の計測結果と、発生応力及び応力発生箇
所の相関データに基づき、計測対象部位ごとに発生応力
の経時変化を求める応力評価ステップと、発生応力の経
時変化から、応力振幅と疲労破断回数との相関データに
基づき累積疲労係数を求める累積疲労評価ステップと、
累積疲労係数と履歴情報に基づき、配管の劣化を評価す
る劣化評価ステップとを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配管の劣化、ひび
割れまたは破断が発生するまでの時間、即ち余寿命を評
価する配管劣化評価方法及び装置に関するものであり、
特に配管の振動を複数の振動センサで計測することによ
り、配管の劣化を評価するものである。
【0002】
【従来の技術】原子力プラントにおける配管のひび割
れ、破断及び劣化を未然に防止するための配管劣化評価
方法として、従来から超音波探傷法及び振動モニタ法が
一般的に知られている。
【0003】超音波探傷法は、周波数が200kHzか
ら25MHz程度の超音波を試験体中(配管)に伝えた
ときに、試験体が示す音響的性質を利用して試験体の内
部欠陥を調べる非破壊検査法である。超音波探傷法によ
る劣化評価では、超音波探傷子を対象となる配管に接触
した上で超音波探傷子より超音波を配管に入射し、入射
した超音波の反射波(エコ−)を評価することにより欠
陥の有無を判断する。原子力プラントにおいては、配管
のひび割れ又は破断は、配管の溶接不良等が起因するこ
とが多いため、特に安全運転上重要と考えられる溶接部
位等については、欠陥のない配管系を構築することとし
ている。このため、配管系については、営業運転開始前
に超音波探傷法による劣化評価を実施し、配管系に欠陥
がないことを確認することとしている。
【0004】振動モニタ法とは、配管の振動を計測する
ことにより、配管の欠陥を判断する検査方法であり、配
管の振動から共振の発生を監視する方法と累積疲労評価
を目的とした方法がある。
【0005】共振の発生を監視する振動モニタ法では、
原子力プラント運転中の配管の振動状態、例えば振動に
より発生する振動振幅、振動周波数等を常時又は一定期
間ごとに監視することにより、共振の発生を発見して、
配管のひび割れ又は破断を防止する。配管に共振が発生
すると、配管の振動は減衰することなく大きく振動を続
け、その結果、曲げ応力が集中する部分に疲労が蓄積
し、配管のひび割れや破断の原因となることが多いこと
に基づくものである。
【0006】累積疲労評価を目的とした振動モニタ法で
は、原子力プラント運転中の配管の振動状態、例えば振
動振幅や歪みを監視することにより、監視部分の累積疲
労を評価し、配管のひび割れや破断を防止することとし
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
配管劣化評価方法においては以下の問題点がある。超音
波探傷法による劣化評価では、超音波探傷子を配管に接
触させなければならないため、配管が振動しているプラ
ント運転中は超音波探傷子を設置することができない。
また、原子力プラント運転中は、配管の温度が最高35
0℃程度まで上昇するため、耐熱上の問題から超音波探
傷子を設置することができない。従って、劣化評価は、
原子力プラントの運転開始前に限られてしまい、運転中
は、超音波探傷法による劣化評価を行うことがでないと
いう問題点がある。また、超音波探傷子の設置は煩雑な
作業を伴うため、時間の関係上、全ての箇所について超
音波探傷法による劣化評価を行うことが困難であるとい
う問題点がある。更に、超音波探傷法では、配管中の小
さな欠陥を検出することができないという問題点があ
る。
【0008】一方、共振の有無の確認を目的とした振動
モニタ法では、原子力プラント運転中に劣化評価を行う
ことができるものの、配管の振動は、ランダムで複雑で
あるため、共振が発生する部位及び時期を予測して特定
することが困難である。このため、評価対象部位及び計
測時期を予め限定しなければならない本方法では、安全
運転上重要な計測部位及び計測時期を特定して評価を実
施することが困難であるという問題がある。また、監視
する振動のパラメータによっては、発生応力又は配管の
劣化との関連付けが困難であるため、高精度でかつ的確
な評価を行うことができないという問題点がある。
【0009】また、累積疲労評価を目的とした振動モニ
タ法では、共振の有無の確認を目的とした振動モニタ法
に比べて、高精度の劣化評価を行うことができるが、原
子力プラントの配管の振動は複雑であるため、必ずし
も、監視部位に安全運転上問題となる振動が定常的に発
生するとは限らない。また、通常、振動計測は、一つの
振動センサで一箇所で測定する。このため、振動の計測
結果としての一箇所の部分の変位が、配管の曲げにより
生じたものか、配管の静止位置からの平行移動により生
じたものかを識別をすることができず、劣化評価対象部
位の発生応力を厳密に評価することはできない。このた
め、本方法によっては、安全運転上重要な劣化評価を実
施することは困難であるという問題点がある。
【0010】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、配管の振動中においても配管がひび割
れ、破断するまでに至る時間、即ち余寿命及び配管の劣
化を短時間かつ高精度に評価し、適切な対応措置をとる
ことができる配管劣化評価方法及び装置を提供すること
を主目的とする。また、本発明の別の目的は、安全運転
上重要な配管の部位に対する評価を的確に行い、配管の
ひび割れ、破断及び劣化の評価の効率性を向上すること
ができる配管劣化評価方法及び装置を提供することであ
る。本発明の別の目的は、装置の小型化、軽量化を図る
