JP2015105727A - 車両用ブッシュおよびシャシフレーム支持構造 - Google Patents

車両用ブッシュおよびシャシフレーム支持構造 Download PDF

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Abstract

【課題】組み立て時の作業性を損なうことなく、車両の操縦安定性を向上させることが可能な、車両用ブッシュおよびシャシフレーム支持構造を提供する。【解決手段】ブッシュ1は、車幅方向の左右二箇所に配置される。ブッシュ1は、内筒11と外筒12と、内筒11と外筒12との間に配置される弾性体13とを有して内筒11の中心軸O1を車両上下方向として車両に取り付けられる。内筒11および外筒12はそれぞれ、車両に取り付けたときに車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する傾斜部11a,12bを有する。弾性体13は、内筒11の傾斜部11bと外筒12の傾斜部12bとの間に介在する部分を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用ブッシュおよびシャシフレーム支持構造に関するものである。
内筒部材と外筒部材との間を弾性体で連結したブッシュとしては、車両サスペンションのサブフレーム支持構造に採用されるものがある(例えば、特許文献1参照)。このサブフレーム支持構造は、差動装置を設けたサブフレームを、略鉛直方向に沿った中心軸を有するブッシュを介して車体(ボディ)に連結するとともに、前記ブッシュにおける前記内筒部材の中間部の水平断面形状を前記サブフレームのヨーイング中心と前記内筒部材の中心軸とを通る第1の方向と直交する第2の方向に大きくすることで、ヨーイングおよびピッチングを抑制している。
特開2011−57021号公報
しかしながら、前記サブフレームには、様々なサスペンションリンク機構を介してタイヤが取り付けられている。このため、路面状態に起因した振動等が前記タイヤから入力されたとき、前記サブフレームのロール回転中心軸と、その他のサスペンションリンク機構のロール回転中心軸とがそれぞれ異なることから、前記サブフレームと前記サスペンションリンク機構とは相対的に別々の動きとなる。こうした異なる動きは、車両の操縦安定性に影響を与えることが懸念される。
そこで、前記ブッシュの前記弾性体として硬度が高いゴムを使用すれば、当該ブッシュ自体の剛性が高まることで、前記サブフレームの動きが抑制されるため、車両の操縦安定性が向上する。
一方、ゴム硬度を高くして前記ブッシュの剛性を高めた場合、動的ばね定数が高くなることから、振動や騒音を伝達しやすくなるため、防振・防音性能などの性能悪化が考えられる。
こうした対策としては、前記ブッシュの弾性主軸の方向を変えるべく、例えば、前記ブッシュ自体を傾けて取り付けることが考えられる。このように前記ブッシュ自体を傾けて取り付ければ、前記サブフレームのロール回転中心軸と、前記サスペンションリンク機構のロール回転中心軸とを近付けることができるため、前記サブフレームのロール回転角度が低減されることにより、前記サブフレームの相対動きを減少させることができる。
ところが、前記ブッシュ自体を傾けて取り付ける場合、前記サブフレーム及び/又は前記車体への取り付けが困難になるという新たな問題が生じる。
本発明の目的は、組み立て時の作業性を損なうことなく、車両の操縦安定性を向上させることが可能な、車両用ブッシュおよびシャシフレーム支持構造を提供することにある。
本発明の車両用ブッシュは、車両の車幅方向の左右二箇所の少なくとも一方の位置に配置されるブッシュであって、前記ブッシュは、内側部材と、前記内側部材を取り囲む外筒部材と、前記内側部材と前記外筒部材との間に配置される弾性体とを有して、前記内側部材の中心軸を車両上下方向として車両に取り付けられるものであって、前記内側部材および前記外筒部材はそれぞれ、車両に取り付けられたときに車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する傾斜部を有するものであり、前記弾性体は、少なくとも、前記内側部材の前記傾斜部と前記外筒部材の前記傾斜部との間に介在する部分を含むものである。
本発明の車両用ブッシュによれば、当該車両用ブッシュを車両上下方向に対して傾けることなく、弾性主軸の方向が変えられることで、車両の操縦安定性を向上させることができる。
