JP2015108477A - 煙突、及び、ライニング層の更新工法 - Google Patents

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邦宏 森下
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基規 加藤
長谷川 順行
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順行 長谷川
英樹 岡村
Hideki Okamura
英樹 岡村
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Abstract

【課題】既存のライニング層を斫った後に新しいライニング層に交換するのを低コストで行うことのできる煙突を提供する。【解決手段】本発明の煙突は、鋼製の筒身11と、筒身11の内側に設けられるライニング層13と、を備え、ライニング層13が、筒身11の側に配置される外層13oと、外層13oの内側に配置される内層13iと、を備え、外層13oを構成する低強度コンクリートから構成し、内層13iを高強度コンクリートから構成する。ライニング層13の外層13oを低強度コンクリートで構成すると、その分だけコストを下げることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼製の筒身とコンクリート製のライニング層とからなる煙突に関する。
従来から、鋼製の筒身の内部には、筒身内部を通るガスによる筒身の腐食劣化を抑制するために、ライニング層が設置されており、ライニング層には、専ら廉価なコンクリートが用いられている。必要なコンクリート製のライニング層の厚みとしては50〜100mm程度である。また、コンクリートのみでライニング層を構成すると、筒身から剥落する可能性もあるので、特許文献1に示されるように、筒身の内側にはスタッドが溶殖されるとともに、ライニング層を一体化させるようにラス筋がライニング層の内部に配置されている。
ライニング層は、施工してから相当の期間が経過すると、腐食への抵抗力が劣化するために、新しいライニング層と交換する更新工事が行われる。そのために古いライニング層は斫られるが、この斫り作業の負担は大きい。
この負担を軽減するための工法が、例えば特許文献1〜特許文献3に開示されている。特許文献1は、ウォータージェットを用いて格子状に溝を掘ってブロック状のライニング部分に独立させ、その後に、独立したライニング部分を工具で掻き落とす斫り工法を提案している。また、特許文献2は、煙突内部の昇降可能な装置の端部に取り付けられたビットを回転させて、ライニング層を機械的に破壊していく斫り工法を提案している。また、特許文献3は、ダブルカッターによりライニング層に溝を作るカッティングステップと、その間のライニングを削除する除去ステップと、その溝に油圧砕波機を挿入して油圧砕波を行うステップで構成させる斫り工法を提案している。
特公平4−19350号公報 特開2010−164210号公報
古いライニング層を斫って新しいライニング層に交換するタイミングは、理想的には古いライニング層の腐食劣化を抑制する機能がなくなる直前である。しかし、理想的なタイミングを特定することは困難であるために、通常は、前倒しでライニング層の交換を行うことになる。したがって、未だに腐食劣化を抑制する機能を十分に備える健全なライニング層をも斫ることになり、これはライニング層の交換のコストを押し上げることを意味する。
本発明は、このような課題に基づいてなされたもので、既存のライニング層を斫った後に新しいライニング層に交換するのを低コストで行うことのできる煙突及び更新の工法を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明の煙突は、鋼製の筒身と、筒身の内側に設けられるライニング層と、を備え、ライニング層が、筒身の側に配置される外層と、外層の内側に配置される内層と、を備え、外層を構成するライニング材料と内層を構成するライニング材料は、いずれか一方が他方よりも強度が低いことを特徴とする。
一般的に、強度の高いライニング材料(典型的にはコンクリート)ほど緻密で中性化、酸化などに対する抵抗力が大きいために、筒身の腐食劣化を抑制する機能が高く、従来は高強度のライニング材料を用いてライニング層を形成していた。ところが、高強度のライニング材料は低強度のライニング材料よりもコスト的に高くなるので、それをライニング層の必要な厚み分だけ、吹き付けることはコスト増加につながる。しかも、前述したように、更新工事の際に、健全な部分も含めてライニング層を斫るので、これもコスト増加に繋がる。