ことにより、持ち運びを可能とし、任意の配管部位の振
動を計測可能として、安全運転上重要な配管の部位に対
する評価を的確に行うことができる配管劣化評価方法及
び装置を提供することである。本発明の別の目的は、作
業者の操作を最小限として、劣化評価の作業量及び作業
中の被曝の軽減を図ることができる配管劣化評価方法及
び装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成する
め、請求項1に係る発明は、配管の振動を計測すること
により、配管の劣化を評価する配管劣化評価方法におい
て、計測対象部位の振動の経時変化と温度を計測する計
測ステップと、前記振動の経時変化から、振動特性に基
づく評価値の経時変化を計測対象部位ごとに求め、該評
価値及び温度の計測結果と、発生応力及び応力発生箇所
の予め定められた相関データに基づき、計測対象部位ご
とに発生応力の経時変化を求める応力評価ステップと、
前記発生応力の経時変化から、応力振幅と疲労破断回数
との予め定められた相関データに基づき累積疲労係数を
求める累積疲労評価ステップと、前記累積疲労係数と予
め定められた履歴情報に基づき、配管の劣化または余寿
命を評価する劣化評価ステップとを備えたことを特徴と
する。
【0012】本発明は、応力評価ステップ、累積疲労評
価ステップ及び劣化評価ステップによって、配管の振動
中においても短時間で高精度な劣化評価を行うことがで
きる配管劣化評価方法を提供するものである。
【0013】計測ステップにおける計測対象部位は、配
管の任意の部位でよく、また一個所に限られず、複数箇
所の部位を計測対象とすることができる。
【0014】応力評価ステップにおいて、計測された配
管の振動から求められる評価値は、振動特性を定量的に
表現したデータである。このため、評価値を用いること
により、配管の振動中においても、高精度な劣化評価を
行うことができる。ここで、評価値は、振動特性に基づ
くものであれば、その構成は特に限定されるものではな
い。例えば、配管の曲げの大きさ及び方向からなる曲げ
評価パラメータ、またはこれらに準ずるパラメータ等を
使用することができる。
【0015】また、応力評価ステップでは、評価値及び
温度の計測結果から、発生応力及び応力発生箇所との相
関データを用いて、発生応力値及び応力発生箇所を瞬時
に求めることができる。ここで、相関データは、評価値
と発生応力及び発生箇所とを対応づけたデータベースで
あり、劣化評価を行う前に予め定め作成しておく。そし
て、その精度は実験的に確認した上で、劣化評価装置内
に保存する。従って、相関データを利用することによ
り、評価値からひび割れ、破断、劣化に影響する発生応
力を高速に求めることができ、短時間でかつ高精度な劣
化評価を行うことができる。
【0016】相関データは、評価値と発生応力及び応力
発生箇所との相関関係を明らかにしたものであれば、そ
の構成は特に限定されるものではない。例えば、相関デ
ータとして、配管系の任意の位置に対して加えた変位
と、該変位により生じる曲げ量及び曲げ方向との相関を
3次元弾塑性応力解析により求めたデータ、配管内の流
体圧力に関するデータ及び配管の種類、形状、材料及び
温度をパラメータとした応力発生箇所との相関関係をデ
ータベースとして作成して使用することができる。ま
た、計測する配管の種類が増加して既存のデータが存在
しない場合でも、新たなデータをデータベースに追加す
ればよいので、本発明の配管劣化評価方法の汎用性を十
分確保することができる。
【0017】累積疲労評価ステップで求められる累積疲
労係数は、繰り返し応力sに対する材料の疲労度を表す
値であり、次式で与えられる。
【0018】 ここで、n(s)は、対象とする応力振幅に対応するサ
イクル数である。N(s)は、対象とする応力振幅に対
応する許容サイクル数であり、応力振幅と疲労破断回数
との相関データによって求めることができる。
【0019】応力振幅と疲労破断回数との相関データに
は、例えば、繰り返しひずみまたは応力sと繰り返しひ
ずみまたは応力sにより破断が生じるまでの回数Nの関
係を示すS−N線図を用いることができる。この場合に
は、まず、応力評価ステップで求めた発生応力の経時変
化から、振動計測中に発生した応力に対して、その頻度
n(s)を発生応力ごとに求める。次に、配管材料及び
配管温度に対応したS−N線図を利用して、各応力での
破断回数Nを求め、振動計測中での累積疲労係数Dを求
める。
【0020】劣化評価ステップでは、累積疲労評価ステ
ップで求めた累積疲労係数の値及び履歴情報に基づい
て、配管劣化の評価を行う。累積疲労係数が1より大で
ある場合には、一般的に配管が危険状態にある可能性が
大きいと判断することができる。例えば、計測中の振動
が周期的に発生するとの仮定のもとに、累積疲労係数の
逆数αをもとめ、配管が劣化するまでのα分後に配管が
ひび割れ、破断が生じる等の危険が生じるとして、配管
にひび割れ、破断、劣化等が発生する時期を予想するよ
うにしてもよい。
【0021】さらに、劣化評価ステップにおいては、こ
のような評価結果を例えばハードディスク装置やフロッ
ピーディスク装置等の記録装置にファイルとして格納し
たり、ディスプレイ装置等の出力装置に出力するように
構成してもよい。
【0022】また、履歴情報とは、過去の配管の振動状
況に関する情報であり、累積疲労評価ステップで求めた
累積疲労係数と履歴情報の両方を用いることによって、
配管の劣化を的確かつ高精度に行うことができる。履歴
情報としては、配管の過去の振動に関する情報であれ
ば、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、