本発明の車両用ブッシュにおいて、前記内側部材および前記外筒部材はそれぞれ、車両に取り付けられたときに車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する他の傾斜部を有するものであり、前記弾性体は、前記内側部材の前記他の傾斜部と前記外筒部材の前記他の傾斜部との間に介在する部分をさらに含むものであることが好ましい。
この場合、前記弾性主軸の傾きを大きく確保しつつ、当該弾性主軸の傾きを安定的に一定の状態に維持することができる。
本発明のシャシフレーム支持構造は、シャシフレームと、前記シャシフレームの車幅方向の左右二箇所の位置に配置される少なくとも2つのブッシュとを有し、当該ブッシュによって前記シャシフレームを支持するシャシフレーム支持構造であって、
前記ブッシュは、内側部材と、前記内側部材を取り囲む外筒部材と、前記内側部材と前記外筒部材との間に配置される弾性体とを有して、前記内側部材の中心軸を車両上下方向として車両に取り付けられるものであって、前記内側部材および前記外筒部材はそれぞれ、車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する傾斜部を有するものであり、前記弾性体は、少なくとも、前記内側部材の前記傾斜部と前記外筒部材の前記傾斜部との間に介在する部分を含むものである。
本発明のシャシフレーム支持構造によれば、車両用ブッシュを車両上下方向に対して傾けることなく、弾性主軸の方向が変えられることで、シャシフレームのロール回転角度が低減されるため、シャシフレームの相対的な動きが減少することにより、車両の操縦安定性を向上させることができる。
本発明のシャシフレーム支持構造において、前記内側部材および前記外筒部材はそれぞれ、車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する他の傾斜部を有するものであり、前記弾性体は、前記内側部材の前記他の傾斜部と前記外筒部材の前記他の傾斜部との間に介在する部分をさらに含むものであることが好ましい。
この場合、前記弾性主軸の傾きを大きく確保しつつ、当該弾性主軸の傾きを安定的に一定の状態に維持することができる。
本発明によれば、組み立て時の作業性を損なうことなく、車両の操縦安定性を向上させることが可能な、車両用ブッシュおよびシャシフレーム支持構造を提供することができる。
本発明の車両用ブッシュに係る、第1の実施形態の円筒ブッシュを示す縦断面図である。 本発明のシャシフレーム支持構造に係る、一実施形態のサブフレーム支持構造であって、本発明に係る円筒ブッシュを用いた場合の作用を車両後方向から模式的に示す概略作用図である。 図2のサブフレーム支持構造を上方から模式的に示す概略平面図である。 (a)は、本発明の車両用ブッシュに係る、第2の実施形態の円筒ブッシュを示す斜視図であって、(b)は(a)の円筒ブッシュを用いた、本発明の車両用ブッシュに係る、第3の実施形態の複合円筒ブッシュを示す縦断面図である。 (a)は、本発明の車両用ブッシュに係る、第4の実施形態の円筒ブッシュを示す斜視図であって、(b)は(a)の円筒ブッシュを示す縦断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の車両用ブッシュに係る、様々な実施形態の円筒ブッシュと、本発明のシャシフレーム支持構造に係る、一実施形態のサブフレーム支持構造とを詳細に説明する。なお、以下の説明では、図面上下方向を鉛直方向とし、図面の上方および下方をそれぞれ、車両の上方および下方とする。
図1は、本発明の車両用ブッシュに係る、第1の実施形態の円筒ブッシュ1を示す縦断面図である。本実施形態の円筒ブッシュ1は、内筒部材(内側部材)11と、この内筒部材11を取り囲む外筒部材12と、内筒部材11と外筒部材12との間に配置される弾性体13とを有して、外筒部材12は内筒部材11の中心軸O1を車両上下方向として同心配置されている。ここで、中心軸O1とは、内筒部材11の内径中心を通って伸びる軸線である。
詳細には、内筒部材11は、金属性材料からなり、本体部11aと、この本体部11aから中心軸O1に対して径方向外側に向かって突出する傾斜部11bを有する。本実施形態では、本体部11aは、軸直角方向の肉厚が中心軸O1に沿って一定の中空の円筒形である。本実施形態では、本体部11aの内周面および外周面はそれぞれ、中心軸O1周りの半径が中心軸O1に沿って同径のストレート形状である。また本実施形態では、本体部11aは、その内側に貫通穴が形成されている。この貫通穴には、後述するサブフレーム20(図2,3参照)を、円筒ブッシュ1を介してボディ(図示省略)などに固定するための締結ボルトが貫通する。
