JP2015105250A - 肥満細胞の脱顆粒抑制剤 - Google Patents

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藤 秀 次 佐
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森 直 哉 大
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Yayoi Shimada
田 弥 生 島
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貴 真 江
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【課題】肥満細胞の脱顆粒に対する新規な抑制剤の提供。【解決手段】SSVLYGGPPSAA(配列番号1)で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたは該ペプチドと薬学的に許容可能な担体との結合体と結合する、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含んでなる、肥満細胞の脱顆粒抑制剤。【選択図】なし

Description

本発明は、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片を有効成分とする、新規な肥満細胞の脱顆粒抑制剤、または、アレルギー性疾患の予防または治療剤に関する。
肥満細胞(マスト細胞)は、ヒスタミン等の化学伝達物質を含有する顆粒及びサイトカイン産生能を有する細胞である。肥満細胞からの脱顆粒およびサイトカイン産生が、花粉症、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等のアレルギー性疾患や自己免疫疾患等の各種炎症性疾患において、重要な役割を果たすことが明らかになっている。例えば、アレルギー反応において、いったん活性化された肥満細胞は脱顆粒によって貯蔵された伝達物質を放出、あるいはロイコトリエンやサイトカインを産出して炎症反応を引き起こす(非特許文献1)。
このように、肥満細胞はアレルギー性疾患等の病態形成において主要な役割を演じていると考えられることから、肥満細胞の脱顆粒を抑制することにより、アレルギー性疾患等において最初の段階での治療または予防が可能であると考えられる。
現在、アレルギー剤としては、抗ヒスタミン剤や免疫抑制効果のあるステロイド剤等が挙げられる。抗ヒスタミン剤は、エフェクター細胞から遊離されたヒスタミンの、標的細胞に発現する特異的な受容体への結合を抑制するものである。しかしながら、エフェクター細胞より産生される化学伝達物質にはヒスタミンだけではなくセロトニンやプロスタグランジン等が含まれており、抗ヒスタミン剤はこれらの化学伝達物質に対する効果が期待できない。また、ステロイド剤は強力な免疫抑制や抗炎症作用を有しており、アレルギー治療薬としては頻繁に使用されているが、易感染症等の副作用が多く観察されることが知られている。
一方、本発明者らは、SSVLYGGPPSAA(配列番号1)で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドを特異的に認識しうるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を開示している。さらに、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片を、移植拒絶の抑制またはその発症リスクの低減等の免疫抑制剤として用いることも開示している(特許文献1)。
さらに、本発明者らは、SSVLYGGPPSAA(配列番号1)で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドを特異的に認識しうるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を、敗血症等の治療剤として用いることも開示している(特許文献2)。
しかしながら、SSVLYGGPPSAA(配列番号1)で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドを特異的に認識しうるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片と、肥満細胞およびアレルギー疾患との関係については何ら報告されていない。
免疫生物学―免疫系の正常と病理―、南江堂、原書第5版、p.479
WO2012/023614号公報 WO2013/125687号公報
本発明者らは、今般、SSVLYGGPPSAA(配列番号1)で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドを特異的に認識しうるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片が、肥満細胞の脱顆粒に対して優れた抑制効果を奏することを見出し、さらに、抗アレルギー作用を有することを見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。
したがって、本発明は、肥満細胞の脱顆粒に対する新規な抑制剤、およびアレルギー性疾患をはじめとする肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害の治療または予防剤の提供を目的とする。
本発明には、以下の発明が包含される。
(1)SSVLYGGPPSAA(配列番号1)で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたは該ペプチドと薬学的に許容可能な担体との結合体と結合する、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含んでなる、肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
(2)RASSSVSYMH(配列番号2)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR1、ATSNLAS(配列番号3)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR2、およびQQWSSNPWT(配列番号4)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR3を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなる、(1)に記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
(3)モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の軽鎖可変領域が、配列番号6の第23番〜第128番で表されるアミノ酸配列を含んでなる、(1)または(2)のいずれかに記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
(4)GYNMN(配列番号7)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR1、NINPYYGSTSYNQKFKG(配列番号8)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR2、およびSPYYSNYWRYFDY(配列番号9)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR3を含んでなる重鎖可変領域を含んでなる、(1)〜(3)のいずれかに記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
