JP2015105227A - 速硬コンクリート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】12時間以内の初期強度発現性に優れ、曲げ強度が高く、その後の強度発現性が抑制された速硬コンクリートを、簡便に、かつ、低廉なコストで提供することである。
【解決手段】速硬性混和材と、パラフィンと、凝結遅延剤とを含有する速硬コンクリート。
【選択図】図1

Description

本発明は速硬性を有するコンクリート及びその製造方法に関する。
道路における緊急工事や一般工事の工期短縮などに、早期強度発現性を有する速硬コンクリートが使用されている。速硬コンクリートとして、太平洋セメント社製「ジェットセメント」(商品名)や住友大阪セメント社製「ジェットセメント」(商品名)等の超速硬セメントを使用したコンクリートが知られている。普通セメント等に速硬性のセメント混和材(速硬性混和材)が添加される技術も提案されている(特許文献1,2)。
速硬性混和材を添加する速硬コンクリートにおいては、初期強度発現性を確保する為、充分な量の速硬性混和材が添加される。これに伴って、コンクリートは、その長期強度が高くなる傾向が有る。
コンクリート構造物(例えば、道路)の一部を補修する為、速硬コンクリートが使用される。この場合、補修部位の速硬コンクリートの強度が余りに高くなり過ぎると、コンクリート構造物全体としての物理的特性の均一性が阻害される。例えば、補修すべき部位の既設コンクリートの弾性係数(圧縮強度)と補修コンクリート(速硬コンクリート)の弾性係数(圧縮強度)との差が顕著になると、変形能力の差から、既設部位と補修部位との一体化が難しい。補修部位の剥落、剥がれ等の損傷が起きる恐れが有る。片方が拘束体として作用することから、ひび割れ抵抗性も低下する。
速硬コンクリートが補修用途で用いられる場合において、上述の通り、圧縮強度が大きくなり過ぎることは問題である。しかし、曲げ強度の向上は求められる場合が有る。曲げ強度向上の最も簡便な方法は、コンクリートの圧縮強度を上げる方法である。しかし、この手法が採用できないことは上述の通りである。他の方法として、例えば繊維を添加する方法などが考えられる。しかし、この方法は、製造工程が煩雑になる。かつ、製造コストが嵩む。従って、この方法も採用され難い。
特開2012−139897号公報 特開平8−277156号公報
本発明は前記問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、初期強度発現性が確保された上で、その後の強度の発現性が抑制された速硬コンクリートを提供することである。更には、曲げ強度の向上が期待される速硬コンクリートを提供することである。
本発明は、
速硬性混和材と、
パラフィンと、
凝結遅延剤
とを含有することを特徴とする速硬コンクリートを提案する。
本発明は、
前記速硬コンクリートであって、好ましくは、前記パラフィンが固形パラフィンである
ことを特徴とする速硬コンクリートを提案する。
本発明は、
前記速硬コンクリートであって、好ましくは、前記パラフィン含有量が、0.1〜15Kg/mである
ことを特徴とする速硬コンクリートを提案する。
本発明は、
前記速硬コンクリートであって、好ましくは、前記速硬性混和材がカルシウムアルミネート類を主成分とする速硬性混和材である
ことを特徴とする速硬コンクリートを提案する。
本発明は、
前記速硬コンクリートであって、好ましくは、前記パラフィンはエマルジョンタイプのものである
ことを特徴とする速硬コンクリートを提案する。
本発明は、
前記速硬コンクリートの製造方法であって、
ベースコンクリートに、前記速硬性混和材、前記パラフィン、前記凝結遅延剤が、配合される
ことを特徴とする速硬コンクリートの製造方法を提案する。
本発明は、
前記速硬コンクリートの製造方法であって、好ましくは、前記速硬性混和材は、前記パラフィン及び前記凝結遅延剤が前記ベースコンクリートに配合された後、配合される
ことを特徴とする速硬コンクリートの製造方法を提案する。
本発明は、
前記速硬コンクリートの製造方法であって、
コンクリート製造プラントでベースコンクリートが製造されるベースコンクリート製造工程と、
前記ベースコンクリート製造工程で製造されたベースコンクリートがトラックアジテータのドラムに投入されてコンクリート打設現場に搬送される搬送工程と、
前記パラフィン及び前記凝結遅延剤が、前記トラックアジテータのドラムに、投入・混合される第1投入・混合工程と、
