JP2015107633A - 液滴吐出ヘッドおよび画像形成装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッドおよび画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】弾性体を用いて大気連通路を形成することで、大気と大気連通路との密閉性を確保して適切な透気透湿性を実現する。
【解決手段】液滴を吐出するノズルと、ノズルと連通する個別液室と、個別液室に供給する液体を貯留する共通液室31と、ノズルから液滴を吐出させるための圧力発生手段と、共通液室31の壁面の一部に設けられる変形可能なダンパ33と、当該液滴吐出装置1の構造部材である連結経路上部材50の所定面と密接し、共通液室31へ液体を供給する流路を封止する液体封止部材であるする弾性部材70と、を備え、共通液室31のダンパ33を挟んだ反対側に大気連通路を介して大気と連通する空間34が形成されるとともに、大気連通路は、弾性部材70に形成されたパターン状の溝42bにより形成される連通路を含んでなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、液滴吐出ヘッドおよび画像形成装置に関する。さらに詳述すると、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置に用いられる液滴吐出ヘッドに関する。
複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、液滴吐出ヘッドで構成した液滴吐出装置を用いて、記録材(以下、用紙ともいうが材質を限定するものではなく、記録媒体、シート、被記録媒体、記録用紙、転写材、記録紙なども同義で使用する)を搬送しながら、液体としてのインクを記録材に付着させて画像形成(記録、印刷、印写、印字も同義語で用いる)を行なう、いわゆるインクジェット方式の画像形成装置(以下、インクジェット記録装置ともいう)が知られている。
インクジェット記録装置は、近年、低価格化、高画質化が進み、また、一般家庭へのパーソナルコンピュータの普及により様々な用途で数多く使用されている。
インクジェット記録装置は、記録が必要な時にのみインクの微小液滴を吐出するように構成されたオンデマンド方式の液滴吐出装置を備えるものが主流になっている。この液滴吐出装置としては、インクを充填した液室(共通液室)の壁の一部に振動板を設け、圧電アクチュエータ等により振動板を変位させ、液室内の圧力を高めノズルからインクを吐出させる圧電式と、通電によって発熱する発熱体を液室内に設けて発熱体の発熱により生じる気泡によって液室内の圧力を高めてインクを吐出させるサーマル方式と、が知られている。いずれの方式においても、液滴吐出装置を駆動させるための駆動回路からの駆動信号で圧力発生源を駆動させ、吐出口からインク液滴を吐出させて記録媒体上に着弾させている。
また、共通液室の壁面の一部には、ノズルからのインクの吐出で発生する圧力伝播の吸収をするための弾性または可撓性を有する部材(ダンパ)を設けることが知られている。ダンパは、圧力伝播の吸収を目的とするものであるため、薄さ、柔軟性が要求される。このため、透気透湿しやすい材質を用いることが一般的である。
一方で、透気透湿しやすい材質を用いることで、共通液室内のインクの水分蒸発が進み、インクが乾燥することで、吐出不具合に繋がってしまうおそれがある。これを回避するために、ダンパがインクと接する面と反対側については、大気に直接触れないようにするために密閉された空間とすることが望ましいとも考えられる。
しかしながら、ダンパがインクと接する面と反対側を、密閉された空間にしてしまうと、環境温度の変化などで、その空間に閉じ込められた空気の膨張が発生した場合、ダンパが変位して、吐出による共通液室への圧力変動を吸収するというダンパの機能が損なわれてしまうおそれがある。
例えば、特許文献1には、ノズル形成面に開口したノズルに連通する圧力室、該圧力室に液体を供給する共通液室が形成された連通板、並びに該連通板における共通液室のノズル形成面側の開口面を密封する可撓性フィルム、を有する液体噴射ヘッドと、窪み状の封止空部を有し、該封止空部内にノズル形成面を臨ませて封止可能な封止部材と、を備え、該封止部材は、ノズル形成面の封止状態で可撓性フィルムの少なくとも一部を封止空部内に臨ませて封止可能に構成された液体噴射装置が開示されている。さらに、可撓性フィルムの周囲を囲繞する壁部と、可撓性フィルムのリザーバーとは反対側の面から離間した底部と、を備えた保護基板を備え、保護基板は凹状に窪んだ保護空間を有し、この保護空間内に可撓性フィルムの全体を臨ませた状態で、保護空間の開口縁(壁部の上面)が連通板に接合されている構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1では、上述のように、密閉された保護空間の圧力が変化した場合にダンパとしての機能に影響がでてしまう。
これに対し、ダンパがインクと接する面と反対側を、密閉された空間とするのではなく、この空間と大気とを微小断面の空気管路(以下、大気連通路ともいう)で繋いで連通させる技術が知られている。この大気連通路を、孔形状とする場合、長い経路長を確保することは、加工上難しいため、平面上に凹断面で繋がるスネーク状の経路を形成し、この経路が形成された面をフィルムなどのシート部材によって蓋をして大気連通路を形成することが知られている。
また、この大気連通路に関し、例えば、特許文献2には、複数のケース構成部材を積層して構成されたケース部材を備え、各ケース構成部材のうち、少なくとも1つに制御通路が形成され、且つ、各ケース構成部材には、大気開放通路又は制御通路のうち、少なくとも何れか一方が形成され、各通路がケース構成部材の積層状態で一連に連通して大気開放されている液体噴霧ヘッドが開示されている。
また、特許文献3には、大気開放孔が両端の開口面を結ぶ最短の直線よりも長い長孔を介して大気に開放されているインクジェット式記録ヘッドが開示されている。
しかしながら、特許文献2のように積層によって経路断面を小さくする構成では、境界面の封止が難しく、接合面の高い封止精度が要求される。また、特許文献3では、大気開放孔を直線的ではなくして経路長を稼いでいるが、大気開放孔は、分割した断面に形成されたものを接着で張り合わせることで形成されているため、接合面の封止が難しいという問題がある。
また、上記の平面上に凹断面で繋がる経路を形成し、この経路が形成された面をシート部材によって蓋をして大気連通路を形成する場合は、蓋となる部材を厚くし、接着剤などを使用して封止することが知られているが、接着剤からの透気透湿が問題となってしまう。また、蓋となる部材を熱や超音波などの溶着によって固定する方法も知られているが、蓋となる部材に樹脂製のフィルム等が用いられるため、当該部材自体からの透気透湿が問題となってしまう。