(5)モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域が、配列番号11の第20番〜第141番で表されるアミノ酸配列を含んでなる、(1)〜(4)のいずれかに記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
(6)モノクローナル抗体またはその抗原結合断片が、上記ペプチドまたはペプチドと薬学的に許容可能な担体に対するものである、(1)〜(5)のいずれかに記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
(7)薬学的に許容可能な担体が、キーホールリンペットヘモシアニン、オボアルブミンまたはウシ血清アルブミンである、(1)〜(6)のいずれかに記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
(8)モノクローナル抗体またはその抗原結合断片が、ATP合成酵素活性をダウンレギュレーションしうる、(1)〜(7)のいずれかに記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
(9)モノクローナル抗体が、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体である、(1)〜(8)のいずれかに記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
(10)抗原結合断片が、Fab、Fab’、(Fab’)、FvまたはscFvである、(1)〜(9)のいずれかに記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
(11)(1)〜(10)のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含んでなる、肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害の治療または予防剤。
(12)肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害がアレルギー性疾患である、(11)に記載の治療または予防剤。
(13)アレルギー性疾患がI型アレルギー性疾患である、(12)に記載の治療剤。
(14)アレルギー性疾患がアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、蕁麻疹、アレルギー性胃腸炎、花粉症およびアナフィラキシーから選択される、(12)または(13)に記載の治療剤。
本発明によれば、SSVLYGGPPSAA(配列番号1)で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたは該ペプチドと薬学的に許容可能な担体との結合体と結合するモノクローナル抗体または抗原結合断片を用いて、肥満細胞の脱顆粒を効果的に抑制することができる。また、本発明によれば、アレルギー性疾患をはじめとする肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害を効果的に治療または予防することができる。
本発明のモノクローナル抗体(SSV mAb)または対照試薬(Isotype IgG1)に関する、肥満細胞の脱顆粒の結果を示す。図中のp値は、Studentのt検定により算出され、本発明のモノクローナル抗体投与群の値が対照試薬投与群の値と比較して統計学的に有意な差があることを表す。 本発明のモノクローナル抗体(SSV mAb)または対照試薬(Isotype IgG1)に関する、アレルギー性鼻炎モデルマウスの鼻腔へのOVAチャレンジに伴うくしゃみの結果を示す。ここで、*は、本発明のモノクローナル抗体投与群の値が、対照試薬投与群の値と比較して統計学的に有意な差があることを表す(Studentのt検定、p<0.05)。 本発明のモノクローナル抗体(SSV mAb)または対照試薬(Isotype IgG1)に関する、アレルギー性鼻炎モデルマウスの鼻腔へのOVAチャレンジに伴う鼻かき行動の結果を示す。ここで、*は本発明のモノクローナル抗体投与群の値が、対照試薬投与群の値と比較して統計学的に有意な差があることを表す(Studentのt検定、p<0.05)。 グラフの左2例は、対照試薬(Isotype IgG1)投与群における、OVAの初回免疫前の血清中の総IgG1抗体価および最後のOVAチャレンジ後の血清中の総IgG1抗体価の測定結果を示す。グラフの右2例は、SSV mAb投与群における、OVAの初回免疫前の血清中の総IgG1抗体価および最後のOVAチャレンジ後の血清中の総IgG1抗体価の測定結果を示す。ここで、**は、最後のOVAチャレンジ後の血清中の総IgG1抗体価がOVAの初回免疫前の血清中の総IgG1抗体価と比較して統計学的に有意な差があることを表す(Studentのt検定、p<0.01)。 グラフの左2例は、対照試薬(Isotype IgG1)投与群における、OVAの初回免疫前の血清中の総IgG2a抗体価および最後のOVAチャレンジ後の血清中の総IgG2a抗体価の測定結果を示す。グラフの右2例は、SSV mAb投与群における、OVAの初回免疫前の血清中の総IgG2a抗体価および最後のOVAチャレンジ後の血清中の総IgG2a抗体価の測定結果を示す。ここで、*は、最後のOVAチャレンジ後の血清中の総IgG2a抗体価がOVAの初回免疫前の血清中の総IgG2a抗体価と比較して統計学的に有意な差があることを表す(Studentのt検定、p<0.05)。 グラフの左2例は、対照試薬(Isotype IgG1)投与群における、OVAの初回免疫前の血清中の総IgE抗体価および最後のOVAチャレンジ後の血清中の総IgE抗体価の測定結果を示す。グラフの右2例は、SSV mAb投与群における、OVAの初回免疫前の血清中の総IgE抗体価および最後のOVAチャレンジ後の血清中の総IgE抗体価の測定結果を示す。ここで、**は、最後のOVAチャレンジ後の血清中の総IgE抗体価がOVAの初回免疫前の血清中の総IgE抗体価と比較して統計学的に有意な差があることを表す(Studentのt検定、p<0.01)。 グラフの左2例は、対照試薬(Isotype IgG1)投与群における、OVAの初回免疫前の血清中のOVA-特異的IgG1抗体価および最後のOVAチャレンジ後の血清中のOVA-特異的IgG1抗体価の測定結果を示す。グラフの右2例は、SSV mAb投与群における、OVAの初回免疫前の血清中のOVA-特異的IgG1抗体価および最後のOVAチャレンジ後の血清中のOVA-特異的IgG1抗体価の測定結果を示す。ここで、**は、最後のOVAチャレンジ後の血清中のOVA-特異的IgG1抗体価がOVAの初回免疫前の血清中のOVA-特異的IgG1抗体価と比較して統計学的に有意な差があることを表す(Studentのt検定、p<0.01)。 グラフの左2例は、対照試薬(Isotype IgG1)投与群における、OVAの初回免疫前の血清中のOVA-特異的IgG2a抗体価および最後のOVAチャレンジ後の血清中のOVA-特異的IgG2a抗体価の測定結果を示す。グラフの右2例は、SSV mAb投与群における、OVAの初回免疫前の血清中のOVA-特異的IgG2a抗体価および最後のOVAチャレンジ後の血清中のOVA-特異的IgG2a抗体価の測定結果を示す。ここで、**は、最後のOVAチャレンジ後の血清中のOVA-特異的IgG2a抗体価がOVAの初回免疫前の血清中のOVA-特異的IgG2a抗体価と比較して統計学的に有意な差があることを表す(Studentのt検定、p<0.01)。 グラフの左2例は、対照試薬(Isotype IgG1)投与群における、OVAの初回免疫前の血清中のOVA-特異的IgE抗体価および最後のOVAチャレンジ後の血清中のOVA-特異的IgE抗体価の測定結果を示す。グラフの右2例は、SSV mAb投与群における、OVAの初回免疫前の血清中のOVA-特異的IgE抗体価および最後のOVAチャレンジ後の血清中のOVA-特異的IgE抗体価の測定結果を示す。ここで、**は、最後のOVAチャレンジ後の血清中のOVA-特異的IgE抗体価がOVAの初回免疫前の血清中のOVA-特異的IgE抗体価と比較して統計学的に有意な差があることを表す(Studentのt検定、p<0.01)。