過去の振動による累積疲労係数を使用することができ
る。この場合には、理論的な劣化評価に加えて実際の運
転条件等が考慮されるため、更に高精度でかつ信頼性の
高い劣化評価を行うことができる。また、振動の定常状
態と定常状態に達するまで過渡状態における振動の累積
疲労係数を履歴情報として保有しておくことにより、配
管の振動中においても振動状態に応じた的確な累積疲労
評価を高精度に行うことが可能となる。尚、履歴情報
は、累積疲労評価ステップにおいて作業者が入力しても
よく、また予め劣化評価装置内、例えばハードディス
ク、フロッピーディスク等の記録装置に格納しておいて
もよい。
【0023】また、本発明において、評価値及び温度の
計測結果と発生応力及び応力発生箇所の予め定められた
相関データ、応力振幅と疲労破断回数との予め定められ
た相関データ及び履歴情報を予め配管劣化の評価を行う
装置に格納するとともに、応力評価ステップ、累積疲労
評価ステップ及び劣化評価ステップにおける処理を予め
プログラムとして作成しておくことにより、応力評価、
累積疲労評価及び劣化評価の処理を自動化することがで
きる。この場合には、作業者は、計測ステップにおける
配管の振動及び温度の測定を行うだけでよいので、作業
者の作業労力の軽減を図ることができる。
【0024】また、これらのプログラムを例えばノート
型パーソナルコンピュータ等の持ち運び可能な小型コン
ピュータのハードディスク、フロッピーディスク等に格
納して、小型コンピュータを配管劣化評価装置として使
用すれば、配管の任意の部位に移動して振動及び温度の
計測が可能となるため、安全運転上重要な部位に対して
劣化評価を行うことができる。
【0025】本発明の配管劣化評価方法は、配管、特に
小口径の配管を用いた施設、プラントであればいずれに
も応用することができる。例えば、本発明を原子力プラ
ントにおける配管の劣化評価に使用することができる。
【0026】請求項2に係る発明は、請求項1に記載し
た発明において、前記計測ステップの前に、配管の任意
に選定した部分に対する配管系モデルをコンピュータ上
で作成し、該配管系モデルに対して配管及び応力に関す
る予め定められた物理的データに基づき振動により生じ
る応力分布を計算し、該応力分布に基づき配管の劣化が
予想される部分を計測対象部位として特定する計測対象
特定ステップを備えたことを特徴とする。
【0027】本発明は、計測対象特定ステップによっ
て、配管のひび割れ、破断及び劣化の予防効率の向上を
図ることができ、安全上重要な劣化評価ができる配管劣
化評価方法を提供する。特に、過去の計測結果が存在し
ない等の配管の計測部位を予め特定することができない
場合においても高精度に計測部位を特定することができ
る。
【0028】本発明の計測対象特定ステップでは、まず
配管の任意に選定した部位について配管系モデルをコン
ピュータ上に作成する。ここで、配管の部位の選定は、
目視により振動が大きいと判断される部位、安全運転上
重要と考えられる部位、劣化が進行していると判断する
部位に対して行うことができるが、これに限定されるも
のではなく、無作為に選定することもできる。
【0029】配管系モデルは、コンピュータ上で配管系
を仮想的に表したものをいい、配管系の振動特性データ
を抽出して発生応力の推定値を求めるために使用され
る。配管系モデルは、例えばCADソフトウェア等の設
計機能を有するソフトウェア等によって作成することが
できる。また、配管系モデルについて劣化評価を高精度
に行うため、配管系モデルのサイズは、配管系の実測値
とすることが好ましい。但し、配管の寸法の特定を行う
ことができない場合には、配管系の設計図面の設計寸法
に基づいて作成してもよい。
【0030】計測対象特定ステップにおける配管及び応
力に関する予め定められた物理的データとしては、例え
ば材料特性、応力係数等の値を保持するデータベースを
使用することができる。また、かかる物理的データをコ
ンピュータ上のハードディスク、フロッピーディスク等
の記録媒体に予め作成しておくことができる。計測対象
特定ステップを予めプログラムとして作成する場合に
は、データベースをプログラム中に組み込むこともでき
る。
【0031】本発明の計測対象特定ステップとして、一
例を示すと、CADソフトウェアで作成した配管系モデ
ルに対して、振動解析を行い、発生の可能性が高い複数
の固有振動数を求める。そして、固有振動数での振動ご
とに物理的データとしての材料特性、応力係数等に基づ
いて振動によって生じる応力分布を求めることができ
る。この場合には、最大応力値を有する部位あるいは相
対的に高い応力値を有する部位を計測対象部位として特
定することができる。
【0032】また、計測対象特定ステップで用いる配管
系応力評価用ソフトウェア(CADソフトウェアを含
む)を振動計測等で用いる小型コンピュータ(例えば、
ノート型パーソナルコンピュータ等)にインストールす
れば、該ステップを含む本発明の全ステップを一つの小
型コンピュータで実行することができ、本発明の有効性
が更に向上する。
【0033】このように、本発明では、計測対象部位
を、コンピュータ上で配管系モデルを作成し、物理的デ
ータに基づいて予め解析して特定するので、安全運転上
重要な部位を正確に選定することができ、劣化評価の効
率が向上する。
【0034】請求項3に係る発明は、配管の振動を計測
することにより、配管の劣化を評価する配管劣化評価装
置において、配管の計測対象部位の振動を計測する、着
脱可能な複数の振動センサを有する振動検出部と、配管
の計測対象部位の温度を計測する、着脱可能な温度検出
部と、配管の任意に選定した部分に対する配管系モデル
を作成し、該配管系モデルに対して配管及び応力に関す