このように従来の大気連通路の形成方法では、接合箇所の封止が難しいことで、大気連通路以外の箇所で大気との連通箇所が生じ、管路抵抗が減ってしまい大気との連通速度(連通量)が大きくなって透気透湿性が低下してしまうことがあった。また、接着剤や蓋となる部材に起因した透気透湿が生じるおそれがあった。
そこで本発明は、弾性体を用いて大気連通路を形成することで、大気と大気連通路との密閉性を確保するとともに、接着剤を用いずに、適切な透気透湿性を実現することができる液滴吐出ヘッドを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出するノズルと、前記ノズルと連通する個別液室と、前記個別液室に供給する液体を貯留する共通液室と、前記ノズルから液滴を吐出させるための圧力発生手段と、前記共通液室の壁面の一部に設けられる変形可能なダンパと、当該液滴吐出ヘッドの構造部材の所定面と少なくとも一面で密接し、前記共通液室へ液体を供給する流路を封止する液体封止部材である弾性体と、を備え、前記共通液室の前記ダンパを挟んだ反対側に大気連通路を介して大気と連通する空間が形成されるとともに、前記大気連通路は、前記弾性体または前記構造部材の密接面の少なくとも一方に形成された凹形状部により形成される連通路を含んでなるものである。
本発明によれば、弾性体を用いて大気連通路を形成することで、大気と大気連通路との密閉性を確保するとともに、接着剤を用いずに、適切な透気透湿性を実現することができる。
液滴吐出装置の基本構成を示す断面図である。 アクチュエータユニットおよびノズル板の概略斜視図である。 大気連通路が形成された連結経路下部材の上面模式図である。 液滴吐出装置の一実施形態を示す断面図である。 大気連通路が形成された弾性部材の上面模式図である。 液滴吐出装置の第2の実施形態を示す断面図である。 大気連通路が形成された弾性部材の(A)下面模式図、(B)上面模式図である。 両面にパターン状の溝が設けられた弾性部材の断面図である。 液滴吐出装置の第3の実施形態を示す断面図である。 液滴吐出装置の第4の実施形態を示す断面図(1)である。 大気連通路が形成された連結経路上部材の下面模式図である。 液滴吐出装置の第4の実施形態を示す断面図(2)である。 液滴吐出装置の第5の実施形態を示す断面図である。 一側面にパターン状の溝が形成されたブロック部材の斜視図である。 液滴吐出装置の第6の実施形態を示す断面図である。 全側面にパターン状の溝が形成されたブロック部材の斜視図である。 パターン状の溝および凸形状部が設けられたブロック部材の断面図である。 フレームの上方から空間を見たときの断面図である(第7の実施形態)。 液滴吐出装置の第8の実施形態を示す断面図である。 画像形成装置の一実施形態を示す外観斜視図である。 画像形成装置の一実施形態を示す側面図である。
以下、本発明に係る構成を図1から図21に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。本発明に係る液滴吐出ヘッドは、以下の各実施形態にて説明するように、液滴を吐出するノズル(ノズル11)と、ノズルと連通する個別液室(個別液室21)と、個別液室に供給する液体を貯留する共通液室(共通液室31)と、ノズルから液滴を吐出させるための圧力発生手段(アクチュエータ23)と、共通液室の壁面の一部に設けられる変形可能なダンパ(ダンパ33)と、当該液滴吐出ヘッドの構造部材(連結経路下部材40、連結経路上部材50、フレーム30)の所定面と少なくとも一面で密接し、共通液室へ液体を供給する流路を封止する液体封止部材である弾性体(弾性部材70、ブロック部材80)と、を備え、共通液室のダンパを挟んだ反対側に大気連通路を介して大気と連通する空間(空間34)が形成されるとともに、大気連通路(大気連通路42,52,72)は、弾性体または構造部材の密接面の少なくとも一方に形成された凹形状部(パターン状の溝42b,52b,72b,72b1,72b2,32b,82b)により形成される連通路を含んでなるものである。なお、括弧内は実施形態での符号、適用例を示す。
(液滴吐出装置)
[第1の実施形態]
先ず、本発明に係る液滴吐出ヘッドの前提となる基本構成について説明する。図1は、液滴吐出ヘッドで構成した液滴吐出装置の基本構成を示す断面図である。
図1に示す液滴吐出装置1は、液滴を吐出するアクチュエータユニット20およびノズル板10が、構造部材であるフレーム30に装着されている。
アクチュエータユニット20およびノズル板10の要部の構成例について説明する。アクチュエータユニット20およびノズル板10の概略斜視図を図2に示す。図2に示すように、ノズル板10には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のインクを吐出するためのノズル11(11y,11m,11c,11k)が形成されている。なお、添字y,m,c,kはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応する。
また、アクチュエータユニット20は、少なくとも、ノズル毎に設けられた個別液室21(21y,21m,21c,21k)が形成された流路板22と、個別液室21内のインクを押し込んでノズル11からインクを吐出させるための圧力発生手段としてのアクチュエータ23(23y,23m,23c,23k)と、アクチュエータ23に吐出信号を出力する駆動回路24(24a,24b,24c,24d)が形成されたアクチュエータ基板25と、を備えている。
また、流路板22には、個別液室21(21y,21m,21c,21k)にインクを供給する供給路を兼ねた流体抵抗部26(26y,26m,26c,26k)が形成され、各流体抵抗部26には液導入部27(27y,27m,27c,27k)が連通している。なお、流体抵抗部26は、流路の断面積が小さい供給路となっている。
アクチュエータユニット20の個別液室21へ液体を供給するための共通液室31がフレーム30に形成されており、共通液室31は、フレーム30に設けられた連結管32と、連結経路下部材(第1の構造部材)40、弾性部材70、連結経路上部材(第2の構造部材)50のそれぞれに設けられた、インク経路41,71,51を介してインクタンク60と連通している。なお、構造部材であるフレーム30、連結経路下部材40、および連結経路上部材50は、透気透湿しない材質により構成される。例えば、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレン(PE)などを用いることができる。