発明の具体的説明
寄託
本発明のハイブリドーマMouse-Mouse hybridoma SSV-C93-3は、原寄託日を2010年8月17日として、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(住所:日本国 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8バイオテクノロジー本部)において、受託番号NITE BP-972のもと寄託されている
肥満細胞の脱顆粒抑制剤
本発明の肥満細胞の脱顆粒抑制剤は、SSVLYGGPPSAA(配列番号1)で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたは該ペプチドと薬学的に許容可能な担体との結合体と結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を有効成分とすることを一つの特徴としている。かかるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片が、肥満細胞の脱顆粒に対して優れた抑制効果を奏することは意外な事実である。
本発明の好ましい態様によれば、上記抗体またはその抗原結合断片は、SSVLYGGPPSAA(配列番号1)で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたは該ペプチドと薬学的に許容可能な担体に対するものである。
また、本発明の一つの態様によれば、上記抗体またはその抗原結合断片は、ヒストンH1、ヒストンH3およびヒストンH4に特異的に結合するものである。
また、本発明の一つの態様によれば、上記抗体またはその抗原結合断片は、リンカーヒストン(ヒストンH1)に対する結合親和性よりも、コアヒストンに対する結合親和性が高い。
また、本発明の好ましい態様によれば、コアヒストンは、ヒストンH2A、H2B、H3またはH4であり、より好ましくはH2A、H3またはH4である。
また、本発明の抗体またはその抗体結合断片は、重鎖および/または軽鎖を含むことができる。各軽鎖および重鎖はそのN-末端に可変領域を有することができ、各可変領域では4つのフレームワーク領域(framework region)(FR)と、3つの相補性決定領域(CDR)とを交互に含んでいてよい。可変領域中の残基はKabatらによって考えられた系に従って慣用的に番号付けられている。この系はKabatら、1987、Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Departement of Health and Human Services, NIH,USAに述べられている。特に示さない限り本明細書でこの番号付け体系が使用される。このようなKabatらの方法に基づく番号付けは、例えば、Webサイトhttp://www.bioinf.org.uk/abs/abnum/を用いて簡易に行うことができる。
Kabat残基命名法はアミノ酸残基の直線的番号付けと必ずしも直接一致しない。実際の直線的アミノ酸配列は、基本可変領域構造の構造的要素、フレームワークまたはCDRのいずれにせよ、その短縮または挿入に対応して、厳格なKabat番号付けにおけるよりも少ないまたは追加のアミノ酸を有することがある。残基の正確なKabatの番号付けは、与えられた抗体について、「標準的」Kabat番号付けされた配列と抗体の配列中の相同性残基を整列させることによって決定されるであろう。
一つの態様によれば、本発明の抗体またはその抗原結合断片の軽鎖可変領域は、RASSSVSYMH(配列番号2)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR1、ATSNLAS(配列番号3)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR2、およびQQWSSNPWT(配列番号4)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR3を含んでなる。さらに好ましい態様によれば、上記軽鎖可変領域は、配列番号6の第23番〜第128番で表されるアミノ酸配列を含んでなる。
また、別の態様によれば、本発明の抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域は、GYNMN(配列番号7)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR1、NINPYYGSTSYNQKFKG(配列番号8)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR2、およびSPYYSNYWRYFDY(配列番号9)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR3を含んでなる。さらに好ましい態様によれば、上記重鎖可変領域は、配列番号11の第20番〜第141番で表されるアミノ酸配列を含んでなる。
また、本発明のより一層好ましい態様によれば、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6の第23番〜第128番で表されるアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域と、配列番号11の第20番〜第141番で表されるアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域とを含んでなる。
また、本発明の好ましい態様によれば、上記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ATP合成酵素活性をダウンレギュレーションすることができる。また、本発明のより好ましい態様によれば、上記ATP合成酵素はミトコンドリアのATP合成酵素である。
本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片の上記結合親和性およびATP合成酵素活性のダウンレギュレーション活性は、例えば、WO2012/023614号公報の試験例2および5に記載の手法により確認される。