これに対して、本発明は、ライニング層を、筒身の側に配置される外層と、外層の内側に配置される内層と、から構成し、外層を構成するライニング材料と内層を構成するライニング材料のいずれか一方が低強度とするので、その分だけコストを下げることができる。
本発明の煙突のライニング層は、外層を強度の低いライニング材料から構成し、内層を強度の高いライニング材料から構成する第1の形態と、外層を強度の高いライニング材料から構成し、内層を強度の低いライニング材料から構成する第2の形態とを包含する。
第1の形態は、ガスに対する抵抗力を必要とする内層には高強度のライニング材料を配置する一方、抵抗力をあまり必要としない外層には低強度のライニング材料を配置することにより、コストダウンを図ることができる。
第2の形態は、強度の低いライニング材料で内層を構成するので、ウォータージェットの水圧を調整することにより、内層だけを選択的に斫ることができるので、ライニング層の全体を斫るのに比べて、更新工事の際の斫り時間の短縮に伴って、更新工事のコストを削減できる。
本発明は、以上説明した煙突における既存のライニング層を更新する工法を提供するが、この工法は、ウォータージェットにより、既存のライニング層を斫る工程と、斫られた既存のライニング層の代わりに、以上で説明したライニング層を新しいライニング層として施工する工程と、を備える。
本発明のライニング層の更新工法は、前述した第1の形態と第2の形態の両方に適用することができる。
第1の形態に適用する場合には、ウォータージェットにより、既存のライニング層の外層と内層の両方を斫る。
第2の形態に適用する場合には、ウォータージェットにより、既存のライニング層のうちで、内層のみを斫ることができる。
本発明のライニング層の更新工法において、ウォータージェットは、煙突の径方向に間隔を空けて対称の位置に配置される一対の旋回ノズル介して供給される。一対の旋回ノズルは、各々に複数の噴射ノズルが円周上に設けられとともに、この円周の中心を回転軸として旋回する。また、一対の旋回ノズルは、煙突の軸線周りに同期して回転しながら、煙突の内部を昇降する。
この旋回ノズルを用いると、ライニング層を効率よく斫ることができる。
本発明によれば、ライニング層を、筒身の側に配置される外層と、外層の内側に配置される内層と、から構成し、外層を構成するライニング材料と内層を構成するライニング材料のいずれか一方を低強度とするので、その分だけコストを下げることができる。
第1実施形態に係る煙突を示し、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。 第1実施形態に係る煙突の更新工事の概要を示し、(a)はライニング層を斫る前を示し、(b)はライニング層を斫った後を示し、(c)は新しいライニング層を施工した後を示している。 第1実施形態においてライニング層を斫るのに用いる斫り装置の構成概要を示す図である。 第2実施形態に係る煙突を示し、(a)は正面図、(b)は横断面図である。 第2実施形態に係る煙突の更新工事の概要を示し、(a)はライニング層を斫る前を示し、(b)はライニング層を斫った後を示し、(c)は新しいライニング層を施工した後を示している。 第2実施形態に係る煙突のライニング層の効果を説明する図である。 第2実施形態において、外層と内層の厚みを設定する手法を示す図である。 第2実施形態に用いられる斫り装置の構成概要を示す図である。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態に係る煙突10は、図1に示すように、鋼製の筒身11と、筒身11の内側に設けられるライニング層13と、を備えている。
ライニング層13は、煙突10の内部を通過するガスから筒身11を保護する目的で、筒身11の概ね全長に亘り設けられている。ライニング層13は、筒身11の側に配置される外層13oと、外層13oの内側に配置される内層13iと、の二層からなる。外層13oは、低強度のコンクリートからなり、内層13iは高強度のコンクリートからなる。
煙突10は、ライニング層13が筒身11から剥離するのを防ぐために、特許文献1に記載されるように、筒身11の内周面に複数のスタッドを所定間隔で溶殖し、このスタッドに縦筋及び横筋を溶接により取り付け、さらにこれにラス筋を溶接により取り付ける。煙突10は、これらを補強材としてライニング層13に内蔵されるように、ライニング層13を形成する。スタッド5の先端、縦筋6、横筋7及びラス筋8は、外層13oと内層13iの境界部分に配置されるのが好ましい。
第1実施形態は、煙突10の内部を通過するガスへの抵抗力が特に必要とされる内層13iを高強度のコンクリートから構成する一方、抵抗力があまり必要とされない外層13oを低強度のコンクリートから構成することにより、煙突10のコストを低減することが可能となる。