インクタンク60は、共通液室31へ供給するインクを貯留するタンク部である。インクタンク60には、連結経路上部材50が嵌合されるとともに、連結経路上部材50および連結経路下部材40の間には、シートパッキンなどの弾性部材70が設けられ、液体の漏れを防ぐように構成されている。
また、インクタンク60から形成された連結経路上部材50のインク経路51および弾性部材70のインク経路71は、フレーム30に設けられた連結管32と連通するために、連結経路下部材40のインク経路41にて経路変換を行っている。
また、フレーム30の共通液室31側の壁面の一部には、圧力変動を吸収するためのダンパ33が設けられている。ダンパ33は、ノズル11からのインクの吐出により共通液室31内に発生する圧力伝播の吸収をするための弾性または可撓性を有する部材である。
ダンパ33の材質としては、薄いフィルム状の樹脂や、弾性体であるゴム(原料ゴム)やエラストマー(弾力ゴム)などを用いることができる。特に、フレーム30に対して二次成形できることを目的として、また、成形だけで密着性を有することができる自己接着型熱硬化シリコンを用いることが好ましい。これにより、部品製作工数を低減することができるとともに、低コスト化を図ることができる。
ここで、ダンパ33は弾性や可撓性を有する部材であるため、水分を透過してしまう懸念がある。そして、共通液室31内の水分蒸発が進んでしまうとインクは増粘し、不吐出などの吐出不良に繋がってしまう。
これを抑制するために、ダンパ33の共通液室31とは反対側において、連結経路下部材40は、フレーム30の上部で蓋をし、その外周を封止している。完全に封止した場合、フレーム30と連結経路下部材40との間に形成される空間34は密閉された空間となってしまうため、空気の逃げ場がなく、ダンパ33の変位の妨げになる。また、環境変化などで気圧変動がある場合、空間34の内圧が上がってしまうため、空間34を大気と連通させておく必要がある。
一方で、透気透湿を抑制することも必要であるため、空間34と大気との大気連通路は、管路抵抗をもたせるため、経路断面をできるだけ小さく、かつ、経路長はできるだけ長いものが好ましいといえる。
図1に示す液滴吐出装置1では、連結経路下部材40に空間34と連通し、大気まで貫通する大気連通路42が設けられている。この大気連通路42が形成された連結経路下部材40を上面(インクタンク側)からみた場合の模式図を図3に示す。なお、インク経路41の図示は省略している。
図3に示すように、連結経路下部材40の上面には、連結経路下部材40の下面で空間34と貫通する貫通孔42aが形成され、この貫通孔42aから往復するスネーク状の凹形状部であるパターン状の溝42bが形成されている。この貫通孔42aとパターン状の溝42bの形成位置を覆うようにカバーシール90を貼付することで、形成された貫通孔42aおよびパターン状の溝42bが大気連通路42となる。なお、カバーシール90の貼付は、パターン状の溝42bがそれぞれ隔てられるように、接着剤にてシールされることでなされる。
しかしながら、このように大気連通路42が形成された部材に対し、シール部材により接着剤を用いて、シールして封止する方法では、接着剤からの透気透湿が生じるおそれがあり、大気連通路42以外の箇所で大気との連通箇所が生じ、抵抗が減ってしまい、透気透湿性が低下してしまうことがあった。
また、大気連通路42のパターン状の溝42bを隔てた状態で密閉して接着するためには、部品精度や接着剤の厚み管理、接着剤の溝部への流れ込みなどの管理が必要で、製作には困難が伴うものであった。また、フィルムなどの薄いシール部材をカバーシール90として使用することで、フィルム自体の透気透湿性の確保が必要となってしまっていた。また、シール部材として金属やアルミなどのテープを使用する場合は、高コスト化に繋がってしまう。
そこで、本実施形態に係る液滴吐出装置(液滴吐出装置1)は、図4に示すように、液滴を吐出するノズル(ノズル板10のノズル11)と、ノズルと連通する個別液室(アクチュエータユニット20の個別液室21)と、個別液室に供給する液体を貯留する共通液室(共通液室31)と、ノズルから液滴を吐出させるための圧力発生手段(アクチュエータユニット20のアクチュエータ23)と、共通液室の壁面の一部に設けられる変形可能なダンパ(ダンパ33)と、当該液滴吐出装置の構造部材(連結経路下部材40、連結経路上部材50)の所定面と少なくとも一面で密接し、共通液室へ液体を供給する流路を封止する液体封止部材である弾性体(弾性部材70)と、を備え、共通液室のダンパを挟んだ反対側に大気連通路を介して大気と連通する空間(空間34)が形成されるとともに、大気連通路(大気連通路72)は、弾性体に形成された凹形状部(パターン状の溝72b)により形成される連通路を含んでなるものである。
図4は、第1の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図である。なお、図1に示した液滴吐出装置と同様の点についての説明は適宜省略する。
本実施形態に係る液滴吐出装置1では、連結経路下部材40には貫通孔42aが形成され、パターン状の溝42bは形成されない。そして、連結経路下部材40の貫通孔42aを覆う位置に、連結経路上部材50および弾性部材70が形成されている。
そして、弾性部材70に、連結経路下部材40の貫通孔42aを介して空間34と連通し、大気まで貫通する大気連通路72が設けられるものである。この大気連通路72が形成された弾性部材70の上面からみた場合の模式図を図5に示す。なお、本実施形態の液滴吐出装置1は、4つの共通液室31が形成されるものであって、弾性部材70には、4つのインク経路71が形成されている。
図5に示すように、弾性部材70の連結経路下部材40とは反対側の面には、連結経路下部材40の貫通孔42aを介して空間34と貫通する貫通孔72aが形成され、この貫通孔72aから往復のパターン状の溝72bが形成されている。この貫通孔72aとパターン状の溝72bの形成位置は、連結経路上部材50で覆われるため、形成された貫通孔72aおよびパターン状の溝72bが大気連通路72となるものである。
なお、図5に示す例では、パターン状の溝72bを直接大気と連通させる構成としているが、これに限られるものではなく、例えば、連結経路上部材50に大気と連通する貫通孔を形成し、パターン状の溝72bの貫通孔72aの他端側を、連結経路上部材50に形成した貫通孔と連通させることで大気と連通させて、大気連通路72を形成しても良い。
弾性部材70は、弾性体であるゴムやエラストマーなどを用いることができ、特に、フッ素ゴムを用いることが好ましい。また、ダンパ機能は必要ないため、ダンパ33とは異なり、その厚みも厚く形成することができる。このため、弾性部材70自身での透気透湿は限りなく小さいものとすることができる。