また、本発明のモノクローナル抗体は、好ましくは、キメラ抗体、ヒト型化抗体または完全ヒト型抗体である。これら抗体は、例えば、Morrison,S.L., Oi, V.T., “immunoglobulin genes” Academic Press(London), 260-274(1989)、Roguska, M.L. et. Al., Humanization of murine monoclonal antibodies through variable domain resurfacing, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 969-973(1994)、Tomizuka, K. et.al. Functional expression and germline transmission of a human chromosome fragment in chimaeric mice, Nature Genet., 16, 133-143(1997)、Winter, G. et.al., Making antibodies by phage display technology, Ann. Rev. Immunol., 12, 433-455(1994)、Griffiths, A.D. et. al., Isolation of high affinity human antibodies directly from large synthetic repertoires, EMBO. J., 13, 3245-3260(1994) 等に記載の当該技術分野の公知技術に基づき、当業者は製造することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、上記抗原結合断片は、好ましくは、Fab、Fab’、(Fab’)、FvまたはscFvである。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、上記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ハイブリドーマはMouse-Mouse hybridoma SSV-C93-3により産生されたものである。
本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、およびハイブリドーマは、例えば、次のようにして製造することができる。すなわち、まず、本発明のハイブリドーマは、SSVLYGGPPSAA(配列番号1)で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたは該ペプチドと薬学的に許容可能な担体との結合体を感作抗原として使用し、この感作抗原にて免疫した哺乳動物の形質細胞(免疫細胞)を、哺乳動物のミエローマ細胞と融合させ、得られるハイブリドーマをクローニングし、そのハイブリドーマ中から選別することによりを得ることができる。そして、本発明のモノクローナル抗体は、本発明のハイブリドーマを培養し、これが産生する抗体を回収することにより得ることができる。
哺乳動物を免疫する方法としては、当該技術分野における一般的投与法を用いることができ、具体的には、腹腔内注射、脾臓内注射、筋肉内注射、皮下注射、皮内注射、経口投与、経粘膜投与、経皮投与などを挙げることができるが、好ましくは腹腔内注射、脾臓内注射である。感作抗原の投与間隔は、感作抗原の投与量および哺乳動物の種類などに応じて適宜決定されるが、例えば、1ヶ月間に数回毎とすることができる。
免疫される哺乳動物は、特に限定されないが、細胞融合に使用するミエローマ細胞との適合性などを考慮して選択することが好ましく、例えば、マウス、ラット、ハムスターなどを挙げることができるが、好ましくはマウスである。
また、免疫細胞としては、好ましくは脾細胞を使用する。
本発明に用いるミエローマ細胞としては、例えば、P3(P3X63Ag8.653)(J.Immunol., 123,1548, 1978)、p3−U1(Current Topics in Micro-biology and Immunology, 81, 1-7,1978)、NS−1(Eur. J. Immunol., 6,511-519, 1976)、MPC−11(Cell, 8, 405-415, 1976)、Sp2/0−Ag14(Nature, 276, 269-270, 1978)、FO(J. Immunol. Meth.,35, 1-21, 1980)、S194(J. Exp. Med., 148, 313-323, 1978)、およびR210(Nature, 277, 131-133, 1979)などが挙げられるが、好ましくはP3またはp3−U1であり、より好ましくはP3である。
免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、例えば、ミルシュタインら(Milstein et. al.)の方法(Methods Enzymol., 73, 3-46, 1981)などに準じて行うことができる。具体的には、細胞融合は、例えば、融合促進剤の存在下、培地中にて免疫細胞とミエローマ細胞とを混合することにより実施することができる。そして、細胞融合において、適宜培地を添加して遠心分離する操作を繰り返してハイブリドーマを生成することができる。
細胞融合に用いる培地としては、例えば、RPMI−1640培地、MEM培地などの細胞融合において通常使用される培地が挙げられる。また、牛胎児血清(FBS)などの血清補液を適宜併用することができる。
また、細胞融合温度は、好ましくは25〜37℃であり、より好ましくは30〜37℃である。
また、ミエローマ細胞と免疫細胞との混合比率は、好ましくは1:1〜1:10程度である。
融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)などを挙げることができるが、好ましくはPEGである。PEGの分子量は適宜選択することができ、例えば、平均分子量1,000〜6,000程度とすることができる。また、培地中のPEGの濃度は、好ましくは約30〜60%(W/V)である。
また、所望によりジメチルスルホキシドなどの補助剤を培地に適宜添加することができる。
本発明のハイブリドーマの選択は、細胞融合により得られるハイブリドーマを、例えば、HAT培地などの通常の選択培地にて培養し、通常の限界希釈法を用い、例えば、SSVLYGGPPSAA(配列番号1)で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたは該ペプチドと薬学的に許容可能な担体との結合体に対する抗体価など指標としてスクリーニングすることにより実施することができる。HAT培地による培養期間は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(未融合細胞)が死滅するのに充分な時間であり、通常、数日〜数週間とすることができる。このようにして得られる本発明のハイブリドーマは、通常の培地で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することができる。
また、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を回収する方法としては、例えば、ハイブリドーマを常法に従って培養してその培養上清からモノクローナル抗体等を得る方法、またはハイブリドーマをこれと適合性のある哺乳動物に投与して増殖させその腹水からモノクローナル抗体等を得る方法などを挙げることができる。ここで、前者の方法は高純度の抗体を得るのに好ましく、一方、後者の方法は抗体を大量に生産にするのに好ましい。
さらに、本発明のモノクローナル抗体またはその抗体結合断片は、塩析法、ゲル濾過法、アフィニティークロマトフラフィーなどの方法により、高純度に精製することができる。