前記第1投入・混合工程の後、前記速硬性混和材が、前記トラックアジテータのドラムに、投入・混合される第2投入・混合工程
とを具備することを特徴とする速硬コンクリートの製造方法を提案する。
本発明は、
前記速硬コンクリートの製造方法であって、好ましくは、前記パラフィンがエマルジョンタイプのものである
ことを特徴とする速硬コンクリートの製造方法を提案する。
初期強度発現性に優れている。その後の強度発現性が抑制されている。曲げ強度に優れている。前記特長の速硬コンクリートが、簡便、かつ、低廉なコストで得られる。
本発明になる製造方法の工程図 トラックアジテータの概略図
第1の発明は速硬コンクリートである。前記速硬コンクリートは、必須成分として、速硬性混和材と、パラフィンと、凝結遅延剤とを含有する。勿論、コンクリートを含有する。前記パラフィンには、固形パラフィンと、流動パラフィンとが有る。前記パラフィンは、好ましくは、固形パラフィンである。ここで、固形パラフィンとは、使用雰囲気温度において、固形であると言うことである。前記速硬コンクリートにおける前記パラフィン含有量は、好ましくは、0.1〜15Kg/mである。前記パラフィンは、好ましくは、エマルジョンの形態で用いられる。前記速硬性混和材は、好ましくは、カルシウムアルミネート類を主成分とする速硬性混和材である。
第2の発明は速硬コンクリートの製造方法である。前記方法は、前記速硬コンクリートの製造方法である。前記第2の発明は、ベースコンクリートに、前記速硬性混和材、前記パラフィン、前記凝結遅延剤が、配合される方法である。好ましくは、前記パラフィン及び前記凝結遅延剤が前記ベースコンクリートに配合された後、前記速硬性混和材が配合される。前記速硬コンクリートは、例えばベースコンクリート製造工程、搬送工程、第1投入・混合工程、第2投入・混合工程を、順に、経て、製造される。前記ベースコンクリート製造工程は、例えばコンクリート製造プラントでベースコンクリートが製造される工程である。前記搬送工程は、前記ベースコンクリート製造工程で製造されたベースコンクリートがトラックアジテータのドラムに投入されてコンクリート打設現場に搬送される工程である。前記搬送中にあっては、ベースコンクリートは混練されている。前記第1投入・混合工程は、前記パラフィン及び前記凝結遅延剤が、前記トラックアジテータのドラムに、投入・混合される工程である。ここで、前記パラフィン投入時と前記凝結遅延剤投入時とは同一時であっても、時間的ずれが有っても良い。しかし、別々に投入する大きな利点が考えられず、簡便さ等から、好ましくは、同時に投入される。特に好ましくは、両者の混合物が投入される形態である。前記第1投入・混合工程は、前記トラックアジテータがコンクリート打設現場に到着した時点(打設現場到着よりも多少は前の時間から、到着後の多少は経過した時間までの間の時間:到着前後の間の時間(その時間幅が長すぎなければ、差し支えない。))において、行われる。前記投入時においてコンクリートは混練されている。前記第2投入・混合工程は、前記第1投入・混合工程の後に行われる。前記第2投入・混合工程は、前記速硬性混和材が、前記トラックアジテータのドラムに、投入・混合される工程である。前記投入時においてもコンクリートは混練されている。
以下、更に説明される。
本発明の速硬コンクリートは、速硬性混和材、パラフィン及び凝結遅延剤を必須成分として含有する。他にも、コンクリートが必須成分である。前記コンクリートは、セメント、骨材、及び水が用いられて構成される。
本発明で用いられるセメントとしては、例えば普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱などの各種ポルトランドセメントが挙げられる。エコセメントが挙げられる。前記ポルトランドセメント又はエコセメントに、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム又は石灰石微粉末などが混合された各種の混合セメントが挙げられる。前記セメントの一種または二種以上のものが適宜用いられる。
本発明で用いられる骨材としては、特に制限されるものではなく、通常のコンクリートの製造に使用される骨材を何れも使用できる。例えば、川砂、海砂、砕砂、人工細骨材、スラグ細骨材、再生骨材、珪砂、川砂利、陸砂利、砕石、人工粗骨材、スラグ粗骨材、再生粗骨材などが挙げられる。
本発明では速硬性混和材が用いられる。速硬性混和材の使用によって、コンクリートには、必要な初期強度が発現する。具体的には、材齢12時間での圧縮強度が24N/mm以上である。24N/mm未満の場合、緊急工事や一般工事の工期短縮などの要請に答える速硬コンクリートとしての品質が満足でき難い。