煙突10は、緻密で中性化、酸化などに対する抵抗力が大きい高強度のコンクリートからなる内層13iに、筒身11の腐食劣化を抑制する機能を持たせる。
煙突10の長期間に亘る継続使用によって、内層13iも当該抵抗力を失うことは当然あり得るので、その前にライニング層13を更新をすればよいが、諸般の事情により更新が遅れることもある。そこで、その際に筒身11の腐食劣化を抑制する機能を担保するために煙突10は外層13oを備えている。外層13oは、低強度のコンクリートにより構成されるので筒身11の腐食劣化を抑制する機能は劣るものの、当該抵抗力を失った内層13iに比べると、筒身11を保護する能力は十分に高い。
ライニング層13は、外層13o及び内層13iと合わせた厚みが50〜100mm程度とされるが、これはあくまで一つの指標であり、この範囲から外れる厚みを選択することもできる。要は、ライニング層13の更新までの期間に対応して、ライニング層13の厚みが特定されていればよい。
外層13oと内層13iの各々の厚みもライニング層13の更新までの期間に対応して定めることができるが、例えば、1:1の比率に設定することができる。
外層13oに用いられる低強度のコンクリート、内層13iに用いられる高強度のコンクリートは、いずれも、従来から本用途に用いられている材質のものを適用できるが、圧縮強度で区分すると、低強度は40〜60MPa、高強度は60〜90MPaとなる。なお、第2実施形態に適用される超高強度のコンクリートは、90MPaを超える圧縮強度を備えている。
ライニング層13は、基本的には従来の施工方法を踏襲して形成すればよいが、前述したスタッドなどの補強材を施した後に、外層13oを構成する低強度のコンクリートを吹き付けて施工し、その後に内層13iを構成する高強度のコンクリートを吹き付けるという手順を辿る。
次に、煙突10は、耐用年数に到るとライニング層13の更新が行われるが、この概略の手順を、図2を参照して説明する。
始めに、ライニング層13を斫って除去する。本実施形態は、ライニング層13を斫るのにウォータージェットを用いる。ウォータージェットは、加圧された水を小径のノズルから噴射させる技術の総称であり、本実施形態では図2(a)に示すように、内層13iの高強度コンクリートを破砕するのに十分に足りる圧力P1に加圧されたウォータージェットWJをライニング層13に向けて噴射させる。ウォータージェットWJは、内層13iを破砕した後に外層13oにも達してこれを破砕する。なお、このときのウォータージェットWJの圧力P1は、筒身11を損傷させないように設定される。
ウォータージェットWJによる斫りをライニング層13の全域に亘って施すことにより、図2(b)に示すように、筒身11は内周面が剥き出しにされる。なお、前述したスタッドなどの補強材は、図示を省略するが、破砕されることなくそのまま残りるので、新しいライニング層13を形成する際に流用することができる。したがって、更新工事の際に補強材を撤去する作業が不要であり、かつ、新たな補強材の取り付けも不要であることから、更新工事のコストを低減できる。
次に、外層13o及び内層13iの順に施工して、図2(c)に示すように、新しいライニング層13を形成する。
以上説明したライニング層13は、外層13oを低強度コンクリートで構成しているので、ライニング層13の全体を高強度コンクリートで構成するのに比べて、コストを下げることができる。一方で、内層13iを高強度コンクリートで構成するので、筒身11を保護できる。仮に内層13iが筒身11を保護する機能を失ったとしても、外層13oが筒身11を保護することができるので、適切なライニング層13の更新時期を設定すれば、全体を高強度コンクリートで構成するのと同等に筒身11を保護することができる。
また、斫り装置30を用いると、主軸31を回転させるとともに、二つの噴射ノズル36,36をその対称軸を中心にして回転させるので、帯状の斫り領域Aを連続して設けることができるので、ライニング層13を効率よく斫ることができる。
次に、ライニング層13を効率的に斫ることができるウォータージェットを適用した斫り装置30を、図3を参照して説明する。
斫り装置30は、煙突10の内部を昇降可能とされており、昇降しながらウォータージェットWJを噴射することで、ライニング層13を破砕により斫る。斫り装置30は、図示を省略する昇降装置により煙突10の内部(煙道)を昇降可能に支持される主軸31と、主軸31の取り付けられる支持ロッド33と、支持ロッド33の両端にブラケット34を介して取り付けられる旋回ノズル35,35と、を備えている。旋回ノズル35,35は、煙突10の径方向に間隔を空けて対称の位置に配置されるとともに、ライニング層13に対向して配置される。斫り装置30は、図示を省略する加圧水源から必要な圧力に調整された加圧水の供給を受けて、旋回ノズル35からライニング層13に向けて加圧水を噴射させる。