る予め定められた物理的データに基づき振動により生じ
る応力分布を計算する振動解析手段と、振動の計測結果
から、振動特性に基づく評価値の経時変化を計測対象部
位ごとに求め、該評価値及び温度の計測結果と、発生応
力及び応力発生箇所との予め定められた相関データに基
づき、計測対象部位ごとに発生応力の経時変化を求める
応力評価手段と、前記発生応力の経時変化から、応力振
幅と疲労破断回数の予め定められた相関データに基づき
累積疲労係数を求める累積疲労評価手段と、前記累積疲
労係数と予め定められた履歴情報に基づき、配管の劣化
または余寿命を評価する劣化評価手段と、を備えたこと
を特徴とする。
【0035】本発明は、請求項1または請求項2に係る
発明を実施するための装置であり、振動検出部、温度検
出部、振動解析手段、応力評価手段、累積疲労評価手段
及び劣化評価手段により、配管の振動中においても短時
間で高精度な劣化評価を現場で行うことができ、また安
全運転上重要な劣化評価を行うことができる劣化評価装
置を提供する。
【0036】本発明では、複数の振動センサと温度検出
部が劣化評価装置から着脱可能に構成されているため、
振動センサ及び温度検出部と劣化評価装置本体とを別個
に持ち運ぶことも可能であり、配管の任意の部位での測
定を容易に行うことができる。従って、配管劣化評価装
置の構造によって測定部位が限定されることはなく、安
全運転上重要な部位についての劣化評価を行うことがで
きる。
【0037】また、本発明では、複数の振動センサを有
するので、一つの振動センサで配管の劣化評価を行う場
合に比べ、より厳密な評価を行うことができる。すなわ
ち、複数の振動センサで配管の異なる部位の振動による
変位(静止状態からの移動量)を求め、各振動検出部の
変位の差を評価することにより、配管の平行移動量だけ
でなく、配管の曲げ量の評価を行うことができる。
【0038】ここで、振動検出部は、配管の振動を異な
る箇所で同時に計測することができ、かつその計測結果
から該配管の曲げを評価することができるものであれ
ば、その構成は特に限定されるものではない。振動検出
部として、例えば、複数の渦電流式変位計、複数の加速
度センサ等の振動センサ等を使用することができる。
【0039】振動センサの数及び位置は、配管の測定対
象部位の振動を異なる箇所で同時に計測することがで
き、かつその計測結果から該配管の曲げを評価すること
ができれば、特に限定されるものではない。従って、一
箇所の計測対象部位に対して、複数の振動センサを互い
に異なる方向に設置することも可能である。
【0040】また、振動検出部には、検出された振動を
2値化データに変換して応力評価手段に入力するインタ
ーフェース部を更に設けることができる。このようなイ
ンタフェース部として、例えばA/Dコンバータを使用
することができる。
【0041】温度検出部としては、例えば、非接触温度
計等を使用することができる。温度検出部の数及び位置
も、配管の測定対象部位の温度を計測することができれ
ば、特に限定されるものではない。
【0042】振動解析手段は、配管の振動計測の前に予
め計測対象部位を特定するために使用されるものであ
る。このため、予め過去の経験から劣化が予想される部
位が特定できる場合、あるいは既に振動解析を行って計
測対象部位が特定されている場合には、振動解析を行う
必要はない。
【0043】配管系モデルは、コンピュータ上で該配管
系を仮想的に表したものをいい、配管系の振動特性デー
タを抽出して発生応力の推定値を求めるために使用され
る。配管系モデルは、例えばCADソフトウェア等の設
計機能を有するソフトウェア等によって作成することが
できる。また、配管系モデルについて劣化評価を高精度
に行うため、配管系モデルのサイズは、配管系の実測値
とすることが好ましい。但し、配管の寸法の特定を行う
ことができない場合には、配管系の設計図面の設計寸法
に基づいて作成してもよい。
【0044】物理的データとしては、例えば材料特性、
応力係数等を値を保持するデータベースを使用すること
ができ、また劣化評価装置のハードディスク、フロッピ
ーディスク等の記憶装置に予め作成しておくことができ
る。
【0045】振動解析手段としては、配管系モデルの設
計機能及び振動解析機能を備えたものであれば、特に限
定されるものではない。例えば、設計機能を有するツー
ルとしてのCADソフトウェアに振動解析機能を付加し
たソフトウェアを使用することができる。振動解析機能
としては、例えば、配管系モデルに対して、発生の可能
性が高い複数の固有振動数を求め、固有振動数での振動
ごとに物理的データとしての材料特性、応力係数等に基
づいて振動によって生じる応力分布を求めるように構成
することができる。
【0046】このように、振動解析手段によって、予め
配管の振動特性を解析し応力分布を求めることができる
ので、応力分布に基づいて計測対象部位を特定すること
ができる。例えば、最大応力値を有する部位あるいは相
対的に高い応力値を有する部位を計測対象部位として特
定することができる。
【0047】従って、振動解析手段によって、安全運転
上重要な部位を正確に選定することができ、劣化評価の
効率が向上する。
【0048】応力評価手段、累積疲労評価手段及び劣化
評価手段については、それぞれ上述した応力評価ステッ
プ、累積疲労評価ステップ及び劣化評価ステップと同様
の作用効果を奏するものである。
【0049】尚、本発明では、ハードディスク装置、フ
ロッピーディスク装置等の記録装置を更に設け、劣化評
価の結果を該記録装置にファイルとして格納するように
構成することができる。また、本発明では、例えば、デ
ィスプレイ装置等の出力装置を更に設け、劣化評価の結