速硬性混和材としては、例えばカルシウムアルミネート類、アルミン酸ナトリウム、仮焼明礬を含む明礬類、活性アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム等の急硬性物質の群の中から選ばれる一種又は二種以上を主成分とするものが挙げられる。特に好ましい速硬性混和材は、カルシウムアルミネート類を主成分としたものである。速硬性混和材は、好ましくは、粉体状である。
カルシウムアルミネート類には、CaOをC、AlをA、NaOをN、FeをFで表示した場合、CA,CA,C12,C,CA,C又はCA等と表示される鉱物組成を有するカルシウムアルミネート、CAF,CAF等と表示されるカルシウムアルミノフェライト、カルシウムアルミネートにハロゲンが固溶又は置換したC・CaFやC11・CaF等と表示されるカルシウムフロロアルミネートを含むカルシウムハロアルミネート、CNAやC等と表示されるカルシウムナトリウムアルミネート、カルシウムリチウムアルミネート、アウイン(3CaO・3Al・CaSO)等のカルシウムサルホアルミネート、アルミナセメント、並びにこれらにSiO,KO,Fe,TiO等が固溶又は化合したもの等が含まれる。
速硬性混和材には、上記の急硬性物質以外にも、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等が含まれてもよい。硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩が用いられた場合、強度が高まることから好ましい。
速硬性混和材には、この他にも、本発明の特長が損なわれない範囲で、必要に応じて、各種添加材(剤)が併用される。この種の添加材(剤)としては、例えば減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤等のセメント分散剤、速硬性を有してない水硬性セメント、凝結遅延剤、強度促進材、再乳化粉末樹脂、発泡剤、起泡剤、防水剤、防錆剤、収縮低減剤、増粘剤、保水剤、顔料、繊維、撥水剤、白華防止剤、消泡剤等が挙げられる。
セメント分散剤が併用されることは好ましい。速硬性混和材とセメントの合計100質量部に対して、0.02〜2質量部のセメント分散剤が併用された場合、速硬性混和材混合後のコンクリートのコンシステンシーが添加前のコンクリートのコンシステンシーより高まることから好ましい。
セメント分散剤としては、例えばポリカルボン酸系、メラミンスルホン酸系、ナフタレンスルホン酸系の分散剤などが挙げられる。比較的少ない使用量で優れた流動性を確保でき、かつ、速硬性を阻害しない点から、ポリカルボン酸系の分散剤が好ましい。粉体状の速硬性混和材に事前混合して使用される場合、セメント分散剤も粉末状であることが好ましい。
速硬性混和材の量は、好ましくは、ベースコンクリートのセメント100質量部に対して、10〜100質量部である。より好ましくは、20質量部以上である。より好ましくは、70質量部以下である。100質量部を越えて多くなり過ぎた場合、速硬性混和材の投入に要する時間が長くなる。従って、速硬コンクリート製造後から打設可能な時間が短くなる。これに加えて、長期強度発現性も低下する傾向が有る。コンクリートのコンテステンシーが低下する。逆に、10質量部未満の少な過ぎた場合には、速硬性を十分に付与できない。前記速硬コンクリートにおける前記速硬性混和材含有量は、好ましくは、100〜200Kg/mである。
本発明ではパラフィンが用いられる。好ましくは、エマルジョン形態でパラフィンが用いられる。パラフィンの使用により、時間材齢における初期強度発現性を保持しながら、それ以降の強度発現が抑制された。加えて、曲げ強度が向上した。パラフィン(エマルジョンタイプのパラフィン)のコンクリート組成物への添加は、簡単である。要するコストも低廉である。
前記パラフィンエマルジョンは、例えば固形パラフィンが、乳化処理され、水中に均質に分散した水溶液である。水溶液タイプとすることによって、コンクリートへの添加が極めて容易である。前記パラフィンエマルジョンにおけるパラフィン固形分濃度は、例えば10〜50質量%である。前記パラフィン含有量は、好ましくは、0.1〜15Kg/mである。より好ましくは、1Kg/m以上である。より好ましくは、10Kg/m以下である。前記パラフィンの量は、ベースコンクリートのセメント100質量部に対して、0.02〜6質量部である。より好ましくは、0.2質量部以上である。より好ましくは、4質量部以下である。前記パラフィン量が少なすぎた場合、本発明が目的とする特長が奏され難かった。逆に、多すぎた場合も、本発明が目的とする特長が奏され難かった。