主軸31には、供給された加圧水が流れる通水路32が設けられており、この通水路32は、支持ロッド33で二つに分岐されている。主軸31及び支持ロッド33の通水路32を通ってきた加圧水は、旋回ノズル35から噴射させる。各々の旋回ノズル35は、互いに間隔を空けて配置される二つの噴射ノズル36,36を備えている。
斫り装置30は、主軸31がその軸線周りに回転し、また、旋回ノズル35は支持ロッド33に対して回転するように構成されている。
斫り装置30は、煙突10の上端から降下しながら、主軸31を回転させる。そうすると、各々の旋回ノズル35は円周上を移動しながら、ライニング層13に向けて噴射ノズル36,36から加圧水を噴射する。また、旋回ノズル35は周方向に沿って移動するので、各々の噴射ノズル36,36もまた円周上を移動する。したがって、斫り装置30は、主軸31が1/2回転すると、概ね噴射ノズル36,36の間隔を幅とする帯状の斫り領域Aを、ライニング層13の周方向の一周分に亘って設けることができる。斫り装置30は、帯状の斫り領域に隙間ができないように主軸31の降下速度を調整すれば、ライニング層13の全面に斫り領域Aを行きわたらせることができるので、ライニング層13を漏れなく斫ることができる。
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、第2実施形態に係る煙突20を説明する。
煙突20は、ライニング層23が外層23oと内層23iの二層からなることは煙突10と同じであるが、外層23oと内層23iのコンクリートの強度を逆にすることを特徴としている。つまり、煙突20は、鋼製の筒身21と、筒身21の内側に設けられるライニング層23と、を備え、ライニング層23が、高強度のコンクリートからなる外層23oと、低強度のコンクリートからなる内層23iと、からなる。
次に、図5を参照して、ライニング層23の更新の手順を説明する。
始めに、ライニング層23を斫って除去する。本実施形態も、ライニング層23を斫るのにウォータージェットWJを用いる。本実施形態においても図5(a)に示すように、内層23iの低強度コンクリートを破砕するのに足りる圧力P2に加圧されたウォータージェットWJを用いる。ただし、圧力P2は、高強度コンクリートを破砕できない値に設定される。
ウォータージェットWJによる斫りをライニング層23の内周面の全域に亘って施すことにより、図5(b)に示すように、煙突20は外層23oが剥き出しにされる。なお、前述したスタッドなどの補強材がそのまま残るのは、第1実施形態と同じである。
次に、新しい内層23iを吹き付け施工して、図5(c)に示すように、新しいライニング層13を形成する。
次に、煙突20により得られる効果を説明する。
煙突20は、低強度のコンクリートと高強度のコンクリートの配置が逆になっただけなので、ライニング層23の材料コストに関して第1実施形態の煙突10と同等である。
次に、煙突20は、内層23iに要求される筒身21の腐食劣化を抑制するための中性化、酸化などに対する抵抗力は若干低下することになるが、外層23oが高強度コンクリートで構成されるので、ライニング層23の全体としての筒身21を保護する機能は、煙突10と同等である。
煙突20は、さらに以下説明する二つの効果を奏する。
(1)耐震強度の向上
筒身21の横断面を考えると、筒身21の断面の外縁に近い外層23oに高強度のコンクリートを施工することによって、図6に示すように、煙突10に比べて、煙突20の横断面における圧縮強度を増加させることができる。したがって、煙突20は、耐震強度を向上させることができる。
ここで、煙突20は、外層23oが筒身21に溶殖されているスタッドと一体化されている。したがって、耐震性を確保する上で必要と考えられる本数のスタッド5を設けることにより、耐震強度に加えて、図6に示すように、最大耐力Ymaxに達した後にも破壊に到るまでの時間を延ばすことが可能となる。
(2)内層23iの斫り効率向上