本発明の肥満細胞の脱顆粒抑制剤は、上記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片をそのまま用いてもよく、薬学的に許容可能な添加剤とともに医薬組成物として用いることもできる。
本発明の肥満細胞の脱顆粒抑制剤を組成物として提供する場合、上記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の含有量は、本願発明の効果を妨げない限り特に限定されない。上記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の含有量は、例えば、脱顆粒抑制剤全量に対して、0.1〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは10質量%とすることができる。
また、上記肥満細胞の脱顆粒抑制剤における薬学的に許容可能な添加剤としては、特に限定されないが、溶剤、溶解補助剤、保存剤、安定剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、等張化剤、緩衝剤、賦形剤、増粘剤、着色剤、公知のキャリア(各種リポソーム、ポリアミノ酸キャリア、合成高分子、天然高分子など)などが挙げられる。
また、本発明の肥満細胞の脱顆粒抑制剤は、剤形は特に限定されず、注射剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、乳剤、液剤、吸入剤、エアロゾル剤、粉末吸入剤、坐剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、点滴剤、点眼剤、点鼻剤などとして提供することができる。
本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害に対する優れた治療または予防効果を有している。したがって、本発明の別の態様によれば、上記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片有効成分として含んでなる、肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害の治療または予防剤が提供される。ここで、「治療」とは、確立された病態を改善することを意味し、「予防」とは、想定される悪化に対して事前に備えておくことであって、疾患の発生を未然に防ぐことを意味する。
本発明の治療または予防剤は、上記肥満細胞の脱顆粒抑制剤と同様にして調製することができる。
また、本発明の別の態様によれば、有効量の本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を被験体に投与することを含んでなる、肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害の治療または予防方法が提供される。また、本発明の別の態様によれば、有効量の本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を被験体に投与することを含んでなる、被験体の肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害の発生リスクを軽減する方法が提供される。
本発明の一つの態様によれば、上記肥満細胞の脱顆粒はヒストンの関与するものである。また、肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害とはアレルギー性疾患等、好ましくは、I型アレルギーまたは即時型アレルギー、より好ましくは、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、蕁麻疹、アレルギー性胃腸炎、花粉症またはアナフィラキシーであり、さらに一層好ましくはアレルギー性鼻炎である。
また、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、全身的または局所的に投与することができ、具体的な投与方法としては、点滴、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、皮内注射などの注射投与、経口投与、経粘膜投与、経皮投与、鼻腔内投与、口腔内投与などが挙げられる。
また、本発明のモノクローナル抗体または抗原結合断片の有効量は、特に限定されず、被検体の種類、性質、性別、年齢、症状等に応じて当業者によって、適宜決定される。例えば、かかる有効量としては、0.01〜40mg/体重kg/日、好ましくは0.01〜10mg/体重kg/日を1回または数回等が挙げられる。
上記被験体としては、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
また、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害に用いられる他の薬剤と組み合わせて同時または逐次に哺乳動物に投与してもよい。
また、本発明の別の態様によれば、肥満細胞の脱顆粒抑制剤の製造における、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片の使用が提供される。また、本発明のさらに別の態様によれば、肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害の治療または予防剤の製造における、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片の使用が提供される。また、本発明の別の態様によれば、肥満細胞の脱顆粒を抑制するための、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片が提供される。また、本発明のさらに別の態様によれば、肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害を治療または予防するための、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片が提供される。
上記別の態様はいずれも、本発明の肥満細胞の脱顆粒抑制剤、本発明の肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害の治療または予防剤、または本発明の肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害の治療または予防方法の記載に準じて実施することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例で用いたモノクローナル抗体(SSV mAb)は、WO2012/023614号公報に記載の方法で製造された抗体である。具体的には、以下の方法により製造された。
実施例1:モノクローナル抗体(SSV mAb)の製造
抗原物質の製造
抗原物質としては、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドおよびKLHの結合体を使用した。
抗原物質の調製においては、まず、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドは、Fmocペプチド固相合成法(製造装置;ABI430型アプライバイオシステムズ社製)により合成した。さらに、上記ペプチドおよびKLH(SIGMA社製)の結合体は、上記ペプチド 5mg、KLH 約20mgおよびグルタルアルデヒド 30μg(片山化学工業株式会社)をリン酸緩衝液(pH 8.0)中、室温で約6時間撹拌して合成した。
ハイブリドーマの製造
免疫