また、本体部11aは、その上端面が傾斜部11bの上端縁よりも上側に位置するように形成されている。これにより、本実施形態では、本体部11aの上端面11e1が内筒部材11の上端面(以下、内筒部材11の上端面11e1ともいう)とされている。本実施形態では、傾斜部11bの上端縁を本体部11aの上端面11e1よりも下げたことで、傾斜部11bの上端縁に直接外力が入力されることを防止している。ただし、傾斜部11bの上端縁は、本体部11aの上端面11e1と同一高さ、或いは本体部11aの上端面11e1よりも高くすることが可能である。
また図1に示すように、本実施形態では、傾斜部11bは、本体部11aの上端面11e1側に開口したポケット状の形状であって、開口側と反対側は本体部11aの外周面との間が閉じられている。本実施形態では、傾斜部11bは、本体部11aの外周面から内筒部材11の上端面11e1に向かうに従って車幅方向内向きに傾斜する傾斜面11fを有する。傾斜部11bの傾斜面11fは、傾斜部11bが指向する向きと中心軸O1とのなす角度θ2が90度以下の範囲であればよい。角度θ2は、車両の仕様などに合わせて、個々に設定することができる。また、傾斜部11bは、上方又は下方から見たとき、本体部11a(中心軸O1)の周りに180度以下の範囲内に形成することができる。本発明では、この範囲を大きくすることで、後述する弾性主軸O2の傾きを大きくすることができるが、この範囲も車両の仕様などに合わせて、個々に設定することができる。傾斜部11bは、例えば、本体部11aに対して溶接等によって取り付けても、本体部11aと一体に形成することもできる。
外筒部材12は、金属性材料からなり、内筒部材11を全周にわたって取り囲んで軸直角方向の肉厚が一定の中空の円筒形である。外筒部材12も、中心軸O1に対して径方向外側に向かって突出する傾斜部12bを有する。外筒部材12の傾斜部12bは、図1に示すように、内筒部材11の傾斜部11bの傾斜面11fと対向するように車幅方向内向きに傾斜する傾斜面12fを有する。これにより、内筒部材11の傾斜部11bと外筒部材12の傾斜部12bとの相互間には、図1に示すように、上方に向かうに従って径方向外向きに傾斜する領域Sが形成される。傾斜部12bも、内筒部材11の傾斜部11bと同様に、傾斜部12bが指向する向きと中心軸O1とのなす角度を設定する。好適には、内筒部材11の傾斜部11bと外筒部材12の傾斜部12bとは、縦断面視で、互いに向かい合う傾斜面11fおよび12fが平行になるように構成される。本実施形態では、外筒部材12は、開口部が形成された下端部12a1と、この下端部12a1の外縁から上方に伸びる胴部12a3と、この胴部12a3よりも径が小さい絞り部12a4を有し、傾斜部12bは、絞り部12a4から外筒部材12の上端面側に向かうに従って車幅方向内向きに傾斜する。
また、本実施形態では、傾斜部12bに、径方向外向きに伸びる上側フランジ部12a5が設けられている。一方、上側フランジ部12a5と中心軸O1を挟んで反対側には、上側フランジ部12a5よりも低い位置にある下側フランジ部12a6が設けられている。下側フランジ部12a6は、絞り部12a4から径方向外向きに伸びている。
本実施形態では、内筒部材11の本体部11aの外周面は、内筒部材11の下端面11e2の外縁部を残して弾性体13によって被覆されている。加えて、内筒部材11の傾斜部11b全体は、図1に示すように、弾性体13によって被覆されている。これにより、本実施形態では、円筒ブッシュ1の上端面1e1は、内筒部材11の上端面11e1および弾性体13からなる平坦面として形成される。さらに、図1に示すように、外筒部材12は、その内周面全体が弾性体13によって被覆されている。加えて、本実施形態では、図1に示すように、外筒部材12は、上側フランジ部12a5の上端面全体が弾性体13によって被覆されている一方、下側フランジ部12a6の上端面の一部も弾性体13によって被覆されている。これにより、円筒ブッシュ1は、その上端側に加わる荷重を内筒部材11の上端面11e1と弾性体13とで受けている。
弾性体13は、例えば、内筒部材11および外筒部材12をインサート品として、内筒部材11と外筒部材12との間に加硫成形することができる。すなわち、円筒ブッシュ1は、インサート成形することができる。