次に、第1実施形態の煙突10では、ガスに曝される内層13iのコンクリートが劣化した後のライニング層13の更新工事に際して、内層13iが高強度コンクリートで構成されている。したがって、ウォータージェットを用いた斫りを行う場合に、内層13iの高強度コンクリートを斫ることができる圧力をかけると、図2(b)に示すように、必然的に、外層13oまで斫られてしまうことになる。これに対して、煙突20は、内層23iを低強度コンクリートで構成しているので、その低強度コンクリートを斫ることができる圧力をかけたとすると、外層13oをなす高強度コンクリートを斫ることはできない。したがって、図5(b)に示すように、二層のうちの内層23iのみが斫られることになる。よって、第2実施形態によると、中性化などにより劣化したガス側、つまり内層23iのみを斫り、内層23iのみを吹き替えればよいこととなり、更新工事の期間を短縮して大幅な効率化が図れる。
[煙突20の改善例]
煙突20のライニング層23において、外層23oを超高強度のコンクリートから構成し、内層23iを高強度のコンクリートから構成することもできる。なお、超高強度のコンクリートとは、圧縮強度が90MPaを超えるものをいう。
これにより、ガス側に位置する内層23iの中性化などの劣化抑制性能は、ライニング層の全体を高強度コンクリートから構成する従来構造とまったく相違がないので、更新工事のインターバルが短縮する必要がない。その上で、耐震性向上、斫り作業の効率化の効果は、煙突20と同様に奏することができるので、更新工事での時間短縮、コストダウンなどの効率化が図れ、かつ耐震性も向上する。
また、第2実施形態の思想は、ライニング層23を二層から構成するのに限られず、三層から構成することができる。この場合、内層側から、低強度コンクリート、高強度コンクリート、超高強度コンクリートの順番で配列する。
[外層23oと内層23iの厚みの設定手法]
次に、外層23oと内層23iの各々厚みは、第1実施形態と同様に1:1に設定することができる。しかし、ガスに曝される内層23iに求められる要求性能は中性化などの劣化に対する抵抗力であり、筒身21の腐食抑制である。これに対して、筒身21に接する側の外層23oに求められる要求性能は耐震性向上である。したがって、この異なる二つの要求性能を適正に設定できるように、外層23oと内層23iの厚みの比率を決めることが望まれる。以下、図7を参照して、その概念を説明する。
始めに、図7(a)に示すように、外層23oと内層23iを含めたライニング層23の全体としての厚み(総厚みt)は、煙突20を施工する計画の初期段階に設定される。内層23iと外層23oの各々の厚みtiとtoは、tiとtoの合計がこの総厚みtになることを前提として設定される。
次に、内層23iの厚みtiは、耐久時間とこれに対応する必要な厚み(必要層厚)とに基づいて設定される。これを具現化した例が図7(b)のグラフに示されている。このグラフの「高強度」が付されている線図は、高強度コンクリートが「耐久時間」まで劣化に対する抵抗力を有するのに必要な厚み(ti)を示している。「低強度」が付されている線図は、低強度コンクリートが「耐久時間」まで劣化に対する抵抗力を有するのに必要な厚み(ti)を示している。図7(b)に示される線図に基づいて、内層23iを低強度コンクリートから構成する場合の厚みtiを設定することができる。
一方で、外層23oの厚みは、筒身21を含めた強度向上の機能を満たすことを前提として設定される。これを具現化した例が図7(c)のグラフである。このグラフの線図は、外層23oの強度と外層23oの厚みとの関係を示しており、要求される耐震強度Sを得るために必要な外層23oの厚みtoが特定される。外層23oの厚みtoは、総厚みtから内層23iの厚みtiを除いた値である。図7(c)に示される線図に基づいて、外層23oを高強度コンクリートから構成する場合の厚みtiを設定することができる。
外層23oの厚みto、内層23iの厚みtiは、以上のようにして設定されるが、内層23iの厚みtiを設定した後に外層23oの厚みtoを設定するという手順を、一度だけでなく、複数回繰り返すことで、最適な厚みto、厚みtiを設定することができる。
[斫り装置30の利用]
煙突20のライニング層23を斫るのにも、第1実施形態で説明した斫り装置30を用いることができる。ただし、内層23iが低強度コンクリートからなることに対応する変更を加えることが好ましい。以下、この変更点について説明する。
第1実施形態のライニング層13を対象とする場合には、斫り装置30は、筒身11に損傷が発生せず、かつ、外層13oをなす高強度コンクリートが粉砕できる圧力レベルの加圧水を生成して、斫りを行っていた。この場合、コンクリートと筒身11を構成する鋼板の強度比が大きいので、圧力レベルに微調整を行う必要はない。
ガスに曝される内層23iに低強度のコンクリートを配置する第2実施形態の場合、斫り装置30における圧力レベルを低下させて、内層23i(低強度コンクリート)を砕破できる。ただし、外層23oの高強度コンクリートは破砕できないレベルの圧力に調整する必要がある。この圧力レベルは、ポンプ圧力、流量、流速、ノズル径、ノズル本数など、複数のパラメータを用いて調整することができる。