また、弾性部材70は、連結経路上部材50と連結経路下部材40との間に設けられ、インク経路71が形成される部材であり、インク経路71をシールする液体封止部材としての機能も兼ねるものである。
そして、連結経路上部材50の装着によって、予め規定した寸法で弾性部材70を潰すことで発生する面圧を利用し、パターン状の溝72bがそれぞれ隔てられて1本の経路が形成されるように密閉することができるようになっている。すなわち、液体封止部材としての弾性部材70が、連結経路上部材50と連結経路下部材40との間に装着される際の圧力による面圧を利用するものである。
以上説明した第1の実施形態に係る液滴吐出装置によれば、大気連通路を弾性体により形成して、大気と大気連通路との密閉性を確保し、断面を微小にした管路抵抗を維持することができるため、大気との連通速度を小さくでき、透気透湿を抑制することができる。よって、共通液室の圧力変動を吸収するダンパの減衰機能を確実に発揮させて、共通液室に機械的コンプライアンスを付与すると共に、液滴吐出装置内の液体の増粘を防止して、インクの乾燥を防いで、吐出性能の向上を図ることができる。
また、弾性体と構造部材(連結経路上部材)との圧縮によって大気との連通路の密閉性を確保するため、カバーシール等を接着剤で接着する工程を省くことができ、組立性を改善することができる。さらに、部品点数の削減を図ることができるため、低コスト化を実現することができる。
[第2の実施形態]
以下、本発明に係る液滴吐出装置の他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は適宜省略する。
図6は、第2の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図である。また、弾性部材70を下面(連結経路下部材40側の面)からみた場合の模式図を図7(A)に、弾性部材70を上面(連結経路上部材50側の面)からみた場合の模式図を図7(B)に示す。なお、図7では、インク経路71の図示は省略している。
本実施形態では、弾性部材70の連結経路下部材40と連結経路上部材50の双方と密接する両面にパターン状の溝72b1,72b2が設けられると共に、パターン状の溝72b1,72b2は、弾性部材70を貫通する両面貫通孔72cを介して連通している。そして、空間34から連結経路下部材40の貫通孔42aは、弾性部材70の下面のパターン状の溝72b1の端部72dに連通していることで、貫通孔42aから下面(パターン状の溝72b1)、上面(パターン状の溝72b2)の順に経路が形成されて大気に連通している。すなわち、パターン状の溝72b1、両面貫通孔72c、およびパターン状の溝72b2により大気連通路72が形成される。
なお、連結経路下部材40の貫通孔42aと弾性部材70の上面を貫通させて、貫通孔42aから弾性部材70の上面、下面の順に大気連通路72を形成して大気と連通するものであっても良い。
図8は、両面にパターン状の溝72b1,72b2が設けられた箇所の弾性部材70の断面図を示している。この弾性部材70は、連結経路下部材40および連結経路上部材50に挟み込まれることで、所定の潰し量になるように組立てられており、パターン状の溝72b1,72bのそれぞれを密閉することができるようになっている。
このとき、効率的に密閉力が発生するように、パターン状の溝72b1,72bの外縁部分に凸形状部73を設けることが好ましい。凸形状部73は、例えば、図8(A)に示すようにその断面が緩やかなR形状で形成されるものである。なお、凸形状部73の形状は、特に限られるものではなく、断面が円形状や台形形状や三角形状であっても良い。また、図8(B)に示すように凸形状部73が複数の凸部から形成されるものであっても良い。なお、凸形状部を設けることが好ましいことは、パターン状の溝72bが弾性部材70の一面側に形成される構成(第1の実施形態等)においても同様である。
この第2の実施形態に係る液滴吐出装置によれば、大気連通路は、弾性部材の一方の面にて経路長を確保したあと、さらに、他方の面と連通する様に両面貫通孔を介して、反対の面に設けられた経路に繋がっている。したがって、より透気性が要求される場合の大気連通路の延長を可能とすることができる。
[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図である。この液滴吐出装置1における連結経路下部材40は、図3に示した連結経路下部材40と同様に、上面には、連結経路下部材40の下面で空間34と貫通する貫通孔42aが形成され、この貫通孔42aから往復のパターン状の溝42bが形成されている。また、弾性部材70は、大気連通路72は形成されず、平面状の部材である。
そして、連結経路下部材40の貫通孔42a、パターン状の溝42bを覆う位置に、連結経路上部材50および弾性部材70が形成されて密閉されることで、貫通孔42aおよびパターン状の溝42bが、弾性部材70と密着することで、大気連通路42が形成される。
このように、大気連通路を構造部材に形成しても、弾性体と構造部材(連結経路上部材)との圧縮によって大気との連通路の密閉性を確保することができる。
[第4の実施形態]
図10は、第4の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図である。この液滴吐出装置1における連結経路下部材40は、図3に示した連結経路下部材40と同様に、上面には、連結経路下部材40の下面で空間34と貫通する貫通孔42aが形成され、この貫通孔42aから往復のパターン状の溝42bが形成されている。
また、弾性部材70には、連結経路下部材40のパターン状の溝42bにおける貫通孔42aの反対側の端部に相当する位置に、弾性部材70の上面と下面を貫通する両面貫通孔72cが形成されている。
さらに、連結経路上部材50の弾性部材70側の下面にも、図11に示すように、両面貫通孔72cに対向する位置から往復のパターン状の溝52bが形成されている。このパターン状の溝52bが連結経路上部材50の大気連通路52を形成する。なお、インク経路51の図示は省略している。
この第4の実施形態に係る液滴吐出装置によれば、大気連通路は、連結経路下部材に設けられた経路で経路長を確保したあと、さらに、連結経路上部材に設けられた経路に繋がっている。したがって、より透気性が要求される場合の大気連通路の延長を可能とすることができる。