本発明では、凝結遅延剤も必須成分である。凝結遅延剤は、一般的には、速硬性混和材が添加される前において、ベースコンクリートに添加される。これによって、速硬コンクリートとしての可使時間が調整される。本発明の速硬コンクリートにおいて、速硬性混和材投入・混合後の可使時間が、例えば20分以上(より好ましくは60分以上)有るように調製される。すなわち、凝結遅延剤の添加によって、コンクリート可使時間が所望時間(例えば20分以上(より好ましくは60分以上))は有るように調整される。より具体的には、凝結遅延剤中の有効成分(固形成分)量が、セメントと速硬性混和材との合計100質量部に対して、0.05〜2質量部である。前記速硬コンクリートにおける前記凝結遅延剤含有量は、好ましくは、0.2〜14Kg/mである。可使時間が20分以上としたのは次の理由である。20分未満では、その後の速硬性混和材の混合工程を経て、施工現場において、速硬コンクリートを打設するのに十分な時間を確保でき難い。コンクリートの凝結・硬化が始まり、工事に支障が生じる虞が有る。60分以上の可使時間が確保されると、殆どの施工現場において、良好な品質を有する速硬コンクリートの打設を支障なく行うことが出来る。
本発明で用いられる凝結遅延剤は、水硬性セメントの凝結に遅延作用を及ぼすものであれば良い。速やかに混合可能である点から、液状タイプのものが望ましい。このような凝結遅延剤の具体例としては、例えばクエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸またはその塩、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、リン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩等の無機塩、糖類などの群の中から選ばれる一種又は二種以上を含む液状体(例えば、水溶液、エマルジョン、懸濁液の形態)が挙げられる。中でも、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸、酒石酸塩、アルカリ金属炭酸塩の群の中から選ばれる一種又は二種以上を含む水溶液が好ましい。
次に、速硬コンクリートの製造方法が説明される。
速硬コンクリートは、ベースコンクリートに、パラフィンエマルジョン、凝結遅延剤及び速硬性混和材が、順次、添加・混合されることによって製造される。速硬性混和材は、好ましくは、パラフィンエマルジョン及び凝結遅延剤が添加され、充分に混合された後で、添加される。コンクリート打設現場において、トラックアジテータのドラムにパラフィンエマルジョン、凝結遅延剤及び速硬性混和材を投入し、混合して製造する場合に適用できる(図1参照)。
以下、トラックアジテータ(図2参照)に投入して製造される場合が説明される。
[ベースコンクリートの製造]
ベースコンクリートは、主に、コンクリート製造プラントで製造される。セメント、骨材、水、必要に応じて用いられるセメント分散剤などの混和剤が、所定の性能を発現するように適宜配合され、コンクリートミキサ等で混合されて製造される。これによって、ベースコンクリートが得られる
必要に応じて用いられるセメント分散剤としては、例えば減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤などが挙げられる。
前記成分の他にも、必要に応じて、本発明の特長が損なわない程度において、各種混和剤(材)が用いられる。例えば、増粘剤、膨張材、収縮低減剤、セメント用ポリマー、防水材、防錆剤、凍結防止剤、保水剤、顔料、白華防止剤、発泡剤、消泡剤、撥水剤、シリカフュームやフライッシュ等のポゾラン微粉末、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末等の石粉等が挙げられる。
ベースコンクリートの混練方法は、特に限定されない。製造量や均質な混合性の観点から、ミキサを用いる手法が好ましい。ミキサとしては、連続式ミキサやバッチ式ミキサが用いられる。例えば、パン型コンクリートミキサ、パグミル型コンクリートミキサ、重力式コンクリートミキサ等が挙げられる。