PBS中に抗原物質を溶解させた溶液 0.8mL(抗原物質濃度:0.5mg/mL)とフロイトコンプリートアジュバンド(和光純薬株式会社製)0.8mLとを混合し、懸濁液(抗原濃度:0.25mg/mL)を得た。次に、この懸濁液0.2mLをBALB/cマウスに腹腔内投与した。さらに、この懸濁液を2週間毎に同量にてマウスに投与した。そして、投与開始から16週間後、PBS中抗原を溶解させた溶液 0.2mL(抗原濃度:600〜1000mg/mL)をマウス腹腔内へ最終投与した。なお、投与の際には、眼底静脈より採血を行ってELISAにより抗体価を測定した。最終投与の4日後、全採血を行い、得られた血液を遠心分離(2000rpm、20分)し、抗血清を得て以下の実験のコントロール抗血清として用いた。また、全採血後、ラットより脾臓を摘出し、得られた脾細胞を以下の細胞融合に用いた。
細胞融合
上記の脾細胞およびミエローマ細胞(P3X63-Ag.8.653)を脾細胞:ミエローマ細胞=10:1〜10にて混合して遠心分離(1500rpm,5分)した。遠心分離した後、アスピレーターを用いて上清を除去し、得られた細胞ペレットに37℃のポリエチレングリコール4000(50%PBS溶液)1mLを1分間かけて添加して混合液とした。この混合液を37℃にて1分間静置した後、37℃のIMDM培地(計9mL)を30秒毎に1 mLずつ加えた後、遠心分離(1500rpm、5分)した。遠心分離後、上清を吸引除去し、37℃の15%FCS(JRH BIOSCIENCES製)含有IMDM(GIBCO製)培地を適量添加した。得られた懸濁液を96ウェル培養プレートに100mLずつ分注を行い、37℃/5%COインキュベーターにて1日培養した。さらにHAT培地(HAT粉末(HAT MEDIA SUPPLEMENT(×50)、SIGMA製)を無血清IMDM培地10mLに溶かし、10%FCS含有IMDM培地にて50倍希釈したものである。)を100mL添加し、37℃/5%COインキュベーターにて培養した。HAT培地の交換は2〜3日毎に行い、10日後にはHT培地(HT粉末(HT MEDIA SUPPLEMENT、SIGMA製)を無血清IMDM培地10mLに溶かし、10%FCS含有IMDM培地にて50倍希釈したものである。)に切り替え、3日間、37℃/5%COインキュベーターにて培養を行った。以後2〜3日ごとに培地(HT培地)の交換を行った。細胞増殖を顕微鏡により確認した後、培養上清(約100mL)を回収した。この培養上清を用いて、抗体価測定によるハイブリドーマのスクリーニングを行った。
ハイブリドーマ細胞のスクリーニング
抗体価測定
上記抗原物質(5mg)を含む緩衝液(Baicarbonate buffer:100 mM NaHCO3-NaOH、pH9.2〜9.5、ペプチド濃度:1μg/mL) を1ウェル当り50μLずつ96ウェル平底プレートへ添加し、室温にて2時間静置してコーティングした。プレートを洗浄バッファー(PBST)にて3回洗浄し、ブロッキングバッファー(3%スキムミルク1%BSA、PBS)を200〜250μL/ウェルにて加え、4℃にて一昼夜反応させた後、3回洗浄した。そして、ハイブリドーマの培養上清を100μL/ウェルにて加え、37℃にて4時間または4℃にて一昼夜反応させた。プレートを3回洗浄した後、希釈バッファー(10 mM Tris-HCl ( pH 8.0 )、0.9 % ( W/V ) NaCl、0.05 % ( W/V ) Tween20)にて10000倍希釈したビオチン標識抗マウスIgG(Biotion-labeled anti-mouse IgG 、SIGMA)を50μL/ウェルにて加え、室温にて2時間反応させた。その後6回洗浄した後、希釈バッファーにて1000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識ストレプタリジン(Streptaridin)を50μL/ウェルにて加え、室温にて1〜2時間反応させた。その後6回洗浄を行い、蛍光基質バッファー(Attophos substrate buffer、ロシュダイアグノスティックス社製)を50μL/ウェル加えてプレートを遮光し発色させた。蛍光強度はCytoFluorII(パーセプティブ社製)にて測定した。
ハイブリドーマの選別
上記抗体価測定にて陽性の結果を示したウェル(1×10細胞/mL)に15%FCS10%HCF(Hybridoma cloning factor、オリジン社製)含有IMDM培地を加えて、約200細胞/ウェル となるように96ウェル培養プレートに分注し、37℃、5%COインキュベーターにて培養を行った。そして、上記と同様に抗体価測定を行い、抗体産生量の多いハイブリドーマを選択した。
さらに限界希釈を行い、選択したハイブリドーマが0.5〜1細胞/ウェルになるように15%FCS10%HCF含有IMDM培地で希釈し、37℃/5%COインキュベーターにて約3〜4日間培養した後、上記と同様に抗体価測定を行い、抗体産生量の多いハイブリドーマを選択した。さらに限界希釈を繰り返し、上記抗原物質に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得た。このうち、抗体価が最も高いハイブリドーマを選択してMouse-Mouse hybridoma SSV-C93-3と命名した。
モノクローナル抗体の取得
ハイブリドーマMouse-Mouse hybridoma SSV-C93-3は、15%FCS含有RPMI培地を用いて培養した(1×10細胞/mL)。次に、ハイブリドーマ培養液を回収し、死細胞片を除くためにフィルターでろ過した。次に、終濃度40%となるように、培養上清に硫酸アンモニウムを加え、40℃で1時間撹拌した。次に、遠心分離(3000g、30分、4℃)を行い、上清を捨て沈殿を回収した。この沈殿を上記培養上清の1/10量のPBSで溶解し、PBSを外液として一晩透析した。
次に、上記沈殿を20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で2倍希釈し、1Mトリス-HCl緩衝液とともに、HiTrapNHS活性化カラムに添加した。さらに、0.1Mグリシン−HCl溶液(pH2.7)で抗体の溶出し、フラクションチューブに回収した。
実施例2:SSV mAbの軽鎖および重鎖の可変領域配列の同定
ハイブリドーマcDNAの合成
FastPure RNA Kit(TaKaRa社製)を使って、実施例1で取得したハイブリドーマ(Mouse-Mouse hybridoma SSV-C93-3)1.6×107cellsからtotal RNAを調製した。Poly (A)+ Isolation Kit from Total RNA(NIPPON GENE製)を使って、240 μgのtotal RNAからmRNAを調製した。Etachinmate(NIPPON GENE社製)を使ってエタノール沈殿を行い、mRNAを沈殿した。75% エタノールで洗浄した後、mRNAを乾燥した。これにRNase free waterを10 μL加え、mRNAを溶解した。得られたmRNA溶液は-80℃で保存した。SMARTer RACE cDNA Amplification Kit(Clontech社製)を使って、1 μgのSSVハイブリドーマmRNAから5’-RACE用のcDNAを合成した。得られたcDNA溶液は-20℃で保存した。
SSV mAb 軽鎖および重鎖における相補性決定領域(CDR)の同定
