JPH051812A - 煙突ライニング構造 - Google Patents

煙突ライニング構造

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JPH051812A
JPH051812A JP14504191A JP14504191A JPH051812A JP H051812 A JPH051812 A JP H051812A JP 14504191 A JP14504191 A JP 14504191A JP 14504191 A JP14504191 A JP 14504191A JP H051812 A JPH051812 A JP H051812A
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Setsuo Iwata
節雄 岩田
Toshiaki Makihata
敏秋 巻幡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】煙突内面にライニングしたライニング材の亀裂
や剥落を防止する。 【構成】煙突塔身外壁は鋼板11で構成され、鋼板11の内
面全周に渡ってライニング材としての吹き付けコンクリ
ート12が設けられている。このとき、コンクリート12の
内部には補強のために鉄筋13が配置され、また、煙突内
面にライニングされたコンクリート12の円周上適所に目
地14を入れる。この目地14は、煙突の内面側ほど幅が広
く、鋼板1側ほど幅の狭い台形状に構成されており、コ
ンクリート12の厚み方向に設けられている。また、目地
14の材質には弾性部材としての耐熱性の高いシリコンゴ
ムなどを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は火力発電所などの煙突に
用いられる煙突ライニング構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、火力発電所などにおける煙突のラ
イニング構造は、図8に示すように、煙突の外壁を構成
する鋼板1の内面全周に渡って吹き付けコンクリート2
が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の煙突ライニング構造では、ライニング材であるコンク
リート2は経験上7年程度過ぎると剥離して排煙に乗っ
て周囲に飛散するようになり、環境保全上の問題となっ
ていた。このライニング材の剥離の原因は次のように考
えられる。
【0004】まず、排煙によって煙突の塔身内部の温度
が120 ℃程度の高温になり、また、塔身外壁、すなわち
鋼板1の温度が20℃〜−10℃程度の低温になると、ライ
ニングしたコンクリート2は膨張するがその周りを被っ
ている鋼板1によりコンクリート2の膨張が拘束される
ために、コンクリート2には圧縮力が作用するようにな
る。一般に、コンクリートは圧縮力に強い材料である
が、図8の温度勾配Aに示すように最も内側が120 ℃で
最も外側が20℃とすれば、圧縮力の勾配Bに示すよう
に、煙突内側のコンクリート2の表面ほど強い圧縮力が
作用する。これにより、圧縮剪断による亀裂3が発生す
る。しかも、この亀裂3は、煙突が温まったり冷えた
り、熱的な断続によって圧縮力が繰り返し作用するため
に疲労亀裂となって進展する。そしてついに、その亀裂
同士が点線に示すように連結してコンクリート塊2aが
剥落するようになる。
【0005】また、図9に示すように、コンクリート2
の内部にある鉄筋4がコンクリート2の中でくさびのよ
うな効果を示し、コンクリート2に亀裂5が発生する。
そして、前述の場合と同様に、繰り返しの圧縮力によっ
てその亀裂5同士が点線に示すように進展してコンクリ
ート塊2bが剥落するようになる。
【0006】本発明は上記従来の問題を解決するもの
で、煙突内面にライニングしたライニング材の亀裂や剥
落を防止することができる煙突ライニング構造を提供す
ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の煙突ライニング構造は、煙突内面にライニン
グしたライニング材の厚み方向適所に弾性部材を設けた
ことを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の煙突ライニング構造は、煙
突内面にライニングしたライニング材の内面に強化繊維
を含むライニング層を設けたことを特徴とするものであ
る。
【0009】
【作用】上記構成により、ライニング材の厚み方向適所
に弾性部材を設けているので、煙突の内部と外部で大き
な温度差が生じてライニング材に大きな圧縮力が生じて
も弾性部材でライニング材の内部応力が吸収されて、ラ
イニング材の亀裂や剥落は防止される。
【0010】また、ライニング材の内面に強化繊維を含
んだライニング層を設けたので、引張強度の強い強化繊
維ライニング層でライニング材の亀裂や剥落が防止され
る。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。図1は本発明の第1の実施例の煙突ラ
イニング構造を示す煙突の断面図である。図1におい
て、煙突塔身外壁は鋼板11で構成され、鋼板11の内面全
周に渡ってライニング材としての吹き付けコンクリート
12が設けられている。このとき、コンクリート12の内部
には補強のために鉄筋13が配置されている。また、煙突
内面にライニングされたコンクリート12の円周上適所
(この場合4か所)に目地14を入れる。
【0012】この目地14は、煙突の内面側ほど幅が広
く、鋼板1側ほど幅の狭い台形状に構成されており、コ
ンクリート12の厚み方向に設けられている。また、目地
14の材質には弾性部材としての耐熱性の高いシリコンゴ
ムなどを用いる。さらに、目地14には、図2に示すよう
に、台形のシリコンゴム15の幅の広い端面部およびその
端面部に連なる両傾斜面の一部分を被う薄いステンレス
製のカバー16が設けられている。
【0013】このカバー16は、図3のAに示すように、
台形のシリコンゴム15の幅の広い端面部を被う部分16
a、すなわち、コンクリート12の内面側に露出する部分
は円弧状に構成されている。これは、図3のBの矢印C
に示すような圧縮力がカバー16に働いたときにばね性を