果を該出力装置に出力するように構成してもよい。
【0050】また、本発明においては、応力評価手段、
累積疲労評価手段及び劣化評価手段によって、配管劣化
評価の一連の処理を自動化することができる。この場
合、振動解析手段による振動解析をもとに計測対象部位
を特定した後は、作業者は、配管の振動及び温度の測定
を行うだけでよく、他の処理は自動的に行われる。従っ
て、作業者の劣化評価作業の労力軽減及び被曝の低減を
図ることができる。また、配管劣化評価装置として、例
えばノート型パーソナルコンピュータ等の持ち運び可能
な小型コンピュータを使用すれば、配管の任意の部位に
おける振動及び温度の計測が可能となり、安全運転上重
要な劣化評価を行うことができる。
【0051】本発明の装置は、配管、特に小口径の配管
を用いた施設、プラントであればいずれにも応用するこ
とができる。例えば、本発明を原子力プラントにおける
配管の劣化評価に使用することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について図示例とともに説明する。図1は、本実施形態
のソケット溶接配管に対する配管劣化評価装置の概略構
成図である。本実施形態の配管劣化評価装置は、原子力
プラントの配管系に対して劣化評価を行うものであり、
ノート型パーソナルコンピュータ19(以下、「ノート
PC」という。)と、ノートPC19に接続されたイン
タフェース部としてのA/Dコンバータ17と、A/D
コンバータ17に接続された増幅器15と、増幅器15
に接続された振動検出部としての4個の振動センサ11
a〜dと、ノートPCに接続された温度検出部としての
1個の非接触温度計13によって概略構成されている。
尚、振動センサ11a〜d及び非接触温度計13は、配
管系のソケット溶接配管部分1に設置されているが、こ
の設置位置は、任意にあるいは危険部位の特定により決
定されるものであり、かかる位置に限定されないことは
言うまでもない。
【0053】増幅器15は、振動センサ11a〜dで計
測された振動振幅を増幅するようになっている。また、
A/Dコンバータ17は、振動を二値化データに変換し
た後ノートPC19に入力するようになっている。
【0054】A/Dコンバータ17、増幅器15、複数
の振動センサ11a〜d及び非接触式温度計13は、そ
れぞれ装置本体と着脱可能に構成されており、従って、
配管劣化評価装置の持ち運びが容易にできる。このた
め、配管の任意の部位での計測が可能となり、装置の構
造が原因となって計測部位が限定されてしまうことはな
い。従って、原子力プラントの安全運転上重要な部位に
ついての配管劣化評価を容易に行うことができ、的確な
劣化評価を行うことが可能となっている。
【0055】ノートPC19には、出力装置としてのデ
ィスプレイ装置24が設けられている。また、ノートP
C19の内部には、ハードディスク23が内蔵されてお
り、このハードディスク23には、配管及び応力に関す
る物理的データとしての物理情報データベースと、曲げ
評価パラメータ及び温度の計測結果と発生応力及び応力
発生箇所の相関データとしての変換データベースと、応
力振幅と疲労破断回数との相関データとしてのS−N線
図が格納されている。また、ハードディスク23には、
振動解析手段としてのCADソフトウェアと、応力評価
手段、累積疲労評価手段及び劣化評価手段の各処理を行
うソフトウェアが格納されている。
【0056】これらのデータベース及びソフトウェアプ
ログラムは、配管劣化評価の作業を行う際に、記憶領域
21上にハードディスクから読込まれる。尚、これらの
データベース及びソフトウェアプログラムを、フロッピ
ーディスクあるいはCD−ROM等の記録媒体に格納し
ておき、配管劣化評価時にノートPCの記憶領域21に
読込むようにしてもよい。
【0057】ここで、物理情報データベースは、計測対
象特定ステップにおいてCADソフトウェアで配管の危
険部位を特定する計算に使用するものであり、配管の材
料特性、応力係数の物理量データが格納されている。
【0058】また、変換データベースは、応力変換ステ
ップで使用されるものであり、曲げ評価パラメータと発
生応力との相関データベースである。ここで、曲げ評価
パラメータは、配管の振動特性を定量的に表現したデー
タであり、本実施形態では、図2に示すように、配管に
おけるP1 とP2 の2点間のベクトルの水平面(xy平
面)への投影ベクトルVの大きさ|V|(以下、「曲げ
量」という。)と、ベクトルV及びx軸に対する角度θ
(以下、「曲げ方向」という。)を曲げ評価パラメータ
としている。
【0059】変換データベースは、別途事前に、言い換
えると本実施形態にかかる配管劣化評価装置による劣化
評価前に、高精度の3次元弾塑性応力解析の結果を用い
て予め作成される。具体的には、原子力プラントで主に
使用される4種類の配管、24種類の配管形状につい
て、複数個の振動計測位置を定め、配管の曲げ試験、言
い換えると、該位置に応力を加え、このときの曲げ評価
パラメータ(曲げ量及び曲げ方向)を求める。
【0060】そして、応力値及び応力発生箇所と曲げ評
価パラメータの相関関係をデータベースとして作成し、
更に変換データベースの精度を、実験により確認する。
この際、配管の応力発生箇所のデータとして、原子力プ
ラントで主に使用される4種類の配管、24種類の配管
形状、1種類の配管材料、室温及び原子力プラント運転
中の温度を与える。従って、変換データベースを用いる
ことにより、曲げ評価パラメータ、温度、配管の位置情
報から配管に発生する応力値を求めることができる。
【0061】図5に、一例として、本実施形態で使用す
る変換データベースをグラフ化した曲げ評価パラメータ