また、液体封止部材の構成例として、弾性部材70は、インク経路71をシールするために、例えば、図12に示すようなシール部74が形成される。なお、図12は、図10に示す構成においてシール部74が設けられた例を示しているが、他の実施形態の構成についても同様にシール部74を設けてもよいのは勿論である。また、図12の例では、シール部74は、連結経路下部材40側に形成されているが、連結経路上部材50側に形成してもよいのは勿論である。
また、上記実施形態では、パターン状の溝は、連結経路下部材40と弾性部材70の対向面の一方の部材側、または連結経路上部材50と弾性部材70の対向面の一方の部材側に形成される例について説明したが、連結経路下部材40(または連結経路上部材50)と弾性部材70の対向面の双方にパターン状の溝を形成し、互いのパターン状の溝同士は一部の連通箇所を除いて対向しないように配置して、一方の部材のパターン状の溝が形成されない壁面で、他方の部材のパターン状の溝の壁面を構成して、大気連通路が形成されるようにしても良い。
[第5の実施形態]
ところで、液滴吐出装置が設けられる画像形成装置においては、用紙の搬送を安定して行うために、インクの吐出領域の近傍に用紙を押圧するための押圧機構(例えば、拍車コロなど)が設けられていることが一般的である。このような押圧機構を避けるため、液滴吐出装置の液滴吐出方向の幅(深さ)は増加する傾向にある。
このため、ダンパ33の共通液室31側の反対側の空間34は、液滴吐出方向が深く形成されている。しかしながら、この空間34の体積が大きいほど、空気の膨張によるダンパ33への影響が顕著となるため、この空間34の体積は小さい方が好ましいといえる。
そこで、本実施形態に係る液滴吐出装置は、構造部材は、空間34を形成するフレーム30(フレーム部材)を含むとともに、弾性体は、空間34において少なくともダンパが変形可能なダンパ室空間を残して該空間34を埋めるブロック部材80であって、ブロック部材80の少なくとも一部の面(ブロック表面80a)とフレーム30の内壁面30aが密接し、大気連通路は、ブロック表面80aまたはフレーム30の内壁面30aの少なくとも一方に形成された凹形状部(パターン状の溝82b,32b)により形成される連通路を含んでなるものである。
図13は、第5の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図である。また、図14は、大気連通路となるパターン状の溝が形成されたブロック部材の斜視図である。なお、図13は、ブロック部材80において、パターン状の溝82bが形成される位置での断面を示している。
この液滴吐出装置1におけるフレーム30と連結経路下部材(流路形成部材)40との間に形成される空間34には、空間34を埋めるように直方体形状のブロック部材80が挿入されている。ここで、ブロック部材80は、ブロック部材80の図中の4つの側面がフレーム30の各内壁面と密接するように装着される。また、連結経路下部材40には、大気と貫通する貫通孔42aが形成されている。
ブロック部材80は、弾性部材70と同様に、弾性体であるゴムやエラストマーなどを用いることができる。特に、フッ素ゴムを用いることが好ましい。ブロック部材80が弾性部材であることにより、フレーム30の各内壁面に対し、反発力が生じることで密接する構成となっている。なお、ダンパ機能は必要ないため、ダンパ33とは異なり、その厚みも厚く形成することができる。このため、ブロック部材80自身での透気透湿は限りなく小さいものとすることができる。
ブロック部材80の図中の底面側は、フレーム30に設けられたストッパ部35に当接する。すなわち、ブロック部材80は、フレーム30の内壁面に密着しながらストッパ部35に突き当たるまで押し込まれる。ブロック部材80の底面が、ストッパ部35に突き当たった状態で、ダンパ33とブロック部材80との間には、空間34の一部が依然として存在するようになっており、ダンパ33の変位を抑制しないようになっている。なお、ブロック部材80装着後のダンパ33上にある空間34をダンパ室空間とも呼ぶ。なお、図13に示す例では、ブロック部材80は、ストッパ部35に突き当たるまで押し込まれると、ブロック部材80と連結経路下部材40とは密接するように構成されているが、ストッパ部35に突き当たった状態で、ブロック部材80と連結経路下部材40との間に空間34の一部が残るものであっても良い。
ストッパ部35は、フレーム30の内部側に該フレーム30と一体成形された突起状の部分であるが、フレーム30とは別体としてフレーム30内部側に設けられる部分であっても良い。
また、ブロック部材80の底面側の位置決めは、ストッパ部35を用いることに限られるものではなく、例えば、位置決めのための機構は特に設けずに、ブロック部材80の側面のフレーム30の内面に対する反発力により位置決めされるものであっても良い。
図14に示すように、ブロック部材80の一側面は、凹形状部であるパターン状の溝82bが形成されたパターン形成面(ブロック表面80aとする)となっている。このパターン状の溝82bの一端側は、空間34(ダンパ室空間)と連通するブロック部材80の底面位置まで形成されている。すなわち、パターン状の溝82bの一端がダンパ室空間に開口している。また、他端側は、連結経路下部材40に形成される貫通孔42aと連通するブロック部材80の上面位置まで形成されている。
この連結経路下部材40に形成される貫通孔42aは、ブロック部材80のパターン状の溝82bの一端側と連通する位置に設けられている。したがって、ダンパ室空間から、パターン状の溝82bと貫通孔42aにより大気連通路が形成されている。なお、ブロック部材80は、連結経路下部材40の装着によって押し込まれ、ブロック部材80の上面と連結経路下部材40とは密接するようになっている。
この第5の実施形態では、フレーム30の内壁面に弾性部材であるブロック部材80を密着させている。すなわち、フレーム30の内壁面により、ブロック表面80aに形成されたパターン状の溝82bの空間をシールしている。この際、連結経路下部材40の装着によって、予め規定した寸法でブロック部材80を圧縮することで発生する面圧を利用し、パターン状の溝82bがそれぞれ隔てられて1本の経路が形成されるように(隣接する溝が連通してしまわないように)密閉することができるようになっている。
また、ブロック部材80とフレーム30の内壁面との圧縮によって大気との連通路の密閉性を確保するため、カバーシール等を接着剤で接着する工程を省くことができ、組立性を改善することができる。さらに、部品点数の削減を図ることができるため、低コスト化を実現することができる。
また、ブロック部材80により、空間34を埋めることで、空間34の体積を抑制することができる。よって、環境変化による体積膨張などを起因とするダンパ機能の低下を抑制することができ、安定したインク吐出性能を確保することが可能となる。