コンクリートは、安定した品質が得られやすい観点から、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」に準拠して製造されたレディーミクストコンクリート(又は未硬化のモルタル)であることが好ましい。製造されたベースコンクリートの品質を、当該ベースコンクリートを製造した者が責任を持つことが出来るからである。特に、JIS A 5308についてJIS認証を受けたレディーミクストコンクリート製造工場で製造されることが望ましい。本発明における必要な強度、コンシステンシー等の必要な品質が確保されたベースコンクリートを容易に入手することが出来るからである。
[ベースコンクリートの輸送]
ベースコンクリートの輸送には、例えばトラックアジテータ(図2参照)が用いられる。図2中、1はトラックアジテータ、2はドラム、3はホッパ、4はシュートである。すなわち、前記コンクリート製造プラントで製造されたベースコンクリートは、トラックアジテータ1のドラム2内にホッパ3から投入され、コンクリート打設現場まで輸送される。輸送時間は、好ましくは、90分以内である。用いられるトラックアジテータ1は、ドラム2の高速回転ができるものであれば、何れのものも使用できる。ここで高速回転とは5r.p.m.以上の回転を言う。
トラックアジテータ1のドラム2内に投入されるベースコンクリートの量は、好ましくは、ドラム容積の1/10〜3/8(より好ましくは、1/8以上。1/3以下。)である。トラックアジテータのドラム内に、速硬性混和材が添加されることから、3/8を超えた場合、ベースコンクリートと速硬性混和材との混合が十分に行われ難かった。その結果、得られた速硬コンクリートが不均質となる傾向が有った。このことは、所定の特性が発現され難い。逆に、1/10未満の場合は、製造効率が悪かった。
[凝結遅延剤及びパラフィンエマルジョンの混合]
トラックアジテータ1がコンクリート打設現場に到着後、速硬性混和材が投入混合される前に、パラフィンエマルジョン及び凝結遅延剤がホッパ3から投入混合される。パラフィンエマルジョン及び凝結遅延剤は別々に投入して混合しても良い。パラフィンエマルジョン及び凝結遅延剤を予め混合して調整したものを投入し混合しても良い。パラフィンエマルジョン中には、例えば50〜90質量%の水分が含まれることから、凝結遅延成分を予めパラフィンエマルジョン中に溶かして使用することも可能である。
パラフィンエマルジョン及び凝結遅延剤はトラックアジテータのドラム2内に投入され、ドラム2の高速回転によって、混合される。速硬性混和材の投入混合の前工程で、凝結遅延剤を混合する理由は、速硬性混和材とベースコンクリートが反応する前に、ベースコンクリートに満遍なく遅延剤が行き届き、遅延効果を確実に高める為である。
パラフィンエマルジョン及び/又は凝結遅延剤の投入後の混合時間は、好ましくは、10〜60秒である。ドラムの回転速度は、好ましくは、5〜20r.p.m.である。
[速硬性混和材の混合]
凝結遅延剤及びパラフィンエマルジョンが添加(混合)された後、トラックアジテータ1のドラム2内に速硬性混和材が投入・混合される。ドラム2内への投入方法は、特に限定されるものではない。例えば、フレコン袋体をドラム2のホッパ3上に吊り上げてホッパ3から直接投入する方法、少量の空気により粉体を輸送可能な粉体輸送装置を用いる方法などが挙げられる。混合時間は、好ましくは、1〜10分である。ドラムの回転速度は、好ましくは、5〜20r.p.m.である。混合時間が1分未満の場合、速硬性混和材とベースコンクリートとの混合が不十分な恐れが有る。この結果、均質なコンクリート混練物が得られ難い。逆に、10分を越えて長すぎた場合、速硬コンクリートの打設可能な時間が短くなる。経済的ではない。ドラムの回転数が5r.p.m.未満の場合、速硬性混和材とベースコンクリートとの混合が不十分な恐れが有る。逆に、20r.p.m.を越えた場合は、ドラム内のコンクリート混練物がドラムの内壁からスムーズに落下せず、効率のよい混合が行われ難かった。
以下、更に具体的な説明が行われる。但し、本発明は以下の説明に限定されるものではない。本発明の特長が大きく損なわれない限り、各種の変形例・応用例も含まれる。
[使用材料]
(1) ベースコンクリート:JIS生コン 30−15−20N(単位セメント量C=350kg/m
(2) 速硬性混和材:カルシウムアルミネート系急硬材(硫酸塩及び0.27質量%のポリカルボン酸系セメント分散剤を含む。)
(3) パラフィンエマルジョン(固形分濃度30%水溶液:乳化粒子平均径:0.5μm)
(4) 凝結遅延剤(クエン酸系遅延剤)
[トラックアジテータ]
(1) トラックアジテータ:ドラム容量8.9m;最大混合容量4.5m