図1に示すように、内筒部材11の傾斜部11bと外筒部材12の傾斜部12bとは、車幅方向内側に向かう従って上方に傾斜し、これら傾斜部11bおよび傾斜部12bの相互間に形成された領域Sには弾性体13が介在する。即ち、弾性体13は、内筒部材11の傾斜部11bと外筒部材12の傾斜部12bとの間に介在する部分を含む。この領域S内の弾性体13は、円筒ブッシュ1の上端面1e1に対して下向きの荷重が加わると、内筒部材11の傾斜部11bが外筒部材12の傾斜部12bに向かって移動することから、内筒部材11の傾斜部11bと外筒部材12の傾斜部12bとの間で圧縮される。即ち、内筒部材11には、白抜き矢印に示す円筒ブッシュ1の上端面1e1からの下向きの荷重と、白抜き矢印に示す弾性体13からの外筒部材12の傾斜部12bから車幅方向外側に向かう反力とが入力される。この結果、内筒部材11は、車幅方向外側に向かって下方に傾斜する合力を受ける。このため、円筒ブッシュ1の弾性主軸O2の方向は、車幅方向内側に配置された内筒部材11の傾斜部11bが外筒部材12の傾斜部12bに接近する方向に傾斜角θ1(例えば、θ1=30度)だけ傾斜する。すなわち、無負荷時には中心軸O1と一致していた円筒ブッシュ1の弾性主軸O2は、円筒ブッシュ1の上端面1e1に荷重が加わることで、上側に向かう従って車幅方向内側に傾斜角θ1だけ傾く。
このように、円筒ブッシュ1は、中心軸O1を車両上下方向にしたまま配置しても、下向きの荷重が加わることで、円筒ブッシュ1の弾性主軸O2の向きを上側に向かう従って車幅方向内側に傾斜角θ1だけ傾かせることができる。すなわち、本実施形態の円筒ブッシュ1によれば、円筒ブッシュ1自体を鉛直方向に対して傾けて取り付けることなく、円筒ブッシュ1の弾性主軸O2の方向が変えられることで、車両の操縦安定性を向上させることができる。なお、円筒ブッシュ1は、上下逆向きに取り付けることができる。すなわち、円筒ブッシュ1の下端面11e2側をボディ等に固定することができる。この場合、円筒ブッシュ1内の領域Sは、弾性体13が圧縮される圧縮空間ではなく、弾性体13を伸張させる空間となるが、この場合も、円筒ブッシュ1の弾性主軸O2の方向は、傾斜部11b、12bを車幅方向内側に向けて突出させることで、上側(この場合は、円筒ブッシュ1の下端面1e2側が円筒ブッシュ1の上側となる)に向かう従って車幅方向内側に傾斜角θ1だけ傾けることができる。なお、この場合、傾斜部11b、12bが突出する向きとしては、車幅方向外向きになる。
図2,3は、本発明のシャシフレーム支持構造に係る、一実施形態のサブフレーム支持構造であって、円筒ブッシュ1を用いた場合の作用を車両後方から模式的に示す。本実施形態は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ方式)車のリアサスペンションのサブフレーム支持構造である。
図2に示すように、符号30は、サブフレーム20の車幅方向左右両側に配置されるリアタイヤである。リアタイヤ30はそれぞれ、ナックル30a、アッパーアーム41およびロアアーム42を基本構成とするサスペンションリンク機構を介してサブフレーム20に取り付けられている。但し、サブフレーム20とリアタイヤ30との間のサスペンションリンク機構については特に限定されるものではない。
また、図2に示すように、サブフレーム20には、車幅方向の左右両側に、円筒ブッシュ1を取り付けるブッシュ取り付け部21が設けられている。本実施形態では、図3に示すように、円筒ブッシュ1は、サブフレーム20に対して計4箇所の位置に設けられている。詳細には、図3に示すように、円筒ブッシュ1は、車幅方向の左側と右側とに配置された円筒ブッシュ1を左右一対とし、この左右一対の円筒ブッシュ1が前後二列に間隔を置いて配置されている。
加えて、本実施形態では、図3に示すように、左右一対の2つの円筒ブッシュ1は、傾斜部11bおよび12bがそれぞれ、各中心軸O1に対して車幅方向内側に向かって突出している。すなわち、左右一対の2つの円筒ブッシュ1は、互いの傾斜部11b、12b(図3では、弾性体13が拡大した部分の内側に存在する)が車幅方向内側に向かって傾斜するように設けられている。なお、本発明において、車幅方向内側とは、図3の後方側の左右に配置された2つのサブフレーム20のブッシュ取り付け部21に例示するように、車両前後方向軸線と平行な軸線OLを基準に、車幅方向内側にあればよい。すなわち、中心軸O1を通る車幅方向軸線Owに対して前後90度の範囲(図3中、θ3=180度の範囲)をとることができる。例えば、図3に示すように、互いの傾斜部11b、12bを車幅方向軸線Ow上で対向させることが最も好ましいと考えられる。しかしながら、本発明では、2つの円筒ブッシュ1の傾斜部11b、12bが互いにθ3=180度の範囲に突出していればよいと考えられるので、互いの角度θ3はそれぞれ、車両の仕様などに合わせて、個々に設定することができる。また、左右一対の2つの円筒ブッシュ1は、車幅方向軸線Ow上に整列する場合は勿論、前後にずらした配置とすることもできる。