[第6の実施形態]
ブロック部材80の他の形態について説明する。第5の実施形態では、ブロック部材80の一側面をパターン形成面とする例を説明したが、ブロック部材80の2以上の側面をパターン形成面とすることも好ましい。
図15は、第6の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図である。また、図16は、大気連通路となるパターン状の溝が形成されたブロック部材の斜視図である。なお、図15は、ブロック部材80において、パターン状の溝82bが形成される位置での断面を示している。
図16に示すようにブロック部材80の4つの側面すべてが凹形状部であるパターン状の溝82bが形成されたパターン形成面(ブロック表面80a)となっている。4側面のパターン状の溝82bは連通し、その一端側は、空間34(ダンパ室空間)と連通するブロック部材80の底面位置まで形成されている。また、他端側は、連結経路下部材40に形成される貫通孔42aと連通するブロック部材80の上面位置まで形成されている。したがって、より透気性が要求される場合の大気連通路の延長を可能とすることができる。
図17は、図16に示した4つの側面にパターン状の溝82bが設けられたブロック部材80の断面図を示している。このブロック部材80は、対向するフレーム30の内壁面との反発力で、所定の潰し量になるように組立てられており、パターン状の溝82bのそれぞれを密閉することができるようになっている。
このとき、効率的に密閉力が発生するように、パターン状の溝82bの外縁部分に凸形状部83を設けることが好ましい。この凸形状部83は、ブロック部材80をフレーム30の内部に押し込む際に、フレーム30の内壁面に圧縮される(潰される)部分である。すなわち、凸形状部83は、パターン形成面におけるパターン状の溝82bが形成されない面(フレーム30の内壁面に対向する面)に対して凸形状を有する部分である。
凸形状部83は、例えば、図17(A)に示すようにその断面が緩やかなR形状で形成されるものである。なお、凸形状部83の形状は、特に限られるものではなく、断面が円形状や台形形状や三角形状であっても良い。また、図17(B)に示すように凸形状部83が複数の凸部から形成されるものであっても良い。なお、凸形状部を設けることが好ましいことは、パターン状の溝82bがブロック部材80の一側面に形成される構成(第5の実施形態)においても同様である。
[第7の実施形態]
第5、第6の実施形態では、ブロック部材80の側面にパターン状の溝82bを形成する例について説明したが、ブロック部材80の側面にはパターン状の溝82bを形成せず平面として、これに対向するフレーム30の内壁面30aにパターン状の溝32bを形成するようにしても良い。
図18は、フレーム30の上方から空間34を見たときの断面図を示している。なお、説明のためブロック部材80の奥側に存在するダンパ33についても図示している。
フレーム30において、ブロック部材80の4つの側面と密接する各内壁面30aには、大気連通路となるパターン状の溝32bが形成されており、このパターン状の溝32bは、左右の空間34のそれぞれにおいて1本でつながる構成となっている。なお、図18では、4つの内壁面30aにパターン状の溝32bが形成されている例を示しているが、フレーム30の内壁面30aの少なくとも1面にあれば良い。
このパターン状の溝32bの一端側は、少なくとも空間34(ダンパ室空間)と連通するブロック部材80の底面位置に相当するフレーム30の位置まで形成されている。また、他端側は、連結経路下部材40に形成される貫通孔42aと連通するブロック部材80の上面位置に相当するフレーム30の位置まで形成されている。
この第7の実施形態では、フレーム30の内壁面30aにブロック部材80を密着させている。すなわち、ブロック部材80により、フレーム内壁面30aに形成されたパターン状の溝32bの空間をシールしている。この際、連結経路下部材40の装着によって、予め規定した寸法でブロック部材80を圧縮することで発生する面圧を利用し、パターン状の溝32bがそれぞれ隔てられて1本の経路が形成されるように(隣接する溝が連通してしまわないように)密閉することができるようになっている。
なお、本実施形態では、ブロック部材80の側面を平面形状としているが、フレーム内壁面30aのパターン状の溝32bが形成される対向位置にパターン状の溝82bを形成し、パターン状の溝32bおよびパターン状の溝82bにより大気連通路が形成されるようにしても良い。
[第8の実施形態]
図19は、第8の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図である。ここで、フレーム30に形成される共通液室31までの連結管32とインクタンク60からのインク経路51,71,41とを繋ぐ繋ぎ部分には、インクを封止するために部材が必要である。図13や図15に示すようにそのための部材を設けるようにしても良いが、図19に示すように、ブロック部材80の一部が、フレーム30と連結経路下部材40との間に挟まれて、インクの流路に面するものであって、この挟まれた箇所にインク経路41と連結管32の繋ぎ部分をシールするためのシール部84を有するようにしても良い。図19に示すようなシール部84を形成することで、ブロック部材80が液体封止部材としての機能も兼ねることができる。
なお、図19は、図15に示す構成においてシール部84が設けられた例を示しているが、他の実施形態の構成についても同様にシール部84を設けることが好ましいのは勿論である。
(画像形成装置)
以下、本発明に係る液滴吐出装置1を備えた画像形成装置の一実施形態について、図20に示す斜視図と、図21に示す機構部の構成を示す側面図を参照して説明する。
画像形成装置100は、装置本体の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ101とキャリッジ101に搭載した液滴吐出装置1及び液滴吐出装置1に対してインクを供給するインクカートリッジ102等で構成される印字機構部103等を収納し、装置本体の下方部には前方側から多数枚の記録紙Pを積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい)104を抜き差し自在に装着されている。また、記録紙Pを手差しで給紙するために開かれる手差しトレイ105を有し、給紙カセット104あるいは手差しトレイ105から給送される記録紙Pを取り込み、印字機構部103によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ106に排紙する。