ここでは、斫り装置30を流用してパラメータの調整を最小限に抑えるために、旋回ノズル35に設けられる噴射ノズル36の数を増やすことを提案する。つまり、第1実施形態の説明では、各々の旋回ノズル35が備える噴射ノズル36は2個であったが、図8に示すように、これを例えば6個に増やす。なお、上述した斫り装置30の他のパラメータはそのままとする。そうすると、噴射ノズル36の一個あたりの圧力は低減するので、内層23iの低強度コンクリートは砕破できるが、外層23oの高強度コンクリートは破砕できないレベルに調整することができる。
また、噴射ノズル36の数を6個に増やすと、旋回ノズル35が1回転する間に、2個の3倍の噴射ノズル36の数で斫りが行われるので、1回の旋回で6回分の円弧の軌跡ではつることができることになる。
以上より、一つの噴射ノズル36あたりの流量、流速、ノズル径などを第1実施形態と同等としておけば、第2実施形態よりも主軸31の移動(降下又は上昇)速度を大きくしたとしても、第1実施形態と同様の斫り範囲、斫り深さが得られることになる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
例えば、煙突10,20の形態は任意であり、本発明は、鋼性の筒身とライニング層を備え、内部をガスが流れる構造物に広く適用することができるのであって、例えば排気塔と称される構造物も本発明の煙突の概念に含まれる。
また、以上説明した実施形態では、ライニング材料としてコンクリートを例にして説明したが、モルタルをライニング材料として用いることもできる。
さらに、第1実施形態ではライニング層13を斫った後に、斫る前と同じライニング層13を設けたが、第2実施形態のライニング層23を設けてもよい。
さらにまた、本実施形態で説明した斫り装置30を好ましい例として説明したが、本発明を実施するうえで、斫り装置が限定されることはない。例えば、単一の噴射ノズルのみを備える斫り装置により、本発明の工法を実施することもできる。
10,20 煙突
11,21 筒身
13,23 ライニング層
13i,23i 内層
13o,23o 外層
30 斫り装置
31 主軸
32 通水路
33 支持ロッド
34 ブラケット
35 旋回ノズル
36 噴射ノズル
WJ ウォータージェット

Claims (7)

  1. 鋼製の筒身と、
    前記筒身の内側に設けられるライニング層と、を備え、
    前記ライニング層は、
    前記筒身の側に配置される外層と、前記外層の内側に配置される内層と、を備え、
    前記外層を構成するライニング材料と前記内層を構成するライニング材料は、いずれか一方が他方よりも強度が低いことを特徴とする煙突。
  2. 前記ライニング層は、
    前記外層が強度の低いライニング材料で構成され、
    前記内層が強度の高いライニング材料で構成される、
    請求項1に記載の煙突。
  3. 前記ライニング層は、
    前記外層が強度の高いライニング材料から構成され、
    前記内層が強度の低いライニング材料から構成される、
    請求項1に記載の煙突。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の煙突における既存の前記ライニング層を更新する工法であって、
    ウォータージェットにより、既存の前記ライニング層を斫る工程と、
    斫られた既存の前記ライニング層の代わりに、新しい前記ライニング層を施工する工程と、
    を備えることを特徴とするライニング層の更新工法。
  5. 既存の前記ライニング層が、請求項2に記載のライニング層からなり、
    前記ウォータージェットにより、既存の前記ライニング層の前記外層と前記内層の両方を斫る、
    請求項4に記載のライニング層の更新工法。
  6. 既存の前記ライニング層が、請求項3に記載のライニング層からなり、
    前記ウォータージェットにより、既存の前記ライニング層のうちで、前記内層のみを斫る、
    請求項4に記載のライニング層の更新工法。
  7. 前記ウォータージェットは、
    前記煙突の径方向に間隔を空けて対称の位置に配置される一対の旋回ノズル介して供給され、
    一対の前記旋回ノズルは、
    各々に複数の噴射ノズルが円周上に設けられとともに、前記円周の中心を回転軸として旋回し、さらに、
    前記煙突の軸線周りに同期して回転しながら、前記煙突の内部を昇降する、
    請求項4〜6のいずれか一項に記載のライニング層の更新工法。
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