また、本実施形態では、図2に示すように、ブッシュ取り付け部21は嵌合孔Aを有し、この嵌合孔Aに円筒ブッシュ1が挿入される。すなわち、図3に示すように、円筒ブッシュ1は、外筒部材12を4つのブッシュ取り付け部21に固定することにより、サブフレーム20に固定される。外筒部材12は、例えば、ブッシュ取り付け部21の内側に圧入嵌合させることによって固定される。ただし、外筒部材12をブッシュ取り付け部21に固定する手段は特に限定されるものではない。
円筒ブッシュ1は、締結ボルト等を用いて図示せぬボディ等に固定される。これにより、サブフレーム20は、円筒ブッシュ1を介してボディ等に支持される。
次に、図2,3を参照して、本実施形態のサブフレーム支持構造を説明する。
図2中、符号LRは、サスペンションリンク機構のロール回転中心軸である。一方、符号Lr2は、内筒部材11の中心軸O1を車両上下方向として従来のブッシュを取り付けたサブフレーム20のロール回転中心軸である。従来のブッシュの場合、中心軸O1と弾性主軸O2が一致し、サブフレーム20のロール回転角度が大きく、サブフレーム20のロール回転中心軸Lr2は、図2に示すように、サスペンションリンク機構のロール回転中心軸LRと異なる位置となる。すなわち、サスペンションリンク機構とサブフレーム20とは、相対的に別々の動きとなる。こうした異なる動きは、車両の操縦安定性に影響を与えることが懸念される。
これに対し、本実施形態では、図3に示すように、円筒ブッシュ1の傾斜部11bおよび12bがそれぞれ、各中心軸O1に対して車幅方向内側に向かって突出している。このため、ボディ等に取り付けられた状態でタイヤ30を接地させると、図2に示すように、左右一対の2つの円筒ブッシュ1ではそれぞれ、弾性主軸O2の方向が上方に向かうに従って車幅方向内側に傾斜角θ1だけ傾くことで、サブフレーム20のロール回転中心軸Lr1も、図2の白抜き矢印に示すように、サスペンションリンク機構のロール回転中心軸LRに一致する方向に移動することで、サブフレーム20のロール回転角度が低減される。従って、各円筒ブッシュ1を車両上下方向に対して傾けて取り付けることなく、サブフレーム20のロール回転角度が低減され、サブフレーム20の相対的な動きが減少することにより、弾性体13のゴム硬度を高めることなく、車両の操縦安定性を向上させることができる。
また、本実施形態では、操縦安定性を向上させるために、弾性体13のゴム硬度を高める必要がないので、ゴム硬度を下げることで、防振・防音性能を向上させることができる。さらに、中心軸O1は、従来と同様、車両上下方向に沿って伸びているため、円筒ブッシュ1を傾けることなく、そのままサブフレーム20に組み付けることができる。
このように、本発明によれば、組み立て時の作業性を損なうことなく、車両の操縦安定性を向上させることが可能な、円筒ブッシュ1およびサブフレーム支持構造を提供することができる。
なお、本実施形態のサブフレーム支持構造では、図3に示すように、前後二列それぞれで、円筒ブッシュ1を用いている。本実施形態のように、前後二列全てに円筒ブッシュ1を用いた場合、車両の操縦安定性に最も効果的である。但し本実施形態のサブフレーム支持構造は、前後二列の少なくとも一列に円筒ブッシュ1を採用することもできる。
ここで、図4(a)は、本発明の車両用ブッシュに係る、第2の実施形態の円筒ブッシュ2を示す斜視図であって、図4(b)は、本発明の車両用ブッシュに係る、第3の実施形態の複合円筒ブッシュ3を示す縦断面図である。以下の説明において、前述の第1の実施形態の円筒ブッシュ1の構成と実質的に同一の部分は、同一の符号をもってその説明を省略する。
図4(a)に示すように、円筒ブッシュ2は、本体部11aの上端面11e1が弾性体13よりも上側に位置するように形成されている。これにより、本実施形態では、本体部11aの上端面11e1が円筒ブッシュ2の上端面1eとされている。
図4(b)に示すように、複合円筒ブッシュ3は、2つの円筒ブッシュ2の内筒部材11の下端面11e2を互いに突き合わせた状態で連結したものである。本実施形態では、2つの円筒ブッシュ2は、連結筒15を用いて連結されている。