印字機構部103は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド107と従ガイドロッド108とでキャリッジ101を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ101にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(B)の各色のインク滴を吐出する液滴吐出装置1を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ101には液滴吐出装置1に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ102を交換可能に装着している。
インクカートリッジ102は上方に大気と連通する大気口、下方には液滴吐出装置1へインクを供給する供給口が設けられ、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により液滴吐出装置1へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、液滴吐出装置1としては各色の液滴吐出装置1を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の液滴吐出ヘッドでもよい。
ここでキャリッジ101は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド107に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド108に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ101を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ109で回転駆動される駆動プーリ110と従動プーリ111との間にタイミングベルト112を張装し、このタイミングベルト112をキャリッジ101に固定しており、主走査モータ109の正逆回転によりキャリッジ101が往復駆動される。
一方、給紙カセット104にセットした記録紙Pを液滴吐出装置1の下方側に搬送するために、給紙カセット104から記録紙Pを分離給装する給紙ローラ113及びフリクションパッド114と、記録紙Pを案内するガイド部材115と、給紙された記録紙Pを反転させて搬送する搬送ローラ116と、この搬送ローラ116の周面に押し付けられる搬送コロ117及び搬送ローラ116からの記録紙Pの送り出し角度を規定する先端コロ118とを有する。搬送ローラ116は副走査モータによってギア列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ101の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ116から送り出された記録紙Pを液滴吐出装置1の下方側で案内するため用紙ガイド部材である印写受け部材119を設けている。この印写受け部材119の用紙搬送方向下流側には、記録紙Pを排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ120と拍車121を設け、さらに記録紙Pを排紙トレイ106に送り出す排紙ローラ123と拍車124と、排紙経路を形成するガイド部材125,126とを配設している。
この画像形成装置100で記録時には、キャリッジ101を移動させながら画像信号に応じて液滴吐出装置1を駆動することにより、停止している記録紙Pにインクを吐出して1行分を記録し、その後、記録紙Pを所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または記録紙Pの後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ記録紙Pを排紙する。
また、キャリッジ101の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、液滴吐出装置1の吐出不良を回復するための回復装置127を配置している。回復装置127はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ101は印字待機中にはこの回復装置127側に移動されてキャッピング手段で液滴吐出装置1をキャッピングして吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
また、吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で液滴吐出装置1の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
本明細書における「記録」には、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を被記録媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)も含むものとする。また、液滴吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。
また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
1 液滴吐出装置
10 ノズル板
11(11y,11m,11c,11k) ノズル
20 アクチュエータユニット
21(21y,21m,21c,21k) 個別液室
22 流路板
23(23y,23m,23c,23k) アクチュエータ
24(24a,24b,24c,24d) 駆動回路
25 アクチュエータ基板
26(26y,26m,26c,26k) 流体抵抗部
27(27y,27m,27c,27k) 液導入部
30 フレーム
30a 内壁面
31 共通液室
32 連結管
32b パターン状の溝
33 ダンパ
34 空間
35 ストッパ部
40 連結経路下部材
41 インク経路
42 大気連通路
42a 貫通孔
42b パターン状の溝
50 連結経路上部材
51 インク経路
52 大気連通路
52b パターン状の溝
60 インクタンク
70 弾性部材(液体封止部材)
71 インク経路
72 大気連通路
72a 貫通孔
72b,72b1,72b2 パターン状の溝
72c 両面貫通孔
72d 端部
73 凸形状部
74 シール部
80 ブロック部材
80a ブロック表面(パターン形成面)
82b パターン状の溝
83 凸形状部
84 シール部
90 カバーシール
100 画像形成装置
101 キャリッジ