マウスIgG1 重鎖定常領域の塩基配列をもとに、プライマー 5’- CAC CAT GGA GTT AGT TTG GGC AGC AG -3’ (配列番号12)を作製した。マウス軽鎖κ定常領域の塩基配列をもとにプライマー 5’- CAC GAC TGA GGC ACC TCC AGA TG -3’(配列番号13)を作製した。それぞれのプライマーとUniversal Primer A Mix(SMARTer RACE cDNA Amplification Kit付属プライマー)を用いて、cDNAをテンプレートとした5'-RACEを行った。RACE反応はAdvantage2 PCR Kit(Clontech社製)を用いた。反応液をアガロース電気泳動し、約600 bpの重鎖5’-RACE産物および約550 bpの軽鎖5’-RACE産物を、E.Z.N.A. Gel Extraction Kit(OMEGA bio-tek社製)を用いてゲルから精製した。これをpGEM-T Easy Vector(Promega社製)に連結し、Competent high E.coli DH5α(TOYOBO社製)を形質転換した。得られた形質転換体から、E.Z.N.A. Plasmid Miniprep KitI(OMEGA bio-tek社製)を用いてプラスミドを調製した。調製したプラスミドをテンプレートとして、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いてサイクル反応を行った。
次に、DNAシークエンサー(Applied Biosystems製)を用いて、軽鎖および重鎖可変領域の塩基配列を解析した。
その結果、軽鎖可変領域の塩基配列は、配列番号5の第67番〜第384番で表されるものであった。
また、重鎖可変領域の塩基配列は、配列番号10の第58番〜第423番で表されるものであった。
なお、翻訳開始コドンとKabatらの方法により決定したFR(定常領域)1の位置に基づき、配列番号5の第1番〜第66番は軽鎖シグナルペプチドの塩基配列であり、および配列番号10の第1番〜第57番は重鎖のシグナルペプチドの塩基配列であると推定した。
次に、得られた塩基配列から軽鎖および重鎖の可変領域のアミノ酸配列を推定し、Kabatらの方法に従ってCDR領域を同定した。
その結果、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号6の第23番〜第128番で表されるものであった。ここで、配列番号6の第1番〜第22番は軽鎖シグナルペプチドのアミノ酸配列である。
また、軽鎖可変領域可変領域のアミノ酸配列のうち、CDR1はRASSSVSYMH(配列番号2)で表わされ、CDR2はATSNLAS(配列番号3)で表わされ、CDR3はQQWSSNPWT(配列番号4)で表わされることを確認した。
また、重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号11の第20番〜第141番で表されるものであった。ここで、配列番号11の第1番〜第19番は重鎖シグナルペプチドのアミノ酸配列である。
また、重鎖可変領域のアミノ酸配列のうち、CDR1はGYNMN(配列番号7)で表わされ、CDR2はNINPYYGSTSYNQKFKG(配列番号8)で表わされ、CDR3はSPYYSNYWRYFDY(配列番号9)で表わされることを確認した。
試験例1:肥満細胞からの脱顆粒抑制作用の評価
脱顆粒抑制作用の評価はβ−ヘキソサミニダーゼの遊離を指標にして行った。
まず、Lewisラット(5週齢、雌)の大腿骨より骨髄細胞を採取し、10 ng/mL IL−3含有RPMI1640培地で培養した。3日毎に培地を交換し、30日間培養して肥満細胞へ分化させた。該肥満細胞に抗ジニトロフェニルIgE(抗DNP IgE)(Sigma-Aldrich社製)を添加し、37℃で18時間培養して感作させた。次いで、該細胞をタイロード(Tyrode)緩衝液(10 mM HEPES、130 mM NaCl、5 mM KCl、1.4 mM CaCl2、1 mM MgCl2、5.6 mM glucose、0.1% BSA、pH 7.4)で洗浄した後、タイロード緩衝液に再懸濁した。終濃度25 μg/mLとなるようにSSV mAbまたはIsotype IgG1を加え、37℃で1時間インキュベートした。ジニトロフェニル化ウシ血清アルブミン(DNP−BSA)(Life Technologies社製)を加え、37℃で1時間インキュベートして脱顆粒を誘導した。上清を回収した後、細胞に0.5% トリトン X-100溶液を加え、細胞内のβ−ヘキソサミニダーゼを抽出した。各サンプルに基質溶液[0.04 M クエン酸ナトリウム(pH 4.5)に溶解した1.3 mg/ml 4-ニトロフェニル-N-アセチル-β- D-グルコサミニド(Sigma-Aldrich社製)]を加え、37℃で1時間インキュベートした。停止溶液[0.2 M グリシン (pH 10.0)]を加え、反応を停止させた。Victor(商標) X4 マルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer社製)で405nmの吸光度を測定した。脱顆粒率は以下の計算式によって算出した。
Figure 2015105250
各サンプルの脱顆粒に関し、上清へのβ−ヘキソサミニダーゼの遊離を指標として評価した結果は図1に示される通りであった。
その結果、DNP−BSAの添加時には、SSV mAb投与群は非投与群およびIsotype IgG1投与群に比して有意に脱顆粒を抑制した。
これらの結果から、SSV mAbは肥満細胞の脱顆粒を抑制するものと考えられる。
試験例2:アレルギー性鼻炎モデルマウスを用いた抗アレルギー作用の評価
BALB/cマウス(5週齢、雌)に卵白アルブミン(OVA、Sigma-Aldrich社製)とImject(商標) Alum(Thermo Scientific社製)の混合溶液(OVA 400μg/mLとImject(商標) Alum 40mg/mLを1:1の体積比で混合した溶液)100μLを隔週で計2回腹腔に投与して免疫した。最終免疫の1週間後から、毎日マウスの各鼻腔にOVA溶液(生理食塩水に溶解した50mg/mL OVA)を10μLずつ点鼻し(以下、OVAチャレンジという)、その後の5分間、くしゃみ及び鼻掻き行動の回数を測定した。点鼻は計9回行い、点鼻直前にSSV mAbまたは対照試薬(Isotype IgG1)(eBiosciences社製)を100μg腹腔に投与した。
その結果を図2AおよびBに示した。くしゃみの回数は、OVAチャレンジ2日後以降、SSV mAb投与群が対照試薬(Isotype IgG1)投与群に比べ有意に減少した。鼻かき行動に関しては、OVAチャレンジ8日後以降、SSV mAb投与群がIsotype IgG1投与群に比べ有意に減少した。したがって、Isotype IgG1投与群と比べてSSV mAb投与群は、有意にくしゃみ、鼻かき行動を抑制しているものと認められる。
試験例3:マウスの血清中の抗体価の測定
試験例2における、OVAの初回免疫前と最後のOVAチャレンジ後にマウスから血清を採取した。
血清中総IgG1、IgG2a、IgE抗体価は、N. Onishiら (Dietary pulverized konjac glucomannan prevents the development of allergic rhinitis-like symptoms and IgE response in mice. Biosci. Biotechnol. Biochem., 71 (10), 2551-56, 2007)を参考にして測定した。