と発生応力の相関図を示す。図5において、横軸は、曲
げ評価パラメータ|V|であり、縦軸は、最大発生応力
値sである。
【0062】尚、上記の24種類以外の配管形状の部分
が危険部位となった場合は、別途曲げ試験を行い、変換
データベースを作成する。そして、変換データベースの
完成後に当該部位の劣化評価を行うようにする。
【0063】S−N線図は、繰り返し応力と繰り返し応
力により破断が生じるまでの回数との相関データベース
であり、累積疲労係数を求めるために使用される。図6
に、本実施形態の配管劣化評価装置で使用するS−N線
図の一例を示す。図6において、横軸は、破断回数Nで
あり、縦軸は、ひずみまたは応力値sである。
【0064】次に、本実施形態の配管劣化評価装置を使
用した配管劣化評価方法について説明する。図3は、本
実施形態における配管劣化評価のフローチャート図であ
る。ここで、図3において、配管系モデル作成、危険部
位特定計算及び危険部位出力の各ステップは、本発明の
測定対象部位特定ステップを構成する。また、振動及び
温度計測ステップは、本発明の計測ステップを構成す
る。曲げパラメータ算出ステップと応力変換ステップ
は、本発明の応力評価ステップを構成する。応力発生頻
度評価ステップ及び累積疲労係数算出ステップは、本発
明の累積疲労評価ステップを構成する。劣化評価ステッ
プ及び評価結果出力ステップは本発明の劣化評価ステッ
プを構成する。
【0065】本実施形態の劣化評価方法では、まず、振
動計測の前に劣化評価の対象となる配管系の中から振動
による劣化が深刻と考えられる部位を危険部位として特
定する。このため、配管系モデル作成ステップで、配管
系の任意の部位を選定し、かかる部分について配管系モ
デルをCADソフトウェアによってコンピュータ上に作
成する。配管系モデルのサイズは、配管系の実測値を使
用する。ここで、任意の部位の選定は、目視により振動
が大きいと判断される部位、安全運転上重要と考えられ
る部位、劣化が進行していると判断する部位に対して行
う。図4に配管系モデル作成ステップによりノートPC
19上で作成される配管系モデルの一例を示す。
【0066】危険部位特定計算ステップでは、配管系モ
デルに対して、振動解析を行い、発生の可能性が高い複
数の固有振動数を求める。次に、固有振動数での振動ご
とに材料特性、応力係数のデータベースに基づいて振動
によって生じる応力分布を求める。この応力分布によ
り、最大応力値を有する部位あるいは相対的に高い応力
値を有する部位を危険部位として特定し、各固有振動で
の危険部位を総合的に評価し、危険部位出力ステップ
で、配管系モデル中に危険部位として印を付す。そし
て、かかる危険部位を振動計測及び温度計測の対象とす
る。
【0067】尚、既に危険部位が特定されており、予め
わかっている場合、または過去の経験から危険部位を容
易に特定することができる場合には、配管系モデル作成
ステップ、危険部位特定計算ステップ及び危険部位出力
ステップを行う必要はない。
【0068】振動計測及び温度計測ステップでは、配管
の危険部位として特定された部位に4個の振動センサ1
1及び非接触温度計13を設置する。図2は、本実施形
態における振動センサ11と非接触温度計13の設置位
置を示している。尚、4個の振動センサ11は、図示し
ない保持治具にそれぞれ支持されている。本実施形態で
は、配管系のソケット溶接配管部分1が危険部位として
特定されたものと仮定している。
【0069】そして、危険部位である配管部分のボス7
の点P1 において、互いに垂直な方向から振動を計測す
るため、2個の振動センサ11a及び11bを互いに垂
直方向となるように設置する。また、危険部位である配
管部分の枝管3の点P2 において振動センサ11a及び
11bとそれぞれ平行な位置で、かつ互いに垂直方向
で、2個の振動センサ11c及び11dを設置する。
【0070】従って、振動センサ11aによって計測さ
れた点P1 における変位と振動センサ11cで計測され
た点P2 における変位の差、及び振動センサ11bによ
って計測された点P1 における変位と振動センサ11d
で計測された点P2 における変位の差を評価することに
より、配管に発生した曲げ量を求めることができる。言
い換えれば、振動センサ11aと振動センサcにおける
変位の値が異なれば、配管はz軸方向に曲げが発生して
おり、曲げ量は、両振動センサ11a及び11cでの変
位の差となる。一方、変位の値が同一であれば、z軸方
向に曲げは発生しておらず、配管はz軸方向に平行移動
している。同様に、振動センサ11b及び11dで計測
された変位から、配管のx軸方向の曲げ量を求めること
ができる。
【0071】更に、非接触温度計13は、配管の肉盛り
溶接部5の温度を計測する。尚、振動センサ及び非接触
温度計の数、設置位置及び計測方向は、危険部位の振
動、曲げ評価及び温度を計測することができれば、これ
らの数、位置及び計測方向に限定されるものではない。
【0072】振動及び温度計測ステップでは、点P1
の配管の振動を振動センサ11a及び11bにより、点
2 での配管の振動を振動センサ11c及び11dによ
り一定時間計測する。計測された各振動は、増幅器15
により増幅され、A/Dコンバータ17によって2値化
データに変換された後、各センサごとにノートPC19
内に入力される。また、肉盛り溶接部3における温度
は、非接触温度計13により計測され、ノートPC19
に入力される。
【0073】図7は、振動及び温度計測ステップで、振
動センサ11bで計測された配管のボス7部分の振動の
経時変化を示している。図7において、横軸は時間tで
あり、縦軸は振動による変位である。このような振動の
経時変化は、各振動センサごとに計測される。