また、本実施形態では、上側に配置された円筒ブッシュ2に設けられた2つの傾斜部11b,12bと、下側に配置された円筒ブッシュ2に設けられた2つの他の傾斜部11b,12bとが中心軸O1を挟んで中心軸O1周りに180度反対側に配置されている。これにより、図4(b)に示すように、上側に配置された円筒ブッシュ2では、車両に取り付けられたとき、2つの傾斜部11b,12bがそれぞれ、車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜し、弾性体13は、これら傾斜部11b,12bの間に介在する部分を含み、下側に配置された円筒ブッシュ2も、2つの他の傾斜部11b,12bがそれぞれ、車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜し、弾性体13は、これら傾斜部11b,12bの間に介在する部分を含む。即ち、複合円筒ブッシュ3の弾性体13は、車幅方向内側に突出して、車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する傾斜部11b,12bの間に介在する部分と、車幅方向外側に突出して、上記傾斜部11b,12bそれぞれに平行に、車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する他の傾斜部11b,12bの間に介在する部分とを有している。すなわち、複合円筒ブッシュ3は、図4(b)に示すように、中心軸O1を挟んで上下反対に位置する、上側に位置する傾斜部11b、12bと下側に位置する傾斜部11b、12bとが、車幅方向軸線Owと直交するとともに中心軸O1を通る径方向軸線O周りに回転対称な位置に配置されたブッシュとしてなる。
この場合、図4(b)の白抜き矢印に示すように、複合円筒ブッシュ3の上端面1e1に下向きの荷重が入力されると、弾性主軸O2の向きを変えようとする作用は、複合円筒ブッシュ3内の上側に配置された車幅方向内側の領域S側と、複合円筒ブッシュ3内の下側に配置された車幅方向外側の領域S側との両方で生じる。このため、複合円筒ブッシュ3によれば、弾性主軸O2の中心軸O1に対する傾斜角θ1を、図1の円筒ブッシュ1と同様、大きく確保できる(例えば、θ1=30度)。また、弾性主軸O2が傾く効果は、弾性体13が領域S内にて圧縮されるときの方が、弾性体13が領域S内にて引き伸ばされるときよりも大きい。このため、領域Sが上下方向のいずれか一方にのみ配置される場合に比べ、上下両方向に配置した本実施形態の複合円筒ブッシュ3では、弾性主軸O2の向きを変化させるための作用が上下に生じるため、弾性主軸O2の傾斜角θ2を安定的に一定の状態に維持することができる。
従って、本実施形態の複合円筒ブッシュ3によれば、弾性主軸O2の傾きを大きく確保しつつ、弾性主軸O2の傾きを安定的に一定の状態に維持することができる。なお、図4(b)に示すように、本実施形態の複合円筒ブッシュ3に採用された円筒ブッシュ2の内筒部材11は、傾斜部11bの上端縁11b1が上方に湾曲するように形成されている。また、本実施形態の複合円筒ブッシュ3は、上下逆に取り付けても、同じ弾性主軸O2の傾きが得られる。
図5(a)は、本発明の車両用ブッシュに係る、第4の実施形態の円筒ブッシュ4を示す斜視図であって、図5(b)は、円筒ブッシュ4を示す縦断面図である。以下の説明において、前述の他の実施形態の円筒ブッシュ1〜3の構成と実質的に同一の部分は、同一の符号をもってその説明を省略する。
図5(a)に示すように、円筒ブッシュ4は、第1の実施形態の円筒ブッシュ1と同様、中心軸O1上に同心配置される内筒部材(内側部材)16および外筒部材17と、内筒部材16と外筒部材17との間に配置される弾性体13とを有している。
図5(b)に示すように、内筒部材16は、本体部16aを有する。本実施形態では、本体部16aは、軸直角方向の肉厚が中心軸O1に沿って一定の中空の円筒形であって、その内側に貫通穴が形成されている。本実施形態では、本体部16aの内周面および外周面はそれぞれ、中心軸O1周りの半径が中心軸O1に沿って同径のストレート形状である。
さらに本実施形態では、図5(b)に示すように、内筒部材16は、本体部16aの外周面から径方向外側に向かって突出する傾斜部16bと延長部16cとを有する。