102 インクカートリッジ
103 印字機構部
104 給紙カセット
105 手差しトレイ
106 排紙トレイ
107 主ガイドロッド
108 従ガイドロッド
109 主走査モータ
110 駆動プーリ
111 従動プーリ
112 タイミングベルト
113 給紙ローラ
114 フリクションパッド
115 ガイド部材
116 搬送ローラ
117 搬送コロ
118 先端コロ
119 印写受け部材
120 搬送コロ
121 拍車
123 排紙ローラ
124 拍車
125,126 ガイド部材
127 回復装置
P 記録紙
特開2013−103392号公報 特開2011− 887号公報 特開2002−127407号公報

Claims (15)

  1. 液滴を吐出するノズルと、
    前記ノズルと連通する個別液室と、
    前記個別液室に供給する液体を貯留する共通液室と、
    前記ノズルから液滴を吐出させるための圧力発生手段と、
    前記共通液室の壁面の一部に設けられる変形可能なダンパと、
    当該液滴吐出ヘッドの構造部材の所定面と少なくとも一面で密接し、前記共通液室へ液体を供給する流路を封止する液体封止部材である弾性体と、を備え、
    前記共通液室の前記ダンパを挟んだ反対側に大気連通路を介して大気と連通する空間が形成されるとともに、
    前記大気連通路は、前記弾性体または前記構造部材の密接面の少なくとも一方に形成された凹形状部により形成される連通路を含んでなることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 前記凹形状部は、前記弾性体の前記構造部材との密接面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 前記凹形状部は、前記構造部材の前記弾性体との密接面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 前記弾性体と所定面で密接する前記構造部材を第1の構造部材として、
    該第1の構造部材の前記弾性体を挟んだ反対側において、該弾性体と密接する第2の構造部材を備え、
    前記凹形状部は、前記弾性体の前記第1の構造部材との密接面および前記第2の構造部材との密接面の両面に形成されると共に、該両面に形成された凹形状部は、該弾性体に形成された貫通孔を介して連通していることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  5. 前記弾性体と所定面で密接する前記構造部材を第1の構造部材として、
    該第1の構造部材の前記弾性体を挟んだ反対側において、該弾性体と密接する第2の構造部材を備え、
    前記凹形状部は、前記第1の構造部材の前記弾性体との密接面および前記第2の構造部材の前記弾性体との密接面の2つの面に形成されると共に、該2つの面に形成された凹形状部は、前記弾性体に形成された貫通孔を介して連通していることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  6. 前記構造部材は前記共通液室へ供給する液体を貯留するタンク部と前記共通液室とを連結する流路を形成する部材であって、
    前記弾性体は該流路を封止する液体封止部材であることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  7. 液滴を吐出するノズルと、
    前記ノズルと連通する個別液室と、
    前記個別液室に供給する液体を貯留する共通液室と、
    前記ノズルから液滴を吐出させるための圧力発生手段と、
    前記共通液室の壁面の一部に設けられる変形可能なダンパと、
    当該液滴吐出ヘッドの構造部材の所定面と少なくとも一面で密接する弾性体と、を備え、
    前記共通液室の前記ダンパを挟んだ反対側に大気連通路を介して大気と連通する空間が形成されるとともに、
    前記構造部材は、前記空間を形成するフレーム部材を含むとともに、
    前記弾性体は、前記空間において少なくとも前記ダンパが変形可能なダンパ室空間を残して該空間を埋めるブロック部材であって、
    前記ブロック部材の少なくとも一部の面と前記フレーム部材の内壁面が密接し、前記大気連通路は、前記ブロック部材または前記フレーム部材の内壁面の少なくとも一方に形成された凹形状部により形成される連通路を含んでなることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  8. 前記凹形状部により形成される連通路の一端は、前記ダンパ室空間に開口していることを特徴とする請求項7に記載の液滴吐出ヘッド。
  9. 前記ダンパ室空間の前記ブロック部材を挟んだ反対側には、
    前記共通液室へ供給する液体を貯留するタンク部と、該タンク部と前記共通液室とを連結する流路の一部を形成する流路形成部材と、が少なくとも設けられ、
    前記流路形成部材には、大気と連通する貫通孔が形成されるとともに、該貫通孔は、前記凹形状部により形成される連通路の一端と連通していることを特徴とする請求項7または8に記載の液滴吐出ヘッド。
  10. 前記ブロック部材の一部は、前記流路形成部材と前記フレーム部材との間に挟まれて前記流路に面し、該流路に面する部分は、該流路を封止する液体封止部となっていることを特徴とする請求項9に記載の液滴吐出ヘッド。
  11. 前記フレーム部材は、前記空間において前記ダンパ室空間が形成される側にストッパ部を有し、
    前記ブロック部材は、前記ストッパ部に当接することで、該ブロック部材の位置決めがされることを特徴とする請求項7から10までのいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  12. 前記凹形状部は、前記弾性体に形成され、該凹形状部の外縁部に凸形状部が設けられていることを特徴とする請求項1,2,4,7のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  13. 前記凸形状部は、複数の凸部を有することを特徴とする請求項12に記載の液滴吐出ヘッド。
  14. 前記弾性体がフッ素ゴムであることを特徴とする請求項1から13までのいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  15. 請求項1から14までのいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを備えることを特徴とする画像形成装置。
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