【0074】曲げ評価パラメータ算出ステップでは、振
動及び温度計測ステップで計測され、ノートPC19に
入力された各振動センサにおける振動の経時変化及び温
度から曲げ評価パラメータである曲げ量|V|と曲げ方
向θが計算され、その経時変化が求められる。本ステッ
プで得られる曲げ評価パラメータの計測時間Tにおける
経時変化の例を図8に示す。横軸は計測時間tであり、
縦軸は、曲げ量|V|及び曲げ方向θとなっている。
【0075】応力変換ステップでは、曲げ評価パラメー
タである曲げ量及び曲げ方向と、計測された温度が、図
5に示した変換データベースを用いて発生応力値に高速
変換される。図9は、高速変換により得られる計測時間
Tにおける発生応力値の経時変化を示している。図9に
おいて、横軸は時間tであり、縦軸は、発生応力値であ
る。
【0076】また、累積疲労係数算出ステップにおいて
は、配管において疲労が蓄積する位置、すなわち応力発
生位置を考慮する必要がある。応力発生位置は曲げ方向
あるいは振動方向に依存するため、測定対象部位を複数
の劣化評価領域に分割して発生応力の経時変化を求める
こともできる。図12は、ソケット溶接配管部1の平面
図である。本実施形態では、枝管3と肉盛り溶接部5の
境界部分28を、互いに垂直な劣化評価領域1と劣化評
価領域2に分割し、各劣化評価領域ごとに発生応力値の
経時変化を評価している。
【0077】更に、発生応力値に対して、配管内の流体
圧力を考慮した補正が行われ、Goodman線図によ
る変換を行い、各劣化評価領域ごとに発生応力値の経時
変化が求められる。図10は、Goodman線図によ
る変換により得られる計測時間Tにおける応力の経時変
化を示している。図10において、横軸は時間tであ
り、縦軸は、発生応力値である。
【0078】応力発生頻度評価ステップでは、各劣化評
価領域ごとの発生応力の経時変化から発生応力と頻度
(回数)n(s)との関係が求められる。図11は、図
10に示した応力の経時変化から求めた、発生応力と頻
度との相関図を示している。図11において、横軸は、
発生ひずみまたは発生応力sであり、縦軸は、発生応力
に対する頻度を示している。次に、累積疲労係数算出ス
テップで、図6に示したS−N線図を用いて応力での破
断回数N(s)を各応力値ごとに求める。そして、この
両者の値から、累積疲労係数Dが計算される。
【0079】劣化評価ステップでは、応力発生累積疲労
係数算出ステップで求めた累積疲労係数の値を評価する
ことによって、配管の余寿命を予測する。累積疲労係数
が1より小さい場合には、配管が劣化する可能性はない
と判断する。
【0080】一方、累積疲労係数が1以上の場合には、
配管がひび割れ、破断または劣化する可能性が高いと判
断し、累積疲労係数Dの逆数αを求める。そして、過去
の振動を無視し、今後も今回の計測中の振動状態が継続
すると仮定した場合における配管の余寿命、即ち現時点
から配管がひび割れ、破断等の危険状態になるまでの時
間を求める。例えば、計測時間をT時間とした場合、配
管の余寿命は、αT時間と仮定する。
【0081】更に、過去の運転履歴、例えば過去に計測
して求めた累積疲労係数、又は原子力プラントが定常運
転状態にあるか、定常運転状態に至るまでの過渡状態に
あるか等の情報を作業者が入力し、これらの情報を考慮
した上で、αT時間に補正を加え、最終的な配管の余寿
命を算出する。
【0082】このようにして求めた配管の余寿命が、原
子力プラントの寿命よりも大幅に長い場合には、計測し
た原子力プラントの配管は、安全であると判断し、その
旨をディスプレイ装置24に出力する。一方、配管の余
寿命が、原子力プラントの寿命よりも短い場合には、配
管にひび割れ、破断等が発生すると予想される時間をデ
ィスプレイ装置24に出力する。また、配管の余寿命
が、原子力プラントの寿命より短くはないが、大幅に長
くない場合には、次回定期点検時に精密検査をおこなう
べき旨のメッセージをディスプレイ装置24に出力す
る。
【0083】このように本実施形態では、原子力プラン
トの配管の振動中においても配管の劣化評価を行うこと
ができる。そして、3次元弾塑性解析の結果に基づいて
作成され、かつ精度も実験により確認されている変換デ
ータベースを使用して、計測した振動を高速に発生応力
値に変換し、これに基づいた劣化評価を行っているの
で、短時間で高精度な配管劣化評価を行うことができ
る。
【0084】また、本実施形態の配管劣化評価装置を使
用する場合、殆どの作業が、ノートPC上のプログラム
処理によって行われるので、作業者は、配管系モデルの
作成、配管の計測及び運転履歴の入力を行えば足り、作
業者の作業労力の軽減を図ることができる。
【0085】更に、これらのプログラムはノートPCの
ハードディスク等に全て記憶されているため、装置がコ
ンパクトになり、持ち運びが容易で、配管の任意の部位
での計測が可能となる。
【0086】尚、本実施形態においては、1つの部位に
ついて計測対象としたが、複数の部位を計測対象として
もよい。この場合には、各計測対象部位ごとに、配管の
劣化評価が行われる。
【0087】また、本実施形態では、原子力プラントに
おける配管の劣化評価を行っているが、配管、特に小口
径の配管を用いた施設、プラントであればいずれにも応
用することができる。
【0088】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明は、配管の
振動中においても配管の振動の計測ができ、配管の振動
を物理的データに基づき作成された相関データにより、
高速に応力に変換することができるので、配管のひび割
れ、破断及び劣化を短時間に評価して、適切な対応措置