有するようにするためである。また、シリコンゴム15の
両傾斜面を被う部分の端部にはそれぞれ、L字状の足16
bが2か所づつ取り付けられている。これらL字状の足
16bはその先端部が外方へ向くように取り付けられてお
り、台形状のシリコンゴム15がコンクリート12の内面側
に抜け出るのを防止している。
【0014】目地14の施工は、まず、台形のシリコンゴ
ム15の幅の広い端面側をカバー16の円弧状部分16aに合
わせてセットする。そして、シリコンゴム15の幅の狭い
端面側を煙突塔身内側に接着させて保持させる。その
後、コンクリート12をカバー16の円弧状部分16aまで吹
き付ければよい。
【0015】上記構成により、煙突塔身外壁部とその内
部で大きな温度差が生じるとライニングコンクリート12
にその内周面ほど大きな圧縮力が生じ、コンクリート12
の厚み方向適所に設けられた目地14にも大きな圧縮力差
が生じる。このとき、目地14を構成しているシリコンゴ
ム15は弾性体であり、しかも、カバー16は薄いステンレ
ス製で円弧状に構成されているので、コンクリート12か
ら受ける圧縮力によりシリコンゴム15およびカバー16は
その方向に変形する。これにより、コンクリート12の内
部に発生した圧縮力は目地14で吸収される。しかも、煙
突内面ほど大きな圧縮力が働くが、目地14は煙突内面ほ
ど幅の広い台形状をしているため、その圧縮力は均一に
吸収される。
【0016】したがって、煙突の内部と外部で大きな温
度差が生じ、しかも、煙突が温まったり冷えたり、その
熱的断続によって圧縮応力が繰り返し作用しても、弾性
部材としての目地14により内部応力が吸収され、ライニ
ングされたコンクリート12の圧縮剪断による亀裂や剥落
を防止することができる。
【0017】なお、目地14に代えて図4および図5に示
す目地17のような構成のものであってもよい。すなわ
ち、目地17は、台形の両傾斜辺17aに凸状の突起部17b
を設け、ライニングされたコンクリート12の内部で機械
的に噛み合って抜け止めになる構造である。また、その
材質は、フェルトを基材に炭化率の高いレジンを含浸さ
せて黒鉛化した炭素系の材料を用い、ソフトで弾力性が
あり900 ℃の耐熱特性を有する。さらに、図4および図
6に示すように、縦方向の通し鉄筋18に目地19をまきた
てるようにすれば、コンクリート12の吹き付け時に形状
の保持補強効果が得られる。この場合、目地19を目地19
a、19bの2つ割り部分に構成してその間に鉄筋18を挟
み込めばよい。
【0018】図7は本発明の第2の実施例の煙突ライニ
ング構造の構成を示す一部断面図である。図7におい
て、煙突の外壁を構成する鋼板21の内面にライニングし
たライニング材としての吹き付けコンクリート22を設
け、さらに、このコンクリート22の内面に強化繊維であ
るカーボンファイバーを含んだライニング層としての強
化繊維コンクリート層23を設けている。さらには、この
コンクリート層23の内面に仕上げコンクリート24をライ
ニングしている。
【0019】上記構成により、煙突の内部と外部との温
度差でコンクリート22に圧縮剪断による亀裂が発生しよ
うとしても、コンクリート22は、引張強度の強い強化繊
維コンクリート層23で被われているため、コンクリート
22の亀裂は防止される。また、この強化繊維コンクリー
ト層23を仕上げコンクリート24が被っているため、強化
繊維であるカーボンファイバーの僅かな飛散も発生しな
い。
【0020】このように、ライニングコンクリートを打
設するときにライニング層を強化繊維層を含む上記3層
に構成しているため、目地の間で圧縮力が働いたり、風
や日照温度差などによって煙突塔身自体が変形しようと
した場合にも、その応力でライニングコンクリートに作
用した圧縮力や引張力に対して亀裂の発生する恐れはな
い。
【0021】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ライニン
グ材の厚み方向適所に弾性部材を設けてライニング材の
内部応力を吸収したり、または、ライニング材の内面に
強化繊維を含むライニング層を設けてその強い引張強度
でライニング材の亀裂を防いだりすることにより、煙突
内面にライニングされるライニング材の亀裂や剥落を防
止することができるものである。これにより、ライニン
グ材の剥落物が排煙によって飛散する公害を大幅に減少
させることができ、また、ライニング材の耐用年数も大
幅に増加するとともに、ライニング材の張り替え工事に
伴う煙突の稼働中断も減少させることができるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の煙突ライニング構造を
示す煙突断面図である。
【図2】図1における目地14の構成を示す煙突の一部拡
大断面図である。
【図3】図2におけるカバー16の構成を示し、Aはその
斜視図であり、Bはカバー16の円弧状部分16aのばね性
を説明するための図である。
【図4】目地14以外の構成例を示す煙突の一部拡大断面
図である。
【図5】図4における目地17の斜視図である。
【図6】図4における目地17を2つ割に構成した場合の
斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施例の煙突ライニング構造を
示す煙突の一部断面図である。
【図8】従来の煙突ライニング構造を示し、亀裂の進展
を説明するための煙突の一部断面図である。
【図9】従来の煙突ライニング構造を示し、鉄筋による
亀裂の進展を説明するための煙突の一部断面図である。
【符号の説明】
11、21 鋼板 12、22 吹き付けコンクリート 14、17、19 目地 15 シリコンゴム 16 カバー 19a、19b 2つ割り部分 23 強化繊維コンクリート層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】煙突内面にライニングしたライニング材の
    厚み方向適所に弾性部材を設けたことを特徴とする煙突
    ライニング構造。
  2. 【請求項2】煙突内面にライニングしたライニング材の
    内面に強化繊維を含むライニング層を設けたことを特徴
    とする煙突ライニング構造。
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