普通ポルトランドセメントと、骨材と、水とが用いられて、ベースコンクリート(スランプ値15cm)が作製された。このベースコンクリートに、凝結遅延剤(セメントと速硬性混和材の合計100質量部に対して固形分換算で0.7質量部)と0〜20kg/mのパラフィンエマルジョンとが添加・混合(パラフィンエマルジョン添加量が0の場合が比較例、パラフィンエマルジョン添加量が5Kg/mの場合が実施例1、パラフィンエマルジョン添加量が10Kg/mの場合が実施例2、パラフィンエマルジョン添加量が20Kg/mの場合が実施例3)された。次に、速硬性混和材(セメント100質量部に対して30質量部)が添加・混合された。これにより、速硬コンクリート(可使時間:90分)が得られた。
この速硬コンクリートの材齢4時間〜24時間及び28日の圧縮強度と材齢8時間、24時間及び28日の曲げ強度とが測定された。その結果が表−1及び表−2に示される。
表−1
圧縮強度(N/mm
4時間 8時間 12時間 24時間 28日
実施例1 24.3 33.1 38.3 41.3 65.3
実施例2 19.7 32.5 37.9 43.3 63.5
実施例3 17.6 27.9 33.9 38.7 61.4
比較例 20.5 32.3 38.5 47.5 69.7
表−2
曲げ強度(N/mm 曲げ強度/圧縮強度
8時間 24時間 28日 8時間 24時間 28日
実施例1 4.6 5.4 8.3 0.139 0.131 0.127
実施例2 4.7 5.4 7.8 0.145 0.125 0.123
実施例3 4.2 4.9 7.7 0.151 0.127 0.125
比較例 3.9 5.1 7.2 0.121 0.107 0.103
パラフィンエマルジョンが添加された場合、材齢4〜12時間における初期の圧縮強度は、無添加のものに比べ、劣るものではない。にも拘わらず、材齢24時間および材齢28日の圧縮強度は、パラフィンエマルジョンが添加された場合、無添加のものに比べ、低くなっている。すなわち、強度発現性が抑えられていることが判る。曲げ強度は向上していることが判る。曲げ強度/圧縮強度は、パラフィンエマルジョンが添加された場合、無添加のものに比べ、向上していることが判る。
1 トラックアジテータ
2 ドラム
3 ホッパ
4 シュート

Claims (8)

  1. 速硬性混和材と、
    パラフィンと、
    凝結遅延剤
    とを含有することを特徴とする速硬コンクリート。
  2. 前記パラフィンが固形パラフィンである
    ことを特徴とする請求項1の速硬コンクリート。
  3. 前記パラフィン含有量は、0.1〜15Kg/mである
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2の速硬コンクリート。
  4. 前記速硬性混和材がカルシウムアルミネート類を主成分とする速硬性混和材である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの速硬コンクリート。
  5. 請求項1〜請求項4いずれかの速硬コンクリートの製造方法であって、
    ベースコンクリートに、前記速硬性混和材、前記パラフィン、前記凝結遅延剤が、配合される
    ことを特徴とする速硬コンクリートの製造方法。
  6. 前記速硬性混和材は、前記パラフィン及び前記凝結遅延剤が前記ベースコンクリートに配合された後、配合される
    ことを特徴とする請求項5の速硬コンクリートの製造方法。
  7. コンクリート製造プラントでベースコンクリートが製造されるベースコンクリート製造工程と、
    前記ベースコンクリート製造工程で製造されたベースコンクリートがトラックアジテータのドラムに投入されてコンクリート打設現場に搬送される搬送工程と、
    前記パラフィン及び前記凝結遅延剤が、前記トラックアジテータのドラムに、投入・混合される第1投入・混合工程と、
    前記第1投入・混合工程の後、前記速硬性混和材が、前記トラックアジテータのドラムに、投入・混合される第2投入・混合工程
    とを具備することを特徴とする請求項5又は請求項6の速硬コンクリートの製造方法。
  8. 前記パラフィンはエマルジョンタイプのものである
    ことを特徴とする請求項5〜請求項7いずれかの速硬コンクリートの製造方法。

JP2013249910A 2013-12-03 2013-12-03 速硬コンクリート及びその製造方法 Active JP6312298B2 (ja)

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