をとることができるという効果がある。特に、相関デー
タの精度を実験で確認することができるため、配管のひ
び割れ、破断及び劣化を高精度に評価することができる
という効果がある。また、相関データに新たなデータを
追加したり、既存のデータを修正することが容易となる
ため、相関データの拡張性に優れ、保守作業も容易とな
るという効果がある。
【0089】また、本発明は、予め測定対象部位を特定
することができるため、安全運転上重要な評価を的確に
行い、配管のひび割れ、破断及び劣化の評価の効率性を
向上することができるという効果がある。
【0090】本発明は、装置の小型化、軽量化を図るこ
とができるため、持ち運びが容易となり、任意の配管部
位の振動を計測可能として、安全運転上重要な評価を的
確に行うことができるという効果がある。
【0091】本発明は、処理を自動化して作業者の操作
を最小限とすることができるので、配管劣化評価の作業
量の軽減を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における配管劣化評価装置の
概略構成図である。
【図2】本実施形態の配管劣化評価装置で計測対象とな
る配管部位の拡大図である。
【図3】本発明の実施形態における配管劣化方法のフロ
ーチャート図である。
【図4】本実施形態の配管劣化評価装置で作成される配
管系モデルの構成図である。
【図5】本実施形態の配管劣化評価装置で使用される変
換データベースに格納されている発生応力と曲げ評価パ
ラメータの相関図である。
【図6】本実施形態の配管劣化評価装置で使用される応
力と配管の破断回数の相関図である。
【図7】本実施形態の配管劣化評価装置で計測された振
動の波形図である。
【図8】本実施形態の配管劣化評価装置で求められる曲
げ評価パラメータの経時変化を示した状態図である。
【図9】本実施形態の配管劣化評価装置で求められる発
生応力値の経時変化を示した状態図である。
【図10】本実施形態の配管劣化評価装置における補正
後の発生応力値の経時変化を示した状態図である。
【図11】本実施形態の配管劣化評価装置で求められる
発生応力と頻度の相関図である。
【図12】本実施形態の配管劣化評価装置の測定対象と
なるソケット溶接配管部分の平面図である。
【符号の説明】
1:ソケット溶接配管 3:枝管 5:肉盛り溶接部 7:ボス 9:母管 11a〜d:振動センサ 13:非接触温度計 15:増幅器 17:A/Dコンバータ 19:ノート型パーソナルコンピュータ 21:記憶領域 23:ハードディスク 24:ディスプレイ装置 27:CPU 28:枝管と肉盛り溶接部の境界
フロントページの続き (72)発明者 小川 琢也 大阪府貝塚市清児655−3−1−1210 (72)発明者 古田 啓 大阪府和泉市和気町2丁目3番3−904

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配管の振動を計測することにより、配管
    の劣化を評価する配管劣化評価方法において、 計測対象部位の振動の経時変化と温度を計測する計測ス
    テップと、 前記振動の経時変化から、振動特性に基づく評価値の経
    時変化を計測対象部位ごとに求め、該評価値及び温度の
    計測結果と、発生応力及び応力発生箇所の予め定められ
    た相関データに基づき、計測対象部位ごとに発生応力の
    経時変化を求める応力評価ステップと、 前記発生応力の経時変化から、応力振幅と疲労破断回数
    との予め定められた相関データに基づき累積疲労係数を
    求める累積疲労評価ステップと、 前記累積疲労係数と予め定められた履歴情報に基づき、
    配管の劣化または余寿命を評価する劣化評価ステップと
    を備えたことを特徴とする配管劣化評価方法。
  2. 【請求項2】 前記計測ステップの前に、配管の任意に
    選定した部分に対する配管系モデルをコンピュータ上で
    作成し、該配管系モデルに対して配管及び応力に関する
    予め定められた物理的データに基づき振動により生じる
    応力分布を計算し、該応力分布に基づき配管の劣化が予
    想される部分を計測対象部位として特定する計測対象特
    定ステップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の
    配管劣化評価方法。
  3. 【請求項3】 配管の振動を計測することにより、配管
    の劣化を評価する配管劣化評価装置において、 配管の計測対象部位の振動を計測する、着脱可能な複数
    の振動センサを有する振動検出部と、 配管の計測対象部位の温度を計測する、着脱可能な温度
    検出部と、 配管の任意に選定した部分に対する配管系モデルを作成
    し、該配管系モデルに対して配管及び応力に関する予め
    定められた物理的データに基づき振動により生じる応力
    分布を計算する振動解析手段と、 振動の計測結果から、振動特性に基づく評価値の経時変
    化を計測対象部位ごとに求め、該評価値及び温度の計測
    結果と、発生応力及び応力発生箇所との予め定められた
    相関データに基づき、計測対象部位ごとに発生応力の経
    時変化を求める応力評価手段と、 前記発生応力の経時変化から、応力振幅と疲労破断回数
    の予め定められた相関データに基づき累積疲労係数を求
    める累積疲労評価手段と、 前記累積疲労係数と予め定められた履歴情報に基づき、
    配管の劣化または余寿命を評価する劣化評価手段と、 を備えたことを特徴とする配管劣化評価装置。
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