傾斜部16bは、中心軸O1周りに局所的に突出した突出部であって、本体部16aの上端面16e1側に向かうに従って径方向外向きに傾斜するものと、本体部16aの下端面16e2側に向かうに従って径方向外向きに傾斜するものとの2つが設けられている。即ち、2つの傾斜部16bの傾斜面16fはいずれも、車幅方向内側に向かう従って車両上方に傾斜している。傾斜部16bはそれぞれ、互いに中心軸O1を挟んで中心軸O1周りに180度反対側に配置されている。傾斜部16bも、傾斜部16bの傾斜面16fが伸びる向きと中心軸O1とのなす傾斜角度θ2が90度以下の範囲であればよいが、車両の仕様などに合わせて、個々に設定することができる。また、傾斜部16bも、本体部16a(中心軸O1)の周りに180度以下の範囲内に形成することができる。本実施形態でも、この範囲を大きくすることで、弾性主軸O2の傾きを大きくすることができるが、この範囲も車両の仕様などに合わせて、個々に設定することができる。
延長部16cは、傾斜部16bから中心軸O1に沿って伸び、この延長部16cの端面がそれぞれ、本体部16aの端面とともに、内筒部材16の上端面16e1の一部および下端面16e2の一部を形成する。本実施形態では、延長部16cの外面は、本体部16aの外周面からの軸直角方向の肉厚が中心軸O1に沿って一定のストレート形状である。内筒部材16は、例えば、一体に形成することができる。
外筒部材17は、図5(b)に示すように、内筒部材16を全周にわたって取り囲んで軸直角方向の肉厚が中心軸O1に沿って一定の中空の本体部17aを有する。本実施形態では、本体部17aの内周面および外周面はそれぞれ、中心軸O1周りの半径が中心軸O1に沿って同径のストレート形状である。また本実施形態では、本体部17aの上端縁が径方向外向きに突出するフランジ部17dを形成する。
さらに、本実施形態では、図5(b)に示すように、外筒部材17は、本体部17aの内周面から径方向内側に向かって突出する傾斜部17bと延長部17cとを有する。本実施形態では、傾斜部17bは、中心軸O1周りに局所的に突出した突出部であって、本体部17aの下端面側に向かうに従って径方向内向きに傾斜するものと、本体部17aの上端面側に向かうに従って径方向内向きに傾斜するものとの2つが設けられている。即ち、2つの傾斜部17bの傾斜面17fはいずれも、車幅方向内側に向かう従って車両上方に傾斜している。傾斜部17bはそれぞれ、互いに中心軸O1を挟んで中心軸O1周りに180度反対側に配置されている。傾斜部17bも、傾斜部17bの対向面17fが伸びる向きと中心軸O1とのなす傾斜角度θ2が90度以下の範囲であればよいが、車両の仕様などに合わせて、個々に設定することができる。また、傾斜部17bも、本体部17a(中心軸O1)の内周面に沿って180度以下の範囲内に形成することができる。本実施形態でも、この範囲を大きくすることで、弾性主軸O2の傾きを大きくすることができるが、この範囲も車両の仕様などに合わせて、個々に設定することができる。
延長部17cは、傾斜部17bから中心軸O1に沿って伸び、この延長部17cの端面がそれぞれ、本体部17aの端面とともに、外筒部材17の上端面の一部を形成する。
外筒部材17の傾斜部17bは、図5(b)に示すように、内筒部材16の傾斜部16bと対向するように形成されている。これにより、弾性体13は、車両に取り付けられたときに、車幅方向内側に突出して、車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する傾斜部16b,17bの間に介在する部分と、車幅方向外側に突出して、本実施形態では、上記傾斜部16b,17bに平行に、車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する他の傾斜部16b,17bの間に介在する部分とを含む。すなわち、図5(b)に示すように、円筒ブッシュ4は、中心軸O1を挟んで車幅方向反対に位置する、車幅方向内側に位置する傾斜部16b、17bと、車幅方向外側に位置する傾斜部16b、17bとが、車幅方向軸線Owと直交するとともに中心軸O1を通る径方向軸線O周りに回転対称な位置に配置されたブッシュとしてなる。なお、傾斜部16b、17bは、車両方向内向きおよび外向きのいずれか一方のみに設けることができる。