方法について簡単に記述する。コーティングバッファー(0.1 M NaHCO3、0.5 M NaCl、pH 8.5)で250倍希釈した精製抗マウス IgG1、IgG2a、IgE抗体(BD Bioscience社製)を96−ウェルマイクロプレート(Nalgene Nunc International社製)に加え、4℃で一晩インキュベートしてウェルに固定化した。0.05% Tween 20を含むPBS(PBST)でウェルを洗浄した後、1%ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma-Aldrich社製)を含むPBS(1% BSA−PBS)を加え、37℃で2時間インキュベートしてウェルをブロッキングした。該ウェルをPBSTで洗浄した後、マウスから採取した血清を加え、37℃で2時間インキュベートした。その後、該ウェルをPBSTで洗浄した後、1% BSA−PBSで250倍希釈したビオチン結合抗マウスIgG1、IgG2a、IgE抗体(BD Bioscience社製)を加え、37℃で1.5時間インキュベートした。ウェルをPBSTで洗浄した後、1% BSA−PBSで200倍希釈したストレプトアビジン-ホースラディッシュペルオキシターゼ(R&D Systems社製)を加え、37℃で1時間インキュベートした。その後、該ウェルをPBSTで洗浄した後、1-Step Ultra TMB substrate solution(Thermo Fisher Scientific社製)を加えた。適度に発色した所で停止溶液(2N HCl)を加え、反応を停止させた。Victor(商標) X4 マルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer社製)で450nmの吸光度を測定した。
OVA特異的IgG1, IgG2a, IgE抗体価についても、前記文献(N. Onishi ら、2007)を参考にして測定した。方法について簡単に記述する。重炭酸塩緩衝液[0.1 M NaHCO3(pH 9.3)]で50 μg/mlに希釈したOVAを96-ウェルマイクロプレートに加え、4℃で一晩インキュベートしてウェルに固定化した。ウェルをPBSTで洗浄した後、1% BSA−PBSを加え、37℃で2時間インキュベートしてウェルをブロッキングした。ブロッキング以降の操作は、血中総IgG1、IgG2a、IgE抗体価の測定と同様に行った。
抗体価の結果は、図3A(総IgG1)、図3B(総IgG2a)、図3C(総IgE)、図3D(OVA-特異的 IgG1)、図3E(OVA-特異的 IgG2a)、図3F(OVA-特異的 IgE)に示されるとおりであった。
その結果、最後のOVAチャレンジ後の血清において、対照試薬(Isotype IgG1)投与群と比べてSSV mAb投与群に有意差は認められなかった(Studentのt検定、有意水準5%)。SSV mAbがマウスの抗体価にほとんど影響を与えないことから、そのアレルギー抑制機序として、IgG抗体やIgE抗体を介さず、試験例1の試験結果に基づいて、肥満細胞への直接あるいは間接的に作用することが示唆された。

Claims (14)

  1. SSVLYGGPPSAA(配列番号1)で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたは該ペプチドと薬学的に許容可能な担体との結合体と結合する、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含んでなる、肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
  2. RASSSVSYMH(配列番号2)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR1、ATSNLAS(配列番号3)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR2、およびQQWSSNPWT(配列番号4)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR3を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなる、請求項1に記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
  3. 前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の軽鎖可変領域が、配列番号6の第23番〜第128番で表されるアミノ酸配列を含んでなる、請求項1または2に記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
  4. GYNMN(配列番号7)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR1、NINPYYGSTSYNQKFKG(配列番号8)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR2、およびSPYYSNYWRYFDY(配列番号9)で表わされるアミノ酸配列からなるCDR3を含んでなる重鎖可変領域を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
  5. 前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域が、配列番号11の第20番〜第141番で表されるアミノ酸配列を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
  6. 前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片が、前記ペプチドまたはペプチドと薬学的に許容可能な担体に対するものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
  7. 前記薬学的に許容可能な担体が、キーホールリンペットヘモシアニン、オボアルブミンまたはウシ血清アルブミンである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
  8. 前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片が、ATP合成酵素活性をダウンレギュレーションしうる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
  9. 前記モノクローナル抗体が、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
  10. 前記抗原結合断片が、Fab、Fab’、(Fab’)、FvまたはscFvである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の肥満細胞の脱顆粒抑制剤。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含んでなる、肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害の治療または予防剤。
  12. 前記肥満細胞の脱顆粒に関連する疾患または障害がアレルギー性疾患である、請求項11に記載の治療または予防剤。
  13. 前記アレルギー性疾患がI型アレルギー性疾患である、請求項12に記載の治療剤。
  14. 前記アレルギー性疾患がアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、蕁麻疹、アレルギー性胃腸炎、花粉症およびアナフィラキシーから選択される、請求項12または13に記載の治療剤。
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