従って、本実施形態の円筒ブッシュ4によれば、第3実施形態の複合円筒ブッシュ3と同様、弾性主軸O2の傾きを大きく確保しつつ(例えば、θ1=8度)、弾性主軸O2の傾きを安定的に一定の状態に維持することができる。なお、本実施形態では、弾性体13の両端側にそれぞれ、中心軸O1周りに断続的に複数の突条13e1,13e2が設けられている。これにより、本実施形態では、内筒部材16の本体部16aの上端面16e1および弾性体13の突条13e1が円筒ブッシュ4の上端面1e1としてなり、内筒部材16の本体部16aの下端面16e2が円筒ブッシュ4の下端面1e2としてなる。また、本実施形態の円筒ブッシュ4も、複合円筒ブッシュ3と同様、上下逆に取り付けても、同じ弾性主軸O2の傾きが得られる。
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。例えば、図2,3のサブフレーム支持構造は、FF車のリアサスペンションのサブフレーム支持構造として説明したが、FR(フロントエンジン・リアドライブ方式)車、RR(リアエンジン・リアドライブ方式)車、4WD(4輪駆動)車のリアサスペンションのサブフレーム支持構造についても同様である。また、本発明のシャシフレーム支持構造は、サスペンションのサブフレーム支持構造に限定されるものではない。
1 円筒ブッシュ(車両用ブッシュ)
2 円筒ブッシュ(車両用ブッシュ)
3 複合円筒ブッシュ(車両用ブッシュ)
4 円筒ブッシュ(車両用ブッシュ)
11 内筒部材(内側部材)
11a 本体部
11b 傾斜部
11f 傾斜面
12 外筒部材
12b 傾斜部
12f 傾斜面
13 弾性体
16 内筒部材(内側部材)
16a 本体部
16b 傾斜部
16f 傾斜面
17 外筒部材
17a 本体部
17b 傾斜部
17f 傾斜面
20 サブフレーム(シャシフレーム)
21 ブッシュ取り付け部
30 タイヤ
30a ナックル
41 アッパーアーム
42 ロアアーム
1 中心軸
2 弾性主軸
r1 サブフレームのロール回転中心軸(本発明)
r2 サブフレームのロール回転中心軸(従来)
R サスペンションリンク機構のロール回転中心軸
S 空間(弾性体の部分)

Claims (4)

  1. 車両の車幅方向の左右二箇所の少なくとも一方の位置に配置されるブッシュであって、
    前記ブッシュは、内側部材と、前記内側部材を取り囲む外筒部材と、前記内側部材と前記外筒部材との間に配置される弾性体とを有して、前記内側部材の中心軸を車両上下方向として車両に取り付けられるものであって、
    前記内側部材および前記外筒部材はそれぞれ、車両に取り付けられたときに車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する傾斜部を有するものであり、
    前記弾性体は、少なくとも、前記内側部材の前記傾斜部と前記外筒部材の前記傾斜部との間に介在する部分を含むものである、車両用ブッシュ。
  2. 請求項1において、前記内側部材および前記外筒部材はそれぞれ、車両に取り付けられたときに車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する他の傾斜部を有するものであり、
    前記弾性体は、前記内側部材の前記他の傾斜部と前記外筒部材の前記他の傾斜部との間に介在する部分をさらに含むものである、車両用ブッシュ。
  3. シャシフレームと、前記シャシフレームの車幅方向の左右二箇所の位置に配置される少なくとも2つのブッシュとを有し、当該ブッシュによって前記シャシフレームを支持するシャシフレーム支持構造であって、
    前記ブッシュは、内側部材と、前記内側部材を取り囲む外筒部材と、前記内側部材と前記外筒部材との間に配置される弾性体とを有して、前記内側部材の中心軸を車両上下方向として車両に取り付けられるものであって、
    前記内側部材および前記外筒部材はそれぞれ、車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する傾斜部を有するものであり、
    前記弾性体は、少なくとも、前記内側部材の前記傾斜部と前記外筒部材の前記傾斜部との間に介在する部分を含むものである、シャシフレーム支持構造。
  4. 請求項3において、前記内側部材および前記外筒部材はそれぞれ、車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する他の傾斜部を有するものであり、
    前記弾性体は、前記内側部材の前記他の傾斜部と前記外筒部材の前記他の傾斜部との間に介在する部分をさらに含むものである、シャシフレーム支持構造。
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